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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】照明付き鏡
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20220331BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20220331BHJP
   A47K 1/02 20060101ALI20220331BHJP
   A47B 67/02 20060101ALI20220331BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220331BHJP
【FI】
F21V33/00 130
F21V7/09 300
A47K1/02 C
A47K1/02 B
A47B67/02 503A
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018023164
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019139995
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】古來 幸二
(72)【発明者】
【氏名】香坂 幸史
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-025584(JP,U)
【文献】特開2017-098059(JP,A)
【文献】特開2003-116726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
F21V 7/09
A47K 1/02
A47B 67/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を有する枠体と、前記枠体の前方に設けられた鏡と、を有する鏡本体と、
前記収納空間内に設けられた光源部と、
前記鏡本体の上方に設けられ、前記収納空間の上方に位置するとともに、前記収納空間よりも前方まで延びた反射部材と、
を備え、
前記枠体は、前記光源部から照射された光を透過させるための窓部を前記収納空間の上方に有し、
前記光源部は、前方斜め上方に向かって指向性を有する光を照射し、前記窓部を介して前記反射部材に前記光を入射させる発光素子を有し、
前記反射部材は、前記発光素子から照射された光を反射する反射面を有し、
前記反射面は、前記枠体よりも前方に位置する前端部を有し、
前記反射面の前記前端部は、前方斜め上方または水平方向に延びることにより、入射した前記光を前方斜め下方に向かって反射させ、前記鏡の前方に届けることを特徴とする照明付き鏡。
【請求項2】
前記発光素子の光軸は、前記反射部材と交差し、
前記反射部材で反射した光の光軸は、前記鏡の前方に向かって延びることを特徴とする請求項1記載の照明付き鏡。
【請求項3】
前記反射面は、前記枠体の後端から上方に向かって略垂直に立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前方に向かって略水平に延びる延伸部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き鏡。
【請求項4】
前記反射面は、前記立ち上がり部と前記延伸部との間に、緩やかに湾曲する湾曲部をさらに有し、
前記発光素子は、前記光の一部を前記湾曲部に入射させることを特徴とする請求項記載の照明付き鏡。
【請求項5】
前記反射面の前記前端部は、前方斜め上方に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き鏡。
【請求項6】
前記反射面は、前記枠体の後端から前記前端部に向かって上昇傾斜していることを特徴とする請求項1、2、又は5に記載の照明付き鏡。
【請求項7】
前記反射面は、前記枠体の後端から上方及び後方側に向かって凸となる凹曲面状に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き鏡。
【請求項8】
前記反射部材の左右方向の幅は、前記鏡の左右方向の幅と略同一であることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の照明付き鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、照明付き鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡と対面する使用者の顔などを照らすための照明を備えた照明付き鏡が知られている。こうした照明付き鏡において、顔などを明るく照らしつつ、使用者の眩しさを抑制するために、間接照明を用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
