(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】低帯域ダイポール及びマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20220331BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20220331BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q9/16
H01Q21/08
(21)【出願番号】P 2018530528
(86)(22)【出願日】2016-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2016108408
(87)【国際公開番号】W WO2017097164
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2018-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201510919997.5
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518168281
【氏名又は名称】ノキア シャンハイ ベル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】セモノフ,コスチャンティン
(72)【発明者】
【氏名】シュ,チェンギュ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヤオフアン
【合議体】
【審判長】吉田 隆之
【審判官】佐藤 智康
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104916910(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103904438(CN,A)
【文献】米国特許第02648768(US,A)
【文献】国際公開第2015/068981(WO,A1)
【文献】特開2009-124403(JP,A)
【文献】特表2013-501461(JP,A)
【文献】特開平6-338718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/16,21/24,19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低帯域
クロスダイポール
アンテナであって、該低帯域
クロスダイポール
アンテナが4本のアームを有し、該4本
のアームが水平にかつ相互に垂直に「+」形状に配置され、隣接する2つの相互に垂直
なアー
ムに給電され、
前記給電のモードが直接給電を備え、
前記4本のアームの
それぞれがシート形状部と柱形状部とを有
し、前記4本のアームの前記シート形状部が水平にかつ相互に垂直に、垂直方向から見て「+」形状に配置される、低帯域
クロスダイポール
アンテナ。
【請求項2】
前記4本のアームの少なくとも1つが、非中空柱状配線及び中空柱状金属シェルの組合せであり、前記中空柱状金属シェルの断面積が前記非中空柱状配線のものとは異なる、請求項1に記載の低帯域
クロスダイポール
アンテナ。
【請求項3】
戻り電流ループが前記4本のアームの少なくとも1つに設けられた、請求項1または2に記載の低帯域
クロスダイポール
アンテナ。
【請求項4】
マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成であって、該アンテナ構成が、主反射体、該主反射体に配置された少なくとも1列の低帯域
クロスダイポール
アンテナアレイ、及び該少なくとも1列の低帯域
クロスダイポール
アンテナアレイに隣接する少なくとも1列の高帯域
クロスダイポール
アンテナアレイを備え、前記少なくとも1列の低帯域
クロスダイポール
アンテナの各列は、請求項1から
3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの低帯域
クロスダイポール
アンテナを含み、前記低帯域
クロスダイポール
アンテナ及び前記高帯域
クロスダイポール
アンテナは相互を遮蔽しない、アンテナ構成。
【請求項5】
前記高帯域
クロスダイポール
アンテナが前記低帯域
クロスダイポール
アンテナのうちの少なくとも1つの前記4本のアームの少なくとも1つの角部に配置され、前記4本のアームが水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成された、請求項
4に記載のアンテナ構成。
【請求項6】
前記少なくとも1つの角部に配置された高帯域
クロスダイポール
アンテナのタイプが異なる、請求項
5に記載のアンテナ構成。
【請求項7】
前記柱形状部の前記少なくとも1のアームの断面積が、前記アンテナの性能要件に応じて設定される、請求項
4から
6のいずれか一項に記載のアンテナ構成。
【請求項8】
前記中空柱状金属シェルの断面積及び前記非中空柱状配線の断面積が、前記アンテナの前記性能要件に応じてそれぞれ設定される、請求項
4から
6のいずれか一項に記載のアンテナ構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信技術の分野に関し、特に、低帯域ダイポール及び低帯域ダイポールを含むマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成は一般に、
