(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】建物の断熱構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20220331BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E04B1/76 400J
E04B1/72
(21)【出願番号】P 2016058737
(22)【出願日】2016-03-23
【審査請求日】2019-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 博之
【合議体】
【審判長】森次 顕
【審判官】住田 秀弘
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-95956(JP,A)
【文献】特開2003-301535(JP,A)
【文献】特開2008-308834(JP,A)
【文献】特開2008-150790(JP,A)
【文献】特開2002-276042(JP,A)
【文献】特開2015-196955(JP,A)
【文献】特開2009-264054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76- 1/80
E04B 1/72
E04B 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、
前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、
前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、
前記土台の側面に取付けられ、前記パッキン断熱材を上方から押圧する押圧部材と、
前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆い、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、
前記パッキン断熱材は、前記押圧部材に押圧されることによって前記外周基礎上及び前記基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されており、
前記押圧部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧していることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項2】
前記蟻返し部材は、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着されており、
前記パッキン断熱材は、前記押圧部材に押圧されることによって前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の断熱構造。
【請求項3】
建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、
前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、
前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材とを有し、
前記パッキン断熱材は、
前記基礎パッキンの前記側面に押圧されて、前記基礎パッキンの前記側面、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面に押圧変形された状態で設置されていることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項4】
建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、
前記外周基礎の屋外側の側面を覆う基礎断熱材と、
前記基礎パッキンの屋外側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、
前記土台の屋外側の側面に取付けられ、水切り材を取り付けるための取付部材と、
前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆い、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、
前記パッキン断熱材は、前記取付部材の下面に押圧されることによって前記基礎パッキンの前記側面、前記外周基礎上及び前記基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されており、
前記取付部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧していることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項5】
建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、
前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、
前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、
前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着され、先端が前記基礎断熱