例えば、鏡の背面に光源を設け、光を複数回反射させて鏡の正面側に照射する構成が考えられている。しかしながら、このような構成では、十分な明るさを確保することが難しい。また、十分な明るさを確保するために光源から照射される光の出力を上げると、光源の周囲の温度が上昇し、照明に不具合が生じる恐れがある。このため、照明付き鏡では、間接照明とした場合にも、十分な明るさを得られるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-278179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、十分な明るさの間接照明を備えた照明付き鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、収納空間を有する枠体と、前記枠体の前方に設けられた鏡と、を有する鏡本体と、前記収納空間内に設けられた光源部と、前記鏡本体の上方に設けられ、前記収納空間の上方に位置するとともに、前記収納空間よりも前方まで延びた反射部材と、を備え、前記枠体は、前記光源部から照射された光を透過させるための窓部を前記収納空間の上方に有し、前記光源部は、前方斜め上方に向かって指向性を有する光を照射し、前記窓部を介して前記反射部材に前記光を入射させる発光素子を有し、前記反射部材は、入射した前記光を前方斜め下方に向かって反射させ、前記鏡の前方に届けることを特徴とする照明付き鏡である。
【0007】
この照明付き鏡によれば、光源部と反射部材とによって間接照明を構成することができる。これにより、発光素子から照射された光が使用者の眼に直接入射し、使用者に眩しさを与えてしまうことを抑制することができる。そして、発光素子から前方斜め上方に向かって指向性を有する光を照射し、窓部を介して反射部材に光を入射させ、反射部材に入射した光を前方斜め下方に向かって反射させることにより、発光素子から照射された光の大部分を一度の反射で鏡の前方に届けることができる。これにより、光を複数回反射させて鏡の前方に届ける場合などと比べて、発光素子から照射される光のロスを少なくすることができる。例えば、使用者の顔に対して上方から光を届け、化粧や寝起きの状態などを確認するために適した自然な状態を鏡に映すことができるとともに、発光素子から照射される光の出力を抑えることができ、光源部の不具合などを抑制することもできる。従って、十分な明るさの間接照明を備えた照明付き鏡を提供することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記発光素子の光軸は、前記反射部材と交差し、前記反射部材で反射した光の光軸は、前記鏡の前方に向かって延びることを特徴とする照明付き鏡である。
【0009】
この照明付き鏡によれば、発光素子から照射された光の大部分を、より確実に一度の反射で鏡の前方に届けることができる。発光素子から照射される光のロスを、より適切に抑制することができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記反射部材は、前記発光素子から照射された光を反射する反射面を有し、前記反射面の前端部は、略水平であることを特徴とする照明付き鏡である。
【0011】
この照明付き鏡によれば、反射面の前端部が略水平であるため、発光素子から照射された光を、より適切な角度で反射させることができる。鏡の前方により適切に光を届けることができる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記反射面は、前記枠体の後端から上方に向かって略垂直に立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前方に向かって略水平に延びる延伸部と、を有することを特徴とする照明付き鏡である。
【0013】
この照明付き鏡によれば、立ち上がり部と延伸部とを反射面に設けることにより、反射部材の反射面に傾斜などを設ける必要が無く、照明付き鏡の意匠性を向上させることができる。また、略水平な延伸部を設け、前端部よりも後方側まで反射面の略水平な部分を延ばすことにより、発光素子から照射された光を適切な角度でより反射させやすくすることができ、鏡の前方により適切に光を届けることができる。また、略垂直に立ち上がる立ち上がり部を設けることにより、反射面に傾斜などを設ける場合と比べて、延伸部をより長くすることができる。換言すれば、反射面の略水平な部分を、より長くすることができる。さらには、立ち上がり部を設けることにより、反射面の枠体から上方に向かって延びる部分に、発光素子から照射された光を当たり難くすることができる。従って、発光素子から照射された光の大部分を、より確実に一度の反射で鏡の前方に届けることができる。発光素子から照射される光のロスを、より適切に抑制することができる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記反射面は、前記立ち上がり部と前記延伸部との間に、緩やかに湾曲する湾曲部をさらに有し、前記発光素子は、前記光の一部を前記湾曲部に入射させることを特徴とする照明付き鏡である。
【0015】
この照明付き鏡によれば、立ち上がり部と延伸部との間に湾曲部を設けることにより、例えば、立ち上がり部と延伸部との角部に暗がりができることを抑制することができ、より照明付き鏡の意匠性を向上させることができる。
【0016】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記反射部材の左右方向の幅は、前記鏡の左右方向の幅と略同一であることを特徴とする照明付き鏡である。
