(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】質疑応答集の自動作成方法,そのプログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20220331BHJP
【FI】
G06F16/90 100
(21)【出願番号】P 2022001744
(22)【出願日】2022-01-07
【審査請求日】2022-01-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511113970
【氏名又は名称】株式会社インタラクティブソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】関根 潔
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-266551(JP,A)
【文献】特開2021-22211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いた質疑応答集の自動作成方法であって,
前記コンピュータが,
会話に関する音声を解析し,前記会話に含まれる単語である音声単語を得るための音声解析工程と,
前記音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析するための単語群分析工程と,
前記音声単語を用いて,質問と当該質問の回答を作成する質問と回答作成工程と,
分類された前記質問と当該質問の回答と該当すると判断されたキーワードを用いて,質疑応答集に記録される当該キーワードに関する質問及び回答を得る質疑応答取得工程と,
を含む,方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって,
前記質問及び回答のカテゴリーを分析するためのカテゴリー分析工程をさらに含み,
前記質疑応答集には,前記カテゴリー分析工程で分析されたカテゴリーに,前記質疑応答集に記録される質問及び回答を記憶する,方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって,
前記コンピュータが,前記会話に関するプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツと関連するコンテンツ関連語を読み出すコンテンツ関連語読出し工程と,
前記キーワードが前記コンテンツ関連語であるか否か判断するコンテンツ関連語判断工程と,
前記キーワードが前記コンテンツ関連語である場合,前記質疑応答集には,前記質疑応答集に記録される質問及び回答に前記コンテンツを関連付けて記憶するコンテンツ取得工程と,をさらに含む,方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって,前記質疑応答集は,前記コンテンツに,前記コンテンツと関連するプレゼンテーション資料の頁を関連付けて記憶する,方法。
【請求項5】
コンピュータに,
会話に関する音声を解析し,前記会話に含まれる単語である音声単語を得るための音声解析工程と,
前記音声単語について,複数のキーワードのいずれに該当するか分析するための単語群分析工程と,
前記単語群分析工程で分析されたキーワードに基づいて,前記音声単語を質問とその回答に分類し,前記質疑応答集に記録される質問及び回答を得る質疑応答取得工程と,
を含む,質疑応答集の自動作成方法を実装させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取ることのできる情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,質疑応答集の自動作成方法,そのプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6299563号公報には,応答生成方法が記載されている。この応答生成方法は,基本的には,音声(例えば「とんかつ食べた」)に含まれるキーワード(例えば「とんかつ」)を連想ワード(例えば「豚肉」)に置き換え,置き換えた連想ワード(例えば「豚肉」)に付加語(例えば「かあ」「だね?」)を付加することで,繰り返し応答文(「豚肉だね」)を作成するというものである。
【0003】
この応答生成方法は,単に,ユーザの音声に対して,様々な連想ワードや付加語を用いて,バリエーションをもって相槌をうつというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
