(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】使用済燃料貯蔵施設
(51)【国際特許分類】
G21C 19/06 20060101AFI20220331BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20220331BHJP
G21F 5/008 20060101ALI20220331BHJP
G21F 5/10 20060101ALI20220331BHJP
G21F 7/00 20060101ALI20220331BHJP
G21F 5/08 20060101ALI20220331BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G21C19/06 200
G21C19/32 110
G21F5/008
G21F5/10 N
G21F7/00 K
G21F5/08
G21F9/36 541A
(21)【出願番号】P 2018105839
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 茂樹
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-126498(JP,A)
【文献】国際公開第2017/095943(WO,A1)
【文献】特開2013-185974(JP,A)
【文献】特開2008-232845(JP,A)
【文献】特開2001-174592(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03174064(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C11/00-13/032
13/04-13/08
13/10
19/00-19/10
19/12-19/313
19/32-19/50
23/00
G21F1/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済燃料を収容する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵するための使用済燃料貯蔵施設であって、
前記使用済燃料貯蔵容器を取り囲むように、少なくとも2段以上重ねて設置されるコンクリートモジュールを有
しており、
前記コンクリートモジュールは、前記使用済燃料貯蔵容器を1つ取り囲むのに必要な長さの直方体形状で、
前記コンクリートモジュールの両端部は、前記コンクリートモジュールの両端部以外に比べて積み重ね方向の厚さが薄い薄肉部が形成されている
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項2】
請求項1に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールは、超高強度コンクリートからなる
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項3】
請求項1に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記使用済燃料貯蔵施設は、前記使用済燃料貯蔵容器の除熱性を確保するための開口が形成されている
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項4】
請求項
3に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記開口を形成するための開口用コンクリートモジュールを更に有する
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項5】
請求項1に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールは、積み重ね時の横ズレを防止するキー構造を有している
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項6】
請求項
5に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールは、前記キー構造をその上面および下面に有している
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項7】
請求項
6に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールの前記キー構造は、十字状の凹凸である
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項8】
請求項
6に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールの前記キー構造は、前記コンクリートモジュールの長手方向にのびる凹凸である
