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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20220331BHJP
   D06F 33/30 20200101ALI20220331BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F39/02 A
D06F33/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019059850
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156794
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 慎勇希
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
(72)【発明者】
【氏名】井上 益明
(72)【発明者】
【氏名】千葉 浩司
(72)【発明者】
【氏名】林 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】葛島 慎介
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037356(JP,A)
【文献】特開2018-011618(JP,A)
【文献】特開2009-022827(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0092199(KR,A)
【文献】特開平07-275569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
D06F 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられた水槽と、
1回分の洗濯処理液を前記水槽に投入するための第1投入部と、
複数回分の前記洗濯処理液を収容するタンクと、
前記洗濯処理液を前記タンクに収容するための第2投入部と、
前記タンクに収容された前記洗濯処理液を外部に搬送する搬送部と、
前記タンク内に設けられたフロート内の磁石から発生する磁束量の変化に基づいて前記タンク内の前記洗濯処理液の残量を検知する液体残量検知部と、
前記フロートの動きを制限するストッパーと、
前記フロート内の磁石から発生する磁束量の変化を出力電圧の値で出力する電圧変換部と、を有し、
前記液体残量検知部は、
前記フロートが未取付時の電圧変換部で出力された出力電圧と、予め定めた前記フロートが前記ストッパーで制限されたときの出力電圧の最大値とに基づいて、前記フロートの取り付け有無を検知することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1記載の洗濯機であって、
前記電圧変換部で検知された出力電圧が、予め定めた前記フロートが前記ストッパーで制限されたときの出力電圧の最大値より大きい場合は、前記フロートが取り付けられていないと判断する、洗濯機。
【請求項3】
請求項1記載の洗濯機であって、
前記フロートは、前記タンク又は前記タンクの上面カバーに設ける、洗濯機。
【請求項4】
請求項1記載の洗濯機であって、
前記フロートが前記タンクに設けられた場合、前記ストッパーは前記タンクの上面カバーに設け、
前記フロートが前記タンクの上面カバーに設けられた場合、前記ストッパーは前記タンク又は前記タンクの上面カバーに設けられた、洗濯機。
【請求項5】
請求項1記載の洗濯機であって、
前記ストッパーは、満杯時において前記洗濯処理液の液面より上側に配置された、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの洗濯ものを洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯槽内に入っている衣類量を計量し、タンクに収容された洗濯処理液から適量を水槽(洗濯兼脱水槽)に自動で投入する洗濯処理投入装置を搭載した洗濯機が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
