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  • 特許-藻類の育成方法及び藻類培養装置 図1
  • 特許-藻類の育成方法及び藻類培養装置 図2
  • 特許-藻類の育成方法及び藻類培養装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】藻類の育成方法及び藻類培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/12 20060101AFI20220331BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20220331BHJP
【FI】
C12N1/12 A
C12M1/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017229716
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2018088916
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2016233832
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520425855
【氏名又は名称】株式会社BrainGild
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】山本 高郁
(72)【発明者】
【氏名】都筑 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】桑田 健一
(72)【発明者】
【氏名】高山 賢
(72)【発明者】
【氏名】丈島 廣己
(72)【発明者】
【氏名】松岡 恒之介
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153744(JP,A)
【文献】特開2016-005439(JP,A)
【文献】特開2012-175964(JP,A)
【文献】特開平06-023389(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175302(WO,A1)
【文献】特開平11-346760(JP,A)
【文献】特開昭47-025379(JP,A)
【文献】都筑幹夫ら,人工光利用による微細藻類の生産技術開発,東京薬科大学研究紀要,2012年,Vol.15,pp.9-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を付着させた支持体を気相中に配置し、前記支持体の上から連続的に培養液を供給して前記藻類を育成する方法であって、
0.1~6時間おきに前記支持体から育成された藻類を取り去る工程を有する藻類の育成方法。
【請求項2】
前記支持体から藻類を取り去る工程が、2~4時間おきに行われる請求項1に記載の藻類の育成方法。
【請求項3】
前記支持体から藻類を取り去る工程において、取り去る藻類の量は、取り去る前の前記支持体に含まれた藻類の量を1.0として、0.1~0.6である請求項1又は2に記載の藻類の育成方法。
【請求項4】
前記支持体から藻類を取り去る工程において、取り去る藻類の量が、取り去る前の前記支持体に含まれた藻類の量を1.0として、0.2~0.4である請求項1又は2に記載の藻類の育成方法。
【請求項5】
前記支持体から藻類を取り去る工程を、前記支持体に含まれた藻類及び前記培養液を吸引回収装置により吸引することにより行う請求項1から4のいずれか一項に記載の藻類の育成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類の育成方法及び藻類を取り去る仕組みを具備した藻類培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
