(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】プラスチック容器製品
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20220331BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61J1/05 315B
A61J1/05 313J
A61J1/10 335D
(21)【出願番号】P 2017560762
(86)(22)【出願日】2016-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2016000497
(87)【国際公開番号】W WO2016188598
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】102015006489.4
(32)【優先日】2015-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514056207
【氏名又は名称】コッヒャー-プラスティック マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュパレック
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス ゲザー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グロー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シュプレング
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013012809(DE,A1)
【文献】特開平10-323379(JP,A)
【文献】特開平3-267063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形工程、充填工程及び密封工程によって一体的に製造されるプラスチック容器製品であって、
容器内容物を利用する目的で設定可能な区域でカニューレによって貫通可能である容器壁を有し、
容器壁にカニューレを突き刺す際に細片が押し出されて発生することを回避するために、貫通区域(33)における容器壁厚とISO527によるプラスチック材料の引張弾性率との数学的積が400MPa・mm未満であり、容器が一体的な頭部(7)を有するプラスチック容器製品において、
前記頭部(7)の
表面(9)にある前記貫通区域(33)が1~70mm
2であり、突き刺される区域の前記容器壁厚が少なくとも0.3mmであり、
前記容器の頭部(7)は該頭部(7)と固く結合されたキャップ(12)で覆われており、
前記キャップ(12)は、前記貫通区域(33)上又は前記貫通区域(33)の周りで外側から前記容器壁を押圧するエラストマ密封要素(19,21)を有し、該エラストマ密封要素(19,21)は前記キャップ(12)と前記頭部(7)の表面(9)との間に延びている、ことを特徴とするプラスチック容器製品。
【請求項2】
プラスチック材料として、
ISO3146による溶融温度が少なくとも130°Cの高い耐熱成形性を有し、
ISO527による平均伸び率が12%以上である、
少なくとも1種類の重合体が使用されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック容器製品。
【請求項3】
プラスチック材料としてポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、又はポリプロピレンベースのエラストマとのブレンドが製造に使用されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック容器製品。
【請求項4】
キャップ(12)と容器の前記頭部(7)の
表面(9)との間に、好ましくはエラストマ材料から形成された少なくとも1個の貫通可能な
エラストマ密封要素(19)が存在しており、該
エラストマ密封要素(19)は少なくとも突き刺す際に20N/cm
2以上の面圧で前記頭部(7)の
表面(9)を押圧することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック容器製品。
【請求項5】
少なくとも2個の互いに異なる貫通可能な
エラストマ密封要素(19、21)が提供され、一方の
エラストマ密封要素(19)はカニューレによる貫通のため、及び他方の
エラストマ密封要素(21)は中空針による貫通のためと、異なる目的に用いられることを特徴とする、請求項4に記載のプラスチック容器製品。
【請求項6】
少なくとも1個のエラストマ
密封要素(19)の硬さは、ショアA20~70であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のプラスチック容器製品。
【請求項7】
前記貫通区域(33)が20~50mm
2の領域に亘って前記頭部(7)の
表面(9)にあることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のプラスチック容器製品。
【請求項8】
容器(1)の頭部(7)は補強リブ(15)を有することを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載のプラスチック容器製品。
【請求項9】