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項9】
請求項
1に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールは、前記使用済燃料貯蔵容器の周囲に正方形状に設置されている
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【請求項10】
請求項1に記載の使用済燃料貯蔵施設において、
前記コンクリートモジュールの最上段に設置され、前記使用済燃料貯蔵容器の上面を覆うコンクリート天板を更に有する
ことを特徴とする使用済燃料貯蔵施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済燃料を乾式で貯蔵するための使用済燃料貯蔵施設に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などに起因する転倒の防止をより確実にできるコンクリートキャスクの一例として、特許文献1には、床スラブに一体的に形成されたキャスク底部にキャスク中間部を載置し、これらの内方の空間に貯蔵対象物を収納した後、キャスク中間部にキャスク上部を載置し、キャスク上部及びキャスク中間部のボルト孔に固着用ボルトを挿通し且つキャスク底部のねじ穴に固着用ボルトを螺合して、キャスク上部及びキャスク中間部を、床スラブに一体的に形成されたキャスク底部に対して締結することでコンクリートキャスクの転倒をより確実に防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子力プラントで発電に使用された使用済みの核燃料は、プラント内の燃料貯蔵プールに一定期間貯蔵された後、乾式キャスク(使用済燃料貯蔵容器)に入れられた状態で、乾式キャスク貯蔵施設において貯蔵される。さらに乾式キャスク貯蔵施設において一定期間貯蔵される。その後、輸送用キャスクに移し替えられた上で乾式キャスク貯蔵施設から再処理工場等へと輸送される。
【0005】
このうち、乾式キャスクを貯蔵するための施設は、現在使用されている使用済燃料貯蔵容器が十分に堅牢であることから、それを貯蔵するための建屋を簡素なものとすることが検討されている。これにより今後使用済燃料乾式貯蔵施設の設置促進が予想される。
【0006】
一方、新規制基準の施行に伴い、安全対策の一環として、航空機の落下に起因するエンジン等の飛来物や、竜巻等に起因する大きな運動エネルギーを持つ自動車等の飛来物、貫通性能の高い固い鉄骨部材等の飛来物への対策が各原子力施設に求められている。
【0007】
しかしながら、従来の貯蔵施設においては建屋の外壁で飛来物の貫通を防止していたが、建屋をより簡素なものとするために外壁を外すなどの対応を取る場合、使用済燃料貯蔵容器の周囲に、建屋に代わる簡素で安全性を確保した防護対策が必要となる。
【0008】
ここで、上述のような特許文献1では、使用済の核燃料を乾式キャスクにて貯蔵する方法として、コンクリートキャスクのコンクリート部分を分割し、一部を床スラブに一体的に形成することで、コンクリートキャスクの転倒を防止することが記載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1は乾式キャスクそのものをコンクリートで構成しているため、キャスクの輸送について全く配慮されておらず、再処理などを行う場合の輸送が困難である、との課題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、より簡素な形状、設備で安全性を確保しながら、貯蔵容量拡大や設置促進を実現することが可能な使用済燃料貯蔵施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、使用済燃料を収容する使用済燃料貯蔵容器を貯蔵するための使用済燃料貯蔵施設であって、前記使用済燃料貯蔵容器を取り囲むように、少なくとも2段以上重ねて設置されるコンクリートモジュールを有しており、前記コンクリートモジュールは、前記使用済燃料貯蔵容器を1つ取り囲むのに必要な長さの直方体形状で、前記コンクリートモジュールの両端部は、前記コンクリートモジュールの両端部以外に比べて積み重ね方向の厚さが薄い薄肉部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より簡素な形状、設備で安全性を確保しながら、貯蔵容量拡大や設置促進を実現することが可能な使用済燃料貯蔵施設を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールを用いた使用済燃料貯蔵施設の等角図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールを用いた使用済燃料貯蔵施設の分解図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの他の形態を