材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、
前記パッキン断熱材は、
前記基礎パッキンの前記側面に押圧されて、前記基礎パッキンの前記側面及び前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されていることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項6】
建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、
前記外周基礎の屋外側の側面を覆う基礎断熱材と、
前記基礎パッキンの屋外側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、
前記土台の屋外側の側面に取付けられ、水切り材を取り付けるための取付部材と、
前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着され、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、
前記パッキン断熱材は、前記取付部材の下面に押圧されることによって前記基礎パッキンの前記側面及び前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されており、
前記取付部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧していることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項7】
前記パッキン断熱材は、袋状部材と、前記袋状部材に収容されたグラスウールとで構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の建物の断熱構造。
【請求項8】
前記パッキン断熱材は、発泡樹脂フォームで構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の建物の断熱構造。
【請求項9】
前記基礎パッキンは、前記パッキン断熱材側の側面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の建物の断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周基礎及び外周基礎上に設置された基礎パッキン付近の建物の断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
床断熱に替わる断熱技術として基礎断熱工法がある。基礎断熱工法は、床下に断熱材を施工せず、建物の外周に面した基礎の立ち上がりに板状の断熱材を施工する断熱工法であり、床下換気を行わないために基礎上、土台下には気密性タイプの基礎パッキンが敷き詰められる。
【0003】
近年、上記の基礎断熱工法においては、基礎上に敷き詰められた基礎パッキンの側面に断熱材を取り付けることで、断熱性を向上させることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術においては、基礎パッキンの側面に断熱材を取付けているだけであるため、基礎の上面に不陸があると、基礎パッキンの下面側に隙間が生じ、十分な断熱効果が得られない虞がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、外周基礎から基礎パッキンまでを隙間なく断熱することが可能な建物の断熱構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建物の断熱構造は、第1の観点では、建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、前記土台の側面に取付けられ、前記パッキン断熱材を上方から押圧する押圧部材と、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆い、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、前記パッキン断熱材は、前記押圧部材に押圧されることによって前記外周基礎上及び前記基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されており、前記押圧部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧している。
【0008】
本発明において、前記蟻返し部材は、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着されており、前記パッキン断熱材は、前記押圧部材に押圧されることによって前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されていてもよい。
【0009】
これによると、パッキン断熱材が柔軟性を有し、基礎パッキンの側面、外周基礎上及び基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されるため、外周基礎から土台までの間を外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に断熱することが可能となる。仮に、基礎断熱材が外周基礎の上面よりも上方に突出して設けられていたとしても、外周基礎と土台との間の隙間を効果的に覆うことができ、外周基礎から土台までの間を外周基礎の全周にわたって連続的に断熱することが可能となる。
