(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】コンポーネントまたはプロファイルを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/06 20060101AFI20220331BHJP
B29C 45/56 20060101ALI20220331BHJP
B29C 45/27 20060101ALI20220331BHJP
B29C 45/73 20060101ALI20220331BHJP
B29C 45/40 20060101ALI20220331BHJP
B29C 45/13 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B29C45/06
B29C45/56
B29C45/27
B29C45/73
B29C45/40
B29C45/13
(21)【出願番号】P 2019552232
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2018056137
(87)【国際公開番号】W WO2018172128
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-09
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519337558
【氏名又は名称】シュタイナー,ゴットフリード
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,ゴットフリード
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02712721(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0221500(US,A1)
【文献】国際公開第2009/048423(WO,A1)
【文献】特開2006-158936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0167318(US,A1)
【文献】国際公開第2006/049159(WO,A1)
【文献】特開平07-112457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
B29C 33/00 - 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形施設内で少なくとも1つの固化可能なプラスチック素材からコンポーネントまたはプロファイルを製造するための方法であって、前記方法は、固定金型コンポーネントと、それに対して可動金型コンポーネントとを含み、前記可動金型コンポーネントは、少なくとも1つの金型キャビティを含み、前記固定金型コンポーネントは、少なくとも1つの
射出部位を有し、その上で、前記固化可能なプラスチック素材が、前記固定金型コンポーネントと前記可動金型コンポーネント内の金型キャビティ(8、8’)との間の領域に射出され、同時に前記金型キャビティ(8、8’)が前記
射出部位から遠ざかるように前記可動金型コンポーネントを移動させる方法において、
a)前記可動金型コンポーネント内に形成されたランナー(10、10’)内に固化可能なプラスチック素材を射出するステップと、そこから接続部(9、9’)を介して、
b1)1つの個々の金型キャビティ(8)の複数の部分に、
b2)または複数の個々の金型キャビティ(8’)に次々に射出するステップと、
c)前記
射出部位の領域内、ならびに前記可動金型コンポーネントの移動方向とは反対方向に前記
射出部位の一方の側に位置する先行ゾーン内、ならびに前記可動金型コンポーネントの移動方向に前記
射出部位の他方の側に位置する後行ゾーン内の前記ランナー(10、10’)は、少なくとも1つの固定温度制御金型コンポーネントによって囲まれるステップと、
d)前記ランナー(10、10’)内には、連続ランナーマスストランドが取り付けマスストランドによって形成され、前記連続ランナーマスストランドは、充填された金型キャビティ(8’)および金型キャビティ部分(8)と共に、冷却および固化の増大と長さの増加につれて、前記
射出部位から離れるように輸送されるステップと、
e)前記ランナーマスストランドは、その固化後、および前記金型キャビティ(8’)または前記金型キャビティ(8)を開いた後に、接続マスストランドと共に、前記コンポーネントから分離されるステップと、
f)1つまたは複数の前記コンポーネントが排出されるステップとによって特徴づけられる方法。
【請求項2】
可動金型コンポーネントは、直線的に移動する不連続な方法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可動金型コンポーネントは連続的に共に接合され、充填され、前記コンポーネントは金型から取り外され、金型コンポーネントは前記
射出部位で再充填のためにリサイクルされる連続的な方法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可動金型コンポーネントは、閉じた円に沿って移動する連続的な方法であることを特徴とする、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記先行ゾーン内で前記ランナー(10、10’)に囲まれた前記金型コンポーネントが加熱または冷却されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記後行ゾーン内で前記ランナー(10、10’)に囲まれた前記金型コンポーネントが冷却または加熱されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記固化可能なプラスチック素材は、直線的に移動可能なキャリッジ(6)上に配置された少なくとも1つの金型インサート(7)内に形成された前記接続部(9)を介して1つの細長い金型キャビティ(8)の複数の部分を、または一列に走る複数の個々の金型キャビティ(8’)を満たすことを特徴とする、請求項1、2、5、または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記金型キャビティ(8)またはすべての金型キャビティ(8’)の充填後、前記可動金型コンポーネントが停止され、固化されたプラスチック素材の供給が停止し、ステップe)およびf)が続くことを特徴とする、請求項1、2、または5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固化可能なプラスチック素材は、1つの円形の円周の金型キャビティ(8)の複数の部分を、または接続部(9’)を介して円内に連続的に配置された複数の個々の金型キャビティ(8’)を充填し、前記金型キャビティ(8)または前記個々の金型キャビティ(8’)は、互いに直接に円形に