(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】メーターアセンブリの減衰特性の判定
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G01F1/84
(21)【出願番号】P 2021507679
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018046519
(87)【国際公開番号】W WO2020036581
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マカナリー, クレイグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ダウニング, バート ジェイ.
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0160565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0281999(US,A1)
【文献】特許第4836210(JP,B2)
【文献】特許第6522862(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計(5)のメーターアセンブリ(10)の減衰特性を判定するメーター電子機器(20)であって、前記メーター電子機器(20)が、実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリ(10)の励起に対する応答を含む振動応答を前記メーターアセンブリ(10)から受信するインターフェース(201)と、前記インターフェース(201)と通信する処理システム(203)と、を備え、前記処理システム(203)が、
前記インターフェース(201)から前記振動応答を受信し、
前記振動応答の応答電圧(V)を判定し、
前記応答電圧(V)に基づいて前記メーターアセンブリ(10)の減衰特性(ζ)を判定し、
以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって前記減衰特性(ζ)を補償する、ように構成されている、メーター電子機器。
【請求項2】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、前記減衰特性(ζ)を判定するために使用される開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つを含む、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項3】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、前記以前に判定された減衰特性を、開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つと関連付ける、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項4】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、誤差対応答電圧関数である、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項5】
前記減衰特性(ζ)を判定することが、さらに、前記メーターアセンブリ(10)の前記振動応答の前記応答電圧(V)を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることを備える、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項6】
前記処理システム(203)が、さらに、前記メーターアセンブリ(10)の励起を除去し、前記メーターアセンブリ(10)の前記振動応答の前記応答電圧(V)を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることによって前記減衰特性(ζ)を判定するように構成されている、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項7】
流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法であって、実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答を前記メーターアセンブリから受信することを備え、さらに、
前記振動応答を受信することと、
前記振動応答の応答電圧を判定することと、
前記応答電圧に基づいて前記メーターアセンブリの減衰特性を判定することと、
以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって前記減衰特性を補償することと、を備える、方法。
【請求項8】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、前記減衰特性を判定するために使用される開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、以前に判定された減衰特性を、開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つと関連付ける、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係が、誤差対応答電圧関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記減衰特性を判定することが、さらに、前記メーターアセンブリの前記振動応答の前記応答電圧を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記減衰特性が、前記メーターアセンブリの励起を除去し、前記メーターアセンブリの前記振動応答の前記応答電圧を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることによって判定される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法であって、実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答を前記メーターアセンブリから受信することを備え、さらに、
インターフェースから前記振動応答を受信することと、
前記振動応答を開始応答電圧から停止応答電圧に減衰させることを可能にすることと、
開始応答電圧閾値から停止応答電圧閾値まで前記応答電圧を測定することと、
前記開始応答電圧閾値および前記停止応答電圧閾値に基づいて、前記メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することであって、前記開始応答電圧閾値および前記停止応答電圧閾値のうちの少なくとも1つが、前記開始応答電圧と前記停止応答電圧との間にあることと、を備える、方法。
【請求項14】