タンクに収容された洗濯処理液の残量の検知手段として、フロート方式や電極方式、静電容量方式が知られている(特許文献2)。その中のフロート方式は、磁束を出すマグネットを搭載したフロートと、磁束を検知するIC基板と、にて構成され、タンク内の洗濯処理液の残量が変わると、IC基板に入る磁束量が変化し、それによりIC基板から出力される電圧が線形的に可変するため、その出力電圧が予め設定した閾値を超えるとタンク内の洗濯処理液の残量が少ないと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-300891号公報
【文献】特開2017-127339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、フロート方式は、フロートが未取り付け状態に対する対応が検討されていなかった。
【0006】
状況によっては、フロートが未取り付け状態でも洗濯機を運転することができ、その場合、洗濯処理液が洗濯槽に投入されないまま運転することになる。
【0007】
本発明の目的は、必要最低限の部品点数で、フロートの取り付け有無を検知することが可能な洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の洗濯機は、その一例として、筐体と、前記筐体の内部に設けられた水槽と、1回分の洗濯処理液を前記水槽に投入するための第1投入部と、複数回分の前記洗濯処理液を収容するタンクと、前記洗濯処理液を前記タンクに収容するための第2投入部と、前記タンクに収容された前記洗濯処理液を外部に搬送する搬送部と、前記タンク内に設けられたフロート内の磁石から発生する磁束量の変化に基づいて前記タンク内の前記洗濯処理液の残量を検知する液体残量検知部と、前記フロートの動きを制限するストッパーと、前記フロート内の磁石から発生する磁束量の変化を出力電圧の値で出力する電圧変換部と、を有し、前記液体残量検知部は、前記フロートが未取付時の電圧変換部で出力された出力電圧と、予め定めた前記フロートが前記ストッパーで制限されたときの出力電圧の最大値とに基づいて、前記フロートの取り付け有無を検知する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、必要最低限の部品点数で、フロートの取り付け有無を検知することが可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機の外部構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る洗濯機の構成を示す正面図である。
図3】斜め上前方から見た実施形態に係る洗濯機の構成を示す構成図である。
図4】実施形態に係る洗濯機の内部構成を示す模式図である
図5】実施形態に係る洗濯機の前面パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
図6】実施形態に係る洗濯機の配管経路を示す模式図である。
図7】洗濯処理液を保持するタンクの外部構成を示す斜視図である。
図8】洗濯処理液を保持するタンクの断面図(洗濯処理液が少ない)
図9】洗濯処理液を保持するタンクの断面図(洗濯処理液が残量検知の時)
図10】洗濯処理液を保持するタンクの断面図(洗濯処理液が多い)
図11】水位によるホールIC出力電圧波形の推移を示す(例)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。 以下、本発明の実施の形態について、図1図11に従って説明する。
【0012】
<洗濯機の外部構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係る洗濯機1の外部構成について説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機1の外部構成を示す斜視図である。図2は、洗濯機1の構成を示す正面図である。図3は、斜め上前方から見た洗濯機1の構成を示す構成図である。
【0013】
ここでは、洗濯機1が洗濯対象物(布類)の乾燥機能を有する洗濯乾燥機であるものとして説明する。ただし、洗濯機1は、乾燥機能を有していないものであってもよい。また、ここでは、洗濯機1が筺体の内部に縦型の水槽が配置された縦型洗濯機であるものとして説明する。ただし、洗濯機1は、ドラム型洗濯機であってもよい。
【0014】
また、後記する第1投入部31(投入口)は、使用者が手動で洗濯処理液を後記する水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入する手動投入部であるものとして説明する。また、後記する第2投入部32(投入口)は、洗濯処理液を後記する洗濯処理液投入装置30に投入する自動投入部であるものとして説明する。ただし、後記する第2投入部32は、必ずしも洗濯処理液投入装置30に投入する自動投入部でなくてもよい。
