(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】体温測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20220330BHJP
G01K 13/20 20210101ALI20220330BHJP
【FI】
A61B5/01 100
G01K13/20 341Z
(21)【出願番号】P 2021066475
(22)【出願日】2021-04-09
(62)【分割の表示】P 2018056610の分割
【原出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】合家 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 智樹
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 久美
(72)【発明者】
【氏名】小俣 景子
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-111415(JP,A)
【文献】特開2004-163391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00ー5/01
G01K 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレンダ機能を有する計時部を備えると共に、少なくとも装着時の皮膚側となる皮膚側筐体表面に設けられる皮膚温度センサを備えて皮膚温度を測定して記憶する体温測定装置であって、
第1の時間間隔で前記皮膚温度センサにより温度測定させ、皮膚温度が第1の条件値に達し、若しくは皮膚温度の上昇変化率が第2の条件値に達したときの少なくとも何れかの条件で当該皮膚温度センサに対して第2の時間間隔で温度測定させて測定した温度データに測定日時を対応付けて記憶する処理部を有することを特徴とする体温測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の体温測定装置であって、
前記処理部は、前記皮膚温度センサによる前記第2の時間間隔での測定中に、皮膚温度が第4の条件値以下となり、若しくは皮膚温度の下降変化率が第5の条件値を超え、若しくは予め設定された測定時間に達したときの少なくとも何れかの条件で温度測定を終了させることを特徴とする体温測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の体温測定装置であって、
前記皮膚温度センサが設けられた皮膚側筐体表面以外の筐体表面に設けられて外部温度を測定する外部温度センサを有し、
前記処理部は、第1の時間間隔で前記皮膚温度センサ及び外部温度センサにより温度測定させ、皮膚温度が第1の条件値に達し、若しくは皮膚温度の上昇変化率が第2の条件値に達したときの条件に加えて、皮膚温度と外部温度との温度差が第3の条件値に達したときの条件の少なくとも何れかの条件で当該皮膚温度センサ及び外部温度センサに対して第2の時間間隔で温度測定させて測定したそれぞれの温度データに測定日時を対応付けて記憶することを特徴とする体温測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の体温測定装置であって、
前記処理部は、前記皮膚温度センサ及び外部温度センサに対する前記第2の時間間隔での測定中に、皮膚温度が第4の条件値以下となり、若しくは皮膚温度の下降変化率が第5の条件値を超え、若しくは皮膚温度と外部温度との差が第6の条件値を超え、若しくは予め設定された測定時間に達したときの少なくとも何れかの条件で温度測定を終了させることを特徴とする体温測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に装着させて皮膚温度より体温変動を得るための体温測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康管理を目的として、就寝中や運動中、作業中等の長時間にわたり体温を測定するニーズが高まっている。体温を測定するためには口内や腋下で測定するのが一般的だが、これらの位置では体温を長時間測定することは困難である。体温を長時間測定する方法として、機器を身体に装着し体表温度(皮膚温度)を測定する方法が知られている。機器は長時間かつ長期間身に着ける必要があるために、バッテリ消費を抑え、確実な測定温度を得ることが望まれる。
【0003】
