(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】清掃具用スタンド
(51)【国際特許分類】
A47L 13/51 20060101AFI20220331BHJP
A47L 13/52 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A47L13/51
A47L13/52 102
(21)【出願番号】P 2018100584
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一壽
(72)【発明者】
【氏名】松本 友憲
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-056732(JP,A)
【文献】特開2005-066236(JP,A)
【文献】実開昭58-068253(JP,U)
【文献】実開昭60-062606(JP,U)
【文献】実開平06-040431(JP,U)
【文献】特開2002-209713(JP,A)
【文献】中国実用新案第201108405(CN,Y)
【文献】独国実用新案第202005005357(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/20,13/38,13/51,13/52
F16B 2/20,2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部及び清掃体部を備える清掃具の前記清掃体部を収容し、前方側を開放した収容部と、該収容部と連続し、前記柄部を保持する保持部とから構成される清掃具用スタンドであって、
前記保持部の上端から水平方向にかつ前後方向に突設した軸部に、少なくとも1つの回動片部を回動自在に軸支し、
前記柄部を前記保持部に保持した状態で、前記柄部を持ち上げることで前記回動片部が回動し、前記柄部を強固に挟持するロック状態にすることを特徴とする清掃具用スタンド。
【請求項2】
前記軸部に軸支された前記回動片部
の側面には、複数の滑止板部が設けられて
おり、該複数の滑止板部は、軸方向と垂直方向にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃具用スタンド。
【請求項3】
前記滑止板部は、弾性を有する樹脂材で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の清掃具用スタンド。
【請求項4】
前記軸部に軸支された前記回動片部を前記保持部の上端に左右対称に配置し、一対の前記回動片部の回動により前記柄部を挟持することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の清掃具用スタンド。
【請求項5】
前記保持部の上端に中空状の頂箱部を設け、該頂箱部に前記前方側が切欠かれた切欠部を設け、前記頂箱部内に前記軸部に軸支された前記回動片部を、前記切欠部の少なくとも一端側に配置したことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の清掃具用スタンド。
【請求項6】
前記切欠部の他端側に滑止加工を施した挟持片部を配置したことを特徴とする請求項5に記載の清掃具用スタンド。
【請求項7】
前記軸部に軸支された回動片部を前記切欠部を挟むように左右対称に配置し、一対の前記回動片部の回動により前記柄部を挟持することを特徴とする請求項5に記載の清掃具用スタンド。
【請求項8】
縦長形状の前記回動片部の上方側が前記軸部に軸支されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の清掃具用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具を収納して起立させる清掃具用スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、収容部と差し込み部とを有するワイパー用塵取り部が開示されている。この塵取り部においては、ワイパー用塵取り部の収容部に使用後のワイパーの清掃体部を入れ、ワイパーの柄を差し込み部に軸支されるようにして、ワイパーの柄を起立した状態で収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1のように、ワイパーをワイパー用塵取り部に収納した状態で、ワイパー及びワイパー用塵取り部を移動する際には、把持したワイパーの柄を上方に引き上げて、清掃体部上端を収容部に当接して、引っ掛けるように持ち上げてから、移動することになる。
【0005】
