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特許7049791継手及びこのような継手と組み合わされるサイクル車用の油圧ブレーキ回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】継手及びこのような継手と組み合わされるサイクル車用の油圧ブレーキ回路
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/23 20060101AFI20220331BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20220331BHJP
   F16L 37/32 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
F16L37/23
B60T17/04 Z
F16L37/32
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017184362
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2018054124
(43)【公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】1659153
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591023572
【氏名又は名称】シュトイブリー・ファベルゲ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】アラン-クリストフ・ティベルギアン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ドゥリュー
(72)【発明者】
【氏名】ミーユ・フロリアン
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1082539(KR,B1)
【文献】特公昭55-017276(JP,B2)
【文献】特開2013-014199(JP,A)
【文献】特開平05-071682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/23
B60T 17/04
F16L 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体継手(R)の中心軸線(X)に沿って互いに嵌合する、雄型要素(A)と、該雄型要素(A)に対して相補的な雌型要素(B)とを含む、流体継手(R)であって、
-前記雄型要素(A,A’)が、内側の流体循環通路(200)を規定する雄型本体部(2)を含み、
該雄型本体部(2)は、前記中心軸線(X)に沿って近接した前部(20b)及び後部(20a)を有する周囲で段付けされた外側の溝(20)を備え、前記前部(20b)の直径(d20b)が前記後部(20a)の直径(d20a)よりも大きく、
-前記雄型本体部(2)は、該雄型本体部(2)の前端部(22)における前記内側の流体循環通路(200)を形成する円筒ノズル面(200e)を備えており、前記内側の流体循環通路(200)の面が前記円筒ノズル面(200e)によって規定されており、内側の面(200d)が前記円筒ノズル面(200e)まで延びており、
-前記雌型要素(B)が、
-前記雄型本体部(2)を受けることが可能な前部(600a)を有する内側の空洞部(600)を規定する雌型本体部(6)と、
-前記継手(R)の結合された配置において前記雌型本体部(6)における前記雄型本体部(2)のロック位置と当該ロックボール(7)により前記雌型本体部(6)から前記雄型本体部(2)を取り外すことが可能なアンロック位置の間で前記雌型本体部(6)のハウジング(66)において径方向に移動可能なロックボール(7)と、
-周設された内側リム(94)によって軸方向に分離された周設された前側の内側切欠き部(90)及び周設された後ろ側の内側切欠き部(92)を備えたロックリング(9)であって、該ロックリング(9)は、前記後ろ側の内側切欠き部(92)が前記ロックボール(7)をロック位置に保持する前進位置と前記ロックボール(7)がその前記アンロック位置に至ることができるように前記前側の内側切欠き部(90)が径方向において前記ロックボール(7)と一直線となる後退位置の間で移動可能である前記ロックリング(9)と、
-前記ロックリング(9)を前記前進位置へ押すバネ(10)と、
-前記内側の空洞部(600)の後部(600b)の開放位置と閉鎖位置の間で前記雌型本体部(6)において移動可能で、バネ(14)によってその閉鎖位置へ押し戻されるバルブ(11)と
を含み、
-前記ロックボール(7)が前記雌型本体部(6)に嵌合される前記雄型本体部(2)の前記段付けされた外側の溝(20)の前記前部(20b)と協働するときに、前記ロックボール(7)が前記中心軸線(X)に沿って前記ロックリング(9)の前記内側リム(94)に対する妨げを形成し、前記ロックボール(7)が前記段付けされた外側の溝(20)の前記後部(20a)と協働するときに、前記ロックボール(7)が前記内側リム(94)に対して解放されることができ、
-前記継手(R)の結合された配置において、前記ロックボール(7)が、前記段付けされた外側の溝(20)の前記前部(20b)及び前記後ろ側の内側切欠き部(92)に係合する、前記継手(R)において、
前記雄型要素(A;A’)が、前記内側の流体循環通路(200)の開放位置と閉鎖位置の間で前記雄型本体部(2)の前記内側の流体循環通路(200)において移動可能なバルブ(4;4’)と、前記雄型要素(A)の前記バルブ(4)をその閉鎖位置へ押し戻すバネ(48)とを含んでいること、
前記雄型要素(A)の前記バルブ(4;4’)が、それぞれ別々の部分である、前部(40)、後部(42)と、前記前部(40)又は前記後部(42)に配置された少なくとも1つの結合部材(44)で形成されており、前記雄型要素(A)の前記バルブ(4)が前記内側の流体循環通路(200)の閉鎖位置にある場合に、前記結合部材(44)が、前記内側の流体循環通路(200)の前記内側の面に対して軸方向に接することが可能であること、及び
前記前部(40)、前記後部(42)及び前記結合部材(44)それぞれの径方向の最大の寸法が、前記前部(40)、前記後部(42)及び前記結合部材(44)が前記雄型本体部(2)の前記前端部(22)において前記雄型要素(A)の前記内側の流体循環通路(200)内へ挿入され得るように、前記雄型要素(A)の前記内側の流体循環通路(200)の前記円筒ノズル面(200e)の最小の内径(d200e)よりも小さいこと
を特徴とする継手。
【請求項2】
