(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】MRI造影剤の併用を含む製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 49/06 20060101AFI20220331BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61K49/06
A61B5/055 383
(21)【出願番号】P 2018527102
(86)(22)【出願日】2016-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2016079311
(87)【国際公開番号】W WO2017093336
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-12-02
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】396019387
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ
【住所又は居所原語表記】Nycoveien 1-2,Oslo 0485,Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】メイジャー,アンドレアス・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ダウェール,パリトシュ・ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】サニング,ミッケル・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】グリンゲリ,コンチェッタ・バレリア
(72)【発明者】
【氏名】デシーナ,サルバトーレ
(72)【発明者】
【氏名】キャシディー,ディアドラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ポール・アレクサンダー
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-537201(JP,A)
【文献】特表2007-536048(JP,A)
【文献】Magnetic Resonance in Medicine, February 2015, Vol. 75, p.318-328
【文献】History of Changes for Study: NCT02156739[オンライン],2014.6.3[検索日:2020.10.27],インターネット,<URL:https://clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT02156739?V_1=View#StudyPageTop>
【文献】History of Changes for Study: NCT02156739[オンライン],2015.8.21[検索日:2020.10.27],インターネット,<URL:https://clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT02156739?V_6=View#StudyPageTop>
【文献】The British Journal of Radiology, 2012, Vol.85, p.596-605
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/06
A61B 5/055
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)肝細胞に取り込まれ、および胆汁に排泄される第1の活性医薬成分(API);および、
(ii)腎から排泄される第2のAPI;
を含み、
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIのそれぞれが、キーランドまたはその誘導体および常磁性金属イオンを含む金属キレートであり、前記第1のAPI対前記第2のAPIのモル比が1:10から4:1であり、
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIが、哺乳類投与に適した形態で、生体適合性担体と共に単一の医薬組成物中に提供される、
医薬製剤であって、
前記第1のAPIが、ガドキセテートであり、
前記第2のAPIが、ガドブトロール、およびガドテレートから構成される群から選択され、
前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量が、0.125mmol/前記対象1キログラム未満である、医薬製剤。
【請求項2】
対象に投与される特定用量の医薬製剤であって、
前記医薬製剤が、請求項
1に記載の医薬製剤であり、
前記用量が、前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量が0.125mmol/前記対象1キログラムを超えないことを条件として、0.01~0.04mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.01~0.1mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIである、特定用量の医薬製剤。
【請求項3】
0.02~0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPIを含む、請求項
2に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項4】
0.025~0.1mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて3m
M
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、請求項
2または
3に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項5】
0.02~0.09mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて5m
M
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、請求項
2または
3に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項6】
0.02~0.07mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、7m
M
-1
s
-1
以上の緩和度および磁場強度1.5~3Tを有する、請求項
2または
3に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項7】
0.01~0.06mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて9m
M
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、請求項
2または
3に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項8】
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPIを含む、請求項
2乃至
7のいずれか1項に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項9】
0.1mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む、請求項
2乃至
4のいずれか1項に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項10】
0.05mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む、請求項
2乃至
8のいずれか1項に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項11】
前記対象が、生存しているヒトまたは非ヒト動物の身体である、請求項
2乃至
10に記載の特定用量の医薬製剤。
【請求項12】
方法に使用するための薬剤の製造における、請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の医薬製剤の使用であって、前記方法が、
(a)請求項
2乃至
11のいずれか1項に記載の特定用量の医薬製剤を対象に投与するステップと、
(b)前記投与ステップに続いて、前記対象に対して磁気共鳴画像法(MRI)を実施して、磁気共鳴(MR)信号を前記組成物が分布している前記対象または前記対象の部分から検出するステップと、
(c)検出されたMR信号からMR画像および/またはMRスペクトルを生成するステップと、
を含む、使用。
【請求項13】
前記対象が、生存しているヒトまたは非ヒト動物の身体である、請求項
12に記載の使用。
【請求項14】
前記医薬製剤が、磁気共鳴画像法(MRI)においてコントラストを増強するのに適した量で投与される、請求項
12または
13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内画像化、特に磁気共鳴画像法(MRI)に関する。本発明によって、MRI手順における使用に適した医薬製剤であり、他の公知のこのような製剤を上回る利点を提供する医薬製剤が提供される。本発明の医薬製剤の特定の用量、ならびに、生体内画像化の方法における前記用量の使用もまた想定される。
【背景技術】
【0002】
ガドキセテート(Gadoxetate)(Gd-EOB-DTPA、欧州のプリモビスト(Primovist)、米国のエオビスト(Eovist))は、肝臓特異的な磁気共鳴画像法造影剤であり、正常肝臓で最大50%の肝胆汁排泄を有する。静脈注射後、動脈、門脈および肝胆道相の間、ガドキセテートは血管および血管外の空間に、そして徐々に肝細胞および胆管に分配される。ガドキセテートは、動脈および門脈相の間に非特異的なガドリニウムキレートと同様に挙動し、肝胆道相の間に実体情報を追加し、限局性肝病変およびびまん性肝疾患の検出および特徴付けを改善する(Beers et al 2012 J Hepatol;57(2):421-429)。
【0003】
