(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】指装着型の保持用具
(51)【国際特許分類】
A47G 21/10 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A47G21/10 Z
(21)【出願番号】P 2021093290
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2021-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309039266
【氏名又は名称】有限会社 井場設計事務所
(72)【発明者】
【氏名】井場 正治
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049243(US,A1)
【文献】特許第5985096(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0239129(US,A1)
【文献】実開平07-024173(JP,U)
【文献】登録実用新案第3195547(JP,U)
【文献】登録実用新案第3175233(JP,U)
【文献】実開平01-150077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/10
A47J 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に保持部を有
し互いに対向
する一対の棒状保持部材と、
前記一対の棒状保持部材の後端寄りで何れか一方の棒状保持部材に設けられた装着機能部と、
前記一対の棒状保持部材の内側に設けられ前記一対の棒状保持部材を接続する接続部と、
を備えた指装着型の保持用具であって、
前記一対の棒状保持部材における他方の棒状保持部材の後端には、親指による作動操作用の突片が形成され、
前記一対の棒状保持部材における前記保持部を開かれた指の指先とは反対の方向に延在させるように、
前記親指以外の何れかの指に対して、前記装着機能部によって前記一方の棒状保持部材が開かれた指の背側に装着され、
前記一方の棒状保持部材が装着された前記指を折り曲げることによって、前記一対の棒状保持部材における前記保持部の延在位置が移動されて、前記一対の棒状保持部材における前記装着機能部から先方の部分が折り曲げた
前記指よりも外向きに突出され、
前記突出された前記一対の棒状保持部材における前記一方の棒状保持部材に対して、
前記他方の棒状保持部材
の後端が前記親指
による前記突片の作動操作によって
前記接続部を支点として離れる方向に作動操作されて、
前記他方の棒状保持部材の前記保持部が前記一方の棒状保持部材の前記保持部に向かって移動することにより前記一対の棒状保持部材における両方の前記保持部によって対象物の保持が可能になることを特徴とする指装着型の保持用具。
【請求項2】
前記突片は、前記一対の棒状保持部材における前記他方の棒状保持部材の後端
と前記装着機能部の後端と
の間に狭い隙間を形成するように変形し、前記親指を差し入れて作動操作させる
ように形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の指装着型の保持用具。
【請求項3】
前記接続部は、容易に弾性変形する直線部分を有する
とともに、婉曲のV字またはU字形状の
角部を有することを特徴とする請求項
1または2に記載の指装着型の保持用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトング形状や箸形状のような棒状保持部材を手の指に装着して、その棒状保持部材によって食品等の把持が可能となる指装着型の保持用具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年におけるIT技術の急速な発展に伴って、日常生活のなかで様々なIT機器を使用する時間が大幅に増加している。従来からパソコンを使用する際には手の指でキーボードやマウス等を操作しているが、近年ではスマートフォンやタブレット端末等のように画面を指で直接触れて操作する機器の普及も著しい。
【0003】
このような機器を操作する時間が増加する中で、操作中に例えばポテトチップスのようなスナック菓子等を食べることも多々ある。その際、機器を操作していた指でそのまま菓子等を食べると衛生的ではなく、菓子等を食べた指で再び機器を操作すると機器が汚れてしまう。
菓子等を食べる前後にティッシュで手を拭くのも煩わしいので、菓子等を摘むために小型トングのような道具を使用する人々も多い。しかし、このような道具は使用する度に持ったり置いたりする必要があるため、使い易い便利な道具が望まれていた。
【0004】
