(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】複数の立体物の連結方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20220331BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
E01C11/22 A
(21)【出願番号】P 2020147005
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】595016129
【氏名又は名称】株式会社神垣組
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】神垣 三次
(72)【発明者】
【氏名】亀山 美勝
(72)【発明者】
【氏名】有田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】有田 圭子
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-146712(JP,A)
【文献】登録実用新案第3006815(JP,U)
【文献】特開2000-178913(JP,A)
【文献】特開平06-287972(JP,A)
【文献】特公昭47-047702(JP,B1)
【文献】特開昭53-069456(JP,A)
【文献】実開昭53-078081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定厚みがあって立体形状を有するコンクリート製・セラミックス製・陶磁器製・ガラス製・素焼製・金属製又は自然石製の各種ブロック・タイル材・路面材又は岩石材の立体物を所要の設置面上に沿って、直線的に又は曲線状あるいは二次元的に拡がりをもって且つ隣り合う立体物が互に接触するように配列するとともに、前記
隣り合う立体物の接触面を接着剤で接合して一体化する、設置面上に列設した複数の立体物の連結方法であって、
内部の単位気泡の隔壁に孔があって連通気泡構造でしかも
隣り合う立体物の接触面と略同じ又はそれより小さい面形状を断面形とするスポンジの前記連通気泡の空間内に、前記スポンジの外形容積に対して0.23~0.28g/cm
3の含有率の範囲の割合でエポキシ樹脂を主剤とする接着剤を含浸させて厚みt
0とした接着剤含浸スポンジ体を用意し、前記接着剤含浸スポンジ体を前記設置面上に配設された接合する立体物又はこれと接合予定の未接合の単体の立体物のいずれかの接合面にその含浸した接着剤によって落下しないように仮貼り付けし、その後接合予定の単体の立体物を持ち上げて移動し、その設置面上に配設された立体物の接合面に押し当てて仮貼り付けした前記
接着剤含浸スポンジ体を圧縮して、接着剤含浸のスポンジ体の厚みtが0.20*t
0<t<0.50*t
0となるまでスポンジ体を圧縮する位置まで次の単体の立体物を列設された立体物に近づけ、圧縮された前記接着剤含浸スポンジ体はスポンジ体内の空気を排出し、内部の接着剤が圧縮により減容したスポンジ体内の気泡に充填させるとともに余剰の接着剤は立体物の接触面及びその外周又は下方の設置面に溢出して列設された立体物を前記接着剤で前記単体の立体物と強固に接合し、次に接合した前記単体の立体物を列設された立体物とし、前記の如く接着剤含浸スポンジ体を仮貼着し、その後次の単体の立体物を持ち上げて前記接着剤含浸スポンジ体を前記の範囲で圧縮するように押付けることを繰り返すことで、設置面に複数の立体物を列設するように強固に接合して一体連結させることを特徴とする、複数の立体物の連結方法。
【請求項2】
前記接着剤含浸スポンジ体を仮貼り付けする接合面は、設置面に設置した側の立体物の未接合の接合面である、請求項1記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項3】