【0015】
図1に示すように、洗濯機1は、筐体11の上面に、上面カバー12と、それぞれ自在に開閉できる外フタ13と、タンク収納フタ15とを備えている。また、本実施形態では、洗濯機1は、筐体11の前面に、取り外し可能な前面パネル16を備えている。上面カバー12は、筐体11の後方上面に配置されている。外フタ13は、筐体11の中央上面に配置されている。タンク収納フタ15は、筐体11の前方上面に配置されている。外フタ13の上面には、洗濯機1を操作するための操作パネル14が設けられている。
【0016】
図2図3は、それぞれ、外フタ13とタンク収納フタ15を開けた状態を示している。図2は、正面から見たから見た洗濯機1の構成を示しており、図3は、斜め上前方から見た洗濯機1の構成を示している。
【0017】
図2及び図3に示すように、洗濯機1は、外フタ13を開けると、筐体11の内部に開口部11aが設けられている。その開口部11aの内部には、洗濯対象物(布類)が投入される洗濯兼脱水槽として機能する水槽21が配置されている。また、図3に示すように、水槽21の周囲には、1回分の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入するための第1投入部31が配置されている。第1投入部31は、使用者が手動で粉末もしくは液状の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に投入するための手動投入部として機能する。図示例では、第1投入部31(手動投入部)は、筐体11の左前方上部で、かつ、水槽21(洗濯兼脱水槽)の外側の場所に配置されている。
【0018】
また、洗濯機1は、タンク収納フタ15を開けると、筐体11の内部に、洗濯処理液投入装置30のタンク42が配置されている。タンク42は、複数回分の洗濯処理液を収容するものである。洗濯処理液投入装置30は、タンク42に収容された洗濯処理液を計量して適量の洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に自動で投入する装置である。洗濯処理液投入装置30は、複数回分の洗濯処理液を収容するタンク42と、洗濯処理液を搬送する搬送部である搬送ポンプ46(図4及び図5参照)とを備えている。搬送ポンプ46(図4及び図5参照)は、タンク42に収容された洗濯処理液を必要量だけタンク42の内部から洗濯処理液を外部に搬送する搬送手段として機能する。
【0019】
タンク42は、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。図示例では、洗剤用と柔軟剤(仕上剤)用との2つのタンク42a,42bが配置されている。これにより、洗濯機1は、洗剤用と柔軟剤(仕上剤)とを水槽21に自動投入することができる。タンク42には、洗濯処理液をタンク42に収容するための第2投入部32が設けられている。第2投入部32は、洗濯処理液投入装置30で洗濯処理液を水槽21(洗濯兼脱水槽)に自動で投入するための自動投入部として機能する。第2投入部32は、投入口フタ43aで封止されている。例えば、タンク42aには、洗剤投入用の第2投入部32aが設けられ、投入口フタ43aで封止されている。また、タンク42bには、洗剤投入用の第2投入部32bが設けられ、投入口フタ43aで封止されている。
【0020】
第2投入部32は、洗濯処理液投入装置30のタンク42に収容される洗濯処理液を投入するための投入部(自動投入部)である。なお、前記した通り、タンク42は、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。したがって、第2投入部32(自動投入部)も、タンク42と同様に、筐体11の前方上部で、かつ、第1投入部31(手動投入部)よりも前方の場所に配置されている。
【0021】
<洗濯機の内部構成>
以下、図4及び図5を参照して、洗濯機1の内部構成について説明する。図4は、洗濯機1の内部構成を示す模式図である。図5は、洗濯機1の前面パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【0022】
図4に示すように、洗濯機1は、筐体11の内部に、外槽22を備えており、さらにその内部に水槽21(洗濯兼脱水槽)を備えている。
【0023】