前記雄型要素(A)の前記バルブ(4)の前記前部(40)及び前記後部(42)のうち1つが、前記後部(42)及び前記前部(40)のうち他方のものの穴(400;428)に係合する比較的小さな直径を有する端部(426;406)を有しており、前記結合部材(44)が、比較的小さな直径を有する前記端部(426;406)の外側で径方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の継手。
【請求項3】
比較的小さな直径を有する前記端部(426;406)が、外側の溝(426a;406a)と、該外側の溝(426a;406a)と比較的小さな直径を有する前記端部の最終面(426b;426c)の間で軸方向に配置されたフランジ部(426c;406c)とを備えていること、前記内側の流体循環通路(200)が周設された内側スロット(200c)を含み、該内側スロットの半径(R200c)が、前記フランジ部(426c)の外半径(R426c)と前記結合部材(44)の径方向の寸法(h44)の合計よりも大きいか、又は同じであること、及び孔(400;428)を有する前記雄型要素(A)の前記バルブ(4)の一部(40,42)が、前記孔(400;428)内で現れる径方向に貫通するハウジング(402;430)を有しており、前記結合部材(44)が前記内側スロット(200c)から軸方向にずらされている場合には、前記結合部材(44)が前記径方向のハウジング(402)及び前記外側の溝(426a)に係合することを特徴とする請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記雄型要素(A,A’)の前記バルブ(4,4’)が前記内側の流体循環通路(200)の閉鎖位置にある場合に、前記雄型本体部(2)の前記内側スロット(200c)が、前記結合部材(44)に対して軸方向にずらされていることを特徴とする請求項3に記載の継手。
【請求項5】
前記外側の溝(426a)を備えた前記雄型要素(A)の前記バルブ(4)の一部が前記後部(42)である一方、前記径方向のハウジング(402)を備えた部分が前記前部(40)であること、及び前記雄型要素(A)の前記バネ(48)が、前記後部(42)を前記前部(40)と軸方向に接するよう押し戻すことを特徴とする請求項3又は4に記載の継手。
【請求項6】
比較的小さな直径を有する前記端部(426;406)が円すい台状の面(426b;406c)で終わっており、該円すい台状の面の頂角(α)が好ましくは90°であることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の継手。
【請求項7】
前記雄型本体部(2)が一体で形成されていること、及び前記雄型本体部(2)の後尾部(24)における前記内側の流体循環通路(200)の内径(d200a)が、前記内側の流体循環通路(200)の前記円筒ノズル面(200e)の最大の内径(d200e)よりも小さいことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の継手。
【請求項8】
前記雄型要素(A;A’)の前記バルブ(4)の前記後部(42)が、流体の通路のための径方向のオリフィス(424)及び軸方向のオリフィス(422)と、前記雄型要素(A;A’)の前記バルブ(4)を前記内側の流体循環通路(200)のその閉鎖位置へ向けて押し戻す前記バネ(48)のためのハウジング(420)とを含んでいることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の継手。
【請求項9】
前記結合部材が、ボール(44)、特に前記継手(R)の前記中心軸線(X)の周囲に規則的に配分された3つのボールによって形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の継手。
【請求項10】
前記雌型要素(B)の前記バルブが、前記雌型本体部(6)に収容された中央ピストン(13)の周囲で前記雌型本体部(6)の前記内側の空洞部(600)の前記後部(600b)において並進移動可能なドロワ(11)を含んでおり、該ドロワ(11)が、該ドロワ(11)の平坦な面(110)と前記雄型本体部(2)の平坦な面(22a)の間の接触によって前記雄型本体部(2)と軸方向に協働するのに適しており、前記中央ピストン(13)は、前記中央ピストン(13)の平坦な面(13a)と前記雄型要素(A)の前記バルブ(4;4’)の平坦な面(40a)の間の接触によって前記雄型要素(A)の前記バルブ(4;4’)と軸方向に協働するのに適していることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の継手。
【請求項11】
前記雄型要素(A;A’)の前記バルブ(4;4’)及び前記雌型要素(B)の前記バルブ(11)のそれぞれの閉鎖位置で、前記雄型本体部(2)の平坦な面(22a)が前記バルブ(4;4’)の前記平坦な面(40a)と軸方向に一直線となり、前記ドロワ(11)の平坦な面(110)が前記ピストン(13)の前記平坦な面(13a)と軸方向に一直線となることを特徴とする請求項10に記載の継手。
【請求項12】
前記中央ピストン(13)が、前記中心軸線(X)に対して横方向へ延びるとともに、前記中央ピストン(13)の後部(132)及び前記雌型本体部(6)を横切るピン(17)によって前記雌型本体部(6)に固定されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の継手。
【請求項13】
前記雄型要素(A;A’)が、シールガスケット(46)を含んでおり、前記雄型要素(A;A’)の前記バルブ(4;4’)が前記内側の流体循環通路(200)の前記閉鎖位置にある場合に、前記シールガスケット(46)が、前記雄型要素の前記バルブ(4;4’)と前記雄型本体部(2)の間で径方向に配置されているとともに、前記円筒ノズル面(200e)と径方向に協働し、前記シールガスケット(46)が好ましくは前記雄型要素の前記バルブ(4;4’)の溝(404)内に収容されることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の継手。
【請求項14】
前記雌型本体部(6)が、前記雌型本体部(6)における前記雄型本体部(2)の嵌合運動を制限するために前記雄型本体部(2)と協働することが可能な軸方向のストッパ(79)を含んでいることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の継手。
【請求項15】
少なくとも、
-キャリパ(E)及びブレーキレバーブロック(8)と、
-前記キャリパ(E)と前記ブレーキレバーブロック(8)の間の連通ホース(T)と、
-前記キャリパ(E)又は前記ブレーキレバーブロック(8)への前記ホース(T)の連通のための、請求項1~14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの継手(R)と