図1-aに示すようにネスト状に構成される。高帯域ダイポールは、低帯域ダイポールの中にある。この種の構成によって、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の大きな相互結合が不可避的にもたらされ、これにより、低帯域ダイポールの中に配置された高帯域ダイポールの定在波が悪化し、パターンが歪まされ、分離インジケータのデバッギングが難しくなる。低帯域ダイポールの周辺に配置された高帯域ダイポールも低帯域ダイポールアームによって大きな影響を受け、それは定在波及び分離にはあまり影響しないがパターンに大きく影響し、中高帯域ダイポールは低帯域ダイポールの定在波及び分離にも影響をする。通常、この構成において低帯域ダイポール及び高帯域ダイポールを同時に最適化する必要があり、これは大きな技術的な困難をもたらす。
【0003】
図1-bに示す構成はまた、既存のマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成に採用されることも多い。この構成によって、低帯域ダイポールの給電モードに起因して低帯域ダイポールのダイポールアームが高帯域ダイポール上に配置されなければならないことが決まるので、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の分離が大きな問題となり、ある帯域では相互結合が高帯域ダイポール及び低帯域ダイポールのパターンの急な悪化を引き起こすことによってこれらの帯域におけるアンテナ性能の急な悪化が起こり、低帯域ダイポールのパターンが広いビーム幅を有することによって顧客の高性能要求を満たすことができなくなる。
【0004】
したがって、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の強い相互結合を解決しつつもマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成における高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の合理的構成の問題をどのようにして解決するかが、当業者によって解決される必要がある問題の1つとなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の課題は、低帯域ダイポール及び低帯域ダイポールを含むマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成を提供することである。
【0006】
本開示の態様によると、低帯域ダイポールが提供され、低帯域ダイポールは水平にかつ相互に垂直に「+」形状に配置された4本のダイポールアームを有し、隣接する2本の相互に垂直なダイポールはその間に給電される。
【0007】
好ましくは、給電モードは、以下の:
結合給電と、
直接給電と
のうちの少なくともいずれか一方を備える。
【0008】
好ましくは、4本のダイポールアームの少なくとも1つは、シート形状である。
【0009】
好ましくは、4本のダイポールアームの少なくとも1つは、柱形状である。
【0010】
好ましくは、4本のダイポールアームの少なくとも1つは非中空柱状配線及び中空柱状金属シェルの組合せであり、中空柱状金属シェルの断面積は非中空柱状配線のものとは異なる。
【0011】
好ましくは、戻り電流ループは、4本のダイポールアームの少なくとも1つに設けられる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1本の溝は、4本のダイポールアームの少なくとも1つに設けられる。
【0013】
本開示の他の態様によると、マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成も提供され、アンテナ構成は、主反射体、主反射体に配置された少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイ、及び少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイに隣接する少なくとも1列の高帯域ダイポールアレイを備え、少なくとも1列の低帯域ダイポールの各列は、少なくとも1つの上述の低帯域ダイポールを含み、低帯域ダイポール及び高帯域ダイポールは相互を遮蔽しない。
【0014】
好ましくは、高帯域ダイポールは低帯域ダイポールのうちの少なくとも1つの4本のダイポールアームの少なくとも1つの角部に配置され、4本のダイポールアームは水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成される。
【0015】
より好ましくは、少なくとも1つの角部に配置された高帯域ダイポールのタイプが異なっていてもよい。
【0016】
好ましくは、柱形状の少なくとも1のダイポールアームの断面積は、アンテナの性能要件に応じて設定される。
【0017】
好ましくは、中空柱状金属シェルの断面積及び非中空柱状配線の断面積は、アンテナの性能要件に応じてそれぞれ設定される。
【0018】
本開示は、従来技術に対して以下の効果を有する。
【0019】
マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の低帯域ダイポールの4本のダイポールアームを水平及び相互に垂直に「+」形状に構成し、2本の隣接する相互に垂直なダイポール間に給電して+/-45度偏波を形成するモードは、高帯域ダイポールアームと低帯域ダイポールアームが相互に遮蔽してしまう問題を解決し、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の相互結合を軽減することに役立つ。
【0020】
また、低帯域ダイポールのダイポールアームの戻り電流ループを設け、低帯域ダイポールのダイポールアームの形状及び断面積を変化させ、又はダイポールアームに溝を開けることの手段によって、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の相互結合が減少し、アンテナ構成のパターン性能を向上し、低帯域ダイポールの定在波の帯域幅が変化し、アンテナ構成の性能が向上する。