続く回転ユニットの円形の外周に続く金型インサート(17)内に提供されることを特徴とする、請求項1、3、4、または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップe)において、前記固化したランナーマスストランドおよび前記固化した接続マスストランドは、金型インサート(17)を連続的に開くことにより、前記後行ゾーンから前記金型インサート(17)の出現後に連続的に分離されることを特徴とする、請求項1、3、4、5、6、または9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップe)に続いて、金型インサート(17)は、連続的に完全に開かれ、それぞれのキャビティ(8’)内に形成された前記コンポーネントが排出されるか、または円内に延びる前記金型キャビティ(8)内に連続的に形成された前記コンポーネントが金型から部分的に取り外され、その後前記金型インサート(17)は、順番に閉じられ、回転ユニットの連続回転中に、再び先行ゾーンに連続して入ることを特徴とする、請求項1、3、4、5、6、9、または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
射出成形施設内で少なくとも1つの固化可能なプラスチック素材からコンポーネントまたはプロファイルを製造するための装置であって、前記装置は、固定金型コンポーネントと、それに対して移動可能であり、少なくとも1つの金型キャビティ(8、8’)を含む金型コンポーネントとを含み、前記固定金型コンポーネントは、加熱可能な先行部分(3、3’)と、冷却可能な後行部分(4、4’)とを有し、前記先行部分(3、3’)および/または前記後行部分(4、4’)の領域内に少なくとも1つの
射出部位を有する装置において、可動金型コンポーネントは、細長い金型キャビティ(8)を含むか、または一列に配置され、凹部として設計されたランナー(10、10’)を有する個々のキャビティ(8’)を含み、前記凹部は、前記細長い金型キャビティ(8)または前記個々のキャビティ(8’)のいずれかに接続部(9、9’)を介して接続され、
前記ランナー(10、10’)は、前記先行部分(3、3’)および前記後行部分(4、4’)の前記領域内で前記閉じた金型内の前記先行部分(3、3’)および前記後行部分(4、4’)によって囲まれていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記可動金型コンポーネントは、前記細長い金型キャビティ(8)または前記個々の金型キャビティ(8’)を含む少なくとも1つの金型インサート(7)を備えた直線的に移動可能なキャリッジ(6)を有し、その範囲にわたって前記ランナー(10)が前記金型インサート(7)内に直線状の凹部として形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記細長い金型キャビティ(8)は、実質的に直線状または全体的に湾曲した弓状に延びることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記可動金型コンポーネントは、少なくとも1つの金型キャビティ(8’)をそれぞれ含むか、または円形形状に続く個々の金型キャビティ(8)を共に含む円形形状の直後の
金型インサート(17)が上に配置される円形の外周を有する回転ユニットを有し、前記ランナー(10’)はすべての金型インサート(17)にわたって円周方向の凹部として延びていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記先行部分(3、3’)および前記後行部分(4、4’)は、金型インサート(7、17)に面する縁部表面(3b、4b、3’b、4’b)を有する自由縁部(3a、4a、3’a、4’a)を含み、前記金型インサート(7、17)は、前記金型が閉じたとき、前記ランナー(10、10’)をしっかりと覆うことを特徴とする、請求項12~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記先行部分(3、3’)は前記後行部分(4、4’)に対してオフセットされるか、または下方に配置されるので、前記先行部分(3、3’)の下方の領域内のランナーギャップは、前記後行部分(4、4’)の下方の領域内のものよりも薄肉になっていることを特徴とする、請求項12~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記接続部(9)の領域内で前記ランナー(10)内に局所的に引き込むことができるエンボススタンプ(15)を備えたエンボス加工装置(14)を含むことを特徴とする、請求項12~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
キャビティ内に引き込むことができるエンボススタンプ(15’)を備えたエンボス加工装置(14’)を備えることを特徴とする、請求項12~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記エンボス加工装置(14、14’)は、固定金型コンポーネント上に配置されたエンボスストリップ(14a)を有し、前記エンボススタンプ(15、15’)は、この金型コンポーネントの移動中に、これらの金型コンポーネントをそれらのエンボス加工位置に連続的に持ち込むことができるような方法で可動金型コンポーネント内に配置されることを特徴とする、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
固定金型コンポーネント上に配置された固定作動ストリップ(26a)と、可動金型コンポーネント内に取り付けられたスライダ(27)とを備えた流動ブレーキ装置(26)を含み、前記スライダ(27)は、前記ランナー(10)の一部がノズル(2a)を前記後行部分(4)の方向に通過するとすぐに、前記ランナー(10)から連続して前記先行部分(3)の領域内に移動することを特徴とする、請求項12~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
2つの射出ユニット(5’、5”)と、固化したプラスチックマスノズル(2’、2”)で供給される前記射出ユニット(5’、5”)の2つを備えたチャネルブロック(18)を含み、各ノズル(2’、2”)から、チャネル(19、20)がそれぞれのチャネルブロック(18)の中心へ延び、切り替えバルブ(22、22’)を介して2つのチャネル(19、20)の1つを交互に、前記先行部分と前記後行部分(3’、4’)の領域内の前記
射出部位まで延びる別のチャネル(21)に接続できることを特徴とする、請求項12~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
