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特許7049804プログラミング学習用電子機器及びプログラミング学習用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】プログラミング学習用電子機器及びプログラミング学習用キット
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/18 20060101AFI20220331BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20220331BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G09B23/18 B
G09B19/00 Z
H05K1/02 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017204884
(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2019078858
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】足利 昌俊
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-202716(JP,A)
【文献】登録実用新案第3042977(JP,U)
【文献】登録実用新案第3155193(JP,U)
【文献】ものづくりのアイデアを「MESH」で実現しよう,親子で始める プログラミング,日経BP社,2016年09月19日,第60頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56
17/00-19/26
23/00-29/14
H05K 1/00-1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラミング学習用電子機器であって、
絶縁性を有する基台と、
蓄電器を含む学習用電気回路の一部を構成し、かつ、前記基台に設けられる部分電気回路と、
前記基台における前記部分電気回路の回路端にそれぞれ設けられていて前記学習用電気回路の他部との接続に利用される複数の接続部と、
前記部分電気回路の開閉を切り替えるスイッチと、
プログラミングされたプログラムの実行処理に基づく指示に対応して前記スイッチの開閉を切り替えるスイッチ制御部と、
前記スイッチ制御部が前記スイッチの開閉を切り替えるための制御用電気回路と
を備えるプログラミング学習用電子機器。
【請求項2】
前記蓄電器は、前記基台に設けられている
請求項1に記載のプログラミング学習用電子機器。
【請求項3】
前記学習用電気回路は、メーター部品をさらに備えている
請求項1に記載のプログラミング学習用電子機器。
【請求項4】
前記スイッチは、前記部分電気回路の開閉を電気的に行う
請求項1~3のいずれか一項に記載のプログラミング学習用電子機器。
【請求項5】
前記スイッチ制御部は、有線通信又は無線通信を介して前記プログラムの実行処理に基づく指示が入力される
請求項1~4のいずれか一項に記載のプログラミング学習用電子機器。
【請求項6】
前記スイッチ制御部はさらに、前記プログラムの実行処理を行う処理装置を備え、前記プログラミングされたプログラムの実行処理を行う
請求項1~のいずれか一項に記載のプログラミング学習用電子機器。
【請求項7】
プログラミング学習用キットであって、
プログラミング学習用電子機器と、
前記プログラミング学習用電子機器と有線通信又は無線通信を介して通信可能なプログラミング装置と、を備え、
前記プログラミング学習用電子機器は、
絶縁性を有する基台と、
蓄電器を含む学習用電気回路の一部を構成し、かつ、前記基台に設けられる部分電気回路と、
前記基台における前記部分電気回路の回路端にそれぞれ設けられていて前記学習用電気回路の他部との接続に利用される複数の接続部と、
前記部分電気回路の開閉を切り替えるスイッチと、
前記プログラミング装置でプログラミングされたプログラムの実行処理に基づく指示に対応して前記スイッチの開閉を切り替えるスイッチ制御部と、
前記スイッチ制御部が前記スイッチの開閉を切り替えるための制御用電気回路と
を備えるプログラミング学習用キット。
【請求項8】
前記学習用電気回路は、前記学習用電気回路用の電源と、電気の有無で状態が変化する電気機器と、前記プログラミング学習用電子機器の部分電気回路とが直列接続されてなる
請求項7に記載のプログラミング学習用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、児童や生徒の学習に用いられるプログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気回路を学習するための学習用電気機器として、特許文献1に記載のような電気機器が知られている。
特許文献1に記載の学習用電気機器は、外部接続電極を有する複数の実装回路部品と、複数の実装回路部品相互の間を実装回路部品の外部接続電極を介して配線接続する配線パターンの形成された配線板と、配線板を挟んで実装回路部品の永久磁石を吸着する部品吸着板とを備える。そして、学習用電気機器は、実装回路部品の永久磁石が部品吸着板に吸着することで、実装回路部品に実装した回路素子を外部接続電極を介して配線板に形成された配線パターンに回路結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-166920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、学校教育において、児童や生徒に上述したような電気回路の学習のみならず、プログラミングの学習を行わせることが検討されている。この点、特許文献1に記載の学習用電気機器によれば、電気回路の学習をすることが可能ではあるが、プログラミングの学習については考慮されていない。ところで通常、プログラミングの学習では、コンピュータ等の演算装置を利用する。