しかし、ガドキセテートは、非特異的ガドリニウムキレートと比較して、全体的に乏しい動的血管相(動脈相「AP」、門脈相「PVP」および後期静脈相「LVP」を含む)に悩まされることはよく認識されている(Frydrychowicz et al 2012 JMRI;35(3):492-511)。このことに対して考えられる改善措置としては、より高い用量のガドキセテートの使用、ガドキセテート注入速度の低下、または動的血管相をよりよく造影することが公知の汎用(非特異的)薬剤の追加注入が挙げられる。
【0004】
Zechら(2009 Investigat Radiol;44(6):305-310)は、遅い注入速度(または「ボーラスストレッチ」)を評価し、標準的な臨床用量のガドキセテートで良好なボーラス形状を実証した。このボーラスストレッチは、単回用量のガドキセテートでより少量のガドリニウムを補償し、動的血管相の初期部分でAPの潜在的改善をもたらす。しかし、補償効果は、静脈血管(すなわち、PVPおよびLVP)および肝実質の細胞外造影効果に拡張されない。代わりに、二倍用量のガドキセテートまたは単回投与の汎用細胞外Gd系造影剤(Gd-DTPA)のいずれかと比較して、ガドリニウムの量が低いほど、これらの構造における有意に低い信号増加に関連する。Zechらは、PVPおよびLVPの造影効果は注入速度によって有意に影響されなかったが、二倍用量のガドキセテートで改善したことを実証した。この後者のアプローチは、二倍用量のガドリニウムを意味し、欠点がないわけではない。
【0005】
バイエルによって提案されたアプローチ(臨床試験NCT02156739)では、0.025mmol/kgのガドキセテートの投与の20分後に、0.1mmol/kgの汎用薬ガドペンテト酸ジメグルミンを患者に投与した。ガドキセテートの投与の20分後に細胞外薬剤を追加注入することにより、肝臓脈管構造の信号強度が、ガドキセテートにより造影された肝臓に匹敵するレベルになり、それによって肝臓が(鮮明な健康な肝細胞および鮮明な血管により)無地の白色に表される。このアプローチは、病変の特徴付けを改善するために均一に造影された臓器を生成することを目的としているが、ガドキセテートの比較的乏しい動的血管相を改善するものは何もない。
【0006】
ガドキセテートの乏しい動的相画像化に関連する問題を克服するための改善された方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
第1の態様において、本発明は、
(i)肝細胞への取り込みおよび胆汁排泄を有する第1の活性医薬成分(API);および、
(ii)腎排泄を有する第2のAPI;
を含む医薬製剤を提供する;
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIのそれぞれは、キーランド(cheland)および常磁性金属イオンを含む金属キレートであり、前記第1のAPI対前記第2のAPIの比は1:10から4:1である。
【0009】
本発明はまた、第2の態様において、対象に投与される本明細書において定義される医薬製剤の用量であって、前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量が0.125mmol/前記対象1キログラムを超えないことを条件として、0.01~0.04mmolの間/前記対象1キログラムの前記第1のAPIおよび0.01~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む用量を提供する。
【0010】
第3の態様において、本発明は、
(a)本明細書に定義される用量の医薬組成物を対象に投与するステップ;
(b)前記投与ステップに続いて、前記対象に対して磁気共鳴画像法(MRI)を実施して、磁気共鳴(MR)信号を組成物が分布している対象または対象の部分から検出するステップ、
(c)検出されたMR信号からMR画像および/またはMRスペクトルを生成するステップ、
を含む方法を提供する。
【0011】
MRI造影剤のボーラス注入後の動的血管相は、正常な血管構造の正確な視覚化および診断および治療計画のための病理学的プロセスとのそれらの関係の評価にとって非常に重要であることが知られている。本発明は、全ての血管相にわたって、特に後期PVPおよびLVPならびに肝臓特異的薬剤に対して比較的遅い後血管相において持続性血管造影効果の改善を実証している。追加の血管信号は、肝病変の特徴付けに有用であり、従来の病変遅延造影効果プロファイルに加えて、病変造影効果のウォッシュインおよびウォッシュアウトのパターンなどの血管バイオマーカープロファイリングを容易にすることができる。
【0012】
本発明の医薬製剤は、(異なる相において血管病変を検出する代理マーカーとして作用し得る)持続性血管造影効果を提供することが実証されている。改善された相対的血管強度の性能は、公知のプロトコルと比較して、患者へのガドリニウム負荷が同様または低減した肝臓病変の血管造影効果および遅延造影効果の両方の同時評価を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1のAPI(下)および第2のAPI(上)を使用したMRI手順で得られた画像の例を示す。
【
図2】
図2は、いくつかの市販のMRI剤の緩和度値を示す。
【
図3】
図3は、以下の実施例に記載の各試験品目の大動脈、下大静脈(IVC)、門脈(PV)および肝実質のピーク信号強度曲線(A~E)ならびにピーク動脈造影効果(F)を示す。
【
図4】
図4は、以下の実施例に記載のように得られた、各試験品目の大動脈、下大静脈(IVC)および門脈(PV)の相対血管強度(RVI)曲線(A~E)ならびに総AUC RVI(F)を示す。
【
図5】
図5は、以下の実施例において評価した各試験品目の、30秒における動脈相(AP)、後期静脈相(LPV)、60秒における門脈相(PVP)ならびに120秒における後期(PV)の相対血管強度のパーセンテージ(1-RVI%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特許請求される本発明の主題をさらに明白かつ簡潔に記載し示すために、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される特定の用語には、以下の定義が与えられる。本明細書における特定の用語の例示は、非限定的な例として考慮されるべきである。
【0015】
用語「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」は、本出願を通じてその慣習的な意味を有し、薬剤または組成物が列挙された本質的な特徴または構成要素を有さなければならないが、他の特徴または構成要素がさらに存在してもよいことを意味する。用語「含んでいる(comprising)」は、好ましいサブセットとして、他の特徴または構成要素が存在せずに列挙された構成要素を組成物が有することを意味する「実質的に~からなる(consisting essentially of)」を含む。
【0016】
第1の実施形態において、本発明は、医薬製剤を提供する。用語「医薬製剤」は、本明細書において定義される第1のAPIおよび第2のAPIを含み、これらの同時投与を可能にする医薬として許容される任意の製剤を意味すると解釈される。
【0017】
用語「活性医薬成分」は、生物学的に活性な医薬製剤中の成分を意味すると理解され得る。本発明の文脈において、用語「生物学的に活性な」は、治療剤としてではなく生体内画像化の目的を意味すると理解されるべきである。
【0018】
投与後、本発明の第1のAPIおよび第2のAPIの両方は、典型的には「動的血管相」と称される(「細胞外相」とも呼ぶことができる)の間に、血管内および間質液区画内で迅速に平衡化する。動的血管相は、動脈相(AP)、門脈相(PVP)および後期静脈相(LVP)を順次含むと理解することができる。本発明の第1のAPIの場合、「肝細胞への取り込みおよび胆汁排泄」も実証しており、すなわち、動的血管相の後、APIは肝細胞によって取り込まれ、肝胆道系を介して除去される。一実施形態において、この肝細胞への取り込みおよび胆汁排泄は、前記第1のAPIのクリアランスのかなりの割合を占める。一実施形態において、前記第1のAPIの肝胆道クリアランスの割合は、>10%であり、別の実施形態において>20%、さらなる実施形態において>30%、さらに別の実施形態において>40%である。一実施形態において、前記第1のAPIの肝胆道クリアランスの割合は、10~50%の間であり、別の実施形態において20~50%の間、さらなる実施形態において30~50%の間、さらに別の実施形態において40~50%の間である。第1のAPIは、第2のAPIと比較して相対的に乏しい動的血管相を有し、特に、「持続性血管造影効果」と呼ばれるもの、すなわちPVPおよびLVPへ続く造影効果を示さない。いくつかの実施形態において、第1のAPIは、「造影効果欠損」として公知の、PVPおよびLVPにおける造影効果の完全またはほぼ完全な欠如を有し得る。他方、第2のAPIは、このレベルの肝細胞への取り込みおよび胆汁排泄は有さず、むしろ動的血管相の後で腎臓を介して主に排泄される、すなわち「腎排泄」を有する。一実施形態において、前記第2のAPIのこの腎排泄は、特化した腎排泄とみなすことができ、すなわち、前記第2のAPIの肝胆道クリアランスの割合は無視できる程度であるとみなすことができる。一実施形態において、肝胆道クリアランスによって除去される前記第2のAPIの割合は、10%以下である。一実施形態において、肝胆道クリアランスによって除去される前記第2のAPIの割合は、5%以下である。
【0019】
本発明の文脈における用語「金属キレート」は、常磁性金属イオンが、キーランドに含まれる分子またはアニオンの周囲の配列に結合される配位錯体を意味すると解釈される。「キーランド」は、2つ以上のドナー原子を介して常磁性金属イオンと配位結合を形成することができる有機化合物として本明細書において定義される。本発明に適した典型的なキーランドは、2~6、好ましくは2~4の金属ドナー原子が、(金属ドナー原子を連結する炭素原子または非配位性ヘテロ原子のいずれかの非配位性骨格を有することにより)5または6員環が得られるように配置されている。キレート化剤の一部として常磁性金属イオンに良好に結合するドナー原子タイプの例は、アミン、チオール、アミド、オキシム、およびホスフィンである。本発明の金属キレートが「トランスキレーションに対して耐性」である、すなわち金属配位部位に対する他の潜在的に競合する配位子と配位子交換を容易に受けないことが非常に好ましい。潜在的に競合する配位子には、金属キレート自体と製剤中の他の賦形剤、またはインビボの内在性化合物が含まれる。
【0020】