前記開始応答電圧が、前記実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリの振動に対する応答の応答電圧であり、前記停止応答電圧が、ほぼゼロボルトである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記開始応答電圧閾値の1つが前記開始応答電圧に近接し、前記停止応答電圧閾値が前記停止応答電圧に近接する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記開始応答電圧閾値および前記停止応答電圧閾値に基づいて前記メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することであって、前記開始応答電圧閾値および前記停止応答電圧閾値のうちの少なくとも1つが、前記開始応答電圧と前記停止応答電圧の間にあることが、
前記開始応答電圧閾値に対する1つ以上の停止応答電圧閾値に基づいて、前記メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定すること、および
停止応答電圧閾値に対する1つ以上の開始応答電圧閾値に基づいて、前記メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定すること、のうちの1つを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記開始応答電圧閾値および前記停止応答電圧閾値に基づく減衰特性を補償するための減衰特性対応答電圧の関係を判定することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記開始応答電圧閾値が、前記開始応答電圧に基づいて判定される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、メーターの検証、より具体的には、メーターアセンブリの減衰特性の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計や振動管濃度計などの振動導管センサは、通常、流動材料を含む振動導管の動きを検出することによって動作する。質量流量、密度などの導管内の材料に関連する特性は、導管に関連する運動トランスデューサから受信した測定信号を処理することによって判定されることができる。振動する材料が充填されたシステムの振動モードは、一般に、収容導管およびそこに含まれる材料の質量、剛性、および減衰特性の組合せによって影響を受ける。
【0003】
振動流量計の導管は、1つ以上のフローチューブを含むことができる。フローチューブは、共振周波数で強制的に振動し、チューブの共振周波数は、フローチューブ内の流体の密度に比例する。チューブの入口セクションおよび出口セクションにあるセンサは、チューブの両端間の相対振動を測定する。流動中、コリオリの力により振動管と流動質量が結合し、チューブの両端間の振動に位相シフトを発生させる。位相シフトは、質量流量に正比例する。
【0004】
典型的なコリオリ質量流量計は、パイプラインまたは他の輸送システムにインラインで接続され、例えば、システム内の流体、スラリーなどの材料を運ぶ1つ以上の導管を含む。各導管は、例えば、単純な曲げ、ねじれ、半径方向、および結合モードを含む一連の固有振動モードを有すると見なすことができる。典型的なコリオリ質量流量測定用途では、材料が導管を通って流れるときに導管が1つ以上の振動モードで励起され、導管の動きが導管に沿って間隔を置いて配置されたポイントで測定される。励起は、通常、アクチュエータ、例えば、周期的に導管を摂動させるボイスコイルタイプのドライバなどの電気機械装置によって提供される。質量流量は、トランスデューサの位置での動作間の時間遅延または位相差を測定することによって判定されることができる。2つのそのようなトランスデューサ(またはピックオフセンサ)は、通常、流動導管または複数の流動導管の振動応答を測定するために使用され、通常、アクチュエータの上流および下流の位置に配置される。2つのピックオフセンサは、ケーブルによって電子機器に接続されている。機器は、2つのピックオフセンサから信号を受信し、質量流量測定値を導出するために信号を処理する。
【0005】
2つのセンサ信号間の位相差は、フローチューブまたは複数のフローチューブを流れる材料の質量流量に関連している。材料の質量流量は、2つのセンサ信号間の時間遅延に比例し、したがって、質量流量は、時間遅延に流量校正係数(FCF)を掛けることによって判定されることができ、ここで、時間遅延は、周波数で割った位相差を含む。FCFは、フローチューブの材料特性および断面特性を反映する。従来技術では、FCFは、流量計をパイプラインまたは他の導管に設置する前の校正プロセスによって判定される。校正プロセスでは、流体が所定の流量でフローチューブを通過し、位相差と流量との比率が計算される。
【0006】
コリオリ流量計の利点の1つは、測定された質量流量の精度が、流量計の可動部品の摩耗の影響を受けないということである。流量は、フローチューブの2点間の位相差とフロー校正係数とを掛けることによって判定される。唯一の入力は、フローチューブ上の2点の振動を示す、センサからの正弦波信号である。位相差は、これらの正弦波信号から計算される。振動するフローチューブには可動部品は存在しない。したがって、位相差および流量校正係数の測定は、流量計の可動部品の摩耗の影響を受けない。
【0007】
FCFは、メーターアセンブリの剛性、減衰、および質量の属性に関連付けることができる。メーターアセンブリの属性が変更されると、FCFもまた変更されることがある。したがって、属性の変更は、流量計によって生成される流量測定の精度に影響を与える。属性の変化は、フローチューブの材料および断面特性の変化に起因することがあり、これは、例えば、侵食や腐食によって引き起こされることがある。したがって、流量計の高レベルの精度を維持するために、メーターアセンブリの減衰属性などの属性への任意の変化を検出および/または定量化することができることが非常に望ましい。
【0008】
減衰属性は、減衰特性に関連しており、減衰特性から判定されることができる。減衰特性は、振動が減衰するときの振動の振幅を測定することによって判定されることができる。しかしながら、減衰特性は、メーターアセンブリにない、または測定される材料の密度や粘度またはメーターアセンブリの温度などの変化する特性によって変化する可能性がある。したがって、そのような問題による影響を最小限に抑えるメーターアセンブリの減衰特性を判定する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定するメーター電子機器が提供される。メーター電子機器は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信するインターフェースと、インターフェースと通信する処理システムと、を備える。処理システムは、インターフェースから振動応答を受信し、振動応答の応答電圧を判定し、応答電圧に基づいてメーターアセンブリの減衰特性を判定し、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性を補償するように構成されている。
【0010】
流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法が提供される。この方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、振動応答を受信することと、振動応答の応答電圧を判定することと、応答電圧に基づいてメーターアセンブリの減衰特性を判定することと、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性を補償することと、を備える。
