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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】建築構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20220331BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E04B1/343 J
E04C2/30 A
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2019542810
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 GB2017053193
(87)【国際公開番号】W WO2018078346
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】1618013.5
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519145931
【氏名又は名称】ビオーム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOHM LIMITED
【住所又は居所原語表記】26 Icona Point, 58 Warton Road, London E15 2JD United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】エハブ サイード
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭44-019228(JP,B1)
【文献】特開2012-224992(JP,A)
【文献】米国特許第06282849(US,B1)
【文献】英国特許出願公開第02302700(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 1/12
E04C 2/30
E04B 2/56 - 2/74
E04B 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁、床又は天井の形態の少なくとも1つの実質的に平面な構成要素を含み、少なくとも1つの平面な構成要素は、各々が30°-120°-30°の二等辺三角形の形態を有する複数の同一サイズの二等辺パネルと、各々が30°-60°-90°の直角三角形の形態を有する複数の同一サイズの直角パネルとを含む建築構造。
【請求項2】
周辺縁部を除き、前記平面な構成要素の全体は、前記複数の二等辺パネル及び直角パネルのうちの重複しないものにより構成され、実質的に埋められる、請求項1に記載の建築構造。
【請求項3】
前記直角パネルの長辺は、前記二等辺パネルの長辺の長さの約1.2倍である、請求項1または2に記載の建築構造。
【請求項4】
前記少なくとも1つの平面な構成要素は、接合剤を必要とせずにパネルを所定位置に保持するために隣接するパネル間に配置された連結部材をさらに備える、請求項1に記載の建築構造。
【請求項5】
各連結部材が、平面前部と、平面後部と、前部と後部との間に延びてパネルの縁部を受容するためのチャネルを画定する直交部分とを含み、チャネルの幅がパネルの厚さに実質的に等しい、請求項4に記載の建築構造。
【請求項6】
前記連結部材の前記平面前部および後部のうちの少なくとも1つは、隣接するパネル間の任意の小さな隙間を覆うように十分に延びている、請求項5に記載の建築構造。
【請求項7】
各連結部材の平面前部および後部が互いに位置合わせされている、請求項5または6に記載の建築構造。
【請求項8】
各連結部材が、隣接するパネルのそれぞれの縁部を受け入れるための2つの背中合わせのチャネルを画定する、請求項7に記載の建築構造。
【請求項9】
各連結部材の平面前部および平面後部の最も離れた先端が、30°の角度を成すように定められている、請求項8に記載の建築構造。
【請求項10】
各連結部材の平面前部および平面後部が台形である、請求項8または9に記載の建築構造。
【請求項11】
形状が本質的に同一であるが、3つの異なるサイズであり、各々がパネルの縁部の1つよりもわずかに大きい最大寸法を有する3つのタイプの連結部材を含む、請求項4から10のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項12】
