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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】太陽光パネル保守装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20220331BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20220331BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20220331BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20220331BHJP
【FI】
B08B1/04
B08B7/04 A
B08B3/04 Z
H02S40/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018118496
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019217477
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】517058912
【氏名又は名称】PV Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】高埜 聡
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-006648(JP,A)
【文献】国際公開第2015/132816(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04
B08B 7/04
B08B 3/04
H02S 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面を有する太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットの維持管理を行う太陽光パネル保守装置であって、
前記太陽光パネルユニットに対する保守作業を行う保守機構を備えた装置本体と、
該装置本体を前記パネル面に沿って移動させる移動機構と、
を有し、
前記装置本体として、前記保守機構を備えた複数の分割体を前記パネル面に沿って略一方向に連結して一体化させて前記太陽光パネルユニットの略一方向の全ての前記パネル面を覆う長さに構成された連結体を用い、前記移動機構として、前記連結体を該連結体が連結している前記略一方向と略直交する直交方向に移動させる第1移動手段を用いて、前記保守作業を行う第1保守状態と、
前記装置本体として前記連結体を構成する前記分割体より少数の前記分割体を前記パネル面に沿って前記略一方向に連結して一体化させて前記太陽光パネルユニットの略一方向の全ての前記パネル面は覆わない長さに構成されたもの又は前記分割体の1つからなる小型体を用いて前記移動機構として、前記小型体を前記直交方向に移動させる前記第1移動手段又は該第1移動手段とは異なる第2移動手段と、前記小型体を前記略一方向に移動させる第3移動手段とを用いて、前記保守作業を行う第2保守状態と、
に変換可能に構成されていることを特徴とする太陽光パネル保守装置。
【請求項2】
前記第1保守状態において、前記パネル面上の前記連結体を前記第1移動手段によって前記略直交方向に往復移動させて前記保守作業を行うように構成され、
前記第2保守状態において、前記パネル面上の前記小型体を、前記第1移動手段又は前記第2移動手段によって前記略直交方向に往復移動させると共に、前記第3移動手段によって前記略一方向に移動させることで、前記保守作業を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル保守装置。
【請求項3】
前記第1移動手段が前記分割体毎に分かれた状態に形成されており、前記分割体を連結して一体化させることで前記第1移動手段も連結して機能するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光パネル保守装置。
【請求項4】
前記第2保守状態において、前記太陽光パネルユニットの上端位置に引っ掛けて前記太陽光パネルユニットの下端まで延びるレール部材を配置し、該レール部材に前記小型体を設置して該レール部材のレール方向に沿って前記小型体が移動可能に構成され、かつ、前記レール部材が前記直交方向に移動することで、前記小型体が移動自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の太陽光パネル保守装置。
【請求項5】
前記第2保守状態において、前記小型体に設けられたピニオンギアと前記レール部材に配置されたラックとが歯合して、前記小型体が前記レール部材の前記レール方向に沿って移動するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の太陽光パネル保守装置。
【請求項6】
前記レール部材の前記ラックの上方に、該ラックの歯より突出した鍔状部が形成されており、
該鍔状部で、前記ラックと歯合した前記ピニオンギアが上方にずれることを防止して、双方の歯合状態が保持するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の太陽光パネル保守装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの発電能力の低下を防ぎ、効率良く発電等するために保守管理を行う太陽光パネル保守装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットが知られている。また、このような太陽光パネルユニットの、各太陽光パネルの発電能力の低下を防ぐために、太陽光を受光するパネル面を清掃する清掃装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の清掃装置は、太陽光パネルのパネル面に接触する車輪等の走行体と回転ブラシ等の清掃機構を有しており、太陽光パネルのパネル面上を走行体で走行しながら清掃機構で清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-138854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の太陽光パネルの清掃装置の中には、パネル面の上端から下端までを覆う長さを有し、パネル面上を略水平方向に移動することで清掃を行うようになっているものがある。このような構成であると、小型の清掃装置が上下左右に移動して清掃するタイプの清掃装置に比べて、清掃装置の動きが単純かつ動く距離が短くなり、短時間で清掃することができるというメリットがある。
【0006】