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの更に他の形態を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの更に他の形態を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの更に他の形態を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの更に他の形態を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るコンクリートモジュールの更に他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の使用済燃料貯蔵容器を乾式によって貯蔵する設備(使用済燃料貯蔵施設)の実施例について
図1乃至
図11を用いて説明する。
【0015】
図1は本実施の形態に係るコンクリートモジュールを用いた使用済燃料貯蔵施設の等角図である。
図2は使用済燃料貯蔵施設の分解図である。
図3は
図1のA-A断面図、
図4は
図1のB-B断面図である。
図5は
図3の領域Cの拡大図である。
図6乃至
図11は本実施の形態に係るコンクリートモジュールの他の形態を示す図である。
【0016】
本発明の使用済燃料貯蔵容器の格納モジュールである使用済燃料貯蔵施設は、大まかにいうと、複数のコンクリートモジュールを鉛直方向に積み重ねて構成されるものである。
【0017】
図1に示すように、使用済燃料を収容する使用済燃料貯蔵容器10(
図2等参照)を貯蔵するための使用済燃料貯蔵施設1は、使用済燃料貯蔵容器10を取り囲むように、コンクリートモジュール20が少なくとも2段以上重ねて設置される(
図1では12段)ことにより構成されている。
【0018】
使用済燃料貯蔵施設1のうち、使用済燃料貯蔵容器10の上部に位置する部分には、使用済燃料貯蔵容器10の除熱性を確保するための開口30が形成されている。また、使用済燃料貯蔵容器10の下部に位置する部分にも、使用済燃料貯蔵容器10の除熱性を確保するための開口32が形成されている。
【0019】
これら開口30,32が形成される段には、開口30,32を形成するための開口用コンクリートモジュール22,24がコンクリートモジュール20の換わりに設置されている。
【0020】
更に、コンクリートモジュール20の最上段には、使用済燃料貯蔵容器10の上面を覆うコンクリート天板26が設置されている。
【0021】
なお、コンクリート天板26の替わりに、最上段部を覆うようにコンクリートモジュール20を複数本設置することが可能である。この場合、コンクリート天板26が不要となり、設備の構成部品数を削減できる。
【0022】
このような使用済燃料貯蔵施設1は、
図2に示すように、使用済燃料貯蔵容器10が支持冶具50上に運び込まれた後、コンクリートモジュール20や開口用コンクリートモジュール22,24が使用済燃料貯蔵容器10の周囲に正方形状に設置され、最上段にコンクリート天板26が設置されることで形成される。
【0023】
これらコンクリートモジュール20や開口用コンクリートモジュール22,24、コンクリート天板26の材料には圧縮強度が100N/mm2を超える超高強度コンクリートが用いられている。これにより、高い強度を維持しながら揚重機で簡単に持ち上げることが出来る大きさ・重量となっている。このため、使用済燃料貯蔵容器周りに容易に設置することが可能である。
【0024】
ここで、本発明における超高強度コンクリートとは、セメント、細骨材、粗骨材、混和剤、水で構成されたものであり、代表製品としては、「ダクタル(「DUCTAL」:登録商標)があげられる。
【0025】
図2のような大きさで分割した場合、コンクリートモジュールの重量は3t程度であり、5t程度の揚重機があれば組み立てることが可能である。
【0026】
図3や
図4に示すように、コンクリートモジュール20や開口用コンクリートモジュール22,24、コンクリート天板26は、使用済燃料貯蔵容器10の設置個所で想定される飛来物の速度および重量を考慮した厚さAを有している。
【0027】
例えば、使用済燃料貯蔵容器10が設置される箇所が原子力発電所の敷地内である場合で、竜巻により生じる飛来物を想定する場合を考えると、原子力発電所が立地する地域の特性(地形効果による竜巻の増幅特性等)等を考慮して、科学的見地等から基準竜巻の最大風速と、そのような竜巻によって生じる飛来物の重量やその速度に基づいて厚さAを適切な値に設定する。例えば、400mm程度の厚さとすること考えられる。
【0028】
また、使用済燃料貯蔵容器10の仕様は、基本的に統一されており、例えば、直径は約2700mm、高さは約5500mmの円柱形状である。また、支持冶具50は、例えば、幅が約3400mmである。
【0029】