「常磁性金属イオン」は、分子磁気双極子モーメントとして挙動する不対電子を有する。常磁性金属イオンの局所磁場は、常磁性イオンと水素との間の双極子相互作用に起因して周囲水素核のT1およびT2緩和時間を減少させる。
【0021】
「前記第1のAPI対前記第2のAPIの比」とは、前記医薬製剤中に存在する前記第1のAPI対前記第2のAPIのそれぞれの相対量を意味する。一実施形態において、前記第1のAPI対前記第2のAPIのそれぞれの量は、モル量として定義される。
【0022】
MRIでの使用に適した常磁性金属イオンは、例えばSchouman-ClaeysおよびFrijaによる「MRI of the Body」(2012 Springer Berlin Heidelberg;Daniel Vanel & Michael T. McNamara, Eds.)の「Contrast media」の章の教示により当業者に周知である。本発明の一実施形態において、前記常磁性金属イオンは、遷移金属またはランタニドである。本発明の別の実施形態において、前記常磁性金属イオンは、Eu、Gd、Dy、Ho、Cr、MnおよびFeを含む群から選択される。本発明のさらなる実施形態において、前記常磁性金属イオンは、Gd、Mn、FeおよびCrを含む群から選択される。本発明のなおさらなる実施形態において、前記常磁性金属イオンは、Gd(III)およびMn(II)を含む群から選択される。本発明のなおさらなる実施形態において、前記常磁性金属イオンはGd(III)である。
【0023】
MRIにおける使用のために、常磁性金属イオンは、これらの金属イオンの遊離形態における任意の毒性作用を回避するために、金属キレートとして投与される。安定に錯体化された常磁性金属イオンと同様に、キーランドの形状は、金属イオンの常磁性効果が維持されるようなものでなければならない。一実施形態において、キーランドは、高度に安定な金属キレート錯体を生成できる任意の配位子、例えば少なくとも1012の熱力学的安定度定数を有するものである。さまざまな実施形態において、キーランドは直鎖状、環状または分枝状のキレート化剤、例えば、直鎖モノ-、またはポリキレート剤、大環状キレート剤または分枝状ポリキレート剤(例えば、樹枝状ポリキレート剤)であってよい。1つの実施形態において、キーランドはポリアミノポリオキシ酸(例えば、ポリアミノポリカルボン酸)である。適切なキーランドの例は当技術分野において記載されており、例えば、Nycomed(Nycomed ImagingおよびNycomed Salutarを含む)、Sterling Winthrop、Schering、Bracco、Squibb、Mallinckrodt、Guerbet and Metasynの特許公報、例えば米国特許第4647447号、欧州特許出願第0071564号、国際公開第1996003154号、国際公開第1996001655号、欧州特許出願公開第0430863号、国際公開第1996041830号、国際開第1993010824号、国際公開第1989000557号、欧州特許出願公開第0292689号、欧州特許出願公開第0232751号、欧州特許出願公開第0230893号、欧州特許出願公開第0255471号、欧州特許出願公開第0277088号、欧州特許出願公開0287465号に教示されているランタノイドキレート化のために提案されたモノおよびポリキレート剤の1つである。米国特許第5334371号は、Mn(II)イオンを含有する大環状ポリアザビシクロ化合物を開示している。国際公開第2011073371号(GE Healthcare AS)は、動力学的に安定であり、最適な水交換動力学を示す、Mn(II)のキレート化のために最適化されたキーランドを開示している。国際公開第2011121002号および米国特許出願第20140086846号(General Electric Company)は、遷移金属、特に鉄のキレート化のために最適化されたキーランド構造を教示している。DTPA-ビスアルキルアミドおよびその調製方法は、米国特許第4687659号に開示されており、DTPA-ビス(ヒドロキシアルキル-アミド)およびその調製方法は、米国特許第4826673号および欧州特許出願公開第130934号に開示されている。国際公開第2009103744号、国際公開第2016083597号、国際公開第2016083605号および国際公開第2016083600号は全て、DOTAキーランドおよびガドリニウム(Gd3+)からなるガドリニウム系のMRI造影剤を得る方法を記載している。本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記キーランドは、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);4-カルボキシ-5,8,11-トリス(カルボキシメチル)-1-フェニル-2-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オイック酸(BOPTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(DO3A);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA);エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)(EDTA);10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(HP-DO3A);2-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(MCTA);テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTMA);3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(PCTA);N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン(TETA);1,4,7,10-テトラアザシクロトリデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(TRITA);1,12-ジカルボニル,15-(4-イソチオシアナトベンジル)1,4,7,10,13-ペンタアザシクロヘキサデカン-N,N’,N’’三酢酸(HETA);[(2S,5S,8S,11S)-4,7-ビス-カルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]酢酸、(M4DO3A);1-O-ホスホノメチル-1,4,7,1-O-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(MPDO3A);ヒドロキシベンジル-エチレンジアミン-二酢酸(HBED);N,N’-エチレンビス-[2-(o-ヒドロキシフェニル)グリシン](EHPG);10-[(1SR,2RS)-2,3-ジヒドロキシ-1-ヒドロキシメチルプロピル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(BT-DO3A);および2-[ビス[2-[カルボキシラトメチル-[2-(2-メトキシエチルアミノ)-2-オキソエチル]アミノ]エチル]アミノ]アセテート(DTPA-BMEA)を含む群から選択される。
【0024】
キーランドの「誘導体」は、本発明の文脈において、キーランドのキレート特性を妨害しないさらなる化学基を含むキーランドとして理解されるべきである。このような化学基は、金属キレートを生物学的標的化部分で官能化するために、または金属キレートの薬物動態特性を調節するために含まれることがある。キーランド誘導体の非限定的な例としては、DTPA誘導体、N-[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピル]-N-[2-[ビス(カルボキシメチル)-アミノ]エチル]-L-グリシン(EOB-DTPA)、N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-グルタミン酸(DTPA-Glu)、N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-リジン(DTPA-Lys)、N,N-ビス[2-[カルボキシメチル[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]-エチル]グリシン(DTPA-BMA);DOTA誘導体、例えば1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸モノ-(N-ヒドロキシスクシンイミジル)エステル(DOTA-NHS)および[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-カルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]酢酸(M4DOTA);DOTMA誘導体、例えば、(R)-2-[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-((R)-1-カルボキシエチル)-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]プロピオン酸(M4DOTMA);PCTA誘導体、例えば、PCTA12およびシクロ-PCTA12;ならびにTETA誘導体、例えば、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン-N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル(TETA-NHS)が挙げられる。
【0025】
本発明の医薬製剤のさらなる実施形態において、前記キーランドは、DTPA、DOTAまたはこれらの誘導体から選択される。本発明の医薬製剤のなおさらなる実施形態において、前記キーランドまたはこの誘導体は、EOB-DTPA、DTPA-BMA、DTPA-BMEA、DTPA、DOTA、BOPTA、HP-DO3AおよびBT-DO3Aから選択される。
【0026】