を含む、サイクル車用の油圧ブレーキ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管路を結合するための継手と、このような継手と組み合わされる、サイクル車用の油圧ブレーキ回路とに関するものである。サイクル車は、2輪又は3輪を有する車両をいい、自転車又はオートバイと呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、雄型要素上において、雌型要素のロックボールと協働するための前部及び後部を有する段付けされた外側の環状の溝を配置することで継手の結合された配置を固定することが知られている。雌型要素は、更に固定された中央ピストンに対して可動なドロワと、異なる深さを有する2つの前側及び後ろ側の内側切欠き部の間で長手方向に配置された内側リムを備えた外側のロックリングとを含んでいる。
【0003】
継手は、雄型要素を雌型要素内へ挿入することで結合され、ロックリングを後ろ側へ向けて作動させる必要がある。なぜなら、ドロワがボールをリングの前側の切欠き部へ押すためであり、この切欠き部は、雌型要素が雄型要素から結合解除されている場合にロックリングを後退位置に維持するものである。雌型要素内の雄型要素の移動により、ドロワが移動し、ロックリングが解放され、雄型要素の溝の後ろ側の位置自体をロックボールと一直線にすることが許容される。そして、ロックリングはバネによって自動的に押し戻され、このバネは、後ろ側の切欠き部をロックリングと一直線にする。雄型要素は、継手内を流体が通過することで、及び溝の前部とロックリングの後ろ側の切欠き部の間で径方向に挿入されたロックボールでロックされる雌型要素のドロワによって、雌型要素の前側へ向けて押し戻されることができる。結合された配置では、ロックリングは、後退されることができない。なぜなら、ロックボールが長手方向においてリングの内側リムと干渉するとともに、ロックリングのその後退位置へ向けた移動をブロックするためである。
【0004】
継手を結合解除するためには、雄型要素を雌型要素内へ更に押すことが必要である。実際には、これは、ボールの正面にある溝の後部を配置するものであり、それゆえ、この後部は、それ自体内側リムから径方向において解放されることができ、そして、ロックリングは、前側の切欠き部においてロックボールを収容するため、及び雄型要素のための通路を解放するために、後ろ側へ後退されることが可能であり、雄型要素を雌型要素から取り外すことが可能である。
【0005】
結合解除に必要な2つの操作は、例えば急加速の作用の下での継手の不意の結合解除を妨げるものである。
【0006】
特許文献2には、バルブを備えた雄型要素を含む継手が記載されている。このバルブは、雄型本体部のシートに対して支持する前部を含んでいる。この前部は、ロッド近傍において後ろ側へ延びており、このロッドの周りにはシールガスケットと、シートに対して閉鎖位置内へバルブを押し戻す復帰バネとが取り付けられている。前部の最大の直径よりも小さな最小の直径のシート、ガスケット及び支持部の存在は、雄型本体部の後ろ側を介したバルブの組立に関係する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】仏国特許出願公開第2129415号明細書
【文献】米国特許第5255699号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、非常に小さな大きさ、約6mmの最大流体通路と両立する流体通路の二重の閉鎖を保証し、結合解除中の滴下(液漏れ)及び不意の結合解除のおそれを制限する、2つの操作による継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、流体継手の中心軸線に沿って互いに嵌合する、雄型要素と、該雄型要素に対して相補的な雌型要素とを含む、流体継手であって、
-前記雄型要素が、内側の流体循環通路を規定する雄型本体部を含み、この雄型本体部は、前記中心軸線に沿って近接した前部及び後部を有する周囲で段付けされた外側の溝を備え、前記前部の直径が前記後部の直径よりも大きく、
-前記雌型要素が、
-前記雄型本体部を受けることが可能な前部を有する内側の空洞部を規定する雌型本体部と、
-前記継手の結合された配置において前記雌型本体部における前記雄型本体部のロック位置と当該ロックボールにより前記雌型本体部から前記雄型本体部を取り外すことが可能なアンロック位置の間で前記雌型本体部のハウジングにおいて径方向に移動可能なロックボールと、
-周設された内側リムによって軸方向に分離された周設された前側の内側切欠き部及び周設された後ろ側の内側切欠き部を備えたロックリングであって、該ロックリングは、前記後ろ側の内側切欠き部が前記ロックボールをロック位置に保持する前進位置と前記ロックボールがその前記アンロック位置に至ることができるように前記前側の内側切欠き部が径方向において前記ロックボールと一直線となる後退位置の間で移動可能である前記ロックリングと、
-前記ロックリングを前記前進位置へ押すバネと、
-前記内側の空洞部の後部の開放位置と閉鎖位置の間で前記雌型本体部において移動可能で、バネによってその閉鎖位置へ押し戻されるバルブと
を含み、
-前記ロックボールが前記雌型本体部に嵌合される前記雄型本体部の前記段付けされた外側の溝の前記前部と協働するときに、前記ロックボールが前記中心軸線に沿って前記ロックリングの前記内側リムに対する妨げを形成し、前記ロックボールが前記段付けされた外側の溝の前記後部と協働するときに、前記ロックボールが前記内側リムに対して解放されることができ、
-中間の配置では、ロックボールが前記段付けされた外側の溝の前記後部及び前側の切欠き部と一直線となり、
-前記継手の結合された配置において、前記ロックボールが、前記段付けされた外側の溝の前記前部及び前記後ろ側の内側切欠き部に係合する、前記継手に関するものである。
【0010】
この継手は、前記雄型要素が、前記内側の通路の開放位置と閉鎖位置の間で前記雄型本体部の前記内側の通路において移動可能なバルブと、前記雄型要素の前記バルブをその閉鎖位置へ押し戻すバネとを含んでいること、前記雄型要素の前記バルブが、それぞれ別々の部分である、前部、後部及び少なくとも1つの結合部材で形成されており、前記雄型要素の前記バルブが前記内側の通路の閉鎖位置にある場合に、前記結合部材が、前記内側の通路の内側の面に対して軸方向に接することが可能であること、及び前記前部、前記後部及び前記結合部材の径方向の最大の寸法が、前記前部、前記後部及び前記結合部材が前記雄型本体部の前側によって前記雄型要素の前記内側の通路内へ挿入され得るように、前記雄型要素の前記内側の通路の円筒ノズル面の最小の内径よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、継手の結合解除が2つの操作によって保護されており、結合解除時の漏れもなく、両継手要素がバルブを備えている。雄型要素及びそのバルブの構造は、前側を介した(前側からの)バルブの構成部材の有利な組立を許容する。
【0012】
