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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220331BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E03C1/042 B
F16K27/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017247729
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019112842
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】駒谷 喜一
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 理紗
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-187533(JP,A)
【文献】特開2003-184139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04-1/06
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、
下方側に開口する吐水口と、
前記壁面内の給水源からの水を前記吐水口に導く流路と、
前記流路の上方側に配置された上プレート部材と、
を備え、
前記流路は、水平方向に延びる水平流路と、当該水平流路と前記吐水口とを接続するエルボ流路と、を有しており、
前記上プレート部材は、前記エルボ流路よりも後方側において、屈曲部からなる硬化部を有しており、
前記硬化部は、水平方向から下方側へ屈曲する第1屈曲部と、当該第1屈曲部から水平方向に戻るように屈曲する第2屈曲部と、からなっている
ことを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記上プレート部材は、平面視で略長方形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記硬化部は、前記上プレート部材の長手方向に沿って形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記流路内に止水栓が設けられており、
前記硬化部は、前記止水栓の前端縁よりも後方側に位置している
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記流路内に温調機能部が設けられており、
前記上プレート部材に、前記温調機能部の少なくとも一部を収納するための凹部が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項6】
後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、
下方側に開口する吐水口と、
前記壁面内の給水源からの水を前記吐水口に導く流路と、
前記流路の上方側に配置された上プレート部材と、
を備え、
前記流路は、水平方向に延びる水平流路と、当該水平流路と前記吐水口とを接続するエルボ流路と、を有しており、
前記上プレート部材は、前記エルボ流路よりも後方側において、屈曲部からなる硬化部を有しており、
前記流路内に温調機能部が設けられており、
前記上プレート部材に、前記温調機能部の少なくとも一部を収納するための凹部が設けられており、
前記硬化部の延在方向と前記凹部の延在方向とが交差する領域に、逃がし部が設けられている
ことを特徴とする吐水装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方側が壁面に取り付けられる吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水栓装置の操作部を金属板で固定する技術が開示されている。具体的には、バルブボデーを樹脂にて構成した場合において給水圧による変位によって漏水等の問題が生じる恐れを解消するべく、バルブボデーを金属製の連結ブラケットに固定して連結し、当該連結ブラケットに変位規制のための当り部を設けておくことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-89289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者が検証したところ、特許文献1に開示された構成では、当り部による変位規制が十分に機能しないで、給水圧による変位によって漏水等の問題が生じる場合があることが確認された。
【0005】