2つの射出ユニット(5’、5”)と、固化したプラスチックマスノズル(2’、2”)で供給される前記射出ユニット(5’、5”)の2つを備えたチャネルブロック(18)を含み、各ノズル(2’、2”)から、チャネル(19、20)がそれぞれのチャネルブロック(18)の中心へ延び、ニードルバルブノズル(23)を介して前記2つのチャネル(19、20)は、前記先行部分と前記後行部分(3’、4’)の領域内の前記
射出部位まで延びる別のチャネル(21)に同時にまたは交互に接続することができることを
特徴とする、請求項12~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
2つのノズル(2)が設けられ、両方とも前記先行部分(3)に配置されるか、または射出成形機のユニットのコンポーネントであることを特徴とする、請求項12~23のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形施設内で少なくとも1つの固化可能なプラスチック素材からコンポーネントまたはプロファイルを製造するための方法であって、前記方法は、固定金型コンポーネントと、それに対して可動な金型コンポーネントとを含み、可動金型コンポーネントは、少なくとも1つの金型キャビティを含み、固定金型コンポーネントは、少なくとも1つの射出部位を有し、それを介して、固化可能なプラスチック素材が、固定金型コンポーネントと可動金型コンポーネント内の金型キャビティとの間の領域に射出され、同時に金型キャビティが射出部位から遠ざかるように可動金型コンポーネントを移動させる方法に関する。本発明はさらに、射出成形施設内で少なくとも1つの固化可能なプラスチック素材からコンポーネントまたはプロファイルを製造するための装置であって、前記装置は、固定金型コンポーネントと、それに対して移動可能であり、少なくとも1つの金型キャビティを含む金型コンポーネントとを含み、固定金型コンポーネントは、加熱可能な先行部分と、冷却可能な後行部分とを有し、先行部分および/または後行部分の領域内に少なくとも1つの射出部位を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法およびそのような装置は、例えば特許文献1から知られている。EXJECTION(登録商標)として知られるこの方法は、直線移動可能なキャリッジ上に配置された成形金型インサート内のキャビティ内にプラスチック素材を射出しながら、下部と上部の金型部分を有する金型内で固化可能なプラスチック素材から細長いプロファイルまたはストリップを製造するために使用される。この場合、射出されたプラスチック素材は、スライドを金型から外して射出部位から遠ざけることにより、形成されたプロファイルまたは形成されたストリップの進行と連続的な伸長しながら、プラスチック素材が徐々に固化しながら輸送される。プラスチック素材は、プロファイルまたはバーが意図した長さに達するまで射出される。成形金型インサートは、鋳造インサートを含む上部金型コンポーネントまたは金型インサートと共に、射出プロセスの開始時と終了時にのみ閉じたキャビティ部分を形成する。成形金型インサートの移動中、金型キャビティの第1の端部を充填した後、プラスチック素材は上部金型部品に対して自由な前方部分で位置決めされたままになり、金型キャビティは金型インサート内でさらに充填される。したがって、この既知の方法は、特に熱可塑性材料で作られた細長いプラスチック仕上げ部品を製造するための射出成形プロセスと押出プロセスの組み合わせを含む。コンポーネントはキャリッジの直線移動中に上部固定金型インサートから直接形成されるため、この領域で質的に満足のいく表面を作成するには、射出プロセスのパラメーターを特に慎重かつ繊細に調整する必要がある。しかしながら、これらの表面領域は、キャビティ内に形成されたコンポーネントの表面とは光学的に異なる。
【0003】
特許文献2から、EXJECTION(登録商標)技術により熱可塑性プラスチックと連続繊維からテープを製造する方法と装置が知られている。その中にノズルが設けられており、それと2つの射出ユニットが関連付けられており、注入可能なポリマー材料が2つの射出ユニットによってノズルへ、そしてノズルから含浸装置を通って輸送された繊維へ交互に運ばれる。この場合、繊維が埋め込まれている注入可能なポリマー材料からマトリックスが形成される。
【0004】
特許文献3から、ラインコアとそれを取り囲む外側ケーシングとを備えた電線を製造する方法および装置が知られている。連続成形法では、外側のケーシングの個々のケーシング部分は、金型によってラインコアを固化可能なプラスチック素材で囲むことにより連続的に形成される。外側ケーシングは、長手方向に可変の断面形状を有する少なくとも1つの部分的な部分内に形成される。
【0005】
特許文献4は、熱可塑性材料からプラスチック予備成形品を製造する方法および装置に取り組んでおり、溶融熱可塑性材料が、加圧下でホットランナー金型のホットランナーに連続的に導入される。複数のキャビティを有し、キャビティの開口部を有する表面を有する輸送装置が、ホットランナー金型の表面上を案内され、キャビティの少なくとも1つの開口部は常にホットランナーの上方に位置する。
【0006】
特許文献5は、中空体、特にカテーテルを製造する方法を扱っており、この方法も同様にEXJECTION(登録商標)技術に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第2 205 420 B1号明細書
【文献】ドイツ特許出願第10 2015 003 206 A1号明細書
【文献】国際特許出願第2016/097012 A1号パンフレット
【文献】欧州特許出願第2 746 026 A2号明細書
【文献】欧州特許出願第2 712 721 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述のタイプの方法および装置をさらに発展させ、さらに改良することであり、特に、厚肉のコンポーネントおよび複雑な幾何学的形状、つまり細長いプロファイルと多数のアイテムの両方を有するコンポーネントを経済的で費用対効果の高い方法で、高品質で均一な表面品質に製造できるようにすることである。また、本方法および装置は、コンポーネントの幾何学的形状の設計に関して大きな自由度を可能にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明によれば、
a)可動金型コンポーネント内に形成されたランナー内に固化可能なプラスチック素材を射出ステップと、そこから接続部を介して、
b1)1つの個々の金型キャビティの複数の部分に、
b2)または複数の個々の金型キャビティに次々に射出するステップと、
c)射出部位の領域内、ならびに可動金型コンポーネントの移動方向とは反対方向に射出部位の一方の側に位置する先行ゾーン内、ならびに可動金型コンポーネントの移動方向に射出部位の他方の側に位置する後行ゾーン内のランナーは、少なくとも1つの固定温度制御金型コンポーネントによって囲まれるステップと、