このような要望から、特許文献1には指に装着可能なトングに関する技術が開示されている。この技術は、先端部に挟持部を設けると共に対向して設けた一対の操作片と、その一対の前記操作片の後端を連結する連結部と、を少なくとも備えると共に、手の平に収まる大きさに形成したトングであって、前記操作片に指装着部を設けたことを特徴とする。
【0005】
上記特許文献1の記載によれば、トングの操作片に指装着部を設けることにより、指にトングを装着したままで、スナック菓子等を食べながら、読書或いはゲーム機やパソコン等の操作が行え、且つ、手の平に収まる大きさに形成することにより、コンパクトで嵩張らないものとなる。
【0006】
また、特許文献2にはリング型義指に関する技術が開示されている。この技術は、2つを組み合わせて隣り合う指に装着する構成の義指であって、それぞれの義指は装着部と、アーム部と、指先部とからなり、前記装着部は指に装着するための穴部を有する略リング状であり、前記アーム部は前記装着部から指を開いた状態における指先方向へ突出し、前記指先部は前記アーム部の先端に位置し、この先端には指の動作により物を把持する把持部を備え、それぞれの指先部を操作可能とし、隣り合う前記装着部が接触する位置に規制部を備え、この規制部は平面同士を摺動させることにより一方の前記把持部の位置と他方の前記把持部の位置とが合致して物を挟みこむことを特徴とする。
【0007】
上記特許文献2の記載によれば、2つの義指の装着部にそれぞれ隣り合う指を挿通し、装着部から指先方向の前方に伸びる2本のアーム部及びその先端の指先部を上下に動かして、指先部に設けた把持部により食品等を挟み込むように保持する。これによって、指先が汚れてしまう作業中や、指先を汚したくない場面において、指を汚さず、若しくは汚れていても、食品等を衛生的に掴むことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-143696号公報
【文献】特許第5985096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された指に装着可能なトングにおいては、一対の操作片のうち一方の操作片が指装着部により例えば親指の腹側に装着され、他方の操作片が親指と人差し指との間に位置される形態である。
このため、パソコンのキーボードやマウスを操作する際には、これらに一対の操作片が当たってしまう問題がある。また、スマートフォンやタブレット端末を操作する際にも、これらの画面に一対の操作片が当たってしまう上に、その操作片が画面を遮ってしまう不都合がある。
さらに、手の平に収まる大きさに形成したトングなので、一対の操作片の先端の挟持部よりも指先が前方に位置することになる。このため、菓子等を挟持部により挟んで食べる際には、どうしても指先が邪魔になってしまう問題がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載されたリング型義指においては、義指が装着部によって隣り合う2本の指の背側に装着されるのであるが、指先を使う時も義指を使う時も常に、その義指の2本のアーム部は装着部から指を開いた状態における指先方向へ突出している形態である。
このため、パソコンのキーボードやマウスを操作する際には、2本のアーム部の先端の指先部がキーボードの余計なキーを押したりマウスの移動面を擦ったりする不都合がある。また、スマートフォンやタブレット端末を操作する際には、その画面に対して操作指よりも先に2本のアーム部の指先部が当たってしまうので、現実的に使用は難しい問題がある。
【0011】
そこで本発明は、指を使用する際には指に装着した保持用具が全く邪魔にならず、逆に、保持用具を使用する際には保持用具を装着した指が全く邪魔にならない、使い勝手が極めて優れた指装着型の保持用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、
先端に保持部を有する棒状保持部材と、
前記棒状保持部材の後端寄りに設けられた装着機能部と、
を備えた指装着型の保持用具であって、
前記棒状保持部材における前記保持部を開かれた指の指先とは反対の方向に延在させるように、前記装着機能部によって前記棒状保持部材が開かれた指の背側に装着され、
指を折り曲げることによって、前記棒状保持部材における前記保持部の延在位置が移動されて、前記棒状保持部材における前記装着機能部から先方の部分が折り曲げた指よりも外向きに突出され、
前記突出された前記棒状保持部材における前記保持部によって対象物の保持が可能になることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る指装着型の保持用具においては、装着機能部によって棒状保持部材が開かれた指の背側に装着されるのであるが、その際、棒状保持部材の先端の保持部を開かれた指の指先とは反対の方向に延在させる。すなわち、棒状保持部材が指の背側にあって、その先端の保持部は指の根元の近傍または手の甲の付近に存在する。このため、指を使用して例えばパソコンやスマートフォン等の操作をする際には、指に装着している保持用具が全く邪魔にならない。