藻類は光を利用して効率的に二酸化炭素を取り込んで有用な化合物に変換することができることから、光の有効な活用、あるいは二酸化炭素の有効な固定を狙ってより有効な活用が試みられている。藻類を効率よく生産するため、藻類を付着させた担体を縦に配置し、培養液を上方より流し、生育した藻類を培養液の回収再利用の過程で同時に回収することが提案されている(特許文献1、2)。また、藻類を多段に配することで、光を有効に活用すると同時に、効率良く有用物を生産できるように、一方の段で光により独立栄養増殖し、他方の段では利用可能な栄養を供給して効率よく有用物を蓄積するように配する方法が提案されている(特許文献3)。また、赤色光の照射と青色光の照射を一定のパターンで行い、さらには光照射を休止する期間を設けることでより藻類の増殖を促進することが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-175964号公報
【文献】特開2013-153744号公報
【文献】特開2015-057990号公報
【文献】特開2015-128448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、特許文献1、2の方法は、藻類を効率よく生産し収穫できる方法であるが藻類の生産能力が十分に生かされていないという問題がある。特許文献3、4の方法では、藻類を効率良く育成し、有効に活用することで効率よく有効成分を得ることができる方法であるが、装置が複雑でしかも運転方法が煩雑であるという問題がある。簡単な装置で、簡便な操作で、光照射して、単位面積あたりより早い速度で藻類を生産できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決する方法について鋭意検討し、特定の装置を構成することで適宜、支持体より藻類を取り去るだけで、極めて生産性良く藻類を産出できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、
(1)藻類を付着させた支持体を気相中に配置し、前記支持体の上から連続的に培養液を供給して前記藻類を育成する方法であって、0.1~6時間おきに支持体から育成された藻類を取り去る工程を有する藻類の育成方法に関し、
(2)前記支持体から藻類を取り去る工程が、2~4時間おきに行われる(1)に記載の藻類の育成方法、
(3)前記支持体から藻類を取り去る工程において、取り去る藻類の量は、取り去る前の前記支持体に含まれた藻類の量を1.0として、0.1~0.6である(1)又は(2)に記載の藻類の育成方法、
(4)取り去る藻類の量が、取り去る前の前記支持体に含まれた藻類の量を1.0として、0.2~0.4である(3)に記載の藻類の育成方法
(5)前記支持体から藻類を取り去る工程を、前記支持体に含まれた藻類及び前記培養液を吸引回収装置により吸引することにより行う(1)から(4)のいずれか一に記載の藻類の育成方法、及び、
(6)(1)から(5)のいずれか一に記載の藻類の育成方法を用いた藻類培養装置、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の藻類培養装置を用いて藻類を育成することで、藻類が常に最大効率で新たな藻類を生産することができ、従来の装置、方法で生産するに比較して数倍の生産性を示すことができ工業的に極めて価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る吸引回収装置を軸線を通る面で半割した状態を示した断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る吸引回収装置の他の例を軸線を通る面で半割した状態を示した断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る吸引回収装置の他の例を軸線を通る面で半割した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において藻類とは、光の照射によって有効成分を産出し蓄積できるものであればどのようなものでも利用できるが、好ましくは気生状態で生息できる藻類であり、具体的にはボトリオコッカス属あるいは、クロレラ属の緑藻類、ヘマトコッカス属の緑藻類、あるいはパラクロレラを含むトレボキシア藻、紅藻などが例示できる。また、ミドリムシなどの光合成をする微細生物であっても良い。
【0010】
本発明において支持体とは、上記藻類をその表面に固定できるものであればどのようなものでも良いが通常シート状のものが利用でき、さらには、シート状の支持体を円筒形などの立体にして利用しても良い。
【0011】