講師の講義に基づいて,自動的に講義内容に関する質疑応答集を作成したいという要望がある。ある商品に関してこれまでの様々な問い合わせや回答・説明に基づいて,質疑応答集を作成(更新)したいという要望がある。この明細書は,このような要望に応えられる質疑応答集の自動作成方法を提供することを目的のひとつとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は,基本的には,会話から質問部分とその回答部分とを抽出して,整理することで,質疑応答集を効果的に作成できるという知見に基づく。
【0007】
ある発明は,コンピュータを用いた質疑応答集の自動作成方法に関する。Sはステップを意味する。
この方法は,音声解析工程(S101)と,単語群分析工程(S102)と,質問と回答作成工程(S103)と,質疑応答取得工程(S104)とを含む。
音声解析工程(S101)は,コンピュータが,会話に関する音声を解析し,会話に含まれる単語である音声単語を得るための工程である。
単語群分析工程(S102)は,コンピュータが,音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析するための工程である。
質問と回答作成工程(S103)は,コンピュータが,音声単語を用いて,質問と当該質問の回答を作成するための工程である。
質疑応答取得工程(S104)は,コンピュータが,分類された質問とその質問の回答と,先の工程で該当すると判断されたキーワードとを用いて,質疑応答集に記録されるそのキーワード(先の工程で該当すると判断されたキーワード)に関する質問及び回答を得るための工程である。
【0008】
上記の方法の好ましいものは,カテゴリー分析工程(S201)をさらに含む。カテゴリー分析工程は,コンピュータが,質問及び回答のカテゴリーを分析するための工程である。質問及び回答はあるキーワードに関するものである。すると,例えば,コンピュータが,そのキーワードをカテゴリー分けした辞書を参照することで,質問及び回答のカテゴリーを分析できる。この場合,この方法は,質疑応答集が,カテゴリー分析工程で分析されたカテゴリーに,質疑応答集に記録される質問及び回答を記憶する。
【0009】
上記の方法の好ましいものは,コンテンツ関連語読出し工程(S301)と,コンテンツ関連語判断工程(S302)と,コンテンツ記憶工程(S303)と,をさらに含む。
コンテンツ関連語読出し工程(S301)は,コンピュータが,会話に関するプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツと関連するコンテンツ関連語を読み出すための工程である。
コンテンツ関連語判断工程(S302)は,コンピュータが,キーワードがコンテンツ関連語であるか否か判断するための工程である。
,コンテンツ記憶工程(S303)は,キーワードがコンテンツ関連語である場合,コンピュータが,質疑応答集には,質疑応答集に記録される質問及び回答にコンテンツを関連付けて記憶するための工程である。この場合,質疑応答集は,コンテンツに,コンテンツと関連するプレゼンテーション資料の頁を関連付けて記憶するものであってもよい。
【0010】
この明細書は,コンピュータに,上記した方法を実装させるためのプログラムや,そのプログラムを記憶したコンピュータが読み取ることのできる情報記録媒体をも開示する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば,会話から質問部分とその回答部分とを抽出して,整理することで,質疑応答集を効果的に作成・更新できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は,質疑応答集の自動作成装置の概念図である。
【
図2】
図2は,質疑応答集の自動作成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0014】
図1は,質疑応答集の自動作成装置の概念図である。
図1に示されるように,この装置1は,音声解析部11と,単語群分析部12と,質問と回答作成部13と,質疑応答取得部14とを含む。この装置1は,カテゴリー分析部21,コンテンツ関連語読出し部31,コンテンツ関連語判断部32,及びコンテンツ取得部33のいずれかの要素をさらに含んでもよい。このシステムは,コンピュータやプロセッサにより実装される装置である。
【0015】
