(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ブラケットおよびフロント装置移動方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/38 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
E02F3/38 Z
(21)【出願番号】P 2018028253
(22)【出願日】2018-02-20
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 邦治
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021389(JP,A)
【文献】特開2003-306956(JP,A)
【文献】米国特許第06533527(US,B1)
【文献】特開2015-068038(JP,A)
【文献】実開昭59-178454(JP,U)
【文献】特開平11-193543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両本体に設けられたブームに対し、フロント装置を支持するブラケットであって、
前記フロント装置の基端部の背面側寄りに幅方向に設けられた第1ピンを支持する第1支持部と、
前記フロント装置の基端部の背面に対して反対側寄りの所定部分を突当てる突当て部と、
前記ブームの先端部に着脱可能に取り付けられる取付部と、
前記フロント装置の基端部に設けられた幅方向に対向する側板の間に挿入される内側支持部と、を備えた、
ブラケット。
【請求項2】
対向して配置された一対の側板を更に備え、
前記突当て部は、前記側板の端面に設けられている、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記突当て部は、前記側板の端面に形成された凹部である、
請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記取付部は、
前記ブームの先端部の背面側寄りに設けられた第2支持部に支持される被支持部と、
前記ブームの先端部の背面に対して反対側と連結する連結部と、を有し、
前記第1支持部は、前記作業車両本体からみて前記取付部より前方にある、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項5】
前記ブラケットは、側面視において、前記第1支持部と前記被支持部と前記連結部とを頂点とする三角形状である、
請求項4に記載のブラケット。
【請求項6】
前記第1支持部は、側面視において、前記ブームの背面に沿って前記作業車両本体の前方に向かう延長線の下方に位置している、
請求項5に記載のブラケット。
【請求項7】
前記第1支持部は、前記フロント装置に配置された前記第1ピンを下方から支持する、
請求項1に記載のブラケット。
【請求項8】
前記被支持部は、
前記ブームの先端部に設けられた第2受け部によって支持される第2ピンを有し、
前記連結部は、
前記ブームの先端部において第3ピンが挿入可能な一対の貫通孔を有する、
請求項4に記載のブラケット。
【請求項9】
対向して配置された一対の側板を更に備え、
前記一対の貫通孔は、前記一対の側板に設けられており、
前記第2ピンは、前記一対の側板の間に配置されており、
前記突当て部は、前記側板の端面に設けられている、
請求項
8に記載のブラケット。
【請求項10】
側面視において、前記被支持部と前記連結部を結ぶ線分を第1線分とし、前記第1支持部と前記突当て部を結ぶ線分を第2線分とすると、
前記ブームに取り付けられた前記ブラケットを前記フロント装置に装着する際には、前記第2線分は、上端が前記第1線分よりも前記フロント装置側に位置するように前記第1線分よりも前記フロント装置側に傾斜している、
請求項4に記載のブラケット。
【請求項11】
作業車両本体に着脱可能なフロント装置を輸送車両の荷台から下ろす若しくは荷台に上げるフロント装置移動方法であって、
前記作業車両本体の本体側ブームの先端部にブラケットを取付ける取付工程と、
前記フロント装置の基端部の背面側寄りに幅方向に設けられた第1ピンを前記ブラケットの第1支持部で支持するフロント装置支持工程と、
前記第1支持部で前記第1ピンを支持した状態において、前記本体側ブームを持ち上げる第1持ち上げ工程と、
前記第1持ち上げ工程によって前記第1支持部を支点として前記フロント装置の前記基端部の背面に対して反対側寄りの所定部分が前記ブラケットに向かって回動し、前記ブラケットの突当て部に突当る突当て工程と、
前記第1支持部で前記第1ピンを支持し前記所定部分が突当たった状態で前記本体側ブームを持ち上げ前記フロント装置を持ち上げる第2持ち上げ工程と、を備
え、
前記突当て工程において、前記フロント装置の基端部に設けられた幅方向に対向する側板の間に内側支持部が挿入される、
フロント装置移動方法。
【請求項12】
前記取付工程は、
前記本体側ブームの前記先端部の背面側寄りに設けられた第2支持部で前記ブラケットの被支持部を支持するブラケット支持工程と、
前記ブラケットの連結部が、前記本体側ブームの前記先端部の背面に対して反対側と連結される連結工程と、を有する、
請求項
11に記載のフロント装置移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロント装置を移動するためのブラケットおよびブラケットを用いたフロント装置移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の解体に用いる作業車両は、作業の高さや作業の種類(ガラ収集や積み込み)などによって、複数のフロント装置を交換可能なように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示す作業車両では、フロント装置の一つである解体作業用サブアセンブリを構成する継ぎブームの基端側を一定の高さ位置となる姿勢に保持し、継ぎブームの基端側に上部旋回体側に設けた共通ブームの先端側が連結される。