【0010】
本発明の建物の断熱構造は、第2の観点では、建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材とを有し、前記パッキン断熱材は、前記基礎パッキンの前記側面に押圧されて、前記基礎パッキンの前記側面、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面に押圧変形された状態で設置されている。
【0011】
また、本発明の建物の断熱構造は、第3の観点では、建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、前記外周基礎の屋外側の側面を覆う基礎断熱材と、前記基礎パッキンの屋外側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、前記土台の屋外側の側面に取付けられ、水切り材を取り付けるための取付部材と、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆い、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、前記パッキン断熱材は、前記取付部材の下面に押圧されることによって前記基礎パッキンの前記側面、前記外周基礎上及び前記基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されており、前記取付部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧している。
【0012】
これらによると、パッキン断熱材が柔軟性を有し、基礎パッキンの側面、外周基礎上及び基礎断熱材上に押圧された状態で設置されるため、外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキンの側面を覆うことができるとともに、外周基礎から基礎パッキンまでを実質的に隙間なく連続的に断熱することが可能となる。
【0013】
また、本発明の建物の断熱構造は、第4の観点では、建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、前記外周基礎の屋外側又は屋内側の側面を覆う基礎断熱材と、前記基礎パッキンの屋外側又は屋内側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着され、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、前記パッキン断熱材は、前記基礎パッキンの前記側面に押圧されて、前記基礎パッキンの前記側面及び前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されている。
【0014】
また、本発明の建物の断熱構造は、第5の観点では、建築物を支持する外周基礎と、前記外周基礎上に設置された基礎パッキンと、前記基礎パッキン上に設置された土台とを備えた建物の断熱構造であって、前記外周基礎の屋外側の側面を覆う基礎断熱材と、前記基礎パッキンの屋外側の側面を覆いつつ前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘って配置された柔軟性を有するパッキン断熱材と、前記土台の屋外側の側面に取付けられ、水切り材を取り付けるための取付部材と、前記外周基礎の上面及び前記基礎断熱材の上面を覆って接着され、先端が前記基礎断熱材の上面端部から突出する蟻返し部材とを有し、前記パッキン断熱材は、前記取付部材の下面に押圧されることによって前記基礎パッキンの前記側面及び前記蟻返し部材の上面に押圧変形された状態で設置されており、前記取付部材は、前記外周基礎上から前記基礎断熱材上に亘る上方から、前記パッキン断熱材及び前記蟻返し部材を押圧している。
【0015】
これらによると、パッキン断熱材が基礎パッキンの側面及び蟻返し部材の上面に押圧された状態で設置されるため、外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキンの屋外側の側面を覆うことができるとともに、外周基礎から基礎パッキンまでを実質的に隙間なく断熱することが可能となる。さらに、外周基礎と基礎断熱材との間から土台へシロアリが這い上がってくるのを阻止することが可能となる。
【0016】
また、本発明において、前記パッキン断熱材は、袋状部材と、前記袋状部材に収容されたグラスウールとで構成されていることが好ましい。これにより、パッキン断熱材が押圧されることで変形し易くなり、取り扱いやすい。
また、本発明において、前記パッキン断熱材は、発泡樹脂フォームで構成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明において、前記基礎パッキンは、前記パッキン断熱材側の側面に凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、パッキン断熱材が基礎パッキンに対してずれにくくなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の建物の断熱構造の第1の観点によると、パッキン断熱材が柔軟性を有し、基礎パッキンの側面を覆いつつ、外周基礎上及び基礎断熱材上に押圧変形された状態で設置されるため、外周基礎から土台までの間を外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に断熱することが可能となる。仮に、基礎断熱材が外周基礎の上面よりも上方に突出して設けられていたとしても、外周基礎と土台との間の隙間を効果的に覆うことができ、外周基礎から土台までの間を外周基礎の全周にわたって連続的に断熱することが可能となる。