そして、指を折り曲げることによって、棒状保持部材の保持部の延在位置が移動されて、その棒状保持部材の大部分が折り曲げた指よりも外向きに突出される。このため、保持用具を使用して例えば菓子等を食べる際には、保持用具を装着している指が全く邪魔にならない。
このように、本発明によれば、指の使用時と保持用具の使用時とにおいて、指に対する保持用具の位置形態を大きく変化させるという、今までにない発想の転換によって、使い勝手が極めて優れた指装着型の保持用具を具現化するものである。
【0014】
次に、前記の目的を達成するために、本発明は、
先端に保持部を有し略トング形状で互いに対向される一対の棒状保持部材と、
前記一対の棒状保持部材の後端寄りで何れか一方の棒状保持部材に設けられた装着機能部と、
を備えた指装着型の保持用具であって、
前記一対の棒状保持部材における前記保持部を開かれた指の指先とは反対の方向に延在させるように、親指以外の何れかの指に対して、前記装着機能部によって前記一方の棒状保持部材が開かれた指の背側に装着され、
指を折り曲げることによって、前記一対の棒状保持部材における前記保持部の延在位置が移動されて、前記一対の棒状保持部材における前記装着機能部から先方の部分が折り曲げた指よりも外向きに突出され、
前記突出された前記一対の棒状保持部材における前記一方の棒状保持部材に対して、他方の棒状保持部材が前記親指によって作動操作されて、前記一対の棒状保持部材における両方の前記保持部によって対象物の保持が可能になることを特徴とする。
【0015】
本発明における棒状保持部材としては、例えばトング形状のような形態を採用し得る。すなわち、互いに対向する一対の棒状保持部材の後端が接続部により接続され、何れか一方の棒状保持部材に装着機能部が設けられている構成である。そして、親指以外の開かれた指、例えば人差し指の背側に一方の棒状保持部材が装着機能部によって装着されると、この一方の棒状保持部材に対向して他方の棒状保持部材が位置することになる。
したがって、指を折り曲げることによって、一対の棒状保持部材の大部分が折り曲げた指よりも外向きに突出されて、他方の棒状保持部材が親指に接近することになる。これにより、一方の棒状保持部材に対し後端の接続部を支点として、他方の棒状保持部材を親指によって簡単に作動操作することができる。
【0016】
また、上記の具体的な指装着型の保持用具において、好ましい態様として、前記一対の棒状保持部材における前記他方の棒状保持部材の後端には、前記親指による作動操作用の突片が形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記の態様によれば、一対の棒状保持部材を合成樹脂によって一体成形して、後端の接続部に弾性を発揮させると、一対の棒状保持部材の先端が常時開いた形態または常時閉じた形態を、簡単に得ることができる。
その際に、他方の棒状保持部材の後端に作動操作用の突片を形成すると、その突片を親指で少し動かすだけで、他方の棒状保持部材の先端を大きく作動させることができる。
【0018】
また、上記の具体的な指装着型の保持用具において、好ましい態様として、前記一対の棒状保持部材における前記他方の棒状保持部材の後端には、前記装着機能部の後端と狭い隙間を形成されるように変形し、前記親指を差し入れて作動操作用させる突片が形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記の態様によれば、一対の棒状保持部材における他方の棒状保持部材の後端には、装着機能部の後端と狭い隙間を形成するように変形し、親指を差し入れて作動操作させる突片が形成されているため、そこに親指を挿入して、ほとんど力を入れずに対象物の保持状態を維持できる。
【0020】
また、上記の具体的な指装着型の保持用具において、好ましい態様として、前記一対の棒状保持部材の内側に容易に弾性変形する直線部分を有する、角部が婉曲のV字またはU字形状の接続部を有することを特徴とする。
【0021】
上記の態様によれば、一対の棒状保持部材の内側に容易に弾性変形する直線部分を有する、角部が婉曲のV字またはU字形状の接続部を有することにより、保持部先端が左右にブレにくく、親指の作動操作のストローク及び力の調整が非常に容易にできることとなる。また、接続部の位置や、直線部分の板厚および長さを変更することにより、親指の作動操作のストローク及び力の調整が非常に容易にできることとなる。
【0022】
また、上記の具体的な指装着型の保持用具において、好ましい態様として、前記棒状保持部材が指の背側に装着される際に、前記装着機能部が指の第一関節と第二関節との間に配置されることを特徴とする。
