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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】製剤搬送装置および製剤印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/14 20060101AFI20220331BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220331BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20220331BHJP
   B05C 9/04 20060101ALI20220331BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B65G15/14
B05C5/00 101
B05C13/02
B05C9/04
B05C11/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018553737
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2017040075
(87)【国際公開番号】W WO2018100980
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2016232089
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017123252
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】松山 智一
(72)【発明者】
【氏名】小西 善久
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健二
(72)【発明者】
【氏名】柳生 元啓
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第01597177(GB,A)
【文献】特開平09-071310(JP,A)
【文献】特開2000-168945(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013973(WO,A1)
【文献】特表2010-501441(JP,A)
【文献】特開2010-260691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00-15/28
B05C 5/00-5/04
B05C 7/00-21/00
B65G 15/60-15/64
B65G 21/00-21/22
A61J 1/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、
複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置されており、固形製剤を挟持位置以外を支持することなく搬送することができる製剤搬送装置。
【請求項2】
前記第1のプーリおよび第2のプーリの少なくともいずれかは、複数の前記搬送ベルトがそれぞれ巻き掛けられる複数の支持部の間に、挟持した固形製剤を収容するための空間部が形成されている請求項1に記載の製剤搬送装置。
【請求項3】
前記支持部に連設されて前記搬送ベルトの他方側面を保持する保持部を更に有する請求項2に記載の製剤搬送装置。
【請求項4】
前記第1のプーリおよび第2のプーリの間に配置されて、前記搬送ベルトを案内するガイド手段を更に備える請求項1に記載の製剤搬送装置。
【請求項5】
第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、
複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置され、
前記第1のプーリおよび第2のプーリの間に配置されて、前記搬送ベルトを案内するガイド手段を更に備え、
前記ガイド手段は、切欠状の溝部が形成されたガイド部材と、前記溝部の底面および側面に沿ってそれぞれ摺動する第1の摺動ベルトおよび第2の摺動ベルトとを備えており、
前記搬送ベルトは、前記第1の摺動ベルトおよび第2の摺動ベルトに当接して一体的に搬送される製剤搬送装置。
【請求項6】
第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、
複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置され、
複数の前記搬送ベルトの間に固形製剤を供給する供給手段と、
前記供給手段による固形製剤の供給位置よりも前記搬送ベルトの搬送方向上流側において前記搬送ベルト間の隙間を広げる隙間調整部材とを備える製剤搬送装置。
【請求項7】