1つの共通タイプの連結部材を含み、それらの結合長さがパネルの縁部のそれぞれよりもわずかに大きい最大寸法を有するように、適切な倍数の連結部材が端と端とを接して配置され得る、請求項4から10のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項13】
各連結部材が、平面な構成要素の平面に直交する平面内にI字形断面形状を有する、請求項4から12のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項14】
各連結部材が均質であり、鋳造または成形されることによって形成される、請求項4から13のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項15】
各連結部材がコンクリートで形成されている、請求項14に記載の建築構造。
【請求項16】
各パネルが、2つの外側層および内側絶縁層を含む構造的に絶縁されたパネルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項17】
前記外側層がコンクリートで形成されている、請求項16に記載の建築構造。
【請求項18】
前記絶縁層は、天然の再生可能な材料である、請求項16または17に記載の建築構造。
【請求項19】
前記絶縁層は、円形の一部の形態で各頂点に形成された切り欠きを有し、前記少なくとも1つの平面な構成要素は、前記絶縁層と同じ厚さの絶縁材料の複数の円形ディスクをさらに含み、前記円形ディスクは、隣接するパネルの隣接する頂点間に配置される、請求項16、17、又は18のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項20】
前記少なくとも1つの平面な構成要素の縁部を受け入れるための少なくとも1つの周辺フレームを含み、前記少なくとも1つの周辺フレームは、前記平面な構成要素を受け入れるためにまっすぐな縁部および成形された内縁部を有するように外側が成形された複数の構成要素を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項21】
隣接するパネル間に配置された複数の連結部材と、各々が形状およびサイズにおいて隣接するパネル間に配置された連結部材の1つの半分に相当し、かつパネルの縁部上に嵌合し、パネルに滑らかな縁部を提供する複数の8縁部片とを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項22】
建物の天井または屋根の少なくとも一部が、少なくとも1つの平面な構成要素を備える、建物の形態の、請求項1から21のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項23】
建物の床の少なくとも一部が、少なくとも1つの平面な構成要素を含む、建物の形態の、請求項1から22のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項24】
建物の少なくとも1つの壁が、前記少なくとも1つの平面な構成要素を備える、建物の形態の、請求項1から23のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項25】
前記建物は、前記少なくとも1つの平面な構成要素を受け入れるように成形された周辺フレームを含み、前記周辺フレームは、2つの対向する直立コーナーピラーを含み、それらの間に前記少なくとも1つの平面な構成要素が配置される、請求項24に記載の建築構造。
【請求項26】
少なくとも2つの平面な構成要素を含み、前記コーナーピラーの1つが前記2つの平面な構成要素の間に配置され、コーナー構成要素は、前記平面な構成要素が互いに対して角度が付けられたときに、前記平面な構成要素のそれぞれの隣接する縁部を受けるように成形される、請求項25に記載の建築構造。
【請求項27】
前記建物は、少なくとも部分的に直交しており、直交構造の少なくとも一部を形成するために、コーナーピラーにおいて互いに角度が付けられた壁を備える複数の平面な構成要素を備える、請求項26に記載の建築構造。
【請求項28】
前記建物の少なくとも1つの壁が、前記壁を形成するためにパネル及び連結部材を現場で積み重ねることによって形成される、請求項25から27のいずれか一項に記載の建築構造。
【請求項29】
