(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ヒューズ及び車載機器
(51)【国際特許分類】
H01H 85/147 20060101AFI20220331BHJP
H01H 85/165 20060101ALI20220331BHJP
H01H 85/20 20060101ALI20220331BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
H01H85/147
H01H85/165
H01H85/20 D
B60R16/02 635
(21)【出願番号】P 2020202068
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2021-08-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000204044
【氏名又は名称】太平洋精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】桝田 了輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】小田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】久家 侑
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智香子
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-089750(JP,U)
【文献】特開平10-321107(JP,A)
【文献】特開2002-163974(JP,A)
【文献】特開2005-166410(JP,A)
【文献】特開2002-038295(JP,A)
【文献】特開2011-076772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/147
H01H 85/165
H01H 85/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器が備え
、複数の貫通孔を有する回路基板に取り付けられるヒューズであって、
一列に並べられている長板状の複数の端子と、
前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、
前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングと
を備え、
電流は前記溶断部を介して流れ、
前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度を超えた場合に溶断され、
前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、
各端子は、
金属体と、
前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、
一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、
前記第1板部分に連結している第2板部分と
を有し、
前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、
前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、
前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さ
く、
前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、
前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記回路基板に当たる
ヒューズ。
【請求項2】
前記複数の端子の並び方向の両側に配置されている2つの端子について、2つの第2板部分は、前記並び方向の内側に位置している
請求項1に記載のヒューズ。
【請求項3】
前記ハウジングから突出している複数の第1板部分の先端面は同一平面上に位置する
請求項1又は請求項2に記載のヒューズ。
【請求項4】
ヒューズと、
前記ヒューズが取り付けられる回路基板と
を備え、
前記ヒューズは、
一列に並べられている長板状の複数の端子と、
前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、
前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆い、耐熱性を有するハウジングと
を有し、
電流は前記溶断部を介して流れ、
前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度以上となった場合に溶断され、
前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、
各端子は、
金属体と、
前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、
一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、
前記第1板部分に連結している第2板部分と
を有し、
前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、
前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、
前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さく、
前記回路基板は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板を貫通する複数の貫通孔と、
前記絶縁基板を覆う複数の基板メッキと
を有し、
前記複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入されており、半田によって前記複数の基板メッキに接続され
、
前記複数の基板メッキそれぞれは、前記複数の貫通孔周辺の前記絶縁基板を覆い、
前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、