前記立体物の底面と設置面との間に、前記立体物の底面形状の略同じ又は小さな領域の平面形状を有する所定厚みの連通気泡構造のスポンジにエポキシ樹脂を主剤とする接着剤を含浸した接着剤含浸スポンジ体の薄いシート体を介在させて、前記立体物の重みで前記接着剤含浸スポンジ体のシート体を6/10以下に圧縮させることで接着剤接触面に溢出して前記立体物を設置面にもよく接合させた、請求項1又は2記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項4】
前記接着剤含浸スポンジ体のシート体の外形容積に対する接着剤の含有率も0.23~0.28g/cm
3の範囲内のものである、請求項3記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項5】
前記立体物が公共道路端・建物敷地内・庭緑地と歩道の境界又は公園歩道端に設置されるコンクリート製縁石ブロックである、請求項1~4いずれか記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項6】
前記立体物が道路端に設置されるコンクリート製側溝ブロックである、請求項1~4いずれか記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項7】
前記立体物が車歩道分離のコンクリート製境界ブロックである、請求項1~4いずれか記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項8】
前記スポンジ体が連通気泡の軟質ポリウレタンフォームであり、前記スポンジ体の外形の容積に対するエポキシ樹脂を主剤とする接着剤の含有率が0.24~0.27g/cm
3又は0.23~0.28g/cm
3のものである、請求項1~7いずれか記載の複数の立体物の連結方法。
【請求項9】
エポキシ樹脂を主剤とする前記接着剤がエポキシ樹脂を主剤として、これにポリアミン類又はポリチオールの硬化剤を質量比で2:1の割合で混合撹拌したものである、請求項1~8いずれか記載の複数の立体物の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路端に設置されるU字状の側溝ブロック(U字溝ブロックともいう),車歩道の境界ブロック,縁石ブロック等の設置工事において、屋外で板状の石盤・コンクリート盤を左右・前後に多数個連接させて広い面積敷設させた広い歩道・広場の構築工事において、あるいは建物の敷地・その外側の地面・道路面との境界マーカーとしての多数枚のコンクリート板・石盤の設置工事において、又は建物・住居の屋外又は屋内の床面・階段をコンクリートブロック・石盤で構築する工事において、多数個の連接したコンクリートブロック・石盤の接合作業又はコンクリート屋根・金属屋根上に多数個の平板状屋根材の平面的な接合作業あるいはガラス板・ガラスブロックの多数個の二次元的・三次元的な接合する工事において有用な技術に関する。特に、道路における側溝ブロック設置工事・縁石ブロック設置工事において有益な工法となる。
【背景技術】
【0002】
従来の道路端に設置されるU字状側溝ブロック設置工事又は縁石ブロック設置工事において、工場で製造された断面U字状のコンクリート側溝ブロック又は細長い縁石ブロックを現場の道路傍に多数個運送し、道路の路端の地面に断面U字溝又は浅い縁石ブロック設置溝を掘削し、ブロック設置の下地として溝底面に砕石を所定厚み敷いた上にモルタルを流し込んで平滑なブロック設置面を構築し、その後コンクリート側溝ブロック又は縁石ブロックを配置し、設置したコンクリート側溝ブロック又は縁石ブロックに新しい単体のコンクリート側溝ブロック又は縁石ブロックをつき合せ、そのつき合せる側面間の間隙にモルタルを目地材として介在させてコンクリート側溝ブロックの側面同士が近接させた状態でモルタルによって連結し、連接の目地の表面を滑らかに仕上げる。モルタルが固化することで隣り合うコンクリート側溝ブロック又は縁石ブロックは連結される。コンクリート側溝ブロックのモルタルによる接合を道路方向に沿って施工することで、コンクリート側溝・縁石のブロックを多数連設して長い排水の側溝又は縁石列を構築する。