【0003】
このような解体ロング等の長尺なフロント装置は、作業車両本体とは別にトラック等の輸送車両で現場に輸送され、クレーンを使用してトラックから下ろされ、作業車両本体のブームに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クレーンを使用して輸送車両の荷台からフロント装置を下ろす若しくは荷台に上げる作業を行うため、輸送の際にクレーン車を現場まで同行させる必要があった。
本発明は、ブラケットを使用して簡便に輸送車両の荷台からフロント装置を下ろす若しくは荷台に上げる技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、発明にかかるブラケットは、作業車両本体に設けられたブームとフロント装置とを接続するブラケットであって、第1支持部と、突当て部と、取付部と、を備える。第1支持部は、フロント装置の基端部の背面側寄りに幅方向に設けられた第1ピンを支持する。突当て部は、フロント装置の基端部の背面に対して反対側寄りの部分を突当てる。取付部は、ブームの先端部に着脱可能に取り付けられる。
【0007】
他の発明にかかるフロント装置移動方法は、作業車両本体に着脱可能なフロント装置を輸送車両の荷台から下ろす若しくは荷台に上げるフロント装置移動方法であって、取付工程と、フロント装置支持工程と、第1持ち上げ工程と、突当て工程と、第2持ち上げ工程と、を備える。取付工程は、作業車両本体の本体側ブームの先端部にブラケットを取付ける。フロント装置支持工程は、フロント装置の基端部の背面側寄りに幅方向に設けられた第1ピンをブラケットの第1支持部で支持する。第1持ち上げ工程は、第1支持部で第1ピンを支持した状態において、本体側ブームを持ち上げる。突当て工程は、第1持ち上げ工程によって第1支持部を支点としてフロント装置の基端部の背面に対して反対側寄りの所定部分がブラケットに向かって回動し、ブラケットの突当て部に突当てる。第2持ち上げ工程は、第1支持部で第1ピンを支持し所定部分が突当たった状態で本体側ブームを持ち上げ前記フロント装置を持ち上げる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、輸送コストを低減することが可能なブラケットおよびブラケットを用いたフロント装置移動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明にかかる実施の形態におけるブラケットが用いられる油圧ショベルを示す側面図。
【
図2】
図1のフロント装置をトラックによって搬送している状態を示す図。
【
図3】
図2の状態におけるフロント装置の基端部の拡大斜視図。
【
図4】
図1のメインブームの先端近傍を示す拡大斜視図。
【
図5】本発明にかかる実施の形態におけるブラケットの斜視図。
【
図6】本発明にかかる実施の形態におけるブラケットの斜視図。
【
図9】本発明にかかる実施の形態におけるフロント装置移動方法を示すフロー図。
【
図10】ブラケットをメインブームで支持する際の動作について説明するための図。
【
図11A】メインブームにブラケットが取付けられる動作を説明するための図。
【
図11B】メインブームにブラケットが取付けられる動作を説明するための図。
【
図12】ブラケットがメインブームに連結された状態を下方から視た斜視図。
【
図13】ブラケットでフロント装置を支持する際の動作について説明するための図。
【
図14A】ブラケットをフロント装置の基端部に取付ける動作を説明するための側面図。
【
図14B】ブラケットをフロント装置の基端部に取付ける動作を説明するための側面図。
【
図14C】ブラケットをフロント装置の基端部に取付ける動作を説明するための側面図。
【
図16】ブラケットを用いない場合のメインブームの先端部とフロント装置の基端部の位置関係を示す図。
【
図17】(a)フロント装置を地面に載置した状態を示す図、(b)フロント装置からブラケットを取り外す状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる実施の形態におけるブラケットおよびブラケットを用いたアタッチメンチ移動方法について図面を参照しながら説明する。
<1.構成>
はじめに、本実施の形態のブラケット50が用いられる解体仕様車100の概要について説明する。
【0011】
(1-1.解体仕様車の全体概要)
図1は、本実施の形態の解体仕様車100の外観を示す図である。解体仕様車100は、車両本体1と、フロント装置20とを有する。
車両本体1は、旋回体2と、走行体3とを有する。走行体3は、一対の履帯3aを有しており、エンジンからの駆動力によって履帯3aが駆動されることによって解体仕様車100が走行する。
【0012】
旋回体2は、走行体3上に設けられている。旋回体2は、旋回フレーム4と、キャブ5と、収納室6と、カウンタウェイト7、メインブーム8と、メインブームシリンダ9と、を有する。旋回フレーム4は、走行体3に旋回可能に配置されている。運転室としてのキャブ5は、旋回フレーム4の前部左側位置に設けられている。収納室6は、旋回フレーム4上であってキャブ5の後側設けられており、エンジン、ラジエータおよびラジエータファン等を収納する。カウンタウェイト7は、旋回フレーム4の後方に配置されている。
【0013】