従来、体温測定の機器は種々知られている。例えば、特許文献1には、皮膚に温度検出素子(金属板)を接触させる体温センサとして、検温設定時間(検温開始時刻)、及び、検温継続時間若しくは測定終了時刻を設定させ、測定時刻が来ると検温を開始し、検温継続時間若しくは測定終了時刻で検温を終了することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の検温センサは、設定された検温開始時刻から終了まで常に検温状態となり、例えば検温センサが装着されていなかった場合でも検温開始となってバッテリ消費されることとなり、また、就寝中の基礎体温を測定する場合に測定者は日常生活の中で常に設定した時刻に就寝するとは限らず、時刻がずれて検温されると十分な量の温度データが得られずに体温変動を精度よく知ることができないという問題がある。特に、このような検温センサの検温を、体温を特定するための体温測定に適用させようとすると十分かつ正確な温度データが得られずに精度よく体温を特定することができない。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、バッテリ消費を抑え、確実かつ正確な測定温度を可能とし、高精度に体温変動を得る体温測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、カレンダ機能を有する計時部を備えると共に、少なくとも装着時の皮膚側となる皮膚側筐体表面に設けられる皮膚温度センサを備えて皮膚温度を測定して記憶する体温測定装置であって、第1の時間間隔で前記皮膚温度センサにより温度測定させ、皮膚温度が第1の条件値に達し、若しくは皮膚温度の上昇変化率が第2の条件値に達したときの少なくとも何れかの条件で当該皮膚温度センサに対して第2の時間間隔で温度測定させて測定した温度データに測定日時を対応付けて記憶する処理部を有する構成とする。
【0008】
請求項2の発明では、前記処理部は、前記皮膚温度センサによる前記第2の時間間隔での測定中に、皮膚温度が第4の条件値以下となり、若しくは皮膚温度の下降変化率が第5の条件値を超え、若しくは予め設定された測定時間に達したときの少なくとも何れかの条件で温度測定を終了させる構成とする。
【0009】
請求項3の発明では、前記皮膚温度センサが設けられた皮膚側筐体表面以外の筐体表面に設けられて外部温度を測定する外部温度センサを有し、前記処理部は、第1の時間間隔で前記皮膚温度センサ及び外部温度センサにより温度測定させ、皮膚温度が第1の条件値に達し、若しくは皮膚温度の上昇変化率が第2の条件値に達したときの条件に加えて、皮膚温度と外部温度との温度差が第3の条件値に達したときの条件の少なくとも何れかの条件で当該皮膚温度センサ及び外部温度センサに対して第2の時間間隔で温度測定させて測定したそれぞれの温度データに測定日時を対応付けて記憶する構成とする。
【0010】
請求項4の発明では、前記処理部は、前記皮膚温度センサ及び外部温度センサに対する前記第2の時間間隔での測定中に、皮膚温度が第4の条件値以下となり、若しくは皮膚温度の下降変化率が第5の条件値を超え、若しくは皮膚温度と外部温度との差が第6の条件値を超え、若しくは予め設定された測定時間に達したときの少なくとも何れかの条件で温度測定を終了させる構成とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,3の発明によれば、皮膚温度センサ、又は、皮膚温度センサ及び外部温度センサにより身体の皮膚温度、又は、皮膚温度及び外部温度を測定するに際して、実測開始時刻及び測定時間を設定させ、設定された実測開始時刻に達する所定時間前より第1の時間間隔で皮膚温度センサにより温度測定させ、皮膚温度が第1の条件値に達し、若しくは皮膚温度の上昇変化率が第2の条件値に達し、さらに適宜皮膚温度と外部温度との温度差が第3の条件値に達したときの少なくとも何れかの条件で当該皮膚温度センサ、又は、皮膚温度センサ及び外部温度センサに対して第2の時間間隔で温度測定させて測定した温度データに測定日時を対応付けて記憶させる構成とすることにより、確実に装着されていることが確認されて未装着時の頻繁な温度測定が行われないことでバッテリ消費を抑えることができると共に、実測開始からの測定時間内の温度データのみを確実に測定させることが可能となって皮膚温度から体温を特定させて高精度に体温変動を得ることができるものである。
【0012】
請求項2,4の発明によれば、実測開始からの第2の時間間隔での測定中に、皮膚温度が第4の条件値以下となり、若しくは皮膚温度の下降変化率が第5の条件値を超え、若しくは適宜皮膚温度と外部温度との差が第6の条件値を超え、若しくは設定された就寝時間に達したときの少なくとも何れかの条件で温度測定を終了させる構成とすることにより、装着状態の不意な外れに対して実測が終了されることでバッテリ消費を抑えることができると共に、実測開始からの測定時間内の温度データのみを確実に得ることが可能となって皮膚温度から体温を特定させて高精度に体温変動を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る体温測定装置の第1実施形態の構成図である。
【
図2】
図1の体温測定装置の備える処理回路部のブロック構成図である。
【
図3】実測開始時刻及び測定時間の設定の説明図である。
【
図4】
図1における体温測定の実測開始の処理フローチャートである。
【
図5】
図1における体温測定終了の処理フローチャートである。
【
図6】本発明に係る第2実施形態の体温測定装置の構成図である。