有利な、しかし本発明の選択的な態様によれば、このような継手は、以下の特徴のうち1つ又は複数を技術的に可能な組合せを考慮して組み合わせることができる:
-前記雄型要素の前記バルブの前記前部及び前記後部のうち1つが、前記後部及び前記前部のうち他方のものの穴に係合する比較的小さな直径を有する端部を有しており、前記結合部材が、比較的小さな直径を有する前記端部の外側で径方向に配置されていること。
-比較的小さな直径を有する前記端部が、外側の溝と、該外側の溝と比較的小さな直径を有する前記端部の最終面の間で軸方向に配置されたフランジ部とを備えていること、前記内側の通路が周設された内側スロットを含み、該内側スロットの半径が、前記フランジ部の外半径と前記結合部材の径方向の寸法の合計よりも大きいか、又は同じであること、及び孔を有する前記バルブの一部が、前記孔内で現れる径方向に貫通するハウジングを有しており、前記結合部材が前記内側スロットから軸方向にずらされている場合には、前記結合部材が前記径方向のハウジング及び前記外側の溝に係合すること。
-前記雄型要素の前記バルブが前記内側の通路の閉鎖位置にある場合に、前記雄型本体部の前記内側スロットが、前記結合部材に対して軸方向にずらされていること。
-前記外側の溝を備えた前記バルブの一部が前記後部である一方、前記径方向のハウジングを備えた部分が前記前部であること、及び前記雄型要素の前記バネが、前記後部を前記前部と軸方向に接するよう押し戻すこと。
-比較的小さな直径を有する前記端部が円すい台状の面で終わっており、該円すい台状の面の頂角が好ましくは90°であること。
-前記雄型本体部が一体で形成されていること、及び前記雄型本体部の後尾部における前記内側の通路の内径が、前記内側の通路の前記円筒ノズル面の最大の内径よりも小さいこと。
-前記雄型要素の前記バルブの前記後部が、流体の通路のための径方向のオリフィス及び軸方向のオリフィスと、前記雄型要素の前記バルブを前記内側の通路のその閉鎖位置へ向けて押し戻す前記バネのためのハウジングとを含んでいること。
-前記結合部材が、ボール、特に前記継手の前記中心軸線の周囲に規則的に配分された3つのボールによって形成されていること。
-前記雌型要素の前記バルブが、前記雌型本体部に収容された中央ピストンの周囲で前記雌型本体部の前記内側の空洞部の前記後部において並進移動可能なドロワを含んでおり、該ドロワが、該ドロワの平坦な面と前記雄型本体部の平坦な面の間の接触によって前記雄型本体部と軸方向に協働するのに適しており、前記中央ピストンは、前記中央ピストンの平坦な面と前記雄型要素の前記バルブの平坦な面の間の接触によって前記雄型要素の前記バルブと軸方向に協働するのに適していること。
-前記雄型要素の前記バルブ及び前記雌型要素の前記バルブのそれぞれの閉鎖位置で、前記雄型本体部の平坦な面が前記バルブの前記平坦な面と軸方向に一直線となり、前記ドロワの平坦な面が前記ピストンの前記平坦な面と軸方向に一直線となること。
-前記中央ピストンが、前記中心軸線に対して横方向へ延びるとともに、前記中央ピストンの後部及び前記雌型本体部を横切るピンによって前記雌型本体部に固定されていること。
-前記雄型要素が、前記雄型要素の前記バルブと前記雄型本体部の間で径方向に配置されたシールガスケットを含んでおり、前記雄型要素の前記バルブが前記内側の通路の閉鎖位置にあれば、前記シールガスケットが好ましくは前記バルブの溝内に収容されること。
-前記雌型本体部が、前記雌型本体部における前記雄型本体部の嵌合運動を制限するために前記雄型本体部と協働することが可能な軸方向のストッパを含んでいること。
-前記雌型本体部が前記雌型要素の螺着に適した雄ネジを含んでいること。
-前記中央ピストンが前記雌型本体部の4つ葉状のハウジング内に取り付けられていること。
【0013】
本発明は、少なくとも、キャリパ及びブレーキレバーブロックと、前記キャリパと前記ブレーキレバーブロックの間の連通ホースと、前記キャリパ又は前記ブレーキレバーブロックへの前記ホースの連通のための上述の少なくとも1つの継手とを含む、サイクル車用の油圧ブレーキ回路に関するものでもある。
【0014】
本発明による継手によれば、ブレーキのロスにつながる油圧回路の時期尚早の(タイムリーでない)結合解除が回避され、例えば油圧ブレーキ回路の規則的なパージに必要な結合解除/結合操作は、本発明による継手により提供される迅速な結合によって促進される。
【0015】
制限的でない例として添付の図面を参照しつつ提供される継手のその原理による以下の説明を考慮して、本発明がより良好に理解され、本発明の利点もより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による継手に属する雄型要素の長手方向の断面図である。
図2図1における平面IIに沿った断面図である。
図3図1の雄型要素のバルブの部分的な分解斜視図である。
図4】本発明による継手に属する雌型要素の長手方向の断面図である。
図5図4における平面Vに沿った断面図である。
図6】継手の第1の結合段階中の雄型要素及び雌型要素の長手方向の断面図である。
図7】継手の中間結合段階に対応した、図6に類似した断面図である。
図8】結合された配置における継手の図6及び図7に類似した断面図である。
図9図1の雄型要素における図3のバルブを組み立てる第1のステップを示す断面図である。
図10】バルブを組み立てる第2のステップを示す図9に類似した断面図である。
図11】本発明によるサイクル車の油圧ブレーキ回路の概略的な図である。
図12】本発明の第2の実施例による継手に属する雄型要素の長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図8には、雄型要素A及び雌型要素Bを含む、流体管路の継手Rが示されている。雄型要素Aは、雄型要素Aと雌型要素Bの中心軸線を形成する長手軸線Xによって規定された嵌合方向に沿って雌型要素Bに嵌合するのに適している。
【0018】
以下では、用語「軸方向」及び「径方向」及び副詞「軸方向に」及び「径方向に」は、継手Rの中心軸線Xに関して用いられる。径方向の面は、軸線Xに対して平行に延び、かつ、この軸線Xを包囲する面であり、軸方向の面は、軸線Xに対して垂直な面である。
【0019】
雄型要素A及び雌型要素Bについて、前側は、それぞれ雌型要素B側へ向いた側又は雄型要素A側へ向いた側であり、一方、後ろ側は、雌型要素B又は雄型要素Aの反対側に位置する側である。「前進」位置は、前側に位置する位置であり、「後退」位置は、後ろ側へ向いて位置する位置である。
【0020】
形容詞「内側の」及び「外側の」は、それぞれ中心軸線Xへの方向、又はこの中心軸線から離れる方向へ向いた要素について中心軸線Xに関して用いられる。
【0021】
形容詞「内部の」及び「外部の」は、それぞれ、他の要素に関して中心軸線Xの側にある要素又は他の要素に関して軸線Xとは反対側にある要素について中心軸線Xに関して用いられる。
【0022】