コンピュータは,入力部,出力部,制御部,演算部及び記憶部を有しており,各要素は,バスなどによって接続され,情報の授受を行うことができるようにされている。例えば,記憶部には,制御プログラムが記憶されていてもよいし,各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合,制御部は,記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして,制御部は,適宜記憶部に記憶された情報を読み出し,演算部へ伝える。また,制御部は,適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は,受け取った各種情報を用いて演算処理を行い,記憶部に記憶する。制御部は,記憶部に記憶された演算結果を読み出して,出力部から出力する。このようにして,各種処理や各工程が実行される。この各種処理を実行するものが,各部や各手段である。コンピュータは,プロセッサを有し,プロセッサが各種機能や各種工程を実現するものであってもよい。
【0016】
質疑応答集の自動作成装置
質疑応答集の自動作成装置1は,コンピュータに基づいて,会話から質問と回答を自動的に抽出し,分類及び整理して,質疑応答やロールプレイ,問題集といった質疑応答集を自動的に作成するための装置である。
音声解析部11は,会話に関する音声を解析し,会話に含まれる単語である音声単語を得るための要素である。単語群分析部12は,音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析するための要素である。質問と回答作成部13は,音声単語を用いて,質問と当該質問の回答を作成するための要素である。質疑応答取得部14は,分類された質問とその質問の回答と,該当すると判断されたキーワードとを用いて,質疑応答集に記録されるそのキーワード(該当すると判断されたキーワード)に関する質問及び回答を得るための要素である。
【0017】
カテゴリー分析部21は,質問及び回答のカテゴリーを分析するための要素である。
【0018】
コンテンツ関連語読出し部31は,会話に関するプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツと関連するコンテンツ関連語を読み出すための要素である。コンテンツ関連語判断部32は,キーワードがコンテンツ関連語であるか否か判断するための要素である。コンテンツ取得部33は,キーワードがコンテンツ関連語である場合,質疑応答集には,質疑応答集に記録される質問及び回答にコンテンツを関連付けて記憶するための要素である。
【0019】
図2は,質疑応答集の自動作成方法を説明するためのフローチャートである。
この方法は,音声解析工程(S101)と,単語群分析工程(S102)と,質問と回答作成工程(S103)と,質疑応答取得工程(S104)とを含む。
【0020】
音声解析工程(S101)
音声解析工程(S101)は,コンピュータ(声解解析装置11)が,会話に関する音声を解析し,会話に含まれる単語である音声単語を得るための工程である。マイクなどの入力部から,会話が質疑応答集の自動作成装置1に入力される。会話は,人の声を収録したものであれば,講演であってもよいし,MRと医師との会話であってもよいし,講義であってもよい。もっとも,会話は,独り言であってもよいもものの,会話は二人以上の言葉のやり取りであることが好ましい。自動作成装置1に入力された会話は,デジタル信号に変換され,適宜記憶部に記憶される。
【0021】
会話の例は,以下のものである。
医師:最近はプチンを出すことが多いかな。プチンは一回で効果が強いからね。
MR:そうなんですね。弊社のアイプロ錠は,DPP4に対する選択性が極めて高く,プチン錠に比べて80倍の選択制を有しています。これが,アイプロ錠が,有効性において,プチン錠に比べて血圧降下作用が強い傾向にある理由です。
【0022】
音声解析ソフトは公知である。公知のプログラムが,用語辞書といった記憶部に記憶された単語を参照して,記憶部に記憶された会話を音声解析する。音声解析されて得られた音声単語は,適宜記憶部に記憶される。
【0023】
音声単語の例は,以下のものである。
医師:最近はプチンを出すことが多いかな。プチンは一回で効果が強いからね。
MR:そうなんですね。弊社のアイプロ錠は,DPP4に対する選択性が極めて高く,プチン錠に比べて80倍の選択性を有しています。これが,アイプロ錠が,有効性において,プチン錠に比べて血圧降下作用が強い傾向にある理由です。
【0024】
単語群分析工程(S102)
単語群分析工程(S102)は,コンピュータが,音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析するための工程である。質疑応答集の自動作成装置1は,例えば,会話内容に関する複数のキーワードを記憶したキーワード辞書41を有する。コンピュータは,プログラムの指令に従い,キーワード辞書からキーワードを読み出すとともに,記憶部に記憶される音声用語と照合を行う。このようにして,コンピュータ(単語群分析装置12)は,音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析することができる。キーワード辞書には,後述するように,キーワードごとにカテゴリー分類が割り当てられて記憶されていてもよい。
