(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】音再生ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20220331BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220331BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220331BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
H04R1/02 102Z
G02F1/1333
H04N5/64 541N
H04R7/04
(21)【出願番号】P 2018513443
(86)(22)【出願日】2016-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2016071690
(87)【国際公開番号】W WO2017046161
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-09-11
(32)【優先日】2015-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100077539
【氏名又は名称】飯塚 義仁
(72)【発明者】
【氏名】キリスケン,バルバロス
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-136594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
H04N 5/64
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/42- 1/46
H04R 7/00- 7/26
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を制御可能に表示するように構成された画像面(2、103)と、
前記画像面(2、103)の後ろに位置するバック面(3)と、
駆動信号(5)に基づいて振動を生成するように構成された複数の音アクチュエータ(4,104、105)と、
前記バック面を通じて前記画像面(2、103)を前記音アクチュエータ(4,104、105)に結合するように構成された、1つの前記音アクチュエータ(4,104、105)につき少なくとも1つの機械的結合要素(6)を具備する表示装置(1、101)であって、
前記機械的結合要素(6)の各々は、一端において音アクチュエータ(4,104、105)に結合し、他端において画像面(2、103)に結合する複数の支持ロッド(306‐1~306-3)を備え、
前記バック面(3)は、前記支持ロッド(306‐1~306-3)毎に、該支持ロッド(306‐1~306-3)の外側輪郭から所定距離だけ隔たった内側輪郭を持つ孔(8-1~8-3)を備える表示装置(1、101)。
【請求項2】
前記バック面(3)が導光板(304)を備え、前記支持ロッド(306‐1~306-3)が光を少なくとも部分的に導くように構成された材料からなる請求項1に記載の表示装置(1、101)。
【請求項3】
前記導光板(304)
における前記孔(8-1~8-3)の縁
を介して該導光板(304)からの光
が前記支持ロッド(306‐1~306-3)に結合
される、請求項2に記載の表示装置(1、101)。
【請求項4】
前記支持ロッド(306‐1~306-3)の断面は、前記画像面(2、103)の3ピクセル
よりも小さく、特に、2ピクセル
よりも小さく又は1ピクセル
よりも小さい、請求項1乃至3の何れかに記載の表示装置(1、101)。
【請求項5】
前記表示装置(1、101)の正面から見て、該表示装置(1、101)の前記画像面(2、103)の後ろ側において、該表示装置(1、101)の相対する側部にて異なる高さで配置された2つの前記音アクチュエータ(4,104、105)を備える請求項1乃至4の何れかに記載の表示装置(1、101)。
【請求項6】
表示装置(1、101)を用いて音を再生するための方法であって、
前記表示装置(1、101)の中の複数の音アクチュエータ(4,104、105)を用いて駆動信号(5)に基づく振動を生成するステップ(S1)と、
前記音アクチュエータ(4,104、105)のそれぞれにつき少なくとも1つの機械的結合要素(6)を用いて、前記表示装置(1、101)のバック面(3)を通り抜けて該表示装置の画像面(2、103)に、前記振動を機械的に伝達するステップ(S2)とを備え、