また、本発明の建物の断熱構造の第2及び第3の観点によると、パッキン断熱材が柔軟性を有し、基礎パッキンの側面、外周基礎上及び基礎断熱材上に押圧された状態で設置されるため、外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキンの側面を覆うことができるとともに、外周基礎から基礎パッキンまでを実質的に隙間なく連続的に断熱することが可能となる。
また、本発明の建物の断熱構造の第4及び第5の観点によると、パッキン断熱材が基礎パッキンの側面及び蟻返し部材の上面に押圧された状態で設置されるため、外周基礎の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキンの屋外側の側面を覆うことができるとともに、外周基礎から基礎パッキンまでを実質的に隙間なく断熱することが可能となる。さらに、外周基礎と基礎断熱材との間から土台へシロアリが這い上がってくるのを阻止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る留め付け具が採用された建物の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示すII-II線に沿った部分断面図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図2に示す蟻返し部材を示しており、(a)は平面図であり、(b)は
図4(a)に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図2に示す留め付け具を示しており、(a)は平面図であり、(b)は
図5(a)に示すV-V線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る建物の断熱構造の第1変形例を示す要部断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る建物の断熱構造の第2変形例を示す要部断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る建物の断熱構造の第3変形例を示す要部断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る建物の断熱構造の第4変形例を示しており、(a)は要部平面図であり、(b)は
図9(a)に示すIX-IX線に沿った断面図である。
【
図10】(a)は
図9に示す留め付け具本体の斜視図であり、(b)は
図9に示す留め付け具の側面図である。
【
図11】
図9に示すカバー部材を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る留め付け具1を基礎外張断熱構造に採用したときの建物101の断熱構造100の一例について、
図1~
図5を参照しつつ以下に説明する。
【0028】
本実施形態における建物101は、
図1に示すように、図中二点鎖線で示す建築物102、建築物102を支持する基礎103、複数の基礎パッキン110及び複数の土台120などを有する。基礎103は、地面から上方に立ち上がって形成された、外周基礎104と、内側基礎105とを有する。外周基礎104は、基礎103の外周に形成された環状の基礎である。内側基礎105は、外周基礎104の内側に形成された基礎である。
【0029】
本実施形態における建物101の断熱構造100は、
図1及び
図2に示すように、外周基礎104近傍における断熱構造であり、外周基礎104と、外周基礎104上に設置された基礎パッキン110と、基礎パッキン110上に設置された木製の土台120と、基礎断熱材106と、留め付け具1と、蟻返し部材10とで構成されている。基礎パッキン110は、
図1に示すように、外周基礎104のみならず、内側基礎105にも設置されている。つまり、基礎パッキン110は、基礎103上全体に設置されるものである。また、基礎パッキン110は、基礎103の延在方向に沿って複数並べて配置されている。なお、外周基礎104上に配置された複数の基礎パッキン110は、互いに密着して配置されている。土台120も、基礎パッキン110を介して基礎103上全体に設置されている。
【0030】
基礎パッキン110は、
図2及び
図3に示すように、合成樹脂から構成された板状部材であり、
図2中紙面垂直方向(
図3(a)中左右方向)に長尺に延在している。つまり、基礎パッキン110は、基礎103の延在方向に沿って長尺に延在している。
【0031】
基礎パッキン110は、
図3に示すように、屋外側の側面110a及び屋内側の側面110bに複数の凹部111がその延在方向に沿って並んで形成されている。つまり、基礎パッキン110の両側面110a,110bに凹凸が形成されている。また、基礎パッキン110には、基礎103に形成されたアンカーボルト(不図示)を挿通するためのアンカーボルト挿通孔112が複数形成されている。
【0032】
基礎断熱材106は、
図2に示すように、矩形状断面を有しており、外周基礎104の屋外側の側面104aの全体を覆うように配置されている。また、基礎断熱材106は、発泡樹脂系の断熱材であり、例えば、板状のポリスチレンフォームやウレタンフォームなど公知のものを採用することができる。
【0033】