前記隙間調整部材は、前記搬送ベルトに張力を付与するテンションプーリを備える請求項6に記載の製剤搬送装置。
【請求項8】
前記隙間調整部材は、固形製剤を挟持する前記搬送ベルトの双方に隙間調整用として作用する請求項6に記載の製剤搬送装置。
【請求項9】
前記隙間調整部材は、固形製剤を挟持する前記搬送ベルトのいずれか一方にのみ隙間調整用として作用する請求項6に記載の製剤搬送装置。
【請求項10】
固形製剤を挟持した状態における前記搬送ベルト間の隙間は、所定の範囲で変更可能に構成されており、
前記供給手段は、固形製剤を搬送するコンベアベルトを備え、
前記コンベアベルトの幅が、前記搬送ベルトの最小隙間よりも小さい請求項6に記載の製剤搬送装置。
【請求項11】
固形製剤を挟持した状態における前記搬送ベルト間の隙間は、所定の範囲で変更可能に構成されており、
前記供給手段は、固形製剤を搬送するコンベアベルトを備え、
前記コンベアベルトの幅が、複数の前記搬送ベルトの最大隙間よりも大きい請求項6に記載の製剤搬送装置。
【請求項12】
請求項1に記載の製剤搬送装置と、前記製剤搬送装置の複数の前記搬送ベルトによって搬送される固形製剤の表裏にそれぞれ印刷する複数の印刷装置とを備える製剤印刷装置。
【請求項13】
固形製剤の表裏を印刷前に検査する複数の印刷前検査装置を更に備え、
複数の前記印刷前検査装置は、複数の前記印刷装置のいずれに対しても、搬送方向上流側に配置されている請求項12に記載の製剤印刷装置。
【請求項14】
複数の前記搬送ベルトは、前記第1のプーリおよび第2のプーリを含む複数のプーリに巻き掛けられており、
複数の前記印刷装置は、隣り合う任意の2つの前記プーリの間を搬送される固形製剤にそれぞれ印刷するように配置される請求項12に記載の製剤印刷装置。
【請求項15】
複数の前記搬送ベルトは、前記第1のプーリおよび第2のプーリを含む複数のプーリに巻き掛けられており、
複数の前記印刷装置は、複数の前記プーリのいずれかによる固形製剤の搬送中にそれぞれ印刷を行うように配置される請求項12に記載の製剤印刷装置。
【請求項16】
請求項1に記載の製剤搬送装置と、前記製剤搬送装置の複数の前記搬送ベルトによって搬送される固形製剤に印刷する印刷装置とを備え、
前記印刷装置は、複数の前記搬送ベルトの間の隙間を介して固形製剤に印刷可能に配置されている製剤印刷装置。
【請求項17】
第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置されている製剤搬送装置と、前記製剤搬送装置の複数の前記搬送ベルトによって搬送される固形製剤に印刷する印刷装置とを備え、前記印刷装置は、複数の前記搬送ベルトの間の隙間を介して固形製剤に印刷可能に配置されている製剤印刷装置により、表裏に連続する印刷が施された固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤搬送装置および製剤印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル剤などの固形製剤を搬送する機構として、例えば特許文献1には、錠剤を外周面に吸着保持する2つのドラムを備え、一方のドラムから他方のドラムに錠剤を引き渡すことができる構成が開示されている。この構成によれば、一方のドラムによる錠剤の搬送中に錠剤表面の外観検査を行い、他方のドラムによる錠剤の搬送中に錠剤裏面の外観検査を行うことができる。また、特許文献2には、このような錠剤搬送機構を備えるインクジェットマーキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-51873号公報
【文献】特開2015-186783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の搬送機構は、搬送中の錠剤の露出部分が表面または裏面の一方に限定され、錠剤をドラム間で引き渡す際に、錠剤の表面または裏面がドラムに接触するおそれがあるため、この搬送機構を錠剤の表裏面の印刷装置に適用すると、錠剤に印刷した塗料の一部がドラムに転写されて、印刷不良を生じるおそれがあった。また、錠剤をドラムのポケット内に収容して搬送する場合には、ポケットの形状や大きさを錠剤の形状や大きさに合わせる必要があるため、種々の錠剤の搬送に対応し難いという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、搬送中の固形製剤の露出領域を広範囲に容易に確保することができる製剤搬送装置の提供を目的とし、更に、この製剤搬送装置を用いて製剤への印刷の自由度を高めた製剤印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置されており、固形製剤を挟持位置以外を支持することなく搬送することができる製剤搬送装置により達成される。
【0007】