外槽22は、上面部に設けられた外槽カバー22aと、外槽カバー22aに設けられた開口部を封止するフタ部材22bと、他の部位よりも落とし込むようにして設けられた落とし込み部22cとを有している。
【0024】
水槽21(洗濯兼脱水槽)は、上面が開放された有底の円筒形状を呈している。水槽21は、円筒の胴体部分を構成する銅板21aと、水槽21の底部で回転する回転翼21bと、水槽21のバランスを維持するバランスリング21cとを有している。銅板21aには、通水及び通風のための、複数の貫通孔21aaが形成されている。バランスリング21cは、内部に流体が封止された流体バランサとなっている。
【0025】
洗濯機1は、水槽21及び回転翼21bを回転駆動するための駆動装置23と、駆動装置23の動作を検出するための回転検出装置24及びモータ電流検出装置25とを備えている。駆動装置23は、水槽21及び回転翼21bを回転させるモータ23aと、水槽21及び回転翼21bの回転方向及び回転速度を規定するクラッチ機構23bと、回転翼21bに連結された回転軸23cと、を有している。回転軸23cは、上面視において水槽21の中心に配置されている。
【0026】
また、洗濯機1は、筐体11の後方上部に、水槽21に水を供給するための給水手段である給水ユニット20と、空気を加熱して乾燥風を得るための乾燥ユニット71(ヒータ)と、乾燥風を循環させるためのファン72、送風ダクト73、及び乾燥ダクト81と備えている。
【0027】
送風ダクト73は、ファン72と吹出ノズル74との間に配置されており、その途中部分に乾燥ユニット71(ヒータ)が配置されている。送風ダクト73は、蛇腹管73aで吹出ノズル74に接続されている。吹出ノズル74は、ファン72によって送られ乾燥ユニット71で加熱された乾燥風を、外槽22の内部に吹き出す。乾燥ダクト81は、外槽22とファン72との間に配置されている。乾燥ダクト81は、蛇腹管81aで外槽22の落とし込み部22cと接続されている。
【0028】
係る構成において、洗濯機1は、例えば、洗濯工程時やすすぎ工程時に、水槽21(洗濯兼脱水槽)が水で浸されるように、給水ユニット20(給水手段)から外槽22に水を供給する。また、洗濯機1は、例えば、乾燥工程時に、ファン72を回転させて空気を送風ダクト73に送り、乾燥ユニット71で空気を加熱して乾燥風を得て、乾燥風を外槽22及び水槽21の内部を通過させる。これにより、洗濯機1は、水槽21の内部に収容された洗濯対象物(布類)を乾燥させる。そして、洗濯機1は、外槽22及び水槽21の内部を通過した空気をファン72で乾燥ダクト81から送風ダクト73に送り込み、同様の動作を繰り返す。
【0029】
また、図4に示すように、洗濯機1は、注水ホース51aと、投入ホース54aと、洗浄ホース61aと、を備えている。注水ホース51aは、給水ユニット20から外槽22に水を流すホースである。投入ホース54aは、第1投入部31(手動投入部)から外槽22に水を流すホースである。洗浄ホース61aは、水槽21や外槽22等の洗浄時に、給水ユニット20から外槽22に水を流すホースである。注水ホース51aは、後記する第1給水経路51(図6参照)の一部分を構成している。投入ホース54aは、後記する投入経路54(図6参照)の一部分を構成している。洗浄ホース61aは、後記する第1洗浄経路61(図6参照)の一部分を構成している。
【0030】
また、洗濯機1は、水を排出する排出経路63と、排出経路63を開閉する排水弁65と、を備えている。
【0031】
また、洗濯機1は、筐体11の前方上部にタンク42を収容するケース41を備えている。タンク42は、上下方向に移動させることによって、ケース41に対して、取り外し及び取り付けが自在な構造になっている。なお、ケース41は、洗剤と柔軟剤を水槽21に自動投入することができるように、少なくとも洗剤用と柔軟剤用の2つ以上のタンク42を収容する構造になっているとよい。
【0032】
図5に示すように、ケース41は、正面視形状が横長な矩形状で、かつ、側面視形状が縦長な矩形状を呈している。したがって、ケース41は、全体形状が奥行き方向に薄い略直方体の形状を呈している。ケース41は、前面パネル16(図4参照)の内壁面に沿って上下方向に延在するように配置されている。ケース41の下方には、搬送部である搬送ポンプ46が配置されている。
【0033】
ケース41及びタンク42のいずれか一方又は双方は、好ましくは、水槽21との間にタンク42に収容された洗濯処理液の振動を抑制する抑制手段として機能する制振部材45(図4参照)を有しているとよい。これにより、洗濯機1は、駆動装置23等から伝播する振動によって、タンク42に収容された洗濯処理液が揺れて飛び跳ねることを抑制することができる。