それぞれが30°-120°-30°の二等辺三角形の形状を有する複数の同一の二等辺パネルと、それぞれが30°-60°-90°の直角三角形の形状を有する複数の同一の直角パネルとから、壁、床、または天井を形成するように平面な構成要素を組み立てることを含む建物を構築する方法であって、バインダーなしに介在する連結部材を使用してパネルを組み立てることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造に関し、特に、建築家に構造体の設計に比較的大きな柔軟性を与えるように設計された、比較的小さな選択のプレハブ部品から構築された建築物に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
建設コストおよび時間を最小限に抑えるために、プレハブ部品から現場外で部分的に建設(組み立て)することができる建物、またはプレハブ部品から現場で建設する建物が望まれている。これは、一般的な気象条件に依存しない生産ラインベースで製造または構築され得る工場の環境において、建物の構成要素を形成する、またはセクションを構築することが、通常、より費用効果的であるからである。さらに、プレハブ部品またはセクションから形成された建物は、現場でより迅速に組み立てることができ、したがって、現場の購入またはクリアランスと新しい建物の試運転との間の時間を短縮することができる。
【0003】
上記に加えて、環境上の理由から、建物は、解体ではなく、効率的に分解され得ることが望まれている。建物の構成要素を比較的容易に分解することができる場合、それらの構成要素が本質的に実質的に均質である場合、建物の異なる材料は、リサイクルのために比較的容易に分離することができる。
【0004】
現場外で形成された構成要素またはセクションから建物を構築し、次いでその同じ建物を解体することができる能力は、同等の従来の建物と比較して、その建物の二酸化炭素排出量を大幅に低減することになる。
【0005】
また、現場外での建築工法又は構築方法は、通常現場では実施することができない建築物の構成要素または部分の製造において利用することを可能にすることができる。これにより、建築物の構成要素または部分が構造的で熱絶縁性に製造することができる。
【0006】
上記の理由のから、建物が標準的な現場外の構成要素またはセクションで構築されることが望まれるが、建物が、美観を考慮するために、また、建物が特定の目的または個人のために設計されることを可能にするために、個々の特性を示すことも望ましい。したがって、建築構造、特に、多数の標準的な構成要素またはセクションから製作することができるが、その構成要素またはセクションは、建築家が、そのような構成要素またはセクションから製作された建築物を特定の要件に合わせることを依然として可能にする建築構造、および特に建築物が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、そのような構成要素から構築された建築構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、壁、床、または天井の形態の少なくとも1つの実質的に平面な構成要素を含み、少なくとも1つの平面な構成要素は、各々が30°-120°-30°の二等辺三角形の形態を有する複数の同一サイズの二等辺パネルと、各々が30°-60°-90°の直角三角形の形態を有する複数の同一サイズの直角パネルとを含む、建築構造が提供される。
【0009】
用語「二等辺パネル」および「二等辺パネルズ」は、クレームを含む本明細書全体にわたって、30°-120°-30°の二等辺三角形の形態の1つまたは複数のパネルを指すために使用される。同様に、本明細書全体を通して、「直角パネル」および「直角パネルズ」という用語は、30°-60°-90°の直角三角形の形態の1つまたは複数のパネルを指す。
【0010】
直角パネルのサイズに対して二等辺パネルのサイズを適切に選択することにより、複数のパネルは、利用可能なパネルの数に応じて、図20Bに示されるように、格子パターン上に無数の組み合わせの1つにレイアウトできる。パネルの寸法およびパネルの配置は、パネルの隣接する縁部が平行であり、ほぼ当接し、パネル間に最小の隙間を残すように配置されてもよい。このようにして、そのようなパネルは、壁、床、または天井などの建築構造の実質的に平面な構成要素の主要部分を形成することができ、建築家が壁、床、または天井の全体形状を設計する際に多大な自由度を与え、実質的に平面な構成要素が、30°、60°、90°、120°、150°、および240°の角度を含む広範囲の形状を有することを可能にしている。
【0011】
周辺エッジ部分を除いて、平面な構成要素の全体は、複数の二等辺パネルおよび直角パネルのうちの重複しないものから構成され、実質的に埋められていてもよい。このようにして、パネルは、パネルの材料を適切に選択することによって、パネルが実質的に耐候性バリアを形成し、及び/又は断熱バリアを提供することができるように、平面な構成要素の実質的に全体にわたって延在することができる。
