(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】芯地接着装置
(51)【国際特許分類】
A41H 43/04 20060101AFI20220331BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A41H43/04 B
B65H37/04 A
(21)【出願番号】P 2017236521
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-10-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年6月10日-11日第41回2017東北アパレル産業機器展で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】391060465
【氏名又は名称】アサヒ繊維機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】木村 正樹
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-089989(JP,U)
【文献】実開昭55-008438(JP,U)
【文献】特開平08-209428(JP,A)
【文献】実開平06-006425(JP,U)
【文献】実開平06-010327(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 43/04
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地及び芯地を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトで搬送される前記生地及び前記芯地を加熱する加熱ヒーターと、
前記搬送ベルトに接触して配置され、当該搬送ベルトとの接触部において当該搬送ベルトの走行方向と反対方向に回転駆動される剥離ローラーと、
前記搬送ベルトから搬出される前記生地及び前記芯地を搬送する搬出ベルトと、
前記搬出ベルトを張架する張架ローラーと、
を備える芯地接着装置であって、
前記剥離ローラーには、前記剥離ローラーから内側の中空部に突出する突起部が形成されており、
前記張架ローラーの外周面には、前記突起部が挿入可能な溝部が軸方向に沿って形成されており、
前記剥離ローラーは、前記搬送ベルトとの接触部がブラシ状のブラシローラーであ
って、前記剥離ローラーの前記突起部が前記張架ローラーの前記溝部に軸方向に沿って挿入されることにより当該張架ローラーに嵌挿され、当該剥離ローラー及び当該張架ローラーが従動する、
芯地接着装置。
【請求項2】
前記剥離ローラーの軸方向において断続的な位置で前記搬送ベルトと接触する複数の前記剥離ローラーを備える、
請求項1に記載の芯地接着装置。
【請求項3】
複数の前記剥離ローラー及び複数の前記搬出ベルトを備え、
前記剥離ローラー及び前記搬出ベルトが前記張架ローラーの軸方向に交互に配置され、前記剥離ローラーの先端が前記搬出ベルトよりも外側に突出して前記搬送ベルトに接触し、前記搬出ベルトが前記搬送ベルトに接触しない、
請求項
1又は2に記載の芯地接着装置。
【請求項4】
前記張架ローラーの軸方向において前記搬出ベルト各々の間に間隙が形成されている、
請求項
3に記載の芯地接着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服などの生地に芯地を接着する芯地接着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服などの生地に芯地を接着する芯地接着装置として、生地及び芯地を搬送ベルトで搬送しつつ当該芯地に塗布されている樹脂接着剤を溶融して生地に接着させる連続式の芯地接着装置が知られている。この種の連続式の芯地接着装置では、芯地が接着された生地を搬送ベルトから剥離する必要がある。そのため、従来手法として、搬送ベルトにおける生地の剥離位置に板状のスクレーパーを接触させることにより生地を剥離することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スクレーパーを用いた剥離手法では、スクレーパーの摩耗などの経年劣化により剥離性能が低下することがあり、生地がスクレーパーと搬送ベルトとの間に挟まるおそれもある。
【0004】
