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特許7049675目地カバー部材及び目地カバー部材を用いた目地補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】目地カバー部材及び目地カバー部材を用いた目地補修方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019145491
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021025351
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】517402506
【氏名又は名称】株式会社NICORi
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 哲生
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-247375(JP,A)
【文献】特開2017-145563(JP,A)
【文献】特開平09-279811(JP,A)
【文献】特開平07-252928(JP,A)
【文献】特開平06-146564(JP,A)
【文献】特開平06-146565(JP,A)
【文献】実開昭62-155145(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の胴縁材に固定されたハットジョイナーの凸部と、当該凸部を挟んで端部同士を対向させて前記胴縁材に固定された外壁板の前記端部との隙間に、ゴムの目地材が充填されている目地の補修に用いる目地カバー部材であって、
前記目地カバー部材には、前記外壁板の端部外表面にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部と、当該外接フランジ部同士の間に形成され前記目地材と離間して対向する目地対向部とを有するカバー体と、
前記カバー体の裏面に接合され前記目地材の表面と前記外壁板の端部とに当接する弾性体とを備えたこと、
前記カバー体は、前記目地対向部の外表面から挿入され前記凸部に係合されたネジ部材を介して、前記ハットジョイナーに締結されていることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項2】
請求項1に記載された目地カバー部材において、
前記ネジ部材には、頭部からネジ部の軸方向に形成された縦孔と、前記凸部の裏面側で前記縦孔と交差して前記ネジ部の外表面まで貫通された横孔とを備えていること、
前記ネジ部が前記凸部に係合された状態で、前記縦孔の頭部開口部から注入された接着剤が、前記横孔のネジ貫通部からはみ出して前記ネジ部と前記凸部とを連結していることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された目地カバー部材において、
前記弾性体は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材であることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された目地カバー部材において、
前記外接フランジ部と前記目地対向部とは、前記外壁板の表裏方向に起立する縦壁部によって連結されていることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された目地カバー部材において、
前記目地対向部は、前記目地の溝幅と略同一の幅で形成され、前記外接フランジ部から前記外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されていること、
前記弾性体は、前記縦壁部同士の隙間に嵌装され、前記目地対向部の裏面に接合されていることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された目地カバー部材において、
前記目地対向部は、前記目地の溝幅と略同一の幅で形成され、前記外接フランジ部から前記外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されていること、
前記弾性体は、前記縦壁部同士の隙間を跨いで前記外接フランジ部の裏面に接合されていることを特徴とする目地カバー部材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された目地カバー部材を用いた目地補修方法であって、
前記カバー体を形成するカバー体形成工程と、前記弾性体を形成する弾性体形成工程と、前記弾性体を前記カバー体の裏面に接合する弾性体接合工程と、前記弾性体を接合した前記カバー体をネジ部材を介して前記ハットジョイナーの凸部に係合するカバー締結工程とを備え、
前記弾性体形成工程では、前記弾性体に対して前記ネジ部材の締結位置に対応して切欠き部を形成することを特徴とする目地カバー部材を用いた目地補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地カバー部材及び目地カバー部材を用いた目地補修方法に関し、詳しくは、建物躯体の外壁板同士の繋ぎ目に形成された目地の補修に用いる目地カバー部材及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅用の建物の外壁には、その意匠性を高めるため、各種のサイディング等の外壁板が、釘等を用いて建物躯体に固定されている。外壁板の固定構造としては、図11に示すように、胴縁材101に固定したハット型断面の金具102(以下、「ハットジョイナー」という)の凸部103を挟んで、外壁板104の端部同士を対向させて、複数の外壁板を連続状に取り付ける構造が知られている。この場合、ハットジョイナーの凸部103と外壁板104の端部との隙間(目地)には、ゴム状の目地材105が充填されている(例えば、特許文献1を参照)。この目地に充填する目地材5は、一定の弾力性があり、気温変化による外壁板104の伸縮に追従することができる。そのため、外壁板104の目地から雨水等が浸入するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-98034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、目地材は、ゴム系部材であって、紫外線や温度変化等の影響を受けて劣化しやすい。そのため、ある程度の年月を経て、目地材が劣化して弾力性が低下すると、目地材に割れや剥がれ等が生じることがある。目地材に割れ、剥がれ等が生じた場合には、通常、古い目地材を剥がして新しい目地材に交換するという目地の補修が行われている。
【0005】
