(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】吸塵ビット及び回転打撃工具
(51)【国際特許分類】
B25D 17/02 20060101AFI20220331BHJP
B25D 16/00 20060101ALI20220331BHJP
B25D 17/18 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B25D17/02
B25D16/00
B25D17/18
(21)【出願番号】P 2018053119
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】辻 英暉
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-181817(JP,A)
【文献】特開2012-056054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/02
B25D 16/00
B25D 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に刃部を備えると共に、外面に吸込口を有する吸塵路を内部に形成して電動工具に装着可能な吸塵ビットであって、
アンカ打ち込み用ホルダを装着可能な装着部を備え
る一方、
前記刃部の後方に、定寸深さ設定用の突き当て部を備え、前記突き当て部は、前記アンカ打ち込み用ホルダの装着部と兼用されることを特徴とする吸塵ビット。
【請求項2】
前記アンカ打ち込み用ホルダは、前端のロッド部と、前記ロッド部の後方へ同軸で形成される筒部とを有すると共に、前記筒部は、前記突き当て部への装着状態で前記刃部を収容可能な前側の小径部と、前記装着状態で前記突き当て部が嵌合可能な後側の大径部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の吸塵ビット。
【請求項3】
前記突き当て部の周面には、前端から後方へ形成される案内溝と、前記案内溝の後端と連通して周方向に形成される係止溝とからなる抜け止め溝が形成されていると共に、前記案内溝の底面は、前端から後端へ行くに従って徐々に浅くなる傾斜を有し、前記係止溝の底面における前記案内溝との連通部分には、最も深くなる谷部が形成されて、
前記アンカ打ち込み用ホルダには、前記突き当て部への装着の際に前記案内溝から前記抜け止め溝に進入して前記係止溝の前記谷部に係止可能なロック体が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵ビット。
【請求項4】
前記吸込口は、前記刃部の前端面に形成されていることを特徴とする請求項1
乃至3の何れかに記載の吸塵ビット。
【請求項5】
前記吸塵路と連通する位置で外部の集塵用ホースを接続可能な集塵用アダプタの取付部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至
4の何れかに記載の吸塵ビット。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れかに記載の吸塵ビットを装着してなり、前記吸塵ビットを回転させるドリルモード若しくはハンマードリルモードと、前記吸塵ビットを打撃するハンマーモードとが選択可能な回転打撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具を用いてアンカボルト打ち込み用の下穴を形成する際に使用される吸塵ビットと、その吸塵ビットを装着したハンマードリル等の回転打撃工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具を用いてアンカボルトの打ち込み作業を行う場合、電動ドリル等に装着したドリルビットで打ち込み位置に下穴を形成した後、電動ハンマー等にアンカボルト打ち込み用のパンチ(アンカ打ち込み用ホルダ)を装着し、アンカボルトを打撃して打ち込みを行う手順となる。この場合、ドリルビットとパンチとの交換に手間がかかって作業効率が悪くなることから、特許文献1には、パンチに、ドリルビットを先端から収容可能な筒部を形成し、ドリルモードで下穴を形成した後は、装着したドリルビットにパンチを被せてそのままハンマーモードで打ち込み作業を可能としたアンカ取付具の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際の打ち込み作業では、下穴を形成した際、穿孔時に発生した粉塵が下穴内に残留し、そのままでは打ち込みができないため、一旦作業を中断して集塵機等を用いて下穴に貯まった粉塵を除去する必要がある。従って、ドリルビットにパンチを被せた上記特許文献1の発明であっても、下穴の清掃作業が必要となり、作業効率の向上には限度があった。