前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記複数の基板メッキに当たっている
車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヒューズ及び車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車載機器には、電気機器に過電流が流れることを防止するためにヒューズが設けられている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載のヒューズは、所謂、ブレード型のヒューズである。ブレード型のヒューズでは2つの端子は長板状をなす。2つの端子は溶断部に接続されている。2つの端子の一部と溶断部とはハウジングによって覆われている。電流は、一方の端子、溶断部及び他方の端子の順に流れる。溶断部が溶断されることによって、過電流の通流が防止される。
【0003】
特許文献1では、回路基板上にブレード型のヒューズが挿入されるヒューズホルダが取り付けられている。ヒューズの溶断部が溶断された場合、ヒューズをヒューズホルダから取り外し、新たなヒューズをヒューズホルダに挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ヒューズホルダにブレード型のヒューズを挿入することによって車載機器が実現されている。この車載機器の構成は、ヒューズホルダが回路基板上に取り付けられている構成であるため、サイズが大きいという問題がある。車両内では、限られた領域に多数の機器を配置するため、車載機器のサイズは小さいことが好ましい。
【0006】
小型の車載機器を実現する方法として、ブレード型のヒューズを半田で基板に直接取り付ける方法がある。通常、回路基板には、ヒューズとは異なる多くの部品が半田で取り付けられている。半田で部品を取り付ける方式としてリフロー方式がある。リフロー方式では、回路基板を覆う基板メッキ上にペースト状の半田を塗布し、半田の上に部品の電極を配置する。この状態で、熱風の吹き付け又は赤外線の照射を行う。これにより、半田が溶け、部品の電極と基板メッキとが半田によって接続される。
【0007】
ヒューズ以外の部品がリフロー方式で回路基板に取り付けられる場合、全ての部品を回路基板に取り付ける工程を安価に実現するためには、ブレード型のヒューズもリフロー方式で回路基板に取り付けられることが好ましい。しかしながら、ブレード型のヒューズは、ヒューズホルダに挿入することを前提として製造されている。このため、ブレード型のヒューズは、現状、リフロー方式での取り付けに適した部品ではない。
【0008】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リフロー方式での回路基板への取り付けに適した構成を有するヒューズと、このヒューズを備える車載機器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るヒューズは、車載機器が備え、複数の貫通孔を有する回路基板に取り付けられるヒューズであって、一列に並べられている長板状の複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングとを備え、電流は前記溶断部を介して流れ、前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度を超えた場合に溶断され、前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、各端子は、金属体と、前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、前記第1板部分に連結している第2板部分とを有し、前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さく、前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記回路基板に当たる。
【0010】
本開示の一態様に係る車載機器は、ヒューズと、前記ヒューズが取り付けられる回路基板とを備え、前記ヒューズは、一列に並べられている長板状の複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆い、耐熱性を有するハウジングとを有し、電流は前記溶断部を介して流れ、前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度以上となった場合に溶断され、前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、各端子は、金属体と、前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、前記第1板部分に連結している第2板部分とを有し、前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さく、前記回路基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通する複数の貫通孔と、前記絶縁基板を覆う複数の基板メッキとを有し、前記複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入されており、半田によって前記複数の基板メッキに接続され、前記複数の基板メッキそれぞれは、前記複数の貫通孔周辺の前記絶縁基板を覆い、前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記複数の基板メッキに当たっている。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、ヒューズの構成がリフロー方式での回路基板への取り付けに適している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1におけるヒューズの正面図である。
【
図5】
図1の上側から見た端子及び溶断部の状態の説明図である。
【
図6】ヒューズが回路基板に取り付けられた状態を示す説明図である。
【
図7】ヒューズが回路基板に取り付けられた状態を示す他の説明図である。