【0017】
この照明付き鏡によれば、反射部材の左右方向の幅が、鏡の左右方向の幅と略同一であるため、導光板などを用いずに略均一に反射部材の反射面を光らせることができる。そのため、鏡の前方の左右方向の略全体に亘って略均一に光を届けることができる。例えば、化粧や寝起きの状態などを確認するために適した、より自然な状態を鏡に映すことができる。さらには、鏡の幅に合わせた反射部材の幅とすることで、照明付き鏡の意匠性をより向上させることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、十分な明るさの間接照明を備えた照明付き鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台を模式的に表す正面図及び側面図である。
図2】実施形態に係る照明付き鏡を模式的に表す斜視図である。
図3】実施形態に係る照明付き鏡の一部を模式的に表す断面図である。
図4図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る反射部材の変形例を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台を模式的に表す正面図及び側面図である。
図1(a)及び図1(b)に表したように、洗面化粧台2は、支持台3と、洗面器4と、水栓装置5と、照明付き鏡10と、を備える。洗面化粧台2は、洗面所などの洗面空間に設置され、洗面空間の所定の取付面WSに取り付けられた状態で使用される。
【0021】
以下、本願明細書においては、取付面WSの向く方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。また、前方を向いた状態を基準に、右側、左側、上側、下側を、それぞれ「右側方」、「左側方」、「上方」、「下方」とする。
【0022】
支持台3は、洗面器4を支持する。支持台3は、例えば、フロアキャビネットである。この例において、支持台3は、引き出し式のキャビネットである。支持台3は、例えば、観音開き式のキャビネットなどでもよい。支持台3は、洗面器4を支持可能な任意の構成でよい。また、例えば、洗面器4を取付面WSに直接取り付ける場合などには、支持台3を省略してもよい。
【0023】
洗面器4は、支持台3の上に設けられる。洗面器4は、下方に向かって凹んだ凹状の洗面ボウル4aを有する。洗面ボウル4aは、水栓装置5から吐出された水を受ける。
【0024】
水栓装置5は、洗面器4の上に設けられる。水栓装置5は、例えば、洗面器4内に設けてもよいし、取付面WSに取り付けてもよい。水栓装置5は、吐水口5aと、操作部5bと、を有する。吐水口5aは、洗面ボウル4aに向けて水を吐出する。操作部5bは、吐水口5aから吐出される水の流量及び温度を調節する。この例において、操作部5bは、レバーハンドルである。操作部5bは、これに限ることなく、回転型のハンドルなどでもよい。操作部5bは、少なくとも流量を調節できればよい。
【0025】
照明付き鏡10は、洗面器4及び水栓装置5の上に設けられる。照明付き鏡10は、取付面WSに取り付けられる。これにより、照明付き鏡10は、手洗いや洗顔などの洗面行為を行う使用者が、自身の顔や髪などを確認できるようにする。
【0026】
図2は、実施形態に係る照明付き鏡を模式的に表す斜視図である。
図3は、実施形態に係る照明付き鏡の一部を模式的に表す断面図である。
図2及び図3に表したように、照明付き鏡10は、鏡本体12と、光源部14と、反射部材16と、を備える。
【0027】
鏡本体12は、枠体20と、鏡22と、を有する。枠体20は、収納空間24を有する。枠体20は、例えば、略矩形の中空箱状である。鏡22は、枠体20の前方に設けられる。鏡22は、例えば、略矩形の一枚の平板状である。換言すれば、鏡22は、一面鏡である。
【0028】
枠体20は、例えば、一対の側板と、底板と、を有し、鏡22と取付面WSとの間に生じる空間の側方及び下方を覆う。これにより、取付面WSに取り付けられた状態において、鏡22の背面や収納空間24などが、側方及び下方から視認されてしまうことを抑制することができる。照明付き鏡10の意匠性を向上させることができる。
【0029】
枠体20は、例えば、洗面用具などの物品を収納空間24内に収納できるようにしてもよい。すなわち、枠体20は、キャビネットでもよい。この場合、鏡22は、例えば、収納空間24の前方を開閉する扉の前面に取り付けられる。また、この場合、複数の扉のそれぞれに鏡22が取り付けられる可能性がある。すなわち、鏡22は、二面鏡でもよいし、三面鏡などでもよい。
【0030】
光源部14は、収納空間24内に設けられている。光源部14は、発光素子30と、基板32と、を有する。発光素子30は、基板32の上に設けられる。発光素子30は、可視光を照射する。基板32は、例えば、左右方向に延びる平板状である。光源部14は、例えば、左右方向に並べて設けられた複数の発光素子30を有する。これにより、光源部14は、左右方向に延びたライン状の光を照射する。換言すれば、光源部14は、ライン光源である。なお、光源部14において、基板32は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0031】