第1のAPIおよび第2のAPIのそれぞれは、当業者に周知の方法によって、適切なキーランドと適切な常磁性金属とを一緒に反応させることによって調製することができる。この反応は、典型的には水溶液中、例えば、場合により混和性の共溶媒を含有する蒸留水中で、高温(例えば、70~95℃、好ましくは80~90℃において実施される。反応中、pHは一般に3~6であり、酸または塩基、例えば、塩酸および水酸化ナトリウムのような、医薬として許容される中和生成物を生成する酸または塩基の添加によって制御することができる。反応の進行は、未反応キーランドまたは常磁性金属イオンの残留量を決定し、例えば、安定した低濃度のキーランドおよびごくわずかな遊離の常磁性金属イオンが検出され、必要に応じて追加分を加えて反応が完了したとみなされるまで、一般に監視される。典型的にはその後、反応混合物は、例えば、25℃以下に冷却される。次いで必要に応じて、反応混合物のpHは、例えば、水酸化ナトリウムを使用して例えば約6に調整される。次いで、溶液は濾過され、金属キレートが当業者に周知の方法、例えば、結晶化クロマトグラフィーによって単離され、その後、生体適合性担体および本明細書において定義される1または複数の賦形剤と混合される。本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記第1のAPI対前記第2のAPIの比は、1:5~3:2である。別の実施形態において、前記比は1:4~1:1である。さらなる実施形態において、前記比は1:1である。さらなる実施形態において、前記比は1:2である。さらなる実施形態において、前記比は1:3である。さらなる実施形態において、前記比は1:4である。
【0027】
本発明の併用API用量は、単一のAPI用量の推奨を超えてはならない。特定の実施形態において、総累積用量は、0.125mmol/kg以下である。
【0028】
化学構造を、特定の公知のAPIおよび製剤化されている市販のMRI医薬製剤について下の表に提供する(対イオンが存在する場合、化学構造から省かれることに留意されたい):
【0029】
【表1】
本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記第1のAPIは
ガドキセテート(gadoxetate)である。
【0030】
本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記第2のAPIは、ガドジアミド、ガドルベセタミド、ガドペンテテート(gadopentetate)、ガドテリドール、ガドブトロール、ガドベネート、ガドホスベセットおよびガドテレートを含む群から選択される。別の実施形態において、前記第2のAPIは、ガドテリドール、ガドブトロールおよびガドテレートを含むリストから選択される。さらなる実施形態において、前記第2のAPIは、ガドブトロールおよびガドテレートから選択される。
【0031】
ガドキセテートは、正常肝臓で最大50%の肝胆汁排泄を有する。静脈注射後、動的血管相の間、ガドキセテートは血管および血管外の空間に分配され、肝胆道相の間、徐々に肝細胞および胆管に分配される。ガドキセテートは肝胆道相の間に実体情報を追加し、限局性肝病変およびびまん性肝疾患の検出および特徴付けを改善する(Beers 2012 J
Hepatol;57(2):421-429)。
【0032】
図1は、第1のAPI(下=
ガドキセテート)および第2のAPI(上=
ガドテレート)の非限定的な例を使用して、経時的に得られたヒト肝臓のMR画像を示す。
【0033】
「プレ」画像(「プレコントラスト画像」と呼ばれることもある)は、画像にいずれかのAPIが到着する前に取得される。「動的」画像(「動的造影MRI」と呼ばれることもある)は、いずれかのAPIが画像に到着した直後に取得される。「遅延」画像(「遅延造影MRI」と呼ばれることもある)は、いずれかのAPIが画像に到達した後の時点で取得される。動的血管相の3つの異なる段階について:APでは、APIは主に肝動脈を介して送達されている;PVPでは、肝臓内のAPIが下大静脈および門脈を介しても送達されている;LVPでは第2のAPIが主に細胞外に分布している。「HBP」(肝胆道相)画像は、第1のAPIが肝細胞に蓄積するのに十分な時間を有し、良好なコントラスト・ノイズ比で取得可能な時点で取得される。
【0034】
本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記第1のAPIおよび前記第2のAPIは、別々に提供されるが、同時投与を可能にするように構成される。例えば、2種のAPIは、個別の速度および投与制御で2つの注射器を同時に注入できる装置(インジェクタ)に配置された別々の注射器内に提供されてもよいことが想定される。したがって、2種のAPIは、患者に入る前に、個々の注射器を離れると混合される。代替の実施形態において、2種のAPIは、注入時点まで分離されるように2連の注射器に配置することができる。さらなる実施形態において、2種のAPIは、注入時に穿孔され、注入時に混合可能にする膜によって分離された1つの注射器に提供されてもよい。
【0035】
本発明の医薬製剤の一実施形態において、前記第1のAPIおよび前記第2のAPIの各々が、生体適合性担体と共に医薬組成物として提供される。
【0036】
「生体適合性担体」は、得られる組成物が生理学的に忍容性であるように、すなわち、毒性または過度の不快感なく哺乳動物の身体に投与できるように、第1のAPIまたは第2のAPI(または両方のAPIが一緒に)懸濁または溶解される流体、特に液体である(用語「哺乳動物投与に適した」の定義であると理解することができる)。
【0037】
別の実施形態において、本発明の医薬製剤は、前記第1のAPIおよび前記第2のAPIが生体適合性担体と共に製剤化された医薬組成物として提供される。この実施形態の場合、2種のAPIは、本明細書で定義される第1のAPIおよび第2のAPIの最適な割合を含む新しい製剤として予混合され、分配されてもよい。
【0038】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、1または複数の医薬として許容される賦形剤を含み得る。適切な医薬として許容される賦形剤の非限定的な例としては、緩衝剤、安定剤、抗酸化剤、浸透圧調節剤、緩衝液、pH調節剤、過剰キーランド、カルシウムキレートのような生理学的忍容性イオンの弱い錯体、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウムまたは乳酸カルシウムなどのカルシウムまたはナトリウム塩が挙げられる。これらおよび他の適切な賦形剤は、当業者に周知であり、さらに、例えば、国際公開第1990003804号、欧州特許出願公開第0463644号、欧州特許出願公開第0258616号および米国特許第5876695号に記載されている。一実施形態における本発明の医薬組成物は、非経口投与、例えば注射に適した形態である。したがって、本発明のAPIは、生理学的に許容される担体媒体、例えば注射用水中の溶液、懸濁液および分散液などの従来の医薬投与形態であってもよい。したがって、本発明による医薬組成物は、生理学的に許容される賦形剤を使用して投与するために、当業者の技術範囲内の方法で製剤化することができる。例えば、場合により医薬として許容される賦形剤を添加したAPIを、水性媒体中に別々にまたは一緒に懸濁または溶解し、次いで得られた溶液または懸濁液を滅菌してもよい。医薬として許容される賦形剤の非限定的な例としては、例えば、生理学的に生体適合性の緩衝液(例えば、塩酸トロメタミン)、他のキーランド(例えば、ジエチレントリアミン五酢酸)または場合によりカルシウムまたはナトリウム塩(例えば、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウムまたは乳酸カルシウム)のわずかな添加が挙げられる。MRI手順の場合、典型的な投与様式は非経口、例えば静脈内の投与である。非経口的に投与可能な形態、例えば静脈注射用溶液は、滅菌され、生理学的に許容されない薬剤を含んではならず、投与時の刺激または他の有害な影響を最小限に抑えるために浸透圧が低くなければならず、したがって、この医薬組成物は等張性またはわずかに高張性でなければならない。適切なビヒクルには、非経口投与溶液の投与に習慣的に使用される水性ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル液、ならびにRemington’s Pharmaceutical Sciences,22nd Edition(2006 Lippincott Williams&Wilkins)およびThe National Formulary(https://books.google.com/books?id=O3qixPEMwssC&q=THE+NATIONAL+FORMULARY&dq=THE+NATIONAL+FORMULARY&hl=en&sa=X&ved=0CC8Q6AEwAGoVChMImfPHrdTqyAIVJfNyCh1RJw_E)に記載の他の溶液などが挙げられる。医薬組成物はまた、非経口溶液中で慣用的に使用される保存剤、抗菌剤、緩衝液および抗酸化剤、ならびにキーランドおよび関連金属キレートに適合し、最終製品の製造、貯蔵または使用を妨害しない他の賦形剤を含有することもできる。
【0039】
一実施形態において、第1のAPIおよび第2のAPIの各々は電荷平衡化対イオンを含み、これは有機カチオンであっても、または無機カチオンであってもよい。したがって、一実施形態において、電荷平衡化対イオンは無機カチオンである。無機カチオンの非限定的な例としては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、および無機アンモニウムカチオン(NH4+)が挙げられる。別の実施形態において、電荷平衡化対イオンは、有機カチオン、例えば有機アンモニウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン、有機スルホニウムカチオン、またはそれらの混合物である。一実施形態において、電荷平衡化対イオンは2-(N,N,N-トリメチルアンモニウム)-2-デオキシグルコースのようなアミノ糖のアンモニウム塩である。一実施形態において、電荷平衡化対イオンはN-メチルグルカミンのプロトン化形態である。
【0040】
医薬組成物の調製方法は当技術分野において周知である。生体適合性担体と共に第1のAPIおよび第2のAPIを含む医薬組成物を調製するために、金属キレートを別々に調製し、次に所望の比で混合することができる。非経口的に、すなわち注射によって投与される医薬組成物に関しては、その調製は、有機溶媒の除去、生体適合性緩衝液ならびに賦形剤または緩衝液などの任意のさらなる成分の添加を含むステップをさらに含む。非経口投与のためには、医薬組成物が無菌であり、非発熱性であることを確実にするための工程も必要とされる。
【0041】
