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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ケース及び素子パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/202 20210101AFI20220331BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220331BHJP
【FI】
H01M50/202 501P
H01M50/55 301
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018025169
(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2019140070
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅善
(72)【発明者】
【氏名】米澤 正彦
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187036(JP,A)
【文献】特開2008-300593(JP,A)
【文献】特開2010-097944(JP,A)
【文献】国際公開第2006/073071(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062780(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0089134(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/00-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な素子本体と、前記素子本体の縁から延出したシート状の電極端子とを有した扁平電気化学素子を固定するケースであって、
ベース板と、
前記ベース板の片側の面の周縁部に凸状に設けられ、前記片側の面の周縁に沿って枠状に形成された枠部と、
前記枠部の外縁から外側に突出した支持部と、
前記枠部の内縁から内側に突出する止め片と、を備え、
溝が前記枠部の内縁から外縁に亘って形成され、前記溝が前記枠部の内縁及び外縁において開口し、前記支持部が前記溝の位置から前記枠部の外側に突出し、
前記素子本体が前記枠部の内側に嵌め込まれ、前記電極端子が前記溝に据えられ、前記電極端子が前記枠部の外縁からはみ出て前記支持部に支持され、前記止め片が前記ベース板の前記片側の面から離間し、前記素子本体の周縁部が前記止め片と前記ベース板の前記片側の面との間に差し込まれるケース。
【請求項2】
請求項1に記載のケースと、
前記扁平電気化学素子と、を備える
素子パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平電気化学素子を固定するケースと、その扁平電気化学素子及びそのケースを備える素子パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、樹脂層と金属箔を積層してなるラミネートフィルムを外装材として利用した扁平なラミネート型電池が開示されている。特許文献4、5には、ラミネート型電池をケースに収容してなる電池パックが開示されている。
【0003】
ラミネート型電池の電極端子は、外装材の内側から外装材の接合界面を貫通して、外装材の外側に延び出ている。電極端子は、薄いシート状に形成されていて、可撓性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-99012号公報
【文献】特開2000-223090号公報
【文献】特開2001-102014号公報
【文献】特開2003-317702号公報
【文献】特開2006-40814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電極端子が小さな外力或いは自重によって変形したり、揺れ動いたりする。そのため、ラミネート型電池を機器に対して着脱する際に、電極端子を機器の端子に対して接離することが難しい。
そこで、本発明の目的は、ラミネート型電池等の扁平電気化学素子を機器に対して着脱する際に、扁平電気化学素子の電極端子を機器の端子に対して容易に接離できることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、扁平な素子本体と、前記素子本体の縁から延出したシート状の電極端子とを有した扁平電気化学素子を固定するケースは、ベース板と、前記ベース板の片側の面の周縁部に凸状に設けられ、前記片側の面の周縁に沿って枠状に形成された枠部と、前記枠部の外縁から外側に突出した支持部と、を備え、溝が前記枠部の内縁から外縁に亘って形成され、前記溝が前記枠部の内縁及び外縁において開口し、前記支持部が前記溝の位置から前記枠部の外側に突出し、前記素子本体が前記枠部の内側に嵌め込まれ、前記電極端子が前記溝に据えられ、前記電極端子が前記枠部の外縁からはみ出て前記支持部に支持される。
【0007】
好ましくは、前記ケースが、前記枠部の内縁から内側に突出する止め片を更に備え、前記止め片が前記ベース板の前記片側の面から離間し、前記素子本体の周縁部が前記止め片と前記ベース板の前記片側面との間に差し込まれる。
【0008】
素子パックが、前記ケースと、前記扁平電気化学素子とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電極端子が溝内に据えられているので、電極端子の据付が安定する。電極端子が支持部に支持されることによって補強される。
よって、扁平電気化学素子が固定されたケースを機器に着脱する際に、電極端子を機器の端子に対して容易に接離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の素子パックの平面図である。
図2】第1実施形態の素子パックの分解斜視図である。
図3】III-III断面図である。
図4】第2実施形態の素子パックの平面図である。
図5】第2実施形態の素子パックの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1は素子パック1の平面図であり、図2は素子パック1の分解斜視図である。図3は、図2中に切断箇所をIII-IIIにより示した断面図である。
素子パック1は扁平電気化学素子10、ケース20及び封止フィルム30を備える。
