(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】布帛、衣料製品、及び布帛の製造方法
(51)【国際特許分類】
D06Q 1/02 20060101AFI20220331BHJP
D06B 11/00 20060101ALI20220331BHJP
D06M 23/16 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
D06Q1/02
D06B11/00 A
D06M23/16
(21)【出願番号】P 2017049666
(22)【出願日】2017-03-15
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】柳 克彦
(72)【発明者】
【氏名】齋木 博之
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/074833(WO,A1)
【文献】特開2003-336146(JP,A)
【文献】特開2002-061070(JP,A)
【文献】特開2016-160341(JP,A)
【文献】特開2008-248437(JP,A)
【文献】特開2013-133572(JP,A)
【文献】国際公開第2006/121010(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/086593(WO,A1)
【文献】特開2008-121157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04D 1/00 - 11/00
D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
D06M 10/00 - 16/00
D06M 19/00 - 23/18
D06P 1/00 - 7/00
D06Q 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄を有する生地に、前記柄の少なくとも一部に重ね合わせるように、前記柄の周囲に隣接するように、又は前記柄から一定の間隔を空けて、物性を変化させた機能部を設けてなり、
前記機能部は、JIS L-1096のストリップ法に準拠して引張試験により測定されることができるように構成され、
前記引張試験により測定される前記生地の引張応力をaとし、前記機能部の引張応力をbとしたとき、
a/b ≦ 0.7 又は 2.0 ≦a/b
を満たすように構成されている布帛。
【請求項2】
前記生地が織物又は編物であり、前記柄が織組織又は編組織により構成されている請求項1に記載の布帛。
【請求項3】
前記生地が織物又は編物であり、前記柄がプリントにより構成されている請求項1に記載の布帛。
【請求項4】
前記機能部は、前記織物又は前記編物を構成する繊維の一部を除去してなる抜蝕部及び/又は前記織物又は前記編物を構成する繊維に樹脂を付与してなる樹脂形成部である請求項2又は3に記載の布帛。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の布帛を構成材料とする衣料製品。
【請求項6】
首、腕、又は胴体が挿通される環状部において、その周方向と交差する縫い目が存在しないように縫製された請求項5に記載の衣料製品。
【請求項7】
柄を有する生地に、前記柄の少なくとも一部に重ね合わせるように、前記柄の周囲に隣接するように、又は前記柄から一定の間隔を空けて、物性を変化させた機能部を設けてなる布帛の製造方法であって、
前記生地における
前記柄の形状及び位置に関する生地データ、並びに
前記生地に設ける
前記機能部に関する機能部データをインクジェット装置に入力する入力工程と、
前記生地をステージに配置する配置工程と、
前記ステージ上での
前記生地における実際の柄の形状及び位置を検出する検出工程と、
検出した実際の柄の形状及び位置と、前記生地データとを比較する比較工程と、
比較結果に応じて、
前記機能部データに基づき、前記生地に
前記機能部をインクジェット方式で設ける設置工程と、
を包含し、
前記設置工程において、JIS L-1096のストリップ法に準拠して引張試験により測定されることができるように、かつ前記引張試験により測定される前記生地の引張応力をaとし、前記機能部の引張応力をbとしたとき、
a/b ≦ 0.7 又は 2.0 ≦a/b
を満たすように前記機能部を設定する布帛の製造方法。
【請求項8】