この製剤搬送装置において、前記第1のプーリおよび第2のプーリの少なくともいずれかは、複数の前記搬送ベルトがそれぞれ巻き掛けられる複数の支持部の間に、挟持した固形製剤を収容するための空間部が形成されていることが好ましい。更に、前記支持部に連設されて前記搬送ベルトの他方側面を保持する保持部を有することが好ましい。
【0008】
あるいは、本発明の前記目的は、第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置され、前記第1のプーリおよび第2のプーリの間に配置されて、前記搬送ベルトを案内するガイド手段を更に備え、前記ガイド手段は、切欠状の溝部が形成されたガイド部材と、前記溝部の底面および側面に沿ってそれぞれ摺動する第1の摺動ベルトおよび第2の摺動ベルトとを備えることにより、前記搬送ベルトが、前記第1の摺動ベルトおよび第2の摺動ベルトに当接して一体的に搬送される製剤搬送装置により達成される。
【0009】
あるいは、本発明の前記目的は、第1のプーリおよび第2のプーリと、前記第1のプーリおよび第2のプーリに巻き掛けられた無端帯状の複数の搬送ベルトとを備え、複数の前記搬送ベルトは、それぞれの一方側面の間に固形製剤を挟持可能に配置され、複数の前記搬送ベルトの間に固形製剤を供給する供給手段と、前記供給手段による固形製剤の供給位置よりも前記搬送ベルトの搬送方向上流側において前記搬送ベルト間の隙間を広げる隙間調整部材とを備える製剤搬送装置により達成される。前記隙間調整部材は、前記搬送ベルトに張力を付与するテンションプーリを備えることが好ましい。前記隙間調整部材は、固形製剤を挟持する前記搬送ベルトの双方に隙間調整用として作用することができ、あるいは、固形製剤を挟持する前記搬送ベルトのいずれか一方にのみ隙間調整用として作用することができる。更に、固形製剤を挟持した状態における前記搬送ベルト間の隙間を所定の範囲で変更可能にして、前記供給手段が、固形製剤を搬送するコンベアベルトを備える構成にすることができる。この構成においては、前記コンベアベルトの幅が、前記搬送ベルトの最小隙間よりも小さいか、あるいは、前記搬送ベルトの最大隙間よりも大きいことが好ましい。
【0010】
また、本発明の前記目的は、上記の製剤搬送装置と、前記製剤搬送装置の複数の前記搬送ベルトによって搬送される固形製剤の表裏にそれぞれ印刷する複数の印刷装置とを備える製剤印刷装置により達成される。
【0011】
この製剤印刷装置は、固形製剤の表裏を印刷前に検査する複数の印刷前検査装置を更に備えることができる。複数の前記印刷前検査装置は、複数の前記印刷装置のいずれに対しても、搬送方向上流側に配置されていることが好ましい。
【0012】
複数の前記搬送ベルトは、前記第1のプーリおよび第2のプーリを含む複数のプーリに巻き掛けられた構成にすることができる。複数の前記印刷装置は、隣り合う任意の2つの前記プーリの間を搬送される固形製剤にそれぞれ印刷するように配置されることが好ましい。あるいは、複数の前記印刷装置は、複数の前記プーリのいずれかによる固形製剤の搬送中にそれぞれ印刷を行うように配置されることが好ましい。製剤印刷装置は、上記の製剤搬送装置と、前記製剤搬送装置の複数の前記搬送ベルトによって搬送される固形製剤に印刷する印刷装置とを備え、前記印刷装置は、複数の前記搬送ベルトの間の隙間を介して固形製剤に印刷可能に配置された構成であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送中の固形製剤の露出領域を広範囲に容易に確保することができる製剤搬送装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、この製剤搬送装置を用いて製剤への印刷の自由度を高めた製剤印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る製剤搬送装置を備える製剤印刷装置の概略正面図である。
図2図1に示す製剤搬送装置の平面図である。
図3図1に示す製剤搬送装置の要部を示す側面図である。
図4図1に示す製剤搬送装置の他の要部を示す断面図である。
図5図1に示す製剤搬送装置の更に他の要部を示す断面図である。
図6図1に示す製剤搬送装置の更に他の要部を示す平面図である。
図7図1に示す製剤搬送装置の更に他の要部を示す平面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る製剤搬送装置を備える製剤印刷装置の概略正面図である。
図9図8に示す製剤搬送装置の要部平面図である。
図10図8に示す製剤搬送装置の要部の変形例を示す平面図である。
図11図8に示す製剤搬送装置の要部の他の変形例を示す平面図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る製剤搬送装置を備える製剤印刷装置の概略正面図である。
図13図12に示す製剤搬送装置の要部を示す断面図である。
図14】本発明の他の実施形態に係る製剤搬送装置を備える製剤印刷装置の概略正面図である。
図15図14に示す製剤搬送装置の要部を示す断面図である。
図16】本発明の他の実施形態に係る製剤搬送装置の要部を示す平面図である。