しかしながら、このようなタイプの清掃装置は、装置自体が大型化し重量も重くなってしまうため、太陽光パネルユニットへの装置の設置や、清掃が終了した太陽光パネルユニットから次の太陽光パネルユニットへの移動等において、作業者が大型で重量のある清掃装置を運搬、設置するのに多大なる労力を必要としていた。
【0007】
そのため、やはり小型で軽い清掃装置を用いて上下左右に移動して清掃しようとすると、清掃を終えるのに時間が掛かり、特に広い面積の太陽光パネルユニットに対する場合や、太陽光パネルユニットが数多く設置されている場合等には、清掃に長時間掛かって効率が悪いという問題が生じる虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、装置の移動、設置を容易に行うことができ、作業者の労力負担を軽減することができ、作業時間を減らして効率良く作業を行うことができる清掃装置等の太陽光パネル保守装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成するために、本発明は、パネル面を有する太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットの維持管理を行う太陽光パネル保守装置であって、前記太陽光パネルユニットに対する保守作業を行う保守機構を備えた装置本体と、該装置本体を前記パネル面に沿って移動させる移動機構と、を有し、前記装置本体として、前記保守機構を備えた複数の分割体を前記パネル面に沿って略一方向に連結して一体化させて前記太陽光パネルユニットの略一方向の全ての前記パネル面を覆う長さに構成された連結体を用い、前記移動機構として、前記連結体を該連結体が連結している前記略一方向と略直交する直交方向に移動させる第1移動手段を用いて、前記保守作業を行う第1保守状態と、前記装置本体として前記連結体を構成する前記分割体より少数の前記分割体を前記パネル面に沿って前記略一方向に連結して一体化させて前記太陽光パネルユニットの略一方向の全ての前記パネル面は覆わない長さに構成されたもの又は前記分割体の1つからなる小型体を用いて前記移動機構として、前記小型体を前記直交方向に移動させる前記第1移動手段又は該第1移動手段とは異なる第2移動手段と、前記小型体を前記略一方向に移動させる第3移動手段とを用いて、前記保守作業を行う第2保守状態と、に変換可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、前記第1保守状態において、前記パネル面上の前記連結体を前記第1移動手段によって前記略直交方向に往復移動させて前記保守作業を行うように構成され、前記第2保守状態において、前記パネル面上の前記小型体を、前記第1移動手段又は前記第2移動手段によって前記略直交方向に往復移動させると共に、前記第3移動手段によって前記略一方向に移動させることで、前記保守作業を行うように構成されていることが望ましい。
【0011】
本発明において、前記第1移動手段が前記分割体毎に分かれた状態に形成されており、前記分割体を連結して一体化させることで前記第1移動手段も連結して機能するように構成されていることが望ましい。
【0012】
本発明においては、前記第2保守状態において、前記太陽光パネルユニットの上端位置に引っ掛けて前記太陽光パネルユニットの下端まで延びるレール部材を配置し、該レール部材に前記小型体を設置して該レール部材のレール方向に沿って前記小型体が移動可能に構成され、かつ、前記レール部材が前記直交方向に移動することで、前記小型体が移動自在に構成されていることが望ましい。
【0013】
本発明においては、前記第2保守状態において、前記小型体に設けられたピニオンギアと前記レール部材に配置されたラックとが歯合して、前記小型体が前記レール部材の前記レール方向に沿って移動するように構成されていることが望ましい。
【0014】
本発明においては、前記レール部材の前記ラックの上方に、該ラックの歯より突出した鍔状部が形成されており、該鍔状部で、前記ラックと歯合した前記ピニオンギアが上方にずれることを防止して、双方の歯合状態が保持するように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置本体を、複数の分割体が連結して一体化した連結体と、連結体より少ない分割体で構成される小型体の双方の状態にして、それぞれ保守作業を行うことができる。そのため、作業環境に応じて装置本体の状態を選択することができ、最適な状態を作業者が選択して保守作業を行うことができる。
【0016】
本発明において、第1保守状態と第2保守状態のそれぞれの装置本体の動きをより具体的に規定することで、作業環境に応じて装置本体の状態をより的確に選択することができ、より最適な状態を作業者が選択して保守作業を行うことができる。
【0017】
本発明において、比較的大型の装置構成となる第1保守状態時に使用する第1移動手段が各分割体に分かれた状態で形成されていることで、作業者が分割体を繋ぎ合わせれば使用可能な構成にすることができ、作業者の行う作業負担を軽減させることができる。
【0018】
本発明において、第2保守状態で小型体をレール部材に設置する構成となっていることで、比較的簡単に太陽光パネル保守装置の設置を行うことができる。
【0019】
本発明において、第2保守状態でのレール部材に沿う方向の小型体の移動をラック&ピニオンを用いて行うことで、パネル面の傾斜が緩かったり略水平となったりする場合でも、確実にレール部材に沿う方向の移動を行うことができる。
【0020】
本発明において、ラックの上方にラックの歯より突出した鍔状部を有していることで、傾斜が急な場合等で小型体がパネル面から浮いてしまう虞があるときに、ラックと歯合したピニオンギアの浮きを押さえて、ピニオンギアをラックとの歯合状態から外れないようにできる。その結果、小型体がレール部材から外れてしまうの防止して、確実に保守作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置を第1保守状態で太陽光パネルユニット上に配置した状態を概念的に示す平面図である。
図2】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置を第2保守状態で太陽光パネルユニット上に配置した状態を概念的に示す平面図である。
図3図1の連結体の分割状態を示す平面図である。
図4】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置における連結部の連結前の状態を示す平面図である。
図5】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置における連結部の連結状態を示す平面図である。
図6】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の第2保守状態におけるラック&ピニオン構造と鍔状部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1図6には、この発明の実施の形態を示す。なお、ここでは、太陽光パネル保守装置の一例として、太陽光パネルの表面に配置されているパネル面の清掃を行う太陽光パネル清掃装置について説明する。