【
図7】
図6における体温測定の実測開始の処理フローチャートである。
【
図8】
図6における体温測定終了の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。本実施形態は、一例として、体温測定装置に実測開始時刻及び測定時間を設定するに際して必要な表示部及び操作スイッチを備える場合の構成を示すが、表示部及び操作スイッチを不要として外部機器と通信自在として上記設定をさせて通信により温度データを取得することとしてもよい。
【0015】
図1に本発明に係る体温測定装置の第1実施形態の構成図を示すと共に、
図2に
図1の体温測定装置の備える処理回路部のブロック構成図を示す。
図1(A)、(B)において、体温測定装置11は、身体に装着させるものであって、筐体12の一方面を皮膚に直接に接触させる皮膚側筐体表面13として、当該皮膚側筐体表面13の対応位置に形成された皮膚温度センサ用孔15よりその先端部分が所定高さで表出され、当該先端部分が皮膚と接触して皮膚温度を測定する。なお、本実施形態で示す体温測定装置11の、特に皮膚温度センサ21の先端位置の構成は、一例であって、従前より知られている体温測定機器の構成と同様であってもよい。
【0016】
また、筐体12の皮膚側筐体表面13の反対側の外部側筐体表面14上には表示部17が設けられると共に、対応の操作スイッチ18が設けられる。当該表示部17は、例えば液晶ディスプレイであり、ここでは本発明に特化して種々の設定の表示を行わせるものとする。上記操作スイッチ18は、本装置の初期設定段階における年月日の設定や、実測開始時刻及び測定時間を設定させるためのものを含む。
【0017】
上記筐体12の内部には、
図1(C)に示すように、処理回路部31が実装された電子回路基板31Aが設けられるもので、当該電子回路基板31Aの皮膚側筐体表面13側に皮膚温度センサ21が実装される。
【0018】
上記処理回路部31は、
図2に示すように、皮膚温度センサ21と共に、処理部41、計時部42、記憶部43、操作入力部44、通信部45及び表示部17を少なくとも備える。上記処理部41は体温測定動作プログラムを備えるもので、その処理内容は
図4及び
図5(第2実施形態では
図7及び
図8)で説明する。
【0019】
上記計時部42は、カレンダ機能を有して日時を計測する。記憶部43は、主に体温測定装置11から取得した温度データを記憶するメモリである。上記操作入力部44は操作スイッチ18からの操作信号を入力するための回路であり、上記通信部45は図示しない例えばスマートフォンなどの携帯端末やパーソナルコンピュータなどの外部機器に例えばBLUETOOTH(登録商標)などにより所定データの送受信を行う通信インタフェースである。
【0020】
そこで、
図3に実測開始時刻及び測定時間の設定の説明図を示すと共に、
図4に
図1における体温測定開始の処理フローチャートを示し、
図5に
図1における体温測定終了の処理フローチャートを示す。
図3において、測定者により装置本体に電源が入れられると、表示部17に実測開始時刻及び測定時間を設定させる表示がされ、操作スイッチ18により、例えば就寝中の温度測定を行う場合(例えば運動中の体温測定でもよい)として、実測開始時刻を例えば22時、測定時間を例えば8時間と設定する。設定後に装着者が直ちに装着してもよく、就寝に合わせて装着するものであってもよい。なお、設定後に電源をオフ状態としても計時部42のカレンダ機能の日時が監視される。
【0021】
体温測定装置11の処理回路部31の処理部41では、体温測定動作プログラムにより当該装置本体が装着されているか否かが対応の各条件値により判別される。具体的には、
図4に示すように、体温測定装置11は、予め設定された実測開始時刻の、予め装置内で設定されている所定時間前、例えば1時間前になると(ステップ1(S1))、皮膚温度センサ21により皮膚の温度測定を開始し、第1の時間間隔T1(例えば30分であり、時間設定は適宜可能である)ごとに測定を行い、実測開始までを目安に一時的に記憶する(S2)。
【0022】
そこで、上記測定された皮膚温度データが、第1の条件値である例えば33℃以上か否か(S3)、第2の条件値である前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分以上か否か(S4)、設定した測定時間に達したか否か(S5)が判別される。ここでは、体温測定処理プログラムにおいて、S3~S5の総てを判別させることとしいているが、S3~S5をそれぞれ単独でいずれかを備えることとしてもよく、S3とS4、又はS3とS5、又はS4とS5との組み合わせで備えることとしてもよい。なお、S5における実測開始前に測定時間に達する場合としては、装着忘れや、装置が外れた場合などの装着が不十分であることに気が付かないときなどであり、当該測定時間に達したときには皮膚温度センサ21による第1の時間間隔T1での温度測定を終了する(S7)。以降、S5の処理系統は無視して説明する。また、上記第1の条件値との判別(S3)、及び、第2の条件値との判別(S4)の処理順序は問わない。