しかしながら、プログラムへの指示の入力、及び、処理結果の出力がコンピュータ内で完結するようなプログラムの場合、多少なりともコンピュータに関心を持たない児童が含まれている学校教育において、児童や生徒に教育的に効果のある適切な実体験をさせることが困難であるおそれもある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プログラミングの学習において児童や生徒に適切な実体験をさせることのできるプログラミング学習用電子機器及びプログラミング学習用キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するプログラミング学習用電子機器は、プログラミング学習用電子機器であって、絶縁性を有する基台と、蓄電器を含む学習用電気回路の一部を構成し、かつ、前記基台に設けられる部分電気回路と、前記基台における前記部分電気回路の回路端にそれぞれ設けられていて前記学習用電気回路の他部との接続に利用される複数の接続部と、前記部分電気回路の開閉を切り替えるスイッチと、プログラミングされたプログラムの実行処理に基づく指示に対応して前記スイッチの開閉を切り替えるスイッチ制御部と、前記スイッチ制御部が前記スイッチの開閉を切り替えるための制御用電気回路とを備えている。
好ましい構成として、前記蓄電器は、前記基台に設けられている。また、前記学習用電気回路は、メーター部品をさらに備えている。さらに、前記スイッチは、前記部分電気回路の開閉を電気的に行うものである。
【0007】
このような構成によれば、プログラミングされたプログラムの実行結果として学習用電気回路のスイッチが作動する。よって、プログラミングの学習において児童や生徒にプログラムと当該プログラムの実行処理に基づくスイッチの動作との関連性を適切に実体験させることができる。
【0008】
具体的には部分電気回路の学習用電気回路の他部との連続性を維持し、接続部やスイッチや蓄電器やメーター部品が学習用電気回路に組み込まれているとの理解が容易になる。また、一般に操作の必要性が理解されているスイッチは、これを駆動操作する回路図が描かれていないことにより、その操作がプログラムから行われるということを説明することで、実体験できるようになっている。つまり、プログラムの実行処理に基づく指示でスイッチが開閉されて実験用電気回路に電気が流れたり、止まったりすることを実体験させることができる。
【0009】
好ましい構成として、前記複数の接続部はそれぞれ前記基台に突設された接続端子であり、前記配線図において、前記スイッチに対応する記号は前記スイッチの近傍に描かれている。
【0010】
このような構成によれば、スイッチの記号がスイッチの近傍に描かれているのでスイッチとスイッチの記号との関連性が理解されやすい。なお、スイッチを基台の内側に設けるような場合、スイッチのある位置に対応する表面にスイッチの記号を描くことでスイッチの存在を想像しやすくなる。例えば、スイッチが認識できるように透明の基台を使った場合などには記号とスイッチとの関連性が容易に理解される。
【0011】
好ましい構成として、前記スイッチは前記基台の表面に露出する面を有し、前記スイッチに対応する記号は前記露出する面に描かれている。
このような構成によれば、スイッチの記号がスイッチの露出する面に描かれているのでスイッチとスイッチの記号との関連性が理解されやすい。また、このようにスイッチの面にスイッチに対応する記号を描くことで、スイッチの機能を直接視認できないようなスイッチであっても、実験用電気回路として理解が求められる部分電気回路に着目させることができるようになり学習効果が高められる。
【0012】
好ましい構成として、前記露出する面に描かれている前記スイッチに対応する記号には、前記基台の表面に描かれている配線が接続するように描かれている。
このような構成によれば、基台の表面にスイッチがその面を露出させていたとしても、そこで配線図が途切れることなく配線の記号が描かれるので、部分電気回路の構成を理解することが容易である。
【0013】
好ましい構成として、前記部分電気回路はさらに、前記スイッチと直列又は並列に電気の有無に応じて状態が変化する電気部品が接続され、前記配線図には、前記電気部品が接続されていることを示す配線が描かれている。
【0014】
このような構成によれば、スイッチが通電状態であるか否か(通断)を電気部品の状態から判別することができる。
好ましい構成として、前記スイッチはリレーであり、前記スイッチ制御部は、前記リレーを駆動させるための電源を有している。
【0015】
このような構成によれば、駆動用の電源が必要なリレーを学習用電気回路のスイッチとして利用することができる。
好ましい構成として、前記スイッチ制御部は、有線通信又は無線通信を介して前記プログラムの実行処理に基づく指示が入力される。
【0016】
このような構成によれば、プログラムの実行処理をする装置、例えばコンピュータやタブレットなどからスイッチ制御部の動作が制御されるようになる。また、コンピュータやタブレットで学習に適したプログラミング環境(ユーザインターフェイス)を提供すれば学習効果が高められるようにもなる。
【0017】
好ましい構成として、前記スイッチ制御部はさらに、前記プログラムの実行処理を行う処理装置を備え、前記プログラミングされたプログラムの実行処理を行う。
このような構成によれば、スイッチ制御部でプログラムの実行処理が行われるようになることから、実験用の電気回路の構成が単純化され、学習に適した環境を提供することができる。
【0018】
上記課題を解決するプログラミング学習用キットは、プログラミング学習用電子機器と、前記プログラミング学習用電子機器と有線通信又は無線通信を介して通信可能なプログラミング装置と、を備え、前記プログラミング学習用電子機器は、絶縁性を有する基台と、蓄電器を含む学習用電気回路の一部を構成し、かつ、前記基台に設けられる部分電気回路と、前記基台における前記部分電気回路の回路端にそれぞれ設けられていて前記学習用電気回路の他部との接続に利用される複数の接続部と、前記部分電気回路の開閉を切り替えるスイッチと、前記プログラミング装置でプログラミングされたプログラムの実行処理に基づく指示に対応して前記スイッチの開閉を切り替えるスイッチ制御部と、前記スイッチ制御部が前記スイッチの開閉を切り替えるための制御用電気回路とを備えている。