図17図16に示す製剤搬送装置の他の要部を示す平面図である。
図18】本発明の他の実施形態に係る製剤印刷装置の要部を示す概略正面図である。
図19図18に示す製剤印刷装置により印刷された固形製剤の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、 本発明の一実施形態に係る製剤印刷装置の概略正面図である。製剤印刷装置1は、製剤を搬送する製剤搬送装置10と、製剤搬送装置10に対して製剤を供給する供給装置30と、製剤搬送装置10による搬送中の製剤に対して印刷を行う印刷装置70,71と、製剤搬送装置10により搬送された製剤を排出する排出装置50とを、主な構成要素として備えている。
【0017】
製剤搬送装置10は、第1のプーリ11および第2のプーリ12と、第1のプーリ11および第2のプーリ12に巻き掛けられた無端帯状の2つの搬送ベルト13,14とを備えており、第1のプーリ11を駆動モータ(図示せず)により矢示方向に回転駆動して、搬送ベルト13,14を走行させることができる。図2に平面図で示すように、搬送ベルト13,14は、直線部が互いに平行になるように配置されており、両者の間には、錠剤やカプセル剤などの固形製剤を挟持するための隙間が形成されている。
【0018】
搬送ベルト13,14は、第1のプーリ11および第2のプーリ12との接触による振動を抑制して固形製剤を確実に挟持するため、本実施形態では平ベルトとしている。搬送ベルト13,14は、例えば、Vベルトや歯付きベルト等であってもよい。搬送ベルト13,14の材料は、挟持する固形製剤の損傷を防止するために、シリコンゴム、シリコンスポンジ、ウレタンスポンジ等の軟質材料であることが好ましい。搬送ベルトの数を3つ以上として、それぞれの間に固形製剤を挟持するように配置してもよい。
【0019】
図3は、図1の第1のプーリ11を矢示A方向に見た側面図である。搬送ベルト13,14は、それぞれ第1のプーリ11の円周方向に巻き掛けられて、回転軸11aに沿って隣接するように配置されており、それぞれの間の隙間Gには、隙間調整部材15が介在されている。隙間調整部材15は、不図示のブラケットに自由回転可能に支持された一対のギャップアップローラからなり、回転軸11aと略同じ高さに配置されて、通過する搬送ベルト13,14の隙間Gを押し広げる。隙間調整部材15は、後述する供給手段30による固形製剤の供給位置よりも搬送方向上流側に配置されている。第1のプーリ11の軸方向両側には、フランジ状の保持部11b,11bがそれぞれ形成されており、各搬送ベルト13,14の外側側面は、保持部11b,11bに保持される。隙間調整部材15は、ギャップアップローラ以外に、固定された楔状部材などでもよい。
【0020】
図4は、図1の第2のプーリ12の要部を矢示B方向に見た断面図である。第2のプーリ12は、第1のプーリ11と同様の構成を備えており、軸方向両側に、搬送ベルト13,14の外側側面をそれぞれ保持するフランジ状の保持部12b,12bが設けられている。また、第2のプーリ12は、搬送ベルト13,14がそれぞれ巻き掛けられる2つの支持部12c,12cを有しており、これら支持部12c,12cの間には、搬送ベルト13,14間に挟持した固形製剤Fを収容するための空間部12dが形成されている。固形製剤Fを搬送ベルト13,14間に確実に挟持するため、搬送ベルト13,14の内側は、支持部12c,12cから内方に若干突出していることが好ましい。また、固形製剤Fの形状や大きさに合わせて搬送ベルト13,14の隙間Gの大きさを調整できるように、回転軸に沿った各支持部12c,12cの固定位置を調整可能に構成されていることが好ましい。搬送ベルト13,14の弾性力によって固形製剤Fを確実に挟持できるように、隙間Gの大きさを、固形製剤の挟持方向長さよりも若干小さくすることが好ましい。搬送ベルト13,14が固形製剤と接触する側面は、本実施形態では平坦状に形成しているが、凹凸を有する形状であってもよい。
【0021】
図1に示すように、製剤搬送装置10は、第1のプーリ11と第2のプーリ12との間に配置されて、搬送ベルト13,14を案内する2つのガイド装置110,120を更に備えている。図5は、図1のガイド装置110を矢示B方向に見た断面図である。図5に示すように、ガイド装置110は、2つの搬送ベルト13,14にそれぞれ対応して設けられたブロック状の2つのガイド部材111を備えている。2つのガイド部材111は、互いに隙間をあけて配置されており、それぞれの対向面の上部に切欠状の溝部111aが形成されている。
【0022】