上記支持体は、例えば、晒などの布あるいは、不織布であっても良く、素材としては、木綿、麻、ウール、絹などの天然素材の他に、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンなどの合成高分子を繊維化したもの、あるいは、アセテートなどの半合成繊維が利用できる。
【0012】
本発明においては、藻類を育成し、掻き取るなどして育成された藻類を回収することを効率よくできるように、上記支持体は、形状を保持するため木材、金属あるいは、プラスチックで作られた構造材で一定の形状に保持するのがより好ましい。
【0013】
本発明において支持体に植え付けるとは、後述の通常の育成状況下に、藻類が脱落しないように、支持体に付着している状況を意味しており、どのようなやり方で植え付けられたものであってもよいが、例えば、上記支持体の存在下で藻類を育成し、藻類が支持体に有効に保持された状態を示し、余分の藻類は軽く水で洗浄したものであっても良い。
【0014】
本発明において藻類の一部を取り去る仕組みとは、藻類の生産性が高く保持されるように、例えば、一定間隔に設置した支持体の表面に増殖した藻類を取り去ることができるものであり、藻類の育成速度によって好ましい時間的間隔は異なるが、通常2~4時間のインターバルになるように育成温度、照射する光の強度、栄養源の補給条件等を設定するのが好ましい。生産性と運転のやり易さなどを考慮すると、おおよそ、その範囲は0.1~6時間程度である。
【0015】
本発明において適宜とは、通常は一定時間ごとに、藻類を取り去ることをいうが、必ずしも一定の間隔である必要はなく、取り去る効果が発揮されるように、好ましい時間の間隔であれば一定間隔であることを必ずしも必要としない。
【0016】
藻類の一部とは、取り去ったあとの残りの藻類の生産性が落ちず、藻類の能力を最高に発揮すると言う意味であり、掻き取る前の支持体に含まれた藻類の量を1.0として、0.1~0.6程度を掻き取ることを含む。再現性のよい生産性を維持し効率を高く維持するという意味からは、好ましくは支持体に含まれた藻類の量を1.0として0.2~0.4程度である。
【0017】
取り去る仕組みとしては、表面の藻類を効率良く取り込むことができるものであればどのようなものであっても良いが、通常、支持体の表面より所望の比率で藻類を取り込むことができるように、鋭利な固体(金属、ガラス、プラスチック、セラミックスなど)で藻類を直接切り取る方法や、振動(機械的、超音波など)で藻類を落とす、あるいは、藻類が生育している表面を支持体の表面から一定の厚さで藻類が残るように掻きとることができるように、板状あるいは波板状の掻き取り板を適用することができる。例えば、円筒形の支持体で藻類を育成する場合には、アクリルの板に円筒形の支持体の外径より0.1~0.5mm程度大きい円形の孔を形成した掻き取り板を用いることができる。このような掻き取り板は、円筒形の支持体を円形の孔に挿入した状態で、支持体の軸線方向に沿って移動させることで藻類を効率的に掻き取ることができる。
【0018】
ここで、円形に切り取ったものの動かし方については、上下するとか、振動を加えるとか、円筒に対して斜めにするなど工夫することはなんら問題はない。
【0019】
本発明においては、支持体からの藻類の回収は、掻き取る以外に、藻類を支持体から絞りとったり、支持体から藻類を遊離させたりするなどの方法で行うことも可能であり、支持体から藻類の一部を取り去ることによって、藻類の生産性が大幅に向上する。
【0020】
本発明において、藻類培養装置を稼働させるに際して光の照射は自然光の他に人工的な光源を用いることができる。照射する光の波長としては、400~700nmの光が利用できる。また、照射時間についても、連続的な照射ではなく、断続的な照射などが好ましい場合もある。
【0021】
また、光の照射に際しては、1つの光源より光を多数に分割して使用しても、多数の光源を集めて利用しても良い。また、光源のひかりを広く分散しても良いし、レンズで集光して利用しても良い。
【0022】
上述のようにすることで藻類に照射される光量を最適化することでさらに生産性を上げることが可能となり、加えて光をより効率よく利用することが可能となる。
【0023】
また、藻類の育成温度としては、藻類の種類によるが、一般的には10~60℃、好ましくは、20~40℃である。
本発明の藻類培養装置は、以上に示した、支持体、培養液の供給手段、光源、及び藻類を取り去る仕組みを備え、本発明の藻類の育成方法を実施できるようになっている。