【0003】
車歩道の境界となる道路端の縁石ブロック設置工事も同様な工事であり、縁石ブロックを設置する前にブロック敷く地面の下地として、やはり砕石を敷いてその上にモルタルを流して平滑な面を形成した後細長い縁石ブロックを設置するとともに、設置した縁石ブロックの接合面にモルタルを目地材として塗布して次の単体の縁石ブロックを近接してモルタルを押し付けるようにして、縁石ブロックのブロック間の間隙空間をモルタルで塞ぐとともに縁石ブロック同士を接合し、この工程を繰り返すことで多数の縁石ブロックを道路端に沿って長く設置する。
【0004】
しかし、従来の道路側溝ブロック・縁石ブロック設置工事では、モルタルをブロックの接合材として使用しているため、接合するブロックの接触面及び間隙に均一にモルタルを塗布する作業及びその仕上げ作業に手間時間がかかるとともに、そのモルタル接合の連結強度が弱く、その接合部からの破断・亀裂が発生し、洩水を生起し、又側溝ブロックのガタツキ・分離を発生させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来のモルタルでコンクリート側溝ブロックの接合・縁石ブロック及び複数連接させる立体物の接合における接合作業を短時間で効率的に行えるようにすること及び強い連結の接合強度を大巾に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1)所定厚みがあって立体形状を有するコンクリート製・セラミックス製・陶磁器製・ガラス製・素焼製・金属製又は自然石製の各種ブロック・タイル材・路面材又は岩石材の立体物を所要の設置面上に沿って、直線的に又は曲線状あるいは二次元的に拡がりをもって且つ隣り合う立体物が互に接触するように配列するとともに、前記隣り合う立体物の接触面を接着剤で接合して一体化する、設置面上に列設した複数の立体物の連結方法であって、
内部の単位気泡の隔壁に孔があって連通気泡構造でしかも隣り合う立体物の接触面と略同じ又はそれより小さい面形状を断面形とするスポンジの前記連通気泡の空間内に、前記スポンジの外形容積に対して0.23~0.28g/cm3の含有率の範囲の割合でエポキシ樹脂を主剤とする接着剤を含浸させて厚みt0とした接着剤含浸スポンジ体を用意し、前記接着剤含浸スポンジ体を前記設置面上に配設された接合する立体物又はこれと接合予定の未接合の単体の立体物のいずれかの接合面にその含浸した接着剤によって落下しないように仮貼り付けし、その後接合予定の単体の立体物を持ち上げて移動し、その設置面上に配設された立体物の接合面に押し当てて仮貼り付けした前記接着剤含浸スポンジ体を圧縮して、接着剤含浸のスポンジ体の厚みtが0.20*t0<t<0.50*t0となるまでスポンジ体を圧縮する位置まで次の単体の立体物を列設された立体物に近づけ、圧縮された前記接着剤含浸スポンジ体はスポンジ体内の空気を排出し、内部の接着剤が圧縮により減容したスポンジ体内の気泡に充填させるとともに余剰の接着剤は立体物の接触面及びその外周又は下方の設置面に溢出して列設された立体物を前記接着剤で前記単体の立体物と強固に接合し、次に接合した前記単体の立体物を列設された立体物とし、前記の如く接着剤含浸スポンジ体を仮貼着し、その後次の単体の立体物を持ち上げて前記接着剤含浸スポンジ体を前記の範囲で圧縮するように押付けることを繰り返すことで、設置面に複数の立体物を列設するように強固に接合して一体連結させることを特徴とする、複数の立体物の連結方法
2)前記接着剤含浸スポンジ体を仮貼り付けする接合面は、設置面に設置した側の立体物の未接合の接合面である、前記1)記載の複数の立体物の連結方法
3)前記立体物の底面と設置面との間に、前記立体物の底面形状の略同じ又は小さな領域の平面形状を有する所定厚みの連通気泡構造のスポンジにエポキシ樹脂を主剤とする接着剤を含浸した接着剤含浸スポンジ体の薄いシート体を介在させて、前記立体物の重みで前記接着剤含浸スポンジ体のシート体を6/10以下に圧縮させることで接着剤接触面に溢出して前記立体物を設置面にもよく接合させた、前記1)又は2)記載の複数の立体物の連結方法