前記比較工程において、検出した実際の柄の形状及び位置と、前記生地データとの間で一定以上の差異が生じた場合、前記設置工程を実施する前に、前記機能部データを補正する補正工程をさらに包含する請求項7に記載の布帛の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柄を有する生地を用いた布帛、当該布帛を構成材料とする衣料製品、及び布帛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体形補正下着やスポーツウェアなどの衣料製品において、伸縮性、通気性、吸水性などの機能性を高めた商品の需要が高まっている。このような機能性衣料製品は、構成材料である布地(布帛)に機能性を付与したものである。また、最近の消費傾向によれば、下着やスポーツウェアにおいても個性やデザイン性が重視され、機能性だけでなく意匠性を備えた衣料製品が好まれる傾向がある。例えば、布帛に機能性を設ける場合、捺染技術や抜蝕技術などが用いられるが、布帛のどの部位に対してどのような機能を設けるかは、衣料製品の使用目的や用途に応じて異なる。また、衣料製品の特定の位置に局所的に意匠性及び/又は機能性を設ける場合、意匠性及び/又は機能性を設ける部位の位置合わせに高い精度が要求される。
【0003】
従来、織物表面の一部に形成した柄に対して捺染する技術があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1においては、まず、カラミ織物表面に形成したジャガード織りの織組織による柄と同形の図面情報をインクジェット染色機のコンピューターに登録する。次いで、インクジェット染色機に固定した紙に前記図面情報に基づき、インク滴を噴射して元図を作成する。そして、この元図上にカラミ織物を載置し、柄の位置を合わせて固定する。最後に、登録された元図情報に基づき、コンピューター制御によってインクジェット染色機を駆動してカラミ織物にインク滴を噴射し、立体感のあるカラミ織物の柄に適合したプリント模様を形成している。
【0004】
また、従来、布帛に抜蝕加工を施すことにより、布帛にすかし模様を形成しながらストレッチ性を付与する技術があった(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2においては、伸縮伸長率が20%以上、及び伸縮弾性率が70%以上のポリエステル系弾性糸と、非弾性糸とから構成される伸縮性布帛について、非弾性糸を除去する抜蝕加工を施すことにより、すかし模様が形成された伸縮性布帛を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-336146号公報
【文献】特開2007-39854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される立体感のある柄模様を有するカラミ織物は、捺染技術を用いて色彩による立体感を表出させたものであるため、元図情報に対して色彩を適合させることは可能である。ところが、特許文献1では、カラミ織物の柄模様に対して直接プリント模様を合わせることはしておらず、柄模様に応じて、伸縮性、通気性、吸水性などの機能性を付与することは想定されていないと考えられる。また、元図情報を基準としてプリント模様を形成する特許文献1の手法では、カラミ織物が少しでも動くと寸法変化に追従することができず、狙った位置に正確にプリント模様を印刷することは困難である。
【0007】
特許文献2に記載される伸縮性布帛は、抜蝕加工を施した結果として、布帛にすかし模様が形成されるものであるが、布帛自体に柄模様が存在することが想定されていないため、すかし模様を形成する位置やすかし模様の形状について特に考慮されたものではない。このため、布帛に柄模様が存在していたとしても、伸縮性、通気性、吸水性などの機能性を高度にコントロールしながら付与することは困難であると考えられる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、生地としての意匠性及び/又は機能性が高められ且つ制御された布帛、当該布帛を構成材料とする衣料製品、及び布帛の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る布帛の特徴構成は、
柄を有する生地に、当該柄に応じて、意匠を変化させた意匠部及び/又は物性を変化させた機能部を設けたことにある。
【0010】
本構成の布帛によれば、柄を有する生地に、当該柄に応じて、意匠を変化させた意匠部及び/又は物性を変化させた機能部を設けたことで、生地の柄と生地に設けられる意匠部及び/又は機能部とが対応したものとなり、その結果、生地としての意匠性及び/又は機能性が高められ且つ制御された布帛を得ることができる。
【0011】
本発明に係る布帛において、
前記生地が織物又は編物であり、前記柄が織組織又は編組織により構成されていることが好ましい。
【0012】
本構成の布帛によれば、生地が織物で柄が織組織で構成されている布帛においては、柄に応じて布帛の意匠及び/又は物性を変化させることで、織組織が予め備えている意匠及び/又は物性と併せて、特定の位置に意匠性及び/又は機能性を付与することができる。また、生地が編物で柄が編組織で構成されている布帛においては、柄に応じて意匠及び/又は物性を変化させることで、編組織が予め備えている意匠及び/又は物性と併せて、柄部分を含めた生地全体に意匠性及び/又は機能性を付与することができる。