蟻返し部材10は、
図2及び
図4に示すように、合成樹脂から構成された板状部材であり、
図2中紙面垂直方向(
図4(a)中左右方向)に長尺に延在している。つまり、蟻返し部材10は、
図3に示すように、外周基礎104の延在方向(
図3中左右方向)に沿って長尺に延在している。蟻返し部材10は、
図2に示すように、基礎パッキン110の屋外側において、基礎パッキン110と並べて配置されており、外周基礎104の上面104bと基礎断熱材106の上面106b上に配置されている。
【0034】
蟻返し部材10の下面10aには、
図4(b)に示すように、接着層11が設けられている。蟻返し部材10は、接着層11によって外周基礎104の上面104bと基礎断熱材106の上面106bを覆って接着されている。また、蟻返し部材10は、
図2に示すように、先端(左端)が基礎断熱材106の上面106bの外側端部(左側端部)よりも外側(外周基礎104から離れる方向の外側)に突出して配置されている。このような蟻返し部材10により、外周基礎104と基礎断熱材106との間から土台120へシロアリが這い上がっていくのを阻止することが可能となる。
【0035】
留め付け具1は、
図2及び
図5に示すように、留め付け具本体2と、パッキン断熱材3とを有する、断熱材付き留め付け具である。留め付け具本体2は、合成樹脂の薄板から構成されており、
図2中紙面垂直方向(
図5(a)中左右方向)に、例えば1380mmの長尺に延在している。つまり、外周基礎104の延在方向に沿って延在している。留め付け具本体2は、
図2及び
図5(b)に示すように、土台120の屋外側の側面120aに取り付けられる取付片4と、取付片4の下端から水平方向であって土台120から離れる方向(屋外側に向かう方向又は
図5(b)中左方)に延出する押圧片5と、押圧片5の先端(図中左端)から下方に延出するカバー片6とを有する。なお、押圧片5は、取付片4に対して交差する方向であれば、水平方向から若干傾いた方向に延出していてもよい。また、本実施形態における取付片4及びカバー片6は、垂直に延在しているが、これらも垂直方向に対して多少傾いていてもよい。さらに、取付片4の中途位置には、留め付け具1を土台120にネジ又は釘で取り付けるときの作業を容易とするために、長さ方向(
図5(b)中紙面垂直方向)に沿う凹部(細溝)4aが設けられている。
【0036】
図5(b)に示すように、押圧片5の下面5aには、2つの粘着層7が形成されている。粘着層7は、
図5(a)に示すように、左右方向(留め付け具本体2の長手方向)において、押圧片5の全長に亘って延在している。また、粘着層7は、互いに離隔して配置されている。これら粘着層7によって、押圧片5の下面5aにパッキン断熱材3が取り付けられている。これにより、押圧片5の下面5aにパッキン断熱材3を簡単に取り付けることが可能となる。なお、粘着層7は、押圧片5の下面5a全体に形成されていてもよいし、左右方向に断続的に形成されていてもよい。
【0037】
パッキン断熱材(補助断熱材)3は、
図5(b)に示すように、比較的薄い合成樹脂フィルムから構成された袋状部材3aと、繊維系の断熱材であるグラスウール3bとを有している。袋状部材3aは、
図5(a)に示すように、左右方向に長尺に延在している。グラスウール3bは、袋状部材3a内に収容されており、パッキン断熱材3は、柔軟性を有している。この構成により、パッキン断熱材3は押圧されることで変形し易くなり、取り扱い易くなる。なお、本実施形態においては、グラスウール3bを採用したが、パッキン断熱材3が柔軟性を有しておれば、例えば、発泡系の断熱材である発泡ウレタンフォームなどの発泡樹脂フォームを採用してもよい。
【0038】
パッキン断熱材3は、
図5(b)に示すように、右側端部(屋内側端部)が取付片4よりも水平方向であって図中右方(
図2中においては、土台120に近づく方向)に突出している。また、パッキン断熱材3は、その下端がカバー片6の下端よりも下方に配置されている。また、パッキン断熱材3は、留め付け具1が土台120の側面120aに取り付けられたときに、蟻返し部材10と押圧片5とによって上下方向に圧縮される程度の厚みを有している。このように、パッキン断熱材3が構成されていることにより、
図2に示すように、留め付け具1が土台120の側面120aに取り付けられた状態では、パッキン断熱材3が効果的に押圧変形した状態で設置される。より詳細には、パッキン断熱材3が、押圧片5によって上方への移動が規制されることで、蟻返し部材10の上面10bに押圧されることとなる。換言すると、パッキン断熱材3は、押圧部材としての押圧片5によって蟻返し部材10の上面10bに押圧され、押圧変形した状態で設置される。さらに、パッキン断熱材3は、
図3に示すように、カバー片6によってその屋外側への移動が規制されることで、基礎パッキン110の側面110aに押圧されることとなる。換言すると、パッキン断熱材3は、カバー片6によって、基礎パッキン110の側面110aに押圧され、押圧変形した状態で設置される。
【0039】
また、このとき、基礎パッキン110の側面110aが凹凸形状を有している。このため、パッキン断熱材3の一部が凹部111内に侵入し、パッキン断熱材3が基礎パッキン110に対して基礎103の延在方向(
図3中左右方向)に横ずれしにくくなる。なお、留め付け具1には、
図2に示すように、雨水などの浸入を防ぐための、公知の水切り材20が取り付けられている。本実施形態における水切り材20は、留め付け具本体2のように屈曲断面形状を有しており、外周基礎104の延在方向に沿って長尺に延在している。留め付け具1と水切り材20、留め付け具1と土台120は、釘、ネジ、接着剤などで互いに固定されておればよい。