この目地の補修は、例えば、図12に示すステップT1~T7の手順に従って行われている。すなわち、先ず、古い目地材をカッターナイフ等で撤去する(ステップT1)。次に、マスキングテープを外壁板の端部周囲に貼ってから(ステップT2)、目地用の接着剤を外壁板の端面に塗る(ステップT3)。また、ハットジョイナーの凸部に目地材の接着防止テープを貼る(ステップT4)。その後、新しい目地材を外壁板の隙間に充填し(ステップT5)、目地材をヘラ等で押えて溝状の目地を形成する(ステップT6)。最後に、マスキングテープを剥がして、目地材が固まるのを待って(ステップT7)、目地の補修が完了する。
【0006】
上記目地の補修作業には、熟練の作業スキルが必要であると共に、多大な手間が掛かり、補修費用も高くなるという問題があった。また、古い目地材を新しい目地材に交換しても、目地材は、もともと劣化しやすいので、所定の年月(約10年程度)が経過すれば、再度補修しなければならないという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、古い目地材を交換することなく簡単に目地を補修できて、耐久性の高い目地カバー部材を提供すること、及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の目地カバー部材及び目地カバー部材を用いた目地補修方法は、次のような構成を有している。
(1)建物躯体の胴縁材に固定されたハットジョイナーの凸部と、当該凸部を挟んで端部同士を対向させて前記胴縁材に固定された外壁板の前記端部との隙間に、ゴム状の目地材が充填されている目地の補修に用いる目地カバー部材であって、
前記目地カバー部材には、前記外壁板の端部外表面にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部と、当該外接フランジ部同士の間に形成され前記目地材と離間して対向する目地対向部とを有するカバー体と、
前記カバー体の裏面に接合され前記目地材の表面と前記外壁板の端部とに当接する弾性体とを備えたこと、
前記カバー体は、前記目地対向部の外表面から挿入され前記凸部に係合されたネジ部材を介して、前記ハットジョイナーに締結されていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、目地カバー部材には、外壁板の端部外表面にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部と、当該外接フランジ部同士の間に形成され目地材と離間して対向する目地対向部とを有するカバー体と、カバー体の裏面に接合され目地材の表面と外壁板の端部とに当接する弾性体とを備え、また、カバー体は、目地対向部の外表面から挿入され凸部に係合されたネジ部材を介して、ハットジョイナーに締結されているので、カバー体が、隣接する外壁板の端部外表面と外壁板同士の目地に充填された目地材とをそれぞれ被覆しつつ、カバー体の裏面に接合された弾性体を目地材の表面と外壁板の端部とに密着させることができる。そのため、外壁板の目地に対する目地カバー部材のシール性を高め、目地から雨水等が浸入するのを効果的に阻止することができる。
【0010】
また、カバー体は、目地対向部の外表面から挿入され凸部に係合されたネジ部材を介して、ハットジョイナーに締結されているので、カバー体の目地対向部に対して外方からネジ部材を締め付けることによって、簡単に、カバー体の外接フランジ部を外壁板の端部外表面に当接させ、且つ、カバー体の裏面に接合された弾性体を目地材の表面と外壁板の端部とに密着させながら、目地カバー部材をハットジョイナーに取り付けることができる。そのため、目地材が劣化した箇所において、劣化した目地材を新しい目地材に取り換えることなく、ハットジョイナーに対してネジ部材によって目地カバー部材を取り付けるだけで、目地の補修が可能となる。また、カバー体が劣化しやすい弾性体を保護する構造であるので、目地カバー部材自身の寿命を長期化することもできる。そのため、新しい目地材に交換する熟練の作業スキルを必要とせず、また、その手間を省けて補修費用の低減に寄与でき、さらに、目地カバー部材の耐久性を高めることができる。
【0011】
よって、本発明によれば、古い目地材を交換することなく簡単に目地を補修できて、耐久性の高い目地カバー部材を提供することができる。
【0012】
(2)(1)に記載された目地カバー部材において、
前記ネジ部材には、頭部からネジ部の軸方向に形成された縦孔と、前記凸部の裏面側で前記縦孔と交差して前記ネジ部の外表面まで貫通された横孔とを備えていること、
前記ネジ部が前記凸部に係合された状態で、前記縦孔の頭部開口部から注入された接着剤が、前記横孔のネジ貫通部からはみ出して前記ネジ部と前記凸部とを連結していることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、ネジ部材には、頭部からネジ部の軸方向に形成された縦孔と、凸部の裏面側で縦孔と交差してネジ部の外表面まで貫通された横孔とを備え、また、ネジ部が凸部に係合された状態で、縦孔の頭部開口部から注入された接着剤が、横孔のネジ貫通部からはみ出してネジ部と凸部とを連結しているので、ネジ部材のネジ部とハットジョイナーの凸部とを接着剤を介して、より強固に連結することができる。そのため、温度変化等によって目地カバー部材を締結するネジ部材が緩むのを抑制でき、目地カバー部材のシール性をより一層高めることができる。
【0014】
(3)(1)又は(2)に記載された目地カバー部材において、
前記弾性体は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材であることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、弾性体は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材であるので、浸入した雨水の吸水性を高めることができる。また、カバー体の裏面に接合されたスポンジ部材が、目地材の表面と外壁板の端部とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材の表面と外壁板の端部とに密着しやすい。そのため、カバー体から多少の雨水が浸入しても、スポンジ部材が雨水を吸収しつつ、目地材の表面と外壁板の端部とに密着した状態を維持することによって、建物躯体内への雨水の浸入をより効果的に防止することができる。また、弾性体は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材であるので、目地材に対する断熱効果を高めることができ、目地材の劣化の進行を遅らせることもできる。
【0016】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された目地カバー部材において、
前記外接フランジ部と前記目地対向部とは、前記外壁板の表裏方向に起立する縦壁部によって連結されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、外接フランジ部と目地対向部とは、外壁板の表裏方向に起立する縦壁部によって連結されているので、カバー体の長手方向における反りや捻じれ等に対する剛性を高めることができる。そのため、目地カバー部材のシール性を高めると共に、カバー体の軽量化が可能となり、また、ネジ部材の本数を低減できる。また、目地カバー部材の取付作業の負担を軽減でき、その手間を省くこともできる。