具体的には、後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、下方側に開口するシャワー用吐水口と、壁面内の給水源からの水を当該シャワー吐水口に導くエルボ流路と、を備えた吐水装置においては、シャワー用吐水口からの吐水を瞬時に停止させる時、いわゆるウォーターハンマーと呼ばれる強い力がエルボ流路に作用する。特に、シャワー用吐水口に接続されたシャワーヘッドにクリックシャワー機能が設けられていて、当該機能によって吐水を瞬時に停止させる時、この力はより大きくなることが知られている。
【0006】
特許文献1に開示された構成では、そのような強い力に十分に対抗することができず、エルボ流路が上下方向に変位してしまって、結果的に漏水等の不具合が発生してしまうことがある。
【0007】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、下方側に開口する吐水口と、壁面内の給水源からの水を当該吐水口に導くエルボ流路と、を備え、エルボ流路が上下方向に変位することを確実に防止することができる吐水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、下方側に開口する吐水口と、前記壁面内の給水源からの水を前記吐水口に導く流路と、前記流路の上方側に配置された上プレート部材と、を備え、前記流路は、水平方向に延びる水平流路と、当該水平流路と前記吐水口とを接続するエルボ流路と、を有しており、前記上プレート部材は、前記エルボ流路よりも後方側において、屈曲部からなる硬化部を有しており、前記硬化部は、水平方向から下方側へ屈曲する第1屈曲部と、当該第1屈曲部から水平方向に戻るように屈曲する第2屈曲部と、からなっていることを特徴とする吐水装置である。
【0009】
本発明による吐水装置では、吐水口からの吐水を瞬時に停止させる時、いわゆるウォーターハンマーと呼ばれる強い力がエルボ流路に作用して、当該エルボ流路が上下方向に変位しようとする。しかしながら、本発明による吐水装置では、エルボ流路の上方側に配置された上プレート部材が屈曲部からなる硬化部を有していることにより、エルボ流路に作用する力を十分に受容することができる。
【0010】
また、屈曲部からなる硬化部がエルボ流路よりも後方側に配置されているため、吐水口の配置位置の設計の自由度を阻害することがない。例えば、吐水口をシャワー吐水口とした場合、シャワーホースの取り回しに不具合が生じること等がない。
また、硬化部は、水平方向から下方側へ屈曲する第1屈曲部と、当該第1屈曲部から水平方向に戻るように屈曲する第2屈曲部と、から構成されるが、これらの屈曲部は、折り曲げ加工によって生成され、当該折り曲げ加工による加工硬化の効果を得ることができる。また、第1屈曲部が下方側へ屈曲することにより、吐水装置全体の厚みが厚くなるということが回避される。
【0011】
一般的には、前記上プレート部材は、平面視で略長方形状である。略長方形状というのは、部分的に欠けた長方形状等をも含む。
【0012】
硬化部は、上プレート部材の長手方向に沿って形成されていることが好ましい。このような硬化部の配置により、上プレート部材の強度を効果的に増大させることができる。
【0014】
流路内には、止水栓が設けられ得る。この場合、硬化部は、止水栓の前端縁よりも後方側に位置することが好ましい。これによれば、止水栓の上方部のデッドスペースに上プレート部材の屈曲部からなる硬化部が配置されることになるため、吐水装置全体の小型化(省スペース化)が図れる。
【0015】
また、流路内には、温調機能部が設けられ得る。温調機能部は、大型の要素部材を含む場合があるため、それらを効果的に収納するべく、上プレート部材に、温調機能部の少なくとも一部を収納するための凹部が設けられることが好ましい。この場合、更に、硬化部の加工と凹部の加工とが干渉しないよう、硬化部の延在方向と凹部の延在方向とが交差する領域に、逃がし部が設けられることが好ましい。逃がし部は、例えば、上プレート部材に孔を打ち抜くことで形成され得る。
あるいは、本発明は、後方側が壁面に取り付けられる吐水装置であって、下方側に開口する吐水口と、前記壁面内の給水源からの水を前記吐水口に導く流路と、前記流路の上方側に配置された上プレート部材と、を備え、前記流路は、水平方向に延びる水平流路と、当該水平流路と前記吐水口とを接続するエルボ流路と、を有しており、前記上プレート部材は、前記エルボ流路よりも後方側において、屈曲部からなる硬化部を有しており、前記流路内に温調機能部が設けられており、前記上プレート部材に、前記温調機能部の少なくとも一部を収納するための凹部が設けられており、前記硬化部の延在方向と前記凹部の延在方向とが交差する領域に、逃がし部が設けられていることを特徴とする吐水装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エルボ流路の上方側に配置された上プレート部材が屈曲部からなる硬化部を有していることにより、エルボ流路に作用する力を十分に受容することができる。また、屈曲部からなる硬化部がエルボ流路よりも後方側に配置されているため、吐水口の配置位置の設計の自由度を阻害することがない。例えば、吐水口をシャワー吐水口とした場合、シャワーホースの取り回しに不具合が生じること等がない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による水栓装置(吐水装置)の斜視図である。
