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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220331BHJP
   E06B 3/14 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018236831
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020097855
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】牧野 謙一
(72)【発明者】
【氏名】山田 正義
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-099341(JP,U)
【文献】実開平03-035187(JP,U)
【文献】実開昭60-117982(JP,U)
【文献】特開2018-159249(JP,A)
【文献】特開平07-197742(JP,A)
【文献】特開2015-052225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠と、金属製の補助アタッチメントと、金属製のアタッチメントとを備え、補助アタッチメントは、外枠のパネル取付溝を塞いでいるとともに、内周側に突出する突片を有し、アタッチメントは、外枠に障子を取付けるために外枠の内周側に補助アタッチメントを覆って取付けてあり、アタッチメントの見付壁に補助アタッチメントの突片が重合していることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火性能を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、店舗等建物のフロントに用いられる建具においては、パネル取付溝を有する外枠の内周側にアタッチメントを取付け、アタッチメントを介して障子を取付けたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。かかる建具においては、火災時にアタッチメントが火災の熱で変形して外枠との間に隙間が生じ、火炎や煙が連通するおそれがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「STフロント 総合カタログ」(カタログNo.STB0499A KY.16.08-040)、2016年8月、p.220-221
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、外枠にアタッチメントを介して障子を取付けた建具の防火性能の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、外枠と、金属製の補助アタッチメントと、金属製のアタッチメントとを備え、補助アタッチメントは、外枠のパネル取付溝を塞いでいるとともに、内周側に突出する突片を有し、アタッチメントは、外枠に障子を取付けるために外枠の内周側に補助アタッチメントを覆って取付けてあり、アタッチメントの見付壁に補助アタッチメントの突片が重合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、外枠と、金属製の補助アタッチメントと、金属製のアタッチメントとを備え、補助アタッチメントは、外枠のパネル取付溝を塞いでいるとともに、内周側に突出する突片を有し、アタッチメントは、外枠に障子を取付けるために外枠の内周側に補助アタッチメントを覆って取付けてあり、アタッチメントの見付壁に補助アタッチメントの突片が重合していることで、火災時にアタッチメントが火災の熱で変形し、アタッチメントの見付壁と外枠との間に隙間が生じたとしても、補助アタッチメントの突片により火炎や煙の連通を防ぐことができるので、防火性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図4のA-A断面図である。
図2図4のB-B断面図である。
図3図4のC-C断面図である。
図4】本発明の建具の第1実施形態を示す室内側正面図である。
図5】同建具の障子を開けた状態の縦断面図である。
図6】同建具の火災時における縦枠部の横断面図である。
図7】本発明の建具の第2実施形態を示す排煙窓部の横断面図である。
図8】同建具の縦断面図である。
図9】同建具の火災時における縦枠部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~5は、本発明の建具の第1実施形態であって、店舗のフロント用の建具に適用したものを示している。本建具は、建物の躯体に形成された開口部に設置されるものであって、図4に示すように、上枠8と下枠9と左右の縦枠1,1とを枠組みして矩形の枠10が形成され、左右の縦枠1,1の上枠8寄りの位置に無目11を架設して枠10内を上下に仕切ってあり、無目11の下側の開口部にはガラス12を嵌め込んで嵌め殺し窓が構成され、無目11の上側の開口部には障子6を嵌め込んで排煙窓が構成されている。