4)前記接着剤含浸スポンジ体のシート体の外形容積に対する接着剤の含有率も0.23~0.28g/cm3の範囲内のものである、前記3)記載の複数の立体物の連結方法
5)前記立体物が公共道路端・建物敷地内・庭緑地と歩道の境界又は公園歩道端に設置されるコンクリート製縁石ブロックである、前記1)~4)いずれか記載の複数の立体物の連結方法
6)前記立体物が道路端に設置されるコンクリート製側溝ブロックである、前記1)~4)いずれか記載の複数の立体物の連結方法
7)前記立体物が車歩道分離のコンクリート製境界ブロックである、前記1)~4)いずれか記載の複数の立体物の連結方法
8)前記スポンジ体が連通気泡の軟質ポリウレタンフォームであり、前記スポンジ体の外形の容積に対するエポキシ樹脂を主剤とする接着剤の含有率が0.24~0.27g/cm3又は0.23~0.28g/cm3のものである、前記1)~7)いずれか記載の複数の立体物の連結方法
9)エポキシ樹脂を主剤とする前記接着剤がエポキシ樹脂を主剤として、これにポリアミン類又はポリチオールの硬化剤を質量比で2:1の割合で混合撹拌したものである、前記1)~8)いずれか記載の複数の立体物の連結方法
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、接着剤含浸スポンジ体は非加圧の状態ではその厚みt0であり、設置された立体物又は接合予定の単体の立体物のいずれかの接触面に仮貼着され、その後単体の立体物を設置された立体物に近づけて押圧することで接着剤含浸のスポンジ体の厚みtを0.20*t0<t<0.50*t0となるように圧縮する。この圧縮で接着剤含浸スポンジ体の空気が入った気泡から空気が大気に放出され、又圧縮して減容したスポンジ体の接着剤は空の気泡に充填され、又余剰の接着剤はスポンジ体の表面から外周に溢出し、立体物の接触面に付着し2つの立体物を強固に接着する。一部の余剰の接着剤は立体物の接触面の下方に流れて設置面に立体物を固着するように働く。
【0009】
このように、スポンジ体を介して接着剤で立体物同士の連結力は、下記のコンクリート製縁石ブロックにおける接着力試験で示すように大きいものである。下記表1に示しているモルタルによる接着力が0.20~0.18N/mm2の従来のモルタル接合に対して、本発明の接着剤含浸スポンジ体をt0=10mmからt=3mmの3/10に圧縮させた例では、1.66~2.47N/mm2で、その接合力はモルタル接合のものと比較して8.3倍,20.2倍,13.8倍と大巾に強力となっている。又、モルタル接合の場合ではモルタル表層破断に対し、本発明の接着剤含浸のスポンジ体接合の場合はコンクリート破断であって、破断状態も大巾に異なっている。
【0010】
(コンクリート製縁石ブロックの接着力試験の説明)
コンクリート製縁石ブロックに本発明のエポキシ樹脂を主剤に硬化剤を混合した接着剤を吸収した軟質ポリウレタンフォーム製のエポキシ樹脂含浸スポンジ体による接合と、従来のモルタルを使用したコンクリート面接合に対する付着力試験(引張力破断試験)を実施し、接合力の比較を行った。
供試体はコンクリート製縁石ブロックを150mm×150mmにカットし、その上にエポキシ樹脂を主剤にした接着剤を0.23,0.26,0.28g/cm3の含有率で吸収させたスポンジ体(E-1,E-2,E-3)と、従来のモルタル(M-1,M-2,M-3)でコンクリート片を接着した。付着力(接合力)試験は、コンクリート片を40mm×40mmにカットし、鉄製アタッチメントを取付け、引張試験機に接続して付着力試験を行った。供試体の材令は施工後12日で試験を実施した。
【0011】
【0012】
上記のエポキシ樹脂を主剤にこれにポリアミン類又はポリチオールの硬化剤を質量比で2:1の割合で混合撹拌した接着剤の品質試験値は、
接着強さ・・・11.1Mpa
引張強さ・・・39.4Mpa
比重・・・・・1.08
粘度(mPa・s)・・・430
である。
【0013】