反射部材16は、鏡本体12の上方に設けられ、収納空間24の上方に位置するとともに、収納空間24よりも前方まで延びる。反射部材16の前端16fは、例えば、鏡22よりも前方に延びる。反射部材16は、発光素子30から照射された光を反射する反射面16rを有する。反射面16rは、例えば、鏡本体12側を向く面である。
【0032】
反射部材16は、発光素子30から照射された光(可視光)に対して光反射性を有する。反射部材16は、例えば、金属板である。反射部材16は、例えば、白色の樹脂材料を用いたものなど、光反射性を有する任意の部材でよい。また、反射部材16は、全体が光反射性を有している必要は無く、少なくとも反射面16rにおいて光反射性を有していればよい。例えば、透明な樹脂の板状の部材の表面に、光反射膜などをコーティングすることによって、反射部材16を構成してもよい。
【0033】
反射部材16の左右方向の幅W1は、例えば、鏡22の左右方向の幅W2と略同一である。ここで、幅W1が幅W2と略同一とは、例えば、幅W1と幅W2との差の絶対値が、5mm以下の状態である。但し、反射部材16の左右方向の幅W1は、鏡22の左右方向の幅W2と異なってもよい。
【0034】
また、光源部14の左右方向の幅W3は、例えば、反射部材16の左右方向の幅W1及び鏡22の左右方向の幅W2よりも僅かに短い程度である。光源部14の幅W3は、例えば、枠体20の一対の側板の厚さの分だけ、反射部材16の幅W1及び鏡22の幅W2よりも短い程度である。幅W1又は幅W2から幅W3を引いた残りの長さは、例えば、20mm程度(10mm以上30mm以下)である。換言すれば、光源部14の左右方向の幅W3は、収納空間24の左右方向の幅と略同一である。
【0035】
枠体20は、光源部14から照射された光を透過させるための窓部26を収納空間24の上方に有する。光源部14は、例えば、収納空間24の上部に設けられる。換言すれば、光源部14は、窓部26に近接して配置される。
【0036】
窓部26は、例えば、開口部26aと、カバー26bと、を有する。開口部26aは、収納空間24を上方に開口させる。カバー26bは、枠体20の上部に設けられ、開口部26aを塞ぐ。カバー26bは、光源部14から照射された光に対して光透過性を有する。カバー26bは、例えば、透明な平板状である。これにより、カバー26bは、光源部14から照射された光を透過させつつ、開口部26aから塵埃などが収納空間24内に侵入してしまうことを抑制する。カバー26bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。すなわち、開口部26aを窓部26として用いてもよい。窓部26の構成は、収納空間24内に設けられた光源部14から照射された光を収納空間24の外部に出射させることができる任意の構成でよい。
【0037】
発光素子30は、前方斜め上方に向かって指向性を有する光を照射し、窓部26を介して反射部材16に光を入射させる。発光素子30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。これにより、上記のように、指向性を有する光を照射することができる。但し、発光素子30は、LEDに限ることなく、例えば、レーザダイオードなど、指向性を有する光を照射可能な任意の発光素子でよい。
【0038】
反射部材16は、入射した光を前方斜め下方に向かって反射させ、鏡22の前方に届ける。発光素子30の光軸LA1は、反射部材16と交差する。反射部材16で反射した光の光軸LA2は、鏡22の前方に向かって延びる。光軸LA2は、例えば、鏡本体12に遮られることなく、鏡22の前方に向かって延びる。光軸LA2は、例えば、光軸LA1と反射の法則が成り立つ軸である。すなわち、反射部材16の反射面16rの垂線と光軸LA2との成す角度θ2は、反射部材16の反射面16rの垂線と光軸LA1との成す角度θ1と実質的に同じである。
【0039】
反射面16rの前端部16xは、略水平である。反射面16rの前端部16xとは、例えば、反射面16rにおいて、枠体20よりも前方に位置する部分である。反射面16rは、枠体20の後端から上方に向かって略垂直に立ち上がる立ち上がり部16aと、立ち上がり部16aの上端から前方に向かって略水平に伸びる延伸部16bと、を有する。すなわち、この例では、延伸部16bによって、反射面16rの前端部16xが、略水平となる。
【0040】
ここで、略水平とは、例えば、水平面との平行度公差が、2mm以内の状態である。略垂直とは、例えば、上下方向及び左右方向に沿う垂直面との平行度公差が、2mm以内の状態である。
【0041】
また、この例において、反射面16rは、立ち上がり部16aと延伸部16bとの間に設けられ、緩やかに湾曲する湾曲部16cをさらに有する。発光素子30は、光の一部Lpを湾曲部16cに入射させる。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態に係る照明付き鏡10では、光源部14と反射部材16とによって間接照明を構成することができる。これにより、発光素子30から照射された光が使用者の眼に直接入射し、使用者に眩しさを与えてしまうことを抑制することができる。そして、発光素子30から前方斜め上方に向かって指向性を有する光を照射し、窓部26を介して反射部材16に光を入射させ、反射部材16に入射した光を前方斜め下方に向かって反射させることにより、発光素子30から照射された光の大部分を一度の反射で鏡22の前方に届けることができる。これにより、光を複数回反射させて鏡22の前方に届ける場合などと比べて、発光素子30から照射される光のロスを少なくすることができる。例えば、使用者の顔に対して上方から光を届け、化粧や寝起きの状態などを確認するために適した自然な状態を鏡22に映すことができるとともに、発光素子30から照射される光の出力を抑えることができ、光源部14の不具合などを抑制することもできる。従って、十分な明るさの間接照明を備えた照明付き鏡10を提供することができる。