【0024】
この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、図1図2に示すような、太陽光パネルユニット1の表面の清掃を行う。この太陽光パネル清掃装置10は、太陽光パネルユニット1に対する保守作業としての清掃作業を行う「保守機構」としての清掃機構を備えた装置本体と、当該装置本体を太陽光パネルユニット1上で移動させる移動機構とを有している。
【0025】
また、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、図3に示すように、複数の分割体30A~30Dを連結させて図1に示すように連結体20としたもの、または、分割体30A~30Dの一部を用いて図2に示すように小型体30としたものを装置本体として使用するように構成されており、分割体30A~30Dを連結体20にも小型体30にも変更して使用できるようになっている。
【0026】
そして、装置本体として図1に示すような太陽光パネルユニット1の縦方向L全体を覆う大きさの連結体20を用いて、当該連結体20が横方向Pに移動しながら清掃作業を行う第1保守状態と、図2に示すような太陽光パネルユニット1の縦方向L全体を覆わない大きさの小型体30を用いて、当該小型体30が縦方向L及び横方向Pに移動しながら清掃作業を行う第2保守状態とに、適宜状態を変更して清掃作業を行うことができるように構成されている。
【0027】
なお、第1保守状態は、清掃作業(保守作業)を行う太陽光パネルユニット1が多く、1つ1つの太陽光パネルユニット1に対する作業時間を短くしたいとき等に選択する状態である。また、第2保守状態は、清掃作業(保守作業)を行う太陽光パネルユニット1が少なく、1つ1つの太陽光パネルユニット1に対する作業時間が多少長くなっても持ち運んだり設置したりする装置の重量を減らし、作業者の負担を軽減させたいとき等に選択する状態である。
【0028】
まず、この実施の形態の太陽光パネルユニット1について説明する。
【0029】
一般に、太陽光パネルユニット1は、パネル面3が傾斜した状態又はパネル面3が水平な状態で設置される。すなわち、太陽光パネルユニット1を太陽光が当たる側(南側)から見て、パネル面3の奥側側面1aが手前側側面1bよりも上又は水平に位置する状態で設置される。図1において、横方向Pは略水平な方向(本発明の「直交方向」)であり、縦方向Lは傾斜したパネル面3と略平行で且つ水平方向(横方向P)と略直角な方向(本発明の「一方向」)である。以下の説明では、図1に縦方向Lとして表された方向を、傾斜方向Lと記す。
【0030】
この太陽光パネルユニット1は、図1に示すように、複数の太陽光パネル2を、前後左右に並べて設置したものである。図1の例では、太陽光パネル2を、傾斜方向Lに4枚、水平方向Pに10枚(一部のみ図示)並べている。また、左右に隣り合う太陽光パネル2同士の間には、所定の隙間Sが設けられている。
【0031】
また、それぞれの太陽光パネル2は、前記したパネル面3と、その裏面側に配置された発電装置(図示省略)とを有するパネル本体4と、その周囲に設けられた縁部5とを有している。このうち、パネル面3はガラスで構成されており、縁部5はアルミニウム等の金属で構成されている。
【0032】
次に、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10について説明する。
【0033】
まず、太陽光パネル清掃装置10を第1保守状態で使用する場合の構成について説明する。第1保守状態の太陽光パネル清掃装置10は、図1図3に示すように、清掃機構40を備えた「装置本体」としての連結体20と、当該連結体20を移動させる「移動機構」としての第1移動手段50と、これらを制御するコントロールユニット(制御装置)55とを有する構成となっている。そして、連結体20は、太陽光パネルユニット1の傾斜方向L全体に渡る大きさの略直方体形状に形成されるようになっている。なお、この実施の形態では、連結体20内に第1移動手段50とコントロールユニット55を有する構成となっている。
【0034】
この実施の形態の連結体20は、図3に示すような複数の分割体30A~30Dを、図1に示すように連結させて構成されたものであり、ここでは上から順に、第1分割体30A、第2分割体30B、第3分割体30C、第4分割体30Dの4種類の形状の異なる分割体をパネル面3に沿って傾斜方向Lに一直線上に連結させた状態となっている。
【0035】
それぞれの分割体30A~30Dには、連結体20における清掃機構40の一部を構成する清掃機構分割部40A~40Dが設けられており、また、第1移動手段50の一部を構成する第1移動手段分割部50A~50Dが設けられている。
【0036】
具体的には、清掃機構分割部40A~40Dはそれぞれ、傾斜方向Lに延びる左右2つの回転ブラシ41A~41D,42A~42Dを備えており、それぞれの回転ブラシ41A~41D,42A~42Dを回転させる回転ブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dを備えている。これら回転ブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dは、コントロールユニット55による制御で、それぞれ独立して回転ブラシ41A~41D,42A~42Dに動力を伝達するように構成されている。
【0037】
また、第1移動手段分割部50A~50Dはそれぞれ、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dの内側に傾斜方向Lに沿って2本設けられたシャフト51A~51D,52A~52Dにそれぞれ複数の走行輪53A~53Dが軸支されている。また、これらのシャフト51A~51D,52A~52D同士は、連結されたときに端部同士で接続されて一体になるように構成されており、一体となると1つの動力で全体を回転させることができるようになっている。
【0038】
ここでは、上(奥側)から2番目位置の第2分割体30Bのみに移動用モータ54が設けられており、シャフト51A~51D,52A~52Dが連結された状態で移動用モータ54が駆動することで、その駆動力がシャフト51A~51D,52A~52Dに伝達され、その結果、シャフトに軸支された走行輪53A~53Dが回転して連結体20を横方向Pに移動させるように構成されている。
【0039】
また、下端(最も手前側)の第4分割体30Dのみにコントロールユニット55が設けられており、このコントロールユニット55によって連結体20における清掃機構40と第1移動手段50の駆動コントロールを行うようになっている。
【0040】
なお、分割体30A~30Dには、清掃機構分割部40A~40Dの構成として、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dと共に遮蔽ブラシ(図示省略)や「流体供給管」としての散水管59(図4図5参照)を有していても良い。また、分割体30A~30Dの各構成は、図示しないフレームに取り付けられており、このフレームは、軽量化と強度の双方を満たす観点から、主にアルミニウムで構成されている。