本発明の目的は、生地を搬送ベルトから剥離する剥離性能を高めることが可能な芯地接着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る芯地接着装置は、生地及び芯地を搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトで搬送される前記生地及び前記芯地を加熱する加熱ヒーターと、前記搬送ベルトに接触して配置され、当該搬送ベルトとの接触部において当該搬送ベルトの走行方向と反対方向に回転駆動される剥離ローラーと、を備える。そして、前記剥離ローラーは、前記搬送ベルトとの接触部がブラシ状のブラシローラーである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生地を搬送ベルトから剥離する剥離性能を高めることが可能な芯地接着装置を提供することが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る芯地接着装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る芯地接着装置の要部構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る芯地接着装置で用いられる剥離ブラシを示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る芯地接着装置で用いられる剥離ブラシを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、以下の実施形態で説明する各構成及び各処理機能は必要に応じて取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0009】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る芯地接着装置10は、搬入部11と、接着部12と、搬出部13とを備える。
【0010】
搬入部11は、衣服などの生地20と芯地21とが重ねて載置された状態で、当該生地20及び芯地21を搬送方向D1に沿って接着部12に向けて搬入するための作業台である。なお、芯地21には接着剤が塗布されており、当該接着剤が加熱されて溶融することで芯地21が生地20に接着される。
【0011】
接着部12は、搬入部11から搬入される生地20及び芯地21を搬送しながら加熱することにより生地20及び芯地21を接着させる。具体的に、接着部12は、上搬送部14と下搬送部15とを備える。上搬送部14は、搬送ベルト140、ピックアップローラー141、二つの張架ローラー142、及び搬出ローラー143、剥離ローラー144、加熱ヒーター145、及び圧力ローラー146などを備える。下搬送部15は、搬送ベルト150、ピックアップローラー151、二つの張架ローラー152、及び搬出ローラー153、加熱ヒーター154、及び圧力ローラー155などを備える。なお、ピックアップローラー141、151、張架ローラー142、152、搬出ローラー143、153、剥離ローラー144、圧力ローラー146、155などは、接着部12の筐体に回転可能に軸支されている。
【0012】
搬送ベルト140は、ガラス製ベルトであり、表面にはテフロン(登録商標)などによるフッ素樹脂加工が施されている。搬送ベルト140は、ピックアップローラー141、二つの張架ローラー142、搬出ローラー143によって張架されており、搬送ベルト150に当接している。なお、張架ローラー142の少なくとも一つには搬送ベルト140を張架する方向に付勢するバネが設けられている。また、搬出ローラー143は不図示の第1駆動モーターに連結されており、当該第1駆動モーターの駆動によって搬送ベルト140が走行方向D2に沿って走行する。
【0013】
同様に、搬送ベルト150は、ガラス製ベルトであり、表面にはテフロンなどによるフッ素樹脂加工が施されている。搬送ベルト150は、ピックアップローラー151、二つの張架ローラー152、搬出ローラー153によって張架されており、搬送ベルト140に当接している。なお、張架ローラー152の少なくとも一つには搬送ベルト150を張架する方向に付勢するバネが設けられている。また、搬出ローラー153は不図示の第2駆動モーターに連結されており、当該第2駆動モーターの駆動によって搬送ベルト150が走行方向D3に沿って走行する。なお、搬出ローラー143及び搬出ローラー153に連結された前記第1駆動モーター及び前記第2駆動モーター各々は同じ速度で駆動される。
【0014】
これにより、搬入部11から搬入される生地20及び芯地21は、搬送ベルト140及び搬送ベルト150に挟持された状態で搬送方向D1に沿って搬送される。なお、前記第1駆動モーター及び前記第2駆動モーター各々の連結部は搬出ローラー143及び搬出ローラー153に限らず、ピックアップローラー141、151、張架ローラー142、152などであってもよい。また、搬送ベルト140及び搬送ベルト150が同一の駆動モーターからの駆動力によって走行する構成であってもよい。
【0015】