このため、縦方向に15段程度組み立てることで一般的な使用済燃料貯蔵容器10を十分に覆うことのできる高さとなるようにコンクリートモジュール20や開口用コンクリートモジュール22,24一つ当たりの高さを調整することが望ましい。また、コンクリートモジュール20は、使用済燃料貯蔵容器10を1つ取り囲むのに必要な長さの直方体形状とすることが望ましい。
【0030】
例えば、コンクリートモジュール20は、長さ4000-4500mm程度、高さが200-250mm程度とすることが考えられる。開口用コンクリートモジュール22については、長さが1000-1100mm、高さが200-250mm程度とすることが考えられる。開口用コンクリートモジュール24については、長さが500-600mm、高さが200-250mm程度とすることが考えられる。コンクリート天板26については、長さ4000-4500mmの正方形状とすることが考えられる。
【0031】
図2に戻り、コンクリートモジュール20は、積み重ね時の横ズレ防止と、内側に配置された使用済燃料貯蔵容器10からの放射線の遮へい対策、更にはボルト接合部を最小限にする役割を兼ねたキー構造を有している。
【0032】
一般的なコンクリートではこのような細かい形状を形成するのは難しいが、コンクリートモジュール20A,20Bとして高い流動性を有する超高強度コンクリートを用いることで形成することが容易となっている。また、キー構造の重ね合わせによって構造強度を確保することができるため、ボルト接合部分も最小限にすることで点検頻度も下げることが出来る。
【0033】
具体的には、コンクリートモジュール20は2種類のモジュール(コンクリートモジュール20Aおよびコンクリートモジュール20B)からなる。
【0034】
コンクリートモジュール20Aの上面側には、キー構造として、上側に積み重ねられるコンクリートモジュール20Aの凹部46Aに挿入される凸部40Aが長手方向に形成されている。また、その両端側には、上側に積み重ねられるコンクリートモジュール20Aと組みになって設置されるコンクリートモジュール20Bの十字状凹部44Bに挿入される十字状凸部42Aが形成されている。
【0035】
また、コンクリートモジュール20Aの下面側には、下側のコンクリートモジュール20Aの凸部40Aが挿入される凹部46Aが長手方向に形成されている。また、コンクリートモジュール20Aの両端の下面側は両端以外の中央部に比べて薄くなっており、これにより薄肉部が形成されている。この薄肉部の下面側には、積み重ね方向の高さが同じのコンクリートモジュール20Bの十字状凸部42Bが挿入される十字状凹部44Aが形成されている。
【0036】
コンクリートモジュール20Bの上面側には、上側に積み重ねられるコンクリートモジュール20Bの凹部46Bに挿入される凸部40Bが長手方向に形成されている。また、コンクリートモジュール20Bの両端の上面側は両端以外の中央部に比べて薄くなっており、これにより薄肉部が形成されている。この薄肉部の上面側には、積み重ね方向の高さが同じのコンクリートモジュール20Aの十字状凹部44Aに挿入される十字状凸部42Bが形成されている。
【0037】
コンクリートモジュール20Bの下面側には、下側のコンクリートモジュール20Bの凸部40Bが挿入される凹部46Bが長手方向に形成されている。また、その両端側には、下側のコンクリートモジュール20Bと積み重ね方向の高さが同じのコンクリートモジュール20Aの十字状凸部42Aが挿入される十字状凹部44Bが形成されている。
【0038】
図5に示すように、これらのコンクリートモジュール20A,20Bの凸部40A,40Bが下側のコンクリートモジュール20A,20Bの凹部46A,46Bに挿入されることによって、
図5の図面上左右方向に横ずれすることが防止されている。また、コンクリートモジュール20A,20Bの十字状凸部42A,42Bがコンクリートモジュール20A,20Bの十字状凹部44A,44Bに挿入されることによって、
図5の図面上左右方向およびそれに垂直な方向への横ずれすることが防止されている。
【0039】
開口用コンクリートモジュール22については、図示の都合上省略しているが、
その下面側には、コンクリートモジュール20A,20Bの上面側に形成されている凸部40A,40Bが挿入される凹部が形成されているものとすることができる。その上面側には、コンクリートモジュール20A,20Bの下面側に形成されている凹部46A,46Bに挿入される凸部が形成されているものとすることができる。
【0040】
また、開口用コンクリートモジュール24についても、図示の都合上省略しているが、その下面側には、コンクリートモジュール20Aの上面側に形成されている十字状凸部42Aが挿入される凹部が形成されているものとすることができる。その上面側には、コンクリートモジュール20Bの下面側に形成されている十字状凹部44Bに挿入される凸部が形成されているものとすることができる。
【0041】
開口30,32の上段側や下段側のコンクリートモジュール20A,20Bのキー構造については設けても設けなくてもよい。設けた場合は開口用モジュールがその分減り、モジュールの製造がより容易となる。設けない場合は、凸構造がなくなるために開口面積をその分多く確保することができ、使用済燃料貯蔵容器10の冷却能力を高く保つことができる。