前記振動を機械的に伝達するステップは、複数の支持ロッド(306-1~306-3)を用いて前記振動を伝達することを含み、前記支持ロッド(306-1~306-3)は、前記バック面(3)の孔(8-1~8-3)を通して、一端において音アクチュエータ(4,104、105)に結合し、他方の端において画像面(2、103)に結合し、該孔(8-1~8-3)は、該支持ロッド(306‐1~306-3)の外側輪郭から所定距離だけ隔たった内側輪郭を持つものである。
【請求項7】
導光板(304)を用いて前記バック面(3)に光を導き、前記支持ロッド(306‐1~306-3)を通じて前記導光板(304)からの光を少なくとも部分的に導くステップを更に備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記導光板(304)における前記孔(8-1~8-3)の縁を介して該導光板
(304)からの光を前記支持ロッド(306‐1~306-3)に結合するステップを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記振動を機械的に伝達するステップは、前記画像面(2、103)の3ピクセルよりも小さい、特に、2ピクセルよりも小さい又は1ピクセルよりも小さい、断面を持つ複数の支持ロッド(306-1~306-3)を用いて前記振動を伝達することを含むことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記表示装置(1、101)の正面から見て、該表示装置(1、101)の前記画像面(2、103)の後ろ側において、該表示装置(1、101)の相対する側部にて異なる高さで配置された2つの音アクチュエータ(4,104、105)を用いて、又は、波面合成法を集合的に実行するように構成された複数の音アクチュエータ(4,104、105)を用いて、前記振動を機械的に伝達するステップを備える請求項6乃至9の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置、及び、表示装置を用いて音を再生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明は、音を再生するどのようなシステムにも適用可能ではあるが、内蔵の音発生手段を持つ表示装置と組み合わせて説明がなされる。
【0003】
現代のディスプレイの適用例においては、ディスプレイを介して視覚的コンテンツを表示することのみが必要なのではない。例えばビデオ再生のように、視覚的データとともに対応する音データを再生することが、しばしば、更に要求される。従って、周知の表示装置は、通常、音コンテンツを再生するために、独立した内部の又は外部のスピーカを備えている。例えば携帯電話或いはテレビ受信機内の組み込みスピーカは、それぞれの装置のハウジング内に付加的な空間を必要としており、且つ、それらスピーカは、容認できる品質で音を再生するべく、適切に配置されなければならない。
【0004】
従って、ディスプレイ面全体、すなわち前記それぞれの装置の前面、が音波を生成するために振動装置により振動されるディスプレイが開発されてきた。
【0005】
かかるトランスデューサは、各ディスプレイの前面に機械的に接する必要がある。このことは、追加的な不透明パネルにより達成することができる。不透明パネルが、ディスプレイユニットのそばに置かれ、該ディスプレイを囲み且つ各振動子により振動される。しかし、このオプションはベゼルサイズを大きくし、そのことは望ましくない効果である。別の方法では、追加的な透明パネルがディスプレイの前面において使用され得る。しかし、これはディスプレイの全体の輝度を低下させる。
【0006】
また、米国特許出願公開第2014/0241558号明細書から、全面ガラス、セル及びBLUアセンブリを含むスクリーン全体を振動することが知られる。更に、国際公開第2001/074114号においては、区切られた複数のLCDディスプレイが個別に振動される。
【0007】
欧州特許出願公開第1100288A2号明細書は、音響放射体であって、音響放射のための駆動周波数帯域において弾性を持つ1つの板状部材を含むもの開示している。欧州特許出願公開第0847677A1号明細書は、板状の圧電ベンダーと前記ベンダーを振動部材上に搭載するように構成された手段を特徴とする慣性振動トランスデューサを開示している。米国特許出願公開第2015/0086063A1号明細書はスピーカであって、空洞ガラス基板及び複数の加振器を含み、振動するべきガラス基板を駆動するために、該複数の加振器が該ガラス基板に取り付けられるものを開示しいている。
【0008】
従って、表示装置を用いた音の再生の方法の改善への要求があった。
【発明の概要】
【0009】
