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  • 特許-自動ドア開閉制御用センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】自動ドア開閉制御用センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20220331BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20220331BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20220331BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L31/12 E
E05F15/74
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017030699
(22)【出願日】2017-02-22
(65)【公開番号】P2018137335
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390002668
【氏名又は名称】株式会社本田電子技研
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】野崎 博樹
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/116515(WO,A1)
【文献】特開昭51-110984(JP,A)
【文献】特開2002-368265(JP,A)
【文献】特開2011-195313(JP,A)
【文献】特開2010-192347(JP,A)
【文献】特開2011-237232(JP,A)
【文献】実開平02-067386(JP,U)
【文献】特開昭62-134982(JP,A)
【文献】特開2000-114588(JP,A)
【文献】特開平09-223822(JP,A)
【文献】特開2000-150924(JP,A)
【文献】特開2009-117747(JP,A)
【文献】特表2015-505170(JP,A)
【文献】特開2002-094130(JP,A)
【文献】特開2016-029720(JP,A)
【文献】特開2010-056337(JP,A)
【文献】特開2008-294224(JP,A)
【文献】特開2015-181140(JP,A)
【文献】特開2004-363537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0132495(US,A1)
【文献】特開2015-129742(JP,A)
【文献】Mingzhu Sun et al.,"Illumination system design and implementation in zebrafish behavior observation system",The 5th Annual IEEE International Conference on Cyber Technology in Automation, Control, and Intelligent Systems,2015年06月08日,pages 1986-1991,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=7288252
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12-31/14
H01L 31/16
H01L 33/00-33/64
E05F 15/00-15/79
G01V 1/00-99/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域に向けて赤外線を照射する発光部と、上記監視領域からの反射光を受光する受光部とを含み、上記発光部にリードフレームにて支持されているLED素子を封止樹脂のレンズ体で封止してなる赤外線発光ダイオードが用いられている自動ドア開閉制御用センサにおいて、
上記レンズ体の発光面はトーリックレンズの凸曲面であり、
上記発光面の投影図形が短辺と長辺のアスペクト比が1.6~2.2の矩形であり、
上記レンズ体を構成する封止樹脂には、その樹脂量に対し体積比で2~20%の拡散剤が混合されており、
上記拡散剤として球状でかつ屈折率が1.3~1.8である無機化合物が用いられ、
上記レンズ体を構成する封止樹脂が熱硬化性樹脂からなり、上記無機化合物として金属酸化物および/または金属水酸化物が用いられ、
上記赤外線発光ダイオードの指向半値角が±50度以上であることを特徴とする自動ドア開閉制御用センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部と受光部とを含む自動ドア開閉制御用センサに関し、さらに詳しく言えば、その発光部に用いられる赤外線発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線による自動ドア開閉制御用センサは、基本的な構成として、自動ドア近傍の監視領域(床面)に向けて赤外線を照射する発光部と、監視領域からの反射光を受光する受光部とを含み、受光部の受光量の変化に基づいて自動ドアを通過する人体を検知してドアエンジンを駆動する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
発光素子には赤外線発光ダイオード(LED)が用いられるが、監視領域に複数の検出スポットを形成するため、通常、複数の赤外線発光ダイオードと分割レンズの組合せが採用される。
【0004】
引き戸式ドアの開閉方向を列として、その1列に12スポットを含ませるには、例えば3素子×4分割レンズの組合せが採用される。この検出スポット列は、通常、ドア踏み込み方向に沿って多列として配置される。例えば、その多列が6列であるとすると、発光部には3素子×6列分=18個の赤外線発光ダイオードが設けられることになる。
【0005】