d)ランナー内には、連続ランナーマスストランドが取り付けマスストランドによって形成され、取り付けマスストランドは、充填された金型キャビティおよび金型キャビティ部分と共に、冷却および固化の増大と長さの増加につれて、射出部位から離れるように輸送されるステップと、
e)ランナーマスストランドは、その固化後、および金型キャビティまたは金型キャビティを開いた後に、接続マスストランドと共に、コンポーネントから分離されるステップと、
f)1つまたは複数のコンポーネントが排出されるステップとを有する方法により達成される。
【0010】
本発明に係る装置は、可動金型コンポーネントは、細長い金型キャビティを含むか、または一列に配置され、凹部として設計されたランナーを有する個々のキャビティを含み、凹部は、細長い金型キャビティまたは個々のキャビティのいずれかに接続部を介して接続され、ランナーは、先行部分および後行部分の領域内で閉じた金型内の先行部分および後行部分によって囲まれていることを特徴とする。可塑化された素材をランナーに射出することにより、本発明は、個々のキャビティと、接続部を介した細長いキャビティのキャビティ部分の両方を充填する可能性を広げる。その結果、複雑な幾何学的形状のコンポーネントでも高品質に形成できる。接続部の局所的な取り付け点に限定されたキャビティにより、コンポーネントを均一で欠陥の無い表面で製造することができる。したがって、本発明に係る方法は、先行技術から知られているEXJECTION(登録商標)技術の利点を有し、その欠点に関連することはない。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態では、本方法は、可動金型コンポーネントが直線的に移動する不連続な方法である。不連続な方法により、有限の長さのコンポーネントまたは個々の金型キャビティの数によって数が制限される個々のコンポーネントの製造が可能になる。
【0012】
可動金型コンポーネントが連続的に互いに接合され、充填され、コンポーネントが金型から取り外され、金型コンポーネントが射出部位で再充填のためにリサイクルされる連続的な方法としての本発明に係る方法の代替の一実施形態は、特に有利である。可動金型コンポーネントが閉じた円に沿って移動する連続的な方法は、特に好ましい。これらの変形例は、「エンドレス」プロファイルの製造または多数の個々のコンポーネントの製造を促進し、この数は、金型キャビティの数によって制限されない。連続的な製造方法は、プロファイルが所望の長さに達するか、または個々のコンポーネントの所望の数が達成されると終了する。
【0013】
主に金型キャビティの充填がランナー内の接続部を介して行われる領域内で、射出された固化可能なプラスチック素材を塑性状態に保つために、先行ゾーンを囲むか、または先行ゾーンを形成する金型コンポーネントが、熱可塑性プラスチックの場合は成形素材として加熱されるか、または熱硬化性プラスチックまたはエラストマーの場合は成形素材として冷却される場合、有利である。
【0014】
射出部位のすぐ反対側の後行ゾーンでは、熱可塑性プラスチックの場合、ランナー、接続部、および金型キャビティ内でプラスチック素材を成形素材として冷却して固化プロセスを支持することが有利であり、熱硬化性プラスチックまたはエラストマーの場合、最初に成形素材として加熱して、素材の化学的架橋を達成するのが有利である。したがって、後行ゾーン内でランナーを囲む金型コンポーネントは、冷却または加熱される。
【0015】
不連続な方法の好ましい実施形態では、固化可能なプラスチック素材は、1つの細長い金型キャビティの複数の部分に、または直線的に移動可能なキャリッジ上に配置された少なくとも1つの金型インサート内に形成された接続部を介して一列に走る個々の金型キャビティを充填する。
【0016】
不連続な方法では、金型キャビティまたはすべての金型キャビティを充填した後、可動金型コンポーネントを停止し、プラスチック材料の供給を停止し、請求項1のステップe)およびf)が続く。
【0017】
本発明に係る連続的な方法では、固化可能なプラスチック素材は、1つの円形の円周の金型キャビティの複数の部分を、または接続部を介して円内に連続的に配置された複数の個々の金型キャビティを部分的に充填し、金型キャビティまたは個々の金型キャビティは、互いに直接続く円形に続く回転ユニットの円形の外周に続く金型インサート内に提供される場合、特に有利である。
【0018】
本発明に係る連続的な方法は、特に有意な生産性の向上を促進する。これに関連して、ステップe)において、金型インサートを連続的に開くことにより、後行ゾーンから金型インサートが出現した後、固化したランナーマスストランドと固化した接続マスストランドを連続的に分離することが特に有利である。ステップe)に続いて、金型インサートが連続的に完全に開かれ、それぞれのキャビティ内に形成されたコンポーネントが排出されるか、または円状に延びる金型キャビティに連続的に形成されたコンポーネントが金型から部分的に除去されることがさらに特に有利であり、その後金型インサートは順番に閉じられ、回転ユニットの連続回転中に、再び先行ゾーンに連続して入る。
【0019】
不連続な方法に係るコンポーネントの製造を可能にする本発明に係る装置の好ましい一実施形態では、装置は、細長い金型キャビティまたは個々の金型キャビティを含む少なくとも1つの金型インサートを備えた可動金型コンポーネントとして直線移動可能なキャリッジを有し、その延長上にランナーが金型インサート内に直線凹部として形成される。
【0020】
金型インサート内の細長い金型キャビティは、真っ直ぐなプロファイルを作成するために真っ直ぐにすることができるが、全体的に円弧状に湾曲している場合もあり、したがって、わずかに円弧状に湾曲したコンポーネントの製造が可能になる。
【0021】
コンポーネントの連続製造を促進する本発明に係る装置の好ましい一実施形態では、本装置は、可動金型コンポーネントとして円形外周を備えた回転ユニットを有し、その上に円形形状の直後の金型インサートが配置され、それは金型キャビティをそれぞれ含むか、または共に円形形状に続いて個々の金型キャビティを含み、ランナーが、すべての金型インサート上に円形の円周凹部として延びる。
【0022】
キャリッジを備えた変形例と回転ユニットを備えた変形例の両方において、先行部分と後行部分は、金型を閉じたときにランナーをしっかりと覆う縁部表面を備えた1つまたは複数の金型インサートに面する自由縁部を有する。したがって、固化可能なプラスチック素材が射出される金型の領域では、1つまたは複数のキャビティがランナーと接続部を介して固化可能なプラスチック素材で充填され、素材が熱可塑性プラスチックであるか、エラストマーであるか、熱硬化性プラスチックであるかに応じて、後行部分がランナーならびに接続部およびキャビティ内で固化可能なプラスチック素材を冷却または加熱することが保証される。
【0023】
本発明のさらに有利な一実施形態では、先行部分は、後行部分に対してオフセットされるか、より低く配置されるので、先行部分の下方の領域内のランナーギャップは、後行部分の下方の領域よりも薄肉である。それにより、射出された素材の圧力は、金型キャビティの既に充填された部分でより長く維持され得る。