【0018】
(5)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された目地カバー部材において、
前記目地対向部は、前記目地の溝幅と略同一の幅で形成され、前記外接フランジ部から前記外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されていること、
前記弾性体は、前記縦壁部同士の隙間に嵌装され、前記目地対向部の裏面に接合されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、目地対向部は、目地の溝幅と略同一の幅で形成され、外接フランジ部から外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されているので、カバー体の剛性をより一層向上させることができ、ネジ部材によってカバー体をハットジョイナーに締結するときの変形等をより一層回避し得る。また、弾性体は、縦壁部同士の隙間に嵌装され、目地対向部の裏面に接合されているので、ネジ部材によってカバー体をハットジョイナーに締結したとき、弾性体を圧縮させて目地材の表面と外壁板の端部とにより一層密着させてシール性を高めることができる。
【0020】
(6)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された目地カバー部材において、
前記目地対向部は、前記目地の溝幅と略同一の幅で形成され、前記外接フランジ部から前記外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されていること、
前記弾性体は、前記縦壁部同士の隙間を跨いで前記外接フランジ部の裏面に接合されていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、目地対向部は、目地の溝幅と略同一の幅で形成され、外接フランジ部から外壁板の表方向に起立する一対の縦壁部と連結されているので、カバー体の剛性をより一層向上させることができ、ネジ部材によってカバー体をハットジョイナーに締結するときの変形等をより一層回避し得る。また、弾性体は、縦壁部同士の隙間を跨いで外接フランジ部の裏面に接合されているので、ネジ部材によってカバー体をハットジョイナーに締結したとき、外接フランジ部が弾性体を圧縮させて目地材の表面と外壁板の端部とに密着させてシール性を高めると共に、目地対向部と弾性体との間に空間を形成して、断熱効果を高めることができる。
【0022】
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載された目地カバー部材を用いた目地補修方法であって、
前記カバー体を形成するカバー体形成工程と、前記弾性体を形成する弾性体形成工程と、前記弾性体を前記カバー体の裏面に接合する弾性体接合工程と、前記弾性体を接合した前記カバー体をネジ部材を介して前記ハットジョイナーの凸部に係合するカバー締結工程とを備え、
前記弾性体形成工程では、前記弾性体に対して前記ネジ部材の締結位置に対応して切欠き部を形成することを特徴とする。
【0023】
本発明においては、カバー体を形成するカバー体形成工程と、弾性体を形成する弾性体形成工程と、弾性体を前記カバー体の裏面に接合する弾性体接合工程と、弾性体を接合したカバー体をネジ部材を介してハットジョイナーの凸部に係合するカバー締結工程とを備え、弾性体形成工程では、弾性体に対してネジ部材の締結位置に対応して切欠き部を形成するので、ネジ部材のネジ溝に弾性体が巻き込まれて、弾性体が変形し、弾性体と目地材の表面と外壁板の端部との間に隙間が生じるのを回避できる。そのため、弾性体が、ネジ部材の締結位置において、目地材の表面と外壁板の端部とに対して隙間を生じることなく密着した状態を維持することによって、建物躯体内への雨水の浸入をより効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、古い目地材を交換することなく簡単に目地を補修できて、耐久性の高い目地カバー部材を提供すること、及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る第1実施例の目地カバー部材の取付け状態における概略斜視図である。
図2図1に示す目地カバー部材の概略斜視図である。
図3図1に示すX-X断面図である。
図4図1に示すネジ部材の図面であって、(A)はネジ頭部の平面図を示し、(B)は(A)に示すY-Y断面図を示す。
図5図1に示す目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図である。
図6図1に示す目地カバー部材を用いた目地補修方法を表すフローチャート図である。
図7】本実施形態に係る第2実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図である。
図8】本実施形態に係る第3実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図である。
図9】本実施形態に係る第4実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図である。
図10】本実施形態に係る第5実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図である。
図11】特許文献1に記載された建物躯体の外壁板同士の繋ぎ目に形成された目地構造の概略斜視図である。
図12】従来の目地補修方法を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態に係る目地カバー部材及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本実施形態に係る第1実施例の目地カバー部材及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法を詳細に説明した後に、第2実施例から第5実施例の目地カバー部材について、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0027】
<第1実施例の目地カバー部材及び目地補修方法>
本実施形態に係る第1実施例の目地カバー部材及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法について、図1図6を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る第1実施例の目地カバー部材の取付け状態における概略斜視図を示す。図2に、図1に示す目地カバー部材の概略斜視図を示す。図3に、図1に示すX-X断面図を示す。図4に、図1に示すネジ部材の図面であって、(A)はネジ頭部の平面図を示し、(B)は(A)に示すY-Y断面図を示す。図5に、図1に示す目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図を示す。図6に、図1に示す目地カバー部材を用いた目地補修方法を表すフローチャート図を示す。