容器(1)の頭部(7)は補強リブ(15)を有して、キャップ(12)のハウジング(17)と固く結合されていることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載のプラスチック容器製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器製品、特にブロー成形工程、充填工程及び密封工程(BFS工程)によって製造されるプラスチック容器製品であって、容器内容物を利用する目的で設定可能な区域でカニューレによって貫通可能である容器壁を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
医療目的(薬剤、診断)のためのプラスチック容器製品、例えば注射瓶、アンプル、又は静脈内注射用のプラスチック容器(DIN EN ISO15747:2012-07)を、特に採取注射器の構成部分としての注射カニューレを突き刺す際に、封止材料から少量の粒子が「押し出される」ことがある。そのようにして押し出されて分離した粒子は、カニューレ、注射器、又は容器製品自体の中に残ることがある。このことはわけてもカニューレの詰まりを招くことがあり、その結果として注射過程が不可能になり、或いはそれらの粒子が注入物と一緒に注入システムに入り、その結果として注入の流量が著しく減ることがある。
【0003】
それゆえこの問題に関して、エラストマで封止された注射瓶を使用する際は既にEN ISO8871-5:2014で、また米国薬局方第381章でも限界値が指定されている。
【0004】
専門用語でフラグメンテーション(破片)とも呼ばれる、このプラスチック容器製品からの押し出される粒子汚染の問題に対処するために、先行技術(特許文献1)において既に特別の針ジオメトリが提案されたが、それは複雑で高価な特殊カニューレを必要とする。
【0005】
特許文献2により、プラスチック中空針、採取マンドレル又は採取カニューレのための選好された所定の貫通位置を有する、射出成形によって製造されるプラスチック容器が公知である。これらの貫通位置では壁厚は非常に小さくなければならず、好ましくは0.254ミリメートル未満でなければならない。そのような非常に薄い箇所は突き通す際には有利であり、粒子を生み出す屑の発生も少ないが、基本的には不利である。なぜなら、これらの箇所は充填及び封止された容器の製造の最終段階である滅菌工程で、加圧滅菌(121°C、20分)の高い圧力と温度が作用すると漏れを生じやすいからである。更に、ブロー成形工程の枠内では、特にブロー成形工程、充填工程及び密封工程の枠内では、特許文献2による射出成形工程と異なり、そのような小さい壁厚を再現可能で大量に製造することは非常な困難を伴う。
【0006】
これに対し、特許文献3により公知のブロー成形工程、充填工程及び密封工程で製造された容器製品は、容器頭部に対して特別に構想された二重ドームジオメトリを有し、容器からの採取過程のために金属カニューレ又はプラスチックカニューレを突き通す際に確実に密封され、且つ粒子を形成しないことが保証されている。このために、公知の解決においては突き刺した際中に頭部材料内にいわゆる陥没又は凹み(ディンプル)を形成することが必要である。このことは、いわゆる低密度ポリエチレン(LDPE)材料、例えばレクセンPE107又はイーストマン・ケミカルのテナイトポリアロマでのみ成功するが、それらの耐温度性は通常の加圧滅菌(121°C、20分)に対して全く十分ではなく、確実な滅菌-典型的に注入液及び洗浄液に要求される-は保証されていない。必要な二重ドームジオメトリは、容器製品としてのブロー成形注入容器、充填注入容器及び密閉注入容器の、DIN ENISO15759:2006-05による実証済みの頭部ジオメトリから非常に逸脱しており、実証済みのISO規格15759:2006-05に適合しない特殊なキャップシステムを必要とするが、これはまたもや非常にコストがかかり、全容器システムの機能安全性を損ねる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5868721号明細書
【文献】国際公開第81/02286号
【文献】米国特許第4574965号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/240642A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102004051300C5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、特にブロー成形工程、充填工程及び密封工程で製造可能であり、並びに過圧滅菌可能であり、プラスチック容器壁に突き刺す際に押し出される粒子の発生の蓋然性及び数が最小化された特に有利な運転特性を提供することである。上記の課題は、請求項1の特徴をその全体において有するプラスチック容器製品によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そうすることによって、請求項1の特徴部分に従い容器壁にカニューレを突き刺す際に細片(stamped parts)が押し出されて発生することを回避するために、貫通区域における容器壁厚と弾性係数(ISO527によるプラスチック材料の引張弾性率(ISO527による50mm/minにおける引張弾性率)との数学的積が400MPa・mm未満、特に好ましくは300MPa・mm未満であることによって、注射採取技術の分野における平均的当業者にとって驚くべきことに、容器壁に採取マンドレル又は採取カニューレを突き刺す際に押し出されて分離した粒子が発生する蓋然性及び可能な数が明白に最小化されることが達成される。
【0010】