【0024】
本発明のさらに好ましい一実施形態では、本装置は、エンボススタンプを備えたエンボス加工装置を有し、エンボススタンプは、接続部の領域内でランナー内に局所的に挿入することができる。したがって、エンボススタンプは、特に充填後のキャビティ内の圧力の増加のために、接続部の素材に圧力を提供する。このようにして、キャビティの特に肉厚の領域を、固化可能なプラスチック素材で最適に充填することができる。
【0025】
本発明のさらなる変形例では、エンボス加工装置は、1つまたは複数のキャビティに挿入できるエンボススタンプを有する。この手段により、特に内部にコンポーネントの体積の大きい要素が形成される領域において、冷却中に固化可能なプラスチック素材を局所的に強化することができ、その結果、体積収縮がそれに応じて減少する。
【0026】
固定金型コンポーネント上に配置されたエンボスストリップによるエンボス加工装置の作動は特に有利であり、エンボススタンプは、この金型コンポーネントの移動中に連続してエンボス位置に持ち込まれることができるように、可動金型コンポーネント内に配置される。
【0027】
本発明に係る装置のさらに有利な一実施形態では、固定金型コンポーネント上に配置された固定作動ストリップと、可動金型コンポーネントに取り付けられたスライダとを備えた流動ブレーキ装置が提供され、これはランナーの一部が後行部分の方向にノズルを通過するとすぐに、ランナーから連続的に先行部分の領域内に移動する。その結果、ランナーの各部分がノズルの下を通過した後、キャビティ内の素材に圧力がより良好に供給される。
【0028】
特に、回転ユニットを備えた本発明に係る装置において、すなわち連続方法を実行する場合、2つの射出ユニットを使用してランナーおよびキャビティに固化可能な素材を一定に供給することを確実にする場合、有利である。したがって、対応して設計された装置は、2つの射出ユニットと、射出ユニットによって固化可能なプラスチック素材を供給することができる2つのノズルを備えたチャネルブロックとを有し、チャネルは各ノズルからそれぞれのチャネルブロックの中心へと延びる。ここで、本発明の一実施形態では、2つのチャネルのうちの1つはここで、切り替えバルブを介して、先行部分および後行部分の領域内の射出部位に延びるさらなるチャネルに交互に接続することができる。代替実施形態では、ニードルバルブノズルを介してチャネルブロックの中央で、2つのチャネルを同時にまたは交互に別のチャネルに接続することができ、このチャネルは先行部分および後行部分の領域の射出部位まで延びる。とりわけ、この実施形態の変形例は、射出ユニットを変更する際に、ニードルバルブノズルの対応する作動を介して、固化可能なプラスチック素材の一定圧力を確保することを可能にする。
【0029】
本発明の別の有利な一実施形態は、2成分法において2つの異なる固化可能なプラスチック素材からのコンポーネントの製造を促進する。この装置では、2つのノズルが提供され、これらは両方とも先行部分に配置されるか、または射出成形機のユニットのコンポーネントであり、各ノズルには、対応して構成された別々の固化可能なプラスチック素材が提供され得る。
【0030】
ここで、本発明のさらなる構成、利点、および詳細を、複数の例示的な実施形態を概略的に示す図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1a~
図1cは、本方法の異なる段階における本発明に係る装置の一実施形態の図を示す。また、
図1dは、ノズルの領域内における断面図を示す。
【
図2】本発明に係る装置の第2の実施形態を
図1cに類似した表現で示す。
【
図3】本発明に係る装置の第3の実施形態を
図1cに類似した表現で示す。
【
図5】
図5a~
図5bは、エンボス加工装置の一実施形態の変形例の図を示す。
【
図6】
図6a~
図6bは、エンボス加工装置の別の一実施形態の図を示す。
【
図7】本発明に係る装置の別の一実施形態の変形例の図を断面図で示す。また、
図7aは
図7の線VIIa-VIIaに沿った断面図を示す。
【
図8】2つの射出ユニットを備えた実施形態の図を断面図で示す。
【
図9】2つの射出ユニットを備えた実施形態の図を断面図で示す。
【
図10】2つの射出ユニットを備えた実施形態の図を断面図で示す。
【
図11】2つの射出ユニットを備えた実施形態の図を断面図で示す。
【
図12】2つのノズルを備えた本発明に係る装置のさらなる一実施形態の変形例の図を
図1cに類似した表現で示す。
【
図13】本発明に係る装置のさらなる一実施形態の変形例の図を
図11に類似した表現で示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
射出成形機のすべての図では、製造されるコンポーネントの成形に直接的または間接的に関与するコンポーネントのみが示されている。例えば、上、下、左、右など、以下の説明における場所の指定は、図内の記述を参照している。
【0033】
図1a~
図1c、
図2、
図3、
図4a~
図4c、
図12、および
図13に示される本発明の実施形態の変形例は、不連続な方法で1つ以上のコンポーネントを製造するための実施形態の変形例である。本発明のこれらの実施形態の変形例では、2つの金型部品が提供され、これらは、開閉のために互いに向かっておよび互いから離れるように移動することができる。このように図示されてはいないが、取り付けられた金型インサート1は1つの上部金型部品を含み、そこを通って射出ユニット5から離れるノズル孔2aを有するノズル2(図では単に示されている)が延び、それを通って可塑化された素材が射出成形機の運転中に圧力下で出る。金型インサート1には、先行ゾーンを形成する先行部分3と後行ゾーンを形成する後行部分4が挿入され、図示の変形例では、ノズル2は先行部分3と後行部分の間に配置される。先行部分3と後行部分4の両方は、特にいくつかの部品で作られており、既知の方法で焼き戻し媒体を通過させるためのチャネルを備えている。熱可塑性素材が含まれる場合、溶融状態の射出素材を得るための加熱要素13もまた先行部分3にある。本発明の別の一実施形態では、ノズルは先行部分を通って延び、後行部分はノズルの直後に閉じている。
【0034】
第2の下部金型部分には、細長いキャリッジ6が、図中の矢印P1の方向およびその長手方向の延長方向に直線的に変位可能となるように配置されている。金型インサート7は、
図1a~
図1c、
図3、
図4a~
図4c、および
図12に示す実施形態では、単一の細長い金型キャビティ8を含むキャリッジ6の長手方向の延長部に配置され、