【0011】
流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法が提供される。この方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、インターフェースから振動応答を受信することと、振動応答を開始応答電圧から停止応答電圧に減衰させることを可能にすることと、開始応答電圧閾値から停止応答電圧閾値まで応答電圧を測定することと、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することと、を備える。開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値の少なくとも1つは、開始応答電圧と停止応答電圧との間にある。
【0012】
[態様]
一態様によれば、流量計(5)のメーターアセンブリ(10)の減衰特性を判定するメーター電子機器(20)は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリ(10)の励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリ(10)から受信するインターフェース(201)と、インターフェース(201)と通信する処理システム(203)と、を備える。処理システム(203)は、インターフェース(201)から振動応答を受信し、振動応答の応答電圧(V)を判定し、応答電圧(V)に基づいてメーターアセンブリ(10)の減衰特性(ζ)を判定し、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性(ζ)を補償するように構成されている。
【0013】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、減衰特性(ζ)を判定するために使用される開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つを含む。
【0014】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、以前に判定された減衰特性を、開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つと関連付ける。
【0015】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、誤差対応答電圧関数である。
【0016】
好ましくは、減衰特性(ζ)を判定することは、さらに、メーターアセンブリ(10)の振動応答の応答電圧(V)を所定の停止応答電圧まで減衰させることを備える。
【0017】
好ましくは、処理システム(203)は、さらに、メーターアセンブリ(10)の励起を除去し、メーターアセンブリ(10)の振動応答の応答電圧(V)を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることによって減衰特性(ζ)を判定するように構成されている。
【0018】
一態様によれば、流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、振動応答を受信することと、振動応答の応答電圧を判定することと、応答電圧に基づいてメーターアセンブリの減衰特性を判定することと、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性を補償することと、を備える。
【0019】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、減衰特性を判定するために使用される開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つを含む。
【0020】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、以前に判定された減衰特性を、開始応答電圧および停止応答電圧のうちの1つと関連付ける。
【0021】
好ましくは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係は、誤差対応答電圧関数である。
【0022】
好ましくは、減衰特性を判定することは、さらに、メーターアセンブリの振動応答の応答電圧を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることを備える。
【0023】
好ましくは、減衰特性は、メーターアセンブリの励起を除去し、メーターアセンブリの振動応答の応答電圧を所定の停止応答電圧まで減衰させることを可能にすることによって判定される。
【0024】
一態様によれば、流量計のメーターアセンブリの減衰特性を判定する方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、インターフェースから振動応答を受信することと、振動応答を開始応答電圧から停止応答電圧に減衰させることを可能にすることと、開始応答電圧閾値から停止応答電圧閾値まで応答電圧を測定することと、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することであって、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値の少なくとも1つが、開始応答電圧と停止応答電圧との間にあることと、を備える。
【0025】
好ましくは、開始応答電圧は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの振動に対する応答の応答電圧であり、停止応答電圧は、ほぼゼロボルトである。
【0026】
好ましくは、開始応答電圧閾値の1つは、開始応答電圧に近接しており、停止応答電圧閾値は、停止応答電圧に近接している。
【0027】
好ましくは、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値に基づいて、メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することであって、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値のうちの少なくとも1つが、開始応答電圧と停止応答電圧との間にあることは、開始応答電圧閾値に対する1つ以上の停止応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定すること、および停止応答電圧閾値に対する1つ以上の開始応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することのうちの1つを備える。
【0028】
好ましくは、この方法は、さらに、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値に基づいて減衰特性を補償するための減衰特性対応答電圧の関係を判定することを備える。
【0029】
好ましくは、開始応答電圧閾値は、開始応答電圧に基づいて判定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
同じ参照符号は、全ての図面において同じ要素を表す。図面は、必ずしも縮尺どおりにではないことを理解されたい。
【
図1】メーターアセンブリおよびメーター電子機器を備える流量計を示している。