【0021】
本開示の他の特徴、課題及び効果は、以下の図面を参照して非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによってより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1-a】
図1-aは、従来のマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の概略構造図を示す。
【
図1-b】
図1-bは、他の従来のマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の概略構造図を示す。
【
図2-a】
図2-aは、本開示の実施形態による低帯域ダイポールの上面図を示す。
【
図2-b】
図2-bは、本開示の実施形態による低帯域ダイポールの側面図を示す。
【
図2-c】
図2-cは、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールを示す。
【
図2-d】
図2-dは、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールを示す。
【
図2-e】
図2-eは、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールを示す。
【
図3-a】
図3-aは、本開示の他の実施形態による低帯域ダイポールを含むマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の概略構造図を示す。
【
図3-b】
図3-bは、本開示の他の実施形態によるマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の低帯域ダイポールの1つの角部に配置された高帯域ダイポールの模式図を示す。
【
図3-c】
図3-cは、本開示の他の実施形態によるマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の低帯域ダイポールの2つの角部に配置された2つの異なるタイプの高帯域ダイポールの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面における同一又は類似の符号は、同一又は類似の構成要素を示す。
【0024】
例示的実施形態をより詳細に検討する前に、ここに開示される具体的な構造的及び機能的詳細は単なる例示であって本開示の例示的実施形態を説明する目的のためのものであることが注記される。一方、開示は、多くの代替の形態において具現され得るものであり、ここに説明する実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0025】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、例示的実施形態を限定することが意図されているわけではない。ここで使用するように、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明示の断りがない限り、複数形も同様に含むことが意図され得る。また、ここで使用される用語「含む」及び/又は「備える」は、1以上の他の構成、整数、ステップ、動作、ユニット、構成要素及び/又はその組合せの存在又は付加を除外することなく、記載される構成、整数、ステップ、動作、ユニット及び/又は構成要素の存在を定義することも理解されるべきである。
【0026】
また、ある代替の実施形態では、言及される機能/動作は、図面に示されるものとは異なる順序で行われ得ることが注記される。例えば、関与する機能/動作に応じて、前後して示される2つの図面は、実際には、実質的に同時に又は場合によっては逆の順序で実行され得る。
【0027】
断りがない限り、ここで使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示の実施形態が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。また、ここでは明示の断りがない限り、例えば、一般に使用される辞書において定義される用語は、関連する技術の文脈におけるそれらの意味に一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は形式的過ぎる意味として解釈されるべきでない。
【0028】
本開示を、さらに添付図面を参照して以下に詳細に説明する。なお、本願の実施形態及び実施形態の構成は相反することなく相互に組合せ可能である。
【0029】
本開示の態様によると、低帯域ダイポールが提供され、低帯域ダイポールは4本のダイポールアームを有し、4本のダイポールアームは水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成され、隣接する2本の相互に垂直なダイポールがその間に給電される。
【0030】
これらの実施形態の1つを、例えば、
図2-a及び2-bに示す。
【0031】
図2-aに本開示の一実施形態による低帯域ダイポールの上面図を示し、
図2-bに本開示の実施形態による低帯域ダイポールの側面図を示す。低帯域ダイポール2は水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成された4本のダイポールアーム201を有し、隣接する2本の相互に垂直なダイポールアームがその間に給電される。
図2-bに示すように、ダイポールアーム201は、溶接用の給電ポイント202を介して給電線に接続される。特に、ダイポールアームの各々の同じ対応する位置に給電ポイント202があり、隣接する2本の相互に垂直なダイポールアームが、+/-45度偏波アンテナダイポールを形成するように給電される。