ところで、自動ドア開閉制御用センサの分野において、赤外線発光ダイオードには、リードフレームにて支持されているLED素子を封止樹脂のレンズ体で封止してなり、そのレンズ体の形状が砲弾型である赤外線発光ダイオードが用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-038019号公報
【文献】特開2014-038019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
砲弾型の赤外線発光ダイオードの発光面側から見た平面視はほぼ円形であるため、砲弾型の赤外線発光ダイオードを発光部の基板上に、例えば上記のように3素子×6列分=18個並べるには、それに見合った広いスペースを必要とする。
【0008】
この種の自動ドア開閉制御用センサは、自動ドアの無目もしくは天井面に取り付けられるが、余り目立たないように小型化が要望されている。他方において、素子数を増やして検出感度を高めたいという要望もある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、自動ドア開閉制御用センサにおいて、発光部の基板上に発光素子(赤外線発光ダイオード)を実装(搭載)するにあたって、その実装スペースの省スペース化、もしくは決められた実装スペース内への素子搭載数の多数個化がはかれる赤外線発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、監視領域に向けて赤外線を照射する発光部と、上記監視領域からの反射光を受光する受光部とを含み、上記発光部にリードフレームにて支持されているLED素子を封止樹脂のレンズ体で封止してなる赤外線発光ダイオードが用いられている自動ドア開閉制御用センサにおいて、
上記レンズ体の発光面はトーリックレンズの凸曲面であり、上記発光面の投影図形が短辺と長辺のアスペクト比が1.6~2.2の矩形であり、上記レンズ体を構成する封止樹脂には、その樹脂量に対し体積比で2~20%の拡散剤が混合されており、上記拡散剤として球状でかつ屈折率が1.3~1.8である無機化合物が用いられ、上記レンズ体を構成する封止樹脂が熱硬化性樹脂からなり、上記無機化合物として金属酸化物および/または金属水酸化物が用いられ、上記赤外線発光ダイオードの指向半値角が±50度以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発光部に搭載される赤外線発光ダイオードとして、従来のように砲弾型ではなく、LED素子を封止するレンズ体の発光面が蒲鉾状の凸曲面であり、その発光面の投影図形(平面視図形)が短辺と長辺を含む矩形である赤外線発光ダイオードを用いることにより、発光部の基板上に赤外線発光ダイオードを実装(搭載)するにあたって、その実装スペースの省スペース化をはかることができる。
【0018】
また、レンズ体に拡散剤を入れて指向半値角を±50度以上とすることにより、赤外線発光ダイオードの設置スペースが狭くても動作感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る自動ドア開閉制御用センサが備える(a)発光部の構成を示す模式図、(b)受光部の構成を示す模式図および(c)上記発光部での赤外線発光ダイオードの配列の一例を示す模式図。
図2】上記発光部に適用される赤外線発光ダイオードの(a)正面図、(b)側面図および(c)平面図。
図3】(a)レンズ体に拡散剤を含ませたときの拡散半値角を示すグラフ、(b)その比較例としてレンズ体に拡散剤を含ませないときの拡散半値角を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図1ないし図3を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
本発明の実施形態に係る自動ドア開閉制御用センサは、図1(a)に示す発光部1と、図1(b)に示す受光部2とを備えている。なお、発光部1と受光部2はペアとして図示しない筐体内に組み込まれ、同じく図示しない自動ドアの無目もしくはその天井付近に設置される。
【0022】
発光部1は、基本的な構成として、発光素子としての赤外線発光ダイオード(以下、発光ダイオードと略記することがある)10と、投光レンズ15とを備えている。
【0023】
この実施形態において、発光ダイオード10として3つの発光ダイオード10a,10b,10cが用いられている。これら発光ダイオード10a,10b,10cは、発光部1内の基板13に実装(搭載)されている。なお、これら発光ダイオード10a,10b,10cは同一構成であり、特に区別する必要がない場合には、総称として発光ダイオード10という。
【0024】
また、投光レンズ15には、4分割レンズ15aが用いられている。したがって、発光ダイオード10a,10b,10cから4分割レンズ15aを通して監視領域としての図示しない自動ドア近傍の床面に向けて12スポットの赤外光が照射される。
【0025】
受光部2は、基本的な構成として、受光素子としてのフォトダイオード20と、受光レンズ25とを備えている。この実施形態によると、フォトダイオード20には3つのフォトダイオード20a,20b,20cが用いられ、これらフォトダイオード20a,20b,20cは、受光部2内の基板23に実装(搭載)されている。
【0026】
床面からの12スポットの反射光を3つのフォトダイオード20a,20b,20cで受光するため、受光レンズ25には4分割レンズ25aが用いられている。
【0027】
この実施形態では、発光部1と受光部2ともに3素子×4分割レンズとしているが、素子数とレンズの分割数は必ずしも一致させる必要はなく、12スポット光の場合について言えば、発光部1もしくは受光部2を例えば4素子×3分割レンズとしてもよい。
【0028】
本発明において重要なのは発光部1に用いられる発光ダイオード10で、受光部2のフォトダイオード20は従来より用いられているフォトダイオードであってよい。
【0029】
図2(a)~(c)を参照して、発光ダイオード10は、カソード側フレーム111とアノード側フレーム112を含むリードフレーム110と、リードフレーム110に支持されるLED素子120と、LED素子120が埋没されるようにLED素子120を封止する封止樹脂からなるレンズ体130とを備えている。LED素子120には、GaAs,GaAlAs等の化合物半導体が用いられてよい。