加熱ヒーター145は、例えば電熱ヒーター、ハロゲンヒーター、又はスチームヒーター等であり、搬送ベルト140を接触又は非接触により加熱する。これにより、搬送ベルト140によって搬送される芯地及び生地が、加熱ヒーター145から搬送ベルト140を介して伝達される熱で加熱される。
【0016】
加熱ヒーター154は、例えば電熱ヒーター、ハロゲンヒーター、又はスチームヒーター等であり、搬送ベルト150を接触又は非接触により加熱する。これにより、搬送ベルト150によって搬送される生地20及び芯地21が、加熱ヒーター154から搬送ベルト150を介して伝達される熱で加熱される。
【0017】
圧力ローラー146及び圧力ローラー155は、搬送ベルト140及び搬送ベルト150が圧接されるように、いずれか一方又は両方が他方のベルト張架位置に干渉する位置に配置されている。即ち、搬送ベルト140及び搬送ベルト150は、圧力ローラー146、圧力ローラー155、及び搬出ローラー143を通過する際は上下方向に蛇行することになる。これにより、圧力ローラー146及び圧力ローラー155は、搬送ベルト140及び搬送ベルト150で搬送される生地20及び芯地21を圧接させることにより、その生地20及び芯地21を加熱ヒーター145及び加熱ヒーター154で加熱されて溶融した接着剤で接着させる。また、圧力ローラー155は、搬出ローラー143との間でも、搬送ベルト140及び搬送ベルト150で搬送される生地20及び芯地21を圧接させることが可能である。
【0018】
このように、接着部12では、搬入部11から搬入される生地20及び芯地21が搬送方向D1に沿って搬送される際に、生地20及び芯地21の間の接着剤が加熱ヒーター145及び加熱ヒーター154からの熱で溶融されて生地20及び芯地21が接着される。
【0019】
剥離ローラー144は、搬出ローラー143に対向する位置で搬送ベルト140に接触して配置されており、表面に凹凸を有する形状である。また、剥離ローラー144は、搬出ローラー143に連結された前記第1駆動モーターからの駆動力を伝達する駆動機構に連結されており、搬出ローラー143と同じ方向に回転する。これにより、剥離ローラー144及び搬送ベルト140の接触部において、剥離ローラー144及び搬送ベルト140の表面は反対方向に移動する。即ち、剥離ローラー144は、搬送ベルト140との接触部において、搬送ベルト140の走行方向D2と反対方向に回転駆動される。そのため、剥離ローラー144は、仮に搬送ベルト140に生地20及び芯地21が付着している場合でも、その生地20及び芯地21を搬送ベルト140から剥離することが可能である。なお、剥離ローラー144は、搬送ベルト140よりも早い速度で回転されてもよいが、搬送ベルト140と同じ速度で回転されてもよい。
【0020】
搬出部13は、接着部12から搬出される生地20及び芯地21を搬送する。具体的に、搬出部13は、
図1及び
図2に示されるように、複数の搬出ベルト130、張架ローラー131、張架ローラー132、及び複数の剥離ローラー133等を備える。なお、
図2は、搬出ベルト130、張架ローラー131、張架ローラー132、剥離ローラー133、及び搬出ローラー153の位置関係を説明するための平面模式図である。
【0021】
搬出ベルト130各々は、綿などで生成された布製ベルトであり、張架ローラー131及び張架ローラー132によって張架されている。なお、張架ローラー131及び張架ローラー132は、搬出部13の筐体に回転可能に軸支されている。また、張架ローラー131及び張架ローラー132のいずれか一方は不図示の第3駆動モーターに連結されており、当該第3駆動モーターの駆動によって搬出ベルト130が走行方向D4に沿って走行する。なお、張架ローラー132の回転方向は搬出ローラー153と同じ方向である。また、張架ローラー132が、搬出ローラー153に連結された前記第2駆動モーターからの駆動力を伝達する伝達機構に連結されていることも考えられる。即ち、搬出ベルト130及び搬送ベルト150が同一の駆動源によって駆動されてもよい。また、搬出ベルト130、搬送ベルト140、及び搬送ベルト150が同一の駆動源によって駆動されてもよい。
【0022】
剥離ローラー133各々は、張架ローラー132に嵌挿(外嵌)されており、搬出ローラー153に対向する位置で搬送ベルト150に接触して配置され、当該搬送ベルト150との接触部がブラシ状のブラシローラーである。また、張架ローラー132には、左右方向において搬出ベルト130及び剥離ローラー133が交互に配置されており、搬出ベルト130各々の間には間隙が設けられている。剥離ローラー133の外周のブラシ部分の先端は、搬出ベルト130よりも外側に突出しており、剥離ローラー133の先端は搬送ベルト150に接触するが、搬出ベルト130は搬送ベルト150に接触しない。なお、芯地接着装置10の上下方向においても、剥離ローラー133の先端が搬出ベルト130よりも上方及び下方に突出しており、接着部12から排出される生地20及び芯地21は、剥離ローラー133に接触して搬送方向D1に所定量だけ搬送された後、搬出ベルト130上に載置されて当該搬出ベルト130に搬送される。
