(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】くくり罠
(51)【国際特許分類】
A01M 23/34 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A01M23/34
(21)【出願番号】P 2021184928
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395010624
【氏名又は名称】株式会社鎌田スプリング
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 文生
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3233888(JP,U)
【文献】特公昭63-44334(JP,B2)
【文献】特許第6355663(JP,B2)
【文献】特許第6246409(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏板と、該踏板に支軸を介して回動自在に支持される作動部材と、該踏板を上下動自在に内嵌するとともに該作動部材を下側から支える枠体と、該作動部材にリング状に懸回され、弾機により締め込み側に付勢されたくくり輪を形成するワイヤとを備え、
該踏板が該枠体内を下動することで該作動部材が上動し、これに伴いくくり輪が作動部材から外れて締め込まれるように構成されたくくり罠において、
前記ワイヤは、先端部に形成される通し輪に該ワイヤの中間部が貫通されることで前記くくり輪を形成するとともに、該ワイヤの後端部
が第一固定物に固定さ
れ、
該ワイヤの先端部
に形成される連結部に、
基端部が第二固定物に固定された規制用ワイヤの先端部が連結され
るものであって、
前記通し輪には、ワイヤを貫通するための貫通部材が設けられ、該貫通部材は、ワイヤが懸回された状態で、懸回基端側部位と先端側部位とに配される各一対のワイヤを、各貫通する基端側、先端側のスリーブの緊締により挟持状に取り付けられるものであり、連結部は、先端側スリーブの先端側に弧状に形成されることを特徴とするくくり罠。
【請求項2】
踏板と、該踏板に支軸を介して回動自在に支持される作動部材と、該踏板を上下動自在に内嵌するとともに該作動部材を下側から支える枠体と、該作動部材にリング状に懸回され、弾機により締め込み側に付勢されたくくり輪を形成するワイヤとを備え、
該踏板が該枠体内を下動することで該作動部材が上動し、これに伴いくくり輪が作動部材から外れて締め込まれるように構成されたくくり罠において、
前記ワイヤは、先端部に形成される通し輪に該ワイヤの中間部が貫通されることで前記くくり輪を形成するとともに、該ワイヤの後端部が第一固定物に固定されるものであって、
前記通し輪には、ワイヤを貫通するための貫通部材が設けられ、
該貫通部材は、ワイヤが懸回された状態で、懸回基端側部位と先端側部位とに配される各一対のワイヤを、各貫通する基端側、先端側のスリーブの緊締により挟持状に取り付けられるものであり、
先端側スリーブの先端側に、基端部が第二固定物に固定される規制用ワイヤの先端部を連結することができる弧状の連結部が形成されていることを特徴とするくくり罠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猪、鹿、キョン等の野生動物を捕獲するため用いられるくくり罠の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、猪、鹿、キョン等の野生動物(害獣)が出没して田畑や山林等を荒らす被害が各地で頻発しており、その対策として、これら野生動物を捕獲することが試みられているが、この種の動物を捕獲するための道具としてくくり罠(括り罠)が簡便で安価なものとして広く採用されている。