ガイド装置110は、各ガイド部材111と摺動可能に配置された第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113とを更に備えている。第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113は、無端帯状に形成されており、溝部111aの底面および側面に沿ってそれぞれ摺動するように、複数のプーリ112a,113aに巻回されている。第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113は、搬送ベルト13,14の下面および外側面にそれぞれ当接し、搬送ベルト13,14の搬送方向と同じ方向に走行するように駆動される。溝部111aの内面と搬送ベルト13,14との摩擦を軽減するため、ガイド部材111を滑り性が高い樹脂材料等で形成したり、溝部111aの内面にコーティングを施すことが好ましい。ガイド装置120の構成についても、ガイド装置110と同様であり、2つのガイド部材121と、各ガイド部材121と摺動可能に配置された第1の摺動ベルト122および第2の摺動ベルト123とを備えている。第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113は、当接する搬送ベルト13,14を確実に搬送することができるように、タイミングベルト等であることが好ましく、搬送ベルト13,14が平ベルトである場合に、搬送ベルト13,14の滑りによる速度変化を抑制することができる。
【0023】
図1に示すように、供給装置30は、固形製剤が投入されるホッパー31と、ホッパー31から供給される固形製剤を定量供給する直進フィーダ等からなる定量供給ユニット32と、定量供給ユニット32から供給された固形製剤を一列に整列させるボウルフィーダやターンテーブル等からなる整列ユニット33と、整列ユニット33で整列された固形製剤を上方からコンベアベルト34aの吸着孔を介して真空吸着して製剤搬送装置10に搬送する吸着コンベア34とを備えている。吸着コンベア34の搬送速度は、搬送ベルト13,14の搬送速度と略同じとなるように設定することができる。
【0024】
図6に平面図で示すように、吸着コンベア34により上方から保持されて搬送される固形製剤Fは、一対のセンタリングガイド34b,34cにより、コンベアベルト34aの表面(下面)に沿って移動して位置調整が行われ、搬送ベルト13,14の隙間Gに上方から案内される。この隙間Gは、隙間調整部材15(図1参照)により、搬送方向Tに向けて徐々に狭まるため、吸着コンベア34に吸着された固形製剤Fは、搬送に伴い搬送ベルト13,14間に挟持されて、製剤搬送装置10に順次引き渡される。吸着コンベア34は、固形製剤の高さ(厚み)が異なる場合にも製剤搬送装置10への引き渡しを確実に行うことができるように、上下方向に位置調整可能に支持されていることが好ましい。
【0025】
印刷装置70,71は、例えばインクジェット印刷装置であり、第2のプーリ12よりも搬送方向上流側と搬送方向下流側のそれぞれにおいて、搬送ベルト13,14の上方に配置されている。これにより、搬送される固形製剤Fが錠剤である場合には、錠剤の表裏面をそれぞれ印刷することができる。一方の印刷装置70を挟んで搬送方向両側には、固形製剤の外観検査や特徴検出(例えば錠剤の割線角度)等を行う印刷前検査装置72と、印刷後の印字検査等を行う印字検査装置73とが、それぞれ配置されている。他方の印刷装置71についても、印刷前検査装置74および印字検査装置75が搬送方向両側にそれぞれ配置されている。印刷装置70,71は、インクジェット印刷装置以外に、例えばレーザ印刷装置であってもよく、この場合は、搬送中の固形製剤に対して下方から印刷するように印刷装置を配置することもできる。固形製剤Fの表裏を印刷前に検査する2つの印刷前検査装置72,74は、本実施形態および後述する各実施形態のように、2つの印刷装置70,71のいずれに対しても、搬送方向上流側に配置されていることが好ましい。これによって、固形製剤Fの割線等の特徴部が表裏面のいずれにある場合でも、この特徴部の向きに合わせて、固形製剤Fの表裏面に文字や記号等を印刷することができる。
【0026】
排出装置50は、製剤搬送装置10から引き渡された固形製剤を搬送する排出コンベア51と、排出コンベア51により搬送される固形製剤の良品を選別する選別装置52と、固形製剤の良品がダンパ53を介して案内される良品コンベア54と、良品コンベア54により搬送される固形製剤の良品が排出される排出シュート55とを備えている。排出コンベア51の上方には、固形製剤が錠剤である場合に表裏面以外の側面を検査するための側面検査装置76が設けられている。
【0027】
選別装置52は、印刷前検査装置72,74、印字検査装置73,75および側面検査装置76の検出に基づいて、搬送される固形製剤が良品か否かを選別し、良品と選別した固形製剤を、エア噴射により良品コンベア54に供給する。ダンパ53は、選別装置52から供給された固形製剤を系外ボックス56に供給するように、切り替え可能である。排出装置50は、選別装置52を通過した固形製剤の不良品を不良品ボックス58に排出する不良品排出シュート57を更に備えている。
【0028】