【0005】
そこで、本発明は、アンカボルトの打ち込み作業を下穴の清掃も含めて効率よく実行することができる吸塵ビット及び回転打撃工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、先端に刃部を備えると共に、外面に吸込口を有する吸塵路を内部に形成して電動工具に装着可能な吸塵ビットであって、
アンカ打ち込み用ホルダを装着可能な装着部を備える一方、
刃部の後方に、定寸深さ設定用の突き当て部を備え、突き当て部は、アンカ打ち込み用ホルダの装着部と兼用されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、アンカ打ち込み用ホルダは、前端のロッド部と、ロッド部の後方へ同軸で形成される筒部とを有すると共に、筒部は、突き当て部への装着状態で刃部を収容可能な前側の小径部と、装着状態で突き当て部が嵌合可能な後側の大径部とを備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、突き当て部の周面には、前端から後方へ形成される案内溝と、案内溝の後端と連通して周方向に形成される係止溝とからなる抜け止め溝が形成されていると共に、案内溝の底面は、前端から後端へ行くに従って徐々に浅くなる傾斜を有し、係止溝の底面における案内溝との連通部分には、最も深くなる谷部が形成されて、アンカ打ち込み用ホルダには、突き当て部への装着の際に案内溝から抜け止め溝に進入して係止溝の谷部に係止可能なロック体が設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、吸込口は、刃部の前端面に形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、吸塵路と連通する位置で外部の集塵用ホースを接続可能な集塵用アダプタの取付部が設けられていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、回転打撃工具であって、請求項1乃至5の何れかに記載の吸塵ビットを装着してなり、吸塵ビットを回転させるドリルモード若しくはハンマードリルモードと、吸塵ビットを打撃するハンマーモードとが選択可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び6に記載の発明によれば、吸塵ビットがアンカ打ち込み用ホルダを装着可能であるため、吸塵ビットによる下穴の形成と同時に粉塵を吸塵でき、そのまま吸塵ビットにアンカ打ち込み用ホルダを装着すれば続けてアンカボルトの打ち込みが可能となる。よって、アンカボルトの打ち込み作業を下穴の清掃も含めて効率よく実行することができる。
特に、定寸深さ設定用の突き当て部がアンカ打ち込み用ホルダの装着部と兼用されているので、アンカ打ち込み用ホルダの装着部が簡単に得られる合理的な構成となる。
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加えて、吸込口は、刃部の前端面に形成されているので、下穴形成時の吸塵が効率よく行える。
請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加えて、吸塵路と連通する位置で外部の集塵用ホースを接続可能な集塵用アダプタの取付部が設けられているので、吸塵ビットで吸塵した粉塵を飛散させることなく集塵機等に集塵可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】吸塵ビット(アンカ打ち込み用ホルダ付き)の斜視図である。
【
図2】吸塵ビット及びアンカ打ち込み用ホルダの斜視図である。
【
図3】(A)は吸塵ビット(アンカ打ち込み用ホルダ付き)の水平断面図、(B)は中央縦断面図である。