この発明は、請求項1の特徴を備えた表示装置、及び、請求項6の特徴を備えた方法を提供する。
【0010】
従って、表示装置は、画像を制御可能に表示するように構成された画像面(imaging plane)と、前記画像面の後ろすなわち前面から表示装置を見たときの後ろに位置するバック面(backplane)と、駆動信号に基づいて振動を生成するように構成された複数すなわち1以上の音アクチュエータと、前記バック面を通じて前記画像面を前記音アクチュエータに結合するように構成された、1つの前記音アクチュエータにつき少なくとも1つの機械的結合要素を備える。
【0011】
更に、表示装置を用いた音再生のための方法は、表示装置の中の複数すなわち1以上の音アクチュエータを用いて駆動信号に基づいて振動を生成するステップと、音アクチュエータのそれぞれにつき少なくとも1つの結合要素を用いて、当該表示装置のバック面を通じて該表示装置の画像面に、前記振動を機械的に伝達するステップを備える。
【0012】
この発明に係る表示装置は、例えばハンドヘルド又は携帯式の機器もしくはスマートウォッチのディスプレイ、コンピュータディスプレイ、テレビジョン受信機ディスプレイなど、どのような種類のアクティブ・ディスプレイであり得る。
【0013】
この発明は、アクティブ・ディスプレイからなる画像面、すなわち、LCDセル又はLCD面、アィティブ有機LEDを備えた有機EL(OLED)面などが、機械的に直接的にコンタクト(接触)され、トランスデューサ又は加振器とも呼ばれる音アクチュエータにより振動される表示装置を提供する。前記音アクチュエータ又は加振器は、電磁式、圧電式、磁歪式のトランスデューサ、可動コイルモータなどを含み得る。原則として、バック面の後ろにおいて表示装置のハウジングにフィットするように、十分小さく構築され得るような、いかなる技術も使用してよい。
【0014】
バック面は、LCDに基づき画像化を行う画像面の場合、例えば、表示装置のバックライトユニットであり得る。かかるバックライトユニット又はBLUは、端部に配置された光源として複数のLEDを用いるエッジ照明型BLUであり得る。つまり、複数のLEDは、表示装置の端部に配置され、光は、LCDセルにより示された画像を明るくするために、LCDセル又はLCD面の後ろに均一に分配される。バック面は、複数のエッジLEDに加えて、バック面の全表面にわたり、端部に配置されたLEDからの光の均一分配を行うために、種々の、光拡散レイヤー、プリズムレイヤー、及び/又は、導光板などを備える。別の例として、フルアレイLEDバック面がBLU内に備えられ、複数LEDはバック面の表面にわたり、均一に分配される。更に、例えば冷陰極蛍光バックライトなどが使用され得る。アクティブ画像面に使用される技術に応じて、それぞれ別のバック面が備わり得る。
【0015】
もし、音アクチュエーターがアクティブ・画像面とバック面の間に配置されるならば、光がバック面から画像面に伝わらないが故に、音アクチュエーターは、バック面を遮ってしまい、画像面においてダークスポットとして目に見えてしまう。従って、音アクチュエーターはバック面の後ろに配置される。画像面を駆動し且つ画像面における振動を誘発するために、音アクチュエーターは、画像面に機械的に結合され、この機械的結合を介して画像面に振動を伝達するように構成される。つまり、音アクチュエーターはバック面の後ろに配置され、従って、バック面と該バック面から発している光を妨げない。
【0016】
要約すると、この発明に係る表示装置、より詳しくは、画像面は、一種の屈曲波(bending waves)スピーカ又は音響放射面として使用され、表示装置における独立したスピーカの使用の実際的意味を失わせる。同時に、音アクチュエータは、追加的ベゼル又はその他の画像面上の妨げとなる層を必要とすることなしに、バック面の後ろにとても柔軟に配置することができる。
【0017】
従って、この発明に係る表示装置は、例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウォッチなど携帯機器に適用する場合など、厳しい空間的制限のある適用例において特に有用である。それにも関わらず、この発明に係る表示装置は、画像と音が再生されるその他のどのような適用例においても使用され得る。かかる適用例は、例えば、テレビジョン受信機、ラップトップコンピュータ、ナビゲーションシステム画面などであり得る。
【0018】
この発明の更なる実施形態は、さらなる従属項及び以下の図面を参照した説明の対象になっている。
【0019】