【0019】
このような構成によれば、コンピュータを含むプログラミング装置で学習に適したプログラミング環境(ユーザインターフェイス)を提供することで学習効果が高められるようになる。
【0020】
好ましい構成として、前記学習用電気回路は、前記学習用電気回路用の電源と、電気の有無で状態が変化する電気機器と、前記プログラミング学習用電子機器の部分電気回路とが直列接続されてなる。
【0021】
このような構成によれば、電気回路の学習に用いられる電気部品を利用してプログラミング学習用機器によるプログラミング学習が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プログラミングの学習において児童や生徒に適切な実体験をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】プログラミング学習用電子機器及びプログラミング学習用キットを含んで具体化された電気回路の第1の実施形態を示す模式図。
図2】同実施形態のプログラミング学習用電子機器の斜視図であって、(a)は上面方向から見た図、(b)は下面方向から見た図。
図3】同実施形態のプログラミング学習用電子機器と、プログラミング装置と、それらが通信接続されていることとを示す模式図。
図4】同実施形態のスイッチの回路構成を詳細に示す回路図。
図5】プログラミング学習用電子機器の第2の実施形態を示す斜視図。
図6】プログラミング学習用電子機器の第3の実施形態を示す斜視図。
図7】プログラミング学習用電子機器の第4の実施形態を示す斜視図。
図8】プログラミング学習用電子機器の第5の実施形態を示す斜視図。
図9】プログラミング学習用電子機器の他の実施形態を示す斜視図。
図10】プログラミング学習用電子機器のその他の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1図4を参照して、プログラミング学習用電子機器及びプログラミング学習用キットの具体化された第1の実施形態について説明する。
【0025】
図1に示すように、学習用電気回路としての電気回路10は、電池ケース11と、発光部品12と、プログラミング学習用電子機器としてのスイッチ部13とがそれぞれの間を接続配線Jで電気的に接続されることで構成される。接続配線Jは、絶縁被膜に覆われた導電線の各端末に導電性を有するミノムシクリップCLを有する。ミノムシクリップCLは、挟み込んだ導電体に接続配線Jを電気的に接続させる。電池ケース11は、導電性を有する2つの接続端子11A,11Bとそれらの間に直列に接続される実験用電気回路の電源である電池111とを備える。発光部品12は、導電性を有する2つの接続端子12A,12Bと、それらの間に直列に接続され、電気が流れることで発光する発光素子121とを備える。発光素子121は、例えば豆電球である。スイッチ部13は、導電性を有する2つの接続部としての接続端子21A,21Bと、それらの間に直列に接続されるスイッチ22とを備えている。スイッチ部13において、2つの接続端子21A,21Bとそれらの間に直列に接続されるスイッチ22とから構成される回路が部分電気回路を構成する。よって、電気回路10は、スイッチ22が閉じることで電池111から供給される電気で発光素子121が発光する。逆に、この電気回路10は、スイッチ22が開くことで電池111から電気の供給が止められて発光素子121が消灯する。
【0026】
スイッチ22は、いわゆるリレーであって、開閉が切り替えられる接点回路を有し、その接点回路が2つの接続端子21A,21Bの間に設けられることで実験用の電気回路10の開閉を行う。また、スイッチ22の開閉はスイッチ制御部30により切り替えられる。
【0027】
スイッチ制御部30は、通信部33による無線通信15を介してプログラミング装置としてのコンピュータ14との情報通信等が可能になっているとともに、コンピュータ14からの指示に応じてスイッチ22の開閉を切り替えることができる。本実施形態では、スイッチ部13とコンピュータ14とを含んでプログラミング学習用キットが構成される。
【0028】
図2を参照して、スイッチ部13について説明する。スイッチ部13は、大まかに基台20と、基台20に設けられた部分電気回路と、基台20に取り付けられたスイッチ制御部30とを含む。
【0029】
図2(a)に示すように、スイッチ部13は基台20を備え、基台20の表面を構成する上面20Aには、2つの接続端子21A,21Bが突設されているとともに、スイッチ22が露出配置されている。また、基台20の上面20Aには、スイッチ部13の配線図として、2つの接続端子21A,21Bを結ぶ配線の記号130が、途中に配置されているスイッチ22の上面22Aを経由するように描かれている。また、スイッチ22の上面22Aには、スイッチの記号131が配線の記号130の途中に直列接続されるかたちで描かれている。なお、スイッチ22は直方体であって、スイッチの記号131が上面22Aの一辺から対向する他辺に至るまで描かれており、配線の記号130は、上方から見ると、基台20の上面20Aのスイッチの記号131に接続しているように見えるように描かれている。
【0030】
図2(b)に示すように、基台20の下面20Bには、スイッチ22の開閉を制御するスイッチ制御部30と、基台20の下面20Bの凹部25であって、スイッチ制御部30をはめ込む凹部25と、スイッチ制御部30の接続端子部31に対応する接続端子26(図4参照)の配置された接続部25Aとが設けられている。本実施形態では、スイッチ制御部30は、凹部25にはめ込まれることで基台20の外表面から突出しないように基台20に取り付けられる。凹部25は、スイッチ制御部30の外形に対応する形状を有する基端部25Bと、スイッチ制御部30の外形との間に操作用の空間を有している取り外し操作部25Cを備えている。
【0031】