特に有利には上記の課題設定は、(ISO527による50mm/minにおける)伸び率が12%以上で、高い耐熱成形性を有する、即ちそれぞれの重合体の溶融温度がISO3146に従い少なくとも130°Cである重合体を用いて、公知のブロー成形工程、充填工程及び密封工程(BFS工程)によって製造された一体型の容器製品によって解決される。このことは、ISO15759:2006-05による単純な容器頭部ジオメトリでさえも可能である。
【0011】
驚くべきことに、本発明による容器製品に対して、容器頭部表面の部分面である貫通区域上又は貫通区域回りで、少なくとも貫通過程自体において外から容器壁が20N/cm2以上の面圧で押圧されるエラストマ密封要素を有するキャップを選択すると、粒子の蓋然性の更なる減少が発明的に達成されることが示された。
このことは、例えば特許文献4並びに特許文献5に記載されているそれ自体公知のキャップでは確実に保証され得ない。
【0012】
この場合、上記のエラストマ密封要素は、例えば熱可塑性エラストマ、ポリイソプレン、シリコーン又はハロゲン化ブチルゴムによって形成できる。
【0013】
別の有利な実施形態がその他の従属請求項に記載されている。
【0014】
以下に、本発明による解決を容器製品に基づいて、そのような容器のための本発明によるキャップと共に詳しく説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】向き合って配置された2個の取り出し口を有しており、それらのうち
図1で上側の入り口はDIN ISO15759に従う先行技術による頭部を装備されている、実際の実施形態に対してやや拡大して示された注入瓶の形式による容器の正面図である。
【
図2】
図1に示す容器の頭部の実施形態の、実際の実施形態に対して約2倍の大きさで示された斜視図である。
【
図3】容器の頭部にそれぞれ上から溶接された本発明による種々のキャップ形状の縦断面図である。
【
図4】容器の頭部にそれぞれ上から溶接された本発明による種々のキャップ形状の縦断面図である。
【
図5】容器の頭部にそれぞれ上から溶接された本発明による種々のキャップ形状の縦断面図である。
【
図6】
図1に示す容器の頭部の別の実施形態の、実際の実施形態に対して約2倍の大きさで示された斜視図である。
【
図7】
図6に示す容器の頭部にそれぞれ上から溶接された本発明による種々のキャップ形状の縦断面図である。
【
図8】
図6に示す容器の頭部にそれぞれ上から溶接された本発明による種々のキャップ形状の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ブロー成形工程、充填工程及び密封工程によって製造された、上部取り出し口3と下部取り出し口5とを有する容器製品である注入瓶1の形式による一体型容器を示している。この容器製品1は、プラスチック材料、特にポリオレフィン材料から製造される。
図1で上にある取り出し口3は、容器製品1と一体的な頭部7を有する。図示された例では、DIN ISO15759:2006-05に従う先行技術によって形成された頭部7は、
図3~
図5に示す表現に従う本発明による個々のキャップと、充填及び封止された注入瓶1の上部取り出し口3の区域と、例えば溶接、封入成形又は成形同時充填によって結合できる。頭部7の正面側端部には採取及び/又は注入過程のために連続して延びる頭部表面9若しくは頭部上側9が設けられている。これらはカニューレ又はマンドレルによって貫入可能な頭部膜の方式で、頭部7が容器製品の頸部13に移行する移行区域11の上に張っている。この頭部膜によって形成された頭部表面9は、
図1及び
図2に示す表現による一様に凸状に湾曲した移行区域11を覆っている。
【0017】
図1に示された容器製品としての注入瓶1は、ロメラグ社のボトルパック設備bp364タイプを用いて、上記の頭部形状を有する、例えば容量500mlの容器をブロー成形工程、充填工程及び密封工程によって製造できる。そのようにして一体型に製造された容器は、高い耐熱成形性を有する、即ちISO3146による溶融温度が少なくとも130°Cで、メルトインデックス(ISO1133によるMFR230°C/2.16kg)が3g/10min未満のポリオレフィンを使用して製造された。粒子形成又はフラグメンテーションの危険を低減するために、本発明により(ISO527-1/-2による50mm/minにおける)伸び率が好ましくは12%以上の重合体が選択され、数学的積に関しては、貫通区域における数ミリメートルの容器壁厚と、少なくともこの箇所における容器重合体の弾性係数(ISO527による50mm/minにおける引張弾性率)とが選択され、その数学的積(以下にフラグメンテーション係数とも呼ぶ)は400MPa・mm未満、好ましくは300MPa・mm未満であり、ただし貫通区域における壁厚は少なくとも0.3mmとなるように選択される。
【0018】
本発明による容器製品に対して
図3~
図5に示すキャップハウジング17を有するキャップが選択されて、通常のエラストマ材料からなるそれぞれのエラストマ密封要素19,21が、貫通区域上又は貫通区域回りで少なくとも容器壁にカニューレを突き刺す際に容器壁に20N/cm
2以上の面圧で押圧されるようにすると、フラグメンテーションの蓋然性を更に減少させることができる。閉じられた頭部表面9を形成して頭部7を封止した後で、
図3~
図5に示された頭部7にそれぞれ割当て可能なキャップハウジング17が密に被せられる。その後で加熱滅菌が121°Cで20分間行われる。
【0019】
図3~
図5に示す表現に従い、それぞれのキャップハウジング17は、BFS容器1(
図3~