図2図1の水栓装置の要部の斜視図である。
図3図2の要部の平面図である。
図4図2の要部の正面図である。
図5図4のV-V線断面矢視図である。
図6図1の水栓装置の上プレート部材の斜視図である。
図7図6の上プレート部材の平面図である。
図8図6の上プレート部材の側面図である。
図9図1の水栓装置の下プレート部材の斜視図である。
図10図9の下プレート部材の平面図である。
図11図9の下プレート部材の側面図である。
図12図2の要部の背面図である。
図13図2の要部の底面図である。
図14図3のXIV-XIV線断面矢視図である。
図15図3のXV-XV線断面矢視図である。
図16図4のXVI-XVI線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水栓装置について説明する。
【0019】
(構成)
図1乃至図5は、本発明の一実施形態による水栓装置(吐水装置)1の概略図である。図1は、水栓装置1の斜視図であり、図2は、水栓装置1の要部の斜視図であり、図3は、図2の平面図であり、図4は、図2の正面図であり、図5は、図4のV-V線断面矢視図である。
【0020】
図1に示すように、水栓装置1は、全体として薄型のカウンター形状に構成されており、カバー2の上面は平坦に形成されていて、様々な物を置くことができる。そして、水栓装置1の前面側に、第1オーバーヘッド吐水/オーバーヘッド止水/第2オーバーヘッド吐水の切替操作ハンドル31、温度調節用の温調ハンドル32、流量調節用の流調ハンドル33、が設けられている。更に水栓装置1の前面側に、カラン用の押しボタン機構10a(吐水/止水を切り替える)と、シャワー用の押しボタン機構10b(吐水/止水を切り替える)と、が設けられている。すなわち、本実施形態の水栓装置1は、薄型のタッチ水栓装置を含んでいて、押しボタン機構10a、10bの押圧方向は前後方向である。
【0021】
また、図2乃至図5に示すように、水栓装置1は、カラン用吐水口41と、シャワー用吐水口42と、給水源からの水を各吐水口41、42に導く流路40a、40bと、流路40a、40bの開閉を制御する開閉機構9a、9bと、を備えている。本実施形態では、給水源からの水とは、水と湯とが混合されることで温調された水である。
【0022】
特に図5に示すように、当該水栓装置1が取り付けられる壁内の湯供給管(給水源の一例)に袋ナット7aを介して接続される湯供給管7cと、当該壁内の水供給管(給水源の一例)に袋ナット7dを介して接続される水供給管7fと、に温調機能部7gが接続されており、当該温調機能部7gによって所望の温度に水と湯とが混合されるようになっている。湯供給管7cの途中には、止水栓7bが設けられており、水供給管7fの途中には、止水栓7eが設けられている。温調機能部7gは、温度調節用の温調ハンドル32によって手動で調整されるようになっている。
【0023】
そして、所望の温度に温調された水(湯と水との混合水)は、流調機能部7hに送られるようになっている。流調機能部7hは、流量調節用の流調ハンドル33によって手動で調整されるようになっている。そして、所望の流量に流調された水(湯と水との混合水)が、流路40a、40bに送られるようになっている。
【0024】
本実施形態では、所望の温度に温調された水(湯と水との混合水)は、オーバーヘッド吐水切替部8aにも送られるようになっている。オーバーヘッド吐水切替部8aは、切替操作ハンドル31によって手動で切り替えられるようになっている。オーバーヘッド吐水切替部8aからは、第1オーバーヘッド吐水部に至る配管8b(オーバーヘッド用流路)が、袋ナット8cを介して壁面内の配管へと延びており、第2オーバーヘッド吐水部に至る配管8d(オーバーヘッド用流路)が、袋ナット8eを介して壁面内の配管へと延びている。
【0025】
押しボタン機構10a、10bは、開閉機構9a、9bをそれぞれ作動させるように構成乃至配置されている。シャワー用吐水口42は、シャワーホース43を介してシャワーヘッド44に接続されている(図1参照)。
【0026】
図2乃至図5に示すように、湯供給管7c、水供給管7f、温調機能部7g、流調機能部7h、オーバーヘッド吐水切替部8a、配管8b、8d、流路40a、40b、及び、開閉機構9a、9bは、上プレート部材50と下プレート部材60とによって上下方向に挟まれている。各プレート部材50、60は、例えばステンレス鋼(SUS443J1、SUS304等)からなっている。