【0009】
左右の縦枠1は、図2に示すように、見込壁13の室内外方向中間部に外周側に凹む形でパネル取付溝4を全長に有しており、無目11より下側においては、そのパネル取付溝4にガラス12の縁部を挿入し、耐火性のシール材14によりガラス12をパネル取付溝4に固定してある。
図3に示すように、無目11の下面と下枠9の上面にも縦枠1と同様にパネル取付溝4が設けてあり、パネル取付溝4にガラス12の縁部を挿入して耐火性のシール材14により固定してある。
【0010】
無目11よりも上側においては、図1に示すように、縦枠1のパネル取付溝4は補助アタッチメント2を取付けることで塞いである。補助アタッチメント2は、アルミ形材で形成したものであって、縦枠1のパネル取付溝4に挿入・係止される一対の脚片15,15と、パネル取付溝4の開口部を塞ぐ溝塞ぎ部16と、縦枠1の見込壁13の内周側面に当接する当接部17と、パネル取付溝4の室内側及び室外側において内周側に向けて突出する二つの突片5a,5bを有している。
【0011】
さらに、無目11よりも上側においては、図1,5に示すように、縦枠1に障子6を取付けるためにアタッチメント3が、縦枠1の内周側に補助アタッチメント2を覆って取付けてある。アタッチメント3は、アルミ形材で形成したものであり、室内側端部に設けた見付壁7と、見込壁19と、補助アタッチメント4の室外側の突片5bの室外側と室外側端部とに外周側に突出する突壁(見付壁)20a,20bを有している。見付壁7は、外周側端が縦枠1の内周側面に当接しており、内周側端部には室外側に向けてタイト材21が取付けてあり、タイト材21が障子6の室内側面に当接している。見付壁7の見込壁19より外周側の部分は、補助アタッチメント2の突片5aの室内側に重合している。突壁20a,20bは、外周側端が縦枠1の内周側面に当接しており、室外側端部の突壁20bには外周側端部にタイト材22が保持してあって、タイト材22が縦枠1の内周側面に圧接している。突壁(見付壁)20aは、補助アタッチメント2の突片5bの室外側に重合している。アタッチメント3は、図1に示すように、室内外方向に間隔をあけて内周側から挿入したネジ23a,23bで縦枠1に取付けてある。室外側のネジ23bは、縦枠1の見込壁13に螺入し、室内側のネジ23aは、補助アタッチメント2の溝塞ぎ部16に螺入している。室外側及び室内側のネジ23a,23bは、図5に示すように、それぞれ上下方向に間隔をおいて複数設けてある。室内側のネジ23aは、後述するダンパー24のブラケット25の上下にも位置している。
【0012】
上枠8は、図3に示すように、パネル取付溝4を有しない一体成形の枠材となっており、室内側に見付壁36を一体に有し、見付壁36の下端部にタイト材21が室外側に向けて取付けてあり、タイト材21が障子6の室内側面に当接している。
無目11は、下面側にのみパネル取付溝4を有する一体成形の枠材となっており、室内側に内周側に突出する中空状の突部37を一体に有し、突部37の上端部にタイト材21が室外側に向けて取付けてあり、タイト材21が障子6の室内側面に当接している。
【0013】
障子6は、図1,3,4に示すように、上框26と下框27と左右の縦框28,28とを四周框組みし、各框26,27,28の内周側に形成された溝29内にガラス30の周縁部を嵌め込んで固定したものとなっている。障子6は、図3に示すように、下框27が無目11に蝶番31で連結され、図5に示すように、外倒し式に開くようになっている。図1,4,5に示すように、縦枠1と縦框28の間には、障子6を突き出すためのダンパー24が設置してある。ダンパー24は、一端部がブラケット25を介して縦枠1のアタッチメント3に取付けてあり、他端部がブラケット32を介して縦框28の外周側面に取付けてある。また、図3に示すように、上枠8には障子6を施錠するためのラッチ33が取付けてあり、上框26にはラッチ33の爪が係合するラッチ受け34が取付けてある。
【0014】
火災が発生すると、縦枠1のアタッチメント3は熱せられた側(室内側又は室外側)に膨らむように反りが生ずる。アタッチメント3は、室内側に見付壁7を有しているため、特に室内側から熱せられたときに反りが大きく、アタッチメント3が反ることで、図6に示すように、アタッチメント3の見付壁7と縦枠1の内周側面との間に隙間35が生ずることがある。本建具は、アタッチメント3の見付壁7の室内側に補助アタッチメント2の突片5aが重合していることで、そのようにアタッチメント3の見付壁7と縦枠1の内周側面との間に隙間35が生じても、補助アタッチメント3の突片5aにより火炎や煙の連通を阻止できる。補助アタッチメント3には、突片5a,5bが室内側と室外側の2箇所に設けてあるので、万が一室内側の突片5aを越えて火炎や煙が侵入しても、室外側の突片5bで火炎や煙の連通を阻止できる。さらに、補助アタッチメント2の室外側の突片5bを越えて火炎や煙が侵入しても、アタッチメント3の突壁20a,20bにより火炎や煙の連通を阻止できる。室外側で火災が発生した場合も、室内外方向に重合して設けた補助アタッチメント2の突片5a,5bとアタッチメント3の突壁20a,20bにより、火炎や煙の連通を防止できる。