図5に完全に示されていない)の容器頭部7の環状に突出しているカラー23と環状に密に結合している。キャップハウジング17はその上側に2個の取り出し口25及び27を有しており、これらの取り出し口はそれぞれ封印フォイル29(
図3)の形式又は切離し可能なラグ31(
図4及び
図5参照)の形式による、容易に取り外せる未開封シールによって微生物学的に密閉されている。上記の取り出し口25及び27はカニューレを突き刺す際に用いられ、その限りでカニューレ取り出し口25が実現されている。他方の取り出し口は中空針取り出し口27として、例えば、EN ISO1135-4による輸液装置の中空針の形式による貫通部による突き刺しに用いられる。図示された未開封シール29、31の下方には、それぞれ既述した直接エラストマ材料からなるエラストマ密封要素19若しくは21があり、キャップハウジング17の内側と注入容器1の頭部表面9との間に延びている。
【0020】
本発明により、少なくともカニューレ取り出し口25のエラストマ密封要素19は、容器頭部7の部分面、言い換えれば貫通面区域又は単純に貫通区域33に最小圧力でしっかり押圧若しくは圧迫されるように構成されている。エラストマ要素19の貫通区域33に対する面圧は、構造的にエラストマ要素19の断面積とショア硬さ、並びにキャップハウジング17によって決定され得る。更に通常必要な加熱滅菌工程を121°Cで20分間行うことによる材料及び/又は形状の変化も設計上考慮すべきである。特にフラグメンテーション係数が300MPa・mm未満の容器では、貫通面区域33が2~6mm撓むことがある。本発明により必要な貫通区域33に対する面圧を確実に保証するために、有利にはオプションで、例えば
図6に示されPCT/EP2014/002076で説明されている補強リブ15の形式によるウェブ状補強部を使用することができる。
【0021】
図6は、頭部表面9とその上に延びる補強リブ15を示しており、補強リブ15はその凸状湾曲によって頭部表面9の凸状曲面に追従している。補強リブ15は頭部表面9に渡って直径上に延びる、明白に突出したウェブを形成している。このウェブ状リブ15は、フラグメンテーションの低減に必要な面圧を確実に加えることを可能にするが、それはウェブ状リブ15が頭部表面9の湾曲が容器内部に向かって撓むことに対する抵抗を高めることによるものである。このことは、例えば溶接又は接着によってキャップの固着を形成することにより更に高められる。
【0022】
図6に示す頭部表面9の実施形態において、
図7及び
図8に示されているように、
図3及び
図4に示すキャップを使用できる。
【0023】
貫通区域33の選好される大きさは1mm2~70mm2であり、特に好ましくは20mm2~50mm2である。エラストマ密封要素19の選好されるショア硬さは、20~65ショアA、特に好ましくは25~50ショアAである。面圧は、フラグメンテーションリスクを著しく低減できるためには20N/cm2以上とすべきである。
【0024】
図3及び
図5に示す構成に従うキャップを被せた容器製品と、面圧のないキャップ付きの容器製品を用いて、ISO15759:2005若しくは米国薬局方第381章「フラグメンテーション」に記載されている要領でフラグメンテーション試験を実施し、それぞれISO7864による外径0.8mmの鋼製カニューレで48回突き刺して容器材料から出るフラグメントの数を決定した。フラグメンテーションの限界値は、米国薬局方第381章「フラグメンテーション」によると5フラグメント(破片)である。
【0025】
容器-重合体として次の8種類の材料B1、B2、LB1、LB2、T1、M1、M2及びM3を使用した。
B1は、ボレアリス社のボームドSB815MOタイプ、弾性係数(ISO527による50mm/minにおける引張弾性率)475MPaのポリプロピレン共重合体である。
LB1は、リオンデルバセル社のピュレルSM170Gタイプ、弾性係数650MPaのポリプロピレンである。
B2は、ボレアリス社のRB845MOタイプ、弾性係数1000MPaのポリプロピレンである。
LB2は、リオンデルバセル社のピュレルRP270Gタイプ、弾性係数950MPaの修飾されたランダム共重合体ある。
T1は、トータル社のPPMR021タイプ、弾性係数1000MPaの医用ポリプロピレンである。
M1は、エクソン社の材料LB2の割合75%と、ポリプロピレンベースのエラストマ、ビスタマックス(登録商標) 3020の割合25%から製造された、弾性係数約730MPaのブレンドである。
M2は、M1と同様であるが、ビスタマックス(登録商標)3020の割合を30%にした、弾性係数約680MPaのブレンドである。
M3は、M1と同様であるが、ビスタマックス(登録商標) 3020の割合を35%にした、弾性係数約640MPaのブレンドである。
ビスタマックスなどの機能マスターバッチを混入することにより、機械的特性の修飾が可能になる。これには他の材料も含まれ、例えばダウ・バーシファイ又はメリテック・メリフレックスXCポリマー+及びその他の商品名で知られているが、医薬品については化学的適性を考慮しなければならない。
【0026】
結果は以下の表に、フラグメンテーション係数が小さい順にまとめた。これらの結果は、フラグメンテーション係数が400MPa・mm未満でフラグメンテーション特性が明白に改善されていることを示しており、これは本発明によるキャップによって驚くべきことに更に改善される。
【0027】
【0028】
上述した発明により、BSF工程で製造された過圧滅菌可能な容器を、キャップ付きでもキャップなしでも、容器の容器壁に突き刺す際に押し出される粒子の蓋然性及び数が最小化されているように構成することが達成される。これに相当するものは先行技術にはない。