メインブーム8は、旋回フレーム4の前部に回動可能に設けられている。メインブーム8の先端部にフロント装置20が着脱可能に取り付けられている。
メインブームシリンダ9は、ロッドの端がメインブーム8に接続され、シリンダチューブの端が旋回フレーム4に接続されており、伸縮によりメインブーム8を起伏させる。
【0014】
(1-2.フロント装置)
フロント装置20は、いわゆる解体ロングであり、第2ブーム21と、アーム22と、圧砕具23と、第1油圧シリンダ24と、第2油圧シリンダ25と、第3油圧シリンダ26と、中間リンク27と、を有している。
第2ブーム21の基端部28は、メインブーム8の先端部44に着脱可能に取り付けられている。
中間リンク27は、第2ブーム21の先端に回動可能に取り付けられている。第1油圧シリンダ24は、ロッドの端が中間リンク27に接続されており、シリンダチューブの端が第2ブーム21に接続されている。
【0015】
アーム22の基端部は、中間リンク27に回動可能に取り付けられている。第2油圧シリンダ25は、ロッドの端がアーム22に接続されており、シリンダチューブの端が中間リンク27に接続されている。
圧砕具23は、アーム22の先端に回動可能に取り付けられている。第3油圧シリンダ26は、ロッドの端が圧砕具23に接続されており、シリンダチューブの端がアーム22に接続されている。
【0016】
メインブームシリンダ9、第1油圧シリンダ24、第2油圧シリンダ25、第3油圧シリンダ26が伸縮することによってフロント装置20が駆動される。
図2は、フロント装置20をトラック30によって搬送している状態を示す図である。長尺のフロント装置20は、トラック30の荷台31に載置された状態で現場まで輸送される。
図2に示す輸送状態では、フロント装置20は折り曲げられており、圧砕具23がフロント装置20から取り外されている。フロント装置20は中間リンク27で折り曲げられており、アーム22が第2ブーム21と概ね平行であって第2ブーム21の下側に配置されている。また、基端部28近傍において第2ブーム21は、支持台32によって下方から支持されている。このように、第2ブーム21が概ね水平な状態になるようにフロント装置20はトラック30の荷台31に載置されている。
【0017】
第2ブーム21の外側の面が、背面21aとして示され、第2ブーム21の作業機内側の面が腹面21bとして示されている。なお、背面とは、例えば
図1に示すようにフロント装置20を屈曲させた場合におけるフロント装置20の外周側の面を示す。また、腹面とは、
図1に示すようなフロント装置20を屈曲させた場合におけるフロント装置20の中心側の面を示す(以下同様である)。
なお、
図2に示す搬送状態では、フロント装置20は、第2ブーム21の背面21aが上方を向き、腹面21bが下方を向いている。
【0018】
(1-3.フロント装置の基端部)
図3は、
図2の状態におけるフロント装置20の基端部28の拡大斜視図である。基端部28は、傾斜面280と、一対の側板部分281と、第2ブーム側ピン282と、一対の貫通孔形成部283とを有する。ここで、第2ブーム21の長手方向において中間リンク27に接続される側を先端方向Xとし、メインブーム8との接続部側を基端方向Yとする。
【0019】
傾斜面280は、背面21aの基端21aeから腹面21bの基端21beに向かって傾斜して形成されている。腹面21bの基端21beは、背面21aの基端21aeよりも基端方向Y側に配置されている。
一対の側板部分281は、幅方向Wの両端において傾斜面280から突出している。一対の側板部分281は、傾斜面280に対して垂直に配置されている。一対の側板部分281は、第2ブーム21の末端方向に向かって突出している。
【0020】
第2ブーム側ピン282は、幅方向Wに沿って一対の側板部分281の間に配置されている。第2ブーム側ピン282は、一対の側板部分281において背面21a寄りに配置されている。
一対の貫通孔形成部283は、一対の側板部分281の腹面21b側寄りに配置されている。幅方向Wに配置された一対の側板部分281の基端方向Y側における先端の各々に貫通孔形成部283が形成されている。貫通孔形成部283には、幅方向Wに沿った中心軸を有する貫通孔284が形成されている。一対の貫通孔形成部283に形成された一対の貫通孔284は、対向して設けられている。一対の貫通孔形成部283は、第2ブーム側ピン282よりも基端方向Y側に設けられている。
【0021】
また、
図3に示すように、トラック30の荷台31にフロント装置20が載置された状態において、第2ブーム側ピン282は、一対の貫通孔形成部283よりも上方に配置されている。
【0022】
(1-4.メインブームの先端部)
図4は、メインブーム8の先端近傍を示す拡大斜視図である。
メインブーム8は、メインブーム本体40と、支持部41と、連結機構42と、を有する。ここで、メインブーム8の外周側の面を背面8aとし、メインブームの内周側の面を腹面8bと示す。
メインブーム本体40は、旋回フレーム4に回動可能に取り付けられる基端部43(
図1参照)と、第2ブーム21が着脱可能に取り付けられる先端部44と、とを有する。
【0023】
支持部41は、メインブーム本体40の先端部44の背面8a側の端に幅方向Wに沿って形成されており、受け部41aと、通過部41bと、を有する。受け部41aは、幅方向Wに沿って切り欠きが形成された円筒形状であって、その内側に、幅方向Wに沿って軸を有する円柱状の空間を形成する。通過部41bは、幅方向に沿って形成された切り欠きによって形成されており、第2ブーム側ピン282が通過可能な空間である。
【0024】
メインブーム8にフロント装置20を取付ける際には、通過部41bを通して、フロント装置20の第2ブーム側ピン282(
図3参照)が受け部41aに配置される。