【0032】
ここで、低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームは、水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成され、水平及び垂直に偏波されたアンテナダイポールと構造的に同様である。一方、2本の隣接する相互に垂直なダイポールアームがその間に設けられ、+/-45度偏波アンテナダイポールが形成される。上記構造を有する低帯域アンテナダイポール及び従来の+/-45度偏波アンテナダイポールを有する高帯域ダイポールの組合せ構成は、高帯域ダイポールアームと低帯域ダイポールアームの間の相互の遮蔽の問題を解決し、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の相互結合を低減する際に有利である。
【0033】
特に、低帯域ダイポールの2本の隣接する相互に垂直なダイポールアーム間の給電モードは、これに限定されないが、以下を含む。
(1)結合給電。例えば、低帯域ダイポール2における2本の隣接する相互に垂直なダイポールアーム201が、結合供給される。
図2-bに示すように、給電線207は給電ポイント202を介してダイポールアーム201に溶接され、給電線207は、
図2-bにおける給電線部分d1のように給電ポイント202から上方に垂直に延在し、中央部には、
図2-bにおける給電線部分d2と給電線部分d3の間の直角屈曲部のような直角屈曲部がある。給電線部分d4は2本の隣接するダイポールアーム間の結合供給を実現するようにd1に平行であり、4本のダイポールアームの電界強度は+/-45度偏波アンテナダイポールを形成するようにそれぞれ合成及び重畳され、例えば、
図2-aにおける電界強度203及び204が重畳及び合成され、電界強度205及び206が重畳及び合成される。
(2)直接給電。2本の隣接するダイポールアームに直接給電することによって、4本のダイポールアームの電界強度がそれぞれ合成及び重畳されて+/-45度偏波アンテナダイポールを形成する。
【0034】
当業者であれば、上記の給電モードは単に例示として与えられたにすぎず、本開示に適用可能な場合、既存の又は後発の可能な給電モードも本開示の保護範囲内に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解するはずである。
【0035】
好ましくは、低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームの少なくとも1つは、シート形状である。例えば、
図2-bに示す低帯域ダイポール2のダイポールアーム201はシート形状構造を採用し、シート形状構造を有するダイポールアームは相互に垂直に構成される。ダイポールアームに採用されるシート形状構造は、ダイポールアームにおける溝の構成、アンテナの定在波の最適化、並びにパターン及び交差偏波識別度などの性能を促進し、シート形状構造の使用はより簡便な処理及び設計を与える。
【0036】
好ましくは、低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームの少なくとも1つは、柱形状である。特に、柱状構造は、これに限定されないが、円筒、多角柱などを含み、多角柱は、これに限定されないが、三角柱、四角柱又は複数の辺を有する柱体を含む。例えば、
図2-cに、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールを示す。低帯域ダイポール2の4本のダイポールアーム201は円筒構造体を採用し、水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成され、2本の隣接する相互に垂直なダイポールアーム201がその間に給電される。
【0037】
ここで、低帯域ダイポール2の定在波の幅は、ダイポールアーム201の柱状構造の断面積を変化させることによって調整可能である。
【0038】
当業者であれば、上記のダイポールアームの構造的形状は単に例示として与えられたにすぎず、本開示に適用可能な場合、ダイポールアームの既存の又は後発の可能な構造的形状も本開示の保護範囲内に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解するはずである。
【0039】
好ましくは、低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームの少なくとも1つは非中空柱状配線及び中空柱状金属シェルの組合せであり、中空柱状金属シェルの断面積は非中空柱状配線のものとは異なる。例えば、
図2-dに、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールの概略構造図を示し、低帯域ダイポール2のダイポールアームは2つの部分:四角柱の非中空配線及び中空金属シェルからなり、中空柱状金属シェルの断面積は非中空柱状配線のものとは異なる場合、好ましくは、中空柱状金属シェルの断面積が非中空柱状配線のものよりも大きい場合、中空金属シェルは、従来の+/-45度偏波アンテナダイポールを用いる高帯域ダイポールとの組合せで構成されている場合に高帯域と低帯域の間の相互結合を打ち消すように戻り電流ループとして動作し得る。
【0040】
ここで、一方で、上記構造を用いることによって低帯域ダイポール2の定在波の帯域幅を調整することができ、他方で中空柱状金属シェルは高帯域と低帯域の間の相互結合を打ち消すための戻り電流ループを兼ねることができる。
【0041】