図2に示す実施形態では、連続して一列に配置されている複数の金型キャビティ8’を含む。金型キャビティ8は、例えば、細長いコンポーネント、例えばストリップまたはプロファイルがその中で製造されるように設計される。金型キャビティ8’は、例えば、多数の同一の個別のコンポーネントを製造することを目的としている。金型キャビティ8は、特に一定間隔で、接続部9を介して金型インサート7の最上部のランナー10に接続され、各金型キャビティ8’は、特に接続部9-分配チャネルによってランナー10に接続される。ランナー10は、実質的に金型キャビティ8の長手方向の延長部または金型インサート7内の金型キャビティ8’の列の延長部にわたって延びる凹部である。図示の実施形態では、接続部9の間で、ランナー10は、接続部9の口部領域に狭いまたは浅い部分10aと、凹部10bとを有する。すべての部分10a、10bにおいて、ランナー10は、好ましくは、その長手方向の延長部にわたって一定の幅を有し、固化可能なプラスチック素材の流動性および金型キャビティ8または金型キャビティ8’のそれぞれの幾何学的形状に適合し、数ミリメートルある。図示の実施形態では、ノズル2のノズル孔2aは、ランナー10の幅よりも小さい直径を有する。
【0035】
図1dの断面図が示すように、金型インサート7は複数の(例えば2つの)顎部7aを有し、これは複数のキャビティ8’が存在する金型キャビティ8を囲み、接続部9およびランナー10は互いに固定されており、そしてキャビティ8およびキャビティ8’を開くために顎部7aは互いに離れるように移動することができる。図示の実施形態では、ランナー10の上方で、顎部7aは断面がV字形の凹部を形成し、その中に、金型の閉位置で、先行部分3および後行部分4の下縁部3a、4aは、断面が鏡面反転され、したがって好ましくはV字形に設計され、キャリッジの長手方向に直線的に延びる縁部と係合する。先行部分3および後行部分4の縁部3a、4aの狭い縁部表面3b、4bは、先行部分3および後行部分4がそれぞれ固化可能なプラスチック素材の射出プロセスおよびキャリッジ6の直線運動中に位置する領域でランナー10を上方から閉じる。
【0036】
多数のエジェクタ12により、顎部7aが開いた状態で、1つまたは複数の製造されたコンポーネントが金型から取り出される。多数の金型キャビティ8’を備えた一実施形態では、金型キャビティ8’ごとに少なくとも1つのエジェクタ12が設けられる。
【0037】
矢印P1の方向へのキャリッジ6の直線運動のために、図示されていない少なくとも1つの駆動装置、特に線形駆動装置が設けられ、既知の方法、例えば電気的、機械的、空気圧的、または液圧的に操作される。
【0038】
図3は、全体的にわずかに弓状に湾曲したコンポーネントが製造される一実施形態を示す。顎部の対応する構成により、様々な長さに対応する接続部9を備えた全体的に湾曲したキャビティ8が金型インサート7内に提供される。そうでなければ、この実施形態は、
図1a~
図1cに係る実施形態に対応する。
【0039】
図4a~
図4cに示す実施形態は、
図1a~
図1cの実施形態にほぼ対応するが、後行部分4に対してオフセットされたまたは低い位置にある先行部分3と比較して、先行部分3の下方の領域内のランナーギャップが、後行部分の下方の領域内のものよりも薄肉になるような特別な構成を有する。それにより、射出された素材の圧力は、他の変形例よりも、金型キャビティ8の既に充填された部分においてより長く維持され得る。
【0040】
【0041】
金型が閉じられ、型締力が加えられ、キャリッジ6がその開始位置に移動する。したがって、射出プロセスの開始時、
図1aおよび
図4aでは、キャリッジ6は金型インサート7と共にその開始位置にあり、ノズル2は金型キャビティ8の前端部、ここでは右端部にあり、したがってランナー10の前端部にもある。ここで、固化可能なプラスチック素材は、高圧下でノズル2を介して射出され、キャリッジ6が動き始め、金型キャビティ8の前端部が、ランナー10および第1の接続部9を介して最初に充填される。先行部分3の下方のランナー10内にわずかに貫通する固化可能なプラスチック素材は、
図1bおよび
図4bの先行部分3の下方に自由な素材前面を形成し、これはキャリッジ6の移動中に本質的に矢印P1の方向に維持される。キャリッジ6の移動中、金型キャビティ8は、接続部9を介して固化可能なプラスチック素材で連続的に充填される。したがって、ランナー10は、固化可能なプラスチック素材による金型キャビティ8の連続的な充填を確実にし、対応する保持圧力段階を確保する。薄肉部分10aは、「流動ブレーキ」として作用し、圧力の増加を引き起こし、その結果、固化可能なプラスチック素材は、接続部9内の適切な圧力下を通過する。熱可塑性素材の場合、クーラントが供給される後行部分4は、ランナー10と接続部9の両方に位置するマスストランドを冷却し、エラストマーまたは熱硬化性プラスチックの素材では、プラスチックの化学的架橋を達成するために、後行部分が加熱される。キャリッジ6が前進すると、ランナー10が後行部分4から現れ、これにより、ランナー10および接続部9に見られるマスストランドが固化する。金型キャビティ8が素材で完全に充填される(
図1c、
図4c)、または個々のキャビティ8’(
図2)が充填されるとすぐに、キャリッジ6は停止する。いくらかの力が依然として加えられ、その後、プラスチック素材の供給も停止する。冷却段階の後、金型が開かれ、顎部7aを離すことにより金型インサート7が開かれる。ここでランナーマスストランドは、接続ストランドと共に、形成された1つまたは複数のコンポーネントの排出の前または後に分離することで除去される。
【0042】
図5は、
図5aおよび
図5bの断面図と共に、接続部9の領域においてランナー10内の固化可能なプラスチック素材に局所的に作用するエンボス加工装置14の動作モードを示している。
図5aは、
図5の線Va-Vaに沿った断面図であり、
図5bは、
図5の線Vb-Vbに沿った断面図である。明確にするために、プラスチック素材から形成されるコンポーネント24a、ランナーマスストランド25a、およびいくつかの接続マスストランド25bが示されている。エンボス加工装置14は、エンボスストリップ14aを有し、これは、例えば金型インサート1上に固定して配置される。エンボス加工装置14はまた、接続部9の数に対応する数のエンボススタンプ15のうちの1つも含む。エンボススタンプ15はキャリッジ6内に図示されない方法で配置されているため、エンボスストリップ14aからキャリッジ6が移動する間、複数の個々のキャビティの場合-1つのキャビティ、または1つのキャビティ部分がプラスチック素材で充填されるとすぐに、エンボススタンプ15はエンボス加工位置に連続して移動できる。エンボススタンプ15の相互距離は、接続部9の相互距離に対応する。
図5aの断面図は、接続マスストランド25bの場合の非作動位置におけるエンボススタンプ15の位置を示している。
図5bは、エンボス加工位置におけるエンボススタンプ15の位置を示し、エンボススタンプ15は、ランナー10内のプラスチック素材の中に引き込まれ、充填後のキャビティ8内の圧力の増加を促進し、特にキャビティ8の厚肉領域の最適な充填を確実にする。
【0043】
エンボス加工装置14’のさらなる変形例のコンポーネントおよびそれらの動作モードが、
図6、
図6a、および