【0012】
2つのタイプのパネルの形状は、直角のパネルの長辺の長さが二等辺パネルの長辺の長さの約1.2倍になるように、パネルの相対サイズが選択される場合に特に良く協働する。
【0013】
好ましくは、壁、床、または天井の形態である少なくとも1つの平面な構成要素は、パネルを一緒に保持するために、隣接するパネル間に位置する連結部材をさらに備える。隣接するパネル間に連結部材を設けることにより、固定具または結合剤を使用することなく、隣接するパネルを容易に組み立て、その後分解することができる。これは、後続の解体を大いに助けることができ、又は構造の一部を解体して構造を再構成できるようにする場合に役立つことができる。
【0014】
好ましくは、各連結部材は、平面前部と、平面後部と、前部と後部との間に延在してパネルの縁部を受けるためのチャネルを画定する直交部分とを含み、チャネルの幅は、パネルの厚さに実質的に等しい。
【0015】
上記の構成により、パネルをチャネル内に簡単に収めることができ、パネルまたは連結部材のいずれかにある程度の弾性があれば、パネルを連結部材内に実質的に封止することができる。さらに、連結部材の平面前部および平面後部の少なくとも一方は、隣接するパネル間の任意の小さな隙間を覆うのに十分に延在することが好ましい。したがって、パネルと連結部材との組み合わせは、少なくとも1つの平面な構成要素に耐候性外面を付与するように配置され得る。これは、特に、各連結部材が、隣接するパネルのそれぞれの縁部を受けるための2つの背中合わせのチャネルを画定する場合である。
【0016】
各連結部材の平面前部および平面後部は、台形であることが好ましく、ダイヤモンド形状で、直交部分が、ダイヤモンド形状の長さ方向に延びていることがより好ましい。これにより、平面前部および平面後部が連結部材の端部で先細りになり、各連結部材の平面前部および平面後部が互いに妨害することなく、2つの連結部材がパネルの2つの収束縁部のそれぞれに沿って延びることが可能になる。しかしながら、それらの中間点において、各連結部材の平面前部および平面後部は、連結部材の中心線から著しく延び、それによって、パネルが支持される比較的深いチャネルを画定し、そのようなパネルおよび連結具から構成される平面な構成要素が、平面な構成を保持することを支援する。
【0017】
平面前部および平面後部の重要な特徴は、それらの最も離れた先端または端部が、それぞれ隣接する連結部材の前部および後部と嵌合するために、30°の角度をなすことである。したがって、台形形状は必須ではない。さらに、連結部材は、別個の前部および後部平面部分を有してもよいが、代わりに、パネルを配置するための比較的浅い溝を両側に有する押出の形態であってもよい。
【0018】
建築構造は、形状が本質的に同一であるが、3つの異なるサイズであり、それぞれがパネルの縁部の1つよりもわずかに大きい最大寸法を有する3つのタイプの連結部材を備えていることが好ましい。
【0019】
3つのそのようなタイプの連結部材は、各連結部材の平面前部および平面後部が隣接するパネル間のすべての隙間を覆うように、平面な構成要素の隣接するパネルの縁部のすべての組合せを接続するのに十分である。
【0020】
上記に代わるものとして、3つの連結部材のすべての代わりに、適切な数のより小さい同一の連結部材で置き換えることができ、その結果、適切な数の単一の連結部材タイプを上記の3つの別個のタイプの代わりに使用することができる。
【0021】
各連結部材は、好ましくは均質であり、鋳造または成形されることによって形成される。各連結部材は、オートクレーブ気泡コンクリートであってもよいコンクリートで形成されていてもよい。これは、焼却下水汚泥灰(フライアッシュ)を使用することができる。
【0022】
好ましくは、各パネルは、耐候性であり得る2つの外層と、内部絶縁層とを含む構造的絶縁パネルである。外層は、上述のオートクレーブ気泡コンクリートのようなコンクリートで形成されていてもよい。絶縁層は、マッシュルームボードの2つの外側絶縁層と、マッシュルーム発泡体の内側層とを含むことができる。この利点は、マッシュルームボードをコンクリート上に直接成長させ、マッシュルーム発泡体をマッシュルームボード間に成長させ、プレハブ製造において追加の結合材料を使用する必要性を回避し、したがって構造の解体および再利用/リサイクルを支援することができることである。
【0023】
絶縁層は、各頂点に形成された、円形の一部の形態の切り欠きを有してもよく、少なくとも1つの平面な構成要素は、絶縁層と同じ厚さの絶縁材料の複数の円形ディスクをさらに備え、円形ディスクは、隣接するパネルの隣接する頂点の間に配置される。