連結機構42は、ブラケット50若しくはフロント装置20と連結する。連結機構42は、先端部44の腹面8b側の端に設けられている。
連結機構42は、支持部41よりもメインブーム8の基端部43側に配置されている。先端部44は、支持部41から連結機構42に向かって傾斜している。
【0025】
連結機構42は、一対のブラケット70と、第1貫通孔71と、第2貫通孔72と、ピン支持部73と、油圧拡縮ピン74とを有する。
ブラケット70は、メインブーム本体40の幅方向Wの両側の側面40aに設けられている。ブラケット70は、その根元部701で側面40aに固定されている。ブラケット70は、根元部701から先端部44側に向かってメインブーム本体40に沿って伸びている。ブラケット70の先端部702は、先端部44においてメインブーム本体40の側面40aから所定の空間S(
図4においてハッチングで示す)を空けて配置されている。
【0026】
メインブーム8にフロント装置20を取付ける際には、先端部702と側面40aとの間の空間Sに、上述した貫通孔形成部283が挿入される。
第1貫通孔71は、一対のブラケット70の各々の先端部702に、幅方向Wに中心軸が沿うように形成されている。第2貫通孔72は、メインブーム本体40の両方の側面40aに、幅方向Wに中心軸が沿うように形成されている。第2貫通孔72は、第1貫通孔71と対向して設けられている。
【0027】
ピン支持部73は、円筒状の部材であり、一対の側面40aの間に配置されている。ピン支持部73は、その内部空間が一対の第2貫通孔72と連通するように配置されている。
油圧拡縮ピン74は、幅方向Wに沿ってピン支持部73の内部空間に配置されている。油圧拡縮ピン74は、後述する
図12および
図15Bにおいて説明するように、幅方向Wの両端側に移動体741を有しており、移動体741が幅方向に移動することにより、幅方向Wに伸縮する。油圧によって移動体741が幅方向Wの外側に向かって移動すると、移動体741は、第2貫通孔72を通して第1貫通孔71まで挿入される。空間Sに上述した貫通孔形成部283が挿入された状態で油圧拡縮ピン74を伸ばすことにより、油圧拡縮ピン74は、第2貫通孔72、フロント装置20の貫通孔284を通して第1貫通孔71まで挿入され、フロント装置20とメインブーム8を連結することが出来る。
【0028】
また、第1貫通孔71には、
図11Aに示すように蓋部711が配置されており、油圧拡縮ピン74が伸長することにより蓋部711がブラケット70の表面より突出する。これにより油圧拡縮ピン74が第1貫通孔71に挿入されたことを視認することができる。
すなわち、フロント装置20を用いて作業を行う場合には、フロント装置20の第2ブーム21の第2ブーム側ピン282がメインブーム8の支持部41に配置され、連結機構42によってフロント装置20の貫通孔形成部283がメインブーム8と連結されることによって、フロント装置20がメインブーム8に取付けられる。
【0029】
(1-5.ブラケット)
次に、トラック30の荷台31からフロント装置20を下ろすためのブラケット50について説明する。
図5および
図6は、ブラケット50の斜視図である。
図7は、ブラケット50の側面図であり、
図8は、ブラケット50の平面図である。図に示すように、ブラケット50は、取付部51と、支持部52と、突当て部53と、一対の側板54と、内側支持部55と、を有する。
【0030】
(1-5-1.側板)
一対の側板54は、
図5及び
図6に示すように、所定の間隔を空けて対向して配置されている。側板54は、特に限定されるものではないが、
図7に示すように側面視において略三角形状であり、より詳しくは、略直角三角形状である。一対の側板54の対向する方向が、上述した幅方向Wとなる。
【0031】
(1-5-2.取付部)
取付部51は、メインブーム8の先端部44に取付けられる。取付部51は、被支持部61と、連結部62とを有する。被支持部61と連結部62は、
図7に示すように、側面視において略三角形状の側板54の2つの頂点近傍に設けられている。また、支持部52は略三角形状の側板54の残り1つの頂点近傍に設けられている。すなわち、側板54は、被支持部61と、連結部62と、支持部52を頂点とする略三角形状に形成されている。
側板54の周縁の辺のうち、被支持部61と連結部62の間の辺を第1辺54a、連結部62と支持部52の間の辺を第2辺54b、支持部52と被支持部61との間の辺を第3辺54cとする。本実施の形態では、第1辺54aと第3辺54cの間が略垂直に形成されており、第2辺54bが斜辺を形成している。
【0032】
(1-5-3.被支持部)
被支持部61は、メインブーム8の支持部41に支持される。被支持部61は、
図5および
図8に示すように、ピン611と、一対の固定部612とを有する。ピン611は、一対の側板54の間に幅方向Wに沿って配置されている。一対の固定部612は、ピン611を固定する。固定部612は、側板54のピン611が固定されている部分である。詳しくは後述するが、ピン611が、
図4に示すように、通過部41bを通って支持部41の内側空間に配置されることにより、被支持部61は、メインブーム8によって支持される。
【0033】
(1-5-4.連結部)
連結部62は、メインブーム8の連結機構42によって連結される。連結部62は、一対の貫通孔形成部621を有している。貫通孔形成部621は、側板54の1つの頂点近傍の部分である。各々の貫通孔形成部621には、幅方向Wに沿った中心軸を有する貫通孔622が形成されている。一対の貫通孔形成部621に形成された一対の貫通孔622は、互いに対向している。