このようなくくり罠は、一般的には、長尺状のワイヤの先端部に、弾機を介して締め込み可能にしたくくり輪を一連状に設け、ワイヤの基端側は木や杭等の固定物に掛け回す等して固定することで捕獲現場にセットし、そしてくくり輪に動物の脚が侵入した(入り込んだ)ことに感応してくくり輪を弾機付勢力を受けて締め込み作動させることで脚をくくって逃走できないようにし、これによって動物を捕獲できる構成にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、くくり輪に脚がくくられた動物は逃げようとするが、該逃げようとする動物は、脚をワイヤでくくられた状態であるためワイヤの基端側が固定された固定物を中心に円を描くように走り回ることになって、走った跡が掘り返されてしまい、例えばワイヤが長尺である場合は特に、走った跡を埋め戻す等の作業が煩わしいといった問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑み上記の課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、踏板と、該踏板に支軸を介して回動自在に支持される作動部材と、該踏板を上下動自在に内嵌するとともに該作動部材を下側から支える枠体と、該作動部材にリング状に懸回され、弾機により締め込み側に付勢されたくくり輪を形成するワイヤとを備え、該踏板が該枠体内を下動することで該作動部材が上動し、これに伴いくくり輪が作動部材から外れて締め込まれるように構成されたくくり罠において、前記ワイヤは、先端部に形成される通し輪に該ワイヤの中間部が貫通されることで前記くくり輪を形成するとともに、該ワイヤの後端部が第一固定物に固定され、該ワイヤの先端部に形成される連結部に、基端部が第二固定物に固定された規制用ワイヤの先端部が連結されるものであって、前記通し輪には、ワイヤを貫通するための貫通部材が設けられ、該貫通部材は、ワイヤが懸回された状態で、懸回基端側部位と先端側部位とに配される各一対のワイヤを、各貫通する基端側、先端側のスリーブの緊締により挟持状に取り付けられるものであり、連結部は、先端側スリーブの先端側に弧状に形成されることを特徴とするくくり罠である。
請求項2の発明は、踏板と、該踏板に支軸を介して回動自在に支持される作動部材と、該踏板を上下動自在に内嵌するとともに該作動部材を下側から支える枠体と、該作動部材にリング状に懸回され、弾機により締め込み側に付勢されたくくり輪を形成するワイヤとを備え、該踏板が該枠体内を下動することで該作動部材が上動し、これに伴いくくり輪が作動部材から外れて締め込まれるように構成されたくくり罠において、前記ワイヤは、先端部に形成される通し輪に該ワイヤの中間部が貫通されることで前記くくり輪を形成するとともに、該ワイヤの後端部が第一固定物に固定されるものであって、前記通し輪には、ワイヤを貫通するための貫通部材が設けられ、該貫通部材は、ワイヤが懸回された状態で、懸回基端側部位と先端側部位とに配される各一対のワイヤを、各貫通する基端側、先端側のスリーブの緊締により挟持状に取り付けられるものであり、先端側スリーブの先端側に、基端部が第二固定物に固定される規制用ワイヤの先端部を連結することができる弧状の連結部が形成されていることを特徴とするくくり罠である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1または2の発明とすることにより、2つの固定物にワイヤを固定することができるため、くくり罠にかかった動物が逃げようとして暴れたり走ったりする際の可動範囲を抑えることができる。しかもワイヤをスリーブで緊締することで、通し輪と連結部を形成できるため、製作効率が良く、しかも、部品点数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】(A)はワイヤの弾機支持部材部分の断面図、(B)はワイヤの先端部分の概略図である。
【
図5】くくり罠の作動状態を示す図であり、(A)は作動前、(B)は作動後(動物の捕獲後)を示している。
【
図6】動物がくくり罠に捕獲された状態を示す全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は猪、鹿、キョン等の動物(害獣)Aを捕獲するためのくくり罠であって、該くくり罠1は、踏板2、該踏板2の上面に回動自在に支持される一対のU字状の作動部材3、これら作動部材3の外周にリング状に懸回される締め込み可能なくくり輪4aを先端側に形成する長尺状のワイヤ4、該くくり輪4aを締め込み側に付勢する弾機5、踏板2を上下動自在に内嵌する枠体6棟を備えて構成されている。そして、後述するように、踏板2の下動に基づいてくくり輪4aが作動部材3から外れ、該作動部材3から外れたくくり輪4aが弾機5の付勢力を受けて締め込まれることで、前記踏板2を踏み込んだ動物Aの脚をくくって捕獲するように構成されている。