上記の構成を備える製剤印刷装置1によれば、供給装置30のホッパー31に投入された固形製剤Fが、製剤搬送装置10に引き渡されて搬送され、製剤搬送装置10による搬送中に印刷および検査が行われた後、排出装置50に引き渡されて、良品のみを回収することができる。製剤搬送装置10は、搬送ベルト13,14により、搬送中の固形製剤Fの挟持位置を一定に維持するため、固形製剤の挟持位置以外の露出領域を広範囲に確保することができる。したがって、固形製剤の所望の箇所への印刷が行い易く、製剤搬送装置10に対する印刷装置70,71のレイアウトの制約が少なくなるため、固形製剤Fに対して自由度の高い印刷が可能である。
【0029】
第2のプーリ12は、2つの支持部12c,12cの間に空間部12dが形成されているため、搬送ベルト13,14間に挟持した固形製剤Fが第2のプーリ12を通過する間も、固形製剤Fの露出部が第2のプーリ12と接触するおそれがない。したがって、固形製剤Fの露出領域を広範囲に確保したまま、固形製剤Fの姿勢を変化させることができ、固形製剤Fに対する印刷の自由度をより高めることができる。更に、第2のプーリ12が保持部12bを有することにより、搬送ベルト13,14が外方に広がったり蛇行したりするのを確実に防止して、搬送ベルト13,14の隙間Gを一定に維持することができ、固形製剤Fを確実に搬送することができる。
【0030】
搬送ベルト13,14のレイアウトは、本実施形態のものに限定されず、目的に応じて種々の変更が可能である。例えば、錠剤の表裏面に対して印刷を行う場合に、表面側が露出した錠剤と裏面側が露出した錠剤とが近接状態で平行に搬送されるように搬送ベルトを配置することで、1つの印刷装置で錠剤の表裏面を同時に印刷することができる。また、印刷後のインク乾燥時間を確保する必要がある場合には、搬送ベルト13,14の長さを長くして搬送距離を延ばすことにより、容易に対応可能である。
【0031】
また、第1のプーリ11および第2のプーリ12間において、ガイド装置110,120が搬送ベルト13,14を案内するように配置されているため、重力による搬送ベルト13,14の蛇行、上下動、垂れ等を防止して、搬送ベルト13,14による固形製剤Fの搬送を確実に行うことができる。ガイド装置110,120は、ガイド部材111,121と摺動する第1の摺動ベルト112,122および第2の摺動ベルト113,123を備えることにより、搬送ベルト13,14を、第1の摺動ベルト112,122および第2の摺動ベルト113,123と共に一体的に搬送させることができ、搬送ベルト13,14の直進性を安定させることができる。但し、ガイド装置110,120は、第1の摺動ベルト112,122および第2の摺動ベルト113,123を備えずに、搬送ベルト13,14がガイド部材111,121と直接摺動するように構成してもよい。更に、製剤印刷装置1は、第1のプーリ11と第2のプーリ12との間隔が短い場合や、搬送ベルト13,14の剛性が高い場合等には、ガイド装置110,120を備えない構成にすることも可能である。
【0032】
搬送ベルト13,14による錠剤の挟持位置は、必ずしも側面に限定されるものではなく、例えば、錠剤が起立するように表裏面を挟持して、錠剤側面の半周部分が搬送ベルト13,14を挟んで両側にそれぞれ露出するように、錠剤を挟持することも可能である。また、搬送ベルト13,14は、錠剤以外にカプセル剤を挟持して搬送することも可能であり、カプセル剤の印刷箇所に応じて、カプセル剤の挟持位置を適宜定めることができる。
【0033】
また、本実施形態の製剤印刷装置1は、供給装置30から製剤搬送装置10に供給された固形製剤が、第2のプーリ12により下方に案内されて、排出装置50に搬送されるように構成されているが、図8に示すように、供給装置30から製剤搬送装置10に供給された固形製剤が、第2のプーリ12により上方に案内されて、排出装置50に搬送されるように構成してもよい。図8に示す製剤印刷装置1において、図1に示す製剤印刷装置1の構成部分と同様の機能を果たす構成部分には、同一の符号を付している(以下の図においても同様)。図8に示す製剤印刷装置1は、供給装置30が、図1に示す供給装置30の吸着コンベア34に代えて、固形製剤を搬送面上に搭載して製剤搬送装置10に供給するコンベアベルトを有する搬送コンベア35を備えることで、構成の簡素化が図られている。また、製剤搬送装置10が、第1のプーリ11および第2のプーリ12に加えて、第3のプーリ16を備えており、これらのプーリに搬送ベルト13,14が巻回されている。更に、製剤搬送装置10は、搬送ベルト13,14に張力を付与するテンションプーリからなる隙間調整部材15’を備えている。製剤搬送装置10が第1のプーリ11および第2のプーリ12以外に備えるプーリの数は、特に限定されるものではなく、搬送レイアウトに応じて適宜変更可能である。
【0034】