【0028】
(目地カバー部材の構成)
図1図4に示すように、本実施形態に係る第1実施例の目地カバー部材5は、建物躯体1の胴縁材11に固定されたハットジョイナー2の凸部21と、当該凸部21を挟んで端部31同士を対向させて胴縁材11に固定された外壁板3の端部31との隙間に、ゴム状の目地材41が充填されている目地4の補修に用いる目地カバー部材である。外壁板3は、例えば、窯業系サイディング等が該当する。ここでは、外壁板3は、長方形の板状に形成され、また、長辺が上下方向に延設されている。目地カバー部材5は、外壁板3の長辺に沿って取り付けられている。
【0029】
また、目地カバー部材5には、外壁板3の端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511と、当該外接フランジ部511同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512とを有するカバー体51と、カバー体51の裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する弾性体52とを備えている。また、カバー体51は、目地対向部512の外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されている。なお、カバー体51は、例えば、防錆性能の高いアルミ亜鉛合金メッキ鋼板(通称、「ガルバリウム鋼板(登録商標)」と呼ぶ)で形成されていることが好ましい。カバー体51の板厚は、例えば、0.3~0.5mm程度が好ましい。ここでは、弾性体52は、矩形状断面に形成されているが、目地材41との当接面を蒲鉾状に形成してもよい。目地材41は、円弧状に凹むことが多いからである。
【0030】
また、ネジ部材6には、頭部61からネジ部62の軸方向に形成された縦孔63と、凸部21の裏面側で縦孔63と交差してネジ部62の外表面まで貫通された横孔64とを備え、また、ネジ部62が凸部21に係合された状態で、縦孔63の頭部開口部631から注入された接着剤7が、横孔64のネジ貫通部641からはみ出してネジ部62と凸部21とを連結していることが好ましい。ネジ部材6のネジ部62とハットジョイナー2の凸部21とを接着剤7を介して、より強固に連結することができ、温度変化等によって目地カバー部材5を締結するネジ部材6が緩むのを抑制でき、目地カバー部材5のシール性をより一層高めることができるからである。なお、ネジ部材6は、ネジ部62がハットジョイナー2の凸部21には係合するが、建物躯体1には挿入されない程度のもの(長さ)を選定する。また、頭部61には、ドライバー溝が形成されている。
【0031】
また、弾性体52は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52Sであることが好ましい。スポンジ部材52Sは、例えば、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)を主成分とした軟質半連続発泡ゴムであって、その片面にアクリル系粘着剤が形成されているものが、より好ましい。スポンジ部材52Sは、カバー体51と外壁板3との隙間から浸入した雨水を吸水することができ、また、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすいからである。また、スポンジ部材52Sは、気泡に含まれた空気層によって、目地材41に対する断熱効果を高めることができ、目地材41の劣化の進行を遅らせることもできるからである。なお、スポンジ部材52Sにおける気泡の大きさは、必ずしも均一でなくともよい。
【0032】
また、カバー体51において、外接フランジ部511と目地対向部512とが、外壁板3の表裏方向に起立する縦壁部513によって連結されていることが好ましい。外壁板3の端部外表面311に対して平行に形成された外接フランジ部511と目地対向部512とを、端部外表面311に対して垂直に形成された縦壁部513によって連結することによって、カバー体51の断面係数を高め、カバー体51の長手方向における反りや捻じれ等に対する剛性を高めることができるからである。そのため、目地カバー部材5のシール性を高めると共に、カバー体51の軽量化が可能となり、また、ネジ部材6の本数を低減できる。なお、外接フランジ部511には、外壁板3の端部外表面311に当接する外縁部を内方に折り曲げて重ね合わせるハゼ折り部511Hが形成されている。ハゼ折り部511Hを形成することによって、防錆性能と安全性能を高めることができる。
【0033】
ここでは、目地対向部512は、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外接フランジ部511から外壁板3の表方向に起立する一対の縦壁部513と連結されている。これによって、カバー体51の剛性をより一層向上させることができ、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結するときの目地対向部512の変形等をより一層回避し得る。また、弾性体52であるスポンジ部材52Sは、縦壁部513同士の隙間に嵌装され、目地対向部512の裏面に接合されている。これによって、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結したとき、弾性体52(スポンジ部材52S)を圧縮させて目地材41の表面と外壁板3の端部31とにより一層密着させてシール性を高めることができる。
【0034】
(目地カバー部材を用いた目地補修方法)
図3図5図6に示すように、はじめに、カバー体形成工程S1において、所定の幅及び長さに切断した鋼板を曲げ加工して、目地カバー部材5のカバー体51を形成する。カバー体51は、ハゼ折り部511Hと外接フランジ部511と縦壁部513と目地対向部512とを所定のハット断面に曲げ加工した後に、ハゼ折り部511Hのみを外接フランジ部511の裏面側へ重ね合わせるようにヘミング曲げ加工して形成する。その後、目地対向部512には、ネジ部材6の締結位置に対応してネジ下孔512Pを形成する。
【0035】
次に、弾性体形成工程S2において、所定の幅に形成された弾性体52(スポンジ部材52S)を所定の長さに切断する。弾性体52(スポンジ部材52S)の厚さは、外壁板3の端部外表面311に対する目地材41の引け具合によって選定する。また、弾性体52(スポンジ部材52S)には、ネジ部材6の締結位置(目地対向部512に形成されたネジ下孔512P)に対応して切欠き部521を形成する。切欠き部521は、ネジ部62のネジ溝による巻き込みを回避できるように、V字状又はU字状に形成することが好ましい。
【0036】