第1のAPIおよび第2のAPIが同じ医薬組成物中に存在する一実施形態において、沈殿およびトランスメタル化のリスクを低減するように特別に製剤化される。一実施形態において、緩衝液の選択により、APIの塩形態の沈殿の危険性を排除するように作用し得る。一実施形態において、過剰なキーランドの添加は、組成物を安定化させ、トランスメタル化を回避するように作用し得る。本発明の医薬製剤の一実施形態において、ガドキセテート(gadoxetate)およびガドテル酸メグルミンは、過剰のEOB-DTPAの遊離酸と共に製剤化され、メグルミンは単独の緩衝剤である。ガドキセテート(gadoxetate)およびガドテル酸メグルミンの相対的な組成は画像化効果から決定することができる。別の実施形態において、ガドキセテート(gadoxetate)およびガドテル酸メグルミンを含むこの医薬製剤は、カルシウムおよびナトリウムイオンの代わりにメグルミンを含み、ガドテル酸のナトリウム塩の沈殿の危険性を排除する。この実施形態は、ガドキセテート(gadoxetate)製剤で一般的に使用される緩衝剤、トロメタモールが含まれていないので、製剤が簡略化される点でさらに有利である。この実施形態の化学組成を以下に示す。
【0042】
【化1】
上記の製剤は、以下のスキームに示すように、市販のガドテル酸メグルミンの液体バルクとGd-EOB-DTPA-ビス-メグルミン塩/溶液とを混合することによって得ることができた。
【0043】
【化2】
別の実施形態において、錯体化反応において市販のDOTAおよびキーランドEOB-DTPAを利用し、酸化ガドリニウムをDOTA/EOB-DTPAリガンド混合物に添加し、過剰遊離リガンド(EOB-DTPA)の割合を、(例えば、欧州特許第2242515号に記載されているように)メグルミンによるpH調整の前の測定および調整ステップによって設定するプロセスを使用することができる。
【0044】
【化3】
Gdキレート製剤中の過剰なキーランドの量と動物モデルで沈着したGdの量との間には相関があることが公知である(Sieber 2008 J Mag Res Imaging;27(5):955-62)。したがって、第1のAPIおよび第2のAPIが一緒に製剤化され、前記第1のAPIおよび前記第2のAPIの少なくとも1つがGdを含む別の実施形態において、Gdスカベンジャーとして作用して、注入後の製剤からのGdの放出を低減または防止できるように一定量の過剰なキーランドが選択される。遊離キーランドの最適量は、適切な物理化学的特性(すなわち、粘度、溶解度および重量オスモル濃度)を有する医薬組成物をもたらし、遊離キーランドが多すぎる場合の亜鉛枯渇などの毒性作用を回避する。
【0045】
第2の実施形態において、本発明の医薬製剤は、対象に投与される用量として提供される。
【0046】
本発明において、用語「用量」は、MRI手順の目的のために一度に対象に投与される、本明細書で定義される医薬製剤の測定量を意味すると解釈される。
【0047】
「対象」は、任意のヒトまたは動物対象であり得る。一実施形態において、対象は哺乳動物、すなわちインビボで無傷の哺乳動物体である。一実施形態において、対象は、生存しているヒトまたは非ヒト動物の身体である。
【0048】
本発明の用量の一実施形態において、前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量は、0.125mmol/前記対象1キログラム未満である。
【0049】
一実施形態において、本発明の用量は、0.02~0.03mmolの間/前記対象1キログラムの前記第1のAPIを含む。
【0050】
本発明の用量では、第2のAPIの動的相の間に第1のAPIからの動的寄与を利用することができるので、比率の変更が可能である。特定の実施形態において、このことにより、(第1APIからの信号寄与と組み合わせて)十分に造影された動脈相を維持しながら、造影剤用量の低減が可能になる。
【0051】
本発明の特定の実施形態において、前記第1のAPIおよび前記第2のAPIのそれぞれの絶対量および相対量は、前記第2のAPIの緩和度に基づいて決定される。MRI剤の「
緩和度」の概念は当業者に周知であり、周囲の水プロトンスピンの緩和速度を高める磁性化合物の能力を指す。緩和度は、MR画像のコントラストを改善し、造影剤がよりよく拡散する組織特異的領域を研究するか、または機能的MRIを実施するために使用される。MRI剤の緩和度は、錯体の分子構造および動態に依存する。緩和度は、温度、磁場強度、および造影剤が溶解している物質に依存する。本発明の文脈において、緩和度の値が設定された条件は、(例えば約20℃の周囲温度における水中とは対照的に)37℃においてインビボである。一般に使用されているGd系MRI剤の緩和度8は、Shenら(2015 Invest Radiol;50(5):330-8)によって記載されている。
図2は、1.5Tおよび3Tにおけるいくつかの公知MRI剤の血中緩和度値を示す。
【0052】
一実施形態において、本発明の用量は、0.025~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIは、磁場強度1.5~3において3mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する。一実施形態において、3mM
-1
s
-1
以上の値は3~5mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができ、別の実施形態において3~4mM
-1
s
-1
、さらなる実施形態において4~5mM
-1
s
-1
、さらに別の実施形態において3.5mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができる。特定の実施形態において、この段落の実施形態による用量は、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.05~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.1mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.05mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.095mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
から選択される。
【0053】
一実施形態において、本発明の用量は、0.02~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIは、磁場強度1.5~3Tにおいて5mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する。一実施形態において、5mM
-1
s
-1
以上の値は5~7mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができ、別の実施形態において5~6mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができる。特定の実施形態において、この段落の実施形態による用量は、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.08mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.05mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.075mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
から選択される。
【0054】
一実施形態において、本発明の用量は、0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIは、磁場強度1.5~3Tにおいて7mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する。一実施形態において、7mM
-1
s
-1
以上の値は8mM
-1
s
-1
以上を包含するとみなすことができ、別の実施形態において8~9mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができる。特定の実施形態において、この段落の実施形態による用量は、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
から選択される。
【0055】
一実施形態において、本発明の用量は、0.01~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIは、磁場強度1.5~3Tにおいて9mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する。一実施形態において、9mM
-1
s
-1
以上の値は9~11mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができ、別の実施形態において5~10mM
-1
s
-1
を包含するとみなすことができる。特定の実施形態において、この段落の実施形態による用量は、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.01~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
から選択される。
【0056】
第3の実施形態において、本発明は、本明細書で定義される用量の本発明の医薬製剤の投与を含むMRI法を提供する。
【0057】
適切と想定される投与方法および対象は、医薬組成物と関連して上記に記載されている。医薬組成物は、MR画像法の方法において造影に適切な量で投与される。本明細書に記載の第1のAPIおよび第2のAPIなどのAPIを使用するMRI方法は、当業者に周知であり、例えば「Magnetic Resonance Imaging:Physical and Biological Principles」(4th Edition 2015 Elsevier,Stewart Carlyle Bushong&Geoffrey Clarke,Eds.)の第27章「Contrast Agents and Magnetic Resonance Imaging」、または「Contrast Agents I:Magnetic Resonance Imaging」(2002 Springer-Verlang,Werner Krause,Ed.)に教示されている。
【0058】