【0023】
測定された皮膚温度データが、S3において33℃未満であり、かつ、S4において前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分未満である場合には、S2における第1の時間間隔T1での温度測定が繰り返される。
【0024】
そして、測定された皮膚温度データが、S3において33℃以上であり、S4において前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分以上であるかのいずれかの条件を満たした場合には、体温測定装置11が装着されているものとして、皮膚温度センサ21による第2の時間間隔T2(例えば10分間隔であり、数秒間隔から適宜設定可能である)毎の実測の温度測定が開始される(S6)。なお、皮膚温度が33℃未満であっても上記上昇変化率が例えば2℃/分以上のときに測定を開始することは、急激に上昇し始めている状態によって当該装置の装着が認められるからである。この場合、測定時間内に測定された温度データに、皮膚温度が33℃未満のときに測定された温度データも存在することとなるが、例えば就寝中の温度データよりその日の体温としての代表温度を算出する場合には、当該33℃未満のときに測定された温度データを削除した上で算定すればよい。
【0025】
続いて、実測中において、
図5(A)に示すように、皮膚温度センサ21による第2の時間間隔T2毎に温度測定される(S11)。測定された皮膚温度が、33℃以上であり(S12)、前回分の皮膚温度との下降変化率が例えば2℃/分未満であり(S13)、設定された測定時間中である(S14)場合には、測定された皮膚温度の温度データが測定日時を対応付けて記憶部43に記憶されるもので、この条件中に測定された皮膚温度の温度データは測定日時に対応付けられて順次記憶部43に記憶される(S15)。
【0026】
そして、測定された皮膚温度が、33℃未満であり(S12)、前回分の皮膚温度との下降変化率が例えば2℃/分以上であり(S13)、設定された測定時間に達した(S14)ときの少なくとも何れかの条件を満たした場合には、
図5(B)に示すように、皮膚温度センサ21による温度測定を終了する(S16)。この場合、電源がオフ状態となるが、計時部42のカレンダ機能の日時が監視され、翌日の温度測定として
図4に至る状態となる。
【0027】
次に、
図6に、本発明に係る第2実施形態の体温測定装置の構成図を示す。
図6(A)~(C)に示す体温測定装置11は、
図1(A)~(C)に示す構成に加えて、皮膚側筐体表面13以外の筐体表面、例えば反対面の外部側筐体表面14における所定位置に、外部温度を測定する外部温度センサ22が位置するように電子回路基板31Aに実装される。
【0028】
上記外部温度センサ22は、図では、筐体12における外部側筐体表面14の対応位置に形成された外部温度センサ用孔16よりその先端部分が筐体12の内部側に表出して位置され、当該外部側筐体表面14の位置から当該先端部分との間に空隙領域22Aが設けられて外部温度(衣服内温度)を測定するものとするが、その先端位置の構成は、一例であって、従前より知られているように表面と同一面若しくは表面より突出させている体温測定機器の構成と同様であってもよく、
図1のように表出していない構成であってもよい。なお、
図2に示す処理回路部31では外部温度センサ22が設けられたものとなる。
【0029】
そこで、
図7に
図6における体温測定の実測開始の処理フローチャートを示すと共に、
図8に
図6における体温測定終了の処理フローチャートを示す。
図7及び
図8の処理の大半は
図4及び
図5と同様であるが、全体の流れを示すために重複した処理についても説明する。
【0030】
図7において、体温測定装置11は、予め設定された実測開始時刻の、予め装置内で設定されている所定時間前、例えば1時間前になると(S21)、皮膚温度センサ21により皮膚の温度測定を開始し、第1の時間間隔T1(例えば30分であり、時間設定は適宜可能である)ごとに測定を行い、実測開始までを目安に一時的に記憶する(S22)。
【0031】
そこで、上記測定された皮膚温度データが、第1の条件値である例えば33℃以上か否か(S23)、第2の条件値である前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分以上か否か(S24)、皮膚温度と外部温度との差(皮膚温度>外部温度)が第3の条件値である例えば0.3℃以上か否か(S25)、設定した測定時間に達したか否か(S26)が判別される。この判別プログラムにおいても、S23~S26の総てを判別させることとしいているが、S23~S26をそれぞれ単独でいずれかを備えることとしてもよく、またS23~S26を適宜組み合わせで備えることとしてもよい。
【0032】