【0013】
本発明に係る布帛において、
前記生地が織物又は編物であり、前記柄がプリントにより構成されていることが好ましい。
【0014】
本構成の布帛によれば、柄がプリントにより構成されていることで、高い意匠性及び/又は機能性を布帛に容易に付与することができる。また、プリントによる柄の形成は、製造工程における工数削減、及びコストの低減にも繋がる。
【0015】
本発明に係る布帛において、
前記機能部は、前記織物又は前記編物を構成する繊維の一部を除去してなる抜蝕部及び/又は前記織物又は前記編物を構成する繊維に樹脂を付与してなる樹脂形成部であることが好ましい。
【0016】
本構成の布帛によれば、機能部が抜蝕部である場合は、機能部以外の部位と比較して伸縮性、通気性、透過性等の物性を変化させることができる。機能部が樹脂形成部である場合は、機能部以外の部位と比較して耐久性、撥水性、吸水性等の物性を変化させることができる。また、抜蝕部や樹脂形成部により柄の立体的形状がコントロールされた機能性布帛は、その機能性だけでなく、高級感や立体的意匠感が富んだものとなり、意匠性にも優れた布帛として付加価値が高いものとなる。
【0017】
本発明に係る布帛において、
前記生地の伸縮力をaとし、前記機能部の伸縮力をbとしたとき、
a/b ≦ 0.7 又は 2.0 ≦a/b
を満たすように構成されていることが好ましい。
【0018】
本構成の布帛によれば、生地の伸縮力aと機能部の伸縮力bとが、上記の関係を満たすように構成されているため、伸縮性に富んだ布帛を実現することができる。例えば、体の各部位の形状、大きさ、動きに合わせて、布帛を適度に伸縮させて追随させることができるため、布帛の体への密着効果を高めることができる。
【0019】
上記課題を解決するための本発明に係る衣料製品の特徴構成は、
本発明に係る布帛を構成材料としたことにある。
【0020】
本構成の衣料製品によれば、柄を有する生地に、当該柄に応じて、意匠を変化させた意匠部及び/又は物性を変化させた機能部を設けた布帛を構成材料としているため、生地の柄と生地に設けられる意匠部及び/又は機能部とが対応したものとなり、その結果、生地としての意匠性及び/又は機能性が高められ且つ制御された衣料製品を得ることができる。
【0021】
本発明に係る衣料製品において、
首、腕、又は胴体が挿通される環状部において、その周方向と交差する縫い目が存在しないように縫製することが好ましい。
【0022】
本構成の衣料製品によれば、首、腕、又は胴体が挿通される環状部において、その周方向と交差する縫い目が存在しないように縫製されるため、複数の布帛を縫い合わせる必要性がなく、その結果、耐久性の低下に伴う布帛の分離を防止することができる。また、製造工程における工数削減、及びコストの低減にも繋がるとともに、縫い目が無いことで肌へのストレスが解消され、着用感に優れた衣料製品とすることができる。
【0023】
上記課題を解決するための本発明に係る布帛の製造方法の特徴構成は、
柄を有する生地に、当該柄に応じて、意匠を変化させた意匠部及び/又は物性を変化させた機能部を設けてなる布帛の製造方法であって、
生地における柄の形状及び位置に関する生地データ、並びに生地に設ける意匠部に関する意匠部データ及び/又は機能部に関する機能部データをインクジェット装置に入力する入力工程と、
前記生地をステージに配置する配置工程と、
前記ステージ上での生地における実際の柄の形状及び位置を検出する検出工程と、
検出した実際の柄の形状及び位置と、前記生地データとを比較する比較工程と、
比較結果に応じて、意匠部データ及び/又は機能部データに基づき、前記生地に柄に応じた意匠部及び/又は機能部をインクジェット方式で設ける設置工程と、
を包含することにある。
【0024】
本構成の布帛の製造方法によれば、意匠部データ及び/又は機能部データに基づいたインクジェット方式を採用しているため、意匠部を設ける位置のズレや、抜蝕などによる機能部を設ける位置のズレを防止し、位置精度を高めた抜蝕加工を行うことができる。その結果、生地の柄ごとに、当該柄の形状及び位置に対応させて、意匠性、又は伸縮性、通気性、透過性、耐久性、撥水性、吸水性等の物性が付与された布帛を得ることができる。
【0025】
本発明に係る布帛の製造方法において、
前記比較工程において、検出した実際の柄の形状及び位置と、前記生地データとの間で一定以上の差異が生じた場合、前記設置工程を実施する前に、前記意匠部データ及び/又は前記機能部データを補正する補正工程をさらに包含することが好ましい。
【0026】