【0030】
本発明において、レンズ体130の発光面(頂面)131は、図2(b)の側面図に示すように、蒲鉾状の凸曲面であり、図2(c)の平面図に示すように、発光面131の投影図形(平面視図形)は短辺Sと長辺Lを含む矩形であり、従来の砲弾型とは異なる。
【0031】
このようにレンズ体130を矩形状とすることにより、図1(c)に示すように、発光ダイオード10を隙間なく密に配置することができる。これにより、基板13の限られたスペース内により多くの発光ダイオード10を搭載することができる。
【0032】
本発明において、好ましい短辺Sと長辺Lの比(アスペクト比)は1.6~2.2である。アスペクト比が1.6未満の場合には高密度実装が困難で、通常の砲弾型と効果上の差が少なく好ましくない。また、アスペクト比が2.2を超えると、製造コストが大幅に高くなるので好ましくない。
【0033】
レンズ体130を構成する封止樹脂に対して拡散剤(光拡散剤)を含有させることにより、発光ダイオード10の指向半値角を調整することができる。
【0034】
一例として、図3(a)のグラフに、封止樹脂に拡散剤を含有させて指向半値角を±55゜とした例を示す。比較例として、図3(b)に拡散剤を含有させないときの指向半値角のグラフを示す。この比較例の指向半値角は±41゜である。
【0035】
なお、指向半値角とは、発光ダイオードの中心軸(光軸)における光の強度に対し、相対的に光の強度が50%に半減する方向の内角を言う。中心軸を0゜として、例えば±55゜と表される(110゜と表される場合もある)。
【0036】
本発明において、発光ダイオード10の好ましい指向半値角は±50゜以上、より好ましくは±60゜以上である。これにより、発光ダイオード10の設置スペースが狭くても動作感度を高めることができる。
【0037】
指向半値角を±50゜以上とするにあたって、封止樹脂に対する拡散剤の好ましい含有量は体積比で1~50vol%、より好ましくは2~20vol%である。
【0038】
レンズ体130を構成する封止樹脂は熱硬化性樹脂が好ましいが、赤外線を遮蔽、遮断しない樹脂を選ぶ必要がある。密着性が高い理由から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂もしくはケイ素樹脂等が好ましく採用される。中でも、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂が好ましい。
【0039】
拡散剤には無機化合物が用いられる。使用する無機化合物には、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。安定性と価格から金属酸化物が好ましい。
【0040】
金属酸化物には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等がある。
【0041】
金属水酸化物には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等がある。
【0042】
炭酸塩には、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、極微細炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム等がある。
【0043】
硫酸塩には、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等がある。
【0044】
これ以外のその他の候補として、カルシウムカーボネート、方解石、大理石、石膏、カリオンクレー、焼成クレー、タルク、セリサイト、光学ガラス、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0045】
上記に挙げた中でも、熱硬化性樹脂との親和性が良いことから、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウムが特に好ましい。また、上記した無機化合物粒子は2種類以上が併用されてもよい。
【0046】
上記無機化合物粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、多面体状(4面体状、8面体状、12面体状、20面体状等)、立方体状、表面に凹凸もしくは凸状の突起を複数有する形状(金平糖のような形状)、板状、針状等であってよい。
【0047】
これら形状のうち、断熱性に優れる理由から、球状、多面体状、立方体状、金平糖状が好ましいが、入手しやすく、断熱性にも優れている球状が特に好ましい。
【0048】
また、拡散剤として使用する無機化合物の屈折率は、正反射率および拡散反射率がより良好となる理由から1.3~1.8が好ましい。
【0049】
このように屈折率1.3~1.8を満たす無機化合物粒子としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、大理石、石膏、カリオンクレー、タルク、セリサイト、光学ガラス、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0050】
上記したように、レンズ体130を構成する封止樹脂には熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、熱硬化性樹脂に対する拡散剤としての無機化合物粒子の含有量(配合量)は、熱硬化性樹脂全量を100として、体積比で1~50vol%、好ましくは2~20vol%であるが、無機化合物粒子の添加方法は、練り込み等であってよく特に限定されない。なお、レンズ体130の表面に無機化合物粒子を塗布する態様も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 発光部
10(10a~10c) 赤外線発光ダイオード
13 基板
15 投光レンズ
15a 分割レンズ
2 受光部
20(20a~20c) フォトダイオード
23 基板
25 受光レンズ
25a 分割レンズ
110 リードフレーム
120 LED素子
130 レンズ体
131 発光面
図1
図2
図3