【0025】
例えば,会話がアイプロ錠という架空の血圧降下剤に関するものである場合,その会話に関するキーワード辞書には,プチン,プチン錠,アイプロ,アイプロ錠,効果,有効性,血圧降下作用,及び選択性を含むキーワードが記憶されている。これらのキーワードは,カテゴリー分類とともに記憶されていることが好ましい。キーワード辞書には,キーワードと関連して関連語が記憶されていてもよい。
【0026】
単語群解析された後の音声単語の例は,以下の通りである。下線部が,キーワードである。
医師:最近はプチンを出すことが多いかな。プチンは一回で効果が強いからね。
MR:そうなんですね。弊社のアイプロ錠は,DPP4に対する選択性が極めて高く,プチン錠に比べて80倍の選択性を有しています。これが,アイプロ錠が,有効性において,プチン錠に比べて血圧降下作用が強い傾向にある理由です。
【0027】
質問と回答作成工程(S103)
質問と回答作成工程(S103)は,コンピュータが,音声単語を用いて,質問と当該質問の回答を作成するための工程である。音声単語に対して,その構文や文脈を解析するプログラムは公知である。例えば,各単語を分析するための用語辞書43が存在し,その用語辞書を参照することで,名詞や動詞などの関係を分析する。そのようにすれば,会話の音声単語について,どのような関係かを分析できる。そのため,質問と回答作成装置13は,音声単語に含まれる単語を用いて,1又は複数の質問とその回答を作成することができる。この場合,質問には,上記したキーワード(又はキーワードの関連語)が含まれることが好ましい。コンピュータが,記憶部から音声単語を読み出し,プログラムの指令を受けて,音声単語に含まれるキーワード又はそのキーワードの関連語を含む質問とその回答を作成する。この質問と回答は,音声単語に基づくものである。作成された質問とその回答は,適宜,記憶部に記憶される。
【0028】
質問と回答の例は,以下のものである。
質問1:アイプロ錠はプチン錠に比べて何の効果が強いですか
回答1:アイプロ錠は,血圧降下作用が強いです。
質問2:アイプロ錠はプチン錠に比べて血圧降下作用が強いのはなぜ
回答2:アイプロ錠は,DPP4に対する選択性がプチン錠に比べて80倍高いので,血圧降下作用が強いのです。
質問3:プチン錠は何回で効果が得られますか
回答3:1回の投与で効果が得られます。
【0029】
質疑応答取得工程(S104)
質疑応答取得工程(S104)は,コンピュータが,作成された質問とその質問の回答と,先の工程で該当すると判断されたキーワードとを用いて,質疑応答集45に記録されるそのキーワード(先の工程で該当すると判断されたキーワード)に関する質問及び回答を得るための工程である。
【0030】
例えば,キーワードである「アイプロ錠」に関して,質問1と回答1,質問2と回答2が記憶部に記憶される。また,キーワードである「プチン錠」に関して,質問1と回答1,質問2と回答2,質問3と回答3が記憶部に記憶される。
上記した工程によれば,例えば,講師の講義に基づいて,自動的に講義内容に関する質疑応答集を作成できる。すると,生徒や聴講生は,講義の効果確認作業を容易に行うことができる。また,講義後の効果確認試験を自動的に作成することができることとなる。
また,上記した工程によれば,ある商品に関してこれまでの様々な問い合わせや回答・説明に基づいて,質疑応答集を作成(更新)することができる。
【0031】
カテゴリー分析工程(S201)
上記の方法の好ましいものは,カテゴリー分析工程(S201)をさらに含む。
カテゴリー分析工程は,コンピュータが,質問及び回答のカテゴリーを分析するための工程である。カテゴリーの概念は,ユーザが設定すれば,自由に作成できる。例えば,対象となる会話が医薬である場合,カテゴリーの例は,薬品名,対象疾患,効果,副作用,ジェネリックの有無,有効成分,禁忌及び製薬企業名である。また,例えば,会話が,江戸時代の歴史の講義である場合,年代,争い,地域,大名名,及び文化である。これらカテゴリー名に関連して,複数の単語がカテゴリー辞書に記憶されていればよい。すると,カテゴリー分析部21が,音声単語に含まれる単語を解析し,どのカテゴリーに属するか判断することができる。質問及び回答は,あるキーワードに関するものである。すると,例えば,コンピュータが,そのキーワードをカテゴリー分けしたカテゴリー辞書47を参照することで,質問及び回答のカテゴリーを分析できる。また,例えば,質問と回答作成工程(S103)において,音声単語に含まれるキーワード以外の単語も分析される。この単語に基づいて,質問及び回答のカテゴリーを分析すればよい。この分析に用いられる単語はキーワードであってもよいし,キーワード以外の単語であってもよい。いずれにせよ,カテゴリー辞書を参照することで,会話文や作成された質問及び回答のカテゴリー分けをすることができる。