次に、縁石ブロック用の正方形状のスポンジ体と、側溝ブロック用のU字状のスポンジ体における接着剤含浸スポンジ体の接着剤のエポキシ樹脂の含有率の適正量の比較試験した。その測定結果は、下記表2と表3の如くなった。
【0014】
下記表2は、縁石ブロック用の正方形状の接着剤含浸スポンジ体の含浸量の適正量の測定結果表である。
【0015】
【0016】
下記表3は、側溝ブロック用のU字型の接着剤含浸スポンジ体の含浸量の適正量の測定結果表である。
【0017】
【0018】
エポキシ樹脂を使った接着剤の場合、上記表2,表3から接着剤含浸(含有)率の適正値は0.23g/cm3から0.28g/cm3の範囲、更に好ましくは0.24g/cm3~0.27g/cm3又は0.28g/cm3が適正範囲であることが判断される。
そして、この判断は接着剤を含有したスポンジ体であれば、その接着剤の移動と溢出の問題であるので、粘性が同様な(接着剤は所用の粘性を有するのが普通である)接着剤とスポンジの連通気泡の構造の圧縮の構造的問題であるので、他の粘性ある接着剤でも生起する現象であり、接着剤の種類が多少変動しても略適量の基準となりうるものと判断され、よって本発明の含有率は0.23~0.28g/cm3が適量とした。
【0019】
本発明では、多数個又は複数個の立体物の直線的・曲線的な配列での接合作業・同一設置面での二次元的な配列での接合作業において、立体物の列設の接触側面同士の接着剤含浸スポンジ体による接合の他に、同時に設置面に立体物を接合させるため設置面上に本発明で使用する接着剤含浸の薄目のスポンジ体のシート体を敷いて又は接着剤そのものを設置面上に塗布するようにすれば、その上に立体物を載置することで立体物の底面と設置面とを同時に立体物の自重が敷いた接着剤含浸スポンジ体のシート体を圧縮させて、含浸させた接着剤でもって接合することができる。この場合、接着剤含浸させるシート体の平面形状寸法は、立体物の底面の平面形状と略同じかそれより狭いものにする。立体物の底面の一部のみに接触する形状寸法の薄い接着剤含浸シート体でも可能である。
【0020】
このように、接触する側面は本発明の接着剤含浸スポンジ体で立体物の側面同士を接合し、立体物の底面は前記シート体によって又は接着剤の直接設置面への塗布によって設置面とも接合できるので、立体物は強固に接合・連結され、底面剥離・設置位置移動が少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明の実施例1,2に使用する接着剤含浸スポンジ体の製造工程を示す説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の縁石ブロック設置工事における設置面上に列設した複数の立体物の連結方法の作業工程を示す工程説明図である。
【
図3】
図3は実施例1の車歩道境界用縁石ブロックを道路端両側に設置した道路を示す平面図である。
【
図4】
図4は実施例2の側溝ブロック設置工事における設置面上に列置する側溝ブロックを示す斜視図である。
【
図5】
図5は実施例2の側溝ブロックを示す側面図である。
【
図6】
図6は実施例2に使用する接着剤含浸スポンジ体の斜視図である。
【
図7】
図7は実施例2の道路端に設けた側溝ブロックの設置工事の工程を示す説明図である。
【
図8】
図8は実施例2におけるU字状の側溝ブロックの接合作業を示す説明図である。
【
図9】
図9は実施例2における複数の側溝ブロックを接合して連結した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に使用する接着剤としては、エポキシ系接着剤が種々の立体物の接着力が強いので好ましい。接合する立体物がコンクリート製品の場合はエポキシ系接着剤が強度・耐熱性・低収縮性で好ましい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂を主剤とするエポキシ系接着剤の場合、接着剤含浸スポンジ体の接着剤の含有率はスポンジ体の外形容積に対し、0.23~0.28g/cm3、好ましくは0.24~0.27g/cm3であり、後者の範囲は接着剤の過不足のない適量の含有率となっている。