【
図2】メーターアセンブリの減衰特性を判定するメーター電子機器20を示している。
【
図3】ピックオフ電圧と時間との間の関係を示すグラフ300を示している。
【
図4】減衰特性と開始応答電圧閾値との間の関係を示すグラフ400を示している。
【
図5】減衰特性と停止応答電圧閾値との間の関係を示すグラフ500を示している。
【
図6】減衰特性誤差と停止応答電圧との間の関係を示すグラフ600を示している。
【
図7】
図1を参照して説明したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリの減衰特性ζを判定する方法700を示している。
【
図8】
図1を参照して説明したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリの減衰特性ζを判定する方法800を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1~
図8および以下の説明は、当業者に、メーターアセンブリの減衰特性を判定する最良のモードを作製および使用する方法を教示するための特定の例を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は、単純化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内にあるこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に記載される特徴が様々な方法で組み合わせられて、本発明の複数の変形例を形成することができることを理解するであろう。結果として、メーターアセンブリの減衰特性を判定することは、以下に記載される特定の例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ限定される。
【0032】
図1は、メーターアセンブリ10およびメーター電子機器20を備える流量計5を示している。メーターアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量および密度に応答する。メーター電子機器20は、リード100を介してメーターアセンブリ10に接続され、経路26を介して密度、質量流量、および温度情報、ならびに本発明に関係のない他の情報を提供する。コリオリ流量計の構造が記載されているが、当業者には、本発明がコリオリ質量流量計によって提供される追加の測定能力なしに振動管濃度計として実施されることができることは明らかである。
【0033】
メーターアセンブリ10は、一対のマニホルド150および150’と、フランジネック110および110’を有するフランジ103および103’と、一対の平行フローチューブ130および130’と、駆動機構180と、温度センサ190と、一対のピックオフセンサ170Lおよび170Rと、を含む。フローチューブ130および130’は、フローチューブ取付けブロック120および120’において互いに向かって収束する2つの本質的に真っ直ぐな入口脚部131および131’および出口脚部134および134’を有する。フローチューブ130および130’は、それらの長さに沿って2つの対称的な位置で曲がり、それらの長さ全体にわたって本質的に平行である。ブレースバー140および140’は、各フローチューブが振動する軸WおよびW’を画定するのに役立つ。
【0034】
フローチューブ130および130’の側脚部131、131’および134、134’は、フローチューブ取付けブロック120および120’に固定的に取り付けられ、これらのブロックは、次に、マニホルド150および150’に固定的に取り付けられる。これは、コリオリ流量計アセンブリ10を通る連続的な閉じた材料経路を提供する。
【0035】
孔102および102’を有するフランジ103および103’が、入口端部104および出口端部104’を介して、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103のオリフィス101を通ってメーターの端部104に入り、マニホルド150を通って、表面121を有するフローチューブ取付けブロック120に導かれる。マニホルド150内で、材料は分割され、フローチューブ130および130’を通って送られる。フローチューブ130および130’を出ると、プロセス材料は、マニホルド150’内の単一の流れに再結合され、その後、ボルト孔102’を有するフランジ103’によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端部104’に送られる。
【0036】
それぞれ、実質的に同じ質量分布、慣性モーメント、および曲げ軸W~WおよびW’~W’の周りのヤング率を有するように、フローチューブ130および130’が選択され、フローチューブ取付けブロック120および120’に適切に取り付けられる。これらの曲げ軸は、ブレースバー140および140’を通過する。フローチューブのヤング率は、温度とともに変化し、この変化が流れと密度の計算に影響を与えるため、抵抗温度検出器(RTD)190がフローチューブ130’に取り付けられ、フローチューブの温度を継続的に測定する。フローチューブの温度、したがって、そこを通過する特定の電流に対してRTDの両端に現れる電圧は、フローチューブを通過する材料の温度によって決まる。RTDの両端に現れる温度依存電圧は、フローチューブ温度の任意の変化に起因するフローチューブ130および130’の弾性率の変化を補償するために、メーター電子機器20によって周知の方法で使用される。RTDは、リード195によってメーター電子機器20に接続されている。
【0037】
双方のフローチューブ130および130’は、ドライバ180によって、それぞれの曲げ軸WおよびW’を中心に反対方向に、そして流量計の第1の位相外曲げモードと呼ばれるもので駆動される。この駆動機構180は、フローチューブ130’に取り付けられた磁石、およびフローチューブ130に取り付けられ、双方のフローチューブを振動させるために交流が通過する対向コイルなどの様々な構成のいずれか1つを備えることができる。適切な駆動信号は、リード185を介してメーター電子機器20によって駆動機構180に印加される。
【0038】
メーター電子機器20は、リード195においてRTD温度信号と、リード165Lおよび165Rにそれぞれ現れる左右のピックオフ信号を受信する。メーター電子機器20は、リード185に現れる駆動信号を生成して、要素180を駆動し、管130および130’を振動させる。メーター電子機器20は、左右のピックオフ信号およびRTD信号を処理して、メーターアセンブリ10を通過する材料の質量流量および密度を計算する。この情報は、他の情報とともに、経路26を介してメーター電子機器20によって適用される。
【0039】
前に説明したように、流量校正係数(FCF)は、フローチューブの材料特性と断面特性とを反映する。流量計を流れる流動材料の質量流量は、測定された時間遅延(または位相差/周波数)にFCFを掛けることによって判定される。FCFは、メーターアセンブリの剛性、減衰、および質量特性に関連することができる。メーターアセンブリの特性が変化すると、FCFも変化する。したがって、メーターアセンブリの特性の変化は、流量計によって生成される流量測定の精度に影響を与える。
【0040】
流量計の振動応答は、以下を含む開ループの2次駆動モデルによって表すことができる。
【0041】
【0042】