【0041】
また、上端(最も奥側)の第1分割体30Aには、図1に示すように、ガイドローラ21が設けられている。このガイドローラ21は、連結体20の上端(すなわち、上端の分割体30Aの上端)に取り付けられて、当該連結体20を太陽光パネルユニット1の水平方向Pに安定して移動させるために設けられたものであり、太陽光パネルユニット1の上側側面1aに引っ掛けるように係止されて、設置される。また、ガイドローラ21は、上側側面1aに対向するような車輪で構成されており、これにより、ガイドローラ21で連結体20を水平方向Pに移動させることができる。
【0042】
また、各分割体30A~30Dは、それぞれ、これらの分割体30A~30Dを連結するための連結部36A~36Fを有している。詳述すると、第1分割体30Aは、その下端(手前)側に第1連結部36Aを有しており、第2分割体30Bは、その上端(奥)側に第2連結部36Bを有すると共に下端(手前)側に第3連結部36Cを有しており、第3分割体30Cは、その上端(奥)側に第4連結部36Dを有すると共に下端(手前)側に第5連結部36Eを有しており、第4分割体30Dは、その上端(奥)側に第6連結部36Fを有している。
【0043】
また、これら連結部36A~36Fには、水平方向Pの一方側に突出部37A~37Fが、水平方向Pの他方側に引込み部38A~38Fが、それぞれ形成されている。詳述すると、第1分割体30Aの下端(手前側端部)の第1連結部36Aには、その右側に、下方に突出した第1突出部37Aが形成されていると共に、その左側に、上方(奥方)に引っ込んだ第1引込み部38Aに形成されている。また、第2分割体30Bの上端(奥)側の第2連結部36Bには、その左側に、上方(奥方)に突出した第2突出部37Bが形成されていると共に、その右側に、下方(手前方)に引っ込んだ第2引込み部38Bが形成されている。また、第2分割体30Bの下端側の第3連結部36Cには、その側に、下方(手前方)に突出した第3突出部37Cが形成されていると共に、その側に、上方(奥方)に引っ込んだ第3引込み部38Cが形成されている。また、第3分割体30Cの上端(奥)側の第4連結部36Dには、その側に、上方に突出した第4突出部37Dが形成されていると共に、その側に、下方(手前方)に引っ込んだ第4引込み部38Dが形成されている。また、第3分割体30Cの下端(手前)側の第5連結部36Eには、その右側に、下方(手前方)に突出した第5突出部37Eが形成されていると共に、その左側に、上方(奥方)に引っ込んだ第5引込み部38Eが形成されている。また、第4分割体30Dの上端(奥)側の第6連結部36Fには、その左側に、上方(奥方)に突出した第6突出部37Fが形成されていると共に、その右側に、下方(手前方)に引っ込んだ第6引込み部38Fが形成されている。
【0044】
第1分割体30Aの下端側に設けられた第1連結部36Aの第1突出部37Aは、相対する第2分割体30Bの上端側に設けられた第2連結部36Bの第2引込み部38Bと、係合するように構成されている。また、第1分割体30Aの下端側に設けられた第1連結部36Aの第1引込み部38Aは、相対する第2分割体30Bの上端側に設けられた第2連結部36Bの第2突出部37Bと、係合するように構成されている。これにより、第1分割体30Aと第2分割体30Bを、連結させることができるようになっている。
【0045】
また、第2分割体30Bの下端側に設けられた第3連結部36Cの第3突出部37Cは、相対する第3分割体30Cの上端側に設けられた第4連結部36Dの第4引込み部38Dと、係合するように構成されている。また、第2分割体30Bの下端側に設けられた第3連結部36Cの第3引込み部38Cは、相対する第3分割体30Cの上端側に設けられた第4連結部36Dの第4突出部37Dと、係合するように構成されている。これにより、第2分割体30Bと第3分割体30Cを、連結させることができる。
【0046】
また、第3分割体30Cの下端側に設けられた第5連結部36Eの第5突出部37Eは、相対する第4分割体30Dの上端側に設けられた第6連結部36Fの第6引込み部38Fと、係合するように構成されている。また、第3分割体30Cの下端側に設けられた第5連結部36Eの第5引込み部38Eは、相対する第4分割体30Dの上端側に設けられた第6連結部36Fの第6突出部37Fと、係合するように構成されている。これにより、第分割体30と第分割体30を、連結させることができる。
【0047】
このようにして、各分割体30A~30Dを全て連結させて、連結体20が組み立てられるようになっている。
【0048】
上述のように、各分割体30A~30Dには、清掃機構40の一部を構成する清掃機構分割部40A~40Dとして、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dを備えている。回転ブラシ41A~41D,42A~42Dは、太陽光パネルユニット1のパネル面3上に、傾斜方向Lに沿って設けられた軸を中心として回転するように構成されており、回転ブラシ41A~41Dと回転ブラシ42A~42Dは、水平方向Pに2列に配設されている。また、各連結部36A~36Fが係合されると、図1に示すように、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dは、それぞれ傾斜方向Lに沿って略一直線上に並ぶように構成されている。
【0049】
また、回転ブラシ41A~41Dにおける分割体30A~30D同士の継ぎ目と、回転ブラシ42A~42Dにおける分割体30A~30D同士の継ぎ目は水平方向Pから見てずれるように構成されており、これにより清掃時に回転ブラシ41A~41Dと回転ブラシ42A~42Dの何れかが必ず通って拭き残し箇所がないように構成されている。すなわち、回転ブラシ41A~41Dは短い回転ブラシ41A、長い回転ブラシ41B、短い回転ブラシ41C、長い回転ブラシ41Dが交互になるように一直線上に配置され、回転ブラシ42A~42Dは長い回転ブラシ42A、短い回転ブラシ42B、長い回転ブラシ42C、短い回転ブラシ42Dが交互になるように一直線上に配置されており、図1に示すように、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dが千鳥状に配設されている。これにより、水平方向Pから見て回転ブラシ41A~41Dの継ぎ目と回転ブラシ42A~42Dの一部が重なるように配置され、回転ブラシ42A~42Dの継ぎ目と回転ブラシ41A~41Dの一部が重なるように配置されている。
【0050】
また、図示しないが、各分割体30A~30Dには、ブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dを駆動させるための、電源ユニットが設けられている。また、第2分割体30Bには、移動用モータ54を駆動させるための電源ユニット(図示省略)も設けられている。
【0051】