【0015】
以上に述べたように本建具は、外枠(縦枠)1と、金属製の補助アタッチメント2と、金属製のアタッチメント3とを備え、補助アタッチメント2は、外枠1のパネル取付溝4を塞いでいるとともに、内周側に突出する突片5a,5bを有し、アタッチメント3は、外枠1に障子6を取付けるために外枠1の内周側に補助アタッチメント2を覆って取付けてあり、アタッチメント3の見付壁7に補助アタッチメント2の突片5a,5bが重合していることで、火災時にアタッチメント3が火災の熱で変形し、アタッチメント3の見付壁7と外枠1との間に隙間35が生じたとしても、補助アタッチメント2の突片5a,5bにより火炎や煙の連通を防ぐことができるので、防火性能が向上する。
本建具は、アタッチメント3の見付壁7と補助アタッチメント2の突片5a,5bが重合していることで、火災時に貫通孔ができることを防止できる。
また本建具は、外枠1のパネル取付溝4に補助アタッチメント2を取付けてパネル取付溝4を塞いであることで、パネル取付溝4の位置でもアタッチメント3をネジ止めできるので、アタッチメント3を強固にネジ止めすることができ、火災時にアタッチメント3が反りにくくなる。
補助アタッチメント2は、突片5a,5bが室内側と室外側に設けてあるので、一方の突片5aを越えて火炎や煙が侵入しても、もう一方の突片5bで火炎や煙の連通を防ぐことができる。
本建具は、外枠1のパネル取付溝4に補助アタッチメント2を取付けることで、パネル取付溝4を活かして防火性能を向上させることができる。
本建具は、ダンパー24のブラケット25の上下でアタッチメント3をネジ止めできるので、ダンパー24に作用する力をアタッチメント3から外枠1に効率よく伝達できる。
【0016】
図7,8は、本発明の建具の第2実施形態を示している。縦枠1は、図7に示すように、第1実施形態と同様に、パネル取付溝4に補助アタッチメント2が取付けてあり、補助アタッチメント2を覆って縦枠1の内周側にアタッチメント3が取付けてある。補助アタッチメント2の溝塞ぎ部16の内周側面には、火災の熱により発泡・膨張する加熱発泡材18が、長手方向に沿って設けてある。
【0017】
上枠8は、図8に示すように、縦枠1と同様に内周側面にパネル取付溝4を有し、パネル取付溝4は補助アタッチメント2を取付けて塞いである。さらに上枠8は、内周側に補助アタッチメント2を覆ってアタッチメント38がネジ39で取付けてある。アタッチメント38は、室内側端部と障子6の室内側とに見付壁40a,40bを有し、見付壁40aの上端が上枠(外枠)8の内周側面に当接し、見付壁40bの下端部に室外側に向けてタイト材21が取付けてあり、タイト材21が障子6の室内側面に当接している。縦枠1と同様に、上枠8の補助アタッチメント2とアタッチメント38の間に加熱発泡材18を設けることもできる。
無目11は、上面にアタッチメント41をネジ42で取付け、アタッチメント41を介して障子6を取付けている。
【0018】
図9は、本建具の火災時における縦枠部の状態を示しており、アタッチメント3が火災の熱で変形し、アタッチメント3の見付壁7と縦枠1の内周側面との間に隙間35が生じたときに、補助アタッチメント3の突片5a,5bにより火炎や煙の連通を阻止できることに加え、補助アタッチメント2とアタッチメント3の間に加熱発泡材18が設けてあることで、火災時に発泡した加熱発泡材18によっても火炎や煙の連通を防止でき、防火性能が一層高められる。
本建具は、上枠8に縦枠1と同じ外枠を用いることで、専用の上枠を製作する必要がないので、コストを抑えられる。また上枠8は、縦枠1と同様に、パネル取付溝4が補助アタッチメント2で塞いであり、補助アタッチメント2にアタッチメント38の見付壁40aと重合する突片5a,5bを有しているので、アタッチメント38が火災の熱で変形し、アタッチメント38の見付壁40aと外枠(上枠)8との間に隙間が生じたとしても、補助アタッチメント2の突片5a,5bにより火炎や煙の連通を防ぐことができる。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。補助アタッチメント、アタッチメントの断面形状、材質は、適宜変更することができる。障子の開き方は任意である。補助アタッチメントの突片は、室内側または室外側に一つだけ設けてあってもよい。本発明は、店舗等のフロントに限らず、住宅用、ビル用などのあらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 縦枠(外枠)
2 補助アタッチメント
3 アタッチメント
4 パネル取付溝
5a,5b 突片
6 障子
7 見付壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9