この際に、把持した柄を差し込み部の開口方向に傾けた場合には、ワイパーが開口部から外れてしまうことになる。また、清掃体部上端が開口部に当接する際に、衝撃により清掃体部が破損したり、清掃体部が開口部に当接する衝撃で、清掃体部の清掃シートに付着している塵芥が清掃シートから落下してしまうことも考えられる。そして、収容部内に落下した塵芥が、更にワイパー用塵取り部からこぼれて床面を汚すという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、収容部に収納した清掃具を移動する際に、柄部が保持部から外れることなく、柄部のロック状態を維持することができる清掃具用スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る清掃具用スタンドは、柄部及び清掃体部を備える清掃具の前記清掃体部を収容し、前方側を開放した収容部と、該収容部と連続し、前記柄部を保持する保持部とから構成される清掃具用スタンドであって、前記保持部の上端から水平方向にかつ前後方向に突設した軸部に、少なくとも1つの回動片部を回動自在に軸支し、前記柄部を前記保持部に保持した状態で、前記柄部を持ち上げることで前記回動片部が回動し、前記柄部を強固に挟持するロック状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る清掃具用スタンドによれば、清掃具を起立した状態で清掃具の柄部を収納できると共に、この状態で柄部を持って持ち上げても、清掃具に衝撃等を与えることなく、保持部により柄部を強固に挟持するロック状態にすることができる。そして、清掃具が外れることなく任意の場所まで移動することができ、床面に載置するまで清掃具のロック状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】
図6のII-II線の沿った要部断面図である。
【
図8】清掃具を保持した状態の保持部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は柄部を起立した状態の清掃具の斜視図である。清掃具10は、棒状の柄部10aと、この柄部10aの先端に回動自在に取り付けた清掃体部10bとから構成されており、清掃体部10bの表面の四隅には係止穴部10cが設けられている。これらの係止穴部10cの入口部には、柔軟な合成樹脂材から成る薄板部10dが取り付けられている。
【0011】
薄板部10dには、鋸歯状の破断部10eが形成されており、図示しない清掃シートの一部を清掃体部10bの表面側から破断部10eに押し込んで、清掃シートを固定できるようになっている。そして、清掃シートを破断部10eから引き抜くことにより、清掃シートを容易に取り外すことが可能とされている。
【0012】
図2は清掃具用スタンドの前方から見た斜視図、
図3は背面から見た状態の分解斜視図、
図4は平面図であり、
図5は
図4のI-I線に沿った断面図である。
【0013】
清掃具用スタンドの大きさは、横30cm、縦10cm、高さ15cm程度であり、収納する清掃具10の大きさに応じて、適宜のサイズのものを使用することができる。
【0014】
清掃具用スタンドは、主としてプラスチック材等の硬質の合成樹脂材、又は軽金属等を適宜に使用して成型され、清掃具10の清掃体部10bを収容する収容部1と、この収容部1の一部に設け、柄部10aを保持する保持部2とから構成されている。
【0015】
一方向を開放し塵取り形状とした収容部1は、矩形状の底板部1aと、この底板部1aの左右の両側から垂直状に起立する1対の側板部1bと、これらの側板部1bの一方の端辺1cと連続し、同様に底板部1aから起立し、内側に傾いて成る背板部1dとから構成されている。
【0016】
両側板部1bの他方の端辺は、斜め方向に切欠された斜辺1eとされており、収容部1の背板部1dと対向する収容部1の前方側は塵取り用に開放されている。また、この部分の底板部1aの前方側の辺部は、塵埃を取り込むための薄肉部1fとされている。
【0017】
前方に傾斜した背板部1dの中央内側面には、清掃具10用の取付部1gが固定されており、この取付部1gに保持部2が背板部1dと平行に挿入されて取り付けられるようになっている。なお、取付部1gに対し保持部2は、図示しないレール部材により摺動して、挿入される等の適宜の取付方法により取り付けられている。
【0018】
保持部2の側面は逆L字状とされており、上端の中空状の頂箱部2aには、上方から見てU字状の切欠部2bが設けられている。この切欠部2bは頂箱部2aの前方側に切欠されており、切欠部2bの切欠幅は、清掃具10の柄部10aの直径よりも若干大きい程度とされている。
【0019】
図3の分解斜視図に示すように、頂箱部2a内には、背板部1dに取り付けられた背蓋部2cから、平行する2本の軸部2dが水平方向に、かつ背蓋部2cの面と直交する方向である前後方向に突出されており、2本の軸部2dにそれぞれ回動自在に軸支された1対の回動片部2eが、切欠部2bの両側に対向して配置されている。