【0023】
上記の態様によれば、指を普通に折り曲げた際、最も先端(前方)に位置するのは、指の第二関節の部分である。そこで、装着機能部が指の第一関節と第二関節との間に配置されて、棒状保持部材が指の背側に装着されるのが好ましい。すると、指を折り曲げた際に、その第一関節から第二関節の延長線にほぼ沿った自然な形態で、棒状保持部材の大部分を外向き(前向き)に突出させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、指を使用する際には指に装着した保持用具が全く邪魔にならず、逆に、保持用具を使用する際には保持用具を装着した指が全く邪魔にならない、使い勝手が極めて優れた指装着型の保持用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る指装着型の保持用具を表す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る指装着型の保持用具を表す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A1の方向に眺めたときの平面図である。
【
図4】本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A2の方向に眺めたときの正面図である。
【
図5】本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A3の方向に眺めたときの右側面図である。
【
図6】本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A4の方向に眺めたときの背面図である。
【
図7】
図6に表した切断面A1-A1における断面図である。
【
図8】
図6に表した切断面A1-A1における断面図である。
【
図9】本実施形態に係る指装着型の保持用具の使用方法を説明する模式図である。
【
図10】本実施形態に係る指装着型の保持用具の使用方法を説明する模式図である。
【
図11】本実施形態に係る指装着型の保持用具の使用方法を説明する模式図である。
【
図12】本実施形態に係る指装着型の保持用具の使用方法を説明する模式図である。
【
図13】本実施形態に係る指装着型の保持用具の載置状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0027】
図1および
図2は、本発明の実施形態に係る指装着型の保持用具を表す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A1の方向に眺めたときの平面図である。
図4は、本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A2の方向に眺めたときの正面図である。
図5は、本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A3の方向に眺めたときの右側面図である。
図6は、本実施形態に係る指装着型の保持用具を
図2に表した矢印A4の方向に眺めたときの背面図である。
図7および
図8は、
図6に表した切断面A1-A1における断面図である。
なお、
図7は、指装着部を係合部に係合させる前の状態を表す断面図である。
図8は、指装着部を係合部に係合させた後の状態を表す断面図である。
【0028】
本実施形態に係る指装着型の保持用具2は、棒状保持部材3と、装着機能部4と、を備える。棒状保持部材3は、略トング形状で互いに対向される一対の棒状保持部材であり、一方の棒状保持部材31と、他方の棒状保持部材32と、を有する。なお、本発明の「棒状保持部材」は、略トング形状で互いに対向される一対の棒状保持部材だけに限定されるわけではない。一方の棒状保持部材31および他方の棒状保持部材32のそれぞれは、先端に保持部33を有する。
【0029】
他方の棒状保持部材32の後端には、突片34が形成されている。突片34は、親指82(
図9~
図11参照)による作動操作用として機能する。すなわち、突片34は、装着機能部4の後端44と狭い隙間35を形成するように変形し、親指82を差し入れて作動操作させるものである。この詳細については、後述する。
【0030】
装着機能部4は、棒状保持部材3の後端寄りに設けられている。本実施形態に係る指装着型の保持用具2では、装着機能部4は、一方の棒状保持部材31の後端寄りに設けられている。装着機能部4は、指装着部41と、係合部42と、を有する。
図7および
図8に表したように、指装着部41は、弾性変形可能であり、複数の突起部が長手方向に並んで配置された突起列411を有する。
図8に表したように、指装着部41が係合部42の内部に挿入されると、突起列411に設けられた複数の突起部のいずれかが、係合部42の爪部421と係合する。これにより、