本実施形態のスイッチ制御部30は、基台20からスイッチ制御部30が突出しないようにすることでスイッチ部13とスイッチ制御部30との一体感が高められ、スイッチ制御部30がことさらに目立ち、児童や生徒の学習において電気回路10に対する意識がおろそかになるようなことを抑制させる効果が期待される。学習用の電子部品はその外形が学習効果に影響を及ぼすこともあるため、学習効果を低減させない外形であることがより望ましい。
【0032】
スイッチ制御部30は、その筐体32内にスイッチ22を駆動可能な内部電源と、内部電源からの電源の供給・停止を切り替える内部スイッチと、無線通信可能な通信部33とを備える。スイッチ制御部30は、通信部33による無線通信15を介して外部のコンピュータ14等との情報通信が可能になっている。そして、外部のコンピュータ14からの指示に応じて内部電源からの電源の供給・停止を切り替え、この電源で駆動される接点を有するスイッチ22の接続・切断を切り替える。通信部33は、例えば「Bluetooth(ブルートゥース)」(登録商標)や「Wi-Fi」等の汎用の無線通信規格や、USBを利用した有線通信を利用することができる。スイッチ制御部30は、充電及び通信用の接続部35を備えており、接続部35を介して内部電源を充電したり、情報通信をしたりすることも可能である。なお、接続部35は、例えばUSBの規格に準拠している。例えば、こうしたスイッチ制御部30として、HEMS(登録商標)のGPIOタグ(SONY社製)を用いることができる。
【0033】
図3に示すように、外部のコンピュータ14は、プログラミング用のユーザインターフェイス40を備えている。例えば、コンピュータ14は、スイッチ制御部30と同様の通信機能を有するボタン部300のボタンPBの操作状態を示すオン信号又はオフ信号が入力される。また、コンピュータ14は、スイッチ制御部30に電源の供給・停止の指示信号を出力する。コンピュータ14は、プログラミング用のユーザインターフェイス40を用いて、ボタン部300からの入力信号に応じた指示信号をスイッチ制御部30に出力する実験用プログラムを作成させることができるとともに、作成された実験用プログラムを実行する処理であるプログラム処理を行うことができる。例えば、実験用プログラムは、ボタン部300からオフ信号が入力されることに応じてスイッチ制御部30に電源の停止を指示する一方、ボタン部300からオン信号が入力されることに応じてスイッチ制御部30に電源の供給を指示するプログラムである。スイッチ部13は、コンピュータ14からの指示信号に対応してスイッチ制御部30が動作し、スイッチ制御部30の電源停止でスイッチ22が開(切断)し、スイッチ制御部30の電源供給でスイッチ22が閉(接続)する。
【0034】
図4を参照して、スイッチ22及びその周辺回路について詳述する。
スイッチ22は、例えば、Y14H-1C-3DS(直流3V小型リレー、接点容量:1A、HSIN DA(シンダ)プレシジョン製)等である。
【0035】
スイッチ22は、接点回路の一の端子Vinに一方の接続端子21Aが配線211を介して接続され、グランド端子Gに他方の接続端子21Bが配線212を介して接続されている。スイッチ22は、一の端子Vinとグランド端子Gとの接離を切り替える内部接点224を備えている。内部接点224は基端が一の端子Vinに接続されており、先端がグランド端子Gに接離可能に移動する。スイッチ22は、内部接点224を駆動する駆動部221を有し、駆動部221に電源を供給する一方の電源線222と他方の電源線223とが接続されている。例えば、スイッチ22は、一方の電源線222に正電圧、他方の電源線223に負電圧(コモン電圧)が印加されると、内部接点224を駆動させて一の端子Vinとグランド端子Gとを接続させる。一方、スイッチ22は、一方の電源線222と、他方の電源線223との間に電圧が印加されない場合、内部接点224が駆動せず一の端子Vinとグランド端子Gとが切り離される。本実施形態では、駆動部221と、それに接続される一方の電源線222及び他方の電源線223を含んで制御用電気回路が構成される。
【0036】
接続端子26は、スイッチ制御部30と電気的に接続する端子である。接続端子26は、1番端子が一方の電源線222に接続され、5番端子が他方の電源線223に接続されている。
【0037】
スイッチ制御部30は、例えば、GPIOタグ(型番:MESH-100GP、一般入出力インターフェイス、SONY製)であって、接続端子26に対応する端子を有している。接続端子26を参照して説明すると、1番端子は内部電源からの電源出力端子V、2~4番端子はデジタル入力端子Din、5番端子はグランド端子G、6~8番端子はデジタル出力端子Dout、9番端子はアナログ入力端子Ain、10番端子はPWM端子PWMである。本実施形態では、スイッチ制御部30は、電源出力端子Vからの内部電源供給の開始、停止が切り替えられることで駆動部221の稼働、非稼働が切り替わって内部接点224の通断、すなわち、スイッチ22としての接続・切断が切り替わる。
【0038】
図1及び図2を参照して本実施形態の作用について説明する。
電気回路10は、児童や生徒の学習用の回路である。ここで、児童は小学生に対応する年齢の子供のことであり、生徒は中学生及び高校生に対応する年齢の子供のことである。従来、電気回路10の学習には、電池ケース11と発光部品12とを使った回路や、電池ケース11と発光部品12と手動スイッチとを使った回路等が利用されている。しかし近年、身近な電気製品についてもプログラム処理に基づいて動作しているものが少なくない。そこで、プログラミングを体験することを通じて、プログラムの仕組みを体験的に学習させることが考えられている。
【0039】
しかしながら、自主的に学習している児童や生徒は別にして、プログラミングを体験したことのない児童等にとってプログラムはその理解が困難であるおそれがあり、プログラムを体験的に学習させることは容易ではないと考えられている。
【0040】
そこで、本発明の発明者らは、従来の電気回路10を利用しつつ、プログラミングについても体験的に学習することができるプログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットを発明した。