【
図9】2つの貫通孔間の距離が短い場合に得られる効果の説明図である。
【
図10】実施形態2におけるヒューズの正面図である。
【
図12】ヒューズが回路基板に取り付けられた状態を示す説明図である。
【
図13】両側に配置されている2つの貫通孔間の距離が短い場合に得られる効果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0014】
(1)本開示の一態様に係るヒューズは、車載機器が備えるヒューズであって、一列に並べられている長板状の複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングとを備え、電流は前記溶断部を介して流れ、前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度を超えた場合に溶断され、前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、各端子は、金属体と、前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、前記第1板部分に連結している第2板部分とを有し、前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さい。
【0015】
上記の態様にあっては、リフロー方式で回路基板への取り付けを行う場合、熱風がハウジングに吹き付けられるか、又は、赤外線がハウジングに照射される。これにより、ハウジングの温度が上昇する。ハウジングは耐熱性を有する。このため、ハウジングの温度がX度以下である場合、ハウジングにおいて変形又は溶融が発生することはない。ここで、Xは正の実数である。ハウジングに関して、300度以上の耐熱性は、Xが300以上であることを意味する。ハウジングにおいて変形又は溶融が発生しない場合、ハウジングの形状が維持される。ハウジングは300度以上の耐熱性を有しているので、ハウジングにおいては、熱風の吹き付け又は赤外線の照射によって、溶融又は変形が発生することはない。結果、構成は、リフロー方式での回路基板への取り付けに適している。
【0016】
また、各端子では、金属体の表面が錫製の端子メッキで覆われている。半田には、通常、錫成分が含まれている。従って、錫製の端子メッキを有する端子に関して、半田の馴染み易さ、所謂、濡れ性が高い。このため、半田が端子に強力に接着する。
【0017】
更に、ハウジングから突出している第1板部分の先端面から第2板部分が突出しており、段差構造が実現されている。回路基板では、絶縁基板に貫通孔が設けられており、貫通孔の内面と、貫通孔周辺の絶縁基板とを基板メッキが覆っている。例えば、面積が第2板部分の断面積よりも若干大きい貫通孔が設けられる。この場合において、第2板部分が貫通孔に挿入されたとき、第1板部分は、貫通孔を通らず、貫通孔周辺の基板メッキに当たる。このとき、ハウジングは、第1板部分によって回路基板から離れている。この場合においては、半田で端子を回路基板に取り付けたときに、フィレット形状の半田が形成され易い。フィレット形状の半田が形成されることは、良好な取り付けが実現されていることを意味する。
【0018】
また、基板メッキ上にペースト状の半田を塗布した状態で貫通孔に端子が挿入される。前述したように段差構造が実現されているため、貫通孔に端子が挿入された場合、ハウジングがペースト状の半田に接触することはない。このため、リフロー方式で半田を溶かした場合に、ボール状の半田が形成される可能性は低い。
【0019】
更に、第2板部分の断面積が第1板状部分の断面積よりも小さく、第2板部分は細い。このため、第2板部分を挿入する貫通孔として、面積が小さい貫通孔を用いることができる。この場合においては、第2板部分と貫通孔との間の隙間が小さい。このため、例えば、ハウジングに熱風が吹き付けられた場合であっても、第2板部分、即ち、ヒューズが大きく傾くことがなく、ハウジングは回路基板の板面に対して略垂直に立っている。結果、リフロー方式で実装を行う場合に、治具によってハウジングを、略垂直に立っている状態で固定する必要がなく、安価な実装を実現することができる。
【0020】
(2)本開示の一態様に係るヒューズでは、前記複数の端子の並び方向の両側に配置されている2つの端子について、2つの第2板部分は、前記並び方向の内側に位置している。
【0021】
上記の態様にあっては、並び方向の両側に配置されている2つの端子について、2つの第2板部分の距離は短い。このため、第2板部分が回路基板の貫通孔に挿入される構成では、両側に配置されている2つの端子が挿入される2つの貫通孔間の距離は短い。通常、貫通孔の内面と、貫通孔周辺の絶縁基板とは基板メッキで覆われており、半田によって端子が基板メッキに接続される。部品が取り付けられる回路基板として、絶縁基板の内部に配線パターンが形成されている回路基板を用いる場合がある。絶縁基板の表面及び内部において、隣り合う2つの貫通孔間に配線パターンが設けられないことが多い。2つの端子が挿入される貫通孔間の距離は短い場合、絶縁基板の表面及び内部において、配線パターンを形成することができる許可領域が広いので、配線パターンの設計の自由度は高い。
【0022】
(3)本開示の一態様に係るヒューズでは、前記ハウジングから突出している複数の第1板部分の先端面は同一平面上に位置する。
【0023】
上記の態様にあっては、複数の端子は、回路基板に設けられた複数の貫通孔に挿入される。例えば、貫通孔の面積が第2板部分の断面積よりも若干大きい場合において、複数の第2板部分を複数の貫通孔に挿入したとき、複数の第1板部分それぞれは、貫通孔周辺の回路基板に当たる。複数の第1板部分の先端面は同一平面上に位置する。このため、ヒューズは安定した状態で回路基板によって支持される。
【0024】