本構成の布帛の製造方法によれば、比較工程において、検出した実際の柄の形状及び位置と、生地データとの間で一定以上の差異が生じた場合、意匠部データ及び/又は機能部データを補正する補正工程を実施することで、検出した実際の柄の形状及び位置に合わせて正確に意匠部及び/又は機能部を設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の布帛を構成材料とした本発明の衣料製品の説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の布帛の製造工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の布帛は、柄を有する生地に、当該柄に応じて、意匠を変化させた意匠部及び/又は物性を変化させた機能部を設けたものである。ここで、「柄に応じて、意匠を変化させた」とは、単一又は複数の柄ごとに、当該柄の形状及び位置に対応させて、元々有している生地の柄(例えば、模様、パターン、色彩等)を変化させたことを意味する。「柄に応じて、物性を変化させた」とは、単一又は複数の柄ごとに、当該柄の形状及び位置に対応させて、元々有している生地の物性(例えば、伸縮性、通気性、透過性、耐久性、撥水性、吸水性等)を変化させたことを意味する。本発明の布帛は、生地の柄と生地に設けられる意匠部及び/又は機能部とを対応させた結果、生地としての意匠性や機能性が高められ、且つこれらが高度に制御されたものとなる。そして、このような意匠性や機能性が高められた布帛は、種々の用途に適用することができる。例えば、デザイン性に優れたファッションウェア、激しい運動で体の各部位を頻繁に動かすスポーツウェア、体形補正をともなうインナーウェア等の構成材料として好適に使用可能である。以下の実施形態においては、本発明の布帛を衣料製品の一つであるTシャツに適用した例について説明する。
【0029】
図1は、本発明の布帛100を構成材料とした本発明の衣料製品200の説明図である。本実施形態では、衣料製品200としてボーダー柄を有するTシャツを例示している。
【0030】
<布帛>
初めに、
図1を参照して本発明の布帛100について説明する。布帛100は、柄11を有する生地10に、当該柄11に応じて、ある状態を変化させた変化領域20を設けたものである。変化領域20とは、意匠を変化させた領域又は物性を変化させた領域である。変化領域20は、意匠を変化させた領域及び物性を変化させた領域の両方を含むものであってもよい。
図1では、変化領域20として、物性を変化させた機能部20を例示している。
【0031】
[生地]
生地10は、繊維を含むものであれば特に限定されないが、織物又は編物により構成されることが好ましい。織物とは、経糸と緯糸とを一定の規則で交錯させて織りあげた布地である。織物としては、例えば、平織、綾織、及び朱子織などが挙げられるが、織物の種類は特に限定されない。編物とは、一本又は数本の糸がループを形成し、そのループに次の糸を引っ掛けて連続してループを形成することで面が構成される布地である。編物としては、例えば、平編、ゴム編、及びパール編などの緯編、トリコット編、ラッセル編、及びミラニーズ編などの経編などが挙げられるが、編物の種類は特に限定されない。
【0032】
生地10の厚さは、0.02~20mmが好ましく、0.05~10mmがより好ましい。生地の厚さが20mmを超える場合、後述する抜蝕加工において使用する抜蝕加工剤の浸透性のバラツキが生じ易くなり、生地の抜蝕が不十分となる虞がある。一方、生地の厚さが0.02mm未満の場合、柄11に応じて機能部20を設ける際に、表面の凹凸の深さや形状をコントロールすることが難しくなるため、生地10に立体的変化を付与することが難しくなる。生地の目付けは、25~500g/m2が好ましく、50~300g/m2がより好ましい。生地の目付けが500g/m2を超える場合、後述する抜蝕加工において生地を構成する繊維間に抜蝕加工剤が浸透し難くなり、生地の抜蝕が不十分となる虞がある。一方、生地の目付けが25g/m2未満の場合、抜蝕加工を行うと生地の強度が過度に低下し、衣料製品としての耐久性を確保できない可能性がある。
【0033】
[柄]
柄11は、生地10に設けられる模様、記号、文字等であり、生地10の背景から識別可能な部位である。
図1では、柄11として、ボーダー柄を例示してある。柄11は、生地10が織物又は編物である場合、柄11の位置で生地10の織組織又は編組織を変更することによって構成されることが好ましい。織組織とは、織物の経糸と緯糸とが生地の厚み方向で上下に組み合わさって生地面を形成しており、この経糸及び緯糸の上がり下がりの規則のことをいう。編組織とは、経編又は緯編における編目方向の規則のことをいう。
図1では、生地10として編物が例示されており、この場合の編物の柄11として、編組織のループサイズを変更して形成したボーダー柄が示されている。
【0034】
柄11は、織組織又は編組織に代えて、プリントにより構成されてもよい。この場合、例えば、デザイナー等が作成した柄11や、柄11となるデザイン対象物をデジタルカメラやタブレッド端末のカメラを使用して撮影し、柄11の画像データをPCに取り込んでプリントデータを生成する。そして、プリントデータに基づき、生地10にプリント加工を施す。
【0035】