本発明の方法は、診断のための方法としての有用性を有する。本明細書の実施例は、本発明の方法が、公知のこのような方法と比較して、限局性肝病変およびびまん性肝疾患の検出および特徴付けに有用な確かな利点を提供することを実証する。本発明者らは、単独APIとしてガドキセテート(本明細書で定義される「第1API」の例)またはガドテレート(本明細書で定義される「第2API」の例)のいずれかを含む製剤の性能を、ガドキセテートと、ガドテレートもしくはガドブトロール(本明細書で定義される「第2のAPI」の別の例)のいずれかとの併用を含むいくつかの製剤の性能と比較した。併用製剤は、本発明による医薬製剤の実施形態を表し、実施例では「コンボ」製剤と称される。インビボでの用量の投与後のコンボ配合物の血管強度の解析において、全ての製剤はAPにおいてピークRVI%(相対血管強度%)を提供し、後期PVPおよびLVPにおいて信号が低減した。他の全ての被験製剤(コンボ1、コンボ2、コンボ3およびガドテレート)と比較して、単独APIとしてガドキセテートを有する製剤では、PVP相においてRVI%の有意な低減が見られた。この傾向はLVPまで低減し続け、注入後120秒でガドキセテートによる明らかな血管造影効果がなく、この肝臓特異的薬剤の乏しい血管持久性を実証している。後血管相におけるこの造影効果欠損は、非特異的ガドリニウム系のコントラストと比較して、肝胆道系薬剤の落とし穴として以前に認識されている(Frydrychowicz et al 2012,JMRI;35(3):492-511)。AUCは、全てのコンボ試験品目(コンボ1、コンボ2およびコンボ3)においてガドキセテートと比較して(93.8AU、76.7AU、84.9AU対34.2AU)、およびガドテレートと比較して(93.8AU、76.7AU、84.9AU対63.2AU)有意に増加した。これらの結果は、本発明の医薬製剤が、良好な早期動脈造影効果と、血管相全体にわたる持続性RVIの改善との両方を提供することを実証する。これらの観察は、単独APIとしてガドキセテートを含む製剤と対比するだけでなく、単独APIとしてガドテレートを含む製剤とも対比して、コンボ製剤についてなされた。
【0059】
本明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。本明細書に言及された全ての文献の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0060】
実施例で使用される略語のリスト
AUC 曲線下面積
ICP-MS 誘導結合プラズマ質量分析法;
IV 静脈内
FoV 視野
IVC 下大静脈
LAVA Liver Acquisition with Volume Acquisition
MRI 磁気共鳴画像法
NEX 励起回数
NMR 核磁気共鳴
PAC 留置ポート(Port-a-cath)
PV 肝内門脈
ROI 関心領域
RVI 相対血管強度
SI 信号強度
TE エコー時間
TR 繰り返し時間
UZB ブリュッセル自由大学病院
試験品目
以下の試験品目を用いて本発明を評価した。
【0061】
(i)ガドキセテート(二ナトリウム;2-[[2-ビス(カルボキシラトメチル)アミノ)-3-(4-エトキシフェニル)プロピル]-[2-ビス(カルボキシラトメチル)アミノ]エチル]アミノ]アセテート、ガドリニウム(3+))は、Bayer Pharma AG(D-13342 Berlin Germany)から購入した。市販のガドキセテート製剤は、0.25mmol/mlに相当する181.43mg/mlのガドキセト酸二ナトリウム、賦形剤であるカロキセト酸三ナトリウム、トロメタモール、塩酸および/または水酸化ナトリウム(pH調整用)ならびに注射用水を含有する。これらの研究に使用するために、注射用水(BBraun)で0.083mmol/mlの濃度に希釈し、0.3ml/kgで投与して最終用量(0.025mmol/kg)を得た。
【0062】
(ii)ガドテレート(2-[4,7-ビス(カルボキシラトメチル)-10-(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセテート;ガドリニウム(3+)はGE Healthcareにより製造された。ガドテル酸メグルミンは、0.5mmol/mlに相当する279.3mg/mlのガドテレートおよび賦形剤であるメグルミンならびに注射用水を含有する。これらの研究に使用するために、注射用水(BBraun)で0.333mmol/mlの濃度に希釈し、0.3ml/kgで投与して最終用量(0.1mmol/kg)を得た。
【0063】
(iii)コンボ1は、ガドキセテートとガドテレートとの併用である。コンボ1は、注射用水(BBraun)中それぞれ0.083mmol/mlおよび0.333mmol/mlの濃度に製剤化された。0.3ml/kgの投与により、ガドキセテート(0.025mmol/kg)およびガドテレート(0.1mmol/kg)の最終用量を得た。
【0064】
(iv)コンボ2は、ガドキセテートとガドテレートとの組み合わせである。コンボ2は、注射用水(BBraun)中それぞれ0.083mmol/mlおよび0.167mmol/mlの濃度に製剤化された。0.3ml/kgの投与により、ガドキセテート(0.025mmol/kg)およびガドテレート(0.05mmol/kg)の最終用量を得た。
【0065】
(v)コンボ3は、ガドキセテートとガドブトロールとの組み合わせである。ガドブトロール(10-(2,3-ジヒドロキシ-1-ヒドロキシメチルプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸)はBayer Pharma AG(D-13342 Berlin Germany)から購入した。市販のガドブトロール製剤は、604.72mg/mlのガドブトロール(1.0mmol/mlに相当)および注射用水を含有する。これらの研究に使用するために、注射用水(BBraun)で0.333mmol/mlの濃度に希釈した(ガドテレートと等モル濃度)。希釈したガドブトロール溶液をコンボ3の調製に使用した。コンボ3は、注射用水(BBraun)中それぞれガドキセテートが0.083mmol/mlおよびガドブトロールが0.167mmol/mlの濃度に製剤化された。0.3ml/kgの投与により、ガドキセテート(0.025mmol/kg)およびガドブトロール(0.05mmol/kg)の最終用量を得た。
【0066】
以下の表1は、インビボで投与された試験品目および用量をまとめたものである。全ての試験品目は、生理食塩水を用いて15mlの標準溶液に調製した。
【0067】
【表2】
投与レジメンの論拠
個体に投与される試験品目の用量範囲およびコンボ1の用量レジメンは、これらの薬剤の典型的な臨床用量を反映するように選択されている。コンボ2およびコンボ3は、
ガドキセテートの用量を維持しながら、
ガドテレートまたはガドブトロールのいずれかの用量を低下させることにより低減させた累積ガドリニウム用量を有する(標準臨床用量より50%低い=0.05mmol/kg)。
【0068】
インビトロの緩和度測定を使用して、単体の市販の造影剤と比較して、コンボ製剤の有効性(緩和度)を評価した。縦緩和時間は、60MHzで作動するMinispec MqベンチトップNMR緩和計(Bruker Instruments、Rheinstetten、Germany)を使用して37℃において150mMの生理食塩水中で測定した。錯体の縦緩和度は、T1緩和時間の逆数に対して各個別の薬剤および試験したコンボ製剤についてICP-MSによって決定したガドリニウム濃度をプロットすることによって計算した。
【0069】
実験計画
この研究は、動物実験に関して、ブリュッセル自由大学病院(UZB)、ベルギー地方倫理委員会により2016年3月9日に承認された(EC番号:16-272-4)。全ての動物実験は適用される法律および規定に従って行われた。その心臓機能および血管動態が人のそれと非常に似ているので、ナイーブミニブタ(Gottingen minipigs、Ellegaard Gottingen Minipigs、Denmark)をモデルとして選択し、動的血管相の評価のための最適な空間的および時間的分解能を可能にした。
【0070】
この試験は、5つの投薬群(単一の独立型用量として投与された造影剤の2群;コンボ製剤を投与された3群)からなっていた。各動物を、1週間のウォッシュアウト期間で各投薬群内で1回試験した。
【0071】
手順
各MRI検査について、ゾレチル(Zoletil)混合物のボーラス(0.06ml/kg、筋肉内)で麻酔を誘導し、ネスドナール(Nesdonal)(0.6ml/kg/時、静脈内(IV)投与)の注入によって維持した。試験品目は、PAC装置(Port-a-cath、Power PAC II、1.9mm、Smiths Medical、ベルギー)を介して単回注入としてIV投与した。試験品目は自動注入器(Medrad Spectris Solaris)を使用して2ml/秒の速度で0.3ml/kgの容量で投与した。投与直後に、20mlの生理食塩水を細管に通し、残留した試験品目を洗い流した。
【0072】
造影MR画像法
全てのMRIの取得は、ブタの腹部に配置された腹部相-アレイ表面コイルを使用して、臨床3.0T GE MR750wスキャナー(GE Discovery、GE Healthcare、Waukesha、WI)で行った。多相動的3D T1w LAVA (Liver Acquisition with Volume Acquisition)を、早期動脈から後期静脈血管相を捕捉するボーラスタイミングを使用し、下記の画像化パラメータを使用して実施した:TR/TE=2.9/1.3ms、FA=12°、FoV=42x40cm、マトリックス220x160、スライス厚=3mm、スライス数=40、NEX=1。このプロトコルには、試験品目の投与前および投与後(遅延造影効果相の間)の両方で取得された自由呼吸ナビゲートLAVAも含まれていた。
【0073】
画像解析
時間分解動的シリーズについての定量分析を、Advantage Windows VolumeShare 7 Workstation(GE Healthcare)を使用して、完了した。関心領域(ROI)を大動脈、下大静脈(IVC)、肝内門脈(PV)および正常肝実質に設定した。全てのROI位置の視覚的検証は、腹部放射線科医によって行われた。各試験品目について、各ROIに対する絶対信号強度(SI)曲線を解析し、25%および75%の四分位範囲でピーク値として表した。
【0074】
血管造影効果を計算するために、相対血管強度(RVI)を、以下の式を使用して、大動脈、IVCおよびPVを肝臓実質に対して正規化した。
【0075】
相対血管強度(RVI)=(SI(血管)-SI(肝臓))/(SI(肝臓))