ここで、fはシステムに加えられる力であり、Mはシステムの質量であり、Cは減衰特性であり、Kはシステムの剛性特性である。項KはK=M(ω
0)
2を含み、項CはC=M2ζω
0を含み、ζは減衰特性を含み、ω
0=2πf
0であり、f
0はヘルツ単位のメーターアセンブリ10の固有/共振周波数である。さらに、xは振動の物理的変位距離であり、
【数A】
はフローチューブ変位の速度であり、
【数B】
は加速度である。これは、一般に、MCKモデルと呼ばれる。この式は、以下の形式に再配置されることができる。
【0043】
【0044】
式(2)は、伝達関数形式にさらに操作されることができる。伝達関数形式では、以下を含む力に対する変位の項が使用される。
【0045】
【0046】
周知の磁気方程式を使用して、式(3)を簡略化することができる。適用可能な2つの式は、
【0047】
【0048】
【0049】
式(4)のセンサ電圧V
EMF(ピックオフセンサ170Lまたは170Rにおける)は、ピックオフ感度係数BL
POに運動のピックオフ速度
【数C】
を掛けたものに等しい。ピックオフ感度係数BL
POは、一般に、各ピックオフセンサについて既知であるかまたは測定される。式(5)のドライバ180によって生成される力(f)は、ドライバ感度係数BL
DRにドライバ180に供給される駆動電流(I)を掛けたものに等しい。ドライバ180のドライバ感度係数BL
DRは、一般に既知であるかまたは測定される。係数BL
POおよびBL
DRは、双方とも温度の関数であり、温度測定によって補正されることができる。
【0050】
磁気方程式(4)および(5)を式(3)の伝達関数に代入すると、結果は以下のようになる。
【0051】
【0052】
メーターアセンブリ10が共振時に開ループで駆動される場合、すなわち、共振/固有周波数ω0(ここで、ω0=2πf0)で駆動される場合、式(6)は、以下のように書き直すことができる。
【0053】
【0054】
剛性を代入することにより、式(7)は、以下のように簡略化される。
【0055】
【0056】
ここで、剛性パラメータKは、取得するために分離されることができる。
【0057】
【0058】
結果として、減衰特性ζを、駆動電圧Vおよび駆動電流Iとともに測定/定量化することにより、剛性パラメータKを判定することができる。ピックアップからの応答電圧Vは、駆動電流Iとともに振動応答から判定されることができる。剛性パラメータKを判定するプロセスは、以下の
図3と併せてより詳細に説明される。
【0059】
使用中、剛性パラメータKは、経時的に追跡されることができる。例えば、統計的手法を使用して、任意の経時的な変化(すなわち、剛性の変化ΔK)を判定することができる。剛性パラメータKの統計的変化は、特定の流量計のFCFが変化したことを示すことができる。式(9)から観察できるように、剛性パラメータは、減衰特性ζに基づいて判定されることができる。
【0060】
比例減衰システムは、式(10)によって与えられるように、時間tの関数として指数関数的に減衰することができる。
【0061】
【0062】
ここで、ηは時間減衰モードの大きさであり、Aは初期振幅であり、ζは減衰特性(比例減衰係数などと呼ばれることもある)であり、ωnは固有周波数である。
【0063】
モーダルの大きさは、左右のピックオフの平均と考えることができる。平均化プロセスは、駆動モード(第1の位相外曲げモードとも呼ばれる)を増幅し、他のモード(例えば、ねじれモード、二次以上の曲げモードなど)を減衰させることができる。減衰は、グローバルなモーダル特性であるため、モーダルの大きさを使用すると、例えば、右または左のピックオフを使用して減衰を推定するよりも有利な場合がある。
【0064】
減衰特性ζを判定するために、式(10)は、両側の自然対数を取ることによって時間的に線形化されることができる。
【0065】
【0066】
式(11)は、傾き-ζωnおよび切片ln(A)を有して時間的に線形である。式(11)は、対応する時間tにおいてモーダルの大きさηのn個のサンプルを取得することにより、簡単な最小二乗法で解くことができる。
【0067】
【0068】
式(12)は、モーダル応答の対数を含むベクトルに、1のベクトルによって拡張されたサンプル時間t1…tnから構成される基底ベクトルの疑似逆行列を事前に乗算することによって解かれる。結果は、最小二乗推定の関心量、減衰、および切片である。
【0069】
【0070】
利得減衰計の検証方法は、減衰特性ζを判定するために、減衰ピックオフ電圧の正確なカーブフィットに依存することができる。減衰特性ζの計算は、駆動電流をカットすることにより、メーターアセンブリ10の励起を除去し、振動応答が開始応答電圧から停止応答電圧に自然に減衰するときのピックオフ電圧を測定することによって実行されることができる。開始応答電圧は、共振周波数において振動するときの振動の振幅に基づくことができる。任意の適切な振幅または単位を使用することができるが、停止応答電圧は、ゼロボルトまたはほぼゼロボルトとすることができる。
【0071】
減衰曲線を判定するためのピックオフ電圧のサンプリングは、ピックオフ電圧が開始応答電圧閾値を下回ると開始し、停止応答電圧閾値に到達すると停止することができる。次に、指数最小二乗カーブフィットを曲線に適用して、データを最もよく表す指数関数を判定することができるが、データの任意の適切なデータフィッティング、フォーマット、または形式を使用することができる。したがって、減衰特性は、開始応答電圧よりも小さくすることができる開始応答電圧閾値から、停止応答電圧よりも大きくすることができる停止応答電圧閾値まで測定されることができる。
【0072】
開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値は、振動計(例えば、形状、サイズ、構成など)、振動計が動作している駆動ターゲット、材料の密度と粘度、および温度の関数である。しかしながら、メーター電子機器20および/またはメーターアセンブリ10の非線形性は、減衰中にサンプリングされたピックオフ電圧の開始および/または停止応答電圧閾値が変更されると、異なる減衰特性ζの値をもたらす可能性がある。これらの非線形性は、メーターアセンブリ10に機械的変化が起こらなかったときに剛性の変化をもたらす可能性がある。
【0073】
メーター電子機器20、および他のメーター電子機器は、以下に記載されるような方法を使用して、減衰特性ζを補償し、メーターアセンブリ10の変化をより正確に反映することができる。例えば、減衰特性ζは、様々な開始および停止応答電圧閾値と相関があり得る。したがって、誤差曲線は、様々な開始および停止応答電圧を、例えば、減衰特性ζの値を公称減衰特性値と比較することによって判定される誤差値に相関させることによって生成されることができる。続いて、以下により詳細に記載されるように、生の減衰特性ζの値(例えば、メーター検証ルーチン中に判定された値)は、誤差曲線を使用することによって補償されることができる。
【0074】
図2は、メーターアセンブリの減衰特性を判定するメーター電子機器20を示している。メーター電子機器20は、インターフェース201および処理システム203を含むことができる。メーター電子機器20は、例えば、メーターアセンブリ10などからの振動応答210を受信する。メーター電子機器20は、メーターアセンブリ10を通って流れる流動材料の流動特性を得るために、振動応答210を処理する。さらに、本発明にかかるメーター電子機器20では、メーターアセンブリ10の剛性パラメータKを判定するために、振動応答210も処理される。さらにまた、メーター電子機器20は、メーターアセンブリ10の剛性変化ΔKを検出するために、経時的に2つ以上のそのような振動応答を処理することができる。剛性の判定は、流動状態または無流動状態で行うことができる。流れのない判定は、結果として生じる振動応答の騒音レベルを低減するという利点を提供することができる。