或る1つの可能な実施形態において、機械的結合要素は、それぞれ、多数の支持ロッドを含むことができ、該支持ロッドは一端において音アクチュエータに結像し、他方の端において画像面に結合する。かかる支持ロッド又は柱は、音アクチュエータと画像面の間の直接的な機械的結合を提供し、従って、音アクチュエータから画像面への、簡素で効果的な振動伝達の方法を提供する。
【0020】
別の可能な実施形態において、バック面は、支持ロッド用の孔を備えることができ、該孔は支持ロッドの外側輪郭から所定距離だけ隔たった内側輪郭を持つ。つまり、バック面の全てのレイヤ、プレート又はサブプレーンは、同じ位置に孔を備える。孔は、バック面全体を貫通する。孔の輪郭は、例えば円形であり得る。かかる実施形態において、孔の直径は、支持ロッドの直径よりも大きい。方形の断面を持つ支持ロッドを用いる場合、孔の幅は、支持ロッドの幅よりも大きくなる。かかるバック面内の孔は、ロッドが自由に動くことを可能とし、バック面の前面で画像面に振動を効果的に伝達することを可能とする。
【0021】
1つの可能な実施形態において、バック面は、導光板を備えることができ、支持ロッドが少なくとも部分的に光を導くように構成された材料を備える。かかる材料部分は、導光板からの光を支持ロッドに結合することを可能とし、該光を画像面に導く。このことは、支持ロットの前面において直接的に横たわる画像面のピクセルを照らすことを可能とする。従って、表示装置は、均一に照射された画像を提供し得る。
【0022】
また、1つの可能な実施形態において、表示装置は、導光板において、特に孔の縁に、光結合要素を備えることができ、前記光結合要素は導光板からの光を支持ロッドに結合するように構成される。例えば特別に形成されたプリズム等の透明プラスチック要素など、専用の光結合要素を備えることは、導光板から支持ロッドへの高伝達率をもたらす。すなわち、支持ロッドを介して画像面に提供される光強度は、導光板を介して直接的に画像面に提供される光強度とぼ同一である。
【0023】
可能な実施形態において、支持ロッドの断面は、画像面の3ピクセルよりも小さくすることができ、特に、画像面の2ピクセルよりも小さく、又は、画像面の1ピクセルよりも小さくすることができる。支持ロッドが小さいほど、光分配の均一性の妨げは、より少なく画像面上に現れる。
【0024】
別の可能な実施形態において、表示装置は、該表示装置の正面から見て、該表示装置の画像面の後ろ側において、該該表示装置の相対する側部にて異なる高さで配置された2つの音アクチュエータを備えることができる。一方の音アクチュエータは例えば左下側に配置され、他方の音アクチュエータは例えば右上側に配置され得る。これは、表示装置における2つの音アクチュエータを可能な限り最大に離隔して配置するものである。従って、これらの音アクチュエータにより画像面に引き起こされた振動は、可能な限り僅かにしか相互干渉しない。
【0025】
一実施形態において、表示装置は、複数の音アクチュエータを備え、該複数の音アクチュエータは、音の波面合成法(WFS: Wave Field Synthesis)を集合的に実行するように構成される。従って、個々の音アクチュエータと画像面におけるそれぞれの個所は、全体としてスピーカアレイを形成する。
【0026】
一実施形態において、表示装置は、機械的に分離された複数のディスプレイ部分を備え、個々のディスプレイ部分はそれぞれ1つの画像面、1つのバック面及び1つの音アクチュエータを備える。かかる分離されたディスプレイ部分は、一実施形態において、音の波面合成法を実行するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
この発明及びこの発明の利点のより完全な理解のために、添付図面と併せた以下の説明について説明する。この発明は、以下において、図面により特定される例示的実施形態を用いて、より詳細に説明される。
【
図1】この発明に係るスマートフォン又はタブレットディスプレイの模式図を示す。
【
図2】この発明に係る、表示装置を用いた音再生のための方法の実施形態のフローチャートを示す。
【
図3】この発明に係るテレビジョン受信機の図を示す。
【
図4】この発明に係るテレビジョン受信機の更なる図を示す。
【
図5】この発明に係るテレビジョン受信機の更なる図を示す。
【
図6】この発明に係るテレビジョン受信機の更なる図を示す。
【
図7】この発明に係るテレビジョン受信機の更なる図を示す。
【
図8】この発明に係るテレビジョン受信機の更なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図において、特に明記しない限り、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0029】
図1は、この発明に係る表示装置1の一実施形態の模式図を示す。
【0030】