【0041】
このプログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットは、例えば、以下のような手順で学習を進めることでプログラミングを体験的に学習させることができる。
【0042】
まず、電気回路10を、電池ケース11と発光部品12とをそれぞれの間を接続配線Jで電気的に接続することで回路を構成する。このとき、電池ケース11の電池111の電気が発光部品12に流れて発光素子121が発光することは回路構成を見て、及び、実体験として理解することができる。
【0043】
続いて、上述した回路に、直列にスイッチ部13を追加する。すなわち、図1に示すように、電気回路10を、電池ケース11と、発光部品12と、スイッチ部13とをそれぞれの間を接続配線Jで電気的に接続することで回路を構成する。このとき、発光部品12は発光しないことから、スイッチ部13が電気回路を切断していることが理解される。また、こうした理解が容易になるように、スイッチ部13には、2つの接続端子21A,21Bを電気的に接続している配線の記号130、及び、その配線の記号130の途中に回路の通断を切り替えるスイッチの記号131が大きく描かれている。接続端子21A,21Bは、電気が通ることを実体験していることから、スイッチ部13に描かれた配線の記号130及びスイッチの記号131から、スイッチ部13には電気の通り道のあることが配線の記号130から理解されるとともに、この電気の通り道の途中には回路を開閉する接点があることがスイッチの記号131から理解される。
【0044】
ここで、スイッチの記号131から電気回路10は、スイッチ部13に接点を有していることが理解できたが、この接点を操作するボタン等が見当たらないという疑問点を生じさせるが、この疑問点が学習の次のステップにつなげられる。次のステップで、本実施形態のプログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットを利用することで、プログラミングを体験的に学習することが可能になる。概略的には、スイッチ部13のスイッチ22は、コンピュータ14によるプログラム処理の指示を受けたスイッチ制御部30によって作動させられる構成を有していることを前提に、次に説明する体験的な学習を可能にする。
【0045】
まず、コンピュータ14のプログラム処理によって電源を供給する指示が伝達されたスイッチ制御部30は、1番端子に電源を供給してスイッチ22の駆動部221を稼働させて2つの接続端子21A,21Bの間の回路を閉じる、すなわち、スイッチ22を「オン」させた状態にする。スイッチ22が「オン」すると、電気回路10の発光素子121が発光する。これにより、スイッチ部13に描かれたスイッチの記号131によってスイッチ22の存在を理解している学習者は、コンピュータ14のプログラム処理とスイッチ部13のスイッチ22の動作との関係性を認識し、プログラム処理を介してスイッチ22が動作することを体験的に学習する。
【0046】
このとき、いたずらに正確を期し、スイッチ部13にスイッチ22の駆動部221やスイッチ制御部30と接続する配線等を描いてしまうと、スイッチ部13に描かれている回路が複雑になって電気回路を学習する児童等の理解に混乱を与え、学習効果が低下するおそれが高い。そこで、スイッチ部13には、実験用の電気回路10に接続されて、同電気回路10を構成する部分の電気回路のみを選択的に描画することで電気回路10の構成を児童等が理解できるようにしている。また、スイッチ22は、「手」等で操作しなければいけないという一般的な理解を利用して、その操作がプログラム処理によって行われているということを説明することで、児童等にプログラムがスイッチ22を操作する「手」に相当する役目をになっていることを理解させる。
【0047】
さらに次のステップとして、プログラムの「手」は、プログラミングした条件に応じて作動する「手」であることを理解させるようにできる。
図3を参照して、プログラミングの一例について説明する。ここで、電気回路10に接続していないボタン部300のオン信号又はオフ信号がコンピュータ14に入力されることをユーザインターフェイス40で確認することができる。また、コンピュータ14のユーザインターフェイス40でスイッチ制御部30に対応するアイコンを操作すると、スイッチ22が開閉することを電気回路10の発光部品12で確認することができる。なお、こうした操作の背後では多数のプログラム処理が行われているが、児童等は、それらを意識することなくユーザインターフェイス40とボタン部300及びスイッチ22(スイッチ制御部30)との関係性を実体験し、理解することが可能である。
【0048】
その上で、児童等は、ユーザインターフェイス40を利用して、ボタン部300のオン/オフに対応してスイッチ22がオン/オフするようになるプログラムを考える(プログラミングする)ことができるようになる。
【0049】
例えば、ユーザインターフェイス40では、ボタン部300に対応するアイコンIC1の出力をスイッチ22(スイッチ制御部30)に対応するアイコンIC2の入力に接続することで、ボタン部300の操作に応じてスイッチ22(スイッチ制御部30)が動作するプログラムを作成することができる。また、ボタン部300に対応するアイコンIC1の出力と、スイッチ22(スイッチ制御部30)に対応するアイコンIC2の入力との接続を削除すると、ボタン部300を操作してもスイッチ22(スイッチ制御部30)が動作しないプログラムを作成することができる。これらのことにより、ユーザインターフェイス40を用いたプログラミングによって作成されたプログラムで電気回路10を操作することができることを理解させることができるようになる。
【0050】