【0034】
なお、ケース41は、筐体11の前方上部に取り付けられており、前面パネル16の内壁面と筐体11との間で挟み込まれるように配置されている。そのため、洗濯機1は、仮に制振部材45(図4参照)がなかったとしても、タンク42に収容された洗濯処理液の揺れを抑制することができる。しかしながら、洗濯機1は、制振部材45(図4参照)を設けることにより、さらに効率よくタンク42に収容された洗濯処理液の揺れを抑制することができる。
【0035】
係る構成において、洗濯処理液投入装置30の第2投入部32及びタンク42は、水槽21の中心(例えば、回転軸23c(図4参照)で連結している部位)よりも前方に配置されている。また、乾燥ユニット71(ヒータ)は、第2投入部32及びタンク42から離間するように、水槽21の中心よりも後方に配置されている。
【0036】
<配管経路の構成>
以下、図6を参照して、洗濯機1の配管経路の構成について説明する。図6は、洗濯機1の配管経路を示す模式図である。
【0037】
図6に示すように、洗濯機1は、洗濯対象物(布類)の洗濯時に使用する配管経路として、第1給水経路51と、第2給水経路52と、搬送経路53と、投入経路54とを備えている。
【0038】
第1給水経路51は、給水ユニット20と第1投入部31とを結び、給水ユニット20から第1投入部31に水を供給する。
【0039】
第2給水経路52は、第1給水経路51の途中部分と搬送経路53とを結び、第1給水経路51を介して給水ユニット20から搬送経路53に水を供給する。
【0040】
搬送経路53は、タンク42と第1投入部31とを結び、タンク42から搬送ポンプ46を介して排出された洗濯処理液を搬送する。
【0041】
投入経路54は、第1投入部31と水槽21(外槽22)とを結び、第1投入部31から水槽21に洗濯処理液及び水を投入する。
【0042】
第2給水経路52と搬送経路53の接続箇所には、切替弁64が配置されている。切替弁64は、流体の流れを切り替える切替手段である。切替弁64(切替手段)は、タンク42から搬送経路53に洗濯処理液を流す方向と第2給水経路52から搬送経路53に水を流す方向とのいずれか一方に選択的に切り替える。
【0043】
また、搬送経路53の経路上には、搬送ポンプ46と、流体の逆流を防止する逆止弁47a,47bとが配置されている。逆止弁47a,47bは、それぞれ、搬送ポンプ46の上流側(タンク42側)と下流側(第1投入部31側)とに配置されている。
【0044】
また、洗濯機1は、水槽21や外槽22、ケース41等の洗浄時に使用する配管経路として、第1洗浄経路61と、第2洗浄経路62と、排出経路63とを備えている。
【0045】
第1洗浄経路61は、給水ユニット20と第1投入部31とを結び、給水ユニット20から第1投入部31に洗浄用の水を供給する。
【0046】
第2洗浄経路62は、第1洗浄経路61の途中部分とケース41とを結び、第1洗浄経路61を介して給水ユニット20からケース41に洗浄用の水を供給する。
【0047】
排出経路63は、ケース41と排水口66とを結び、ケース41から排水する。
【0048】
排出経路63は、ケース41と送風ダクト73とを接続する排水管63aと、送風ダクト73と外槽22とを接続する排水管63bと、外槽22に設けられた排水弁65と排水口66とを接続する排水管63cとで構成されている。
【0049】
外槽22には排水弁65が設けられている。洗濯機1は、排水弁65を開放することにより、排水管63cを経由して洗濯処理液及び水を排水口66から外部に排出する。
【0050】
このような洗濯機1は、自動投入を行う場合に(すなわち、洗濯処理液投入装置30で洗濯処理液を水槽21に投入する場合に)、タンク42に収容された洗濯処理液を、搬送経路53を通ってタンク42から第1投入部31に搬送する。そして、洗濯機1は、搬送した洗濯処理液を、投入経路54を通って第1投入部31から水槽21に投入することができる。そのため、洗濯機1は、手動投入時及び自動投入時に拘わらず洗濯処理液が第1投入部31を通過するため、第1投入部31に水を通過させることにより、洗剤投入時に使用する水量を低減することができる。
【0051】