【0024】
本発明のスポンジ体としては軟質ポリウレタンフォームが好ましく、連通気泡となっていて接着剤の含浸・圧縮による外周への溢出・吐出の性能に適している。
【実施例】
【0025】
本発明を、
図1,4~9に示す立体物であるU字溝ブロック(側溝ブロック)の設置工事における側溝ブロック同士の連結方法の実施例2と、
図1~3に示す立体物である縁石ブロックの設置工事における縁石ブロック同士の接続方法を実施例1としている。
図1は本実施例1,2に使用する所要量含有の接着剤含浸スポンジ体の手作業による製造工程を示す説明図である。連通気泡のスポンジに接着剤を所定含有率に含浸させる製造工程は、エポキシ樹脂の接着剤槽内での充分な含浸に加圧器具を使用したり、又は適量の含有率にする絞り出しも適切な絞り器を使用してもよい。
尚、エポキシ樹脂の接着剤槽内には、エポキシ樹脂の主剤にポリアミン類又はポリチオールの硬化剤を質量比で2:1の割合で混入して撹拌した液を使用した。
【0026】
(実施例の用語と符号の説明)
実施例1,2における用語と符号について説明する。共通構成については共通の用語に対し同じ符号を付している。
G1は本願発明の実施例1である縁石ブロック工事における縁石ブロックを立体物とする複数の立体物の連結方法、G2は本願発明の実施例2である側溝ブロック(U字溝ブロック)を立体物とする複数の立体物の連結方法、Rは道路の車道の路面、Wは道路の歩道の路面、1~14は実施例1に関し、1は600mm長さで100mm×100mmの正方形断面の縁石ブロック(立体物)、10は縁石ブロック1の設置溝、11は縁石ブロック設置溝の溝底に配置する砕石、12は同砕石上に流したモルタル、13は縁石ブロックの側面接合用の初期厚み10mmの接着剤含浸スポンジ体、14は縁石ブロック設置溝と縁石ブロック底面とを接着する薄い接着剤含浸シート体、15は縁石ブロック1の接合する側面である。2は実施例2のコンクリート製側溝ブロック、20は同側溝ブロックのU字状の接合する側面、21は側溝ブロック設置の為の広巾の溝、22は同溝の底に敷いた砕石、23は同砕石上に流し込んだモルタル、24は側溝ブロックの側面を接合するU字状の接着剤含浸スポンジ体で、初期厚みは10mmである。25は側溝ブロック2の上面の側溝蓋、STはエポキシ樹脂系接着剤を貯えたエポキシ樹脂槽である。
【0027】
(縁石ブロックの連結方法の説明/実施例1)
図1~3に示す車歩道境界用コンクリート製の600mm長さで100mm×100mm正方形断面の縁石ブロック1の接合工事について説明する。実施例1は下記イ~トの工程からなる。
イ:道路端の縁石ブロック1を設置する地面に縁石ブロック1の巾より少し広い巾で浅い設置溝10を道路に沿って長く掘削する。
ロ:前記縁石ブロック設置用溝10の底に所定厚み砕石11を敷きつめ、その上をモルタル12を流し込んでその底面を平面状にする。
ハ:設置溝10の前記モルタル12上面に縁石ブロック1を設置する。必要ならば、設置溝10のモルタル12に上記接着剤を使った薄い接着剤含浸スポンジ体のシート体14を敷設して、縁石ブロック1で同シート体14の厚みを3/10以下に圧縮させてあるいはモルタル表面に接着剤を薄く塗布した上、細長の縁石ブロック1をその上に設置して底面も接着剤で接合させてもよい。
ニ:設置した前記縁石ブロック1が設置溝10に固定されると、縁石ブロック1の縦横寸法より少し短い90mmの正方形状をした連通気泡構造の軟質ポリウレタンフォームにエポキシ樹脂系接着剤をその容積比率で0.23~0.28g/cm
3含浸させるように、
図1に示すエポキシ樹脂槽ST中に充分に浸した後、上記含浸率になるまで絞り込む。これは熟練の手作業又は重量計を使用して、上記の含浸率の接着剤含浸スポンジ体13を作製する。
ホ:上記正方形状の所要の接着剤含浸スポンジ体13の初期厚み(非加圧状態の厚み)は10mm程であり、これを設置溝10に設置した縁石ブロック1の接合予定の100mm×100mmの側面15にその接着剤で仮貼り付けする。