【0024】
隣接するパネルの頂点に、または隣接する頂点間に絶縁材料の円形ディスクを設けることにより、隣接する連結部材の端部間の隙間が、隣接するパネルの頂点間の隙間と一列にならないことが保証される。さらに、円形ディスクと、このようなディスクを収容するように配置された部分円の形の切欠きとにより、ディスクに隣接し、ディスクを部分的に収容するパネル頂点の数および種類にかかわらず、単一のタイプのディスクを収容することが可能になる。
【0025】
建築構造は、少なくとも1つの平面な構成要素の少なくとも1つの縁部を受け入れるための少なくとも1つの周辺フレームを含むことができ、少なくとも1つの周辺フレームは、真っ直ぐな縁部を有するように外側に成形され、平面な構成要素を受け入れるように内側縁部に成形された複数の構成要素を含む。
【0026】
上記の配置は、前記少なくとも1つの平面な構成要素がフレームに収容されることを可能にし、次いで、フレームは、壁、床、天井などのための滑らかな直線縁部を提供し、その縁部は、建物、または他の建築構造の上縁部、下縁部、またはコーナーを形成するために必要である。
【0027】
好ましくは、建築構造は、隣接するパネルと複数のエッジピースとの間に配置された複数の連結部材を含み、これらのエッジピースは、それぞれ、形状およびサイズが連結部材の1つの半分に対応し、エッジピースは、パネルのそれぞれのエッジに嵌合して、パネルに滑らかなエッジを提供する。そのようなエッジピースは、少なくとも1つの平面な構成要素にドア、窓等のための入口を形成するために使用されてもよい。
【0028】
本発明は、建物の床の少なくとも一部分が少なくとも1つの平面な構成要素を含むか、または建物の少なくとも1つの壁が上記で言及した少なくとも1つの平面な構成要素を含む、建物の形態である建築構造に特に適用可能である。建物は、少なくとも1つの平面な構成要素を受け入れるように成形された周辺フレームを含むことができ、周辺フレームは、少なくとも1つの平面な構成要素が間に配置される2つの対向する直立コーナーピラーを含む。
【0029】
対向する直立コーナーピラーは、接着されていないパネルおよび連結部材を所定の位置に保持するように作用し、かつ、構造体に垂直方向の剛性を提供することができる。各コーナーピラーは、建物の一つの階の高さ及び少なくとも1つの平面な構成要素の高さを垂直に延ばす単一の構成要素からなることがある。
【0030】
好ましくは、建築構造は、少なくとも2つの平面な構成要素を含み、前記コーナーピラーのうちの1つは2つの平面な構成要素の間に配置され、コーナー構成要素は、平面な構成要素が互いに対して角度が付けられたときに、平面な構成要素のそれぞれの隣接する縁部を受けるように成形されている。
【0031】
角度は120°であってもよく、その場合、6つのそのようなコーナーピラーは直交する構造を完成するが、コーナーピラーは、代替的に、隣接する平面な構成要素をある他の角度で、例えば互いに90°で角度を付けるように配置されてもよい。
【0032】
建物の壁は、パネルと連結部材とを端から端まで現場で積み重ねることによって形成することができる。あるいは、複数のパネルおよび連結部材を備える1つ以上の平面な構成要素を、現場外で事前に組み立ててもよい。
【0033】
建築構造または建物は、上述のように外枠を有することができるが、代替的には、上述の平面連結部材と同様の角度付き構造の連結部材を使用して隣接する平面な構成要素を互いに対して適切な角度で接続し、別のフレームを必要とせずに壁、天井/屋根、または床の間にコーナーを形成することができる。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、それぞれが30°-120°-30°の二等辺三角形の形態を有する複数の同一の二等辺パネルと、それぞれが30°-60°-90°の直角三角形の形態を有する複数の同一の直角パネルとから壁、床、または天井を形成するように平面な構成要素を組み立てることを含む建築物を構築する方法が提供され、この方法は、バインダーなしで介在する連結部材を使用してパネルを組み立てることを含む。
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】六角形上に転置された二等辺パネル(B)を示す。
図2図1の六角形の異なる領域上に転置された直角パネル(A)を示す。
図3】適切な連結部材とともに、いくつかの二等辺パネル(B)および直角パネル(A)が、図1および図2に示される六角形の全領域を覆うためにどのように使用され得るかを示す。