【0042】
コンクリート天板26については、
図5に示すように、コンクリートモジュール20A,20Bの最上段の凸部40A,40Bや十字状凸部42Aを受けるための凹部26Aが形成されている。このようにコンクリート天板26にもキー構造受けのキー構造を設けることによって、コンクリート天板26を支持するための専用の最上段コンクリートモジュールが不要となり、モジュールの製造が容易となる。
【0043】
なお、コンクリート天板26については、キー構造受けのキー構造を設けなくてもよく、コンクリート天板26や最上段用のコンクリートモジュールを容易に製造できる。
【0044】
なお、積み重ねるコンクリートモジュールは、
図2等に示すようなコンクリートモジュール20A,20Bのような2種類のモジュールからなる形状に限られない。
【0045】
例えば、
図6に示すように、その上面側に凸部70および十字状凸部72,76が形成され、その下面側に凹部71および十字状凹部74,78が形成されたコンクリートモジュール60とすることができる。
【0046】
この
図6に示すようなコンクリートモジュール60では、十字状凹部74に、積み重ね方向が同じ高さのコンクリートモジュール60の十字状凸部76が挿入される。凹部71には、下側のコンクリートモジュール60の凸部70が挿入される。十字状凹部78には、下側のコンクリートモジュール60と積み重ね方向が同じ高さのコンクリートモジュール60の十字状凸部72が挿入される。
【0047】
なお、キー構造は図示した
図2等では鋭角となっているが、鋭角である必要はなく、丸みを帯びた形状とすることができる。
【0048】
また、凸部と凹部とを省略したり、十字状凸部と十字状凹部とを省略することも可能である。
【0049】
更に、キー構造は、
図2や
図5、
図6に示すような、コンクリートモジュールの長手方向に渡って形成されている凸部と凹部で構成される必要はなく、例えば、コンクリートモジュールの上面側に設けられた円錐,円柱,三角柱,三角錐,四角柱,四角すい等の任意の形状の凸部と、下面側に設けられた上面側の凸部と対称の形状の凹部で構成されるものとすることができる。なお、凸部と凹部とは同じ形状である場合に限られず、凸部は凹部と同じ体積か、それより小さい体積であればよい。
【0050】
また、コンクリートモジュールの上面側に凸部が、下面側に凹部が形成されている場合に限られず、上面側に凹部、下面側に凸部が形成されたものとすることができる。
【0051】
更には、凸部や凹部はコンクリートモジュールの上面側や下面側に形成される場合に限られず、側面側に設けることができる。
【0052】
また、キー構造は必須ではなく、例えば、
図7に示すように、薄肉部をその両端側に有する、
図2等に示すモジュールからキー構造を省略したコンクリートモジュール80A,80Bのような形状とすることができる。
【0053】
また、
図8に示すように、
図6に示すモジュールからキー構造を省略したコンクリートモジュール82とすることも可能である。
【0054】
更には、
図9に示すようなL字状のコンクリートモジュール84や、
図10に示すような四角状のコンクリートモジュール86、
図11に示すような略コ字状のコンクリートモジュール88Aとこの略コ字状のコンクリートモジュール88Aの開口側を閉じるコンクリートモジュール88Bのような形状とすることができる。
【0055】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0056】
上述した本実施例の使用済燃料を収容する使用済燃料貯蔵容器10を貯蔵するための使用済燃料貯蔵施設1は、使用済燃料貯蔵容器10を取り囲むように、少なくとも2段以上重ねて設置されるコンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88Bや開口用コンクリートモジュール22,24を有している。
【0057】
このような使用済燃料貯蔵容器10を格納する専用のモジュールの積み重ね構造であることによって、より簡素な形状で、一般的な使用済燃料貯蔵容器10を保管する際や移動する際の運用性を確保することができる。また、組み立て式の小さなパーツに分割されるため、設置エリアへの運送、組み立てを容易とすることができる。更に、強固なコンクリートからなるモジュールとすることで安全性を確保することができ、使用済燃料貯蔵容器10の貯蔵容量拡大や設置促進を実現することができる。
【0058】
また、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88Bや開口用コンクリートモジュール22,24は、使用済燃料貯蔵容器10の設置個所で想定される飛来物の速度および重量を考慮した厚さAを有しているため、飛来物による使用済燃料貯蔵容器10の損傷をより確実に防止することができる。
【0059】