雄型要素Aは、周囲で段付けされた外側の溝20と、外側の溝20の範囲において本体部2の外形に比べて小さな外径を有する前端部22と、後尾部24とを含む一体的な雄型本体部2を含んでいる。外側の溝20は、軸線Xに沿って隣り合う後部20a及び前部20bを含んでおり、前部20bは、前端部22側にある。前部20bは、後部20aの溝の底部における外径d20aよりも大きな溝の底部における外径d20bを有している。
【0023】
後尾部24は、キャリパEとサイクル車用のブレーキシステムのブレーキレバーブロック8の間の流体接続ホースTへの結合のための挿管された面を有している。
【0024】
雄型要素Aは、中心軸線(X)に沿った本体部2を完全に横切る内側の流体循環通路200内で可動なバルブ4を含んでいる。内側通路200は、後尾部24において減少されているより小さな直径d200aと、外側の溝20における増大された直径d200bと、直径d200bの前方へ、及び当該スロット200c側に延びる円筒面200fから配置され、周設された内側スロット200cと、前端部22においてより小さな直径をもって位置する円筒ノズル面200eと、内側スロット200cに関して前側に円筒ノズル面200eまで配置された円筒面200fから延びる円すい台状の面200dとを有する面によって規定されている。後面200aの直径d200aは、円筒ノズル面200eの最小の内径d200eよりも小さい。
【0025】
バルブ4は、前部40、後部42、1つ又は複数の結合部材及びシールガスケット46を含む少なくとも4つの部材又は構成要素で構成されている。特に、前部40、後部42及び結合部材は、別々の部材である。前部40、後部42は、回転部材である。
【0026】
バネ48が、雄型本体部2における支持面26と後部42における支持面420の間で係合している。後部42は、開放配置におけるバルブ4内での流体の通過を許容する軸方向のオリフィス422と径方向のオリフィス424を備えている。軸方向のオリフィス422は円筒状の壁部によって包囲されており、この壁部の周囲にバネ48が係合している。
【0027】
前部40、後部42及びバネ48は、雄型本体部2の前方を介して取り付けられ得るように、円筒ノズル面200eの最小の内径d200eよりも小さな最大の外径を有している。
【0028】
結合部材はボール44によって形成されており、これらボールのうち3つが存在しているとともに、継手Rの中心軸線Xの周りに規則的に配分されている。
【0029】
後部42は、周設された外側の溝426aを備えた比較的小さな直径を有する端部426を含んでいる。前部40は、比較的小さな直径を有するこの端部426の外径よりも大きな直径を有する孔400と、この孔400内で現れる径方向に貫通するハウジング402とを有している。雄型本体部2に取り付けられたバルブ4の構成では、比較的小さな直径を有する端部426は孔400に係合しており、結合ボール44は、ハウジング402に係合しているとともに、比較的小さな直径を有する端部426の径方向外側に配置されている。前部40及び後部42は、前部40の軸方向の面41及び後部42の軸方向の面421において直接接触することで互いに対して軸方向に接する。
【0030】
図1及び図2における径方向の高さに対応する結合ボール44の各直径は、内部の円筒ノズル面200eの最小の内径d200eよりも小さく、特に内部の円筒ノズル面200eの最小の内径d200eの半分である。これにより、3つの結合ボール44は、雄型本体部の前側の近傍で雄型本体部2内へ導入されることが可能である。
【0031】
シールガスケット46は、前部の周設された外側の溝404に取り付けられているとともに、前部40といわゆる「径方向の」雄型本体部2の間のシールのために内側通路200の閉鎖配置において円筒ノズル面200eと協働する。
【0032】
外側の溝426aを支持する端部426は、前進方向において、雄型要素Aの前側へ向けて縮径する円すい台状の面426bである最終面で終わっている。円すい台状の面426bの頂角αは、好ましくは90°である。
【0033】
バルブ4が図1に示された内側通路200の閉鎖位置にあれば、雄型本体部2の内側スロット200cは、結合部材(結合ボール)44に対して雄型本体部2の後方へ向けて軸方向にずらされている。
【0034】
流体通路を締め切るこの位置に置いては、結合ボール44は、円すい台状の面200dに対して軸方向に隣接しているとともに、外側の溝426aに係合している。
【0035】
外側の溝426aと円すい台状の面426bの間では、端部426は、外側の溝426aに対して径方向の突出部を形成するフランジ部426cを含んでいる。
【0036】
雌型要素Bが図4及び図5に示されている。雌型要素Bは、前側から後ろ側へ雌型本体部6を横切る回転の内側の空洞部600を規定する雌型本体部6を含んでいる。内側の空洞部600は、継手Rが結合された配置にあり流れ通路600bが内側の空洞部600の後部を形成する場合に、内側の空洞部600の前部及び流体流れ通路600bを形成する雄型本体部2を収容するための部分600aを規定している。収容部分600aは、雌型本体部6のノズルも形成している。
【0037】
雌型本体部6は、サイクル車のブレーキレバーブロック8にねじ込まれており、ブレーキレバーブロックの内側管路80は、内側の空洞部600と連通する。前側のシールガスケット62により、雌型本体部6とブレーキレバーブロック8の間のシールが確保される。雌型本体部6は、雌型本体部6がブレーキレバーブロック8にねじ込まれるのを許容する雄ネジ64を含んでいる。これに代えて、雌型本体部6は、サイクル車のブレーキキャリパEにねじ込まれ、このブレーキキャリパの内側管路は、内側の空洞部600と連通する。
【0038】
雌型本体部6は、雌型要素Bにおいて雄型要素Aをロックするボール7のための径方向に貫通するハウジング66を含んでいる。ロックボール7は、ロックボール7が部分的に内側管路600に突出し、雌型本体部6において雄型要素2の通路をブロックする、図5及び図8に示されたロック位置と、ロックボール7がもはや内側管路600へ突出せず、雌型本体部6における雄型本体部2のための通路を開放するアンロック位置との間で、ハウジング66内において径方向に可動である。この態様については、後に詳述する。ハウジング66の幾何形状は、ロックボール7がその径方向内方への運動においてはハウジング66で保持されるようになっている。
【0039】
雌型要素Bも、金属本体部9Aと、この金属本体部9Aにその前側で留められたポリマー本体部9Bとを含むロックリング9を含んでいる。金属本体部9Aは、周設された内側リム94によって分離された、軸方向に周設された前側の内側切欠き部90と、周設された後ろ側の内側切欠き部92とで規定されている。前側の内側切欠き部90は後ろ側の内側切欠き部92の直径よりも大きな直径を有している。内側リム94は、後ろ側の内側切欠き部92の内径及び前側の内側切欠き部90の直径よりも小さな直径を有している。換言すれば、前側の内側切欠き部90は、内側リム94に関して、後ろ側の内側切欠き部92よりも深い。ロックリング9は、雌型要素Bの前側へ向けて押し戻され、ロックリング9と雌型本体部6の間に挿入されたバネ10により、前進位置でリテーナリング68に対して接する。図4における前進位置では、ロックリング9は、雌型本体部6の外側面に見えるように設けられたマーク70を離れる。マーク70は、これが見える場合にはロックリング9の前進位置を示すことが可能である。