【0024】
本発明において、掻き取ったり絞り取ったりした藻類あるいは、藻類のスラリーからの有効成分の回収方法としては、特に制限はなく、乾燥後に絞りとるとか抽出によるなど公知の方法が利用できる。
【0025】
本発明においては上記装置あるいはその一部を三次元的に組み上げて筐体としてより効率的に光や二酸化炭素を活用することもできる。
【0026】
また、筐体は横3個に並べた場合も、高さ方向に3個積んだ場合も、各筐体当りのクロレラ収量に変わりがなく、複数の筐体を縦、横、高さ方向に設置しての生産ができる。
【0027】
培養された藻類を支持体から取り去る仕組みとしては、上記実施形態で例示したほかに、支持体の表面から藻類を含む培養液を吸引することにより培養した藻類を回収する吸引回収装置を用いてもよい。
吸引回収装置としては、図1から図3に示すように、支持体1の一方又は双方の表面1aに接して支持体1に含まれた藻類を含む培養液を吸引する吸引部2を備えた吸引回収装置3などを例示することができる。
【0028】
かかる吸引回収装置3の吸引部2としては、図1図2又は図3に示すように、支持体1の形状に合わせて支持体1にほぼ接するように形成された貫通路4,5を設けたものを例示することができる。具体的には、支持体1が円筒形である場合には、吸引部2の貫通路4として、一方向に貫通し内面が支持体1を挿入可能な円周状に形成された形態を例示することができる。また、図2に示すように、支持体1がシート状又は板状である場合には、吸引部2の貫通路5として、支持体1をシート又は板状体の厚さ方向に挟み込むことが可能な偏平な内面を有する形態を例示することができる。
【0029】
支持体1の表面に対向させる貫通路4,5の形成面には、吸引孔6が複数形成されているとよい。この構成により、吸引部2は、支持体1を貫通路4,5に挿通し移動させながら、培養された藻類を含む培養液を吸引孔6から吸い込むことができる。
この場合、吸引孔6の形状は、支持体1からまんべんなく藻類を吸引することができる限り、正円、楕円、長穴、その他どのような形状、個数又は配置であってもよい。
【0030】
また、吸引回収装置3は、設定された吸引力で、支持体1に含まれた藻類を所定の割合で吸引することができる搬送速度により自動で貫通路4,5に搬入し、貫通路4,5から搬出することができる搬送機構及び制御部を有していてもよい。搬送機構としては、図示しないが、例えば管路4,5の軸線L方向に支持体1を移動させる搬送ベルトなどを例示することができる。この場合、搬送ベルトにも吸引孔6が形成されていてもよい。
【0031】
支持体1がシート状又は板状に形成されている場合には、搬送機構として、貫通路5への挿通方向に沿って回転する無端ベルトを例示することができる。
円筒形の支持体1の搬送機構としては、図示しないが、円筒形の支持体1の内周面に密接させるものであって、ベルトを螺旋状に巻回し貫通路4の軸線L周りに回転可能な回転ベルトを備えた例を挙げることができる。この構成によれば、円筒形の支持体1を搬送機構により回転させながら貫通路4内を軸線L方向に移動させつつ、支持体1の外周面から培養液を吸引することができる。
又は、円筒形の支持体1を搬送可能な搬送機構として、筒状の支持体1の内周面に接するように挿通され、支持体1を回転させずに軸線L方向に移動可能な芯部材を有するものなどが挙げられる。
【0032】
又は、吸引部2は、図3に示すように、芯部材10に吸引孔6が形成され、支持体1の内面側から藻類を含む培養液を取り込む部材で、支持体1の外周面に、図示しないベルトを螺旋状に巻回し軸線L周りに回転可能とした搬送機構を密接させる構成であってもよい。この構成によれば、搬送機構を軸線L周りに回転させることによって筒状の支持体1を回転させながら貫通路4の軸線L方向に移動させつつ、芯部材10により支持体1の内面1a側から培養された藻類を含む培養液を吸引して回収することができる。
なお、吸引部2には、図示しないが、貫通路4,5内を吸引するための吸引機が接続されている。
【0033】
吸引回収装置3は、吸引部2において吸引された培養液を貯留するタンク7を有していてもよく、更に貯留タンク7に溜められた培養液において藻類がタンクの下方に沈殿した後の上清液を回収する機構(不図示)が設けられていてもよい。
以上のような吸引回収装置3を用いても、支持体1から適量の藻類を取り去ることによって、藻類の生産性を大幅に向上させることができる。