【0075】
インターフェース201は、
図1のリード100を介して、ピックオフセンサ170Lおよび170Rのうちの1つから振動応答210を受信する。インターフェース201は、フォーマッティング、増幅、バッファリングなどの任意の方法など、任意の必要なまたは所望の信号調整を実行することができる。あるいは、信号調整の一部または全ては、処理システム203において実行されることができる。さらに、インターフェース201は、メーター電子機器20と外部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース201は、任意の方法の電子的、光学的、または無線通信が可能とすることができる。
【0076】
一実施形態のインターフェース201は、デジタイザ(図示せず)と結合され、ここで、センサ信号は、アナログセンサ信号を含む。デジタイザは、アナログ振動応答をサンプリングしてデジタル化し、デジタル振動応答210を生成する。
【0077】
処理システム203は、メーター電子機器20の動作を実行し、流量計アセンブリ10からの流量測定値を処理する。処理システム203は、1つ以上の処理ルーチンを実行し、それによって、1つ以上の流れ特性を生成するために流れ測定値を処理する。
【0078】
処理システム203は、汎用コンピュータ、マイクロ処理システム、論理回路、または他の何らかの汎用もしくはカスタマイズされた処理装置を備えることができる。処理システム203は、複数の処理装置に分散させることができる。処理システム203は、記憶システム204などの任意の方法の一体型または独立した電子記憶媒体を含むことができる。
【0079】
記憶システム204は、流量計のパラメータおよびデータ、ソフトウェアルーチン、定数値、および変数値を記憶することができる。一実施形態では、記憶システム204は、流量計5の減衰特性ζを判定する減衰特性ルーチン230など、処理システム203によって実行されるルーチンを含む。
【0080】
記憶システム204は、流量計5を操作するために使用される変数を記憶することができる。例えば、記憶システム204は、例えば、ピックオフセンサ170Lおよび170Rから受信されることができる振動応答210などの変数を記憶することができる。
【0081】
一実施形態では、記憶システム204は、定数、係数、および動作変数を記憶する。例えば、記憶システム204は、判定された剛性特性220を記憶することができる。記憶システム204はまた、振動応答210の周波数212、振動応答210の応答電圧213、および駆動電流214などの動作値を記憶することができる。
【0082】
記憶システム204は、さらに、振動ターゲット226および流量計5の測定された減衰特性215を記憶することができる。さらに、記憶システム204は、許容誤差224などの定数、閾値、または範囲を記憶することができる。さらに、記憶システム204は、剛性変化228などのある期間にわたって蓄積されたデータを記憶することができる。
【0083】
減衰特性ルーチン230は、メーターアセンブリ10から振動応答を受信するように処理システム203を構成することができる。振動応答は、インターフェース201によって受信されることができる。振動応答は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリ10の励起に対する応答を含むことができる。遅延特性ルーチン230はまた、インターフェース201から振動応答を受信し、振動応答の応答電圧Vを判定し、応答電圧Vに基づいてメーターアセンブリ10の減衰特性ζを判定し、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性ζを補償するように処理システム203を構成することができる。
【0084】
図3は、ピックオフ電圧と時間との間の関係を示すグラフ300を示している。
図3に示されるように、グラフ300は、時間軸310およびピックオフ電圧軸320を含む。時間軸310は、秒の単位であり、ピックオフ電圧軸320は、ボルトの単位である。時間軸310は、約0から25秒の範囲であり、ピックオフ電圧軸320は、約0.00ボルトから約0.09ボルトの範囲である。グラフ300はまた、応答電圧(例えば、ピックオフ電圧)を時間と関連付ける応答電圧プロット330を含む。
【0085】
応答電圧プロット330は、任意の適切な範囲を使用することができるが、時間軸310上で約7秒から約22秒の範囲である。応答電圧プロット330は、ピックオフ電圧軸320上で約0.01ボルトから約0.08ボルトの範囲である。応答電圧プロット330は、開始応答電圧Vstartおよび停止応答電圧Vstopを含む。応答電圧プロット330はまた、第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5を含む。
【0086】
示されているように、第1から第5の応答電圧閾値V1~V5は、対応する部分減衰特性を判定するために、開始応答電圧Vstartに対して使用される。例えば、第1の部分減衰特性ζ
1は、開始応答電圧Vstartから第1の停止応答電圧閾値V1までの範囲の応答電圧プロット330に対応する。同様に、第2から第5の部分減衰特性ζ2~ζ5は、それぞれ、第2から第5の停止応答電圧閾値V2~V5に対応する。第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5は、同じ開始応答電圧Vstartに対して測定されるため、停止応答電圧閾値の範囲に対する減衰特性ζの動作は、特定のメーターアセンブリに対してモデル化されることができ、これは、
図4および
図5を参照して以下により詳細に説明される。
【0087】
図4は、減衰特性と開始応答電圧閾値との間の関係を示すグラフ400を示している。
図4に示すように、グラフ400は、開始電圧軸410および減衰特性軸420を含む。開始電圧軸410は、ボルトの単位であり、0から0.09ボルトの範囲である。減衰特性軸420は、単位がなく、約-0.1344から-0.1332の範囲である。グラフ400はまた、部分減衰対開始電圧プロット430を含む。示されるように、減衰対開始電圧プロット430は、部分減衰特性を開始応答閾値電圧に関連付ける。
【0088】
より具体的には、部分減衰対開始電圧プロット430は、第1から第6のζ6開始応答電圧閾値および開始応答電圧に対応する第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6を含む。第1から第5の部分減衰特性ζ1~ζ5は、例えば、共通の停止応答電圧に対する開始応答閾値電圧において判定される。すなわち、
図3を参照すると、開始応答電圧Vstartに対して測定される停止応答電圧閾値V1~Vstopにおける第1から第6の部分減衰特性を判定する代わりに、
図4の第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6は、共通の停止応答電圧に対する第1から第5の開始応答閾値電圧および開始応答電圧において判定される。より具体的には、
図4のグラフ400を生成するために、