なお、プログラミングの理解のしやすさは、ユーザインターフェイス40の機能によるところが大きいものの、プログラミングを身近な電気部品を通じて実体験するためには、本実施形態のプログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットを利用することが望ましい。つまり、スイッチ部13は、実体験に必要な電気回路10を構成する配線の記号130及びスイッチの記号131のみを明確に描くようにした。一方、スイッチ22の駆動部221、スイッチ制御部30の制御回路、無線通信15、コンピュータ14での処理等は、スイッチ部13への明示を省略した。これにより、実際には複雑な構成を有するスイッチ部13を、児童等に着目させたい部分だけに単純化させて見せつつ、プログラムとの関連性を理解させることができ、この理解を基に、プログラミングによって作成されたプログラムで電気回路10が操作可能であることを実体験させることができた。
【0051】
以上説明したように、プログラミング学習用電子機器、及び、プログラミング学習用キットによれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)プログラミングされたプログラムの実行結果として学習用電気回路のスイッチ22が作動する。よって、プログラミングの学習において児童や生徒にプログラムと当該プログラムの実行処理に基づくスイッチ22の動作との関連性を適切に実体験させることができる。このとき、電気回路10の学習に用いられる電気部品を利用してプログラミング学習用機器によるプログラミング学習が可能になる。
【0052】
具体的には、基台20の上面20Aに部分電気回路(配線の記号130及びスイッチの記号131)の配線図のみを描画することで、部分電気回路の学習用電気回路の他部との連続性を維持し、接続端子21A,21Bやスイッチ部13が学習用電気回路に組み込まれているとの理解が容易になる。また、一般に操作の必要性が理解されているスイッチ22は、これを駆動操作する回路図が描かれていないことにより、その操作がプログラムから行われるということを説明することで、実体験できるようになっている。つまり、プログラムの実行処理に基づく指示でスイッチ22が開閉されて実験用電気回路に電気が流れたり、止まったりすることを実体験させることができる。
【0053】
(2)スイッチの記号131がスイッチ22の露出する上面22Aに描かれているのでスイッチ22とスイッチの記号131との関連性が理解されやすい。また、このようにスイッチ22の上面22Aにスイッチの記号131を描くことで、スイッチの機能を直接視認できないようなスイッチ22であっても、実験用電気回路として理解が求められる部分電気回路に着目させることができるようになり学習効果が高められる。
【0054】
(3)基台20の上面20Aにスイッチ22がその上面22Aや側面を露出させていたとしても、そこで配線図が途切れることなく配線の記号130が描かれるので、部分電気回路の構成を理解することが容易である。
【0055】
(4)スイッチ22が通電状態であるか否か(通断)を発光部品12の状態から判別することができる。
(5)駆動用の電源が必要なリレーを学習用電気回路のスイッチ22として利用することができる。
【0056】
(6)プログラムの実行処理をする装置、例えばコンピュータ14等からスイッチ制御部30の動作が制御されるようになる。また、コンピュータ14やタブレットで学習に適したプログラミング環境(ユーザインターフェイス40)を提供すれば学習効果が高められるようにもなる。
【0057】
(第2の実施形態)
図5を参照して、プログラミング学習用電子機器の第2の実施形態について説明する。本実施形態のスイッチ部13は、発光素子23を備える点で第1の実施形態のスイッチ部13と相違する。そこで、以下では相違点を中心に説明し、同様である部分は、同一の符号を付しその説明を割愛する。
【0058】
スイッチ部13は、2つの接続端子21A,21Bの間に配線の記号132を有しているとともに、その配線の記号132の間にスイッチの記号131と、発光素子23とを配置させている。よって児童等は、このスイッチ部13は、2つの接続端子21A,21Bの間に回路を開閉する接点と発光素子23とが直列接続されていることを理解できる。そして、2つの接続端子21A,21Bに電源を接続し、スイッチ22を閉じる操作を行えば発光素子23が発光することを推測し、これを実体験することが可能になる。
【0059】
この構成によれば、上述した(1)~(6)の効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(7)電気回路10から発光部品12を省略することが可能になることから、電気回路10の構成を簡単にすることができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図6を参照して、プログラミング学習用電子機器の第3の実施形態について説明する。本実施形態のスイッチ部13は、ボタン24Aやセンサ24Bを備える点で第2の実施形態のスイッチ部13と相違する。そこで、以下では相違点を中心に説明し、同様である部分は、同一の符号を付しその説明を割愛する。
【0061】
ボタン24Aやセンサ24Bはその出力信号がスイッチ制御部30を介してコンピュータ14に入力される。よって、コンピュータ14は、ボタン24Aやセンサ24Bからの入力信号に対応して電源の供給・停止を指示する信号をスイッチ制御部30に出力するプログラムの実行処理に基づいてスイッチ部13によるスイッチ22の開閉操作を行うことができる。なお、センサ24Bとしては、温度センサ、湿度センサ、明るさセンサ、人感センサ等が挙げられる。
【0062】
この構成によれば、上述した(1)~(7)の効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(8)ボタン24Aやセンサ24Bを、ボタン部300に代替することができるのでプログラミングの学習に必要な部品を減らすことができるようになる。
【0063】
(第4の実施形態)
図7を参照して、プログラミング学習用電子機器の第4の実施形態について説明する。本実施形態のスイッチ部13は、基台50の構造とスイッチ制御部30の配置が第1の実施形態の基台20と相違する。そこで、以下では相違点を中心に説明し、同様である部分は、同一の符号を付しその説明を割愛する。
【0064】