次に、弾性体接合工程S3において、弾性体52(スポンジ部材52S)をカバー体51の裏面に接合する。ここでは、弾性体52(スポンジ部材52S)は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)を主成分とした軟質半連続発泡ゴムであって、その片面にアクリル系粘着剤が形成されているので、目地対向部512の裏面に、アクリル系粘着剤522を介して貼着する。また、弾性体52(スポンジ部材52S)は、カバー体51の目地対向部512に貼着した状態で、目地材41及び外壁板3に当接する当接面523が、外接フランジ部511より外方へ突出している。
【0037】
次に、カバー締結工程S4において、弾性体52(スポンジ部材52S)を接合したカバー体51をネジ部材6を介してハットジョイナー2の凸部21に係合する。ネジ部材6は、頭部61からネジ部62の軸方向に形成された縦孔63と、凸部21の裏面側で縦孔63と交差してネジ部62の外表面まで貫通された横孔64とを備えたネジを使用し、目地対向部512に形成したネジ下孔512Pから挿入する。また、ネジ部62がハットジョイナー2の凸部21に係合された状態で、縦孔63の頭部開口部631から接着剤7を注入する。接着剤7は、横孔64のネジ貫通部641からはみ出して、ネジ部62と凸部21とを連結した状態で固化する。
【0038】
以上の工程によって、目地材41が劣化した箇所において、劣化した目地材41を新しい目地材に取り換えることなく、ハットジョイナー2に対してネジ部材6によって目地カバー部材5を取り付けるだけで、目地4の補修が可能となる。
【0039】
<第2実施例の目地カバー部材>
本実施形態に係る第2実施例の目地カバー部材について、図7を用いて説明する。図7に、本実施形態に係る第2実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図を示す。ここでは、第2実施例の目地カバー部材について、第1実施例との共通点については、共通の符号を付して、その説明は原則として割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。また、第2実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法は、前述した第1実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法と共通しているので、その説明は省略する。
【0040】
(目地カバー部材の構成)
図7に示すように、本実施形態に係る第2実施例の目地カバー部材5Bは、建物躯体1の胴縁材11に固定されたハットジョイナー2の凸部21と、当該凸部21を挟んで端部31同士を対向させて胴縁材11に固定された外壁板3の端部31との隙間に、ゴム状の目地材41が充填されている目地4の補修に用いる目地カバー部材であって、目地カバー部材5Bには、外壁板3の端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511と、当該外接フランジ部511同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512とを有するカバー体51と、カバー体51の裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する弾性体52Bとを備えている。また、カバー体51は、目地対向部512の外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されている。また、目地対向部512は、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外接フランジ部511から外壁板3の表方向に起立する一対の縦壁部513と連結されている。以上の構成は、基本的に第1実施例と共通する。
【0041】
しかし、第2実施例では、弾性体52Bは、縦壁部513同士の隙間を跨いで外接フランジ部511の裏面に接合されている点が、第1実施例と相違する。すなわち、第2実施例では、弾性体52Bの幅を広く形成し、縦壁部513同士の隙間に空間が形成されている。上記構成によって、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結したとき、弾性体52Bを外接フランジ部511が圧縮させて目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させてシール性を高めると共に、目地対向部512と弾性体52Bとの間に空間を形成して、断熱効果を高めることができる。
【0042】
なお、弾性体52Bは、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52SBであることが好ましい。スポンジ部材52SBは、カバー体51と外壁板3との隙間から浸入した雨水を吸水することができ、また、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結したとき、スポンジ部材52SBが外接フランジ部511によって圧縮されやすく、外接フランジ部511と外壁板3の端部外表面311との間に隙間が生じにくいからである。また、スポンジ部材52SBは、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすいからである。
【0043】
<第3実施例の目地カバー部材>
本実施形態に係る第3実施例の目地カバー部材について、図8を用いて説明する。図8に、本実施形態に係る第3実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図を示す。ここでは、第3実施例の目地カバー部材について、第1実施例との共通点については、共通の符号を付して、その説明は原則として割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。また、第3実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法は、前述した第1実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法と共通しているので、その説明は省略する。
【0044】
(目地カバー部材の構成)
図8に示すように、本実施形態に係る第3実施例の目地カバー部材5Cは、建物躯体1の胴縁材11に固定されたハットジョイナー2の凸部21と、当該凸部21を挟んで端部31同士を対向させて胴縁材11に固定された外壁板3の端部31との隙間に、ゴム状の目地材41が充填されている目地4の補修に用いる目地カバー部材であって、目地カバー部材5Cには、外壁板3の端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511Cと、当該外接フランジ部511C同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512Cとを有するカバー体51Cと、カバー体51Cの裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する弾性体52とを備えている。また、カバー体51Cは、目地対向部512の外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されている。以上の構成は、基本的に第1実施例と共通する。