また、洗濯機1は、第2給水経路52が第1給水経路51の途中部分に接続されている。そのため、洗濯機1は、仮に、搬送経路53が塞がってしまい、意図しない圧力が搬送経路53に加わる現象が発生した場合であっても、搬送経路53に加わる圧力を、第1給水経路51を介して外部(水槽21側)に逃がすことができる。したがって、洗濯機1は、仮にこのような現象が発生した場合であっても、搬送経路53に加わる圧力を低減することができる。これにより、洗濯機1は、搬送経路53の性能を比較的長く維持することができる。
【0052】
また、洗濯機1は、第1洗浄経路61に沿って給水ユニット20から第1投入部31に洗浄用の水を流すことによって、第1投入部31を洗浄することができる。
【0053】
また、洗濯機1は、第2洗浄経路62に沿って給水ユニット20からケース41に洗浄用の水を流すことによって、ケース41を洗浄することができる。特に、ケース41の底部には、例えばタンク42の下部に嵌合するノズル41a(図8参照)が設けられているが、そのノズル41aを洗浄することができる。
【0054】
また、洗濯機1は、第1洗浄経路61に供給された洗浄用の水を投入経路54に沿って水槽21に排出するとともに、第2洗浄経路62に供給された洗浄用の水を排出経路63に沿って(送風ダクト73を経由して)水槽21に排出することができる。そのため、洗濯機1は、水槽21や外槽22を洗浄することができる。
【0055】
<タンクの構成>
以下、図7乃至図10を参照して、タンク42の構成について説明する。図7乃至図9は、それぞれ、タンク42の外部構成を示す斜視図である。図10は、タンク42の内部構成を示す断面図である。
【0056】
図7乃至図9に示すように、タンク42は、タンク上面カバー43と、取っ手部44とを有している。図7は、投入口フタ43aを閉じた状態を示している。図8は、投入口フタ43aを開いた状態を示している。図9は、タンク上面カバー43を取り外した状態を示している。
【0057】
タンク上面カバー43は、タンク42の上面を覆うカバー部材である。
【0058】
取っ手部44は、使用者によって把持される部材である。
【0059】
第2投入部32は、タンク上面カバー43に設けられており、投入口フタ43aで封止されている。投入口フタ43aは、前から後への縦方向に開閉可能に構成されている。
【0060】
タンク上面カバー43の上面は、後方から前方に向かって下がるように傾斜した傾斜面として形成されている。このような、タンク上面カバー43は、仮に上面が水平面として形成されている場合に比べて、投入口フタ43aの長さを開閉方向に長くすることができる。また、このような、タンク上面カバー43は、投入口フタ43aを開いたときに、投入口フタ43aを上方に大きく突出させることができる。そのため、このような、タンク上面カバー43は、投入口フタ43aの開閉操作の操作性を向上させて、投入口フタ43aを容易に開閉することができる。
【0061】
前記した通り、タンク42は、上下方向に移動させることによって、ケース41(図5参照)に対して、取り外し及び取り付けが自在な構造になっている。タンク42は、使用者が取っ手部44を把持して上方向に引っ張ることにより、ケース41から容易に取り外すことができる。図9に示すように、タンク上面カバー43は、タンク42から取り外すことができる。
【0062】
使用者は、ケース41からタンク42を取り外すことができるとともに、タンク42から、タンク上面カバー43を取り外すことができるため、ケース41や、タンク上面カバー43を手で容易に洗浄することができる。
【0063】
図8に示すように、タンク42の下部には、排出口49(貫通孔)が設けられている。排出口49は、ケース41に設けられたノズル41aに嵌合する構造になっている。これにより、タンク42は、洗濯処理液を搬送経路53(図6参照)に確実に送り出すことができる。タンク42の内部には、排出口49に向かって下がるように傾斜した底面部が設けられている。また、排出口49の上には、目が細かな網状のタンクメッシュ48が設けられている。これにより、洗濯機1は、仮にタンク42の内部に異物が混入した場合があったとしても、異物が搬送経路53(図6参照)に流入することを防止することができる。
【0064】
前述した内容は、状況によっては実施形態を変えても良く、例えば、タンク42は、好ましくは、ケース41に強固に係合するように、爪状の係合手段等を有しているとよい。
【0065】
また、例えば、投入口フタ43a(第1フタ)は、前から後にスライド移動して開閉する構造にしてもよい。
【0066】
<タンク内の残量検知機構>