当業者であれば、四角柱を採用する低帯域ダイポールの上記ダイポールアームは単に例として挙げられたものであり、ダイポールアームの既存又は後発の可能な構造も、本開示に適用可能であれば、本開示の範囲に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解すべきである。さらに、上記の低帯域ダイポール2のダイポールアームを構成する角柱の辺の数は同一であっても、異なっていてもよい。例えば、それは、非中空三角柱と中空三角柱の組合せ、非中空三角柱と中空四角柱の組合せなどであってもよい。柱体の他の異なる組合せも、本開示に適用可能であれば、本開示の範囲内に含まれ、ここに参照により取り込まれるべきである。
【0042】
好ましくは、戻り電流ループは、低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームのうちの少なくとも1つに設けられる。例えば、
図2-eは、本開示の好適な実施形態による低帯域ダイポールの概略構造図を示す。
図2-eに示すように、配線208の2つの部分が低帯域ダイポール2の4本のダイポールアームからそれぞれ延在し、従来の+/-45度偏波アンテナダイポールを用いて高帯域ダイポールとの組合せで構成される場合に高帯域と低帯域の間の相互結合を打ち消すように、ダイポールアームの戻り電流ループを継続し、
図2-dに示すように、従来の+/-45度偏波アンテナダイポールを用いて高帯域ダイポールとの組合せで低帯域ダイポール2が構成される場合に中空金属シェルは戻り電流ループとして作用するとともに高帯域と低帯域の間の相互結合を打ち消すこともできる。
【0043】
当業者であれば、上記の戻り電流ループの構造は単に例示として与えられたにすぎず、本開示に適用可能な場合、戻り電流ループの既存の又は後発の可能な構造も本開示の保護範囲内に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解するはずである。
【0044】
好ましくは、少なくとも1本の溝が、4本のダイポールアームの少なくとも1つに設けられる。例えば、
図2―bに示すように、1本の溝が、低帯域ダイポールのパターン性能を変化させて低帯域ダイポールの交差偏波識別度比を調整するように4本のダイポールアームの各々にそれぞれ構成される。
【0045】
ここで、低帯域ダイポールでは、低帯域ダイポールのパターン性能を変化させること及び低帯域ダイポールの交差偏波識別度比を調整することの効果は、溝を設定すること、溝の本数を変化させること又は溝の形状を変化させることによって実現され得る。
【0046】
当業者であれば、ダイポールアーム上に構成された溝の形状又は本数は単に例示として与えられたにすぎず、溝の本数はアンテナの性能の要件に応じて設定され得る。本開示に適用可能な場合、既存の又は後発の逆溝の形状も本開示の範囲内に含まれ、ここに参照として取り込まれるべきである。
【0047】
また、低帯域ダイポールは、方向性アンテナに使用され得る。
【0048】
本開示の他の態様によると、マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成が提供され、アンテナ構成は、主反射体、主反射体に配置された少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイ、及び少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイに隣接する少なくとも1列の高帯域ダイポールアレイを含み、少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイの各列が上述の少なくとも1つの低帯域ダイポールを含み、低帯域ダイポール及び高帯域ダイポールは相互を遮蔽しない。
【0049】
【0050】
図3-aは、上記の低帯域ダイポールを含むマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の概略図を示す。マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成3は、主反射体301、主反射体301上に配置された1列の低帯域ダイポールアレイ302、及び1列の低帯域ダイポールアレイ302に隣接する2列の高帯域ダイポールアレイ303を含み、低帯域ダイポールアレイ302は3つの低帯域ダイポール2で構成され、低帯域ダイポール及び高帯域ダイポールは相互を遮蔽しない。
図3-aに示すマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成3では、2列の高帯域ダイポールアレイ303における高帯域ダイポールが水平方向に直線状に及び垂直方向において直線状に配置され、低帯域ダイポールアレイ302も直線状に配置されるので、高帯域ダイポール及び低帯域ダイポールは相互を遮蔽しない。
【0051】
当業者であれば、上記のマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成3の構造は単に例として与えられたにすぎないことを理解すべきである。低帯域ダイポールアレイの数は2列又は3列以上であってもよい。また、低帯域ダイポールアレイ302が3つの低帯域ダイポール2で構成されることは、単に例示として与えられるにすぎない。少なくとも1つの低帯域ダイポールアレイの各列は、本開示による1、2又は3以上の低帯域ダイポール2を含むことができ、少なくとも1列の低帯域ダイポールアレイの各列が少なくとも1つの上記のような低帯域ダイポール2を含むことが満たされる限り、本開示に適用可能である。高帯域ダイポールアレイ303の数は、要件に応じて設定されてもよく、1列、2列、3列又は多数列であってもよい。さらに、高帯域ダイポールアレイ303の2列における高帯域ダイポールは、水平方向に直線状に及び垂直方向に直線状に配置されることも例示として与えられる。高帯域ダイポールアレイ303における高帯域ダイポールの構成も、不規則的な構成態様を採用し得る。低帯域ダイポールアレイにおける低帯域ダイポールの構成も不規則的な構成態様を採用することができ、それは、低帯域ダイポールの構成及び高帯域ダイポールが相互を遮蔽しないことが満たされる限り、本開示に適用可能であり、本開示に含まれるべきである。