図4】二等辺パネル(B)の斜視図である。
図5】直角パネル(A)の斜視図である。
図6】小型の連結部材(C)の斜視図である。
図7】中型の連結部材(D)の斜視図である。
図8】大型の連結部材(E)の斜視図である。
図9】コネクタディスク(I~P)の選択の斜視図である。
図10】二等辺パネル(B)が、3つの連結部材および3つのコネクタディスクによってどのように縁取られ得るかを示す。
図11図10の構成要素の分解図である。
図12図10に対応する斜視図である。
図13図11に対応する斜視図である。
図14】直角パネル(A)が、3つの連結部材および3つのコネクタディスクによってどのように縁取られ得るかを示す。
図15図14の構成要素の分解図である。
図16】どのように直角パネル(A)および二等辺パネル(B)を互いに隣接して配置し、適切な連結部材によって接合し、適切なさらなる連結部材およびコネクタディスクを2つのパネルの周りに配置するかを示す。
図17図16の構成要素の分解図である。
図18】様々なパネル、連結部材、コネクタディスク、およびエッジピースがどのように一緒に配置され得るかを示す。
図19図18の構成要素の分解図である。
図20A】グリッドパターンを生成するために六角形がどのように使用され得るかを示す。
図20B図20Aのグリッド上に重ねられているパネルおよび連結部材を用いて生成され得る可能性のある形状のいくつかを示す。
図21図1図19に示された構成要素から構築された建物の形態の建築構造である。
図22図24に示される建物の可能なフロアプランを示す。
図23図24に示される建物の可能なフロアプランを示す。
図24図21に示したものと同様の複数の構造物から構築された建物の形態の建築構造である。
図25図21および24の建物のフレームコーナーコネクタ(Q)、第1のフレームコネクタ(R)、第2のフレームコネクタ(T)、および第3のフレームコネクタ(U)の斜視図である。
図26図21の建物の床および6つのフレームコーナーコネクタ(Q)を示す。
図27図21の建物の屋根の予め組み立てられた平面な構成要素を示す。
図28図21の建物の後壁の予め組み立てられた平面な構成要素を示す。
図29】小エッジピース(F)、中エッジピース(G)および大エッジピース(H)の斜視図である。
図30図21の建物の壁の予め組み立てられた平面な構成要素を示し、図29のエッジピースのいくつかは出入口を形成する。
図31図30と同様であるが、エッジピースが窓開口部を形成している。
図32図21の建物の壁に大きな開口を形成するために、図29のエッジピースがどのように使用され得るかを示す。
図33図29のエッジピースのさらなる利用例を提供する。
図34図29のエッジピースのさらなる利用例を提供する。
図35図35は、本発明による正方形の建物の形態の建築構造の斜視図である。
図36図35の建物の構成要素のいくつかを示す破断斜視図である。
図37】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図38】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図39】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図40】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図41】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図42】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図43】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図44】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図45】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図46】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図47】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図48】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
図49】前述の構成要素のそれぞれの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に図1を参照すると、これは六角形1のセクション上に置き換えられた二等辺パネル(B)の形状を示す。二等辺パネル(B)の頂点は120°である。