詳しくは後述するが、一対の貫通孔形成部621の各々が、メインブーム本体40の側面40aと一対のブラケット70の先端部702との間の空間Sに挿入され、油圧拡縮ピン74が貫通孔形成部621の貫通孔622を貫くことによって、ブラケット50は、メインブーム8と連結される。
【0034】
(1-5-5.支持部)
支持部52は、フロント装置20の第2ブーム側ピン282を下方から支持する。支持部52は、
図7に示すように、側面視において略三角形状の側板54の1つの頂点近傍に設けられている。支持部52は、
図5に示すように、一対の側板54の各々に形成された受け部521と、通過部522と、を有する。受け部521は、一対の側板54の1つの頂点近傍に設けられている。受け部521は、外側受け部分521aと、内側受け部分521bを有する。外側受け部分521aは、側板54を幅方向Wに沿って貫通する貫通孔の周縁の一部を切り欠いたような内側空間を有する。また、内側受け部分521bは、側板54の内側であって、外側受け部分521aの内側に配置されている。内側受け部分521bは、外側受け部分521aと同様に幅方向Wに沿った貫通孔の周縁の一部を切り欠いたような内側空間を有する湾曲した部材である。
【0035】
外側受け部分521aと内側受け部分521bの双方の切り欠き形状部分は通過部522を形成し、第2ブーム側ピン282は通過部522を通過して受け部521に配置される。通過部522は、
図7に示すように側面視において略三角形状の側板54の第3辺54cに開口している。
なお、側板54によって十分な強度を有する場合には、内側受け部分521bは設けられていなくてもよい。
また、
図8に示すように、一対の側板54は、固定部612と受け部521の間に段差54dを有しており、固定部612における幅方向Wの間隔より受け部521における幅方向Wの間隔の方が狭くなっている。
【0036】
(1-5-6.内側支持部)
内側支持部55は、フロント装置20を持ち上げる際に第2ブーム21の一対の側板部分281の間に挿入され、フロント装置20の幅方向Wへの揺れを規制する。内側支持部55は、
図6に示すように、一対の規制板551と、補強部材552とを有する。規制板551は、側板54と平行に配置され、側板54の内側に固定されている。規制板551は、側板54の貫通孔形成部621と固定部612の間における貫通孔形成部621の近傍に固定されており、第2辺54bから突出している。また、規制板551は、貫通孔形成部621寄りに突出している。
各々の側板54に固定されている規制板551は、幅方向Wに沿って対向して設けられている。補強部材552は、一対の規制板551の先端の間に幅方向に沿って設けられた円柱状の部材であり、一対の規制板551を補強する。
【0037】
(1-5-7.突当て部)
突当て部53は、フロント装置20を持ち上げる際に第2ブーム21の一対の貫通孔形成部283が突き当たる。突当て部53は、
図6および
図7に示すように、第2辺54bの連結部62近傍に設けられている。突当て部53は、一対の側板54の各々の端面に形成された凹部531を有している。凹部531は、第2辺54bの一部に形成されている。また、側面視において、凹部531は、規制板551の一部と重なっている。凹部531は、規制板551の外側に設けられている。
また、一対の側板54の第3辺54cの間を繋ぐ板状部材56が設けられている。板状部材56は、一対の側板54を補強する。板状部材56には、フックなどを引っ掛けるための円環部57等が設けられている。なお、
図7及び
図8には、円環部57は省略されている。
【0038】
<2.動作>
次に、本実施の形態のブラケットを用いたフロント装置20の移動方法を説明する。
図9は、本実施の形態におけるフロント装置20の移動方法を示すフロー図である。
【0039】
はじめに、メインブーム8にブラケット50が取付けられる。
図9のステップS10において、ブラケット50がメインブーム8によって支持される。
図10は、ブラケット50をメインブーム8で支持する際の動作について説明するための図である。
図10に示すように、ブラケット50は、例えば台座33に配置されている。ブラケット50は、連結部62が下側に位置し、被支持部61が上側に位置しており、被支持部61が連結部62よりもメインブーム8から遠くに位置するように配置されている。また、第1辺54aがメインブーム8側に位置するようにブラケット50は配置されている。被支持部61と連結部62の位置関係は、メインブーム8の支持部41と連結機構42の位置関係と対応している。
【0040】
台座33に配置されたブラケット50に対して下方からメインブーム8が持ち上げられ(
図10の矢印A参照)、ブラケット50の被支持部61がメインブーム8の支持部41によって下方から支持される。
図11A~
図11Bは、メインブーム8にブラケットが取付けられる動作を説明するための図である。
【0041】
図10の矢印Aに示すように、メインブーム8が持ち上げられると、
図11Aに示すように、メインブーム8の支持部41は、ブラケット50の一対の側板54の間に挿入される。そして、ブラケット50のピン611が支持部41の通過部41bを通って、
図11Bに示すように受け部41aに配置される。
また、ブラケット50の連結部62の一対の貫通孔形成部621が、メインブーム本体40とブラケット70の先端部702の間の空間S(
図4参照)に挿入される。
【0042】
次に、ステップS20において、第1貫通孔71と、ブラケット50の貫通孔622と、第2貫通孔72が、幅方向Wに並んで配置されるように位置調整が行われて、油圧拡縮ピン74が伸長して、ブラケット50の連結部62がメインブーム8の連結機構42に連結される。
図12は、ブラケット50がメインブーム8に連結された状態を下方から視た斜視図である。なお、