(4)本開示の一態様に係る車載機器は、ヒューズと、前記ヒューズが取り付けられる回路基板とを備え、前記ヒューズは、一列に並べられている長板状の複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子に接続される溶断部と、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆い、耐熱性を有するハウジングとを有し、電流は前記溶断部を介して流れ、前記溶断部は、前記溶断部の温度が所定温度以上となった場合に溶断され、前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有し、各端子は、金属体と、前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと、一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、前記第1板部分に連結している第2板部分とを有し、前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、前記第2板部分の断面積は前記第1板部分の断面積よりも小さく、前記回路基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通する複数の貫通孔と、前記絶縁基板を覆う複数の基板メッキとを有し、前記複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入されており、半田によって前記複数の基板メッキに接続されている。
【0025】
上記の態様にあっては、ヒューズが有する複数の端子それぞれを、絶縁基板に設けられている複数の貫通孔に挿入する。その後、複数の端子それぞれを、半田によって複数の基板メッキに接続する。これにより、機器が実現される。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るヒューズの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(実施形態1)
<ヒューズの構成>
図1は実施形態1におけるヒューズ1の正面図である。
図2はヒューズ1の側面図である。ヒューズ1は、樹脂製のハウジング10を備える。
図1及び
図2に示すように、ヒューズ1では、ハウジング10の共通の一面から2つの端子11が突出している。各端子11は導電性を有する。
【0028】
図3は端子11の断面図である。各端子11は長板状の金属体30を有する。各端子11では、金属体30の両側の板面は錫(Sn)製の端子メッキ31によって覆われている。板面は板の幅広面である。各端子11の側面では、金属体30が露出している。金属体30及び端子メッキ31は導電性を有する。金属体30は、例えば、亜鉛合金を用いて製造される。
図3以外の図面では、金属体30及び端子メッキ31の記載を省略している。
なお、端子メッキ31は、板面とは異なる金属体30の面、例えば側面を覆ってもよい。
【0029】
図4はヒューズ1の断面図である。
図1、
図2及び
図4に示すように、ハウジング10は一面が開放された箱体状をなす。2つの端子11それぞれの一部は、ハウジング10によって覆われている。前述したように、ハウジング10の共通の一面から2つの端子11が突出している。ここで、共通の一面は、開放面であり、
図1、
図2及び
図4の下側に位置する。
図4に示すように、ハウジング10の内部において、2つの端子11は一列に並べられている。2つの端子11は、棒状の溶断部12に接続されている。溶断部12は導電性を有する。溶断部12もハウジング10によって覆われている。
【0030】
ヒューズ1を含む電気回路として、ヒューズ1がバッテリ及び負荷に接続される回路が挙げられる。具体的には、ヒューズ1の一方の端子11はバッテリの正極に接続されている。ヒューズ1の他方の端子11は、スイッチを介して負荷の一端に接続されている。バッテリの負極と負荷の他端とは接地されている。負荷は車両に搭載されている電気機器である。この電気回路では、スイッチがオンである場合、電流は一方の端子11、溶断部12及び他方の端子11の順に流れる。
【0031】
溶断部12を介して電流が流れた場合、溶断部12は発熱する。溶断部12を介して流れる電流の電流値が大きい程、溶断部12の発熱量は大きい。溶断部12について、単位時間当たり発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、溶断部12の温度は上昇する。溶断部12を介して流れる電流の電流値が一定の所定値を超えている場合、溶断部12の温度は上昇し続ける。溶断部12の温度が所定温度、例えば420度を超えた場合、溶断部12は溶断される。これにより、溶断部12を介した電流の通流が停止する。結果、負荷に過電流が流れることが防止される。
【0032】
図5は、
図1の上側から見た2つの端子11及び溶断部12の状態の説明図である。
図4及び
図5に示すように、各端子11は長板状をなす。2つの端子11の板面は揃っており、
図4では2つの端子11の板面が示されている。2つの端子11それぞれについて、一方の端部はハウジング10の共通の一面(開放面)から、
図4の下側に向けて突出している。
なお、2つの端子11の板面は同一平面上に位置していることが好ましい。
【0033】
前述したように、各端子11が長板状をなしているので、ヒューズ1はブレード型のヒューズである。一般的に、ブレード型のヒューズの端子の断面積は、チップ型のヒューズの端子の断面積よりも大きい。このため、ブレード型のヒューズは、状態が正常である場合に大電流が流れる回路のヒューズとして用いることができる。
【0034】
各端子11では、長板状の第1板部分20の端部に長板状の第2板部分21の端部が連結している。第1板部分20の一部はハウジング10によって覆われている。第1板部分20の第1端部は、前述したハウジング10の共通の一面から、
図4の下側に向けて突出している。ハウジング10の共通の一面と、第1板部分20の第1端部の先端面は平行である。また、2つの端子11について、2つの第1板部分20の第1端部の先端面は同一平面上に位置する。
【0035】
なお、共通の一面及び先端面の平行は、完全な平行のみを意味せず、実質的な平行であればよい。従って、共通の一面及び先端面が平行である状態には、共通の一面及び先端面がなす角度が設計上の誤差範囲内の値である状態も含まれる。また、2つの先端面が同一平面上に位置することは、2つの先端面の段差が実質的にないことを意味する。従って、2つの先端面の段差が設計上の誤差範囲内の値である場合、2つの先端面は同一平面上に位置する。
【0036】
各端子11では、第1板部分20の第1端部の先端面の一部分から、第1板部分20の長さ方向に沿って、第2板部分21が突出している。第2板部分21の断面積は第1板部分20の断面積よりも小さく、第2板部分21は第1板部分20よりも細い。第1板部分20及び第2板部分21の厚みは一致しており、第1板部分20及び第2板部分21の板面は連続している。第1板部分20及び第2板部分21の長さ方向は、一致しており、