図8に表したように、輪43が形成される。使用者は、親指82以外の指81(
図9~
図11参照:例えば人差し指)を輪43に挿入することにより、指装着型の保持用具2を指81に装着できる。この詳細については、後述する。
【0031】
一方の棒状保持部材31および他方の棒状保持部材32は、接続部5を介して互いに接続されている。接続部5は、棒状保持部材3の内側、すなわち一方の棒状保持部材31と他方の棒状保持部材32との間に設けられている。接続部5は、直線部分51、52と、角部53と、を有する。直線部分51、52は、容易に弾性変形することができる。一方の直線部分51は、一方の棒状保持部材31の内側に接続されている。他方の直線部分52は、他方の棒状保持部材32の内側に接続されている。角部53は、一方の直線部分51と他方の直線部分52とに接続され、婉曲のV字またはU字形状に形成されている。つまり、角部53は、一方の直線部分51と他方の直線部分52とを互いに接続する接続部として機能する。
【0032】
次に、本実施形態に係る指装着型の保持用具2の使用方法を、図面を参照して詳しく説明する。
図9~
図12は、本実施形態に係る指装着型の保持用具の使用方法を説明する模式図である。
【0033】
図9に表したように、本実施形態に係る指装着型の保持用具2は、棒状保持部材3における保持部33を開かれた指81の指先813とは反対の方向に延在させるように、親指82以外の何れかの指81(
図9~
図11では人差し指)に対して、装着機能部4によって一方の棒状保持部材31が開かれた指81の背814側に装着される。
図9~
図11に表した例では、棒状保持部材3が指81の背814側に装着される際に、装着機能部4が指81の第一関節811と第二関節812との間に配置される。
【0034】
続いて、
図10に表したように、使用者が指81を折り曲げると、棒状保持部材3における保持部33の延在位置が移動されて、棒状保持部材3における装着機能部4から先方の部分が折り曲げた指81よりも外向きに突出される。
【0035】
続いて、
図11に表したように、突出された棒状保持部材3における一方の棒状保持部材31に対して、他方の棒状保持部材32が親指82によって矢印A11の方向に作動操作される。例えば、使用者は、突片34と、装着機能部4の後端44と、の間の狭い隙間35(
図4および
図6参照)に親指82を差し入れて、矢印A11の方向に突片34を作動操作する。このとき、
図12に表したように、突片34における隙間35側の角部には、面取り部341が形成されている。また、装着機能部4の後端44における隙間35側の角部には、面取り部441が形成されている。そのため、使用者は、面取り部341、441を利用することにより、装着機能部4の後端44と、の間の狭い隙間35に親指82を容易に差し入れることができる。そうすると、
図11に表した矢印A12のように、他方の棒状保持部材32の保持部33が一方の棒状保持部材31の保持部33に向かって移動する。これにより、棒状保持部材3における両方の保持部33、33によって対象物の保持が可能になる。
【0036】
本実施形態に係る指装着型の保持用具2においては、装着機能部4によって棒状保持部材3が開かれた指81の背814側に装着されるのであるが、その際、棒状保持部材3の先端の保持部33を開かれた指81の指先813とは反対の方向に延在させる。すなわち、棒状保持部材3が指81の背814側にあって、その先端の保持部33は指81の根元の近傍または手の甲の付近に存在する。このため、指81を使用して例えばパソコンやスマートフォン等の操作をする際には、指81に装着している指装着型の保持用具2が全く邪魔にならない。
そして、指81を折り曲げることによって、棒状保持部材3の保持部33の延在位置が移動されて、その棒状保持部材3の大部分が折り曲げた指81よりも外向きに突出される。このため、指装着型の保持用具2を使用して例えば菓子等を食べる際には、指装着型の保持用具2を装着している指81が全く邪魔にならない。
このように、本実施形態に係る指装着型の保持用具2によれば、指81の使用時と指装着型の保持用具2の使用時とにおいて、指81に対する指装着型の保持用具2の位置形態を大きく変化させるという、今までにない発想の転換によって、使い勝手が極めて優れた指装着型の保持用具2を具現化するものである。
【0037】
また、本実施形態における棒状保持部材3としては、例えばトング形状のような形態を採用し得る。すなわち、互いに対向する一対の棒状保持部材3の後端が接続部5により接続され、何れか一方の棒状保持部材31に装着機能部4が設けられている構成である。そして、親指82以外の開かれた指81、例えば人差し指の背814側に一方の棒状保持部材31が装着機能部4によって装着されると、この一方の棒状保持部材31に対向して他方の棒状保持部材32が位置することになる。