図6bに示されている。
図6aは、
図6の線VIa-VIaに沿った断面図であり、
図6bは、
図6の線VIb-VIbに沿った断面図である。ここに図示されていないエンボスストリップの配置は、既に説明した実施形態と同じ、すなわち固定している。特に、この実施形態のエンボススタンプ15’は、金型インサート7および金型インサート7によって形成された顎部7aのうちの1つの中で、例えば、水平方向に予め配置される。図示されている実施形態では、例えば、規則的な体積の大きいブロック状要素24’aから構成されるコンポーネント24’が製造される。各エンボススタンプ15’は、それぞれの場合にコンポーネント24’の体積の大きいブロック状要素24’aの1つを形成する金型キャビティ8の領域に割り当てられる。
図6aは、エンボス加工前のエンボススタンプ15’の位置を示しており、
図6bはエンボス加工中を示している。エンボススタンプ15’は、体積の大きいブロック状要素24’aの素材内に押し込まれる。コンポーネントの体積の大きい要素は、薄肉の棒状部分よりも体積収縮が大きくなり、それらはよりゆっくりと冷却するため、薄肉の棒状部分での体積の大きいコンポーネント要素の圧力供給は非常に時間制限される。エンボススタンプ15は、冷却中に体積の大きい要素内の素材が局所的により圧縮されるため、体積収縮がそれに応じて減少することを確実にする。
【0044】
図7および
図7aに示される本発明の変形例は、連続的な方法で1つ以上のコンポーネントを製造するための変形例である。
図7および
図7aは、回転ユニットを備えた金型を備えた本発明に係る装置の一実施形態を示し、
図7aは、
図7の線VIIa-VIIaに沿った断面図を示す。回転ユニットは、すべての金型インサート17が金型インサート円を形成するように複数の金型インサート17が互いに隣接して配置されている外周に円形の外周を備えた駆動ユニット(図示せず)によって連続回転運動で変位可能なキャリア16を有する。すべての金型インサート17が閉じられると、支持体16は、すべての金型インサート17の周りを円周上にランナー10の周りに円形に延びる。回転ユニットに対して固定した装置の一部、例えば、支持体16および回転ユニットの最上部にある金型のチャネルブロック(図示せず)にも、先行部分3’および後行部分4’が固定して配置される。既に説明した実施形態と同様に、ノズル孔2aを有する射出ユニット5から離れるノズル2は、好ましくは、先行部分3’と後行部分4’との間に配置される。先行部分3’および後行部分4’は、ランナー10と同心に形成された弓状に延びる下縁部3’a、4’aを有し、既に説明した実施形態と同様であるその縁部表面3’b、4’bは、ランナー10’と共に閉じた金型内に囲まれた先行および後続ゾーンを形成する。
図7aに示すように、金型インサート17はまた、この実施形態では、すべての金型インサート17が閉じたときに、凹部として形成されたランナー10’として共に円形の囲いを形成するために、回転ユニットの円周に従って設計された顎部17aを含む。各金型インサート17の顎部17aは、相互に固定された位置に、少なくとも1つの別個の金型キャビティ8’と、各場合に、顎部17aの間に形成された凹部に開口し、ランナー10’の一部を形成するチャネルとして形成された少なくとも1つの接続部9’を含む。
【0045】
図7aは、ノズル2の領域内の回転ユニットを示しており、先行部分3の例示的なV字形縁部3’aおよび2つの顎部17aの間に形成されたランナー10’を見ることができる。
【0046】
装置を運転するために、回転ユニットは駆動装置によって連続的かつ一定の回転運動になる。既に説明した実施形態と同様に、ランナー10’内の先行部分3’の下方の先行ゾーン内で固化可能なプラスチック素材の射出中に自由な素材の最前部が形成され、同時に個々のキャビティ8’は、ランナー10’および接続部9’を介して連続して充填される。充填されたキャビティ8’は、回転方向(矢印P
2)にノズル2から離れて移動し、各金型インサート17は、
射出部位からの距離が続きながら、冷却(熱可塑性樹脂の場合)または加熱(エラストマーまたは熱硬化性プラスチックの場合)した後行部分4’の下方の後行ゾーンを通過する。ランナー10’、接続部9’、およびそれぞれのキャビティ8’内のプラスチック素材が冷え始める。最後に、各金型インサート17が後行部分4’から出て、プラスチック素材がさらに冷却されて固化する。特に、回転ユニットの円周の約4分の1から半分の後に、各金型インサート17は自動的に開くため、ランナー10内のマスストランドが接続ストランドと共に分離できるようになる。このプロセスはまた、金型インサート17から金型インサート17まで連続的に行われる。次いで、金型インサート17が次々に自動的に開かれ、キャビティ8’内に形成されたコンポーネントが自動的に排出される。
図7は、即座に排出される例示的なコンポーネント24”を示す。続いて、金型インサート17は、再び自動的に順番に閉じられ、回転ユニットの連続回転中に、先行部分3’の下方の先行ゾーンに連続的に戻り、再びプラスチック素材で次々に充填される。
【0047】
すべての金型インサートの回転ユニットを備えた別々に図示されない代替の一変形例では、連続した円形の金型キャビティが形成されるため、様々な断面設計の「エンドレス」プロファイル、特に変形可能で、巻き取り可能なプロファイルを生産することができる。
【0048】
輸送における連続法での1つ以上のコンポーネントの製造のために、個別に示されていないさらなる代替の変形例では、個々の金型インサートは連続的に充填され、例えば、記載されているように、直線的に直接接合され、コンポーネントが金型から取り除かれ、金型インサートが再び閉じられ、射出部位にフィードバックされる。
【0049】
コンポーネントの排出後、金型インサートが金型インサートを有する異なる形状の金型キャビティに置き換えられ、コンポーネントがこれらの金型インサート内で再び連続して使用される場合、例えば、射出する場合、第2のノズルを介して第2の素材の成分の射出を実行できる。あるいはまた、対応する金型インサートを第2の回転ユニットに設けてもよい。
【0050】
図4a~
図4cに係る実施形態と同様に、本実施形態では、段付き先行部分3’に回転ユニットを設けることもできる。
【0051】
回転ユニットは、特にギア付きまたはギアなしの電動モーターによって回転運動が開始され、ギアは、射出成形機の制御によってまたは個別に制御される。
【0052】
固化可能なプラスチック素材が連続的に射出されると、回転ユニットの回転運動によって、充填されたキャビティとマニホールドチャネルマスストランドがノズルから離れる。これらの段階は、空間的に次々に実行されるが、時間的には同時に実行される。これにより、従来の射出成形プロセスと比較して生産性の大幅な向上をもたらす。
【0053】
図8~