図12では、ブラケット50とメインブーム8との関係を分り易くするために、紙面手前側の側板54を二点鎖線で示しており、その内側を図示している。
図12に示すように、油圧拡縮ピン74が幅方向Wの両側に伸長することにより、油圧拡縮ピン74は第2貫通孔72から突出されてブラケット50の貫通孔622を貫き、第1貫通孔71に挿入されている。
【0043】
図12に示すように、支持部41によって被支持部61がメインブーム8で支持され、連結機構42によって連結部62がメインブーム8と連結されることにより、ブラケット50がメインブーム8の先端部44に取付けられる。
次に、ブラケット50を介してメインブーム8によってフロント装置20を荷台31から下ろす動作について説明する。
図13は、フロント装置20を荷台31から下ろす動作を説明するための図である。
図14A~
図14Cは、ブラケット50がフロント装置20の基端部28に取付ける動作を説明するための側面図である。
【0044】
ステップS30において、ブラケット50でフロント装置20が支持される。
図13に示すように、トラック30の荷台31に配置されている状態のフロント装置20の基端部28にブラケット50が取付けられたメインブーム8の先端が近づけられる。
図8に示すように、ブラケット50の支持部52における一対の側板54の幅は被支持部61における幅よりも狭くなっており、
図14Aに示すように一対の側板54の狭くなっている部分(支持部52)が、フロント装置20の基端部28に設けられた一対の側板部分281の間に挿入される。
【0045】
そして、メインブーム8を持ち上げることによって、
図14Aおよび
図14Bに示すように、通過部522を介して第2ブーム側ピン282が、受け部521の内側に配置される。これにより、ブラケット50の支持部52によってフロント装置20の第2ブーム側ピン282が支持される。
次に、ステップS40において、メインブーム8の先端部44が持ち上げられる(
図14Bの矢印A参照)。これにより、フロント装置20の基端部28は、第2ブーム側ピン282を中心にして貫通孔形成部283が、ブラケット50側に近づく(矢印B参照)。
【0046】
次に、ステップS50において、
図14Cに示すように、貫通孔形成部283が、ブラケット50の凹部531に嵌るように突当て部53に突き当てられ、フロント装置20の貫通孔形成部283側の回動が停止する。貫通孔形成部283と凹部531の接触部分(突き当て部分)をQとして示す。
図15Aは、
図14CのCC´間の矢示断面図であり、
図15Bは、
図14CのDD´間の矢示断面図である。なお、
図15Aおよび
図15Bは、幅方向Wにおいて対称であるため、幅方向Wの中央に位置する中心線Oを中心にして半分の構成のみ示す。
【0047】
図15Aに示すように、一対の側板54が一対の側板部分281の内側に入り込み、受け部521によって第2ブーム側ピン282が下方から支持されている。また、
図15Bに示すように、油圧拡縮ピン74が拡張されている。油圧拡縮ピン74の両端の移動体741が幅方向Wの外側に移動し、第2貫通孔72から突出し、ブラケット50の貫通孔622を貫き、第1貫通孔71へと挿入されている。第1貫通孔71には外側に蓋部711が設けられている。
【0048】
また、
図15Bに示すように、貫通孔284から内側支持部55を視認することによって、ブラケット50が所定位置に配置されていることを確認することができる。
図16は、ブラケット50を用いない場合のメインブーム8の先端部44とフロント装置20の基端部28の位置関係を示す図である。荷台31にフロント装置20が載置されているためフロント装置20の基端部28の位置が高くなり、メインブーム8を高い位置まで持ち上げる必要が生じる。そのため、支持部41と連結機構42の線分L1の水平方向に対する角度が大きくなり、
図16に示すように、第2ブーム側ピン282をメインブーム8の支持部41によって支持しようとしても、メインブーム8の先端部44がフロント装置20の傾斜面280と干渉するために、メインブーム8の先端部44にフロント装置20の基端部28を取付けることができない。なお、干渉している位置がPとして図示されている。
【0049】
一方、本実施の形態では、メインブーム8の先端部44にブラケット50を取付けることによって、ブラケット50を介してメインブーム8の先端部44にフロント装置20の基端部28を取付けることができる。
また、
図14Cに示すように、側面視において被支持部61と連結部62を結ぶ線分をL1とし、支持部52と突当て部53とを結ぶ線分をL2とすると、フロント装置20にブラケット50を取付ける際のブラケット50の姿勢において、線分L2は線分L1よりもフロント装置20側に傾斜している(水平方向との成す角が小さくなっている)。
【0050】
このようにブラケット50を用いてフロント装置20に取付ける部分の水平方向に対する傾斜をゆるくすることによって、高い位置に配置されたフロント装置20の基端部28を保持することができる。
次に、ステップS60において、貫通孔形成部283がブラケット50の突当て部53に突き当てられた状態で、メインブーム8が持ち上げられる。これにより、フロント装置20はブラケット50の支持部52によって支持されるとともに突当て部53によっても支持されて、持ち上げられる。
【0051】
フロント装置20が持ち上げられた状態で、トラック30を移動させた後、メインブーム8を下げることによって、
図17(a)に示すように、フロント装置20を地面に載置できる。そして、メインブーム8を下げることによって、
図17(b)に示すように突当て部53の凹部531からフロント装置20の貫通孔形成部283が離間される。
続いて、ブラケット50の支持部52をフロント装置20の第2ブーム側ピン282から離間することによってブラケット50がメインブーム8から取り外される。