【0045】
しかし、第3実施例では、目地対向部512Cは、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外壁板3の表方向に向けて凸湾曲状に形成された外接フランジ部511Cと連結されている点が、第1実施例と相違する。すなわち、第3実施例では、外接フランジ部511Cが、外壁板3の端部外表面311に当接するハゼ折り部511HCから外壁板3の表方向に向けて凸湾曲状に形成されて目地対向部512Cと連結されている。目地対向部512Cの裏面には、目地4の溝幅4Hに形成された弾性体52が接合されている。上記構成によって、ネジ部材6によってカバー体51Cをハットジョイナー2に締結したとき、目地対向部512Cが弾性体52を押圧して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させてシール性を高めると共に、外接フランジ部511Cと弾性体52との間に空間を形成して、断熱効果を高めることができる。
【0046】
なお、弾性体52は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52Sであることが好ましい。スポンジ部材52Sは、カバー体51Cと外壁板3との隙間から浸入した雨水を吸水することができ、また、ネジ部材6によってカバー体51Cをハットジョイナー2に締結したとき、スポンジ部材52Sが目地対向部512Cによって圧縮されやすく、外接フランジ部511Cと外壁板3の端部外表面311との間に隙間が生じにくいからである。また、スポンジ部材52Sは、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすいからである。
【0047】
<第4実施例の目地カバー部材>
本実施形態に係る第4実施例の目地カバー部材について、図9を用いて説明する。図9に、本実施形態に係る第4実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図を示す。ここでは、第4実施例の目地カバー部材について、第1実施例との共通点については、共通の符号を付して、その説明は原則として割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。また、第4実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法は、前述した第1実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法と共通しているので、その説明は省略する。
【0048】
(目地カバー部材の構成)
図9に示すように、本実施形態に係る第4実施例の目地カバー部材5Dは、建物躯体1の胴縁材11に固定されたハットジョイナー2の凸部21と、当該凸部21を挟んで端部31同士を対向させて胴縁材11に固定された外壁板3の端部31との隙間に、ゴム状の目地材41が充填されている目地4の補修に用いる目地カバー部材であって、目地カバー部材5Dには、隣接する外壁板3の端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511Dと、当該外接フランジ部511D同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512Dとを有するカバー体51Dと、カバー体51Dの裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する弾性体52とを備えている。また、カバー体51Dは、目地対向部512Dの外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されている。以上の構成は、基本的に第1実施例と共通する。
【0049】
しかし、第4実施例では、目地対向部512Dは、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外接フランジ部511Dから外壁板3の裏方向に起立する一対の縦壁部513Dと連結されている点と、外接フランジ部511Dは、外壁板3の端部外表面311に当接するハゼ折り部511HDから外壁板3の表方向に向けて凸湾曲状に形成されている点が、第1実施例と相違する。すなわち、第4実施例では、外接フランジ部511Dがハゼ折り部511HDから外壁板3の表方向に向けて凸湾曲状に形成され、目地対向部512Dが外接フランジ部511Dから外壁板3の裏方向に起立する一対の縦壁部513Dと連結されている。目地対向部512Dの裏面には、目地4の溝幅4Hに形成された弾性体52が接合されている。上記構成によって、ネジ部材6によってカバー体51Dをハットジョイナー2に締結したとき、目地対向部512Dが弾性体52を押圧して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させてシール性を高めると共に、外接フランジ部511Dと弾性体52との間に、より大きな空間を形成して、断熱効果をより一層高めることができる。また、ネジ部材6の頭部61には、目地対向部512Dに当接する廻り止め部材8が装着されている。そのため、ネジ部材6は、一対の縦壁部513D同士の隙間に挿入され、緩み止め効果を有しつつ、外観上目立ちにくくさせることができる。
【0050】
なお、弾性体52は、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52Sであることが好ましい。スポンジ部材52Sは、カバー体51Dと外壁板3との隙間から浸入した雨水を吸水することができ、また、ネジ部材6によってカバー体51Dをハットジョイナー2に締結したとき、スポンジ部材52Sが目地対向部512Dによって圧縮されやすく、外接フランジ部511Dと外壁板3の端部外表面311との間に隙間が生じにくいからである。また、スポンジ部材52Sは、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすいからである。
【0051】
<第5実施例の目地カバー部材>
本実施形態に係る第5実施例の目地カバー部材について、図10を用いて説明する。図10に、本実施形態に係る第5実施例の目地カバー部材の取付け前後を表す断面図であって、(A)は取付前の目地カバー部材の断面図を示し、(B)は取付後の目地カバー部材と外壁板の断面図を示す。ここでは、第5実施例の目地カバー部材について、第1実施例との共通点については、共通の符号を付して、その説明は原則として割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。また、第5実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法は、前述した第1実施例の目地カバー部材を用いた目地補修方法と共通しているので、その説明は省略する。