【
図4】吸塵ビットを装着したハンマードリルの側面図である。
【
図5】吸塵ビット(アンカ打ち込み用ホルダ付き)を装着したハンマードリルの中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、アンカ打ち込み用ホルダ30付きの吸塵ビット1の一例を示す斜視図、
図2は両者それぞれの斜視図である。ここでは便宜上、アンカ打ち込み用ホルダ30側を前、吸塵ビット1側を後、集塵用アダプタ3の突出側を下として説明する。
吸塵ビット1は、金属製のビット本体2と、ビット本体2に装着される樹脂製の集塵用アダプタ3とを備えてなる。ビット本体2は、前端に切れ刃5を備えた軸状の刃部4と、刃部4の後方へ同軸で形成される刃部4より大径軸状の突き当て部7と、突き当て部7の後方へ同軸で形成される突き当て部7より小径のシャンク部8とからなる。集塵用アダプタ3は、突き当て部7へ直交状に装着されている。
【0010】
刃部4は、切れ刃5の先端から突き当て部7の前端面までの長さがアンカボルトの下穴深さの定寸となるように形成されて、刃部4及び突き当て部7の軸心には、
図3に示すように、両者に跨がって吸塵路9が形成されている。刃部4内での吸塵路9の前端は、二股に分岐されて前方に延び、刃部4の前端面に一対の吸込口10,10を開口させている。吸塵路9の後端は、突き当て部7内で下側へ折曲して下方に延び、突き当て部7の下面に出口11を開口させている。
突き当て部7は、前後両端寄りの外周に、集塵用アダプタ3の前後の端面を位置決めする前フランジ12と後フランジ13とをそれぞれ有し、前フランジ12より前方の外周面には、装着されたアンカ打ち込み用ホルダ30を抜け止めするために、前端から後方へ形成される案内溝15と、案内溝15の後端と連通して周方向に形成される係止溝16とからなる抜け止め溝14が形成されている。このうち案内溝15の底面は、前端から後端へ行くに従って徐々に浅くなるように傾斜しており、係止溝16の底面では、案内溝15との連通部分に最も深くなる谷部17が形成されている。
【0011】
シャンク部8の後端には、後述するハンマードリル50のツールホルダ59に差込装着するための左右一対の抜け止め凹部18,18と、上下一対の回り止め溝19,19とがそれぞれ形成されている。
集塵用アダプタ3は、前フランジ12と後フランジ13との間で突き当て部7へ相対回転可能に外装される筒状の外装部20と、外装部20と連設されて下向きに突出し、下面が開口する筒状部21とからなる。外装部20の下面は開口して筒状部21と連通し、突き当て部7の出口11を筒状部21内に開放させている。
【0012】
アンカ打ち込み用ホルダ30は、前端に、アンカボルトの端部に位置決めされるロッド部31と、ロッド部31の後方へ同軸で形成される筒部32とを有する。筒部32は、吸塵ビット1の刃部4よりやや大径の内径を有して刃部4の全長よりやや長く形成される前側の小径部33と、突き当て部7が嵌合可能な内径を有して当該内径が突き当て部7の前端面から前フランジ12の前端面までの長さで形成される後側の大径部34とからなる二段径となっている。筒部32の内周には、突き当て部7の前端面に当接する段部35が周設されている。
また、小径部33における前後方向の中間部位には、上下に一対の透孔36,36が貫通形成されており、大径部34には、突き当て部7の嵌合状態で抜け止め溝14の係止溝16の位置に対応する貫通孔37と、その貫通孔37に連通するリング状の溝38とが形成されている。貫通孔37内には、抜け止め溝14に係合可能なロック体39が内面側へ出没可能に収容されると共に、溝38に外装されたバネリング40によって突出位置へ付勢されている。
【0013】
このアンカ打ち込み用ホルダ30は、ロック体39の位相をビット本体2の抜け止め溝14の案内溝15に合わせて筒部32をビット本体2に前方から被せる。すると、ロック体39が案内溝15から係止溝16の谷部17に達すると共に、筒部32の小径部33にビット本体2の刃部4が進入し、大径部34に突き当て部7が嵌合して、段部35が突き当て部7の前端面に、大径部34の後端が前フランジ12にそれぞれ当接する位置で前後方向に位置決めされる。この状態で深底の谷部17に位置するロック体39が係止溝16に係止して前方への移動が規制されるため、アンカ打ち込み用ホルダ30は抜け止めされる。アンカ打ち込み用ホルダ30を取り外す場合は、ロック体39が谷部17から係止溝16の浅底の端部へ移動するようにアンカ打ち込み用ホルダ30を回転させると、ロック体39の前方への移動が許容されるため、そのままアンカ打ち込み用ホルダ30を前方へ引っ張れば取り外し可能となる。