【0040】
ポリマー本体部9Bは、前方へ、及び軸線Xへ向けられ、継手Rの結合されていない配置における雌型本体部6を保護するリップ9B1を有している。
【0041】
Oリング72は、ロックリング9と雌型本体部6の間の汚染物質が入るのを制限する。ガスケット72は、雌型本体部6の溝74内に取り付けられているとともに、金属本体部9Aの内面96と協働する。
【0042】
雌型要素Bは、軸線Xに沿って延び、雌型本体部6に取り付けられた中央ピストン13の周囲において内側の空洞部60内で移動可能なドロワ11を含んでいる。このドロワ11は、雌型本体部6に対して支持するバネ14によって、ピストン13の拡がった前部130に対して接するために押し戻される。拡がった前部130は、シールガスケット15が収容されている外側の径方向ハウジング130aを含んでいる。ガスケット15は、拡がった前部130とドロワ11の内面の間にシールを提供する。第2のシールガスケット16が、雌型本体部6の内部の溝76内に収容されているとともに、雌型本体部6とドロワ11の外面の間のシールを提供する。ガスケット15,16は、ドロワ11が流れ通路600bの閉鎖位置にある場合に、すなわち拡がった部分130に対して前側で接する場合に、雌型本体部6と、ドロワ11と広がった前部130の間のシールを提供する。
【0043】
ガスケット15を備えた中央ピストン13、バネ14及びドロワ11は、前側を介して、雌型本体部6のノズル600aの側から雌型本体部6に取り付けられている。ピストン13、ドロワ11及びバネ14は、雌型本体部6のノズル600aの最小の内径d600aよりも小さな最大の外径を有している。中央ピストン13は、雌型本体部6の後部に位置する、比較的小さな直径を有する円筒部分78において、雌型本体部6に固定された後部132を含んでいる。後部132は、雌型本体部6及び中央ピストン13を横切る横断ピン17によって、後ろ側の円筒部分78に結合されている。ピン17が雌型本体部6に遊びなく把持されて取り付けられている一方、図5に示されているように、約0.1~0.5mmの軸方向の遊びJ17が、ピン17とこのピン17を収容する後部132のハウジング134の間に存在する。したがって、中央ピストン13は、どの軸方向の遊びJ17のところまで雌型本体部6に固定されている。中央ピストン13は、軸線Xに沿ったその長さにわたって変化する外径を有している。
【0044】
ドロワ11は、中心軸線Xに沿って雌型本体部6内で移動可能なバルブを形成している。中央ピストン13は、後部132の周囲において通路600bと内側管路80の間で流体の最大の通過を許容する、後ろ側の円筒部分78の4つ葉状のハウジング78aのところで、後部132に取り付けられている。
【0045】
継手Rは、図6図8を参照して以下のように結合される。操作者は、雄型要素Aと雌型要素Bを中心軸線Xに沿って一直線にし、雄型本体部2を内側の空洞部600の前部600aへ挿入することで、雄型要素Aを雌型要素Bへ挿入する。同時に、操作者は、ロックリング9を矢印F1に沿って後方へ向けて移動させる。ロックリング9が雄型本体部2に対して接する後退位置へ入り、リップ9B1が外方へ変形する。そして、マーク70が金属本体部9Aによって隠される。前側の内側切欠き部90は、ロックボール7と一直線に並んでいる。雄型本体部2が雌型要素Bに導入されると、前者は、軸方向及び径方向にずらされた雄型本体部2の2つの円筒面に対してそれぞれ相補的な軸方向及び径方向にずらされた内側の空洞部600の2つの内側の円筒面によって形成された、2つの円筒状のガイドゾーンZC1,ZC2においてほぼ同時なガイド係合によって、雌型本体部6で二重にガイドされる。
【0046】
雄型要素Aが雌型要素Bに挿入される場合には、バルブ4が中央ピストン13に接触し、同時に雄型本体部2がドロワ11に接触する。バルブ4は、ユニットとして内側通路200内へ押し戻される。雄型本体部2とドロワ11の間の接触は、前端部22の平坦な軸方向の面22aとドロワ11の平坦な軸方向の面110の間の平坦な接触によってなされる。バルブ4と中央ピストン13の間の接触は、前部40の平坦な軸方向の面40aと中央ピストン13の逆の平坦な軸方向の面13aの間でなされる。
【0047】
図7に示されているように、雌型要素Bにおける雄型要素Aのはめ込み運動が継続すると、それぞれが、ガスケット46,15がそれぞれ雄型本体部2及びドロワ11とのシールを解除するまで、矢印F2及びF3に沿ってバルブ4及びドロワ11を内部通路200及び通路600bへ押し戻す。バルブ4及びドロワ11は、開放された配置にある。雄型要素Aと雌型要素Bの間の流体の流れ(循環)は、通路200と、オリフィス422,424と、ピストン30と、ドロワ11の内面の間に形成される空間、及び通路600bとを介して可能である。
【0048】
結合ボール44は、結合中にバルブ4の動作に追従するとともに、スロット200cの内径よりも小さな内径を有する円筒面200fによって包囲された内側通路200においてバルブ4と共に移動可能であり、ここでも円筒面200fによって包囲された連続した雄型要素Aの挿入中に内側通路200におけるその移動を最終的に継続することで、内側スロット200cと径方向に一直線となるようになっている。継手Rの結合された配置においては、結合ボール44は、円筒面200fと径方向に一直線となっているとともに、内側スロット200cに対してずらされている。
【0049】
雌型要素Bの後方へ向けた雄型要素Aのはめ込み運動は、それぞれ雄型本体部2及び雌型本体部6の協働する隣接面28,79において雄型本体部2が雌型本体部6に対して軸方向に接するまで継続される。
【0050】