【0038】
図2は、図1と同じ六角形1上に置き換えられた30°、60°および90°の頂点を有する直角パネル(A)を示す。図1および図2から、二等辺パネル(B)および直角パネル(A)は、実質的に六角形1の下半分全体を覆い、2つの対応するパネル(A)および(B)は、図1および図2に見られるように、六角形1の上半分を覆うように配置され得ることが観察される。
【0039】
図3において、下方部分において、直角パネル(A)および二等辺パネル(B)は、図1および図2の六角形上に置き換えられた場合にそれらが実質的に六角形1を覆うように、図の上方部分において同様に配置された別の2つのパネル(A)および(B)と共に示されるように、互いに隣接して配置される。
【0040】
図3は、さらに、図6図7および図8の斜視図にそれぞれ示される3つの異なるサイズの連結部材(C)、(D)および(E)が、直角パネル(A)と二等辺パネル(B)との間およびその周りにどのように配置され得るかを、パネル(A)および(B)の頂点に位置する6つのコネクタディスク(I)とともに示し、その結果、図示されるすべての構成要素は、概ね2として示される平面な構成要素を同時に形成し、後述するように、本発明に従って建物を形成し得る。
【0041】
図4および図5に関して、これらは、それぞれ直角パネル(A)および二等辺パネル(B)の斜視図である。まず、図4の直角パネル(A)を参照すると、これは、成形されたオートクレーブ気泡コンクリートの2つの外層3,4を含み、それらの間には、概ね5で示される絶縁層がある。絶縁層自体は、MycoBoard(登録商標)の2つの外層6および7を含み、これは、MycoBoard(登録商標)層6と7との間に成長したMycoFoam(登録商標)層8を有するコンクリート層3および4上に成長する。絶縁層5は、後述するように、図3の接続ディスク(I)を収容するために、二等辺パネル(A)の頂点の領域で切り取られている。
【0042】
図5を参照すると、直角パネル(B)は、図4の二等辺パネル(A)と同じ構造を有し、対応する構成要素は、図4と同様にラベル付けされている。
【0043】
図6図7および図8に関して、これらは、図3を参照して前述した小型(C)、中型(D)および大型(E)の連結部材の斜視図を示している。これらはそれぞれ、パネル(A)および(B)と同じ幅のI字形断面によって画定される対向するチャネルを有するI字形断面を有し、パネル(A)および(B)は、連結部材(C)、(D)および(E)に押し込まれている。連結部材(C)、(D)および(E)は、直角パネル(A)または二等辺パネル(B)のいずれかの側面の1つの長さに実質的に対応する長さ方向の最大寸法を有する。
【0044】
図6図7および図8の各連結部材(C)、(D)、(E)は、前部および後部のダイヤモンド形状の平面部分を含み、それらの間に延びる直交部分を有する。この直交部分は、図3の接続ディスク(I)を収容するために、端部に向かって切り取られている。
【0045】
図9に関し、これは、接続ディスク(I)のうちの1つおよび7つの他の部分接続ディスクの斜視図を示し、4分の3ディスク(J)、半ディスク(K)、30°の角度のディスク(L)、60°の角度のディスク(M)、120°の角度のディスク(N)、150°の角度のディスク(O)、および240°の角度のディスク(P)を含む。これらの部分ディスク(J)~(P)の機能は、以下の図面の説明を参照することによって明らかになるであろう。全ての接続ディスクは、絶縁材料で形成されている。
【0046】
図10を参照すると、これは、二等辺パネル(B)が、図7の中型の連結部材(D)、図6の2つの小型の連結部材(C)、および3つの接続ディスク(I)によってどのように結合し得るかを示す。これらの構成要素は、図11の分解図および斜視図12および13に示され、図12および13は、おそらく、連結部材のチャネルに二等辺パネル(B)がどのように入るかを最も明確に示している。
【0047】
図14および15は、それぞれ図10および図11に対応するが、直角パネル(A)に接する連結部材および接続ディスクを示す。
【0048】
図16および図17は、図14および図15の図に類似しているが、二等辺パネル(B)に隣接する直角パネル(A)を示し、その間に介在する連結部材(D)を有する。
【0049】
図18および図19を参照すると、これらは図16および図17と同様であるが、より多くの構成要素を含むより複雑な構造を示す。図18に示す構造のうちの2つは、一方が他方の上に反転され、図33に示す平面壁部品9をもたらし、以下に説明する図21に示す建物の右側の壁を形成する。