また、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dの外側斜め上方には、清掃時に水タンクや水道等から供給された水等をパネル面3に撒く散水管(図示省略)が設けられている。この散水管は、分割体30A~30Dに、分割されて設けられている。すなわち、第1分割体30Aには第1分割散水管が、第2分割体30Bには第2分割散水管が、第3分割体30Cには第3分割散水管が、第4分割体30Dには第4分割散水管がそれぞれ設けられており、これらの分割散水管が互いに結合することで、散水管が構成される。例えば、分割体30Aと分割体30Bとを連結させると、図4図5に示すように、分割散水管59A,59Bもそれぞれの端部に設けられた結合部を介して、結合される。ここで、この実施の形態では、右の分割散水管59Aに雄のカプラ56Aを設けられていると共に、右の分割散水管59Bに雌のカプラ56Bが設けられており、左の分割散水管59Bに雄のカプラ56Aを設けられていると共に、左の分割散水管59Aに雌のカプラ56Bが設けられており、これらのカプラ56A,56Bを結合させることで、ワンタッチで分割散水管59A,59Bが結合される。このように結合された散水管59の各分割散水管59A,59Bは、それぞれ水を移動及び散水することができるようになっている。なお、第2分割散水管59Bと第3分割散水管(図示せず)との結合、第3分割散水管(図示省略)と第4分割散水管(図示省略)との結合も、第1分割散水管59Aと第2分割散水管59Bとの結合と同様にして行うことができる。
【0052】
また、図4図5に示すように、この実施の形態の連結部36Aの突出部37Aには連結ピン39Aが突設されており、また、連結部36Bの引込み部38Bには当該連結ピン39Aを挿入する挿入孔39Bが形成されている。同様に、連結部36Bの突出部37Bには連結ピン39Aが突設されており、また、連結部36Aの引込み部38Aには当該連結ピン39Aを挿入する挿入孔39Bが形成されている。連結部36A、36Bを連結させるときに、それぞれの連結ピン39Aを挿入孔39Bに挿入させることで、この連結を確実に行うことができる。また、連結ピン39Aを挿入孔39Bに挿入したときに、上述の分割散水管59A,59Bのカプラ56A,56Bも結合される。このように、この実施の形態では、分割体30A,30Bの連結と、分割散水管59A,59Bの結合とを、同時に行うことができる。さらに、この実施の形態では、連結部36A,36Bの連結後に当該連結部分を確実に固定するための、固定手段Kが設けられている。なお、第3連結部36Cと第4連結部36D及び第5連結部36Eと第6連結部36Fとの連結・固定も、第1連結部36Aと第2連結部36Bの連結・固定と同様にして行うことができる。
【0053】
なお、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、清掃を行う太陽光パネルユニット1の傾斜方向Lの長さに応じて、第1保守状態で使用する際の分割体30A~30Dの種類や数を変更することが可能である。例えば、太陽光パネルユニットの傾斜方向Lの長さが短いときには、第1分割体30Aと第4分割体30Dの2つを連結させて、図1のものより短い連結体を構成することが可能である。
【0054】
また、太陽光パネルユニットの傾斜方向Lの長さが長いときには、第1分割体30Aと、複数(例えば2個)の第2分割体30Bと、複数(例えば2個)の第3分割体30Cと、第4分割体30Dの計6つを連結させて、図1のものより長い連結体を構成することが可能である。
【0055】
ここで、第1~第4分割体30A~30Dの少なくとも何れかの代わりとして、その長さが互いに異なる複数種類の分割体を用意しておくことで、様々な寸法の太陽光パネルユニットに応じて連結体の寸法を変更し易くなる。
【0056】
コントロールユニット55は、上述のように、作業者が、リモートコントローラ等を用いて、太陽光パネル清掃装置10の動作を制御するために設けられる。具体的には、コントロールユニット55は、移動用モータ54を駆動させて連結体20を水平移動させる制御や、ブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dを駆動させてパネル面3の清掃を行う制御や、散水管59による散水を行う制御等を実行する。この実施の形態に係るコントロールユニット55は、散水管59による散水を開始してから所定の待機時間(例えば3~5秒)が経過した後で、移動用モータ54やブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dの駆動を開始させる。これにより、パネル面3の表面が十分に濡れた状態で回転ブラシ41A~41D,42A~42Dの回転が開始されるので、太陽光パネル清掃装置10の作業開始位置での清掃効果を、十分なものにできる。なお、この待機時間の長さは、プログラム変更等により、実質的に無段階に調整できる。
【0057】
また、このコントロールユニット55は、バッテリ残量やバッテリ電圧をデジタル表示する機能を有する。また、バッテリ残量やバッテリ電圧が正常値を下回った場合に電源ランプを点滅させることで、作業者がバッテリ状態を正確に監視できる。
【0058】
さらに、このコントロールユニット55は、太陽光パネル清掃装置10の各駆動部分に異常な負荷が発生したために動作が非常停止した場合に、警告ランプを点滅させる機能を有する。この警告ランプは、負荷の発生場所等に応じて、異なる色(例えば、青色と赤色)で点滅する。これにより、太陽光パネル清掃装置10が非常停止した場合に、異常発生箇所を特定し易くなる。
【0059】
次に、この実施の形態における第1保守状態の作用について説明する。
【0060】
太陽光パネルユニット1に、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10を設置する際には、まず、第1分割体30Aに設けられたガイドローラ21を、太陽光パネルユニット1の上側側面1aに引っ掛けて、そのガイドローラ21に当該第1分割体30Aを指示させる。
【0061】
次に、第2分割体30Bを第1分割体30Aの下方に配置して、第1分割体30Aに設けられた第1連結部36Aの第1突出部37A及び第1引き込み部38Aに、第2分割体30Bに設けられた第2連結部36Bの第2引込み部38B及び第2突出部37Bにそれぞれ係合させることで、第1分割体30Aと第2分割体30Bを連結させる。
【0062】
このとき、図4図5に示すように、第1突出部37Aに設けられた連結ピン39Aと第2引き込み部38Bに設けられた挿入孔39Bとを係合させると共に、第2突出部37Bに設けられた連結ピン39Aと第1引き込み部38Aに設けられた挿入孔39Bとを係合させる。その際、連結ピン39Aを挿入孔39Bに挿入すると同時に、第1分割散水管59A及び第2分割散水管59Bに設けられた二対のカプラ56A,56Bも、ワンタッチで結合される。その後、第1突出部37Aと第2引込み部38Bとを固定手段Kで固定すると共に、第2突出部37Bと第1引込み部38Aとを固定手段Kで固定し、さらに、図示しない制御用電気配線のコネクタを接続する。