表示装置1は、スマートフォン又はタブレットディスプレイ1であり、画像面2としてLCDセルを備える。LCDセル2の場合、LCDセル2は能動的に光を放つことができないので、表示装置1又は表示装置1により表示された画像を照らすために、別個の照明が必要となる。
【0031】
従って、表示装置1は、エッジ搭載型LED7‐1、7‐2を備えるバック面3を備える。
図1においては、LED7‐1及び7‐2のみが示されているが、任意の適当な数のLEDが、表示装置1を照らすために使用され得る。エッジ搭載型LED7‐1、7‐2の場合、光はLEDによりバック面3に放たれ、画像面2を照らし且つ表示装置1を用いて均質な画像を提供するために、可能な限り均一に分配される。画像面2及びバック面3は原則として表示装置1を用いて画像を表示するのに十分である。
【0032】
この発明は、表示装置1を用いた画像を表示することに加えて、専用のスピーカを要することなく、表示装置1を用いて可聴音を再生手段を提供する。従って、
図1において、バック面3の後ろに音アクチュエータ4が配置される。音アクチュエータ4は、例えばオーディオアンプ502(
図8参照)により発生され得
る駆動信号5に基づいて振動を発生するものである。実際に可聴音波を発生するために、音アクチュエータ4は、結合要素6を介して画像面2に機械的に結合される。結合要素6はバック面3を貫通し、音アクチュエータ4からの振動を画像面2に伝達する。
【0033】
従って、音アクチュエータ4又は音アクチュエータ4の能動要素が振動させられると、この振動は表示装置1の前面に伝達される、すなわち、画像面2がそれに応じて振動させられる。画像面2は、振動すると、音波を放射する。音波は、表示装置1の前面の空気を通じて伝達され、例えば表示装置1付近のユーザにより可聴音として理解され得る。
【0034】
画像面2、バック面3すなわちLED7‐1、7‐2及び音アクチュエータ4のための制御ユニット、並びに、これら要素を駆動するために必要な更なる電気回路は、理解し易くするために、図示されていない。しかし、任意の数の制御ユニット及びその他電気回路が必要に応じて表示装置1に組み込まれ得ることは理解されるべきである。
【0035】
図2は、この発明に係る、表示装置1、101を用いた音再生のための方法の実施形態のフローチャートを示す。
【0036】
最初のステップS1において、表示装置1、101内の複数の音アクチュエータ4、104、105を用いて、駆動信号5に基づき、振動が発生される。これらの振動は、ステップS2において、各音アクチュエータ4、104、105につき少なくとも1つの機械的結合要素6を用いて、表示装置1のバック面を通り抜けて表示装置の画像面2、103に、機械的に伝達される。
【0037】
前記ステップS2における機械的に振動を伝達することは、一端において個々の音アクチュエータ4、104、105に結合し、且つ、他端において画像面2、103に結合する支持ロッド306‐1~306‐3を用いて振動を伝達することを含むことができる。支持ロッド306‐1~306‐3の自由な動きのために、孔がバック面3に備えられ、該孔8‐1~8-3は支持ロッド306‐1~306‐3の外側輪郭から所定距離だけ隔たった内側輪郭を持つ。すなわち、動きの間中、支持ロッド306‐1~306‐3はバック面3に触れない。
【0038】
表示装置1により表示された画像を照らすため、光は、例えば導光板304を用いてバック面3に導かれ得る。均一な画像を提供するために、光は、画像面2の前面に支持ロッド306‐1~306‐3を通じて導光板304から、少なくとも部分的に導かれ得る。光伝達を向上するために、光は、例えば導光板304内のプリズムなどの光結合要素6を用いて、支持ロッド306‐1~306‐3に結合され得る。
【0039】
図3は、この発明に係るテレビジョン受信機101の一実施形態の更なる図を示す。
図3の表示装置はLCDテレビジョン受信機101として具体化されている。
【0040】
テレビジョン受信機101は、画像面として知られているLCDセル103を囲む前面ベゼル102を備える。更に、2つの音アクチュエータ104、105は、点線の円として、
図3に示されている。点線の円は、音アクチュエータ104、105が、テレビジョン受信機101のハウジングの内側であって、LCDセル103及び図示されていないテレビジョン受信機101のバック面の後ろ側に配置されていることを示す。
【0041】