生地10に設ける柄11の数は、一つ以上であればよい。そして、生地10に柄11を複数設ける場合、柄11の形状は同一である必要はなく、個々の柄の形状が異なっていてもよい。さらに、生地10における柄11の位置は、規則的であってもよいし、ランダムであってもよい。
【0036】
[機能部]
機能部20は、生地10に設けた柄11の形状や位置に対応させて、後述する抜蝕加工又は樹脂形成加工を施した部分をいう。ここで、「生地10に設けた柄11の形状や位置に対応させる」とは、機能部20を柄11の少なくとも一部に重ね合わせるように設けること、機能部20を柄11の周囲に隣接するように設けること、機能部20を柄11から一定の間隔を空けて設けること等を意味する。生地10の柄11に対応させて機能部20を設けた結果、柄11の位置又はその近傍において、生地10の機能性が高められた部位又は新たな機能性が付与された部位が機能部20となる。ここで、生地10は、機能部20に対して、その物性が2.0倍以上又は0.7倍以下となるように構成されることが好ましい。例えば、物性として伸縮性を例に挙げると、生地10の伸縮力をaとし、機能部20の伸縮力をbとしたとき、a/b ≦ 0.7 又は 2.0 ≦a/b を満たすように、布帛100に対して抜蝕加工又は樹脂形成加工を施すことが有効である。抜蝕加工及び樹脂形成加工については、後で詳述する。このように、生地10と機能部20との間で有意な機能差を設けることができれば、布帛100を機能性衣料製品の素材として好適に利用することができる。
【0037】
機能部20において高められる物性、又は新たに付与される物性は、上述の伸縮性に限定されない。その他の物性としては、例えば、JIS L-1096A法(フラジール形法)に準拠した通気度測定試験により求められる通気性が挙げられる。例えば、生地10に抜蝕加工を施して機能部20を形成すると、生地10における機能部20の密度が相対的に低下し、布帛100全体としての通気性を向上させることができる。この場合、抜蝕加工により形成された機能部20の通気性は、抜蝕加工前の生地10の通気性の2倍以上であることが好ましく、5倍以上がより好ましい。通気性を向上させた布帛100は、スポーツウェア等の機能性衣料製品の素材として好適に利用することができる。
【0038】
なお、機能部20が生地10上に複数箇所に亘って存在する場合は、機能部20の少なくとも一部が生地10に対して機能が高められたものであればよい。さらに、機能部20は、生地10又は柄11と一体的に形成されたもの(すなわち、編組織又は織組織)であってもよいし(この場合、後述の抜蝕加工により形成される)、生地10又は柄11とは異なる別の部位(例えば、樹脂層)であってもよい(この場合、後述の樹脂形成加工により形成される)。
【0039】
抜蝕加工とは、織物又は編物からなる生地の一部の繊維組織を薬品により溶解除去することをいう。従って、抜蝕加工を行うためには、生地10を構成する繊維として、耐薬品性の繊維と、薬品に容易に溶解する繊維との組み合わせが必要になる。抜蝕加工可能な生地10を構成する繊維の組み合わせとしては、例えば、耐薬品性に優れるナイロン繊維と、薬品に対して溶解性を有するポリエステル繊維と、弾性を有するスパンデックス糸との組み合わせが挙げられる。この組み合わせにおいて、例えば、薬品としてグアニジン系の抜蝕加工剤を用いると、上記の3種の繊維からポリエステル繊維のみを溶解除去することができる。抜蝕加工は、印捺工程、熱処理工程、及び除去工程の3段階で行われる。まず、印捺工程において、抜蝕加工剤を織編物に対して印捺する。次に、熱処理工程において、抜蝕加工剤を印捺した織編物に対して所定の温度で数分間の熱処理を施す抜蝕処理を行う。最後に、除去工程において、アルカリ洗浄であるソーピングにより脆化した繊維を除去する。機能部20が、織物又は編物を構成する繊維の一部を除去してなる抜蝕部である場合、機能部20における繊維組織の密度が周囲の生地よりも低下する。その結果、機能部20は、周囲の生地10に対して、伸縮性、通気性、透過性等の物性が向上したものとなる。また、抜蝕加工により形成された機能部20は、表面の凹凸の深さや形状がコントロールされており、デザイン性にも富んだものとなる。
【0040】
樹脂形成加工とは、織物又は編物からなる生地の上に新たな樹脂の層を形成すること、あるいは織物又は編物からなる生地に樹脂を含浸させることをいう。樹脂形成加工は、例えば、樹脂を溶剤に溶解させて樹脂形成用インクとし、この樹脂形成用インクを、インクジェット装置を用いて生地10に付与することにより行われる。樹脂形成加工に使用可能な樹脂としては、尿素樹脂(ユリア樹脂)、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。機能部20が、生地10に樹脂を付与してなる樹脂形成部である場合、生地10を構成する繊維組織の間に樹脂の一部が入り込み、生地10の密度が増加する。その結果、機能部20は、周囲の生地10に対して、耐久性、撥水性、吸水性等の物性が向上したものとなる。また、樹脂形成加工により形成された機能部20は、表面の凹凸の深さや形状がコントロールされており、デザイン性にも富んだものとなる。