基台50は、アクリル板などの絶縁板からなる上面50Aの左右に脚部50Bが設けられ、両脚部50Bで上面50Aが支持される構成を有している。上面50Aには、2つの接続端子51A,51Bと、本実施形態では図示しないスイッチ制御部30が接続される接続端子26が設けられている。なお、図示しないスイッチ22は上面50Aに露出しない部分に配置されている。基台50の上面50Aは、2つの接続端子51A,51Bの間に配線の記号133が描かれているとともに、配線の記号133の間にスイッチ22の仮想領域134とスイッチの記号131とが描かれている。これにより、基台50の上面50Aにスイッチ22が露出していない場合であれ、電気回路10が2つの接続端子51A,51Bの間に配線と開閉接点とを有することが、描かれた配線の記号133とスイッチの記号131とから理解できる。
【0065】
仮に、基台50の上面50Aが透光性を有するのであれば、スイッチ22が設けられている部分とスイッチ22の仮想領域134とを近傍の対応する位置に配置すれば、スイッチ22とスイッチの記号131とが結び付き、理解を容易にする。なお万一、露出しているスイッチ制御部30が開閉接点であると認識されても学習効果に及ぼす影響は小さい。
【0066】
この構成によれば、上述した(1),(4)~(7)の効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(9)スイッチの記号131がスイッチ22の近傍に描かれているのでスイッチ22とスイッチの記号131との関連性が理解されやすい。なお、スイッチ22を基台50の内側に設けるような場合、スイッチ22のある位置に対応する上面50Aにスイッチの記号131を描くことでスイッチ22の存在を想像しやすくなる。例えば、スイッチ22が認識できるように透明の基台50を使った場合などにはスイッチの記号131とスイッチ22との関連性をより容易に理解させることができる。
【0067】
(10)プログラミング学習用電子機器の作成が容易になる。
(第5の実施形態)
図8を参照して、プログラミング学習用電子機器の第5の実施形態について説明する。本実施形態のスイッチ部13は、基板からなる基台60の上面60Aにスイッチ制御部30やスイッチ22が露出配置されている点が第4の実施形態の基台50と相違する。そこで、以下では相違点を中心に説明し、同様である部分は、同一の符号を付しその説明を割愛する。
【0068】
基台60は、スペーサ60Bによる脚が四隅に設けられている。基台60は、上面60Aに2つの接続端子61A,61Bを突設させているとともに、スイッチ制御部30とスイッチ22とを露出配置させている。基台60の上面60Aは、2つの接続端子61A,61Bの間に配線の記号135が描かれているとともに、配線の記号135の間にスイッチ22の仮想領域134とスイッチの記号131とが描かれている。このとき、仮想領域134は、スイッチ22の近傍に並べて描くようにしている。これにより、基台60の上面60Aにスイッチ制御部30とスイッチ22とが露出している場合であれ、電気回路10が2つの接続端子61A,61Bの間に配線と開閉接点とを有することが描かれた配線の記号135とスイッチの記号131とから理解できるようになる。また、仮想領域134をスイッチ22の近傍に配置することで、スイッチ22を開閉接点であると認識させることのできる蓋然性が高まる。なお、スイッチ22を開閉接点と認識しなかったり、スイッチ制御部30を接点スイッチと認識したりしても、学習効果に及ぼす影響は小さい。
【0069】
この構成によれば、上述した(1),(4)~(7),(9)の効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(11)これによってもプログラミング学習用電子機器の作成が容易になる。
【0070】
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記第5の実施形態においてさらに、スイッチ22にスイッチの記号131が描かれたり、発光素子24が設けられたりしてもよい。
【0071】
例えば、図9に示すように、スイッチ部13は、基台70の上面70Aに配置されたスイッチ22の上面にスイッチの記号131が描かれているとともに、同上面70Aに発光素子24が設けられている。基台70は、スペーサ70Bによる脚が四隅に設けられ、上面70Aに2つの接続端子71A,71Bを突設させているとともに、接続端子26(スイッチ制御部30)とスイッチ22とを露出配置させている。基台70の上面70Aは、2つの接続端子71A,71Bの間に配線の記号136が描かれているとともに、配線の記号136の間に配置されたスイッチ22の上面にはスイッチの記号131が描かれている。また、配線の記号136は、その間に発光素子24が接続されているようなかたちで上面70Aに描かれている。これにより、電気回路10が2つの接続端子71A,71Bの間に配線と、開閉接点と、発光素子24とを有すること、及び、スイッチ22が開閉接点であることが、配線の記号136と、スイッチの記号131と、上面70Aに露出する発光素子24とから理解できる。
【0072】
・上記各実施形態では、電気回路10が電池ケース11と発光部品12とを含んでいる場合について例示した。しかしこれに限らず、電源となるのであれば、電池ケース11が電源装置、手回し発電機、又は光電池であってもよい。また、電気の有無で動作態様が変化するのであれば、発光部品12がモータ、LED、電子メロディー(音響部品)、電熱線、蓄電器、電流計、又は電圧計(メータ部品)であってもよい。また、電気回路10として成立するのであれば、電源が複数でも、発光部品等が複数であってもよい。
【0073】