【0052】
好ましくは、高帯域ダイポールが少なくとも1つの低帯域ダイポールの4本のダイポールアームの少なくとも1つの角部に配置され、4本のダイポールアームは水平にかつ相互に垂直に「+」形状に構成される。例えば、
図3-bは、本開示の態様によるマルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の低帯域ダイポールの1つの角部に配置された高帯域ダイポールの概略図を示す。
図3-bに示すように、1つの高帯域ダイポールが低帯域ダイポール2の1つの角部に配置される。
【0053】
当業者であれば、低帯域ダイポール2の1つの角部に配置された1つの高帯域ダイポールは単に例示として与えられたにすぎず、1つの高帯域ダイポールは低帯域ダイポール2の任意の2つの角部の各々に配置されてもよいし、1つの高帯域ダイポールは低帯域ダイポール2の任意の3つの角部の各々に配置されてもよいし、又は1つの高帯域ダイポールは低帯域ダイポール2の4つの角部の各々に配置されてもよいことを理解すべきであり、1つの高帯域ダイポールは少なくとも1つの低帯域ダイポール2の少なくとも1つの角部に配置されることが満たされる限り、それは本開示に適用可能であり、また本開示の保護範囲に含まれるべきものである。
【0054】
好ましくは、少なくとも1つの低帯域ダイポールの少なくとも1つの角部に配置された高帯域ダイポールのタイプは異なっていてもよい。例えば、高帯域ダイポールは、
図1-aに示すように、水平に配置されたシート状構造を採用してもよく、
図1-bにおける低帯域ダイポールのシート状の構成態様によって直立して構成された高帯域ダイポールのシート状ダイポールアームのような垂直に配置されたシート状構造が採用されてもよい。また、異なるタイプのダイポールアームが、
図3-cに示すように、少なくとも1つの低帯域ダイポールの異なる角部に配置された高帯域ダイポールについてそれぞれ用いられてもよい。
【0055】
当業者であれば、上記の高帯域ダイポールのダイポールアームのタイプは単に例示として与えられたにすぎず、本開示に適用可能な場合、既存の又は後発の高帯域ダイポールアームの可能なタイプも本開示の範囲内に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解するはずである。
【0056】
好ましくは、柱形状における少なくとも1つのダイポールアームの断面積は、アンテナの性能要件に応じて設定される。例えば、比較的狭い帯域幅のアンテナをユーザが必要とする場合にはダイポールアームの断面積は比較的小さく設定されればよく、比較的広い帯域幅のアンテナをユーザが必要とする場合にはダイポールアームの断面積は比較的大きく設定されればよく、又はダイポールアームは、アンテナの性能要件に応じて柔軟な設定を与えるように複数の断面積の組合せを用いることによって構成される。
【0057】
当業者であれば、低帯域ダイポールのダイポールアームの上記の構成態様は単に例示として与えられたにすぎず、本開示に適用可能な場合、低帯域ダイポールのダイポールアームの既存の又は後発の可能な構成は本開示の範囲内に含まれるべきであり、ここに参照として取り込まれることを理解するはずである。
【0058】
好ましくは、中空柱状金属シェルの断面積及び非中空柱状配線の断面積は、アンテナの性能要件に応じてそれぞれ設定される。一般に、比較的広い断面積が、広帯域放射ユニットを設計するのに用いられる。狭帯域の特殊要件を満たす必要がある場合、より細かい断面積が検討され得る。
【0059】
ここで、マルチバンド・マルチポート型アンテナ構成の低帯域ダイポールの4本のダイポールアームは、水平及び相互に垂直に「+」形状に構成され、隣接する2本の相互に垂直なダイポールアームはその間に給電されて+/-45度偏波を形成し、これは、高帯域ダイポールアームと低帯域ダイポールアームが相互に遮蔽してしまう問題を解決し、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の相互結合を軽減することに役立つ。
【0060】
好ましくは、低帯域ダイポールのダイポールアームの戻り電流ループを設け、低帯域ダイポールのダイポールアームの形状及び断面積を変化させ、又はダイポールアームに溝を開けることの手段によって、高帯域ダイポールと低帯域ダイポールの間の相互結合が減少し、アンテナ構成のパターン性能を向上し、低帯域ダイポールの定在波の帯域幅が変化し、アンテナ構成の性能が向上する。
【0061】
当業者において、本開示は上記例示の実施形態の詳細に限定されず、本開示は本開示の要旨又は本質的特徴から逸脱することなく他の具体的形態においても実施可能であることは明らかである。したがって、実施形態は、いずれの態様においても例示的なものであって限定的ではないものとしてみなされるべきであり、本開示の範囲は上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって規定され、したがって、特許請求の範囲並びに開示の均等の意味及び範囲内となる全ての変形は開示によって包含されることが意図されている。特許請求の範囲のいずれの符号も、関与する請求項を限定するものとしてみなされてはならない。さらに、文言「備える」は他の部又はステップを排除せず、単数形は複数形を排除しないことは明らかである。システムの請求項に記載される複数の部又は構成はまた、ソフトウェア又はハードウェアによる1つの部又は構成によって実施され得る。第1、第2などの文言は、名前を示すのに使用され、いかなる特定の順序を示すものでもない。