【0043】
また、照明付き鏡10では、発光素子30の光軸LA1が、反射部材16と交差し、反射部材16で反射した光の光軸LA2が、鏡22の前方に向かって延びる。これにより、発光素子30から照射された光の大部分を、より確実に一度の反射で鏡22の前方に届けることができる。発光素子30から照射される光のロスを、より適切に抑制することができる。
【0044】
また、照明付き鏡10では、反射面16rの前端部16xが略水平であるため、発光素子30から照射された光を、より適切な角度で反射させることができる。例えば、反射面16rの前端部16xが前方に向かって上昇傾斜している場合には、より前方側に光が反射してしまう。例えば、使用者の顔の後ろ側に光が向かってしまう。反対に、反射面16rの前端部16xが前方に向かって下降傾斜している場合には、鏡本体12側に光が反射してしまう。従って、上記のように、反射面16rの前端部16xを略水平とすることにより、鏡22の前方により適切に光を届けることができる。
【0045】
また、照明付き鏡10では、立ち上がり部16aと延伸部16bとを反射面16rに設けることにより、反射部材16の反射面16rに傾斜などを設ける必要が無く、照明付き鏡10の意匠性を向上させることができる。また、略水平な延伸部16bを設け、前端部16xよりも後方側まで反射面16rの略水平な部分を延ばすことにより、発光素子30から照射された光を適切な角度でより反射させやすくすることができ、鏡22の前方により適切に光を届けることができる。また、略垂直に立ち上がる立ち上がり部16aを設けることにより、反射面16rに傾斜などを設ける場合と比べて、延伸部16bをより長くすることができる。換言すれば、反射面16rの略水平な部分を、より長くすることができる。さらには、立ち上がり部16aを設けることにより、反射面16rの枠体20から上方に向かって延びる部分に、発光素子30から照射された光を当たり難くすることができる。従って、発光素子30から照射された光の大部分を、より確実に一度の反射で鏡22の前方に届けることができる。発光素子30から照射される光のロスを、より適切に抑制することができる。
【0046】
また、照明付き鏡10では、立ち上がり部16aと延伸部16bとの間に湾曲部16cを設けることにより、例えば、立ち上がり部16aと延伸部16bとの角部に暗がりができることを抑制することができ、より照明付き鏡10の意匠性を向上させることができる。
【0047】
また、照明付き鏡10では、反射部材16の左右方向の幅W1が、鏡22の左右方向の幅W2と略同一であるため、導光板などを用いずに略均一に反射部材16の反射面16rを光らせることができる。そのため、鏡22の前方の左右方向の略全体に亘って略均一に光を届けることができる。例えば、化粧や寝起きの状態などを確認するために適した、より自然な状態を鏡に映すことができる。さらには、鏡22の幅W2に合わせた反射部材16の幅W1とすることで、照明付き鏡10の意匠性をより向上させることもできる。
【0048】
図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る反射部材の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は、省略する。
図4(a)に表したように、反射部材16は、反射面16rを前方に向かって上昇傾斜させるとともに、前端部16xを略水平とした形状としてもよい。図4(b)に表したように、反射部材16は、反射面16rの略全体を前方に向かって上昇傾斜させた形状としてもよい。
【0049】
図4(c)に表したように、反射部材16は、反射面16rを上方及び後方側に向かって凸となる凹曲面状にするとともに、前端部16xを略水平とした形状としてもよい。あるいは、図4(d)に表したように、反射部材16は、反射面16rの略全体を凹曲面状としてもよい。
【0050】
このように、反射部材16の形状は、発光素子30から入射した光を前方斜め下方に向かって反射させ、鏡22の前方に届けることができる任意の形状でよい。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台2、照明付き鏡10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
2 洗面化粧台、 3 支持台、 4 洗面器、 5 水栓装置、 10 照明付き鏡、 12 鏡本体、 14 光源部、 16 反射部材、 16a 立ち上がり部、 16b 延伸部、 16c 湾曲部、 16f 前端、 16r 反射面、 16x 前端部、 20 枠体、 22 鏡、 24 収納空間、 26 窓部、 26a 開口部、 26b カバー、 30 発光素子、 32 基板
図1
図2
図3
図4