【0052】
(目地カバー部材の構成)
図10に示すように、本実施形態に係る第5実施例の目地カバー部材5Eは、建物躯体1の胴縁材11に固定されたハットジョイナー2の凸部21と、当該凸部21を挟んで端部31同士を対向させて胴縁材11に固定された外壁板3の端部31との隙間に、ゴム状の目地材41が充填されている目地4の補修に用いる目地カバー部材であって、目地カバー部材5Eには、外壁板3、3Eの端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511Eと、当該外接フランジ部511E同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512Eとを有するカバー体51Eと、カバー体51Eの裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3、3Eの端部31、31Eとに当接する弾性体52Eとを備えている。また、カバー体51Eは、目地対向部512Eの外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されている。また、カバー体51Eにおいて、外接フランジ部511Eと目地対向部512Eとが、外壁板3の表裏方向に起立する縦壁部513Eによって連結されている。以上の構成は、基本的に第1実施例と共通する。
【0053】
しかし、第5実施例では、隣接する外壁板3の厚さが異なること、目地対向部512Eは、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、薄い外壁板3に当接する一方の外接フランジ部511Eから厚い外壁板3の端部31に沿って起立する縦壁部513Eと連結されている点が、第1実施例と相違する。すなわち、第5実施例では、カバー体51Eが、薄い外壁板3に当接する一方の外接フランジ部511Eと、厚い外壁板3に当接する他方の外接フランジ部511Eとが、厚い外壁板3の端部31に沿って起立する縦壁部513Eによって階段状に連結されている。なお、外接フランジ部511Eには、外壁板3の端部外表面311に当接する外縁部を内方に折り曲げて重ね合わせるハゼ折り部511HEが形成されている。
【0054】
また、目地対向部512Eの裏面には、目地4の溝幅4Hに形成された弾性体52Eが接合されている。上記構成によって、ネジ部材6によってカバー体51Eをハットジョイナー2に締結したとき、厚さの異なる外壁板3に外接フランジ部511Eが当接しつつ、目地対向部512Eが弾性体52Eを押圧して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させてシール性を高めることができる。
【0055】
なお、弾性体52Eは、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52SEであることが好ましい。スポンジ部材52SEは、カバー体51Eと外壁板3との隙間から浸入した雨水を吸水することができ、また、ネジ部材6によってカバー体51Eをハットジョイナー2に締結したとき、スポンジ部材52SEが目地対向部512Eによって圧縮されやすく、外接フランジ部511Eと外壁板3の端部外表面311との間に隙間が生じにくいからである。また、スポンジ部材52SEは、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすいからである。
【0056】
<作用効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eによれば、目地カバー部材には、外壁板3の端部外表面311にそれぞれ当接する一対の外接フランジ部511、511C、511D、511Eと、当該外接フランジ部同士の間に形成され目地材41と離間して対向する目地対向部512、512C、512D、512Eとを有するカバー体51、51C、51D、51Eと、カバー体の裏面に接合され目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する弾性体52、52B、52Eとを備え、また、カバー体51、51C、51D、51Eは、目地対向部512、512C、512D、512Eの外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されているので、カバー体51、51C、51D、51Eが、隣接する外壁板3の端部外表面311と外壁板同士の目地4に充填された目地材41とをそれぞれ被覆しつつ、カバー体51、51C、51D、51Eの裏面に接合された弾性体52、52B、52Eを目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させることができる。そのため、外壁板3の目地4に対する目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eのシール性を高め、目地4から雨水等が浸入するのを効果的に阻止することができる。
【0057】
また、カバー体51、51C、51D、51Eは、目地対向部512、512C、512D、512Eの外表面から挿入され凸部21に係合されたネジ部材6を介して、ハットジョイナー2に締結されているので、カバー体51、51C、51D、51Eの目地対向部512、512C、512D、512Eに対して外方からネジ部材6を締め付けることによって、簡単に、カバー体51、51C、51D、51Eの外接フランジ部511、511C、511D、511Eを外壁板3の端部外表面311に当接させ、且つ、カバー体51、51C、51D、51Eの裏面に接合された弾性体52、52B、52Eを目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させながら、目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eをハットジョイナー2に取り付けることができる。そのため、目地材41が劣化した箇所において、劣化した目地材41を新しい目地材に取り換えることなく、ハットジョイナー2に対してネジ部材6によって目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eを取り付けるだけで、目地4の補修が可能となる。また、カバー体51、51C、51D、51Eが劣化しやすい弾性体52、52B、52Eを保護する構造であるので、目地カバー部材5、5B、5C、5D、5E自身の寿命を長期化することもできる。そのため、新しい目地材41に交換する熟練の作業スキルを必要とせず、また、その手間を省けて補修費用の低減に寄与でき、さらに、目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eの耐久性を高めることができる。