【0014】
そして、
図4は、回転打撃工具の一例であるハンマードリル50に、アンカ打ち込み用ホルダ30を被せない状態の吸塵ビット1を装着した側面を示し、
図5は、アンカ打ち込み用ホルダ30を被せた状態の吸塵ビット1を装着した中央縦断面を示している。
【0015】
ハンマードリル50は、左右一対の半割ハウジングを組み付けてなるハウジング51の前側下部に、モータ(ブラシレスモータ)52を、出力軸53を上向きにして収容している。モータ52の上方には、ベベルギア54,54を介してトルク伝達される中間軸55が前後方向に支持されて、中間軸55に、前方から第1ギア56、クラッチ57、ボススリーブ58が備えられている。中間軸55の上方には、ビットを先端に差し込み可能なツールホルダ59が、中間軸55と平行に軸支されて、その後方に遊挿されたピストンシリンダ60の後端に、ボススリーブ58にスワッシュベアリング61を介して外装されたアーム62が連結されている。ピストンシリンダ60の内部には、空気室63を介してストライカ64が前後移動可能に外装されて、その前方に設けたインパクトボルト65を打撃可能としている。第1ギア56は、ツールホルダ59に装着された第2ギア66と噛合している。ツールホルダ59の前端は、ハウジング51から前方へ突出しており、当該前端に外装された操作スリーブ67によってビットが着脱可能となっている。
【0016】
一方、ハウジング51の後側上部には、スイッチ69及びスイッチレバー70を備えたハンドル68が形成されており、ハンドル68の下方には、電源となるバッテリーパック72が後方からスライド装着されるバッテリー装着部71が設けられている。バッテリー装着部71内には、装着されたバッテリーパック72と電気的に接続される端子台73が設けられている。
また、ハウジング51の前側でモータ52の下側には、モータ52、スイッチ69、端子台73等と電気的に接続され、マイコンやスイッチング素子等を搭載した回路基板を備えたコントローラ74が、前後方向に収容されている。
【0017】
さらに、ハウジング51の側面には、動作モードを切り替えるための切替ツマミ75が設けられて、その前方でハウジング51の前端にはサイドハンドル76が装着されている。ここでは切替ツマミ75を操作することでクラッチ57をスライドさせて、第1ギア56のみと係合する前進位置、ボススリーブ58のみと係合する後退位置、第1ギア56及びボススリーブ58と同時に係合する中間位置の何れかを選択することで、第2ギア66を介してツールホルダ59が回転してビットを回転させるドリルモード、アーム62の揺動によってピストンシリンダ60を往復動させ、連動するストライカ64によってインパクトボルト65を介してビットを打撃するハンマーモード、ツールホルダ59の回転とインパクトボルト65の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となる。
【0018】
以上の如く構成された吸塵ビット1及びハンマードリル50において、アンカボルトの打ち込み作業を行う際には、
図4に示すように、アンカ打ち込み用ホルダ30を装着しない状態で、吸塵ビット1のシャンク部8をツールホルダ59の前端から差し込み、操作スリーブ67によって装着する。また、集塵用アダプタ3の筒状部21に、集塵機に接続される集塵用ホースとしてのフレキシブルホース22を接続する。
そして、ハンマードリルモード(若しくはドリルモード)を選択した状態で、刃部4の先端を床や天井等におけるアンカボルトの打ち込み位置にセットし、ハンマードリル50のスイッチレバー70を押し込み操作する。すると、スイッチ69がONしてモータ52が駆動し、中間軸55が回転してツールホルダ59が回転するため、ビット本体2が回転し、刃部4による穿孔が可能となる。この穿孔は、突き当て部7が打ち込み面に当接するまで行えば、定寸深さの下穴が形成される。
【0019】