図9に平面図で示すように、隙間調整部材15’は、中央から回転軸15aの軸方向両側のフランジ15bに向けて外径がテーパ状に広がるように形成されている。この隙間調整部材15’が回転すると、隙間調整部材15に巻回された搬送ベルト13,14には、矢示のように軸方向両側に向けた力がそれぞれ作用するため、供給装置30の搬送方向上流側において、両者の隙間Gを広げることができる。図9に示す搬送ベルト13,14は、1つの回転軸15aによって支持されているが、回転軸15aを分割して、各搬送ベルト13,14に個別に張力を付与するように構成してもよい。
【0035】
図10に平面図で示すように、隙間調整部材15’は、一対のテンションプーリ151,152を、それぞれの軸線151a,152aが交差するように配置して構成してもよく、これによっても搬送ベルト13,14の隙間Gを広げることができる。また、図11に平面図で示すように、隙間調整部材15’は、回転軸153aの中央部に空間部153bを有する円筒状のテンションプーリ153と、空間部153bに介在されたギャップアップローラ154とを備える構成であってもよい。ギャップアップローラ154は、回転軸154aがテンションプーリ153の回転軸153aと平行になるように、不図示のブラケットに回転自在に支持されており、搬送ベルト13,14の隙間を広げることができる。
【0036】
上述した各製剤印刷装置1は、第1のプーリ11や第2のプーリ12を含む複数のプーリに搬送ベルト13,14が巻き掛けられた構成において、複数の印刷装置70,71を、隣り合う任意の2つのプーリの間を搬送される固形製剤に対して印刷するようにそれぞれ配置することにより、固形製剤の両面への印刷が可能であり、印刷の自由度を高めることができる。更に、隣り合う2つのプーリの間隔を広げて多数の印刷装置を配置することで、例えば多色印刷を行うことが可能であり、個別のニーズに容易に対応させることができる。
【0037】
一方、図12に示すように、複数のプーリのいずれかによる固形製剤の搬送中に印刷を行うように、印刷装置70,71を配置することも可能である。図12に示す製剤印刷装置1は、印刷装置70,71が、第1のプーリ11および第2のプーリ12による固形製剤の搬送中に印刷が行われるように、それぞれ配置されている。例えば、第2のプーリ12においては、図4に示すように、搬送ベルト13,14が第2のプーリ12の2つの支持部12c,12cに巻き掛けられることによって、固形製剤の安定した搬送が行われる。このような状態で固形製剤に対する印刷を行うことにより、印刷精度を高めることができる。また、印刷前検査装置72,74、および印字検査装置73,75についても、第1のプーリ11および第2のプーリ12による固形製剤の搬送中に固形製剤の検査を行うように配置することで、検査精度を高めることができる。図12に示す構成は、第1のプーリ11よりも搬送方向上流側に印刷前検査装置74Aを更に配置することで、印刷装置70,71による印刷前に固形製剤の割線等の特徴検出を行うことができる。2つの印刷前検査装置74,74Aは、いずれか一方のみとすることも可能である。
【0038】
供給装置が備える搬送コンベア35のコンベアベルト35aは、隙間調整部材15’によって間隔が広げられた搬送ベルト13,14の間に固形製剤を供給する。固形製剤の挟持状態における搬送ベルト13,14の隙間は、種々の固形製剤の形状や大きさに対応させる目的で所定の範囲で変更可能に構成されており、図13に示すように、コンベアベルト35aの幅Wが、この隙間の最小値である最小隙間G1よりも小さくなるように設定されている。この構成によれば、固形製剤Fの厚みが搬送ベルト13,14の厚みより小さい場合においても、コンベアベルト35aの上部が搬送ベルト13,14の隙間に挿入されるようにコンベアベルト35aの高さ調整を行って、固形製剤Fを常に搬送ベルト13,14の厚み方向中央で挟持することができるので、搬送ベルト13,14による固形製剤Fの搬送を確実に行うことができる。更に、この構成によれば、図9から図11に示された隙間調整部材15’の軸方向中央部に形成された空間をコンベアベルト35aが通過するように、搬送コンベア35を配置することができ、レイアウトの自由度を高めることができる。排出装置が備える排出コンベア51のコンベアベルト51aについても、コンベアベルト35aと同様に、搬送ベルト13,14の最小隙間G1よりも小さい幅Wで形成することができ、搬送ベルト13,14の間隔が隙間調整部材15’によって広げられることにより、搬送ベルト13,14による固形製剤の挟持状態が解除されて、コンベアベルト51aにより固形製剤が搬送される。
【0039】
一方、図14および図15に示す製剤印刷装置1は、供給側のコンベアベルト35a、および、排出側のコンベアベルト51aの幅Wが、いずれも、搬送ベルト13,14の隙間の最大値である最大隙間G2よりも大きくなるように構成されている。この構成によれば、固形製剤Fの種類に拘らず固形製剤Fの幅方向全体を支持することができ、固形製剤Fの供給および排出を確実に行うことができる。製剤印刷装置1は、供給側のコンベアベルト35aの幅Wが、搬送ベルト13,14の最小隙間G1よりも小さく、排出側のコンベアベルト51aの幅Wが、搬送ベルト13,14の最大隙間G2よりも大きい構成にすることもできる。