【0040】
また、パッキン断熱材3は、
図5に示すように、左右方向において、その両端が押圧片5よりも外側に突出して形成されている。このため、留め付け具1が左右方向(すなわち、外周基礎104の延在方向)に沿って並べて配置されたときに(すなわち、隣接する留め付け具1の取付片4同士を近接させて留め付け具1を並べたときに)、隣接する留め付け具1のパッキン断熱材3間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0041】
以上に述べたように、本実施形態の建物101の断熱構造100によると、パッキン断熱材3が基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧された状態で設置されるため、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110aを覆うことができるとともに、外周基礎104の上面に不陸があっても、外周基礎104から基礎パッキン110までを実質的に隙間なく断熱することが可能となる。
【0042】
留め付け具1は、基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10を介して基礎断熱材106の上面106bと対向する位置に配置されたパッキン断熱材3を、留め付け具本体2で基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧変形させた状態で設置することが可能となる。このため、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110aをパッキン断熱材3で覆うことができ、基礎の外張断熱構造に好適に使用することができるとともに、外周基礎104から基礎パッキン110までを隙間なく断熱することが可能となる。
【0043】
また、留め付け具1が押圧片5に加えてカバー片6を有していることで、上述したようにパッキン断熱材3を、基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに、より効果的に押圧変形させた状態で設置することが可能となる。
【0044】
上述の実施形態における留め付け具1の留め付け具本体2は、カバー片6を有していたが、特にカバー片6がなくてもよい。この場合においても、パッキン断熱材3を基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧することが可能となる。
【0045】
また、上述の実施形態においては、蟻返し部材10が設けられていたが、蟻返し部材10が設けられていなくてもよい。この場合、パッキン断熱材3が留め付け具1によって、蟻返し部材10の上面10bに代えて基礎断熱材106の上面106bに押圧される。このため、上述と同様に、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110aを覆うことができるとともに、外周基礎104から基礎パッキン110までを実質的に隙間なく連続的に断熱することが可能となる。
【0046】
また、留め付け具1に粘着層7が設けられていなくてもよい。この場合、留め付け具1とパッキン断熱材3とが分離されたものとなり、留め付け具1が実質的に留め付け具本体2となり、基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10b又は基礎断熱材106の上面106b上にパッキン断熱材3を押圧変形させて設置することができる。
【0047】
また、パッキン断熱材3は、その一部が取付片4よりも水平方向であって
図5(b)中右方に突出していなくてもよい。この場合、パッキン断熱材3と基礎パッキン110の側面110aとの間に隙間が生じることがあるが、パッキン断熱材3と蟻返し部材10又は基礎断熱材106との間には隙間がなくなるので、断熱を維持することができる。
【0048】
続いて、建物の断熱構造の第1~第4変形例について、
図6~
図11を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態と同様なものに関しては同符号で示し、説明を省略する。
【0049】
第1変形例における建物の断熱構造200は、上述の留め付け具1に代えて設けられた取付部材201と、上述の外周基礎104、基礎パッキン110、土台120、基礎断熱材106、パッキン断熱材3、及び、蟻返し部材10で構成されている。なお、パッキン断熱材3は、上述の留め付け具1から分離されたものである。
【0050】
取付部材201は、
図6に示すように、雨水などの浸入を防ぐための、公知の水切り材202を取り付けるためのものである。なお、本実施形態における水切り材202も、上述の水切り材20のように屈曲断面形状を有しており、外周基礎104の延在方向に沿って長尺に延在している。
【0051】
取付部材201は、正方形断面形状を有し、
図6中紙面垂直方向に長尺に延在する角柱部材である。取付部材201は、外周基礎104の延在方向に沿って延在している。取付部材201は、土台120の側面120aに取り付けられている。また、取付部材201は、下面201aでパッキン断熱材3を蟻返し部材10の上面10bに押圧することが可能なように、側面120aに取り付けられている。つまり、取付部材201は押圧部材であり、パッキン断熱材3は、取付部材201の下面201aに押圧されることによって基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧変形された状態で設置される。なお、取付部材201と水切り材202、取付部材201と土台120は、釘、ネジ、接着剤などで互いに固定されておればよい。