穿孔作業中に集塵機を動作させると、発生した粉塵が刃部4の前端面の吸込口10,10から外気と共に吸い込まれ、そのまま吸塵路9を通って出口11から集塵用アダプタ3の筒状部21に至り、フレキシブルホース22から集塵機に集塵される。よって、形成した下穴に粉塵が残ることなく穿孔作業が終了する。
次に、下穴にアンカボルトを差し込む一方、
図5に示すように、吸塵ビット1にアンカ打ち込み用ホルダ30を装着して、ハンマーモードを選択する。そして、ロッド部31をアンカボルトの端部に位置決めしてハンマードリル50のスイッチレバー70を押し込み操作する。すると、モータ52が駆動して中間軸55が回転し、アーム62が揺動してシャンク部8がインパクトボルト65を介してストライカ64に打撃されて、アンカボルトが下穴に打ち込まれる。なお、この打ち込み作業の際には、フレキシブルホース22を集塵用アダプタ3の筒状部21から取り外してもよい。
【0020】
このように、上記形態の吸塵ビット1及びハンマードリル50によれば、吸塵ビット1にアンカ打ち込み用ホルダ30を装着可能な装着部(突き当て部7)を備えたことで、吸塵ビット1による下穴の形成と同時に粉塵を吸塵でき、そのまま吸塵ビット1にアンカ打ち込み用ホルダ30を装着すれば続けてアンカボルトの打ち込みが可能となる。よって、アンカボルトの打ち込み作業を下穴の清掃も含めて効率よく実行することができる。
特にここでは、刃部4の後方に、定寸深さ設定用の突き当て部7を備え、突き当て部7がアンカ打ち込み用ホルダ30の装着部と兼用されているので、アンカ打ち込み用ホルダ30の装着部が簡単に得られる合理的な構成となる。
【0021】
また、吸込口10は、刃部4の前端面に形成されているので、下穴形成時の吸塵が効率よく行える。
さらに、吸塵路9と連通する位置で外部のフレキシブルホース22を接続可能な集塵用アダプタ3の取付部(前フランジ12と後フランジ13との間の突き当て部7)が設けられているので、吸塵ビット1で吸塵した粉塵を飛散させることなく集塵機等に集塵可能となる。
そして、吸塵ビット1を装着してハンマードリルモード(或いはドリルモード)とハンマーモードとが選択可能なハンマードリル50によれば、下穴の形成からアンカボルトの打ち込みまでを1つの工具で実行することができる。
【0022】
なお、上記形態では、定寸深さ設定用の突き当て部をアンカ打ち込み用ホルダの装着部と兼用しているが、突き当て部がなければ単独で装着部を形成してもよいし、突き当て部と別に装着部を形成してもよい。刃部やシャンク部の長さや形態も適宜変更可能である。
また、吸塵路の構造は上記形態に限らず、吸込口は1つでもよいし、刃部の前端面以外に形成してもよい。
さらに、集塵用アダプタは、全体を樹脂製とするものに限らず、ビット本体を覆う樹脂製の外装部に、集塵用ホースを接続する金属製のカプラを設けるものとしたり、集塵用アダプタをビット本体に対して着脱可能としたりしても差し支えない。
【0023】
その他、ハンマードリルの形態も、モータの向きや種類、バッテリーパックの配置等を適宜変更できる。バッテリーパックでなく電源コードを備えたAC機であってもよい。
また、ハンマードリルには、アンカ打ち込み用ホルダを保持或いは収納できるように、例えばハウジングの外面に、C字状のホルダ部を設けたり、ポケット等の収納部を設けたりすることも可能である。
さらに、アンカボルトの打ち込み作業は、ハンマードリル等の回転打撃工具のみによるものに限らず、例えば下穴の形成は電動ドリルに吸塵ビットを装着して行い、アンカボルトの打ち込みは電動ハンマにアンカ打ち込み用ホルダ付きの吸塵ビットを装着して行うといった使い方も可能である。この場合も吸塵ビットによって下穴形成と同時に吸塵が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1・・吸塵ビット、2・・ビット本体、3・・集塵用アダプタ、4・・刃部、7・・突き当て部、8・・シャンク部、9・・吸塵路、10・・吸込口、12・・前フランジ、13・・後フランジ、14・・抜け止め溝、20・・外装部、21・・筒状部、22・・フレキシブルホース、30・・アンカ打ち込み用ホルダ、31・・ロッド部、32・・筒部、33・・小径部、34・・大径部、35・・段部、50・・ハンマードリル、51・・ハウジング、52・・モータ、53・・出力軸、55・・中間軸、59・・ツールホルダ、67・・操作スリーブ。