更に、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88Bや開口用コンクリートモジュール22,24は、超高強度コンクリートからなることで、構造的に強化されたものとなり、飛来物による使用済燃料貯蔵容器の損傷を更に確実に防止することができる。
【0060】
また、使用済燃料貯蔵施設1は、使用済燃料貯蔵容器10の除熱性を確保するための開口30,32が形成されていることにより、より安全に使用済燃料貯蔵容器10を貯蔵することが可能となる。
【0061】
更に、開口30,32を形成するための開口用コンクリートモジュール22,24を更に有することで、より容易に開口30,32を形成することができ、安全な使用済燃料貯蔵容器10の貯蔵をより容易に実現することができる。
【0062】
また、コンクリートモジュール20A,20B,60は、積み重ね時の横ズレを防止するキー構造40A,40B,42A,42B,44A,44B,46A,46B,70,71,72,74,76,78を有していることにより、積み重ね時の横ズレ防止、遮へい性、飛来物衝突に対する安定性の確保をより確実に図ることができる。そのうえ、組立てはボルト接合部分を最小限にすることで点検頻度を少なくすることができる、との効果も奏する。
【0063】
更に、コンクリートモジュール20A,20B,60は、キー構造40A,40B,42A,42B,44A,44B,46A,46B,70,71,72,74,76,78をその上面および下面に有していることで、積み重ね時の横ズレ防止、遮へい性、飛来物衝突に対する安定性の確保を更に確実に図ることができる。
【0064】
また、コンクリートモジュール20A,20B,60のキー構造42A,42B,44A,44B,72,74,76,78が十字状の凹凸であるため、積み重ね時の横ズレ防止をより強固に防止することができる。
【0065】
更に、コンクリートモジュール20A,20B,60のキー構造40A,40B,46A,46B,70,71がコンクリートモジュール20A,20B,60の長手方向にのびる凹凸であることにより、遮へい性をより高めることができる。
【0066】
また、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82は、使用済燃料貯蔵容器10を1つ取り囲むのに必要な長さの直方体形状であることにより、形状が大きく異なる複数のモジュールを準備する必要がなくなり、更に簡素な形状とすることができる。
【0067】
更に、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82の両端部は、その両端部以外に比べて積み重ね方向の厚さが薄い薄肉部が形成されていることで、使用済燃料貯蔵容器10の周囲に配置するときに薄肉部を直交するコンクリートモジュールと組み合わせることができ、横ズレに対してより強い構造とすることができる。
【0068】
また、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88Bは、使用済燃料貯蔵容器10の周囲に正方形状に設置されていることにより、無駄なスペースを確保することなく効率的にコンクリートモジュールを配置することができ、収容スペースを必要以上に広く確保する必要がなくなる、との効果が得られる。
【0069】
更に、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88Bや開口用コンクリートモジュール22,24の最上段に設置され、使用済燃料貯蔵容器10の上面を覆うコンクリート天板26を更に有することで、使用済燃料貯蔵容器10の上面側を安定して覆うことができ、より安定して使用済燃料貯蔵容器10を貯蔵することができる。
【0070】
また、コンクリート天板26は、使用済燃料貯蔵容器10の設置個所で想定される飛来物の速度および重量を考慮した厚さAを有していることにより、飛来物による使用済燃料貯蔵容器10の損傷をより確実に防止することができる。
【0071】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0072】
例えば、使用済燃料貯蔵容器10を複数本貯蔵する場合は、コンクリートモジュール20A,20B,60,80A,80B,82を使用済燃料貯蔵容器10の設置分だけ直列に配置することで対応可能である。
【0073】
また、モジュールは直方体形状である必要はなく、立方体形状のブロックを複数並べても良い。
【符号の説明】
【0074】
1…使用済燃料貯蔵施設
10…使用済燃料貯蔵容器
20,20A,20B,60,80A,80B,82,84,86,88A,88B…コンクリートモジュール
22,24…開口用コンクリートモジュール
26…コンクリート天板
30,32…開口
40A,40B,70…凸部(キー構造)
42A,42B,72,76…十字状凸部(キー構造)
44A,44B,74,78…十字状凹部(キー構造)
46A,46B,71…凹部(キー構造)
50…支持冶具