図3のグラフ300は、第1の部分減衰特性ζ1が開始応答電圧Vstartから停止応答電圧Vstopまで判定され、第2の部分減衰特性ζ2が第1の応答電圧閾値V1から停止応答電圧Vstopまで判定されるように変更される。このパターンは、第5の応答電圧閾値V5から停止応答電圧Vstopまで判定される第6の部分減衰特性ζ6まで繰り返される。
【0089】
見てわかるように、部分減衰対開始電圧プロット430は、開始応答閾値電圧が増加するにつれて減少する。これは、例えば、停止応答電圧に対する第5の開始応答電圧閾値から判定される
図4の第6の部分減衰特性ζ6が、例えば、停止応答電圧に対する第1の開始応答電圧閾値から判定される第1の部分減衰特性よりも大きいことを示す。
【0090】
図5は、減衰特性と停止応答電圧閾値との間の関係を示すグラフ500を示している。
図5に示すように、グラフ500は、停止電圧軸510および減衰特性軸520を含む。停止電圧軸510は、ボルトの単位であり、0から0.08ボルトの範囲である。減衰特性軸520は、単位がなく、約-0.1354から-0.134の範囲である。グラフ500はまた、減衰対停止電圧プロット530を含む。示されるように、減衰対停止電圧プロット530は、部分減衰特性を停止応答閾値電圧に関連付ける。
【0091】
より具体的には、減衰対停止電圧プロット530は、第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5および停止応答電圧Vstopにそれぞれ対応する第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6を含む。第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6は、例えば、共通の開始応答電圧Vstartに対して、停止応答電圧閾値V1~Vstopにおいて判定される。すなわち、
図3を参照すると、
図5の第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6は、共通の開始応答電圧Vstartに対する停止応答閾値電圧において判定される。
【0092】
見てわかるように、減衰対停止電圧プロット530は、開始応答閾値電圧が増加するにつれて減少する。これは、例えば、開始応答電圧Vstartから
図3の第5の停止応答電圧閾値V5まで判定される
図5の第5の部分減衰特性ζ5が、例えば、
図3に示される開始応答電圧Vstartから第1の停止応答電圧閾値V1まで判定される第1の部分減衰特性ζ1よりも大きいことを示す。
【0093】
図6は、減衰特性誤差と停止応答電圧との間の関係を示すグラフ600を示している。
図6に示すように、グラフ600は、停止応答電圧軸610および減衰特性誤差軸620を含む。停止応答電圧軸610は、ボルトの単位であり、減衰特性誤差軸620は、単位がない。任意の適切な範囲を使用することができるが、停止応答電圧軸610は、0から0.08ボルトの範囲であり、減衰特性誤差軸620は、-0.003から0.007の範囲である。グラフ600はまた、0.01ボルトから0.067ボルトの応答電圧範囲にわたって約0.0061から約-0.0018の誤差に減少する誤差対応答電圧プロット630を含む。また、約0.006から約-0.0018の範囲の誤差対応答電圧関数640も示されている。
【0094】
誤差対応答電圧プロット630は、
図5に示される開始応答電圧Vstartに対する第3の停止応答電圧V3における第3の部分減衰特性間の差として判定される複数の誤差からなる。結果として、誤差対応答電圧プロット630は、
図5に示される減衰対停止電圧プロット530と同様に見える。しかしながら、誤差対応答電圧プロット630は、誤差がない第3の停止応答電圧V3の値において停止応答電圧軸630と交差する。他の誤差対応答電圧プロットは、他の値において停止応答電圧軸と交差する場合があり、必ずしも第3の停止応答電圧V3の値とは限らない。
【0095】
誤差対応答電圧関数640は、一般的に言えば、誤差対応答電圧プロット630に近接する破線として示されている。誤差対応答電圧関数640は、誤差対応答電圧プロット630へのカーブフィッティングによって生成される。例えば、誤差対応答電圧プロット630に対するカーブフィットは、式y=-0.00409229・ln(x)-0.01281067をもたらすことができ、これは、
図3に示される誤差対応答電圧関数640である。誤差対応答電圧関数640は、誤差対応答電圧プロット630と比較した場合、0.99485913のR二乗値を有することができる。これは、誤差対応答電圧プロット630が誤差対応答電圧関数640に近いことを示すことができる。
【0096】
理解されることができるように、誤差対応答電圧関数640は、有利には、以下の形態の比較的単純な式とすることができる。
【0097】
【0098】
これをコードで使用して、与えられる開始または停止応答電圧の新たな減衰係数を計算することができ、式中、
xは開始または停止応答電圧であり、
mはカーブフィットから生じる減衰特性補償係数であり、
yは誤差である。
【0099】
上記の式(13)は、以下の式(14)にしたがって減衰特性を補償するために使用されることができる。
【0100】
【0101】
式中、
ζcompは補償された減衰特性であり、
ζrawは応答電圧の測定から判定される補償されていない減衰特性であり、
yは上記の(13)を使用して計算された誤差である。
【0102】
したがって、減衰特性ζは、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係によって補償されることができる。例えば、誤差対応答電圧関数640は、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係とすることができる。理解できるように、前述は、式(13)の形態で表されるような誤差対応答電圧関数640によって補償される減衰特性を説明しているが、任意の適切な減衰特性対応答電圧の関係を使用することができる。
【0103】
図7は、
図1を参照して説明したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリの減衰特性ζを判定する方法700を示している。ステップ701において、振動応答がメーターアセンブリから受信される。振動応答は、実質的に共振周波数における振動に対するメーターアセンブリの応答である。振動は、連続的または断続的とすることができる。流動材料は、メーターアセンブリ10を通って流れることができるか、または静的とすることができる。
【0104】
ステップ702において、振動応答の応答電圧が判定される。応答電圧は、任意の方法、プロセス、および/またはハードウェアによる振動応答から判定されることができる。応答電圧は、開始応答電圧、停止応答電圧、および/または開始応答電圧と停止応答電圧との間の任意の電圧とすることができる。応答電圧は、振動応答が開始応答電圧閾値から停止応答電圧閾値まで減衰するときの応答電圧を測定することによって判定されることができる。
【0105】