【0032】
質疑応答集の自動作成装置1は,音声単語(会話中用語)又はキーワードと関連したトピックス語を記憶したトピックス語記憶部(トピックス語辞書)をさらに有してもよい。そして,このトピックス語を用いて,質問と回答をトピックス語と関連するように分類し,質疑応答集に記憶してもよい。例えば,トピックス語記憶部には,肥満遺伝子,肥満症,肥満症実験動物という会話において用いられることが想定されるキーワードと関連して,肥満というトピックス語が記憶されていればよい。トピックス語は,複数のキーワードをさらに統一した用語や上位概念化した用語であってもよい。トピックス語を用いることで,検索をより迅速に行うことができることとなる。トピックス語の例は,疾患名,薬剤名,有効成分名及び製薬企業名である。つまり,トピックス語は,音声単語(会話中用語)に関する第2の変換語といえる。トピックス語は,複数種類のキーワードについて,検索に用いることがふさわしい用語を割り振った用語であってもよい。また,トピックス語は,メッセージに関するものであってもよい。
【0033】
質問と回答作成工程(S103)の分析においてカテゴリー分けに用いられる単語は以下の下線部の通りである。
医師:最近はプチンを出すことが多いかな。プチンは一回で効果が強いからね。
MR:そうなんですね。弊社のアイプロ錠は,DPP4に対する選択性が極めて高く,プチン錠に比べて80倍の選択性を有しています。これが,アイプロ錠が,有効性において,プチン錠に比べて血圧降下作用が強い傾向にある理由です。
【0034】
この例では,カテゴリー辞書に含まれる「効果」と関連した単語である「効果」「選択性」及び「血圧降下作用」があるので,これらと関連する用語を含む質問及び回答は,「効果」にカテゴリー分けされ,記憶部に記憶される。このように,カテゴリー分析工程で分析されたカテゴリーに,質疑応答集に記録される質問及び回答が記憶される。
【0035】
このシステムは,カテゴリー分けをしたカテゴリーに従って,効果的に質疑応答集を作成できる。
【0036】
例えば,第1のカテゴリーである「効果」に関して,質問11と回答11,質問12と回答12,質問13と回答13,質問14と回答14・・・があり,第2のカテゴリーである「副作用」に関して,質問21と回答21,質問22と回答22,質問23と回答23,質問24と回答24・・・・があるとする。
質疑応答作成部(ロールプレイ作成部)は,各カテゴリーから所定の数の質問を読み出して,質問とその回答の集まりを作成する。作成した質疑応答やロールプレイは,適宜記憶部に記憶される。このようにすれば,会話に基づいて,質疑応答集を容易に作成できる。また,講義に関する理解度テスト(及び回答)を容易に作成できる。
例えば,先のアイプロ錠についての理解度テストとして,システムは,「効果」に関して,質問12と回答12,質問13と回答13,副作用に関して質問21と回答21,質問22と回答22,質問24と回答24を選択し,あるMR向けの理解度確認テストが自動的に作成される。
【0037】
上記の方法の好ましいものは,コンテンツ関連語読出し工程(S301)と,コンテンツ関連語判断工程(S302)と,コンテンツ記憶工程(S303)と,をさらに含む。
この工程の通りでなくても,質疑応答に含まれるキーワードと関連したプレゼンテーション資料,プレゼンテーション資料の頁又は資料が記憶されており,ある質問及び回答について,これらに含まれるキーワードと関連して,記憶された上記の関連資料を読み出すことができるようにされていればよい。すると,ユーザは,質問の回答を参照した際に,それと関連した関連資料を閲覧等できることとなる。以下の例では,プレゼンテーション資料又はその部分に関する情報が,ある質問及び回答の関連情報として取得され,ある質問及び回答に関して,そのプレゼンテーション資料又はその部分を読み出すことができるようにされるものである。もっとも,ある質問及び回答と関連した情報として記憶されるものは,プレゼンテーション資料又はその部分に限らず,資料や資料のある頁やある部分であってもよい。
【0038】
コンテンツ関連語読出し工程(S301)