【実施例
【0034】
以下に本発明の態様の一例を実施例として示す。
【0035】
[実験例1]
予め藻類を付着させておいた晒布を上から吊るし、両面から70μmol光量子/m・秒の光強度で白色光を照射し、布に植物組織培養用のガンボーグ(GB5)の5倍希釈液を流下させてパラクロレラ細胞Parachlorella kessleri 11hを約30℃で培養し、流出細胞を毎日1回回収した。布上の細胞を含めて、1週間で全増殖量が布面積あたり乾燥重量として57.0gDW/mであった。このことは、1日あたりの増殖量は8.1gDW/m・日ということになる。この時、光源は晒布1枚1m片面当たり、LED100個、両面でLED200個を使用した。LED発光角度は概略120度であった。
【0036】
[実施例1]
1m×1m×1mの筐体内に、幅85cm、高さ95cmの不織布晒をぶら下げ、KNOとNaHPOを添加した、10倍希釈のGB5培養液を不織布に流した。両面から赤色LEDで照射しながら、パラクロレラ細胞Parachlorella kessleri 11hを不織布上で、約30℃で増殖させた。
光は、LEDの前にレンズを設置し光を分散させて広く照射し、片面LED25個/m、両面でLED50個/m、計LED205個/筐体であった。これは、従来の120度LED片面LED100個/m、両面でLED200個/mと同様の光強度である。
クロレラ細胞の増殖量を求めたところ、7日間で乾燥重量51.8gDW/m、すなわち1日あたり7.4gDW/m・日の細胞が得られた。光源は実験例1と同様である。
【0037】
次に、上記と同様の装置を用いて5日間培養し、6日目から7日目にかけて4時間おきに、不織布を絞って細胞を出すことによって細胞増殖を促したところ、24時間で乾燥重量22.2gの細胞を回収した。この値は、実質85cm×95cmの布面積であるから、1日で布面積あたり27g/mの細胞を収穫したことになる。なお、収穫後、不織布上にまだ14gDW残存していた。
【0038】
さらに、実験を繰り返し、2.5時間ごとにこの細胞収穫作業を行ったところ、32g/m・日の収穫結果となった。筐体当りでは、5枚の布で、約130gDW/日/筐体であり、LEDは810個/筐体であった。
【0039】
上記結果から驚くべきことに、クロレラなどの藻類の育成では時間単位という極めて短い間隔で収穫することで、その生産性を格段に高めることが可能であることが初めて明らかとなったと言える。
【0040】
例えば4時間ごとの掻き取りの場合は、1日あたり布1mあたり両面で30gDW/mあるいはそれ以上の細胞が連続的に収穫可能である。
【0041】
[実施例2]
高さ0.6m×横1m×縦1mの筐体内に、楕円筒形の晒(長径220mm×短径8mm×高さ500mm)に、乾燥クロレラ換算でクロレラを20g/m付着させたものを使用して、縦4×横12で48枚/筐体を等間隔で設置した。光源は全て80mm間隔で、縦方向12×横方向に13個で、計156個/筐体を縦方向布楕円筒間の中心線上をベースに配置し、上部から下方に照射した。なお、本光源にはLEDの前面に集光レンズを使用し、集光角度を調整して高さ方向500mmまで光が届くようにした。
【0042】
筐体内には、20%のCOを含む排ガスを0.5L/minで流しつつ、培養液として植物組織培養培地ガンボーグB5を10倍希釈したものを使用して、0.5/min/mの速度で培養液を供給しつつ光強度が180μmol/m/sec、間欠光と同等の効果がある1000Hzの波長680nm(半値幅約10nm)赤色光を照射した。掻き取り装置は、透過度の高いアクリル板に楕円筒形の晒の外径より0.5mm大きい孔を48個、楕円筒布の周囲に空けた掻き落とし板を、各楕円筒布に通しておいて、2時間に1回下げ上げする装置を用いた。掻き取り装置を上下する方法は、機械駆動式であった。電力削減のため、各筐体内の掻き落とし板での掻き落としは、基本、時間差を付けた。掻き落とし板の孔径は、掻き落とし後の支持体の細胞が概20gDW/mになる様に、事前試験により設定した。温度は32℃とした。
【0043】
結果は、1日で生成クロレラ18gDW/1日/1m布の生産量であった。
【0044】
この筐体トータルで、生成クロレラ約205gDW/日となる。
【符号の説明】
【0045】
1 支持体
2 吸引部
3 吸引回収装置
4 貫通路
5 貫通路
6 吸引孔
図1
図2
図3