【0041】
[意匠部]
図1では、生地10における変化領域20として、物性を変化させた機能部20を例示したが、本発明では、機能部20の少なくとも一部について、意匠を変化させた意匠部(図示せず)に置換することができる。意匠部は、生地10に設けた柄11の形状や位置に対応させて、上述した抜蝕加工又は樹脂形成加工或いは後述する着色加工を、単独又は組み合わせて施すことにより意匠性を付与した部分をいう。ここで、「生地10に設けた柄11の形状や位置に対応させる」とは、意匠部を柄11の少なくとも一部に重ね合わせるように設けること、意匠部を柄11の周囲に隣接するように設けること、意匠部を柄11から一定の間隔を空けて設けること等を意味する。生地10の柄11に対応させて意匠部を設けた結果、柄11の位置又はその近傍において、生地10の意匠性が高められた部位又は新たな意匠性が付与された部位が意匠部となる。なお、意匠部が生地10上に複数箇所に亘って存在する場合は、意匠部の少なくとも一部が生地10に対して意匠性が高められたものであればよい。さらに、意匠部は、生地10又は柄11と一体的に形成されたもの(すなわち、編組織又は織組織)であってもよいし、生地10又は柄11とは異なる別の部位であってもよい。
【0042】
着色加工とは、織物又は編物からなる生地の少なくとも一部の繊維組織を染料や顔料等の薬品により着色することをいう。着色加工により形成された意匠部は、表面の色の配置や形状がコントロールされており、デザイン性に富んだものとなる。
【0043】
<衣料製品>
本発明の衣料製品200の一例として
図1に示したボーダー柄を有するTシャツは、
図1中の破線吹き出し内に示すように、生地10の柄(ボーダー柄)11の一部に機能部20が設けられている。この場合、生地10の柄11において、生地10が元々有している物性(例えば、吸水性)が機能部20によって変化したものとなる。本実施形態の衣料製品200は、生地10に対して柄11が一定の間隔でTシャツの胴体部全体に配置されているため、生地10の全体に機能部20の物性(吸水性)が表出し、吸水性に優れたTシャツとすることができる。
【0044】
衣料製品200としてのTシャツは、首、腕、又は胴体が挿通される環状部において、その周方向と交差する縫い目が存在しないように縫製されている。そのため、本発明の衣料製品200は、通常の衣料製品では存在する縫い目の影響を受けること無く柄11を設けることが可能であり、その結果、衣料製品200の全体に亘って柄11を略均等に配置することが可能となる。また、柄11に応じて設けられる機能部20についても、衣料製品200の全体に亘って略均等に配置されたものとなる。このように、縫い目が存在しない衣料製品は、生地全体に柄11を均等に配置できるため、当該柄11に応じて物性を変化させた機能部20を設けることにより衣料製品全体に機能を付与できるため、機能性を高めた衣料製品200として特に適したものとなる。
【0045】
<布帛の製造方法>
図2は、本発明の布帛の製造工程を説明するフローチャートである。布帛は、インクジェット装置を用いて、入力工程(S1)、配置工程(S2)、検出工程(S3)、比較工程(S4)、補正工程(S5)、及び設置工程(S6)の各工程を経て製造される。なお、補正工程(S5)は、比較工程(S4)の結果に応じて実施される任意の工程である。
【0046】
[入力工程]
入力工程(S1)では、生地における柄の形状及び位置に関する生地データ、並びに生地に設ける機能部に関する機能部データをインクジェット装置に入力する。ここで、生地データは、生地を製造する際に使用した編組織又は織組織に関するデータをそのまま利用できるが、生地をカメラで撮影してデジタル画像を取得し、このデジタル画像をマッピングしたデータを生地データとして利用することも可能である。機能部データは、生地に抜蝕加工又は樹脂形成加工を施すためのデータであり、機能性布帛の設計に応じて作成されるものである。布帛において、機能部は生地の柄に対応するように設けられるため、機能部データは、生地データにおける柄に相当する部位のデータを加工して作成することが可能である。機能部データは、インクジェット装置のオペレータ(製造者)が任意に設定可能である。なお、生地に意匠部を設ける場合は、機能部データの代わりに意匠部データが用いられ、同様の入力工程が実行される。これは、以降の配置工程、検出工程、比較工程、補正工程、及び設置工程でも同様である。
【0047】
[配置工程]
配置工程(S2)では、抜蝕加工、樹脂形成加工、又は着色加工を施す生地をインクジェット装置のステージに配置する。生地は、ステージ上に粘着剤や吸引機構等によって留めることができるが、このとき生地に皺が発生しないように、生地の経方向及び緯方向に若干の張力を与えることが好ましい。
【0048】
[検出工程]