【0027】
図6は、上プレート部材50の斜視図であり、図7は、上プレート部材50の平面図であり、図8は、上プレート部材50の側面図である。図6乃至図8に示すように、本実施形態の上プレート部材50は、平面視で略長方形状である。略長方形状というのは、部分的に欠けた箇所を含み得るという意味である。
【0028】
図6乃至図8に示すように、本実施形態の上プレート部材50は、後述するエルボ流路40e(図15参照)よりも後方側(壁面側)において、2つの屈曲部51a、51bからなる硬化部51を有しており、当該硬化部51は、上プレート部材50の長手方向(図6の左右方向)に沿って形成されている。2つの屈曲部51a、51bは、水平方向から下方側へ屈曲する第1屈曲部51aと、当該第1屈曲部51aから水平方向に戻るように屈曲する第2屈曲部51bである。
【0029】
また、図6乃至図8に示すように、本実施形態の上プレート部材50は、温調機能部7gの上部を収納するための凹部52が設けられている。そして、硬化部51の延在方向と凹部52の延在方向とが交差する領域に、逃がし部53が設けられている。逃がし部53は、上プレート部材50に孔を打ち抜くことで形成されている。この逃がし部53の存在によって、硬化部51の加工と凹部52の加工とが干渉することがないため、上プレート部材50を容易に製造(成形)することができる。
【0030】
更に、図6乃至図8に示すように、本実施形態の上プレート部材50は、後方側(壁面側)端縁に下向きに折り曲げられた折り曲げ部54を有している。
【0031】
一方、図9は、下プレート部材60の斜視図であり、図10は、下プレート部材60の平面図であり、図11は、下プレート部材60の側面図である。図9乃至図11に示すように、本実施形態の下プレート部材60は、平面視で略長方形状である。ここでも、略長方形状というのは、部分的に欠けた箇所を含み得るという意味である。また、図9乃至図11に示すように、本実施形態の下プレート部材60は、温調機能部7gの下部を収納するための凹部62が設けられている。
【0032】
更に、図12は、図2に示した水栓装置1の要部の背面図であり、図13は、当該要部の底面図である。図12及び図13に示すように、本実施形態の下プレート部材60には、止水栓7b、7eを貫通させるための切欠部63が設けられている。また、図12及び図13に示すように、本実施形態の切欠部63は、第1オーバーヘッド吐水部に至る配管8b(オーバーヘッド用流路)と第2オーバーヘッド吐水部に至る配管8d(オーバーヘッド用流路)をも貫通させている。
【0033】
また、図12及び図13から分かるように、押しボタン機構10a、10b(操作部)及び吐水口41、42は、下プレート部材60の長手方向に見て、切欠部63と重複しない位置に配置されている。
【0034】
また、図5及び図9乃至図11に示すように、下プレート部材60は、当該下プレート部材60の長手方向に見て押しボタン機構10a、10b(操作部)及び吐水口41、42の両外側に、上向きに折り曲げられた折り曲げ部65、66を有している。そして、図5に示すように、押しボタン機構10a、10bの固定部材が、当該折り曲げ部65、66に固定されている。折り曲げ部65、66を設けることで、下プレート部材60は強度を増しているため、押しボタン機構10a、10b(の固定部材)は操作時の力を十分に受けることができる。
【0035】
更に、図9乃至図11に示すように、本実施形態の下プレート部材50は、後方側(壁面側)端縁に上向きに折り曲げられた折り曲げ部64を有している。
【0036】
その他、図14は、図3のXIV-XIV線断面矢視図である。図14により、温調機能部7gの上部及び下部が凹部52、62によって収納されている様子が分かる。また、図15は、図3のXV-XV線断面矢視図である。図15により、エルボ流路40eが上プレート部材50と下プレート部材60とによって上下方向に挟まれて支持されている様子が分かる。また、図16は、図4のXVI-XVI線断面矢視図である。図16により、硬化部51が止水栓の7b、7eの前端縁よりも後方側に位置している様子が分かる。
【0037】
また、図6乃至図11に示すように、上プレート部材50は、平面視において、下プレート部材60の切欠部63と重複する位置に切欠部がない。
【0038】
(作用効果)
以上のような本実施形態による水栓装置1(吐水装置)では、吐水口41、42からの吐水を瞬時に停止させる時、いわゆるウォーターハンマーと呼ばれる強い力がエルボ流路46eに作用して、当該エルボ流路46eが上下方向に変位しようとする。しかしながら、本実施形態による水栓装置1では、エルボ流路46eの上方側に配置された上プレート部材50が屈曲部51a、51bからなる硬化部51を有していることにより、エルボ流路46eに作用する力を十分に受容することができる。
【0039】