【0009】
前記踏板2は、本実施の形態では円板状のものであって、該踏板2の上面には、前述したように一対のU字状の作動部材3が回動自在に支持されるが、この場合に、一対のU字状の作動部材3は、開口側が互いに対向するように配されるとともに、該対向する開口側端部3aが、踏板2の上面に固定された取付金具7に支軸8を介してそれぞれ回動自在に支持されている。そして、該支軸8に支持された状態で、作動部材3の開口側端部3aは、踏板2の上面から浮いた状態となるように設定されているとともに、支軸8を支点とする作動部材3の反支軸側の下動は、該作動部材3の反支軸側が踏板2の上面に当接することで規制されるように構成されている。さらに、作動部材3の外周面部には、くくり輪4aが係脱自在に係止する係止溝3cが形成されている。
【0010】
前記ワイヤ4は長尺状であって、該ワイヤ4の先端部には、くくり輪4aを形成するため筒形状の貫通部材9が後述するように取り付けられるが、該貫通部材9は、貫通方向中間部から両端側に至るほど大径となった筒形状をしていて、線条体を螺旋状に曲げ加工することで形成されるものであって、長時間弾機5の付勢力を受けてもほとんど変形することなく筒形状を維持して通し輪4b内を移動するワイヤ4の摩擦を低減し、これによりくくり輪4aの締め込みを可及的に迅速に行えるようになっている。さらに、貫通部材9の筒形状が貫通方向中間部から両端側に至るほど大径となっているため、貫通部材9を貫通したワイヤ4をいずれの方向にもスムーズに湾曲させることができるようになっている。
そして、くくり輪4aの後端側から該ワイヤ4を引き込むことでくくり輪4aを締め込むことができるものであって、弾機5によって締め込み側に付勢されている。そして、該くくり輪4aは、前記係止溝3cに係止する状態で一対の作動部材3の外周にリング状に懸回される。
【0011】
前記貫通部材9は、ワイヤ4の先端部を貫通部材9の外周に懸回(掛け回す)することで折り返し、そして該折り返されることで二本になった一対の懸回基端側部位のワイヤ4を、貫通するスリーブ10(10a)を介して緊締することでワイヤ4に基本的に取り付けられる構成になっているが、このものでは、ワイヤ4の懸回先端側部位を延長して弧状の連結部4cを形成し、該連結部4cの基端部と貫通部材9の懸回先端部とのあいだを、ワイヤ4に貫通した第二のスリーブ10bを介してことで貫通部材9の挟持状の取り付けと弧状の連結部4cの形成とができるように構成されている。
【0012】
次に、前記枠体6は、その内径が前記踏板2の外径よりも少し大きく設定された円筒状のものであって、踏板2を上下動自在に内嵌するものである。そして、踏板2は、くくり輪4aが作動部材3の外周に懸回された状態で、作動部材3が枠体6に下側から支持されることにより枠体6に下動可能にセットされるようになっているとともに、該踏板2は、動物Aの脚が踏み込まれた負荷を受けることで枠体6内を下動し、これに伴い作動部材3が枠体6に押されて該作動部材3の円弧状中央部3bが上動することで、くくり輪4aが作動部材3から外れて締め込まれるようになっている。
【0013】
また、12は必要に応じて設けられる調整部材であって、該調整部材12は、枠体6に適宜の間隔で設けられた支持孔6bに貫通状に差し込まれる棒状のものであり、例えば爪楊枝のように、ある程度の力が作用すると破断する材質のものを用いて形成されている。そして、該調整部材12は、踏板2を枠体6にセットした状態で、該踏板2を下方から支持するとともに、動物の脚が踏み込まれた負荷により踏板2を介して破断されることで、踏板2の下動感度の調整をするようになっている。しかして、捕獲したい動物Aの種類や大きさ等によって必要に応じて調整部材12を設けることによって、踏板2の下動感度を調整できるようになっている。さらに、調整部材12自体の強度の変更、および/または支持孔6bに支持される調整部材12の本数の変更により破断感度の調整ができ、これにより、踏板2の下動感度を細かく調整できるようになっている。
【0014】