RVI曲線を使用して、大動脈、IVCおよびPVからの全ての血管信号を包含する複合血管強度曲線が得られた。各試験品目に関連する全血管造影効果は、曲線下面積(AUC)の台形則によって決定され、y=0より上の正の信号が含まれた。このことから、動脈相(AP:30秒)、門脈相(PVP:60秒)および後期静脈相(LVP:120秒)における時間-相対画分は、全血管AUCの割合として表され(RVI%)、1-RVI%として計算して、各相を通して減少率を得た。
【0076】
遅延相については、試験品目の投与前および投与後の造影効果の有無について、経験豊富な放射線科医が定性的評価を行った。
【0077】
試験品目のインビトロ緩和度
コンボ1、コンボ2およびコンボ3は、さまざまなAPI割合(表2)に基づいて、予想される緩和度およびr2/r1比を有することが示された。緩和度の測定は、全ての薬剤が実行可能であり、基準緩和度(r1)の範囲内であることを示した。
【0078】
以下の表2は、各試験品目について37℃、60MHzで水中で測定した緩和度(r1)およびr2/r1比を示す。
【0079】
【0080】
検出器:ESA Corona、荷電化粒子検出器およびUV検出器(280nm);
カラム:SeQuant ZIC-pHILIC(5μm、150×4.6mm)。
【0081】
試料調製:30μLの試験品目に、Mn(OAc)2(10μL、10mg/mL)を加え、次いでMQ-水(360μL)、続いてMeCN(600μL)*を加えた。
【0082】
注入量:20μL;
移動相:100mM酢酸アンモニウム(A)、アセトニトリル(B)。
【0083】
カラムを、試料注入前に初期組成(A:Bが15:85)で、流量1mL/分で少なくとも5分間コンディショニングした。
【0084】
勾配:
【0085】
【表4】
以下の保持時間で観察した:
保持時間(分)
メグルミン 21.8
GdDOTA 23.5
Gd-EOB-DTPA 13.8
Na 17.5
Gd-BT-DO3A 24.2
*DOTA、EOB-DTPAおよびBT-DO3Aを、対応するMn錯体として間接的に分析した。
【0086】
コンボ1、コンボ2およびコンボ3は、HPLC分析において予想されるAPI比を有することが示された。コンボ製剤中の異なるAPIの化学的完全性が確認された。
【0087】
定量分析および信号強度曲線
各試験品目ついて、
図3に示すように、ROIである大動脈、IVC、PVおよび肝臓実質について信号強度(SI)曲線をプロットした。全ての試験品目でピーク動脈造影効果が明白であり、コンボ1、コンボ2および
ガドテレートにより最も高いSIが明白であり(表3)、
図3A~3Eはそれぞれ、
ガドキセテート、
ガドテレート、コンボ1、コンボ2およびコンボ3のピークSI曲線を示す。これは、肝臓特異的薬剤である
ガドキセテートを含む、全ての薬剤で同等の早期動脈造影効果が存在することを示している。
【0088】
以下の表3は、パーセンタイル範囲25%~75%の大動脈からのピーク信号強度および各試験品目の相対血管指数(RVI)曲線からの曲線下面積(AUC)を示す。
【0089】
【表5】
血管強度分析
RVI曲線を各試験品目について計算し、AUCを表3に報告し、複合血管強度曲線を決定して各試験品目をプロファイルした。
図4A~4Eはそれぞれ、
ガドキセテート、
ガドテレート、コンボ1、コンボ2およびコンボ3のRVI曲線を示す。
【0090】
各血管相(AP:30秒、PVP:60秒、LVP:120秒)について、時間-相対画分を、各試験品目の全AUCの相対的血管強度パーセント(RVI%)として表した、(
図5、表4)。
【0091】
以下の表4は、動脈相(30秒)、門脈静脈相(60秒)および後期静脈相(120秒)についての、相対血管強度(1-RVI%)のパーセンテージとして表される動的血管相を示す。
【0092】
【表6】
緩和がより高いコンボ剤
コンボ1、コンボ2(
ガドテレート)およびコンボ3(ガドブトロール)を製剤化するために、2つの異なる非特異的ガドリニウム系造影剤をこの研究に使用した。両方の薬剤は、
ガドテレート単独と比較してAUCの増加を示し、各血管相について同様のRVI%を示した。
【0093】
遅延造影効果相の定性評価
遅延相について、放射線学的評価は、試験品目の投与前と投与後の間で、ガドキセテートと比較して、コンボ1、コンボ2およびコンボ3の肝臓実質の十分な造影効果を示した。[実施態様1]
(i)肝細胞への取り込みおよび胆汁排泄を有する第1の活性医薬成分(API);および、
(ii)腎排泄を有する第2のAPI;
を含み、
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIのそれぞれが、キーランドまたはその誘導体および常磁性金属イオンを含む金属キレートであり、前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:10から4:1である医薬製剤。
[実施態様2]
前記常磁性金属イオンが遷移金属またはランタニドである、実施態様1に記載の医薬製剤。
[実施態様3]
前記常磁性金属イオンが、Eu、Gd、Dy、Ho、Cr、MnおよびFeを含む群から選択される、実施態様2に記載の医薬製剤。
[実施態様4]
前記常磁性金属イオンが、Gd、Mn、FeおよびCrを含む群から選択される、実施態様3に記載の医薬製剤。
[実施態様5]
前記常磁性金属イオンが、Gd(III)およびMn(II)を含む群から選択される、実施態様4に記載の医薬製剤。
[実施態様6]
前記常磁性金属イオンがGd(III)である、実施態様5に記載の医薬製剤。
[実施態様7]
前記キーランドまたはその誘導体が、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);4-カルボキシ-5,8,11-トリス(カルボキシメチル)-1-フェニル-2-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オイック酸(BOPTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(DO3A);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA);エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)(EDTA);10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(HP-DO3A);2-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(MCTA);テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTMA);3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(PCTA);N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン(TETA);1,4,7,10-テトラアザシクロトリデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(TRITA);1,12-ジカルボニル,15-(4-イソチオシアナトベンジル)1,4,7,10,13-ペンタアザシクロヘキサデカン-N,N’,N’’三酢酸(HETA);[(2S,5S,8S,11S)-4,7-ビス-カルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロ-ドデカン-1-イル]酢酸、(M4DO3A);11-O-ホスホノメチル-1,4,7,1-O-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(MPDO3A);ヒドロキシベンジル-エチレンジアミン-二酢酸(HBED);およびN,N’-エチレンビス-[2-(o-ヒドロキシフェニル)グリシン](EHPG);2-[[2-[ビス(カルボキシラトメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピル]-[2-[ビス(カルボキシラトメチル)アミノ]エチル]アミノ]アセテート(EOB-DTPA);10-[(1SR,2RS)-2,3-ジヒドロキシ-1-ヒドロキシメチルプロピル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(BT-DO3A);2-[ビス[2-[カルボキシラトメチル-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]アミノ]エチル]アミノ]アセテート(DTPA-BMA);および2-[ビス[2-[カルボキシラトメチル-[2-(2-メトキシエチルアミノ)-2-オキソエチル]アミノ]エチル]アミノ]アセテート(DTPA-BMEA);N-[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピル]-N-[2-[ビス(カルボキシメチル)-アミノ]エチル]-L-グリシン(EOB-DTPA)、N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-グルタミン酸(DTPA-Glu)、N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-エチル]-L-リジン(DTPA-Lys)、N,N-ビス[2-[カルボキシメチル[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]-エチル]グリシン(DTPA-BMA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸モノ-(N-ヒドロキシスクシンイミジル)エステル(DOTA-NHS);[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-カルボキシメチル-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]酢酸(M4DOTA);(R)-2-[(2S,5S,8S,11S)-4,7,10-トリス-((R)-1-カルボキシエチル)-2,5,8,11-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]プロピオン酸(M4DOTMA);PCTA12;シクロ-PCTA12;N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン-N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル(TETA-NHS)を含む群から選択される、実施態様1乃至6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様8]