また、本実施形態の硬化部51はエルボ流路46eよりも後方側に配置されているため、吐水口41、42の配置位置の設計の自由度が阻害されない。従ってシャワーホース43の取り回しに不具合が生じない。
【0040】
また、本実施形態の硬化部51は、上プレート部材50の長手方向に沿って形成されているため、上プレート部材50の強度を効果的に増大させることができる。
【0041】
また、本実施形態の硬化部51は、水平方向から下方側へ屈曲する第1屈曲部51aと、当該第1屈曲部51aから水平方向に戻るように屈曲する第2屈曲部51bと、から構成されているが、これらの屈曲部は、折り曲げ加工によって生成され得る。すなわち、当該折り曲げ加工による加工硬化の効果を得ることができる。また、第1屈曲部51aが下方側へ屈曲していることにより、水栓装置1全体の厚みが厚くなるということが回避されている。
【0042】
そして、図16に示したように、硬化部51は止水栓7b、7eの前端縁よりも後方側に位置しており、すなわち、止水栓7b、7eの上方部のデッドスペースに上プレート部材50の硬化部51が配置されている。このことは、水栓装置1全体の小型化(省スペース化)に寄与している。
【0043】
また、大型の要素部材を含む温調機能部7gを効果的に収納するべく、上プレート部材50及び下プレート部材60に、それぞれ凹部52、62が設けられている。これにより、水栓装置1全体の厚みの薄型化が図られている。また、逃がし部53の存在によって、硬化部51の加工と凹部52の加工とが干渉することがないため、上プレート部材50を容易に製造(成形)することができる。
【0044】
更に、本実施形態による水栓装置1(吐水装置)は、エルボ流路46eが上プレート部材50と下プレート部材60との両方に固定されていることによっても、エルボ流路46eに作用する力を十分に受容することができる。
【0045】
また、下プレート部材60に、止水栓7b、7eを貫通させるための切欠部63が設けられているため、止水栓7b,7e及び流路7c、7fの配置位置の設計の自由度が阻害されないで、薄型の水栓装置1を実現している。
【0046】
また、当該切欠部63は、第1オーバーヘッド吐水部に至る配管8b(オーバーヘッド用流路)と第2オーバーヘッド吐水部に至る配管8d(オーバーヘッド用流路)をも貫通させているため、これらオーバーヘッド用流路が設けられていても、水栓装置1は依然として薄型である。
【0047】
また、押しボタン機構10a、10b(操作部)及び吐水口41、42が、下プレート部材60の長手方向に見て、切欠部63と重複しない位置に配置されていることにより、押しボタン機構10a、10b(の固定部材)は、操作時の力を十分に受けることができ、吐水口41、42は、ウォーターハンマーのような力を十分に受容することができる。
【0048】
更に、下プレート部材60は、当該下プレート部材60の長手方向に見て押しボタン機構10a、10b(操作部)及び吐水口41、42の両外側に、折り曲げ部65、66を有しており、押しボタン機構10a、10bの固定部材が、当該折り曲げ部65、66に固定されているため、押しボタン機構10a、10b(の固定部材)は操作時の力をより一層十分に受けることができ、吐水口41、42はウォーターハンマーのような力をより一層十分に受容することができる。
【0049】
また、上プレート部材50は、平面視において、下プレート部材60の切欠部63と重複する位置に切欠部を有していないため、下プレート部材60の強度が切欠部63の存在によって不十分となり得る箇所において、上プレート部材50によって効果的に強度補強することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 水栓装置
2 カバー
7a 袋ナット
7b 止水栓(湯)
7c 湯供給管
7d 袋ナット
7e 止水栓(水)
7f 水供給管
7g 温調機能部
7h 流調機能部
8a オーバーヘッド吐水切替部
8b 第1オーバーヘッド吐水部に至る配管
8c 袋ナット
8d 第2オーバーヘッド吐水部に至る配管
8e 袋ナット
9a 開閉機構(カラン用)
9b 開閉機構(シャワー用)
10a 押しボタン機構(カラン用)
10b 押しボタン機構(シャワー用)
31 第1オーバーヘッド吐水/オーバーヘッド止水/第2オーバーヘッド吐水の切替操作ハンドル
32 温調ハンドル
33 流調ハンドル
40a カラン用流路
40b シャワー用流路
41 カラン用吐水口
42 シャワー用吐水口
43 シャワーホース
44 シャワーヘッド
50 上プレート部材
51 硬化部
51a 第1屈曲部
51b 第2屈曲部
52 凹部
53 逃がし部
54 折り曲げ部
60 下プレート部材
62 凹部
63 切欠部
64 折り曲げ部
65 折り曲げ部
66 折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16