雄型要素Aの挿入中には、ロックボール7は、アンロック位置における外側へ向けて、雄型本体部2によって前側の内側切欠き部90に径方向へ押し戻され、前側の内側切欠き部は、操作者がロックリング9の後方へ引くことによってボール7と径方向に一直線となる。中間の結合配置において、雄型本体部2が雌型本体部6に対して軸方向に接すると、ロックボール7は、段付けされた外側の溝20の後部20aと径方向に一直線となる。操作者はロックリング9を解放し、このロックリングは、雄型本体部2と接触して変形するリップ9B1と共に、矢印F4に沿って、バネ10によって、リテーナリング68に対してその前進位置へ向けて押し戻される。内側リム94は、ロックボール7が内側リム94を軸方向において妨げないとともにロックリングのその前進位置への移動を許容する内側の径方向位置において、後部20aで段付けされた内側の溝20の内部へ向けて径方向にロックボール7を押す。そして、後ろ側の切欠き部92は、ロックボール7から径方向に横断する。そして、操作者により解放される雄型本体部2は、ドロワ11及びバルブ4を介して生じる動作、つまり流体及び/又はバネ48,14によって生じる圧力によって、矢印F5に沿って雌型要素Bの前側へ向けて押し戻される。ロックボール7は、継手Rの結合された配置に対応する図8の配置において、後ろ側の切欠き部92で、段付けされた溝20の前部20bによって径方向に分離されている。そして、マーク70が視認可能であり、継手の結合された配置を示している。結合された配置では、ロック位置におけるロックボール7は、雌型本体部6からの雄型本体部2の除去に対抗することで、雌型本体部6における雄型本体部2をブロックする。ロックボール7は、ロックボール7が内側リム94を軸方向に妨げるとともにロックリング9のその後退位置への移動に対抗するように、前部20bと後ろ側の内側切欠き部92の間で径方向に挿入される。ボール7のロック位置は、そのアンロック位置に対して径方向内方である。後部20bの直径d20bよりも小さな前部20aの直径d20aにより、ボール7のロック位置が、ロックボール7が後部20aと協働するとともに内側リム94を軸方向において妨げない内側の径方向位置に対して径方向において外側である。継手Rの結合された配置では、バルブ4及びドロワ11は、それぞれ内部通路200及び内側の空洞部600の後部600bの開放位置にある。ホースTは、ブレーキレバーブロック8の内側管路80に連通(流体的に連結)している。
【0051】
継手Rを連結解除するために、逆の動作シーケンスを行なわなければならない。操作者は、ロックボール7を段付けされた溝20の後部20aと径方向で一直線にするために、及びロックボールを内側リム94から解放するとともにロックリング9を後ろ側へ向けて操作することができるようにロックボール7を内側へ向けて径方向に押し戻すことができるために、雌型本体部6において、矢印F6に沿って雌型要素Bの後ろ側へ向けて雄型要素Aを押さなければならない。そして、操作者は、ロックリング9を後ろ側へ向けて作動さるとともに内側リム94、そして、前側の切欠き部90を径方向においてロックボール7と一直線にする。そして、ロックボール7は、ロックボール7がもはや内側管路600において突出せず、雄型本体部2が雌型本体部6から取り外されることを許容するアンロック位置において、前側の切欠き部90において外方へ押されるように解放され、雄型要素Aは、バネ48,14の動作によって押し戻される。雄型要素Aは、雌型要素Bから徐々に取り外され、バネ48,14のそれぞれの動作の下でのバルブ4及びドロワ11の閉鎖位置への復帰により、ガスケット46,15のシールの回復及び雄型要素Aと雌型要素Bの間の連通の停止が引き起こされる。雄型要素Aが操作者によって一旦完全に取り外されると、次に、ロックリング9は、操作者によって解放され、バネ10によって前進方向へ押し戻される。そして、雌型要素Bは、雄型要素Aとの新たな結合に備えられる。
【0052】
バルブ4は、図9及び図10に示されているように、以下のように雄型本体部2に取り付けられる。雄型本体部2は、工具3と接するその平坦な軸方向の面22a(図1参照)に係合しており、この工具は、雄型本体部2の外径に対応する直径の第1の穴30と、第1の穴30から工具3の反対側の面へ向けて延びる第2の穴32とを含んでいる。これら穴30,32は、雄型要素Aの中心軸線X上で心合わせされている。第2の穴32は、円筒ノズル面200eの内径d200eに対応する直径を有している。
【0053】
バネ48、そして後部42は、内部通路200と連通する穴32へ挿入される。そして、3つの結合ボール44は前部40のハウジング402に係合し、ボール44及びガスケット46を備えた前部40は、第2の穴32内へ挿入される。したがって、後部42及び前部40は、別々に穴32内へ挿入される。第1の穴30とは反対側の穴32のノズルは、ガスケット46の徐々の圧搾を許容する傾斜した輪郭部32aを有している。
【0054】
結合ボール44に対して接する円すい台状の面426bを有する、後部42及び前部40は、図10の配置において、第2の穴32の直径に対応する直径を有するロッド340を有する他の工具34によって、結合ボール44が内側スロット200cと径方向に一直線となるまで、雄型本体部2内で、バネ48の力に抗して雄型本体部2の前端部22のノズル及びノズル面200eによって規定された内部空間を通して押される。このとき、工具3,34は接触している。そして、結合ボール44は、円すい台状の面426b及びフランジ部426cによって、スロット200cにおいて径方向に分離され、バネ48の動作の下で、ボール44が後部42の溝426aに収容されるように、後部42が雄型本体部2の前方へ向けて押し戻される。雄型本体部2において取り付けられたバルブの配置が達成される。フランジ部426cの外半径R426cと径方向の寸法h44、すなわち結合ボール44の直径の合計は、溝426aに係合する前に結合ボール44がフランジ部426cを横切ることを許容する内側スロット200cの半径R200cよりも小さく、結合ボール44が内側スロット200cから軸方向にずらされている場合に結合ボールが外側の溝426aに係合したままであることを許容する円筒面200fの内半径よりも大きい。半径R200cとハウジング402における前部40の最大の外半径の間の差は、バルブ4が内部通路200において取り付けられた配置にある場合に、結合ボール44がハウジング402から離脱することがないように、結合ボール44の径方向の寸法h44よりも小さい。外側の溝426aの半径と結合ボール44の径方向の寸法h44の合計は、バルブ4が内部通路200を閉止する位置にある場合に、結合ボール44が雄型本体部2の内側の円すい台状の面200dに対するバルブ4の軸方向の隣接を生じさせることを許容する直径d200eの半分よりも大きいが、円筒面200fの半径よりも小さい。
【0055】
工具34は穴32から取り外され、前部42、後部40及び結合ボール44を含むアセンブリは、バネ48によって雄型要素Aの前側へ押し戻され、円すい台状の面200dと、内側の円筒ノズル面200eとシールされて接触するガスケット46とに対して接する。結合ボール44は、バルブ4の雄型本体部2との結合を提供する。後部42は、軸方向の面41,421において、バネ48によって、直接的な接触により前部40に対する軸方向の接触をしたままとなる。操作者が工具3から雄型要素Aを取外し、ホースTを後尾部24へ配置すると、雄型要素Aが結合に備えられる。
【0056】
雄型本体部2において取り付けられたバルブ4の配置では、結合ボール44がスロット200cからずらされていれば、結合ボール44は、ハウジング402において前部40で軸方向に固定され、円筒面200fによって後部42のフランジ部426cを軸方向に妨げたままの結合ボール44によって、前部40と後部42を軸方向に分離する障害を形成する。この配置においては、ボール44は、前部40及び後部42に軸方向において固定されている。