【0013】
扁平電気化学素子10は例えばラミネート型のリチウム電池である。扁平電気化学素子10がリチウム電池であるため、素子パック1は電池パックともいう。
扁平電気化学素子10は素子本体11、負極端子12及び正極端子13を有する。
【0014】
素子本体11は、扁平な矩形状のリチウム電池本体である。素子本体11は例えば次のように構成されている。素子本体11の2枚の外装フィルムがこれらの間に素子本体11の積層型発電要素を挟み込んで、それら外装フィルムの周縁部が接合されることによって、積層型発電要素が2枚の外装フィルムの間に封入される。そのため、素子本体11の周縁部11aは中央部よりも薄い。積層型発電要素は負極、セパレータ及び正極等を積層したものであり、電解液が積層型発電要素に添加されている。外装フィルムは、絶縁性の樹脂層と金属箔を積層してなるラミネートフィルムである。
【0015】
負極端子12及び正極端子13は、素子本体11よりも薄く、シート状に形成されている。負極端子12及び正極端子13が薄くて可撓性を有するため、負極端子12及び正極端子13は自重或いは小さな外力によって変形したり、揺れ動いたりする。負極端子12が素子本体11内の負極に設けられていて、2枚の外装フィルムの周縁部の間を貫通して外装フィルムの外側へ延出している。正極端子13が素子本体11内の正極に設けられていて、素子本体11の2枚の外装フィルムの周縁部の間を貫通して外装フィルムの外側へ延出している。
【0016】
ケース20は絶縁性樹脂からなる。ケース20はベース板21、枠部22及び支持部(28、29)を有する。ベース板21が矩形状に形成されている。枠部22はベース板21の上面の周縁部に凸状に設けられている。枠部22はベース板21の周縁に沿って矩形枠状に形成されている。ベース板21と枠部22が一体に成形されている。このような枠部22が設けられていることによって、枠部22によって囲われた凹部23が形成される。
【0017】
枠部22の短辺部分22aには、溝(24、25)が枠部22の短辺方向に並んで形成されている。枠部22の上面から溝(24、25)の底までの深さは、枠部22の上面から凹部23の底までの深さよりも浅い。溝(24、25)は枠部22の内縁から枠部22の外縁に亘って形成されている。そして、溝(24、25)は枠部22の内縁において開口して、凹部23に通じている。溝(24、25)は枠部22の外縁において開口する。
【0018】
枠部22の短辺部分22aの外縁には、薄板状の支持部(28、29)が枠部22の短辺方向に並んで形成されている。支持部28は溝24の位置から枠部22の外側へ突出しており、支持部28の上面と溝24の底が面一となっている。支持部29は溝25の位置から枠部22の外側へ突出しており、支持部29の上面と溝25の底が面一となっている。
【0019】
素子本体11が枠部22の内側の凹部23に嵌め込まれている。
負極端子12が溝24内に据えられており、負極端子12が溝24の底に面接触している。負極端子12が接着剤等によって溝24の底に固定されていてもよい。
負極端子12が枠部22の外縁から外側にはみ出ており、その負極端子12が支持部28に面接触している。これにより負極端子12が支持部28に支持される。負極端子12が接着剤等によって支持部28に固定されていてもよい。
正極端子13が溝25内に据えられており、正極端子13が溝25の底に面接触している。正極端子13が接着剤等によって溝25の底に固定されていてもよい。
正極端子13が枠部22の外縁から外側にはみ出ており、その正極端子13が支持部29に面接触している。これにより正極端子13が支持部29に支持される。正極端子13が接着剤等によって支持部28に固定されていてもよい。
【0020】
素子本体11及び枠部22が封止フィルム30によって被覆されているが、負極端子12及び正極端子13は封止フィルム30によって覆われていない。但し、封止フィルム30の外形が枠部22の外縁と同一形状であり、電極端子(12、13)のうち溝(24、25)内の部分が封止フィルム30によって覆われ、支持部(28、29)上の部分が封止フィルム30によって覆われていなくてもよい。
封止フィルム30は枠部22に溶着されている。封止フィルム30は素子本体11に溶着されていてもよいし、溶着されていなくてもよい。封止フィルム30によって素子本体11がケース20に固定される。
なお、素子本体11及びケース20がモールド樹脂によって封止されることにより、素子本体11がケース20に固定されていてもよい。この場合、負極端子12及び正極端子13はモールド樹脂によって封止されずに、露出している。
【0021】
以上のように、素子本体11がケース20の凹部23に嵌め込まれているため、素子本体11の変形を抑えられる。そのため、素子パック1を容易に扱える。つまり、機器に対する素子パック1の着脱を容易に行える。
【0022】
電極端子(12、13)が枠部22によって、特に溝(24、25)の底によって補強される。また、電極端子(12、13)が溝(24、25)内に据えられているため、電極端子(12、13)の据付が安定する。また、電極端子(12、13)は支持部(28、29)に支持されることによって補強される。よって、機器に対する素子パック1の着脱の際に、電極端子(12、13)を機器の端子に対して容易に接離することができる。
【0023】
〔第2の実施の形態〕
図4は素子パック1Aの平面図であり、図5は素子パック1Aの分解斜視図である。
素子パック1Aは扁平電気化学素子10及びケース20Aを備える。
【0024】
第2実施形態の扁平電気化学素子10は、第1実施形態の扁平電気化学素子10と同一である。
第2実施形態のケース20Aは、第1実施形態のケース20の構成要素に加えて、複数の止め片(26、26、…)を有する。これら止め片(26、26、…)が枠部22(特に、両方の長辺部)の内縁から内側に突出しており、止め片(26、26、…)と枠部22は一体に成形されている。
【0025】
止め片(26、26、…)が凹部23の底から離間しており、止め片(26、26、…)と凹部23の底の間には間隙(27、27、…)が存在する。素子本体11の周縁部11aが間隙(27、27、…)に差し込まれて、止め片(26、26、…)に引っ掛かって止められている。これにより、素子本体11がケース20に固定される。
【符号の説明】
【0026】
1、1A…素子パック
11…素子本体
12…負極端子
13…正極端子
20、20A…ケース
21…ベース板
22…枠部
23…凹部
24、25…溝
26…止め片
28、29…支持部
図1
図2
図3
図4
図5