一方、前記くくり輪4aを締め込むための弾機5は、本実施の形態ではワイヤ4に遊嵌状に外嵌するコイル弾機であって、該弾機5の先端部(くくり輪4a側)および基端部(反くくり輪4a側)は、ワイヤ4の先端側、基端側に移動自在に外嵌された弾機支持部材13によって支持されるように構成されている。
そして、弾機支持部材13は本体部13aと該本体13aに外嵌する先端部13bで構成されるが、該本体部13aの基端側には、該弾機支持部材13の基端側への移動を規制するストッパ15がワイヤ4に位置調整自在に止着されており、該ストッパ15の止着位置を調整することで弾機支持部材13の位置調整を行えるようになっているとともに、該弾機支持部材13の位置調整を行うことでくくり輪4aの締め付け力を調整できるようになっている。
一方、弾機支持部材13の先端部13bは、くくり輪4aが締め付けられると弾機5の付勢力に伴って本体部13aは後端側へ移動するが、先端部13bはくくり輪4aの通し輪4b近傍に残るようになっている。
さらに、先端部13bには、先端から基端側に向けて角度調整孔13cが長孔状に設けられており、後述するようにくくり罠1を設置する際に弾機支持部材13の角度を調整できるようになっている。
なお、図中、14は弾機支持部材13の先端部13bと通し輪4bのあいだ、弾機支持部材本体部13aの基端側とストッパ15のあいだにそれぞれ介装されるワッシャである。
【0015】
さらにまた、前記ワイヤ4のストッパ15止着部位よりも基端側には、ヨリモドシ16を介して保留用ワイヤ17が接続されている。該保留用ワイヤ17の基端側(後端側)には通し輪17aが形成されており、該通し輪17aを、シャックル等の連結金具18を介して保留用ワイヤ17の中間部に移動自在に連結することで、木や杭等の固定物(第一固定物T1)に掛け回されるループ17bを形成することができるようになっている。
【0016】
一方、ワイヤ4の先端側に設けた連結部4cには、シャックル等の連結金具19aを介して規制用ワイヤ20の先端側の先端側通し輪20aを連結することができる。そして、該規制用ワイヤ20の基端側には基端側通し輪20bが形成されており、該基端側通し輪20bを、シャックル等の連結金具19bを介して規制用ワイヤ20の中間部に移動自在に連結することで、木や杭等の固定物(第一固定物T2)に掛け回されるループ20cを形成することができるようになっている。
【0017】
ここで、くくり罠1を捕獲現場にセットする手順について説明する。
まず、ワイヤ4の先端側を通し輪4bに挿入してくくり輪4aを形成するとともに、弾機支持部材13、弾機5、ストッパ15を外嵌せしめ、さらに、連結部4cに連結金具19bを介して、規制用ワイヤ20を連結しておく。一方、ワイヤ4の基端側はヨリモドシ16を介して保留用ワイヤ17を連結しておく。そして、作動装置3の外周面部(係止溝3c)に、通し輪4bが取付金具7の中央部位になるようにして、くくり輪4aを外嵌させるが、このとき、作動装置3が誤作動しないよう、図示しない安全装置を用いてもよい。さらに、ストッパ15で弾性支持部材13の位置調整をして、くくり輪4aの締め付け力を調整しておく。
次に、くくり罠1をセットする場合には、まず、捕獲現場の地面Gに、前記枠体6や弾機支持部材13を埋めるための穴を掘り、枠体6を穴に入れ、必要に応じて調整部材12を枠体6の支持孔6bに貫通させる。次いで、作動部材3の円弧状中央部3bを枠体6、調整部材12に上方から載せ置き、枠体6に内嵌させる。そして、弾機支持部材13を掘った穴の大きさに応じて角度調整孔13cを介して角度を調整して埋め込み、枠体6および弾性支持部材13に土を被せる。最後に、保留用ワイヤ17、規制用ワイヤ20の基端側を木や杭等の固定物T1、T2にかけ回すことで、くくり罠1は、踏板2を動物が踏み込むことで発動する状態にセットされる。なお、このとき、固定物T1、くくり罠1、固定物T2が直線状に配されるようにセットすることが好ましい。
因みに、保留用ワイヤ17、規制用ワイヤ20の固定物T1、T2への固定作業とくくり輪4aのセット作業の順序は、前記実施の形態のものに限定されるものでなく、必要において適宜の順序で実施できるものであることは言うまでもない。
【0018】