【0057】
継手Rは、雄型要素Aを雌型要素B内へ押し戻すこと、及びそしてロックリング9を後退させることから成る必要な2つの操作による安全な分離を有している。2つの結合要素はバルブを備えており、結合解除にあたって漏れが生じない。
【0058】
雄型要素A及び雌型要素Bは、平坦な面を有するバルブを備えている。バルブ4が内部通路200の閉鎖位置にあれば、雄型要素Aの平坦な面40a,22aは、閉鎖位置において軸方向に一直線となり、ドロワ11が内側管路600の閉鎖位置にあれば、平坦な面110,13aについても同様に、継手Rの操作中に雄型要素Aと雌型要素Bの間に流体がとどまることができる空間が形成されないように軸方向に一直線となる。結果として、結合解除にあたって滴下が生じない。
【0059】
いくつかの部分で構成されたバルブ4は、雄型要素Aの前側を介して取り付けられることが可能である。特に、前部40、後部42及び結合ボール44は、雄型要素Aの前端部22において、雄型本体部2のノズルを介して雄型要素Aの内部通路200内へ挿入されている。
【0060】
雄型要素Aの前側を介したバルブ4の組立により、後尾部24を含む一体的な雄型本体部2を製造すること、及び最小の外側の大きさで最大の流路を得ることが可能である。
【0061】
結合ボール44によって形成された結合部材により、流路への低減された衝撃と、雄型本体部2における満足のいくバルブ4の心合わせとが可能となる。
【0062】
バルブ4の閉鎖位置は、後部42と前部40の間の軸方向の直接的な接触、及びバルブ4の閉止配置において内側スロット200cと結合ボール44の間に存在する軸方向のずれによって保証される。
【0063】
後部42と前部40の間の軸方向の直接的な接触は、特に結合ボール44がスロット200cと径方向において一直線となる場合に、雄型本体部2におけるバルブ4の移動中のハウジング402における結合ボール44の径方向の移動を制限する。
【0064】
バルブ4と雄型本体部2の間のシールを提供するガスケット46は、前方のシールに比して流路部分を増大させる径方向のシールを提供する。
【0065】
中央ピストンシステム13とのバルブ4の協働及び雄型本体部2とのドロワ11の協働により、最大の流路を保証する結合された配置での、それぞれ内部通路200及び内側の空洞部600におけるバルブ4とドロワ11の軸方向の位置を保証する。
【0066】
前方からの中央ピストン13及びドロワ11の組立と、ピン17による雌型本体部6におけるピストン13の固定とにより、比較的小さな径方向の寸法及び最小の外部の大きさにおける最大の流路を有する、一体的な雌型本体部6を製造することが可能となる。
【0067】
結合及び最大の結合移動距離における雌型本体部6に対する雄型本体部2の隣接を受ける2つの円筒ガイド範囲ZC1,ZC2での二重のガイドは、結合における人間工学に有利である。
【0068】
図11には、キャリパE及びブレーキレバーブロック8を含むサイクル車のための油圧ブレーキ回路Cが部分的に示されている。図11では、回路は結合されずに示されているとともに、ホースTが部分的に示されている。ホースT又はラインは、キャリパEとブレーキレバーブロック8の間の連通を提供する。回路Cは、キャリパEの内側管路及びブレーキレバーブロック8の内側管路80とホースTを結合するための本発明による2つの継手R1,R2を含んでいる。継手R1,R2が結合された配置にあれば、ブレーキ液、特にオイルは、サイクル車を減速させるためのサイクル車のブレーキディスクに作用するブレーキクリップを作動させるために、ブレーキレバーブロック8から油圧回路CへキャリパEに向けて押される。
【0069】
継手R1,R2では、径方向においてより大きい雌型要素Bが有利にはキャリパEの内側管路の端部又はブレーキレバーブロック8の内側管路80の端部に配置されている一方、より小さな雄型要素AはホースTの2つの端部ごとに備える。不図示の代替形態では、回路Cは、ホースTとブレーキキャリパEの間又はホースTとブレーキブロック8の間の結合を提供する1つの継手Rと、ホースTの他端及びブレーキ回路の対応する要素のために設けられた他の継手とを含むことができる。
【0070】
本発明の第2の実施例が図12に示されている。この実施例では、第1の実施例と共有される要素は、同一の参照符号を有しているとともに、同様に動作する。差異についてのみ以下に概説する。
【0071】
この実施例では、雄型要素A’がバルブ4’を含んでおり、その構造は、バルブ4の構造に比べて逆になっている。結合ボール44と協働する外側の溝を備えたバルブ4’の一部が前部40である一方、ボール44のための径方向のハウジングを備えた部分が後部42である。前部40は、第1の実施例の端部426と似たように、比較的小さな直径を有する後端部406と、外側の溝406aと、フランジ部406bと、円すい台状の面406cとを有しており、この円すい台状の面の直径は、雄型要素A’の後方へ向けて小さくなる。穴428及び径方向に貫通するハウジング430は、後部42に配置されている。穴428は、軸方向のオリフィス422を延長させるとともに、後端部406を受ける。結合ボール4は、ハウジング430内に収容されているとともに、雄型本体部2におけるバルブ4の配置において外側の溝406a内に収容されている。
【0072】
雄型本体部2におけるバルブ4’の取付のプロセスは、結合ボール44がハウジング430に取り付けられるとともに、雄型本体部2への前部40の挿入に先立って後部42と共に雄型本体部2内へ挿入されることを除いて、図9及び図10に示されたプロセスと同一である。次に、結合ボール44は、バネ48及び円すい台状の面406cの結合動作並びに上述の原理と類似した原理による前部40の後部42との係合の下で溝406aに係合される。
【0073】
不図示の一実施例によれば、前部40と後部42の間の結合部材は、ボール44とは異なってよく、例えばたわんだセグメント又はスリット化されたリングであってよい。
【0074】
不図示の一実施例によれば、前部及び後部は、螺着又は圧入によって互いに軸方向に固定されることができる。この場合、切欠き部及びフランジ部は小さな直径を有する端部において省略されることができ、結合部材のためのハウジングを省略することができ、比較的小さな直径を有する端部の外面は、径方向において結合部材と協働する。
【0075】
不図示の一実施例によれば、バルブ4は、前部40、後部42、結合部材及び円筒ノズル面200eにおいて雄型本体部において収容されるガスケット46で形成される。
【0076】
継手を、サイクル車用の制動に応用されるものとして説明したが、呼吸可能な空気の連通のために、又は安全な結合解除の操作及び制限された大きさを保証する必要がある他の流体の連通のために実行することが可能である。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12