ステップ703において、メーターアセンブリの減衰特性は、応答電圧に基づいて判定される。減衰特性は、流量計の振動応答を、停止応答電圧閾値などの振動ターゲットまで減衰させることによって判定されることができる。この減衰動作は、いくつかの方法で実行されることができる。駆動信号の振幅は、減少されることができ、ドライバ180は、実際に(適切な流量計で)メーターアセンブリ10の制動を実行することができ、またはドライバ180は、ターゲットに到達するまで単に給電されないことができる。一実施形態では、振動ターゲットは、駆動設定値の低減されたレベルを含む。例えば、駆動設定値が現在3.4mV/Hzである場合、減衰測定の場合、駆動設定値は、例えば2.5mV/Hzなどの低い値に低減されることができる。このようにして、メーター電子機器20は、振動応答がこの新たな駆動ターゲットと実質的に一致するまで、メーターアセンブリ10を単に惰性走行させることができる。
【0106】
ステップ704において、減衰特性は、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって補償される。例えば、ステップ703の応答電圧が開始応答電圧閾値に等しく、停止応答電圧閾値がゼロボルトである場合、減衰特性対応答曲線を使用して、そのような応答電圧範囲に対応する以前に判定された減衰特性ζを判定することができる。すなわち、この値を使用して、減衰特性値を、応答電圧値の全範囲に対応する補正された減衰特性値に補償することができるが、任意の適切な範囲を使用することができる。
【0107】
方法700は、反復的に、定期的に、またはランダムに実行されることができる。方法700は、所定の動作時間、流動材料の変更時などの所定のランドマークにおいて実行されることができる。
【0108】
図8は、
図1を参照して説明したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリの減衰特性ζを判定する方法800を示している。ステップ801において、振動応答は、
図1を参照して上述したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリから受信される。振動応答は、
図2を参照して上述したメーター電子機器20などのメーター電子機器によって受信されることができる。
【0109】
ステップ802において、振動応答は、開始応答電圧から停止応答電圧に減衰することが可能にされる。この減衰は、
図7を参照して上述したのと同様の方法で実行されることができる。開始応答電圧は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの振動に対する応答の応答電圧とすることができ、停止応答電圧は、ほぼゼロボルトとすることができる。
【0110】
ステップ803において、応答電圧は、開始応答電圧閾値から停止応答電圧閾値まで測定される。応答電圧は、追加の開始応答電圧閾値および/または追加の停止応答電圧閾値からさらに測定されることができる。開始応答電圧閾値は、開始応答電圧に近接していてもよく、および/または停止応答電圧閾値は、停止応答電圧に近接していてもよい。例えば、停止応答電圧閾値は、停止応答電圧がゼロボルトである場合、ほぼゼロボルトとすることができる。追加的または代替的に、開始応答電圧閾値は、開始応答電圧に近接していなくてもよく、および/または停止応答電圧閾値は、停止応答電圧に近接していなくてもよい。
【0111】
ステップ804において、メーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性が判定される。1つ以上の部分減衰特性は、開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値のうちの1つに基づいて判定されることができる。開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値のうちの少なくとも1つは、開始応答電圧と停止応答電圧との間とすることができる。すなわち、停止応答電圧がゼロボルトである場合、停止応答電圧閾値は、例えば、0.2ボルトとすることができる。その結果、減衰特性ζを判定するために、0.2~0ボルトの応答電圧を測定することができない場合がある。
【0112】
開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することは、開始応答電圧閾値に対する1つ以上の停止応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定すること、または停止応答電圧閾値に対する1つ以上の開始応答電圧閾値に基づいてメーターアセンブリの1つ以上の部分減衰特性を判定することから構成されることができる。前述の任意の適切な組合せを使用することができる。
【0113】
前述は、メーター電子機器20と、メーターアセンブリ10の減衰特性を判定することができる方法700および800について説明している。メーターアセンブリ10の減衰特性は、例えば、開始応答電圧から減衰全体を含まない停止応答電圧閾値まで測定された減衰特性を補償することによって判定されることができる。例えば、停止応答電圧閾値は、ゼロボルトよりも大きくすることができ、したがって、メーターアセンブリ10の減衰特性は、部分的に減衰した振動に基づいて判定される。結果として、減衰特性は、メーターアセンブリ10の振動の完全な減衰に基づいて判定されたメーターアセンブリ10の減衰特性と比較して使用されることができない。
【0114】
減衰特性を判定するこの技術的解決策は、振動の減衰の一部のみに基づいて判定される減衰特性の技術的課題に向けられている。減衰の一部のみに基づいて判定される減衰特性に起因して、減衰特性を使用して、例えば、以前に判定された剛性と比較されることができる剛性を判定することはできない。したがって、剛性の変化は、正確に判定されることができない。減衰特性を補償することにより、剛性は、以前に判定された剛性と正確に比較されることができる。
【0115】
したがって、とりわけ、以前に判定された減衰特性対応答電圧の関係を使用することによって減衰特性ζを補償することによってメーターアセンブリの減衰特性を判定する技術的解決策は、補償された減衰特性が、上述したメーターアセンブリ10、または他のメーターアセンブリにおける変化をより正確に検出することを可能にする。したがって、メーターアセンブリの変化が正確に検出され、それにより、例えば、より正確な流量測定を可能にするため、メーター検証の技術が改善される。
【0116】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明が本説明の範囲内にあると想定される全ての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述した実施形態の特定の要素が様々に組み合わせられてまたは排除されて、さらなる実施形態を形成することができ、そのようなさらなる実施形態は、本説明の範囲および教示の範囲内にあることを認識するであろう。上述した実施形態が全体的または部分的に組み合わせられて、本説明の範囲および教示の範囲内で追加の実施形態を形成することができることも当業者にとって明らかであろう。
【0117】
したがって、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、関連技術分野の当業者が認識するように、本説明の範囲内で様々な同等の変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上述した添付の図に示されている実施形態だけでなく、メーターアセンブリの減衰特性を判定する他の電子機器および方法に適用することができる。したがって、上述した実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から判定されるべきである。