図1、
図2及び
図4の上下方向である。第1板部分20及び第2板部分21の断面積は、第1板部分20及び第2板部分21の幅方向、即ち、
図1、
図2及び
図4の左右方向に沿った切断によって得られる断面の面積である。
【0037】
なお、第1板部分20及び第2板部分21の厚みの一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。従って、第1板部分20及び第2板部分21の厚みが一致している状態には、2つの厚みの差が誤差範囲である状態も含まれる。また、2つの長さ方向の一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。従って、2つの長さ方向が一致している状態には、2つの長さ方向がなす角度が誤差範囲内である状態も含まれる。
【0038】
2つの端子11について、2つの第2板部分21は、2つの端子11の並び方向の内側に位置している。並び方向は
図4の左右方向である。従って、
図4において、左側の端子11については、第2板部分21は、第1板部分20の第1端部の先端面において、右側の縁部分から突出している。右側の端子11については、第2板部分21は、第1板部分20の第1端部の先端面において、左側の縁部分から突出している。このように、2つの第2板部分21が突出しているので、2つの端子11の第2板部分21間の距離は短い。また、
図1及び
図2に示すように、第2板部分21の先端部分は角錐台状をなし、第2板部分21について、ハウジング10に近い部分の断面積は大きく、ハウジング10から遠い部分の断面積は小さい。
【0039】
図4及び
図5に示すように、棒状の溶断部12は、2つの端子11の第1板部分20間に配置されている。溶断部12の一方の端部は、一方の端子11の第1板部分20の側面に接続されている。溶断部12の他方の端部は、他方の端子11の第1板部分20の側面に接続されている。溶断部12が接続している2つの側面は互いに対向している。溶断部12は、曲がっており、全体としてV字状をなす。
図4の例では、溶断部12は、
図4の上側に曲がっている。
なお、溶断部12の形状は、V字状に限定されず、例えば、S字状であってもよい。
【0040】
図4及び
図5に示すように、ハウジング10について、前述した共通の一面の反対側に位置する一面、即ち、
図4の上側の一面には、2つの開口40が設けられている。2つの端子11の第1板部分20の第2端部それぞれは、2つの開口40と対向している。ヒューズ1の使用者は、例えば、テスターを用いて、2つの端子11間の抵抗値を測定する。使用者は、測定した抵抗値に基づいて、溶断部12が溶断しているか否かを確認することができる。
【0041】
<ヒューズ1の取り付け状態>
図6は、ヒューズ1が回路基板5に取り付けられた状態を示す説明図である。
図7は、ヒューズ1が回路基板5に取り付けられた状態を示す他の説明図である。回路基板5は、所謂、プリント基板である。ヒューズ1は、半田Hによって回路基板5に取り付けられる。
図6及び
図7は、ヒューズ1が半田Hによって回路基板5に取り付けられた後の状態を示している。
図6及び
図7には、回路基板5の断面が示されている。
図6及び
図7に示すように、回路基板5は絶縁基板50を有する。絶縁基板50では、表側板面から裏側板面まで貫通する2つの貫通孔50aが設けられている。貫通孔50aの数は、ヒューズ1の端子11の数以上である。貫通孔50aの開口は円形状をなす(
図9参照)。絶縁基板50について、
図6及び
図7では、上側の板面が表側板面であり、下側の板面が裏側板面である。
【0042】
絶縁基板50の表側板面上には、導電性を有する複数の配線パターン52が配置されている。絶縁基板50の裏側板面上にも、複数の配線パターン52が配置されている。回路基板5では、各貫通孔50aの内面は基板メッキ51によって覆われている。基板メッキ51は導電性を有する。表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔50aの周縁部は配線パターン52によって覆われている。各基板メッキ51は、貫通孔50aの内面に加えて、表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔50aの周縁部を、配線パターン52を介して覆っている。
図6においては、基板メッキ51は、配線パターン52の上側から貫通孔50aの周縁部を覆うとともに、配線パターン52の下側から貫通孔50aの周縁部を覆っている。
【0043】
基板メッキ51は例えば錫成分を含む。配線パターン52は、例えば銅製である。基板メッキ51は、配線パターン52に接触しており、配線パターン52と導通している。基板メッキ51において、貫通孔50aの内面及び周縁部を除く他の部分は、絶縁性を有するレジスト53によって覆われている。
【0044】
貫通孔50aの面積は、端子11の第2板部分21の断面積よりも若干大きい。このため、端子11の第2板部分21を貫通孔50aに挿入することができる。第1板部分20の幅は十分に長いので、第2板部分21を貫通孔50aに挿入した場合、端子11の第1板部分20は、貫通孔50aを通らず、貫通孔50a周辺の基板メッキ51に当たる。2つの第1板部分20の第1端部の先端面は同一平面上に位置するので、ヒューズ1は、安定した状態で回路基板5によって支持される。
【0045】
ヒューズ1を回路基板5に取り付ける場合、絶縁基板50の表側板面を覆っている基板メッキ51上にペースト状の半田Hを塗布する。基板メッキ51上に半田Hが塗布されている状態で、2つの端子11の第2板部分21それぞれを、絶縁基板50の表側から、即ち、
図6及び
図7の上側から、2つの貫通孔50aに挿入する。このとき、2つの端子11の第1板部分20は、表側板面を覆っている基板メッキ51によって支持される。第2板部分21の一部は、回路基板5の裏側板面から露出している。
【0046】
この状態で、ヒューズ1及び回路基板5はリフロー炉に通される。リフロー炉内では、ヒューズ1及び回路基板5に熱風が吹き付けられるか、又は、ヒューズ1及び回路基板5に赤外線が照射される。これにより、ペースト状の半田Hが溶け、半田Hは端子11及び基板メッキ51を接続する。具体的には、