ヘ:仮貼り付けした後、次に接合する縁石ブロック1の単体の接合する側の側面を前記仮貼り付けした10mm厚みの接着剤含浸スポンジ体13に押し当てるように加圧してスポンジ体13が3mm厚みになるまで加圧し続けて圧縮させて、縁石ブロック1の単体を設置溝10上に降す。降された縁石ブロック1の単体はその自重による設置溝面との静止摩擦で3mmに接着剤含浸スポンジ体を圧縮したまま静止する。
この圧縮によってスポンジ体13の空気が排出され、減容した気泡内に接着剤が充填され、更に余剰の接着剤は縁石ブロック1の接合する側面15表面及びその外周縁を濡らすように溢出し、一部は設置溝10に流下し、縁石ブロック1の単体は既設の縁石ブロック1に接合される(
図3参照)。
ト:上記ニ,ホ,ヘの工程を繰り返すことで、多数の縁石ブロック1を道路端に沿って長く設置される。縁石ブロック接合後、縁石ブロック1と地面の間隙には土を戻す。
【0028】
この縁石ブロック1の接着剤含浸スポンジ体13による接合力の試験結果は、前記表1で示すように1.66~2.47N/mm2あり、従来のモルタル接合の0.18~0.20N/mm2に比べ8倍以上の接合力を有し、強く縁石ブロックの方向に強力に接合して連結できた。
【0029】
(U字溝ブロックの接合例/実施例2/図面1,4~9参照)
U字溝ブロック(側溝ブロック)2の接合工事は、前記縁石ブロック1の接合工事と同様である。
α:道路端にU字溝ブロック(側溝ブロック)2が収まる深い広巾の溝21を道路端に沿って掘削する。
β:側溝ブロック用の掘削溝21の底に砕石22を所定厚み敷く。その後、モルタル23を流して滑らかな底面とする。
γ:その後、コンクリート製の断面U字状の側溝ブロック2を設置する。
δ:
図1に示す工程で側溝ブロック2のU字状側面形状と同じ高さ210mm,巾240mm,巾30mmのU字状の形状の軟質ポリウレタンフォームに0.23~0.28g/cm
3の含有率でエポキシ樹脂にポリアミン類又はポリチオールの硬化剤を質量比で2:1の割合で撹拌したエポキシ樹脂系の接着剤を含浸させた接着剤含浸スポンジ体24を用意する。この接着剤含浸スポンジ体24の初期厚みは10mmである。
θ:このU字状の接着剤含浸スポンジ体24を側溝の溝に設置したU字溝ブロック(側溝ブロック)2の接合する側のU字状側面20に仮貼り付けする。
ε:この状態で、接合する新しいU字溝ブロック(側溝ブロック)2単体の接合する側面を溝中に設置されたU字溝ブロック(側溝ブロック)2の接合する側面に向けて移動し、仮貼着した接着剤含浸スポンジ体24を3mm厚みになるまで加圧圧縮して、掘削溝21の底に降す。新しい側溝ブロック2の単体はその重い自重による溝底との静止摩擦で静止状態となる。
これにより、接着剤がスポンジ体から溢出して各U字状側面20を接着剤で濡らして、2つのU字溝ブロック(側溝ブロック)2を接着剤で強力に接合する。
ζ:上記γ,δ,θ,εの工程を繰り返すことで、U字溝ブロック(側溝ブロック)2を連続して強力に接合できる。そのU字溝ブロック2を複数連結された施工後の平面図を
図9に示している。
【0030】
接合されたU字溝ブロック(側溝ブロック)2の接合力は前記表1と同じでモルタルの8倍以上の接合力を有する。しかも、モルタル工事に比べて迅速に作業できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、道路端の縁石ブロック,U字溝ブロックの接合作業以外に建物・庭園の各種ブロックの接合にも利用出来る。
【符号の説明】
【0032】
G1 実施例1の複数の縁石ブロック(立体物)の連結方法
G2 実施例2の複数の側溝ブロック(立体物)の連結方法
R 道路の車道の路面
W 道路の歩道の路面
ST エポキシ樹脂槽
1 縁石ブロック
10 設置溝(掘削溝)
11 砕石
12 モルタル
13 接着剤含浸スポンジ体
14 接着剤含浸シート体
15 縁石ブロックの接合する側面
2 側溝ブロック(U字溝ブロック)
20 側面
21 溝(掘削溝)
22 砕石
23 モルタル
24 接着剤含浸スポンジ体
25 側溝蓋