【0023】
ここに、
図3は、剥離ローラー133の構成を説明するための模式図であって、
図3(A)は正面図、
図3(B)は平面図である。
図3に示されるように、剥離ローラー133は、金属部133A、ブラシ部133B、突起部133C、及び止め具133Dを有しており、中空部133Eが形成された中空環状の部材である。なお、ブラシ部133Bでは、当該ブラシ部133Bを形成する毛状の材料が多数外側に向けて並べられている。なお、ブラシ部133Bの材料は、例えばナイロン、ポリエステル、又はフッ素樹脂(テフロンなど)である。止め具133Dは、ブラシ部133Bを金属部133Aに止めるための針金などの部材である。
【0024】
金属部133Aは、平板状の金属板がU字状に加工されることにより形成された中空環状に形成されている。ここに、
図4は、
図3(A)におけるA-A矢視断面図において剥離ローラー133の製造方法を説明するための図である。
図4(A)に示されるように、金属部133AのU字状の凹部に対して、ブラシ部133Bを形成する毛状の材料を先端が左右方向となるように並べた状態にする。その後、止め具133Dをブラシ部133Bに押し当てて金属部133AのU字状の凹部に挿入されることにより、
図4(B)に示されるように、ブラシ部133Bの両端が外側に向けられ、搬送ベルト150との接触部がブラシ状のブラシローラーである剥離ローラー133が形成される。なお、ブラシ部133Bの先端は、高さを揃えるため、止め具133Dで止められた後に先端がカットされる。
【0025】
また、突起部133Cは、剥離ローラー133の金属部133Aから内側の中空部133Eに向けて突出している。一方、張架ローラー132の外周面には、剥離ローラー133の突起部133Cが挿入可能な溝部が軸方向に沿って形成されている。そして、剥離ローラー133は、突起部133Cが前記溝部に軸方向に沿って挿入されることにより張架ローラー132に固定され、当該張架ローラー132の回転に従動する。これにより、芯地接着装置10の組み立て作業が容易となる。なお、剥離ローラー133及び張架ローラー132の固定手法はこれに限らない。例えば、剥離ローラー133が前記溝部を有しない張架ローラー132に圧入(外嵌)されることにより、突起部133Cで剥離ローラー133が張架ローラー132に固定され、当該張架ローラー132の回転に従動してもよい。
【0026】
そして、張架ローラー132が前記駆動モーターによって駆動されることにより、搬出ローラー153と同じ方向に回転すると、剥離ローラー133及び搬送ベルト150の接触部では、剥離ローラー133及び搬送ベルト150の表面が反対方向に移動する。そのため、剥離ローラー133は、仮に搬送ベルト150に生地20及び芯地21が付着している場合でも、その生地20及び芯地21を搬送ベルト150から剥離することが可能である。なお、剥離ローラー133で剥離された生地20及び芯地21は、搬出ベルト130によって更に下流側に搬送される。また、剥離ローラー133各々は、張架ローラー132において搬出ベルト130各々を挟んで断続的に設けられているため、生地20及び芯地21を必要以上に巻き込むことなく剥離して搬出ベルト130で搬送することが可能である。また、搬出ベルト130各々の間に間隙が形成されているため、当該搬出ベルト130で搬送される生地20及び芯地21を接着する接着剤が効果的に乾燥されて接着位置ずれも抑制される。また、搬送ベルト140に対してブレードを当接させる従来手法では、当該ブレードが摩耗しやすいが、芯地接着装置10では、搬送ベルト140に剥離ローラー133のブラシ部133Bが当接しており、当該剥離ローラー133の摩耗が抑制されるため、芯地接着装置10の耐久性が高まる。
【0027】
なお、剥離ローラー133は、張架ローラー132の軸方向に長尺状の部材であってもよい。但し、剥離ローラー133が張架ローラー132の軸方向に長尺状の部材である場合には、当該剥離ローラー133による生地20及び芯地21の剥離作用が強くなり、生地20及び芯地21を巻き込むおそれがあるため、例えば剥離ローラー133と生地20及び芯地21との接触面積を低減するためのワイヤー部材又は櫛状部材が設けられることが考えられる。
【符号の説明】
【0028】
10 芯地接着装置
11 搬入部
12 接着部
13 搬出部
133 剥離ローラー
14 上搬送部
140 搬送ベルト
143 搬出ローラー
144 剥離ローラー
15 下搬送部
150 搬送ベルト
153 搬出ローラー