図6及び
図7に示すように、半田Hの一部は、第1板部分20の軸回りに沿って、ハウジング10から露出している端子11の第1板部分20の板面及び端面に接着するとともに、絶縁基板50の表側板面を覆っている基板メッキ51に接着する。
【0047】
更に、溶けた半田Hの一部は、貫通孔50a内に入り込み、貫通孔50aの内面を覆っている基板メッキ51と、端子11の第2板部分21の板面及び端面とに接着する。半田Hは導電性を有する。半田Hによって、端子11及び基板メッキ51は導通する。ヒューズ1が有する2つの端子11それぞれを半田Hによって、回路基板5が有する2つの基板メッキ51に接続する。これにより、車載機器6が実現される。
【0048】
以上のように、車載機器6では、ヒューズ1が回路基板5に取付けられている。2つの端子11それぞれは、2つの貫通孔50aに挿入されている。2つの端子11それぞれは、半田Hによって2つの基板メッキ51に接続されている。車載機器6はヒューズ1を含む複数の回路素子を有する。ヒューズ1とは異なる回路素子も回路基板5に取り付けられている。
【0049】
リフロー方式の一例では、ヒューズ1が挿入された回路基板5は、リフロー炉内において、第1領域及び第2領域の順に通過する。第1領域の温度は170度から190度までの範囲内の温度である。回路基板5は、80秒から140秒の間、第1領域内に位置している。第2領域の温度は、230度から250度までの範囲内の温度である。回路基板5は、60秒から90秒の間、第2領域内に位置している。
【0050】
リフロー方式でヒューズ1を回路基板5に取り付ける場合、熱風がハウジング10に吹き付けられるか、又は、赤外線がハウジング10に照射される。このとき、ハウジング10の温度は上昇する。ヒューズ1のハウジング10は耐熱性を有する。このため、ハウジング10の温度がX度以下である場合、ハウジング10において変形又は溶融が発生することはない。ここで、Xは正の実数である。ハウジング10に関して、300度以上の耐熱性は、Xが300以上であることを意味する。ハウジング10において変形又は溶融が発生しない場合、ハウジング10の形状が維持される。ハウジング10は300度以上の耐熱性を有する。従って、ハウジング10の温度が300度未満である場合、ハウジング10において変形又は溶融が生じずにハウジング10の形状が維持される。このため、ハウジング10では、熱風の吹き付け又は赤外線の照射によって、溶融又は変形が生じることはない。ヒューズ1の構成は、リフロー方式での回路基板5への取り付けに適した構成である。
【0051】
また、ハウジング10だけではなく、ヒューズ1も耐熱性を有する。このため、ヒューズ1の温度がY度以下である場合、ヒューズ1に関しては、溶断特性が実質的に変化せず、かつ、長期信頼性が実質的に低下しない。ヒューズ1に関して、300度以上の耐熱性は、Yが300以上であることを意味する。ヒューズ1は300度以上の耐熱性を有する。従って、ヒューズ1の温度が300度未満である場合、溶断特性は実質的に変化せず、かつ、長期信頼性は実質的に低下しない。溶断特性は、ヒューズ1を介して流れる電流と、電流が流れてから溶断部12の溶断が発生するまでの溶断時間との関係を示す。溶断特性では、種々の電流の溶断時間が示されている。長期信頼性は、ヒューズ1が仕様書の規格通りに正常に機能する寿命である。リフロー方式で取り付けを行うことによって、ヒューズ1の寿命が低下することは好ましくない。
ハウジング10の製造に用いられる耐熱性の樹脂として例えばナイロン樹脂が挙げられる。
【0052】
前述したように、各端子11では、金属体30の表面が錫製の端子メッキ31で覆われている。半田Hには、通常、錫成分が含まれている。従って、錫製の端子メッキ31を有する端子11に関して、半田Hの馴染み易さ、所謂、濡れ性が高い。このため、半田Hが端子11に強力に接着する。
なお、端子メッキ31は、錫製に限定されず、例えば、錫成分を含む合金製であってもよい。
【0053】
前述したように、各端子11では、第1板部分20の先端面から第2板部分21が突出しており、段差構造が実現されている。第1板部分20は貫通孔50aを通らず、絶縁基板50上の基板メッキ51に当たっている。このため、ハウジング10は、回路基板5から離れている。この場合においては、半田Hで端子11を回路基板5に取り付けたときに、フィレット形状の半田Hが形成され易い。フィレット形状の半田Hが形成されることは、良好な取り付けが実現されていることを意味する。
【0054】
また、基板メッキ51上にペースト状の半田Hを塗布した状態で貫通孔50aに端子11が挿入される。前述したように段差構造が実現されているため、貫通孔50aに端子11が挿入された場合、ハウジング10がペースト状の半田Hに接触することはない。このため、リフロー方式で半田Hを溶かした場合に、ボール状の半田Hが形成される可能性は低い。
【0055】
前述したように、端子11について、第2板部分21の断面積は第1板部分20の断面積よりも小さく、第2板部分21は細い。このため、貫通孔50aとして、面積が小さい貫通孔を用いることができる。この場合において、第2板部分21と貫通孔50aとの間の隙間が小さい。このため、例えば、ハウジング10に熱風が吹き付けられた場合であっても、第2板部分21、即ち、ヒューズ1が大きく傾くことはなく、ハウジング10は、回路基板5の板面に対して略垂直に立っている。結果、リフロー方式で実装を行う場合に、治具によってハウジング10を、略垂直に立っている状態で固定する必要がなく、安価な実装を実現することができる。
【0056】
前述したように、ヒューズ1が有する2つの端子11について、2つの第2板部分21は、2つの端子11の並び方向の内側に位置しているので、2つの端子11の第2板部分21間の距離は短い。このため、2つの第2板部分21を挿入する2つの貫通孔50a間の距離は短い。以下では、2つの貫通孔50a間の距離が短い場合に得られる効果を説明する。
【0057】
<2つの貫通孔50a間の距離が短い場合に得られる効果>
図8は回路基板5の断面図である。前述したように、回路基板5では、絶縁基板50の表側板面及び裏側板面の両方又は一方に配線パターン52が設けられている。
図8の例では、絶縁基板50の表側板面及び裏側板面の両方に配線パターン52が設けられている。
図8に示すように、配線パターン52は絶縁基板50の内部にも設けられている。