【0063】
次に、第1分割体30Aと第2分割体30Bとの連結と同様に、第3分割体30Cを第2分割体30Bの下方に配置して、第2分割体30Bに設けられた第3連結部36Cの第3突出部37C及び第3引込み部38Cを、第3分割体30Cに設けられた第4連結部36Dの第4引込み部38D及び第4突出部37Dに係合させることで、第2分割体30Bと第3分割体30Cを連結させる。
【0064】
さらに、第1分割体30Aと第2分割体30Bとの連結と同様に、第4分割体30Dを第3分割体30Cの下方に配置して、第3分割体30Cに設けられた第5連結部36Eの第5突出部37E及び第5引込み部38Eを、第4分割体30Dに設けられた第6連結部36Fの第6引込み部38F及び第6突出部37Fに係合させることで、第3分割体30Cと第4分割体30Dを連結させる。
【0065】
これにより、各分割体30A~30Dが全て連結して、清掃装置本体30の組み立てが完成する。この実施の形態では、連結部36A~36Dを連結させたときに、連結体20の回転ブラシ41A~41Dと回転ブラシ42A~42Dとを、水平方向Pから見てその一部が重なるように短→長→短→長と長→短→長→短となるように配置した。その結果、この実施の形態に係る清掃機構40では、図1に示すように、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dが千鳥状に配設されている。
【0066】
その後、太陽光パネルユニット1上を例えば左から右に連結体20を移動させながら、パネル面3の清掃を行う。さらに、この後、必要に応じて、太陽光パネルユニット1上を右から左に連結体20を移動させながら、パネル面3の再度の清掃を行うこととしてもよい。
【0067】
なお、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10では、フレームを主にアルミニウムで構成する等して軽量化を図っている。また、突出部37A~37Dや引込み部38A~38Dを係合させる構成や、連結ピン39Aを挿入孔39Bに挿入する構成、固定手段Kで固定する構成等を設けたので、連結部36A~36Dが強固に連結される。このため、1つの太陽光パネルユニット1の清掃を終了した後、次の太陽光パネルユニット1の清掃のために太陽光パネル清掃装置10を移動させる際には、分割体30A~30Dに分解して移動させる必要が無く、組み立てられた状態で移動させることができる。
【0068】
上述のように、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、清掃を行う太陽光パネルユニット1の傾斜方向Lの長さに応じて、第1保守状態における分割体30A~30Dの種類や数を変更することが可能である。例えば、太陽光パネルユニットの傾斜方向Lの長さが短いときには、第1分割体30Aと第4分割体30Dの2つを連結させて、図1の場合より短い連結体を有する太陽光パネル清掃装置を得ることが可能である。また、太陽光パネルユニットの傾斜方向Lの長さが長いときには、第1分割体30Aと2つの第2分割体30Bと2つの第3分割体30Cと第4分割体30Dの計6つを連結させて、図1の場合より長い連結体を有する太陽光パネル清掃装置を得ることが可能である。
【0069】
次に、太陽光パネル清掃装置10を第2保守状態で使用する場合の構成について説明する。第2保守状態の太陽光パネル清掃装置10は、図2に示すように、清掃機構40を備えた「装置本体」としての小型体30と、当該小型体30を移動させる「移動機構」としての第2移動手段60及び第3移動手段70と、これらを制御するコントロールユニット(制御装置)80とを有する構成となっている。そして、小型体30は、太陽光パネルユニット1の傾斜方向L全体を覆わない大きさの略直方体形状に形成されるようになっている。なお、この実施の形態では、小型体30内に第3移動手段70とコントロールユニット55を有しており、第2移動手段60は小型体30の外部に設置されるように構成されている。
【0070】
この実施の形態の小型体30は、図3に示すような複数の分割体30A~30Dのうちの第4分割体30Dを、図2に示すように単体で用いたものである。この第4分割体30Dからなる小型体30は、単体で清掃機構40を構成する清掃機構分割部40Dが設けられており、また、小型体30を傾斜方向Lに沿って移動させる第3移動手段70が設けられている。なお、この実施の形態では、第4分割体30Dを第2保守状態で使用する際には、当該第4分割体30Dに設けられた第1移動手段分割部50Dのシャフト51D,52Dや走行輪53Dは、予め取り外し処理しておく。
【0071】
具体的には、清掃機構40を構成する清掃機構分割部40Dは、傾斜方向Lに延びる左右2つの回転ブラシ41D,42Dを備えており、それぞれの回転ブラシ41D,42Dを回転させる回転ブラシ用モータ43D,44Dを備えている。なお、これらの構成は第1保守状態において使用時と同様の状態である。これら回転ブラシ用モータ43D,44Dは、コントロールユニット80による制御で、独立して回転ブラシ41D,42Dに動力を伝達するように構成されている。
【0072】
また、第3移動手段70は、図6に示すように、後述する第2移動手段60のフレーム61の左右方向の略中心位置に傾斜方向Lに沿ってフレーム61の上端から下端までを貫くように設けられたラック71に歯合するように設けられたピニオンギア72を有しており、これらでラック&ピニオン構造を形成している。また、ピニオンギア72は第4分割体30Dに配置された上下動用モータ73で駆動するようになっており、ラック71とピニオンギア72とを歯合させた状態で、上下動用モータ73を駆動させることで、ラック71に沿って、ピニオンギア72が上下方向に回転していき、それに伴って第4分割体30Dが上下動するように構成されている。
【0073】
また、この実施の形態では、ラック71の上方(パネル面3に対する垂直方向)に、ラック71の歯より横方向に突出するように鍔状部75が配設されており、この鍔状部75がラック71が形成された傾斜方向Lの全体を覆うように長細形状に形成されている。そして、この鍔状部75により、ピニオンギア72が上方(パネル面3に対する垂直方向)にずれないように押さえるようになっており、ラック71と歯合したピニオンギア72が上方(パネル面3に対する垂直方向)にずれてラック71との歯合状態が外れてしまうことを防止するようになっている。
【0074】
また、この実施の形態では、前記した小型体30を搭載して、パネル面3上を横方向(水平方向)Pに移動させる第2移動手段としてのレール部材60が配置されている。このレール部材60は、図2に示すように、傾斜方向Lの上端(奥側)から下端(手前側)を網羅する2本のシャフト62を有しており、このシャフト62に複数の走行輪63が固定されている。また、シャフト62に動力を伝える移動用モータ64が所定位置に配置されており、これらによってレール部材60がパネル面3上を横方向Pに往復移動可能となっている。