【0052】
その後、メインブーム8をフロント装置20に連結することによって、
図1の状態となり解体作業を行うことができる。
なお、上記では、トラック30の荷台31からフロント装置20を下ろす動作について説明しているが、トラック30の荷台31にフロント装置20を上げるときは上記と逆の手順で行うことができる。
【0053】
<3.特徴など>
(3-1)
本実施の形態のブラケット50は、
図5および
図14Cに示すように、車両本体1(作業車両本体の一例)に設けられたメインブーム8(ブームの一例)とフロント装置20とを接続するブラケットであって、支持部52(第1支持部の一例)と、突当て部53と、取付部51と、を備える。支持部52は、フロント装置20の基端部28の背面21a側寄りに幅方向Wに設けられた第2ブーム側ピン282(第1ピンの一例)を支持する。突当て部53は、フロント装置20の基端部28の腹面21b寄り(背面に対して反対側寄りの一例)の貫通孔形成部283(所定部分の一例)を突き当てる。取付部51は、メインブーム8(本体側ブームの一例)の先端部44に着脱可能に取り付けられる。
【0054】
ここで、荷台31に載っている状態では、フロント装置20の基端部28の位置が地面から高くなるため物理的に干渉しフロント装置20にメインブーム8を取り付けることができないが、メインブーム8の先端部44にブラケット50を取付けることによって、荷台31に載置した状態でフロント装置20を持ち上げることができる。
このため、フロント装置20をトラック30(輸送車両の一例)の荷台31へ上げる作業および荷台31から下ろす作業を車両本体1によってブラケット50を用いて行うことが可能となり、クレーンを同行させる必要がなく、輸送コストを低減することができる。
【0055】
(3-2)
本実施の形態のブラケット50は、一対の側板54を更に備える。突当て部53は、側板54の端面に設けられている、
これにより、フロント装置20を側板54の突当て部53で支えることでフロント装置20を持ち上げることができる。
【0056】
(3-3)
本実施の形態のブラケット50では、突当て部53は、
図7に示すように、側板54の端面に形成された凹部531である。
これにより、フロント装置20の基端部28の貫通孔形成部283(所定部分の一例)が凹部531に嵌り、フロント装置20を安定して支えることができる。
【0057】
(3-4)
本実施の形態のブラケット50では、
図5および
図14Cに示すように、取付部51は、被支持部61と、連結部62とを有する。被支持部61は、メインブーム8(ブームの一例)の先端部44の背面8a側寄りに設けられた支持部41(第2支持部の一例)に支持される。連結部62は、メインブーム8の先端部44の腹面8b側(背面に対して反対側の一例)と連結する。支持部52(第1支持部の一例)は、車両本体1(作業車両本体の一例)からみて取付部51より前方にある。
これにより、ブラケット50をメインブーム8の先端部44に支持した状態で連結することによって、ブラケット50をメインブーム8の先端部44に固定することができる。
【0058】
(3-5)
本実施の形態のブラケット50は、
図7に示すように、側面視において、支持部52と被支持部61と連結部62とを頂点とする三角形状である。
これによって、ブラケット50をメインブーム8の先端部44に取付けることによって、メインブーム8を用いて荷台31に載置した状態からフロント装置20を持ち上げることができる。
【0059】
(3-6)
本実施の形態のブラケット50では、
図14Cに示すように、支持部52(第1支持部の一例)は、側面視において、メインブーム8(ブームの一例)の背面8aに沿って車両本体1(作業車両本体の一例)の前方に向かう延長線L3の下方に位置している。
これにより、フロント装置20の傾斜面280と干渉せずに、ブラケット50を介してメインブーム8の先端部44にフロント装置20の基端部28を取付けることができる。
【0060】
(3-7)
本実施の形態のブラケット50は、
図6に示すように、内側支持部55を更に備える。内側支持部55は、
図15Bに示すように、フロント装置20の基端部28に設けられた幅方向Wに対向する側板部分281(側板の一例)の間に挿入される。
これにより、ブラケット50を用いてメインブーム8でフロント装置20を持ち上げる際に、フロント装置20の幅方向Wにおける安定性を向上させることができる。
【0061】
(3-8)
本実施の形態のブラケット50では、支持部52(第1支持部の一例)は、
図5に示すように、フロント装置20に配置された第2ブーム側ピン282(第1ピンの一例)を下方から支持する。
これにより、フロント装置20の第2ブーム側ピン282を受け部521に配置することができる。
【0062】
(3-9)
本実施の形態のブラケット50では、被支持部61は、
図5に示すように、ピン611(第2ピンの一例)を有する。ピン611は、
図11Bに示すように、メインブーム8(ブームの一例)の先端部44に設けられた受け部41a(第2受け部の一例)によって支持される。連結部62は、
図5に示すように、一対の貫通孔622を有する。一対の貫通孔622は、
図15Bに示すように、メインブーム8の先端部44において油圧拡縮ピン74(第3ピンの一例)が挿入可能である。
これにより、メインブーム8の先端部44にブラケット50を着脱可能に取付けることができる。
【0063】
(3-10)
本実施の形態のブラケット50は、
図5および
図6に示すように、一対の側板54を更に備える。一対の側板54は、対向して配置されている。一対の貫通孔622は、一対の側板54に設けられている。ピン611(第2ピンの一例)は、一対の側板54の間に配置されている。突当て部53は、側板54の端面に設けられている。