図11は、回転ユニットに固化可能なプラスチック素材を連続的に供給する変形例を示している。これらの図はすべて、水平に配置された射出ユニット5’、5”から離れるノズル2’、2”を示している。ノズル2’、2”は、チャネルブロック18内に配置されており、いくつかの部分に対応するチャネル19、20、21の配置と案内に応じて設計される。各ノズル2’、2”から、チャネル19、20がそれぞれのチャネルブロック18の中心に通じている。ここで、これら2つのチャネル19、20の接続または移行は、先行部分および後行部分3’、4’の領域内でノズル2に開口するチャネル21で行われる。
【0054】
図8に示す実施形態では、チャネル21と共にチャネル19、20の部分がT接合を形成し、そこでこの図に示す誘導弁22は、チャネル21に射出ユニット5’および射出ユニット5”からの溶融物が交互に供給されることを確実にする。それに応じて誘導弁22は、例えば、射出ユニット5’、5”の圧力差によって制御される。
図9に示される実施形態では、ピストンロッドおよびピストンに結合された誘導弁22’が提供されるので、誘導弁22’の作動が油圧または空気圧で実行され得る。あるいはまた、電気駆動により動作を提供してもよい。この実施形態では、チャネル19、20の切り替えまたは解放は、ユニット5’、5”のねじストロークを考慮に入れたコントローラを介して保証されることが好ましい。
図10に示す変形例では、チャネル21への素材の流れはニードルバルブノズル23を介して調整される。この実施形態では、チャネル21はまた、両方のチャネル19、20から素材を供給することができる。この方法は、射出ユニット5’、5”間で変化したときにこのように圧力を一定に保つことができるため、特に有利である。
図11は、機能が
図8の実施形態に対応する一実施形態を示し、ここでは、2つのノズル2’、2”が互いに直角に配置され、2つのチャネル19、20が互いにL字状に延び、チャネル21は、これらのL字部分の1つから分岐する。したがって、誘導弁22により、T接合が再び形成される。
【0055】
図8~
図11に示す変形例では、チャネルブロック18は、射出成形機のコンポーネントではなく、金型のコンポーネントであることが好ましい。しかしながら、射出成形機の固定スパニングシート上の金型の前に構築される独立したアセンブリとして誘導ユニットをチャネルブロックに提供することも可能である。これには、チャネルブロックの同じ誘導ユニットをいくつかの金型に使用できるという利点がある。
【0056】
図12は、
図1cに類似する一実施形態において、2つの異なる固化可能なプラスチック素材の成分が2成分法で製造され得る本発明の一変形例を示す。2つのノズル2が設けられており、両方とも先行部分3に配置されている。その他の点では、この実施形態は
図1cに示された実施形態に対応する。したがって、2つのノズル2により、2つの異なる構成のプラスチック素材を、ランナー10を介してキャビティ8に導入することができ、素材を同時にまたは交互に射出することが可能である。プラスチック素材が同時に射出される場合、コンポーネントは異なる材料の外側と内側の層で作成される。ここに図示されない、ノズルが互いに隣接して配置される場合、より硬い材料で作られた長手部分と、柔らかい材料で作られたそれに平行な長手部分とを有するコンポーネントを形成することができる。例えば、プラスチック素材が連続的に射出される場合、材料の異なる色または剛性を備えたコンポーネントが個々の長手部分に製造される。例えば、最初にコンポーネントの開始時に硬い成分が射出され、中央部分に柔らかい弾力性のある成分が射出され、次に再び硬くて堅い成分が射出される。その結果、中間領域に高い柔軟性を備えたコンポーネントとなる。単に
図12に示されているニードルバルブノズル23’を使用することで、それぞれの場合に素材の流れの的を絞った中断を行うことができる。
【0057】
図12に示す実施形態の変形例では、2つのノズルは、射出成形機に属する別個のユニットに収容されており、金型には、2つの異なるプラスチック素材が交互に供給されるノズルが1つしかない。
【0058】
図13は、
図13a~
図13cと共に、流動ブレーキとして作用するスライダ27を備えた装置26を示している。装置26は、作動または制御カム26bを備えた固定作動ストリップ26aを有し、制御カム26bは、ノズル孔2aの横方向に隣接する斜面26cを有し、後行ゾーンの方向にわずかにオフセットしている。ノズル孔の位置は、
図13aに破線で示されている。キャリッジ6は、ランナー10の領域内にスライダ27を備えている。制御装置により、これらのスライダ27は、ランナー10の関連部分がノズル2aを後行ゾーンの方向に通過するとすぐに作動する。結果として、ランナー10内の流動断面は、後行ゾーンで増加し、既にプラスチック素材で満たされているキャビティ8の部分へのより良好な圧力伝達を可能にする。したがって、スライダ27は、ランナー10内で流動ブレーキとして機能する。
図13aでは、コンポーネント24aおよびランナーマスストランド25aは、非常に概略的に示されている。
図13bは、作動位置にあるスライダ27を示し、
図13cは、非作動位置にあるスライダ27を示している。
【0059】
すべての変形例では、固化プロセスが進行してこれらの部品が寸法的に安定すると、接続マスストランドと共にランナーマスストランドの分離、およびそれぞれのコンポーネントの排出が既に行われ得る。
【0060】
本発明に係る方法の文脈における適切な固化可能なプラスチック素材は、すべて可塑的に加工可能な材料、すなわち、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、およびエラストマーである。プラスチック素材の種類に応じて、ノズルはホットランナーまたはコールドランナーノズルとなる。
【0061】
原則として、そのような方法で本方法を実行し、金型キャビティが固定金型コンポーネントに設けられ、可動金型コンポーネントを介して少なくとも1つの可動射出ユニットによって射出されるように装置を設計することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 金型インサート
2,2’,2’’ ノズル
2a ノズル孔
3,3’ 先行部分
4,4’ 後行部分
3a,4a,3’a,4’a 縁部
3b,4b,3’b,4’b 縁部表面
5,5’,5’’ 射出ユニット
6 キャリッジ
7 金型インサート
7a 顎部
8,8’’ 金型キャビティ
9,9’ 接続部
10,10’ ランナー
10a,10b セクション
12 エジェクタ
13 加熱要素
14,14’ エンボス加工装置
14a エンボスストリップ
15,15’ エンボススタンプ
16 支持体
17 金型インサート
17a 顎部
18 チャネルブロック
19,20,21 チャネル
22,22’ 誘導弁
23,23’ ニードルバルブノズル
24,24’,24’’ コンポーネント
24’a ブロック状要素
24’’ コンポーネント
25a ランナーマスストランド
25b 接続マスストランド
26 流動ブレーキ装置
26a 作動ストリップ
26b 制御カム
26c 斜面
27 スライダ