図3の構成は、LCDセル103を用いてステレオ音を再生することを可能とする。音アクチュエータ104は、テレビジョン受像機101の前面から見て、LCDセル103の右上隅の後ろ側に配置される。音アクチュエータ105は、LCDセル103の左下隅の後ろ側に配置される。この音アクチュエータ104、105の配置は、2つの音アクチュエータ104、105間の可及的最大距離を提供する。従って、2つの音アクチュエータ104、105の振動は、可能な限り僅かにしか相互干渉しない。音アクチュエータ104、105とベゼル102の間に、振動マージンが備えられており、そのことが音アクチュエータ104、105又はLCDセル103の個々の部分が自由に振動することを許容するということを理解すべきである。従って、音アクチュエータ104、105は、LCDセル103の端部に配置されず、前記振動マージンだけベゼル102から隔離されている。
【0042】
図4は、表示装置101の部分図であり、特に、音アクチュエータ104、105を有するLCDセル103の部分を示す。音アクチュエータ104、105を有するLCDセル103の構成はいずれの場合も同一なので、両方の音アクチュエータ104、105に対して、1つの図のみを示す。
【0043】
図4において、LCDセル103の3つのピクセル201の後ろに、支持ロッド306‐1~306‐3(
図5参照)がLCDセル103と接触し、且つ、LCDセル103をそれぞれ音アクチュエータ104、105に結合するので、これらピクセル201は、別個に示されている。つまり、光路が支持ロッド306‐1~306‐3により阻まれているので、3つのピクセル201は、バック面3を通じてより弱く照らされる。
【0044】
特定の適用例において、支持ロッド306‐1~306‐3は、LCDセル103の前面に光を導くことのできる材料を備える。光は、例えば、導光板304(
図5参照)から支持ロッド306‐1~306‐3に結合され、それから、LCDセル103に結合され得る。支持ロッド306‐1~306‐3によりLCDセル103に供給された光が残りのLCDセル103のピクセルよりも少なかったとしても、この差異は視聴者には知覚されないか、又は、ほとんど知覚されない。1つのLCDセル103のピクセルの照明における差異は、高解像度ディスプレイに関してはより少なくなる。フルHD解像度の50インチスクリーンでは、およそ、1インチあたり44ピクセル又は1センチメーテルあたり17.3ピクセルある。4K UHD解像度の50インチスクリーンでは、およそ、1インチあたり88ピクセル又は1センチメーテルあたり34.6ピクセルある。つまり、4K UHDにおいて個々のピクセルは0.28mm幅しかない。
【0045】
図5は、音アクチュエータ104,105を有する表示装置101の一部分の詳細な側面図である。
図4と同様に、両部分が同一であるため、1つの音アクチュエータ104,105のみが示されている。
【0046】
図5において、バック面3は、前面から後ろに向って、拡散フィルム301、プリズムシート302、拡散フィルム303、導光板304、反射シート307及び金属製背面カバー308からなる。拡散フィルム301、プリズムシート302、拡散フィルム303、導光板304及び反射シート307は、全体として、LCDセル103用のバックライトを形成する。金属製背面カバー308は、このフィルム及びシートのスタック(積み重ね)に機械的安定性を提供する。
【0047】
バック面3の後ろに、音アクチュエータ104,105が備わり、該音アクチュエータ104,105は、バック面3を横切る支持ロッド306‐1~306‐3を介して、LCDセル103に機械的に接続されている。このため、孔8‐1、8‐2、8‐3(図7参照)がバック面3に備えられている。導光板304及び支持ロッド306‐1~306‐3は、全て点線要素として描かれている。このことは、導光板304及び支持ロッド306‐1~306‐3の両方が同一又は類似の材料からなることを図解するのに役立つ。この文脈において、類似とは、材料の導光性能についてである。つまり、導光板304を通じて伝達される光は、導光板304を抜け出ることができ、支持ロッド306‐1~306‐3に結合し、該支持ロッド306‐1~306‐3が光をLCDセル103に導く。
【0048】
図6は、テレビジョン受像機101の側面断面図である。
図6において、既に
図5に示したスタックシークエンスが、テレビジョン受像機101全体又はテレビジョン受像機101の全面に備えられていることが見て取れる。
図3に対応し、音アクチュエータ104は、LCDセル103の上端に配置されており、音アクチュエータ105は、LCDセル103の下端に配置されている。
【0049】
また、LED401が導光板304の下端に示されている。このLED401は、導光板304の周囲に可能な複数のLEDの代表として例示的に示されている。拡散フィルム301、プリズムシート302、拡散フィルム303、導光板304及び反射シート307からなるスタックは、エッジLED401の光を可能な限り均一に、LCDセル103の表面に分配する。