【0052】
以上に述べたように、第1変形例の建物の断熱構造200によると、パッキン断熱材3が基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧された状態で設置されるため、上述の実施形態と同様に、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110aを覆うことができるとともに、外周基礎104から基礎パッキン110までを隙間なく断熱することが可能となる。
【0053】
第2変形例における建物の断熱構造300は、
図7に示すように、第1変形例の断熱構造200から取付部材201と水切り材202とを取り外したものとほぼ同様の構成を有する。この断熱構造300においては、パッキン断熱材3を押圧しつつ接着する接着テープなどから構成された押圧部材301を有している。これにより、パッキン断熱材3は、押圧部材301で押圧されることによって基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧変形された状態で設置される。
【0054】
以上に述べたように、第2変形例の建物の断熱構造300においても、パッキン断熱材3が基礎パッキン110の側面110a及び蟻返し部材10の上面10bに押圧された状態で設置されるため、上述の実施形態と同様に、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110aを覆うことができるとともに、外周基礎104から基礎パッキン110までを隙間なく断熱することが可能となる。
【0055】
第3変形例における建物の断熱構造400は、本発明の留め付け具1を基礎内張断熱構造に適用したときの一例で、
図8に示すように、外周基礎104と、外周基礎104上に設置された基礎パッキン110と、基礎パッキン110上に設置された土台120とを備え、外周基礎104の屋内側の側面104cを覆う基礎断熱材106と、外周基礎104の上面104b及び基礎断熱材106の上面106bを覆って接着され、先端が基礎断熱材106の上面106bの内側端部から内側に突出する蟻返し部材10と、基礎パッキン110の屋内側の側面110bと蟻返し部材10の上面10bを覆うように取り付けられた留め付け具1とを有する。また、土台120の屋外側側面120aには、水切り材202が取り付けられている。
【0056】
留め付け具1は、留め付け具本体2の取付片4を、土台120の屋内側側面120bの下部に取り付けることによって、パッキン断熱材3を基礎パッキン110の内側側面110b及び蟻返し部材10の上面10bに押圧変形した状態で設置されている。
【0057】
以上に述べたように、第3変形例の建物の断熱構造400においても、パッキン断熱材3が基礎パッキン110の側面110b及び基礎断熱材106の上面106bに押圧された状態で設置されるため、外周基礎104の屋内側全周にわたって外周基礎104から基礎パッキン110までを実質的に隙間なく連続的に断熱することが可能となる。
【0058】
第4変形例における建物の断熱構造500は、上述の留め付け具1に代えて設けられた留め付け具501と、上述の外周基礎104、基礎パッキン110、土台120、基礎断熱材106、及び、蟻返し部材10で構成されている。
【0059】
留め付け具501は、
図9及び
図10に示すように、留め付け具本体502と、上述のパッキン断熱材3とを有する、断熱材付き留め付け具である。留め付け具本体502は、合成樹脂の薄板から構成されており、
図9(a)中左右方向に、例えば1380mmの長尺に延在している。つまり、外周基礎104の延在方向に沿って延在している。留め付け具本体502は、
図9及び
図10に示すように、土台120の屋内側の側面120bに取り付けられる取付片504と、押圧片505と、カバー片506とを有する。
【0060】
取付片504は、
図10(b)に示すように、垂直に延在する垂直部504aと、垂直部504aの上端部から水平に延在する水平部504bとを有する。水平部504bの先端には、下方に突出する突起504cが形成されている。垂直部504aの途中部位には、留め付け具501を土台120にネジ又は釘で取り付けるときの作業を容易とするために、長さ方向(
図10(b)中紙面垂直方向)に沿う凹部(細溝)504dが設けられている。
【0061】
押圧片505は、
図9(b)に示すように、取付片504の下端から水平方向に対して若干下方に傾いた方向であって土台120から離れる方向(屋内側に向かう方向又は図中左方)に延出している。カバー片506は、押圧片505の先端(図中左端)から下方に延出している。カバー片506は、
図9(b)及び
図10(b)に示すように、下方に向かって延在しつつ湾曲する第1部分506aと、第1部分506aの下端から略水平方向であって土台120に近づく方向に延出する第2部分506bとを有している。第2部分506bには、段差506cが形成されている。
【0062】
本変形例におけるパッキン断熱材3は、
図10(b)に示すように、押圧片505とカバー片506とで挟持されることで、留め付け具本体502に保持されており、留め付け具本体502に対して着脱可能に構成されている。また、パッキン断熱材3は、留め付け具本体502に保持された状態において、