【0075】
また、レール部材60の上端(奥側)には、図2に示すように、ガイドローラ65が設けられている。このガイドローラ65は、小型体30を太陽光パネルユニット1の水平方向Pに安定して移動させるために設けられたものであり、太陽光パネルユニット1の上側側面1aに引っ掛けるように係止されて、設置される。また、ガイドローラ65は、上側側面1aに対向するような車輪で構成されており、これにより、ガイドローラ65で小型体30を水平方向Pに移動させることができる。
【0076】
また、レール部材60のピニオンギア72と上下動用モータ73とこれらと共に上下動する部材に小型体30としての第4分割体30Dを取り付けるようになっている。また、レール部材60の下端(手前側)位置に第2保守状態用のコントロールユニット80が配置されており、このコントロールユニット80によって小型体30における清掃機構40と第3移動手段70の駆動コントロール、レール部材60の横方向Pへの移動コントロールを行うようになっている。
【0077】
なお、分割体30Dには、清掃機構分割部40Dの構成として、回転ブラシ41D,42Dと共に遮蔽ブラシ(図示省略)や「流体供給管」としての散水管(図示省略)を有していても良い。また、フレーム61は、軽量化と強度の双方を満たす観点から、主にアルミニウムで構成されている。
【0078】
また、本実施の形態におけるレール部材60は、2つ乃至はそれ以上の個数に分割できるようになっており、運搬時には分割した状態で運べるため、場所を取らずに効率良く運搬することができる。また、設置時にも順番に持って行って接続すれば良いので、作業者の負担軽減になるように構成されている。
【0079】
このようにして、分割体30Dを単体でレール部材60に搭載し、横方向の移動手段と縦方向の移動手段によって分割体30Dを前後左右に移動させて、清掃を行うことで、第2保守状態の移動を行うことができる。
【0080】
次に、この実施の形態における第2保守状態の作用について説明する。
【0081】
太陽光パネルユニット1に、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10を設置する際には、まず、分割された状態のレール部材60を太陽光パネルユニット1に設置する。ここでは、上端(奥側)の分割部に設けられたガイドローラ65を、太陽光パネルユニット1の上側側面1aに引っ掛けて、その下側(手前側)に他の分割部を接続していき、レール部材60を完成させる。
【0082】
次に、第4分割体30Dに設けられた第1移動手段分割部50Dのシャフト51D,52Dや走行輪53Dを予め取り外し処理した第4分割体30Dを、レール部材60の上にに配置して、所定の方法にて取り付ける。また、図示しない散水管等に流動体供給管等を接続し、準備を整える。
【0083】
これにより、第4分割体30Dとレール部材60とが結合して、第2保守状態の太陽光パネル清掃装置10の組み立てが完成する。
【0084】
その後、太陽光パネルユニット1上を例えば左上から右上に小型体30を水平方向に移動させながら、パネル面3の清掃を行う。さらに、小型体30が右端まで到達したら、小型体30の縦方向の長さ分程度下方(手前側)に移動し、右から左に水平方向に移動させる。さらに、小型体30が左端まで到達したら、さらに小型体30の縦方向の長さ分程度下方に移動し、左から右に水平方向に移動させる。これを繰り返してパネル面3の下端までジグザグに清掃を行う。
【0085】
以上のように、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、装置本体を、複数の分割体30A~30Dが連結して一体化した連結体20と、連結体20より少ない分割体30Dで構成される小型体30の双方の状態にして、それぞれ保守作業を行うことができる。そのため、作業環境に応じて装置本体の状態を選択することができ、最適な状態を作業者が選択して保守作業を行うことができる。
【0086】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、第1保守状態と第2保守状態のそれぞれの装置本体の動きをより具体的に規定することで、作業環境に応じて装置本体の状態をより的確に選択することができ、より最適な状態を作業者が選択して保守作業を行うことができる。
【0087】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、比較的大型の装置構成となる第1保守状態時に使用する第1移動手段40が各分割体30A~30Dに分かれた状態で形成されていることで、作業者が分割体30A~30Dを繋ぎ合わせれば使用可能な構成にすることができ、作業者の行う作業負担を軽減させることができる。
【0088】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、第2保守状態で小型体30をレール部材60に設置する構成となっていることで、比較的簡単に太陽光パネル清掃装置10の設置を行うことができる。
【0089】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、第2保守状態でのレール部材60に沿う方向の小型体30の移動をラック71&ピニオン72を用いて行うことで、パネル面3の傾斜が緩かったり略水平となったりする場合でも、確実にレール部材60に沿う方向の移動を行うことができる。
【0090】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、ラック71の上方にラック71の歯より突出した鍔状部75を有していることで、傾斜が急な場合等で小型体30がパネル面3から浮いてしまう虞があるときに、ラック71と歯合したピニオンギア72の浮きを押さえて、ピニオンギア72をラック71との歯合状態から外れないようにできる。その結果、小型体30がレール部材60から外れてしまうの防止して、確実に保守作業を行うことができる。
【0091】
なお、以上説明した各実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。
【0092】
例えば、前記した実施の形態では、ガイドローラ21,65は、太陽光パネルユニット1の上側側面1aに車輪を当接させながら水平方向Pに移動するようになっていたが、これに限るものではなく、車輪の代わりに、キャタピラや上側側面1aに対して滑動する部材を使用して装置本体20,30を水平方向Pに移動させるようになっていても良い。
【0093】
また、前記した実施の形態では、装置本体20,30を太陽光パネルユニット1の上側側面1aにガイドローラ21,65で引っ掛けることで、太陽光パネルユニット1に保持させるようにしたが、これに限るものではなく、例えば太陽光パネル2の設置角度が比較的緩い又は水平の場合等には、ガイドローラを設けていても、基本的に清掃装置本体30の移動手段の直線的な移動能力だけでパネル面3上を走行させるようになっていても良い。またさらに別の構成で、装置本体を太陽光パネルユニット1に保持させるようにしても良い。