以下、図8乃至図10を用いて、タンク42内の残量検知機構の構成を説明する。図8乃至図10はタンク42内の内部構成を示す断面図で、図8はタンク42内の洗濯処理液の残量が無くなるとフロート50がタンク42の底面に付き、IC基板55との距離が最も近くなるので、IC基板55からの出力電圧が最も小さくなる状態を示す。つまり、タンク42内に設けられたフロート50内の磁石から発生する磁束量の変化を電圧変換部であるIC基板55(タンク42の底部に対して、フロート50とは反対側のタンク42の裏側に配置)で検知して出力される出力電圧に基づいて、タンク42内の洗濯処理液の残量を検知するものである。図9はタンク42内の洗濯処理液の残量が少量の時を示す。図10はタンク42内の洗濯処理液の残量が満杯の時を示す。タンク42内に液体が充填されると、図8~10の順番でフロート50の位置が推移していく。
【0067】
本発明では、フロート50が図10に示す位置よりも上に上昇しないように、フロート50の軸部付近に、フロート50の動きを制限する制限部であるストッパー50aを設けてフロート50の動きを制限し、フロート50が付いている場合のIC基板55からの出力電圧の最大値と、フロート50が付いていない場合のIC基板55からの出力電圧の最大値に差異を設け、マイコン側でIC基板55からの出力電圧を読むことで、フロート50の有無を判断できる。
【0068】
図11は、タンク42容量に対するIC基板55の出力電圧の推移を示したもので、タンク42に何も入っていないL0から残量検知水位L1まではIC基板55の出力電圧も上昇していくが、その先のフロート50がストッパー50aに付く水位L2からは、水位が増えてもIC基板55の出力電圧はV2のまま変化しない。フロート50が外れている場合は、L2を境にタンク42容量に対してIC基板55の出力電圧も上昇し、フロート50からの磁力がIC基板55に届かなくなる水位L3に達すると、IC基板55の最大出力電圧であるV3が出力されるため、このV2とV3をマイコンで見ることで、フロート50の有無を判断できる。つまり、フロート50の位置における磁石から発生する磁束量の変化で出力される出力電圧に基づいて、フロート50の取り付け有無を検知するものであり、具体的には、フロート50未取付時の電圧変換部であるIC基板55から出力された出力電圧と、予め定めたフロート50が制限部であるストッパー50aに付いた時の出力電圧と、に基づいて判断される。例えば、IC基板55で検知された出力電圧(V)が、予め定めたフロート50がストッパー50aに付いた時の出力電圧(V2)より大きい場合は、フロート50が取り付けられていないと判断する。
【0069】
フロート50の有無を判断できるためのストッパー50aの取り付け構造については、フロート50がタンク42に付いている場合は、ストッパー50aを、タンク上面カバー43に付け、フロート50が、タンク上面カバー43に付いている場合は、タンク42か、タンク上面カバー43にストッパー50aを付ける方法がある。
【0070】
ストッパー50aの取り付け位置としては、液体とフロート50との固着を防止するため、液面よりも上側に配置することが望ましい。また、液面よりも上側に配置することができない場合は、フロート50とストッパー50aの接触面積を極力減らすのが望ましく、例として点接触させることが挙げられる。
【0071】
以上のように、ストッパーなどのフロートの制限部を設けることで、フロートが未取り付け状態で、洗濯を行ってしまうようなことがない。つまりフロートの取り付け有無の検知を、必要最小限の部品点数で行うことが可能な洗濯機を提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 洗濯機
11 筐体
12 上面カバー
13 外フタ
14 操作パネル
15 タンク収納フタ
16 前面パネル
20 給水ユニット
21 水槽
22 外槽
23 駆動装置
23a モータ
24 回転検出装置
25 モータ電流検出装置
30 洗濯処理液投入装置
31 第1投入部
32 第2投入部
41 ケース
41a ノズル
42 タンク
43 タンク上面カバー
43a 投入口フタ
44 取っ手部
45 制振部材
46 搬送ポンプ
48 タンクメッシュ
49 排出口
50 フロート
50a ストッパー
51 第1給水経路
51a 注水ホース
52 第2給水経路
53 搬送経路
54 投入経路
54a 投入ホース
61 第1洗浄経路
61a 洗浄ホース
62 第2洗浄経路
63 排出経路
64 切替弁
65 排水弁
66 排水口
71 乾燥ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11