・上記各実施形態では、電気回路10の接続配線JがミノムシクリップCLを有する電線である場合について例示した。しかしこれに限らず、電気回路10が構成されるのであれば、接続配線が、接続端部にねじ止めされる端子を有するものであったり、プリント基板の配線パターンであったり、導電性の金属板や金属箔であったり、導電性のペーストで描かれたものであったりしてもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、スイッチ22の駆動部221、スイッチ制御部30の制御回路、無線通信15、コンピュータ14での処理等は、スイッチ部13に明示しない場合について例示した。しかしこれに限らず、児童等の理解を妨げない大きさで示したり、妨げない位置に示したりするのであればスイッチの駆動部、スイッチ制御部の制御回路、無線通信、及びコンピュータでの処理等について記載してもよい。これにより、教育者の理解や、より深く理解したい学習者に対応することができる。
【0075】
・上記各実施形態では、電池ケース11や発光部品12等の支持部が無色透明であってもよいし、透光性を有する有色であったり、半透明又は不透明であったりしてもよい。なお、透明であったり、透光性を有したりする場合、配線等の視認が容易になるので電気回路の理解が容易になる。
【0076】
・上記各実施形態では、プログラムの実行処理がコンピュータ14で行われる場合について例示した。しかしこれに限らず、スイッチ制御部にプログラムの実行処理をさせてもよい。例えば、コンピュータでプログラミングしたプログラムをスイッチ制御部にダウンロードし、そのプログラミングされたプログラムの実行処理をスイッチ制御部で行うようにしてもよい。つまり、スイッチ制御部でプログラムの実行処理が行われるようになることから、実験用の電気回路の構成が単純化され、学習に適した環境を提供することができる。これによっても、プログラミングしたプログラムが意図通りに実行されることでプログラミングの学習を行うことができる。
【0077】
・上記各実施形態では、プログラムの実行処理がコンピュータ14で行われる場合について例示した。このとき、コンピュータ14は、パーソナルコンピュータでも、タブレットや、スマートフォン、組込型のコンピュータでもよいし、逆に、大型のコンピュータであってもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、スイッチ22がリレーである場合について例示した。しかしこれに限らず、スイッチは、学習用電気回路の開閉を切り替えることが可能であれば、機械的な接点(有接点スイッチ)でも、半導体リレー等の無接点スイッチでもよい。また機械的な接点は、電磁石で駆動されてもよいし、モータで駆動されてもよい。
【0079】
・上記各実施形態では、スイッチ制御部30がスイッチ22を駆動する電源を有している場合について例示したが、これに限らず、スイッチを駆動する電源は別に設けられていて、スイッチ制御部がリレー駆動用の回路の接続・切断を切り替え可能なスイッチのみを有していてもよい。
【0080】
・上記各実施形態では、発光部品12や発光素子23がスイッチ22に直列接続されている場合について例示したが、これに限らず、発光部品や発光素子がスイッチに並列接続されていてもよい。例えば、スイッチに並列接続された発光素子は、例えば、直列接続された場合と異なり、スイッチが開くと点灯し、閉じると消灯するようになる。
【0081】
・上記第1~3の実施形態では、スイッチ22の側面にも配線の記号130,132が描かれる場合について例示したが、これに限らず、スイッチの突出が低いことなどによって配線の連続性の認識が妨げられない場合、スイッチの側面の配線の記号等を一部又は全部省略してもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、スイッチ部13にスイッチ制御部30が電気的に接続されるとともに、機械的に接続されている場合について例示した。しかしこれに限らず、スイッチ部はスイッチ制御部が電気的に接続されているのであれば、機械的に接続されていなくてもよい。
【0083】
図10に示すように、スイッチ制御部30の接続可能な接続端子82を基台20に多芯線81で電気的に接続することで、接続端子82の位置を基台20に対して自由に配置できるようにしてもよい。これにより、スイッチ部13に接続されるスイッチ制御部30の形状に関する制約の低減が図られるようになる。
【0084】
・上記各実施形態では、スイッチ部13の配線図として配線の記号130とスイッチの記号131とが描かれる場合について例示したが、このとき、学習用の電気回路に接続されていたとしても、学習に不必要な電気部品や電気回路の描画を省略してもよい。例えば、スイッチ部の電気回路を構成するスイッチにサージ対策用のコンデンサなど、回路的に必要であったとしても学習には不必要な電気部品が接続されていることもあるが、こうした学習に不必要な電気部品はスイッチ部の配線図に描かれなくてもよい。つまり、スイッチ部に描かれている配線図は、正確に描かれている場合があってもよいし、学習に必要な回路だけに単純化されていてもよい。なお、正確に描くか、単純に描くかは、学習者の学習効果の高さを考慮して判断することができる。
【符号の説明】
【0085】
10…電気回路、11…電池ケース、11A,11B…接続端子、12…発光部品、12A,12B…接続端子、13…スイッチ部、14…コンピュータ、15…無線通信、20…基台、20A…上面、20B…下面、21A,21B…接続端子、22…スイッチ、22A…上面、23…発光素子、24…発光素子、24A…ボタン、24B…センサ、25…凹部、25A…接続部、25B…基端部、25C…操作部、26…接続端子、30…スイッチ制御部、31…接続端子部、32…筐体、33…通信部、35…接続部、40…ユーザインターフェイス、50…基台、50A…上面、50B…脚部、51A,51B…接続端子、60…基台、60A…上面、60B…スペーサ、61A,61B…接続端子、70…基台、70A…上面、70B…スペーサ、71A,71B…接続端子、111…電池、121…発光素子、130,132,133,135,136…配線の記号、131…スイッチの記号、134…仮想領域、211,212…配線、221…駆動部、222,223…電源線、224…内部接点、300…ボタン部、G…グランド端子、J…接続配線、CL…ミノムシクリップ、PB…ボタン、IC1,IC2…アイコン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10