図8の例では、絶縁基板50の内部に2つの層が形成されており、各層に複数の配線パターン52が設けられている。表側板面、2つの層及び裏側板面それぞれに設けられた4つの配線パターン52中の2つの接続はビアによって実現される。
【0058】
図9は、2つの貫通孔間の距離が短い場合に得られる効果の説明図である。ヒューズ1が有する2つの貫通孔50a間に配線パターン52が設けられないことが多い。このため、
図9に示すように、2つの貫通孔50a間の距離が長い場合、配線パターン52を設けることが禁止されている禁止領域は広い。一方で、2つの貫通孔50a間の距離が短い場合、配線パターン52の禁止領域は、横線のハッチングで示す2つの領域分、狭い。
【0059】
前述したように、ヒューズ1が有する2つの端子11を挿入する2つの貫通孔50a間の距離は短い。このため、絶縁基板50の内部において、配線パターン52の禁止領域は狭く、配線パターン52を形成することができる許可領域が広い。同様に、絶縁基板50の表面においても、配線パターン52の禁止領域は狭く、配線パターン52を形成することができる許可領域が広い。結果、配線パターン52の設計の自由度が高い。
【0060】
(実施形態2)
実施形態1では、ヒューズ1が有する端子11の数は2である。しかしながら、ヒューズ1が有する端子11の数は、2に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0061】
<ヒューズ1の構成>
図10は実施形態2におけるヒューズ1の正面図である。実施形態2におけるヒューズ1の側面は、
図2に示すヒューズ1の側面と同様である。実施形態2におけるヒューズ1では、ハウジング10の共通の一面(開放面)から3つの端子11が突出している。各端子11は導電性を有する。
【0062】
図11はヒューズ1の断面図である。
図2、
図10及び
図11に示すように、3つの端子11それぞれの一部は、ハウジング10によって覆われている。
図11に示すように、ハウジング10の内部において、3つの端子11は一列に並べられている。ヒューズ1は2つの溶断部12を有する。隣り合う2つの端子11は、溶断部12によって接続されている。2つの溶断部12もハウジング10によって覆われている。
【0063】
ヒューズ1を含む電気回路として、ヒューズ1がバッテリ及び2つの負荷に接続される回路が挙げられる。具体的には、中央の端子11はバッテリの正極に接続されている。両側に配置されている2つの端子11それぞれは、スイッチを介して負荷の一端に接続されている。バッテリの負極と2つの負荷の他端とは接地されている。2つの負荷は車両に搭載されている電気機器である。
図11の左側に位置する端子11のスイッチがオンである場合、電流は中央の端子11、溶断部12及び左側の端子11の順に流れる。同様に、
図11の右側に位置する端子11のスイッチがオンである場合、電流は中央の端子11、溶断部12及び右側の端子11の順に流れる。
【0064】
実施の形態1の説明で述べたように、溶断部12を介して電流が流れた場合、溶断部12は発熱する。溶断部12の温度が所定温度、例えば420度を超えた場合、溶断部12は溶断される。
【0065】
実施形態1と同様に、各端子11は長板状をなす。3つの端子11の板面(幅広面)は揃っている。3つの端子11の一方の端部は、ハウジング10の共通の一面から、
図11の下側に向けて突出している。各端子11では、長板状の第1板部分20の端部に長板状の第2板部分21の端部が連結している。第1板部分20の一部は、ハウジング10によって覆われている。第1板部分20の第1端部は、前述したハウジング10の共通の一面から、
図11の下側に向けて突出している。ハウジング10の共通の一面と、第1板部分20の第1端部の先端面は平行である。また、3つの端子11について、3つの第1板部分20の第1端部の先端面は同一平面上に位置する。
【0066】
なお、3つの端子11の板面は同一平面上に位置することが好ましい。
また、共通の一面及び先端面の平行は、完全な平行のみを意味せず、実質的な平行であればよい。また、3つの先端面は同一平面上に位置していなくてもよい。3つの先端面が同一平面上に位置することは、3つの先端面の中で最も離れている2つの先端面の段差が実質的にないことを意味する。従って、3つの先端面の中で最も離れている2つの先端面の段差が設計上の誤差範囲内の値である場合、3つの先端面は同一平面上に位置する。
【0067】
各端子11では、第1板部分20の第1端部の先端面の一部分から、第1板部分20の長さ方向に沿って、第2板部分21が突出している。第2板部分21の断面積は第1板部分20の断面積よりも小さく、第2板部分21は第1板部分20よりも細い。第1板部分20及び第2板部分21の厚みは一致しており、第1板部分20及び第2板部分21の板面は連続している。第1板部分20及び第2板部分21の長さ方向は、一致しており、
図11の上下方向である。
なお、第1板部分20及び第2板部分21の厚みの一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。2つの長さ方向の一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。
【0068】
3つの端子11の並び方向の両側に配置されている端子11について、2つの第2板部分21は、並び方向の内側に位置している。並び方向は
図11の左右方向である。従って、
図11において、左側の端子11については、第2板部分21は、第1板部分20の第1端部の先端面において、右側の縁部分から突出している。右側の端子11については、第2板部分21は、第1板部分20の第1端部の先端面において、左側の縁部分から突出している。このように、2つの第2板部分21が突出しているので、両側に配置されている2つの端子11の第2板部分21間の距離は短い。
【0069】
中央の端子11については、第2板部分21は、第1板部分20の第1先端部の先端面から突出していればよい。
図11の例では、第2板部分21は、第1板部分20の第1先端部の先端面の中央から突出している。
【0070】
各端子11について、第2板部分21の先端部分は実施形態1と同様に角錐台状をなし、第2板部分21について、ハウジング10に近い部分の断面積は大きく、ハウジング10から遠い部分の断面積は小さい。ここで、断面積は、前述したように、第2板部分21の幅方向、即ち、