【0040】
図12および図14に示す製剤印刷装置1において、隙間調整部材15’は、必ずしもテンションプーリである必要はなく、テンションプーリとは別の構成要素であってもよい。例えば、図3に示す隙間調整部材15を、第3のローラ16に巻き掛けられた搬送ベルト13,14の間に介在させる一方、搬送コンベア35および排出コンベア51に対応してそれぞれ設けられた複数の隙間調整部材15’を、搬送ベルト13,14の間隔調整機能を有しない通常のテンションプーリやローラに置き換えることも可能である。この場合には、隙間調整部材15を一か所に設けるだけで、搬送コンベア35による固形製剤の供給と、排出コンベア51による固形製剤の排出との双方を行うことができ、構成の簡素化を図ることができる。隙間調整部材、ローラおよびテンションプーリの構成や配置は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、搬送ベルト13,14の取り回しや、印刷装置70,71のレイアウト等を考慮して、適宜変更可能である。
【0041】
図3に示された隙間調整部材15や、図9から図11に示されたテンションプーリからなる隙間調整部材15’など、上記各実施形態に示された隙間調整部材は、いずれも固形製剤を挟持する搬送ベルト13,14の双方に隙間調整用として作用し、図6および図7に示されるように、各搬送ベルト13,14を、固形製剤Fの搬送方向Tの左右両側に均等に開閉することで、固形製剤の供給および排出を確実に行うことができる。但し、図16および図17に示されるように、固形製剤Fを挟持する搬送ベルト13,14の一方の搬送ベルト13のみを搬送方向Tの一方側に開閉することで、他方の搬送ベルト14は開閉することなく搬送ベルト13,14の隙間Gを調整することも可能である。具体的には、図3に示された隙間調整部材15を、一方の搬送ベルト13のみと係合させて、一方の搬送ベルト13にのみ隙間調整用として作用させることができる。あるいは、図9から図11に示された隙間調整部材15’を、一方の搬送ベルト13に対してのみ隙間調整用として作用させ、他方の搬送ベルト14に対しては通常のテンションプーリと同様に張力付与用として作用させることができる。これらの構成によれば、搬送ベルト13,14の隙間Gの調整を、一方の搬送ベルト13のみによって容易に行うことができる。
【0042】
また、上記各実施形態の製剤印刷装置1は、複数の印刷装置70,71を備えており、各印刷装置70,71が固形製剤の表裏をそれぞれ印刷するように構成されているが、図18に示されるように、レーザ印刷装置からなる印刷装置70の照射部70aを、レーザ光Lが製剤搬送装置10の搬送方向Tに対して傾斜する方向に照射されるように配置してもよい。この構成によれば、製剤搬送装置10が備える搬送ベルト13,14の間の隙間を介して、固形製剤Fにレーザ光Lを照射して印刷することができるので、1つの印刷装置70で固形製剤Fの表裏にマーキングMを形成することができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0043】
印刷装置70は、搬送ベルト13,14の間の隙間を介して固形製剤Fに印刷可能に配置されていればよく、レーザ光Lの照射方向を搬送方向Tに対して傾斜させる代わりに、搬送方向Tに沿ってレーザ光Lを照射することもできる。例えば、図1等に示された第2のプーリ12による搬送中の固形製剤Fに印刷する場合には、第2のプーリ12の接線方向にレーザ光Lを照射するように、印刷装置70を配置することができる。印刷装置70は、インクジェット印刷装置など他の印刷装置であってもよい。
【0044】
このように、搬送ベルト13,14の間の隙間を介して固形製剤Fに印刷可能に印刷装置70を配置することで、固形製剤Fの表裏に連続する印刷を行うことができる。図19は、表裏に連続する印刷が施された固形製剤Fの一例を示すものであり、表面F1と裏面F2との間にエッジE1,E2を介して側面F3が介在される錠剤に対して、表面F1から側面F3を経て裏面F2まで連続する線状のマーキングMが形成されている。このようなマーキングMは、従来のベルト搬送方式により固形製剤を搬送する場合には連続印刷による形成が困難である一方、部分的な印刷を繋げると特にエッジE1,E2の部分で不連続になり易いことから、偽薬防止対策として有効である。
【符号の説明】
【0045】
1 製剤印刷装置
10 製剤搬送装置
11 第1のプーリ
12 第2のプーリ
12b 保持部
12c 支持部
12d 空間部
13,14 搬送ベルト
15,15’隙間調整部材
30 供給装置
35 搬送コンベア
35a コンベアベルト
70,71 印刷装置
110,120 ガイド装置
111,121 ガイド部材
112,122 第1の摺動ベルト
113,123 第2の摺動ベルト
F 固形製剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
図17
図18
図19