したがって、指81を折り曲げることによって、一対の棒状保持部材3の大部分が折り曲げた指81よりも外向きに突出されて、他方の棒状保持部材32が親指82に接近することになる。これにより、一方の棒状保持部材31に対し後端の接続部5を支点として、他方の棒状保持部材32を親指82によって簡単に作動操作することができる。
【0038】
また、一対の棒状保持部材3を合成樹脂によって一体成形して、後端の接続部5に弾性を発揮させると、一対の棒状保持部材3の先端が常時開いた形態または常時閉じた形態を、簡単に得ることができる。
その際に、他方の棒状保持部材32の後端に作動操作用の突片34を形成すると、その突片34を親指82で少し動かすだけで、他方の棒状保持部材32の先端を大きく作動させることができる。
【0039】
また、一対の棒状保持部材3における他方の棒状保持部材32の後端には、装着機能部4の後端44と狭い隙間35を形成するように変形し、親指82を差し入れて作動操作させる突片34が形成されているため、そこに親指82を挿入して、ほとんど力を入れずに対象物の保持状態を維持できる。
【0040】
また、一対の棒状保持部材3の内側に容易に弾性変形する直線部分51、52を有する、角部53が婉曲のV字またはU字形状の接続部5を有することにより、保持部33先端が左右にブレにくく、親指82の作動操作のストローク及び力の調整が非常に容易にできることとなる。また、接続部5の位置や、直線部分51、52の板厚および長さを変更することにより、親指82の作動操作のストローク及び力の調整が非常に容易にできることとなる。
【0041】
また、指81を普通に折り曲げた際、最も先端(前方)に位置するのは、指81の第二関節812の部分である。そこで、装着機能部4が指81の第一関節811と第二関節812との間に配置されて、棒状保持部材3が指81の背814側に装着されるのが好ましい。すると、指81を折り曲げた際に、その第一関節811から第二関節812の延長線にほぼ沿った自然な形態で、棒状保持部材3の大部分を外向き(前向き)に突出させることができる。
【0042】
図13は、本実施形態に係る指装着型の保持用具の載置状態を表す斜視図である。
例えば
図3に表したように、突片34は、幅広の形状を有する。そこで、
図13に表したように、本実施形態に係る指装着型の保持用具2は、突片34の両端点と装着機能部4の指装着部41のうちの一点とを利用して、保持部33が載置面9から離れて上方を向いた状態で、載置面9に立つことができる。載置面9としては、例えばテーブルの表面などが挙げられる。これにより、対象物を保持する保持部33が汚れたり、保持部33に付着した対象物により載置面9が汚れたりすることを抑えることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
例えば、半田ごてを使って電気回路を作成する場合、右手に半田ごてを持ち、左手でコードを曲げたり、部品を固定したりする。この時、部品が小さいとか、部品に熱が伝わらないように、ピンセットで固定するが、その度にピンセットを持ったり置いたりしていた。そこで、本実施形態に係る指装着型の保持用具2を利用すると、この動作が不要になり、煩わしさから開放され時間短縮になる。この際、指装着型の保持用具2は、金属製であってもよく、より好ましくは金属製である。
【符号の説明】
【0044】
2:保持用具、 3:棒状保持部材、 4:装着機能部、 5:接続部、 9:載置面、 31:一方の棒状保持部材、 32:他方の棒状保持部材、 33:保持部、 34:突片、 35:隙間、 41:指装着部、 42:係合部、 43:輪、 44:後端、 51:一方の直線部分、 52:他方の直線部分、 53:角部、 81:指、 82:親指、 341:面取り部、 411:突起列、 421:爪部、 441:面取り部、 811:第一関節、 812:第二関節、 813:指先、 814:背
【要約】
【課題】指を使用する際には指に装着した保持用具が全く邪魔にならず、逆に、保持用具を使用する際には保持用具を装着した指が全く邪魔にならない、使い勝手が極めて優れた指装着型の保持用具を提供すること。
【解決手段】指装着型の保持用具2は、先端に保持部33を有する棒状保持部材3と、棒状保持部材3の後端寄りに設けられた装着機能部4と、を備える。指装着型の保持用具2は、棒状保持部材3における保持部33を開かれた指81の指先813とは反対の方向に延在させるように、装着機能部4によって棒状保持部材3が開かれた指81の背814側に装着される。指81を折り曲げることによって、棒状保持部材3における保持部33の延在位置が移動されて、棒状保持部材3における装着機能部4から先方の部分が折り曲げた指よりも外向きに突出される。突出された棒状保持部材3における保持部33によって対象物の保持が可能になる。
【選択図】
図9