前記キーランドまたはその誘導体が、EOB-DTPA、DTPA-BMA、DTPA-BMEA、DTPA、DOTA、BOPTA、HP-DO3A、BT-DO3Aから選択される、実施態様7に記載の医薬製剤。
[実施態様9]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:5~3:2である、実施態様1乃至8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様10]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:4~1:1である、実施態様9に記載の医薬製剤。
[実施態様11]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:1である、実施態様10に記載の医薬製剤。
[実施態様12]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:2である、実施態様10に記載の医薬製剤。
[実施態様13]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:3である、実施態様10に記載の医薬製剤。
[実施態様14]
前記第1のAPI対前記第2のAPIの比が1:4である、実施態様10に記載の医薬製剤。
[実施態様15]
前記第1のAPIがガドキセテート(gadoxetate)である、実施態様1乃至14のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様16]
前記第2のAPIが、ガドジアミド、ガドルベセタミド、ガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸、ガドテリドール、ガドブトロール、ガドベン酸ジメグルミンおよびガドテル酸メグルミンを含む群から選択される、実施態様1乃至15のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様17]
前記第2のAPIが、ガドテリドール、ガドブトロールおよびガドテル酸メグルミンを含むリストから選択される、実施態様16に記載の医薬製剤。
[実施態様18]
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIが別々に提供されるが、同時投与を可能にするように構成されている、実施態様1乃至17のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様19]
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIの各々が、哺乳類投与に適した形態で生体適合性担体と共に医薬組成物として提供される、実施態様1乃至18のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様20]
前記第1のAPIおよび前記第2のAPIが、哺乳類投与に適した形態で生体適合性担体と共に製剤化された医薬組成物として提供される、実施態様1乃至17のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様21]
前記医薬組成物が1または複数の医薬として許容される賦形剤をさらに含む、実施態様19または実施態様20に記載の医薬製剤。
[実施態様22]
前記1または複数の医薬として許容される賦形剤が緩衝剤を含む、実施態様21に記載の医薬製剤。
[実施態様23]
前記1または複数の医薬として許容される賦形剤が過剰なキーランドを含む、実施態様21に記載の医薬製剤。
[実施態様24]
ガドキセテート(gadoxetate)およびガドテル酸メグルミンが、過剰のEOB-DTPAの遊離酸と共に製剤化され、メグルミンが単独の緩衝剤である。実施態様20乃至23のいずれか1項に記載の医薬製剤。
[実施態様25]
対象に投与される実施態様1乃至24のいずれか1項に記載の医薬製剤の用量であって、前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量が0.125mmol/前記対象1キログラムを超えないことを条件として、0.01~0.04mmolの間/前記対象1キログラムの前記第1のAPIおよび0.01~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む用量。
[実施態様26]
前記第1のAPIおよび第2のAPIの併用用量が、0.125mmol/前記対象1キログラム未満である、実施態様25に記載の用量。
[実施態様27]
0.02~0.03mmolの間/前記対象1キログラムの前記第1のAPIを含む、実施態様25または実施態様26に記載の用量。
[実施態様28]
0.025~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて3mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、実施態様25乃至27のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様29]
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.05~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.1mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.095mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
を含む、実施態様28に記載の用量。
[実施態様30]
0.02~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて5mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、実施態様25乃至27のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様31]
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.04~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.08mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.09mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.075mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
を含む、実施態様30に記載の用量。
[実施態様32]
0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、7mM
-1
s
-1
以上の緩和度および磁場強度1.5~3Tを有する、実施態様25乃至27のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様33]
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.03~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.07mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.025~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
を含む、実施態様32に記載の用量。
[実施態様34]
0.01~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含み、前記第2のAPIが、磁場強度1.5~3Tにおいて9mM
-1
s
-1
以上の緩和度を有する、実施態様25乃至27のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様35]
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.02mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.06mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.02~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;または、
0.03mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPI、および0.01~0.05mmolの間/前記対象1キログラムの前記第2のAPI;
を含む、実施態様34に記載の用量。
[実施態様36]
0.025mmol/前記対象1キログラムの前記第1のAPIを含む、実施態様25乃至35のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様37]
0.1mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む、実施態様25乃至36のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様38]
0.05mmol/前記対象1キログラムの前記第2のAPIを含む、実施態様25乃至36のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様39]
前記対象が、生存しているヒトまたは非ヒト動物の身体である、実施態様25乃至38のいずれか1項に記載の用量。
[実施態様40]
(a)実施態様25乃至39のいずれか1項に記載の用量の医薬組成物を対象に投与するステップ;
(b)前記投与ステップに続いて、前記対象に対して磁気共鳴画像法(MRI)を実施して、磁気共鳴(MR)信号を前記組成物が分布している前記対象または前記対象の部分から検出するステップ、
(c)検出されたMR信号からMR画像および/またはMRスペクトルを生成するステップ、
を含む方法。
[実施態様41]
前記対象が、生存しているヒトまたは非ヒト動物の身体である、実施態様40に記載の方法。
[実施態様42]
前記組成物が、MR画像法の方法において造影に適切な量で投与される、実施態様40または41に記載の方法。