コンテンツ関連語読出し工程(S301)は,コンピュータ(コンテンツ関連語読出し部31)が,会話に関するプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツと関連するコンテンツ関連語を読み出すための工程である。例えば,会話がアイプロ錠に関するものであるとする。すると,装置1は,音声単語に基づいて,会話のトピックスを分析する。装置1は,キーワードやトピックス語を読み出して,音声単語と比較し,会話のトピックスを分析してもよい。その結果,装置1は,例えば,会話がアイプロ錠に関するものであると理解する。装置1の記憶部には,様々なプレゼンテーション資料が様々なトピックスと関連して記憶されている。また,プレゼンテーション資料には複数の頁やコンテンツが記憶されている。記憶部には,これらコンテンツを検索しやすくするように,コンテンツと関連してコンテンツ関連語が記憶されている。装置1は,記憶部からこのコンテンツ関連語を読み出す。コンテンツは,プレゼンテーション資料の各ページであってもよいし,プレゼンテーション資料全体であってもよいし,文章全体であってもよいし,文章のうちあるコンテンツ関連語に関する部分であってもよい。また,コンピュータがあるプレゼンテーション資料を起動して,会話(説明や講演を含む)をしていたとする。装置1には,そのプレゼンテーション資料に関する情報が入力されてもよい。すると,装置1は,その会話に関するプレゼンテーション資料に関する情報を,プレゼンテーション記憶部(コンテンツ記憶部)49から読み出す。コンテンツ記憶部49には,プレゼンテーション資料全体や,プレゼンテーションの各ページや各部分に含まれるコンテンツと関連した,コンテンツ関連語が記憶されている。そして,コンテンツ記憶部49は,これらのコンテンツ関連語を用いて,対応するプレゼンテーション資料全体や,プレゼンテーションの各ページや各部分に含まれるコンテンツを読み出すことができるようにされている。
【0039】
コンテンツ関連語判断工程(S302)
コンテンツ関連語判断工程(S302)は,コンピュータ(コンテンツ関連語判断部32)が,キーワードがコンテンツ関連語であるか否か判断するための工程である。このキーワードは,単語群分析部12により分析された音声単語に関するキーワードである。例えば,それぞれの質問及び回答はキーワードと関連して記憶部(質疑応答集45)記憶されている。装置1は,そのキーワードを読み出して,読み出したキーワードと,コンテンツ関連語とを照合する。その結果,キーワードがいずれかのコンテンツ関連語である場合,そのコンテンツ関連語と関連したコンテンツを読み出すことができるように,記憶部に記憶すればよい。例えば,ある質問と回答について,このコンテンツの読出し情報を関連付けて記憶する。このようにして,質問とその質問に関する回答について,関連するコンテンツが関連付けられることとなる。
【0040】
コンテンツ取得工程(S303)
コンテンツ取得工程(S303)は,キーワードがコンテンツ関連語である場合,コンピュータが,質疑応答集に,質疑応答集に記録される質問及び回答と,コンテンツ(を読み出すための情報)を関連付けて記憶するための工程である。この場合,質疑応答集は,コンテンツに,コンテンツと関連するプレゼンテーション資料の頁(を読み出すための情報)を関連付けて記憶するものであってもよい。すると,ユーザが質疑応答やロールプレイを行い,回答を参照した際に,コンテンツやプレゼンテーション資料の頁を読み出して,閲覧することができることとなる。
【0041】
この明細書は,コンピュータに,上記した方法を実装させるためのプログラムや,そのプログラムを記憶したコンピュータが読み取ることのできる情報記録媒体をも開示する。情報記録媒体の例は,CD,CD-ROM,DVD,USBメモリ,ハードディスク,及びサーバー上のディスクである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は,情報関連産業において利用されうる。
【符号の説明】
【0043】
1 質疑応答集の自動作成装置
11 音声解析部
12 単語群分析部
13 質問と回答作成部
14 質疑応答取得部
21 カテゴリー分析部
31 コンテンツ関連語読出し部
32 コンテンツ関連語判断部
33 コンテンツ取得部
【要約】
【解決課題】 会話から質問部分とその回答部分とを抽出して,整理することで,質疑応答集を効果的に作成・更新できる方法を提供する。
【解決手段】 コンピュータを用いた質疑応答集の自動作成方法であって,
コンピュータが,会話に関する音声を解析し,会話に含まれる単語である音声単語を得るための音声解析工程と,音声単語について,複数のあらかじめ登録されたキーワードのいずれに該当するか分析するための単語群分析工程と,音声単語を用いて,質問と当該質問の回答を作成する質問と回答作成工程と,分類された質問と当該質問の回答と該当すると判断されたキーワードを用いて,質疑応答集に記録される当該キーワードに関する質問及び回答を得る質疑応答取得工程と,を含む,方法。
【選択図】
図1