検出工程(S3)では、ステージ上での生地における実際の柄の形状及び位置を検出する。例えば、ステージ上の生地をスケールとともにカメラで撮影し、生地に対する柄の形状及び位置に関する生データを取得する。なお、柄が規則的に設けられている生地の場合、柄の形状及び位置の検出にあたっては、生地の全ての柄について検出工程(S3)を行う必要はなく、例えば、生地上の端部付近に存在する少なくとも二箇所の柄に対して検出工程(S3)を行えば、得られた生データを適宜補間することにより、生地全体における実際の柄の形状及び位置を推定することができる。
【0049】
[比較工程、補正工程]
比較工程(S4)では、検出工程(S3)で検出した実際の柄の形状及び位置(生データ)と、インクジェット装置に予め入力しておいた生地データとを比較する。比較の結果、生データと生地データとの間で一定以上の差異が生じていると判断した場合(S4;差異あり)、機能部データを補正する補正工程(S5)を実施する。ここで、生データと生地データとの間で一定以上の差異が生じているか否かの判断は、例えば、両データにおける特定の柄の面積、特定の二つの柄の離間距離、生地全体における柄の分散等に基づいて行うことができる。そして、補正工程(S5)は、例えば、生地データに対する生データの変形の程度を数値化した変形係数を、機能部データに掛け合わせることにより行われる。
【0050】
[設置工程]
比較工程(S4)において、生データと生地データとの間で一定以上の差異が生じていないと判断された場合(S4;差異なし)、あるいは生データと生地データとの間で一定以上の差異が生じていると判断された結果(S4;差異あり)、補正工程(S5)において、機能部データの補正が行われた後、設置工程(S6)が実施される。設置工程(S6)では、比較結果に応じて、補正をした機能部データ又は補正をしていない機能部データに基づき、柄に応じた機能部がインクジェット方式により生地に設けられる。インクジェット方式としては、例えば、荷電変調方式、帯電噴射方式、マイクロドット方式、インクミスト方式などの連続方式、ピエゾ方式、静電吸引方式などのオンデマンド方式などが採用可能である。その中でも、インク吐出量の安定性と連続吐出性に優れ、安価で製造できる点で、ピエゾ方式が好ましい。設置工程(S6)は、先に説明した生地に対する抜蝕加工、樹脂形成加工、又は着色加工により行われる。
【実施例】
【0051】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明の布帛において、ベースとなる生地の伸張力、及び柄に応じて設けた機能部の伸張力を夫々測定し、布帛の特性を評価した(実施例1~5)。また、比較のため、従来の編物についても同様の評価を行った(比較例1及び2)。
【0052】
<実施例1>
原糸として、ナイロン糸、ポリエステル糸、及びポリウレタン糸を使用し、三層のベア天竺(丸編)として生地の一部に柄を有する編物を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸46.5%、ポリエステル糸32.5%、及びポリウレタン糸21.0%であった。この編物について、柄が存在する領域付近に抜蝕加工を施すことにより柄付近のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例1の布帛を得た。
【0053】
<実施例2>
原糸として、ナイロン糸、ポリエステル糸、及びポリウレタン糸を使用し、ベアスムース(丸編)として生地の一部に柄を有する編物を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸29.5%、ポリエステル糸44.5%、及びポリウレタン糸26.0%であった。この編物について、柄が存在する領域付近に抜蝕加工を施すことにより柄付近のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例2の布帛を得た。
【0054】
<実施例3>
原糸として、ナイロン糸、ポリエステル糸、及びポリウレタン糸を使用し、トリコットハーフ及びデンビ(経編)として生地の全体が柄組織となる編物を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸34.0%、ポリエステル糸35.0%、及びポリウレタン糸31.0%であった。この編物について、一部の領域に抜蝕加工を施すことにより当該領域のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例3の布帛を得た。
【0055】
<実施例4>
原糸として、ナイロン糸、ポリエステル糸、及びポリウレタン糸を使用し、4Cアトラスメッシュ(経編)として生地の全体が柄組織となる編物を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸36.0%、ポリエステル糸36.0%、及びポリウレタン糸28.0%であった。この編物について、一部の領域に抜蝕加工を施すことにより当該領域のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例4の布帛を得た。