なお、S26における実測開始前に測定時間に達する場合としては、上述のように装着忘れや、装置が外れた場合などの装着が不十分であることに気が付かないときなどであり、当該測定時間に達したときには皮膚温度センサ21による第1の時間間隔T1での温度測定を終了する(S28)。以降、S26の処理系統は無視して説明する。また、上記第1の条件値との判別(S23)、第2の条件値との判別(S24)、第3の条件値との判別(S25)の処理順序は問わない。
【0033】
測定された皮膚温度データが、S23において33℃未満であり、かつ、S24において前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分未満であり、かつ、S25において皮膚温度と外部温度との差が0.3℃未満である場合には、S22における第1の時間間隔T1での温度測定が繰り返される。
【0034】
そして、測定された皮膚温度データが、S23において33℃以上であり、S24において前回分の皮膚温度との上昇変化率が例えば2℃/分以上であり、S25において皮膚温度と外部温度との差が0.3℃以上あるかのいずれかの条件を満たした場合には、体温測定装置11が装着されているものとして、皮膚温度センサ21による第2の時間間隔T2(例えば10分間隔であり、数秒間隔から適宜設定可能である)毎の実測の温度測定が開始される(S27)。なお、上記同様に、皮膚温度が33℃未満であっても上記上昇変化率が例えば2℃/分以上のときに測定を開始することは、急激に上昇し始めている状態によって当該装置の装着が認められるからである。この場合、測定時間内に測定された温度データに、皮膚温度が33℃未満のときに測定された温度データも存在することとなるが、例えば就寝中の温度データよりその日の体温としての代表温度を算出する場合には、当該33℃未満のときに測定された温度データを削除した上で算定すればよい。
【0035】
続いて、実測中において、
図8(A)に示すように、皮膚温度センサ21による第2の時間間隔T2毎に温度測定される(S31)。測定された皮膚温度が、33℃以上であり(S32)、前回分の皮膚温度との下降変化率が例えば2℃/分未満であり(S33)、皮膚温度と外部温度との差が0.3℃未満であり(S34)、設定された測定時間中である(S35)場合には、測定された皮膚温度の温度データが測定日時を対応付けて記憶部43に記憶されるもので、この条件中に測定された皮膚温度の温度データは測定日時に対応付けられて順次記憶部43に記憶される(S36)。
【0036】
そして、測定された皮膚温度が、33℃未満であり(S32)、前回分の皮膚温度との下降変化率が例えば2℃/分以上であり(S33)、皮膚温度と外部温度との差が0.3℃以上であり(S34)、設定された測定時間に達した(S35)ときの少なくとも何れかの条件を満たした場合には、
図8(B)に示すように、皮膚温度センサ21による温度測定を終了する(S37)。この場合、電源がオフ状態となるが、計時部42のカレンダ機能の日時が監視され、翌日の温度測定として
図7に至る状態となるものである。
【0037】
このように、体温測定装置11が第1~第3の条件値の少なくとも何れかの条件値で確実に装着されていることが確認されて未装着時の頻繁な温度測定が行われないことでバッテリ消費を抑えることができると共に、仮に就寝時間がずれても実測開始からの測定時間内の温度データのみを確実に測定させることが可能となって皮膚温度から体温を特定させて高精度に体温変動を得ることができるものである。
【0038】
また、体温測定装置11の実測中に第4~第6の条件値の少なくとも何れかの条件値で装着状態の不意な外れに対して実測が終了されることでバッテリ消費を抑えることができると共に、実測開始からの測定時間内の温度データのみを確実に得ることが可能となって皮膚温度から体温を特定させて高精度に体温変動を得ることができるものである。
【0039】
ところで、上述の体温測定装置11と、例えば、血圧計、心電計、心拍計、呼吸器計、加速度計、皮膚水分系などの測定装置のような身体に装着して使用する装置と組合わせて使用することができる。例えば、一つの装置筐体内に、体温測定と心拍測定の機能とを一体に搭載させ、身体に装着したか否かの検出を体温測定装置11の機能にて行い、上述のように装着されたと判断したときに心拍測定の機能を稼働状態とさせるもので(他の測定装置においても同様)、これにより、身体に装着していないときに無駄な測定を行わせることなく、バッテリ消費を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の体温測定装置は、身体に装着させて皮膚温度及び外部温度を測定することで体温を特定する装置の製造、販売、使用等の産業分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
11 体温測定装置
12 筐体
13 皮膚側筐体表面
14 外部側筐体表面
15 皮膚温度センサ用孔
16 外部温度センサ用孔
17 表示部
18 操作スイッチ
21 皮膚温度センサ
22 外部温度センサ
22A 空隙領域
31 処理回路部
31A 電子回路基板
41 処理部
42 計時部
43 記憶部
44 操作入力部
45 通信部