【0020】
回動片部2eは左右対称形であり、縦長形状の回動片部2eの上方側には、軸部2dが挿入可能な軸受孔部2fが設けられており、回動片部2eの内側面には軸部2dの方向と直交する複数枚の滑止板部2gが内方に向けて配置されている。
【0021】
例えば、3枚の長板状の滑止板部2gは平行に配置されており、弾性を有する樹脂材、例えばゴム材から形成されている。なお、回動片部2eは全体を弾性樹脂で成形してもよいし、滑止板部2g以外を硬質の合成樹脂材として、2色成型によって構成するようにしてもよい。
【0022】
また、回動片部2eは頂箱部2a内に収納されているが、頂箱部2aを設けない構成にしてもよい。このような場合では、保持部2の上端に背板を設け、この背板から平行する2本の軸部2dを突設し、これらの軸部2dに回動片部2eを係止するようにする。更に、軸部2dの先端には、回動片部2eが抜け落ちないように落下防止部を取り付ける。
【0023】
また、回動片部2eは一対から成るものとして説明したが、片方のみであってもよい。この場合は、保持部2の上端である背板部1d又は背板の軸部2dに1つの回動片部2eのみを設けることになる。そして、回動片部2eを配置しない軸部2dには、軸部2dに軸支する回動片部2eに代えて、滑止加工を施した回動しない挟持片部を配置すればよい。
【0024】
図6は清掃具10の柄部10aを保持部2で保持した状態の平面図であり、
図7は
図6のII-II線に沿った要部断面図である。
【0025】
この清掃具用スタンドは、保持部2を片手で把持して塵取りとしても使用することができる。スタンドとして使用をする際には、先ず前方から清掃具10の底面が収容部1の底板部1aに接するようにして、
図6に示す矢印Aの方向に移動させる。この移動により、柄部10aは保持部2内に挿入されることになる。
【0026】
なお、背板部1dは底板部1aから斜めに立設されているので、保持部2の切欠部2bに柄部10aを挿入した際に、清掃体部10bの下端部が背板部1dに接触することなく、底板部1aの略中央に清掃具10が起立することになる。
【0027】
そして、柄部10aが切欠部2b内に挿入されると、
図8に示すように、頂箱部2a内に突出している滑止板部2gが、柄部10aの挿入に対応して引っ張られ、後方に湾曲した状態で柄部10aに接触することになる。また、矢印Aと反対方向に柄部10aを移動させると、柄部10aは保持部2から容易に外れることになる。
【0028】
柄部10aを切欠部2b内に挿入した状態で、
図7に示す矢印Bの上方向に柄部10aを持ち上げると、柄部10aと湾曲した状態で接している滑止板部2gが軸部2dを中心に回動する。これにより、回動片部2eの下方の間隙が狭まり、滑止板部2gにより柄部10aを両側から強固に挟持するロック状態となる。滑止板部2gはゴム等から成るので、柄部10aを挟着し、清掃具10が保持部2から滑り落ちることもない。
【0029】
なお、前述の一方側に回動片部2eを配置し、他方側に挟持片部を配置した清掃具用スタンドの場合では、柄部10aを保持部2で保持した状態、つまり回動片部2e、挟持片部間に挿入した状態で、上方向に柄部10aを持ち上げると、一方側の回動片部2eのみが回動することで、ロック状態とすることができる。ただし、一対の回動片部2eによる柄部10aの挟持力に比べると、一方側の回動片部2eのみによる柄部10aの挟持力は低下する。
【0030】
このように、柄部10aを持ち上げてロック状態にすると、柄部10aを大きく傾けても、保持部2から柄部10aが外れることはない。そして、柄部10aを持ち上げた状態で、任意の場所まで移動し、清掃具用スタンドを床に載置できる。
【0031】
この載置により、柄部10aから手を離すと、柄部10aが自重により低下し、矢印Bの方向の力が解除され、回動片部2eが元の状態に戻る。このようにして、清掃具10のロック状態は解除され、柄部10aを前方側に移動することで、清掃具10を清掃具用スタンドから容易に分離することができる。
【0032】
このように清掃具用スタンドは、清掃具10を起立した状態で収納することができると共に、収納した状態で持ち上げることで、清掃具10に衝撃等を与えることなくロック状態にすることができる。そして、清掃具10が外れることなく任意の場所まで移動することができ、床面に載置するまで清掃具10のロック状態を維持することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 収容部
2 保持部
2a 頂箱部
2b 切欠部
2d 軸部
2e 回動片部
2g 滑止板部
10 清掃具
10a 柄部
10b 清掃体部