【0056】
<実施例5>
原糸として、ナイロン糸、ポリエステル糸、及びポリウレタン糸を使用し、ラッセルサテン(経編)として柄を有する編物を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸52.0%、ポリエステル糸24.0%、及びポリウレタン糸24.0%であった。この編物について、一部の領域に抜蝕加工を施すことにより当該領域のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例5の布帛を得た。
【0057】
<実施例6>
柄(メッシュ組織)を有する従来公知のジャガード編物(経編)について、柄が存在しない領域に弾性を有する樹脂液をプリント手法にて付与し、これを乾燥して被膜化することで、当該領域にさらなる弾性を付与し、周囲の生地とは物性(伸縮性)が異なる機能部を設けて実施例6の布帛を得た。
【0058】
〔布帛の伸縮性評価〕
実施例1~6の布帛について、JIS L-1096のストリップ法(又はグラブ法)に準拠して引張試験を実施し、生地及び機能部の伸縮力を求めた。また、比較のため、柄(メッシュ組織)を有する従来公知のジャガード編物(経編)について、実施例と同様の引張試験を実施し、生地の伸縮力を求めた(比較例1)。試験結果を表1に示す。なお、比較例1において、生地伸縮力の欄には、生地のうち最も伸縮力(応力)が大きかった部位の伸縮力測定結果を示しており、機能部伸縮力の欄には、生地のうち最も伸縮力(応力)が小さかった部位の伸縮力測定結果を示してある。
【0059】
【0060】
生地の伸縮力をaとし、機能部の伸縮力をbとしたとき、本発明に相当する実施例1~5の布帛は、a/bの値が2.0以上となった。これは、生地に施した抜蝕加工により、生地における機能部の密度が相対的に低下したためである。本発明に相当する実施例6の布帛は、a/bの値が0.7倍以下となった。これは、生地に施した樹脂加工により、生地における機能部の目付が相対的に増加したためである。このように、本発明の布帛は、機能部と生地(非機能部)との間で物性を大きく変化させることが可能であり、高度な機能性が求められる衣料製品の素材として好適に利用することができる。これに対し、比較例1の編物は、最も伸縮力(応力)が大きい部位と小さい部位との間の倍率(a/bに相当)は1.20倍であり、生地の物性(伸縮性)を大きく変化させることができなかった。このため、機能性が求められる衣料製品の素材としては不十分であった。
【0061】
<実施例7>
原糸として、ナイロン糸、及びポリエステル糸を使用し、生地の全体が柄組織となるシングルトリコット(経編)を編成した。編物の原糸の混合割合は、ナイロン糸30.0%、及びポリエステル糸70.0%であった。この編物について、一部の領域に抜蝕加工を施すことにより当該領域のポリエステル糸を除去し、周囲の生地とは物性(通気性)が異なる機能部を設けて実施例7の布帛を得た。
【0062】
〔布帛の通気性評価〕
実施例7の布帛について、JIS L-1096A法(フラジール形法)に準拠して通気度測定試験を実施し、生地の抜蝕加工前後における通気度を求めた。その結果、生地の抜蝕加工前における通気度は135(cm3/cm2・s)であり、生地の抜蝕加工後における通気度は670(cm3/cm2・s)であった。本発明に相当する実施例7の布帛は、生地に抜蝕加工を施すことにより、通気度が約5倍に向上した。このように、本発明の布帛は、機能部と生地(非機能部)との間で物性を大きく変化させることが可能であり、高度な機能性が求められる衣料製品の素材として好適に利用することができる。
【0063】
<実施例8>
柄(メッシュ組織)を有する従来公知のジャガード編物(経編)について、柄が存在する領域(無地の部位)にインクジェット方式により染料着色加工を施し、公知の手法にて発色、ソーピング、及び乾燥を行うことにより、当該領域にプリント部を形成し、周囲の生地とは意匠が異なる意匠部を設けて実施例8の布帛を得た。
【0064】
〔布帛の意匠性評価〕
実施例8の布帛について、目視による観察により、意匠性を評価した。その結果、本発明に相当する実施例8の布帛は、無地の部位に染料着色加工を施したことで、元々の生地組織と染料で着色された色柄の部位(意匠部)とが視覚的にマッチングし、デザイン性に富んだ布帛となった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の布帛は、スポーツ衣料やインナー衣料の他、下着、パジャマ、作業着、普段着、紳士衣料、婦人衣料、子供衣料等の各種衣料製品の生地として利用可能である。また、人だけでなく、ペット等の動物の着衣の生地として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 生地
11 柄
20 機能部
100 布帛
200 衣料製品