【0058】
よって、本実施形態によれば、古い目地材41を交換することなく簡単に目地4を補修できて、耐久性の高い目地カバー部材5、5B、5C、5D、5Eを提供することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、ネジ部材6には、頭部61からネジ部62の軸方向に形成された縦孔63と、凸部21の裏面側で縦孔63と交差してネジ部62の外表面まで貫通された横孔64とを備え、また、ネジ部62が凸部21に係合された状態で、縦孔63の頭部開口部631から注入された接着剤7が、横孔64のネジ貫通部641からはみ出してネジ部62と凸部21とを連結しているので、ネジ部材6のネジ部62とハットジョイナー2の凸部21とを接着剤7を介して、より強固に連結することができる。そのため、温度変化等によって目地カバー部材5を締結するネジ部材6が緩むのを抑制でき、目地カバー部材5のシール性をより一層高めることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、弾性体52、52B、52Eは、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52S、52SB、52SEであるので、浸入した雨水の吸水性を高めることができる。また、カバー体51、51C、51D、51Eの裏面に接合されたスポンジ部材52S、52SB、52SEが、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに当接する際、スポンジ面が柔軟に変形して目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着しやすい。そのため、カバー体51、51C、51D、51Eから多少の雨水が浸入しても、スポンジ部材52S、52SB、52SEが雨水を吸収しつつ、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着した状態を維持することによって、建物躯体1内への雨水の浸入をより効果的に防止することができる。また、弾性体52、52B、52Eは、気泡が半連続的に分散されたゴム系のスポンジ部材52S、52SB、52SEであるので、目地材41に対する断熱効果を高めることができ、目地材41の劣化の進行を遅らせることもできる。
【0061】
また、本実施形態によれば、外接フランジ部511、511D、511Eと目地対向部512、512D、512Eとは、外壁板3の表裏方向に起立する縦壁部513、513D、513Eによって連結されているので、カバー体51、51D、51Eの長手方向における反りや捻じれ等に対する剛性を高めることができる。そのため、目地カバー部材5、5B、5D、5Eのシール性を高めると共に、カバー体51、51D、51Eの軽量化が可能となり、また、ネジ部材6の本数を低減できる。また、目地カバー部材5、5B、5D、5Eの取付作業の負担を軽減でき、その手間を省くこともできる。
【0062】
また、本実施形態によれば、目地対向部512は、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外接フランジ部511から外壁板3の表方向に起立する一対の縦壁部513と連結されているので、カバー体5の剛性をより一層向上させることができ、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結するときの変形等をより一層回避し得る。また、弾性体52は、縦壁部513同士の隙間に嵌装され、目地対向部512の裏面に接合されているので、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結したとき、弾性体52を圧縮させて目地材41の表面と外壁板3の端部31とにより一層密着させてシール性を高めることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、目地対向部512は、目地4の溝幅4Hと略同一の幅で形成され、外接フランジ部511から外壁板3の表方向に起立する一対の縦壁部513と連結されているので、カバー体51の剛性をより一層向上させることができ、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結するときの変形等をより一層回避し得る。また、弾性体52Bは、縦壁部513同士の隙間を跨いで外接フランジ部511の裏面に接合されているので、ネジ部材6によってカバー体51をハットジョイナー2に締結したとき、外接フランジ部511が弾性体52Bを圧縮させて目地材41の表面と外壁板3の端部31とに密着させてシール性を高めると共に、目地対向部512と弾性体52Bとの間に空間を形成して、断熱効果を高めることができる。
【0064】
また、目地カバー部材5を用いた目地補修方法に係る他の実施形態によれば、カバー体51を形成するカバー体形成工程S1と、弾性体52を形成する弾性体形成工程S2と、弾性体52をカバー体51の裏面に接合する弾性体接合工程S3と、弾性体52を接合したカバー体51をネジ部材6を介してハットジョイナー2の凸部21に係合するカバー締結工程S4とを備え、弾性体形成工程S2では、弾性体52に対してネジ部材6の締結位置に対応して切欠き部521を形成するので、ネジ部材6のネジ溝に弾性体52が巻き込まれて、弾性体52が変形し、弾性体52と目地材41の表面と外壁板3の端部31との間に隙間が生じるのを回避できる。そのため、弾性体52が、ネジ部材6の締結位置において、目地材41の表面と外壁板3の端部31とに対して隙間を生じることなく密着した状態を維持することによって、建物躯体1内への雨水の浸入をより効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、建物躯体の外壁板同士の繋ぎ目に形成された目地の補修に用いる目地カバー部材及び当該目地カバー部材を用いた目地補修方法として利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 建物躯体
2 ハットジョイナー
3 外壁板
4 目地
4H 溝幅
5、5B、5C、5D、5E 目地カバー部材
6 ネジ部材
7 接着剤
11 胴縁材
21 凸部
31 端部
41 目地材
51、51C、51D、51E カバー体
52、52B、52E 弾性体
52S、52SB、52SE スポンジ部材
61 頭部
62 ネジ部
63 縦孔
64 横孔
311 端部外表面
511、511C 外接フランジ部
511D、511E 外接フランジ部
512、512C 目地対向部
512D、512E 目地対向部
513、513D、513E 縦壁部
521 切欠き部
631 頭部開口部
641 ネジ貫通部
S1 カバー体形成工程
S2 弾性体形成工程
S3 弾性体接合工程
S4 カバー締結工程
図1
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