図10及び
図11の左右方向に沿った切断によって得られる断面の面積である。
【0071】
図11に示すように、溶断部12は、隣り合う2つの端子11の第1板部分20間に配置されている。溶断部12の一方の端部は、一方の端子11の第1板部分20の側面に接続されている。溶断部12の他方の端部は、他方の端子11の第1板部分20の側面に接続されている。溶断部12が接続している2つの側面は互いに対向している。溶断部12は、曲がっており、全体としてV字状をなす。
図11の例では、溶断部12は、
図11の上側に曲がっている。
なお、溶断部12の形状は、実施形態1と同様に、V字状に限定されず、例えば、S字状であってもよい。
【0072】
実施形態2におけるヒューズ1では、実施形態1と同様に、3つの端子11に対応する3つの開口40が設けられている。3つの端子11の第1板部分20の第2端部それぞれは、3つの開口40と対向している。ヒューズ1の使用者は、例えば、テスターを用いて、2つの端子11間の抵抗値を測定する。使用者は、測定した抵抗値に基づいて、2つの溶断部12それぞれについて、溶断が行われているか否かを確認することができる。
【0073】
<ヒューズ1の取り付け状態>
図12は、ヒューズ1が回路基板5に取り付けられた状態を示す説明図である。
図12は
図6に対応する。
図12には、回路基板5の断面が示されている。実施形態2における回路基板5の絶縁基板50では、ヒューズ1が有する3つの端子に対応する3つの貫通孔50aが設けられている。3つの貫通孔50aは一列に並んでいる。実施形態1と同様に、各貫通孔50aの内面は基板メッキ51によって覆われている。絶縁基板50の表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔50aの周縁部は配線パターン52によって覆われている。各基板メッキ51は、貫通孔50aの内面に加えて、表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔50aの周縁部を、基板メッキ51を介して覆っている。
図11においては、基板メッキ51は、配線パターン52の上側から貫通孔50aの周縁部を覆うとともに、配線パターン52の下側から貫通孔50aの周縁部を覆っている。
【0074】
実施形態1と同様に、3つの端子11の第2板部分21を3つの貫通孔50aに挿入する。リフロー方式で、ヒューズ1が有する3つの端子11それぞれを半田Hによって、回路基板5が有する3つの基板メッキ51に接続する。これにより、車載機器6が実現される。
【0075】
実施形態1と同様に、車載機器6では、ヒューズ1が回路基板5に取付けられている。3つの端子11それぞれは、3つの貫通孔50aに挿入されている。3つの端子11それぞれは、半田Hによって3つの基板メッキ51に接続されている。ヒューズ1のハウジング10は300度以上の耐熱性を有する。ヒューズ1も300度以上の耐熱性を有する。車載機器6はヒューズ1を含む複数の回路素子を有する。ヒューズ1とは異なる回路素子も回路基板5に取り付けられている。
【0076】
<両側に配置された2つの貫通孔50a間の距離が短い場合に得られる効果>
図13は、両側に配置されている2つの貫通孔間の距離が短い場合に得られる効果の説明図である。実施形態1の説明で述べたように、回路基板5では、配線パターン52は絶縁基板50の内部にも設けられている。隣り合う2つの貫通孔50a間に配線パターン52が設けられないことが多い。このため、
図13に示すように、両側に配置されている2つの貫通孔50a間の距離が長い場合、配線パターン52を設けることが禁止されている禁止領域は広い。一方で、両側に配置されている2つの貫通孔50a間の距離が短い場合、配線パターン52の禁止領域は、横線のハッチングで示す2つの領域分、狭い。
【0077】
前述したように、ヒューズ1が有する2つの端子11を挿入する2つの貫通孔50a間の距離は短い。このため、配線パターン52の禁止領域は狭く、配線パターン52を形成することができる許可領域が広い。同様に、絶縁基板50の表面においても、配線パターン52の禁止領域は狭く、配線パターン52を形成することができる許可領域が広い。結果、配線パターン52の設計の自由度が高い。ここで述べた配線パターン52は、電位が基板メッキ51の電位とは異なる配線パターンである。
【0078】
実施形態2におけるヒューズ1及び車載機器6それぞれは、実施形態1におけるヒューズ1及び車載機器6が奏する効果を同様に奏する。
なお、実施形態2において、ヒューズ1が有する端子11の数は、3に限定されず、4以上であってもよい。この場合、例えば、複数の溶断部12それぞれは、共通の端子11と、残りの端子11中の1つとに接続される。従って、端子11の数がNで表されると仮定する。Nは4以上の整数である。溶断部12の数は(N-1)であり、(N-1)個の溶断部12は共通の端子11に接続される。共通の端子11は、例えば、バッテリに接続される端子であり、残りの端子11は負荷に接続される端子である。
【0079】
なお、端子11の構成は、第1板部分20の先端面から第2板部分21が突出している構成に限定されない。端子11は、十分に長い第1板部分20によって構成されてもよい。この場合、貫通孔50aの開口は矩形状をなし、第1板部分20を回路基板5の貫通孔50aに挿入する。第1板部分20は、半田Hによって基板メッキ51に接続される。
【0080】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 ヒューズ
5 回路基板
6 車載機器
10 ハウジング
11 端子
12 溶断部
20 第1板部分
21 第2板部分
30 金属体
31 端子メッキ
40 開口
50 絶縁基板
50a 貫通孔
51 基板メッキ
52 配線パターン
53 レジスト
H 半田
【要約】
【課題】リフロー方式での回路基板への取り付けに適した構成を有するヒューズと、このヒューズを備える車載機器とを提供する。
【解決手段】車載機器はヒューズ1を備える。複数の端子11は、長板状をなし、一列に並べられている。複数の端子11中の2つの端子に溶断部が接続されている。ハウジング10は、複数の端子11の一部と、溶断部とを覆い、300度以上の耐熱性を有している。電流は溶断部を介して流れる。溶断部の温度が所定温度を超えた場合、溶断部は溶断される。
【選択図】
図1