【0050】
図7は、拡散フィルム301、プリズムシート302及び拡散フィルム303のスタックの詳細図である。更なるレイヤーは三点リーダにより暗示されている。
【0051】
描かれたレイヤーの各自は、孔8‐1、8‐2及び8‐3を備え、その孔において支持ロッド306‐1~306‐3がバック面3を横切る。孔8‐1、8‐2及び8‐3は、支持ロッド306‐1~306‐3よりも大きく、支持ロッド306‐1~306‐3が孔8‐1、8‐2及び8‐3内で自由に動こくことができるようになっている。
【0052】
図7において、孔8‐1、8‐2及び8‐3、並びに、支持ロッド306‐1~306‐3は、円形すなわちそれらは丸い断面形状を持つ。なお、正方形、楕円形断面又は任意の断面形状が可能であることは理解されるべきである。
【0053】
図8は、この発明に係る表示装置101の一実施形態のブロック図を示す。
【0054】
表示装置101は主ボード501を備え、主ボード501はオーディオアンプ502に電子的に結合されており、オーディオアンプ502は、対応する駆動信号5を用いて音アクチュエータ104、105を駆動するために、該音アクチュエータ104、105に電子的に結合される。
【0055】
主ボード501は、ビデオ信号及び音信号を受信又はデコードし、該ビデオ信号をLCDセル103に転送し、また、該音信号をオーディオアンプ502に転送するために必要な、任意のデジタル及び/又はプログラム可能な電子回路を備えることができる。
【0056】
オーディオアンプ502は、例えば、デジタル音データストリームを受信し、且つ、該音データストリームをアナログ電圧又は電流信号に変換することができる。該アナログ電圧又は電流信号は、それぞれの音データを表しており、音アクチュエータ104、105に供給されると、音アクチュエータ104、105がそれに応じて振動する。なお、音データストリームの変換は、主ボード501によっても実行され得るもので、その場合、主ボード501がオーディオアンプ502にアナログ音信号を供給する。
【0057】
この発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、様々な代替の及び/又は同等な実施が存在することを、当業者は理解するであろう。1つの例示的な実施形態又は複数の例示的な実施形態は、例示に過ぎず、決して、発明の範囲、応用、又は、構成を、制限することを意図していない。むしろ、前記概要及び詳細な説明は、当業者に、少なくとも1つの例示的実施形態の実施のための、適当な指針を提供するのであり、添付の特許請求の範囲に記載された範囲及びそれらの法的均等物から逸脱することなく、一つの例示的な実施形態において記載された要素の機能及び配置について様々な変更がなされてよいものと理解される。一般に、この出願書類は、前述された特定の実施形態の何れの改造又は変種も含めることを意図されている。
【0058】
例えば、この発明は、上記においてスマートフォン表示装置及びLCDテレビジョン受信機に関連して説明されたが、表示装置を備え音を再生する必要のある任意の装置に使用され得る。更に、この発明に使用され得るのは、LCDに基づく表示装置に限らない。例えば、プラズマスクリーン、有機EL(OLED)又はアクティブマトリクス式有機EL(AMOLED)ディスプレイなどもまた、この発明に使用され得る。
【0059】
また、この発明は、上記において例えば2つの音アクチュエータを有するテレビジョン受像機というステレオオーディオシステムとして説明されたが、1つの表示装置内に複数のスピーカを備えたスピーカアレーを提供するために使用され得る。かかるスピーカアレーは、例えば波面合成法を実行するために使用され得る。
【0060】
この発明は、前述の通り、画像を制御可能に表示するように構成された画像面と、前記画像面の後ろに位置するバック面と、駆動信号に基づいて振動を生成するように構成された複数の音アクチュエータと、前記バック面を通り抜けて前記画像面を前記音アクチュエータに結合するように構成された、1つの前記音アクチュエータにつき少なくとも1つの機械的結合要素を備える表示装置を記述している。
【符号の説明】
【0061】
1、101 表示装置
2、103 画像面
3 バック面
4、104、105 音アクチュエータ
5 駆動信号
6 結合要素
7-1、7-2、401 LED
306-1~306-3 支持ロッド
8-1~8-3 孔
304 導光板
102 前面ベゼル
201 ピクセル
301、303 拡散フィルム
302 プリズムシート
307 反射シート
308 金属背面カバー
402 中間フレーム
501 主ボード
502 オーディオアンプ