図10(b)に示すように、右側端部(屋外側端部)が取付片504よりも水平方向であって図中右方(
図9(b)中においては、土台120に近づく方向)に突出している。また、パッキン断熱材3は、その下端がカバー片506の下端よりも下方に配置されている。また、パッキン断熱材3は、留め付け具501が土台120の側面120bに取り付けられたときに、蟻返し部材10と押圧片505とによって上下方向に圧縮される程度の厚みを有している。このようにパッキン断熱材3が構成されていることにより、
図9(b)に示すように、留め付け具501が土台120の側面120bに取り付けられた状態では、上述の実施形態と同様に、パッキン断熱材3が効果的に押圧変形した状態で設置される。なお、パッキン断熱材3を両面粘着テープや粘着剤を用いて留め付け具本体502に取り付けてもよい。
【0063】
本変形例における断熱構造500においては、
図9(a)に示すように、長さ方向(左右方向)に沿って突き合わされた2つの留め付け具501を部分的に覆いつつ両留め付け具501間のつなぎ目520を覆い隠すカバー部材512を有している。カバー部材512は、合成樹脂の薄板から構成されており、
図9(a)中の左右方向の長さが留め付け具501よりも短く構成されている。
【0064】
カバー部材512は、
図9及び
図11に示すように、引っ掛け部514と、平坦部515と、湾曲部516とを有する。引っ掛け部514は、垂直且つ
図9中左右方向に延在し、取付片504の垂直部504a、水平部504b、突起504c及び押圧片505によって囲まれた空間に嵌め込むことが可能に構成されている。平坦部515は、
図9(b)及び
図11(b)に示すように、引っ掛け部514の下端から水平方向に対して若干下方に傾いて延在している。湾曲部516は、
図9(b)及び
図11(b)に示すように、平坦部515の先端(図中左端)から下方に向かって延在しつつ湾曲している。湾曲部516は、
図9(b)に示すように、その内側部分に、留め付け具501のカバー片506の第1部分506aがちょうど嵌まり、先端が段差506cに収まるように構成されている。
【0065】
カバー部材512は、留め付け具501を土台120の側面120bに取り付けた後に、
図9(a)中左右方向に突き合わされた2つの留め付け具501のつなぎ目(境界部)520を覆い隠すように、2つの留め付け具501に跨って容易に取り付けられる。より詳細には、カバー部材512の引っ掛け部514を、留め付け具501の取付片504の垂直部504a、水平部504b、突起504c及び押圧片505によって囲まれた空間に嵌め込み、湾曲部516を留め付け部501のカバー片506の第1部分506aの外側部分に嵌め込む。このとき、引っ掛け部514の上端が突起504cに引っ掛かり、カバー部材512が2つの留め付け具501に跨った状態で保持される。こうして、カバー部材512によって2つの留め付け具501のつなぎ目520が覆い隠され、つなぎ目520に僅かな隙間が生じて2つの留め付け具501が取り付けられていたとしても、複数の留め付け具501の取付状態の見た目がよくなる。さらに、2つの留め付け具501間(つなぎ目520)からパッキン断熱材3がはみ出ていても、カバー部材512によって覆い隠すことが可能となり、断熱効果を効果的に補完することができる。また、留め付け具501を土台120に取り付けた後に、カバー部材512をワンタッチで嵌め込んで取り付けることができるので、カバー部材512の取り付けの作業効率が極めて高い。
【0066】
以上に述べたように、第4変形例の建物の断熱構造500によると、パッキン断熱材3が基礎パッキン110の側面110b及び蟻返し部材10の上面10bに押圧された状態で設置されるため、上述の実施形態と同様に、外周基礎104の全周にわたって隙間なく連続的に基礎パッキン110の側面110bを覆うことができるとともに、外周基礎104から基礎パッキン110までを隙間なく断熱することが可能となる。なお、第4変形例は本発明を基礎内張り断熱構造に適用した例を示したが、留め付け具501、カバー部材512及び蟻返し部材10を基礎外張り断熱構造に適用することもできる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の留め付け具1,501の留め付け具本体2,502にはカバー片6,506を設けているが、本発明の押圧部材としての留め付け具本体2,502においては、押圧片5,505の下面にパッキン断熱材3が取り付けられていればカバー片6,506がなくてもかまわない。一方、カバー片6,506を設けることで、パッキン断熱材3を留め付け具本体2,502の押圧片5の下面に接着しておかなくてもかまわない。また、上述の留め付け具本体2,502の取付片4,504、押圧片5,505及びカバー片6,506はいずれも板状とされるが、軽量化或いはパッキン断熱材3の噛み込みによる位置安定を図るべく、適宜スリットや開口、或いは内面に凹凸や突起を形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 留め付け具
3 パッキン断熱材(補助断熱材)
3a 袋状部材
3b グラスウール
4,504 取付片
5,505 押圧片
6,506 カバー片
7 粘着層
10 蟻返し部材
10b 上面
20,202 水切り材
100,200,300,400 断熱構造
101 建物
102 建築物
104 外周基礎
104a,104c 側面
106 基礎断熱材
106b 上面
110 基礎パッキン
110a,110b 側面
120 土台
201 取付部材
201a 下面