【0050】
図18および図19は、それぞれが中型の連結部材(D)の1つの半分に本質的に対応する中型のエッジピース(G)の形態の追加の構成要素を開示する。これらは、図33に示される窓の開口部のためのストレートエッジ部を提供するために使用される。図18および図19はまた、150°の角度のコネクタディスク(O)の使用を図示する。これは、完全なコネクタディスク(I)が代わりに使用される場合に必要であり、窓の領域内に広がる(図18参照)。
【0051】
ここで図20Aを参照すると、これは、六角形の頂点と交差する外挿線、次にこれらの線の交点と交差する外挿線によって、格子パターンがどのように得られるかを示している。次に、図20Bは、前述の構成要素から形成された様々な形状の構造が、図20Aのグリッド上にどのように重ね合わされ得るかを示す。
【0052】
次に図21を参照すると、概ね11で示す建物の形態の本発明による建築構造が示されている。八角形構造は、平面図において、前述の部品から構成するのが最も簡単なものの1つである。しかしながら、図22のグランドフロアプラン、図23の上部フロアプラン、および図24に全体的に12として示される建物の斜視図から、図21に示される建物11が、例えば図24に示されるような、より大きな建物の主要モジュールとしてどのように使用され得るかが理解されるであろう。
【0053】
再び図21の建物11を参照すると、これは、平面六角形構成要素を含む床および屋根を有し、これは、前述の構成要素から、または開放屋根構造12の場合には、同様の構成要素から、事前に組み立てられてもよい。建物11は、さらに、いくつかのスタイルの壁パネル9、13、14、15、16、および17を備える(パネル15、16、および17は見えないが、図24の建物12または図35の建物18に見ることができ、これについては後述する)。右側の壁パネル9の構造は、図18図19及び図33を参照して前述した。他の壁パネル13~17も同様に構成されている。しかしながら、図21から理解されるように、図21の建物11は、平面屋根および床および壁パネルに加えて、6つのコーナーコネクタ(Q)を含み、図21ではそのうちの4つのみが見られる。図25の斜視図にはこれらのうちの1つが示され、図21の建物11の上部および底部外縁を形成するいくつかのタイプのフレームコネクタ(R)、(T)および(U)もまた、図25の斜視図に示される。
【0054】
図26は、6つのフレームコーナーコネクタ(Q)がフロアパネル10の周りにどのように配置され得るかを示す。また、図26から、図25の様々なフレームコネクタ(T)、(R)および(U)が、図21に示される建物11の構造を提供するために、どのようにしてフレームの下側および上側周囲の周りに配置され得るかが理解される。壁パネルが現場で構築されない限り、事前に組み立てられた壁パネルは、フレームコーナーコネクタ(Q)が所定の位置に組み立てられると同時に挿入される必要がある。
【0055】
図27を参照すると、図21に示した建物の屋根パネル12が示されており、図28は、図35の建物18の完全に囲まれた後壁パネル16を示している。
【0056】
図29は、壁パネル9、13、14、15、および17の開口部の境界を定めるために使用される小エッジピース(F)、中エッジピース(G)、および大エッジピース(H)の斜視図を示し、これらのパネルは、図30~34のそれぞれの図においてより詳細に示されている。
【0057】
これまでは、それぞれが六角形構造を備える建物11および24のみが言及されてきた。しかしながら、本発明は、他の形状の建物、例えば、図35に全体を18で示す正方形の建物にも等しく適用可能であり、これは、図36に部分的に組み立てられて示されている。
【0058】
これまでに説明した様々な構成要素は、図37図49のそれぞれにおいてより詳細に見ることができる。これらの図に示される寸法は、単なる例であり、前述の特定の構造に適している。しかし、これらの同じ構造であっても、すべての構成要素の寸法を拡大または縮小することができることを理解されたい。
【0059】
本発明のいくつかの例を単なる例として説明したが、以下の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内に包含される多くの修正および変形がなされ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
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図49