【0094】
また、前記した実施の形態では、保守機構としての清掃機構40を移動させる移動機構として、タイヤ等の走行輪が設けられていたが、これに限るものではなく、走行輪の代わりにキャタピラや滑動部材等を設けて、これらに太陽光パネル2上を走行させても良い。
【0095】
また、前記した実施の形態では、小型体30として、第4分割体30D単体を用いるものとなっていたが、これに限るものではなく、他の分割体を用いる構成になっていても良いし、どの分割体を使用するか選択できるようになっていても良い。またさらに、小型体は1つの分割体で構成されるものに限らず、2つや3つ等の複数の分割体を組み合わせてジグザグに移動する小型体を構成するように成っていても良い。
【0096】
また、清掃機構、駆動機構及び制御装置等の構成は、前記した実施の形態に限定されず、適宜の構成を採用しても良い。
【0097】
例えば、分割体の連結部の構成は、突出部と引込み部を設けるものや、連結ピンと挿入孔を設けるものに限らず、他の方法で連結されていても良い。
【0098】
また、前記した実施の形態では、水を用いて清掃を行うこととしたが、水以外の液体やエアー等の気体を用いることとしても良い。また、流体の供給方法は、霧状に噴射する方法や、パルス状に吐出する方法、流れ落とす方法等、どのような供給方法でも良い。
【0099】
また、前記した実施の形態では、太陽光パネルユニット1として、水平方向Pに沿って隣り合う太陽光パネル2の間には隙間Sがあるが傾斜方向Lに沿って隣り合う太陽光パネル2間には隙間Sが無いものを使用したが、これに限るものではない。例えば、太陽光パネルユニットは、水平方向Pに沿って隣り合う太陽光パネルの間には隙間が無く且つ傾斜方向Lに沿って隣り合う太陽光パネル間には隙間がある太陽光パネルユニット1を使用しても良い。さらには、水平方向Pに沿って隣り合う太陽光パネルの間と、傾斜方向Lに沿って隣り合う太陽光パネル間との両方とも、隙間が無い太陽光パネルユニット1を使用しても良い。
【0100】
また、前記した実施の形態では、走行輪53を1つの移動用モータ54の駆動力で駆動させるようになっていたが、これに限るものではない。例えば、走行輪の全てに、独立した駆動力を伝達するように清掃装置本体30を構成しても良い。
【0101】
また、前記した実施の形態では、分割体30Dを小型体30として使用する際に、予め取付けられていた移動機構を取り外して、レール部材60の移動機構を使用するようになっていたが、これに限るものではなく、予め取付けられていた移動機構の全部又は一部を用いるようにして小型体の移動機構を構成するように成っていても良い。
【0102】
また、前記した実施の形態では、第2保守状態の移動機構として、レール部材60を用いたものを使用したがこれに限るものではなく、レール部材を使用せずに小型体が自走してジグザグに移動していくものや、レール部材以外の支持部材を用いて所定位置に支持しながら小型体を移動させる者であっても良い。また、移動の仕方としてもジグザグに限るものではなく、他の移動軌跡を辿る者であっても良い。
【0103】
また、前記した実施の形態では、第1保守状態において、回転ブラシ41A~41D,42A~42Dは、各分割体30A~30Dでそれぞれが、ブラシ用モータ43A~43D,44A~44Dによって独立して駆動するように構成されていたが、このような構成に限るものではない。例えば、各分割体30A~30Dを連結したときに、同じ列の回転ブラシが連結されて、それらの回転ブラシが協働して回転するようになっていても良い。このときには、同じ列の回転ブラシを駆動させるブラシ用モータは、1つでも良い。なお、各分割体30A~30Dの回転ブラシは、ワンタッチカプラ等によって、その軸同士が、各分割体30A~30Dの連結時と同時に連結されるようになっていても良い。
【0104】
また、前記した実施の形態では、太陽光パネル保守装置の一例として、本発明を太陽光パネル清掃装置10に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、発電力を向上又は回復させるために、太陽光パネルのパネル面にコーティング剤を塗布して反射防止膜を形成する太陽光パネルコーティング装置にも、本発明を適用することができ、また、その塗布したコーティング剤をブレード等で塗り延ばす機能を更に備えた太陽光パネルコーティング装置にも、本発明を適用することができる。
【0105】
また、前記したようなブラシと水を使用して洗浄するタイプの太陽光パネル清掃装置だけでなく、他の構成の清掃装置、例えば、ブロー装置でパネル表面の埃等を吹き飛ばして清掃するタイプの太陽光パネル清掃装置や、刷毛やブレード等を用いて、水を用いずにパネル表面を掃いたり拭いたりして、埃等を除去するタイプの太陽光パネル清掃装置に、本願発明を適用しても良い。加えて、刷毛やブレードを用いた清掃と、ブロー装置を用いた清掃とを平行して同時に行う太陽光パネル清掃装置に、本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0106】
1 太陽光パネルユニット
2 太陽光パネル
3 パネル面
10 太陽光パネル清掃装置(太陽光パネル保守装置)
20 連結体(装置本体)
21 ガイドローラ
30 小型体(装置本体)
30A 第1分割体(分割体)
30B 第2分割体(分割体)
30C 第3分割体(分割体)
30D 第4分割体(分割体)
36A 第1連結部(連結部)
36B 第2連結部(連結部)
36C 第3連結部(連結部)
36D 第4連結部(連結部)
36E 第5連結部(連結部)
36F 第6連結部(連結部)
37A 第1突出部(突出部)
37B 第2突出部(突出部)
37C 第3突出部(突出部)
37D 第4突出部(突出部)
37E 第5突出部(突出部)
37F 第6突出部(突出部)
38A 第1引込み部(引込み部)
38B 第2引込み部(引込み部)
38C 第3引込み部(引込み部)
38D 第4引込み部(引込み部)
38E 第5引込み部(引込み部)
38F 第6引込み部(引込み部)
39A 連結ピン
39B 挿入孔
40 清掃機構(保守機構)
40A~40D 清掃機構分割部
41A~41D 回転ブラシ
42A~42D 回転ブラシ
43A~43D 回転ブラシ用モータ
44A~44D 回転ブラシ用モータ
50 第1移動手段(移動機構)
51A~51D シャフト
52A~52D シャフト
53A~53D 走行輪
54 移動用モータ
55 コントロールユニット
56A,56B カプラ
59 散水管(流体供給管)
59A 分割散水管(分割流体供給管)
59B 分割散水管(分割流体供給管)
60 第2移動手段(レール部材、移動機構)
61 フレーム
62 シャフト
63 走行輪
64 移動用モータ
65 ガイドローラ
70 第3移動手段(移動機構)
71 ラック
72 ピニオンギア
73 上下動用モータ
75 鍔状部
80 コントロールユニット
P 水平方向(横方向)
L 傾斜方向(縦方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6