そして、動物Aが踏板2を踏み込むと、該踏板2が下動することで作動部材3が上動し、これによって、くくり輪4aが作動部材3から外れるとともに弾機5の付勢力によってくくり輪4aが締まることになって動物Aの脚がくくられる。この状態でくくり輪4aで脚をくくられた動物Aは、ワイヤ4、規制用ワイヤ20を介して固定物T1、T2の2点で固定されることになって、逃げようとして走ったり暴れたりしても移動範囲が規制されるため、掘り返し面積が少ないものとすることができる。また、動物Aが動いて規制用ワイヤ20が引っ張られることになっても、くくり輪4aに働く弾機5の付勢力があるため、くくり輪4aの径が大きくなって緩んでしまうことがなく、確実にくくり続けることができるものである。
【0019】
叙述のごとく構成された本発明の実施の形態において、くくり罠1は、踏板2と、該踏板2に支軸8を介して回動自在に支持される作動部材3と、該踏板2を上下動自在に内嵌するとともに該作動部材3を下側から支える枠体6と、該作動部材3にリング状に懸回され、弾機5により締め込み側に付勢されたくくり輪4aを形成するワイヤ4とを備え、該踏板2が該枠体6内を下動することで該作動部材3が上動し、これに伴いくくり輪4aが作動部材3から外れて締め込まれるように構成されており、前記ワイヤ4は、先端部に形成される通し輪4bに該ワイヤ4の中間部が後端側から貫通されることで前記くくり輪4aを形成するとともに、該ワイヤ4の後端部を第一固定物T1に固定されるものであり、該ワイヤ4の先端部に連結部4cが形成され、該連結部4cに、第二固定物T2に固定された規制用ワイヤ20の先端部20aが連結されている。
このようにすることで、くくり輪4aで動物の脚を確実にくくるとともに、第一、第二固定物T1、T2の2点で固定するため、くくられた動物Aが逃げようとして暴れたときに、該暴れる際の移動範囲を規制することができ、広い範囲で地面が抉り取られて乱れてしまうことを回避できることになる。
【0020】
そしてこの場合に、連結部4cは、貫通部材9が設けられる通し輪4bよりも先端側に形成されているため、くくり輪4aの罠としての機能を損なうことがないだけでなく、捕獲された動物が逃げようと暴れた場合に、規制用ワイヤ20もくくり輪4aを締め付ける方向に働くことになってくくり輪4aが弛んで括った脚が外れてしまうことも回避できることになる。
【0021】
しかもこのものでは、規制用ワイヤ20が取り付けられる連結部4cは、通し輪4bを形成するため設けられる貫通部材9に懸回するワイヤ4の懸回先端部位を延長し、該延長した部位を弧状にし、そして該弧状にした部位と通し輪4bとのあいだのワイヤ4をスリーブ10bで緊締することで形成されるため、スリーブ10b以外に別部材が必要になることがなく、構造簡単なものとすることができる。
【0022】
なお、前記実施の形態のものに限られず、連結部4cに、通し輪4bと同様に内周側に貫通部材を備える構成としてもよい。
さらに、貫通部材は適宜のリング状の部材を採用してもよいことは言うまでもない。また、貫通部材9を備えずにワイヤ4の先端部を折り返してスリーブ10を緊締するだけで通し輪4bを形成する構成とすることもできる。
さらにまた、連結部4cに規制用ワイヤ20を連結しない場合は、一つの固定物T1のみに固定する従来のくくり罠として用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、猪、鹿、キョン等の野生動物を捕獲するため用いられるくくり罠に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 くくり罠
2 踏板
3 作動部材
4 ワイヤ
4a くくり輪
4b 通し輪
4c 連結部
5 弾機
6 枠体
9 貫通部材
10(10a、10b) スリーブ
13 弾機支持部材
20 規制用ワイヤ
【要約】 (修正有)
【課題】踏板が枠体内を下動することで作動部材が上動し、これに伴いくくり輪が作動部材から外れて締め込まれるように構成されたくくり罠において、くくられた動物の移動範囲を規制する。
【解決手段】ワイヤ4の先端部に形成される通し輪4bに該ワイヤ4の中間部が貫通されることでくくり輪4aを形成する一方、該ワイヤ4の後端部を第一固定物T1に固定し、さらに、該ワイヤ4の先端部に連結部4cを形成して該連結部4cに、第二固定物T2に固定された規制用ワイヤ20の先端部20aを連結するように構成した。
【選択図】
図1