これにより、フロント装置20を側板54の突当て部53で支えることでフロント装置20を持ち上げることができる。
【0064】
(3-11)
本実施の形態のブラケット50では、
図14Cに示すように、側面視において、被支持部61と連結部62を結ぶ線分をL1(第1線分の一例)とし、支持部52(第1支持部の一例)と突当て部53を結ぶ線分をL2(第2線分の一例)とすると、メインブーム8(本体側ブームの一例)に取り付けられたブラケット50をフロント装置20に装着する際に、線分L2は、上端が線分L1よりもフロント装置20側に位置するように線分L1よりもフロント装置20側に傾斜している。
これにより、フロント装置20が地面から高い位置に配置されている場合であってもブラケット50を介してメインブーム8で持ち上げることができる。
【0065】
(3-12)
本実施の形態のフロント装置移動方法は、車両本体1(作業車両本体の一例)に着脱可能なフロント装置20をトラック30(輸送車両の一例)の荷台31から下ろす若しくは荷台31に上げるフロント装置移動方法であって、ステップS10、S20(取付工程の一例)と、ステップS30(フロント装置支持工程の一例)と、ステップS40(第1持ち上げ工程の一例)と、ステップS50(突当て工程の一例)と、ステップS60(第2持ち上げ工程の一例)と、を備える。ステップS10、S20(取付工程の一例)は、車両本体1のメインブーム8(本体側ブームの一例)の先端部44にブラケット50を取付ける。ステップS30(フロント装置支持工程の一例)は、フロント装置20の基端部28の背面21a側寄りに幅方向Wに設けられた第2ブーム側ピン282(第1ピンの一例)をブラケット50の支持部52(第1支持部の一例)で支持する。ステップS40(第1持ち上げ工程の一例)は、支持部52で第2ブーム側ピン282(第1ピンの一例)を支持した状態において、メインブーム8を持ち上げる。ステップS50(突当て工程の一例)は、ステップS40(第1持ち上げ工程の一例)によって支持部52を支点としてフロント装置20の基端部28の腹面21b側寄り(背面に対して反対側寄りの一例)の貫通孔形成部283(所定部分の一例)がブラケット50に向かって回動し、ブラケット50の突当て部53に突当たる。ステップS60(第2持ち上げ工程の一例)は、支持部52で第2ブーム側ピン282を支持し貫通孔形成部283が突当った状態でメインブーム8を持ち上げ、フロント装置20を持ち上げる。
【0066】
ここで、荷台31に載っている状態では、フロント装置20の基端部28の位置が地面から高くなるため物理的に干渉しフロント装置20にメインブーム8を取り付けることができないが、メインブーム8の先端部44にブラケット50を取付けることによって、荷台31に載置した状態でフロント装置20を持ち上げることができる。
このため、フロント装置20をトラック30(輸送車両の一例)の荷台31へ上げる作業および荷台31から下ろす作業を車両本体1によってブラケット50を用いて行うことが可能となり、クレーンを同行させる必要がなく、輸送コストを低減することができる。
【0067】
(3-13)
本実施の形態のフロント装置移動方法では、ステップS10、S20(取付工程の一例)は、ステップS10(ブラケット支持工程の一例)と、ステップS20(連結工程の一例)とを有する。ステップS10(ブラケット支持工程の一例)は、メインブーム8(本体側ブームの一例)の先端部44の背面8a側寄りに設けられた支持部41(第2支持部の一例)でブラケット50の被支持部61を支持する。ステップS20(連結工程の一例)は、ブラケット50の連結部62が、メインブーム8(本体側ブームの一例)の先端部44の腹面8b側(背面に対して反対側の一例)と連結される。
【0068】
<4.他の実施形態>
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態のフロント装置20は解体ロングにかぎらなくてもよく、いわゆる2ピース仕様のフロント装置が用いられても良い。また、フロント装置20には圧砕具23が設けられているが、圧砕具23に限らずバケット等であってもよい。
【0069】
(B)
上記実施の形態では、台座33にブラケット50を配置してメインブーム8を回動することにより、ブラケット50をメインブーム8に取付けているが、これに限らなくても良く、例えば、解体現場にクレーン機能付き油圧ショベルが存在する場合には、この油圧ショベルのクレーンフックをブラケット50の円環部57に引っ掛けることにより持ち上げて、メインブーム8に取付けても良い。
【0070】
(C)
上記実施の形態では、フロント装置20の貫通孔形成部283がブラケット50に当接しているが、これに限らなくても良く、例えば、傾斜面280がブラケット50に当接するようにブラケット50が構成されていてもよい。
(D)
上記実施の形態では、作業車両の一例として解体仕様車100を例に挙げて説明したが、解体仕様車に限らなくてもよく、複数のフロント装置に交換可能な作業車両に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のブラケットおよびフロント装置移動方法によれば、輸送コストを低減することが可能な効果を有し、解体仕様車などとして有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 :車両本体
8 :メインブーム
20 :フロント装置
21a :背面
21b :腹面
28 :基端部
44 :先端部
50 :ブラケット
51 :取付部
52 :支持部
53 :突当て部
282 :第2ブーム側ピン
283 :貫通孔形成部