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特許7050061波エネルギー変換器ブイの動力取出しシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】波エネルギー変換器ブイの動力取出しシステム
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/16 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
F03B13/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019524243
(86)(22)【出願日】2017-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 US2017023488
(87)【国際公開番号】W WO2018089038
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】62/419,903
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521066570
【氏名又は名称】オーシャン パワー テクノロジーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】セファバクシュ,モイタバ
(72)【発明者】
【氏名】ダビー,チャンドレシュクマー
(72)【発明者】
【氏名】ボルグマン,ジョン ジョセフ ジュニア
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-137013(JP,A)
【文献】国際公開第99/051877(WO,A1)
【文献】特開昭56-118568(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2719890(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102042156(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/16- 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水塊内の波の動きを抽出する浮き具を備えるタイプの波エネルギー変換ブイであって、
外側に螺旋溝を有するスクリューシャフトと、
前記スクリューシャフトの溝に合致する内側螺旋溝を有し、前記スクリューシャフトと機械的に協働するような前記スクリューシャフト上のナットと、
前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの一方に接続される駆動装置であって、その駆動装置は前記浮き具によって抽出される波の動きを受けるように連結されるようになっている駆動装置であって、前記駆動装置は前記スクリューシャフトを内部に包含する駆動管を備える駆動装置と、を有する動力取出しシステムと
前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの他方に接続される結合具であって、その結合具は前記他方の回転運動を発電機に伝達されるように連結されている結合具と、
前記波エネルギー変換ブイ内に前記動力取出しシステムを取り付けるために、前記動力取出しシステム上に配置される取付手段であって、前記取付手段は前記スクリューシャフトの軸とほぼ垂直な2つの直交軸まわりに前記動力取出しシステムを回転させる機構であって、それにより前記駆動管は自動調心して前記波の動きをほぼ軸方向に受け、前記機構は2軸ジンバルと前記2軸ジンバル内で前記スクリューシャフトを回転可能に支持する軸受手段とである取付手段と、を備え、
前記駆動装置が受けた力は、前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの前記一方を移動させるとともに前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの前記他方を回転させ、前記回転運動は前記結合具を介して前記発電機に伝達される動力取出しシステム。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記ナットに接続され、前記駆動装置が受けた力は、前記ナットを前記スクリューシャフトに沿って移動させて前記スクリューシャフトを回転させる、請求項1に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項3】
前記スクリューシャフト及び前記ナットの前記溝内で、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に捕捉される複数の玉軸受を更に備え、前記複数の玉軸受は、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に転がり接触面を形成する、請求項1に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項4】
前記駆動管は前記スクリューシャフトと同心であって、前記駆動管の一端は前記ナットに固定され、前記駆動管の他端は前記浮き具によって抽出される波の動きを受けるように連結されている、請求項1に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項5】
前記ナット及び前記スクリューシャフトの前記溝内で、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に捕捉される複数の玉軸受を更に備え、前記複数の玉軸受は、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に転がり接触面を形成する、請求項4に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項6】
前記駆動管は前記一端と前記他端とにおいてシールされ、前記スクリューシャフトに対する摩擦を小さくするように内側が整えられている、請求項4に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項7】
前記結合具は、前記2軸ジンバルに取り付けられ、前記動力取出しシステムは、前記結合具を介して前記2軸ジンバルに取り付けられる発電機を更に備える、請求項1に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項8】
浮き具及びスパーを備え前記スパー内にある、請求項1に記載の波エネルギー変換ブイ
【請求項9】
水塊内の波の動きを抽出するスパー及び浮き具を備えるタイプであり、効率を改善する波エネルギー変換ブイを形成する方法であって、その方法は、
外側に螺旋溝を有するスクリューシャフトを設けるステップと、
前記スクリューシャフトの溝と合致するとともに前記スクリューシャフトの溝と機械的に協働する内側螺旋溝を有するナットを、前記スクリューシャフト上に設けるステップと、
前記スクリューシャフトと前記ナットとのうちの一方に接続される駆動装置を設けるステップであって、前記駆動装置を前記浮き具によって抽出される波の動きを受けるように連結し、前記駆動装置が前記スクリューシャフトを内部に包含する駆動管を備えるようにするステップと、を有する動力取出しシステムを形成するステップと
前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの他方に接続される結合具を設けるステップであって、前記結合具は、前記他方の回転運動を発電機に提供するステップと、
前記波エネルギー変換ブイ内に前記動力取出しシステムを取り付けるために前記動力取出しシステム上に配置される取付手段を提供するステップであって、前記取付手段は前記スクリューシャフトの軸とほぼ垂直な2つの直交軸まわりに前記動力取出しシステムを回転させる機構であって、それにより前記駆動管は自動調心して前記波の動きをほぼ軸方向に受け、前記機構は2軸ジンバルと前記2軸ジンバル内で前記スクリューシャフトを回転可能に支持する軸受手段とである取付手段を提供するステップと、を備え、
前記駆動装置が受けた力は、前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの前記一方を線形運動させるとともに前記スクリューシャフト及び前記ナットのうちの前記他方を回転させ、前記回転運動は前記結合具を介して前記発電機に伝達される、方法。
【請求項10】
前記駆動装置は、前記ナットに接続され、前記駆動装置が受けた力は、前記ナットを前記スクリューシャフトに沿って移動させて前記スクリューシャフトを回転させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ナット及び前記スクリューシャフトの前記溝内で、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に捕捉される複数の玉軸受を設けることであって、前記玉軸受は、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に転がり接触面を形成することを更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記駆動管は前記スクリューシャフトと同心であって、前記駆動管の一端は前記ナットに固定され、前記駆動管の他端は前記浮き具によって抽出される波の動きを受けるように連結されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナット及び前記スクリューシャフトの前記溝内で、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に捕捉される複数の玉軸受を設けることであって、前記複数の玉軸受は、前記ナットと前記スクリューシャフトとの間に転がり接触面を形成することを更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記駆動管は前記一端と前記他端とにおいてシールされ、前記スクリューシャフトに与える摩擦を小さくするように内側が整えられている、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/419,903号の国内優先権を主張する。
【0002】
本発明は、包括的には、長期間(例えば、2年を超える期間)にわたって水塊内に配備されることを意図される波エネルギー変換器(WEC)ブイに関する。より詳細には、本発明は、水塊の波の動きを利用可能な電気エネルギーに変換するためにこのようなブイに使用される動力取出しシステム(PTO)に関する。
【背景技術】
【0003】
本特許出願の譲受人が所有する米国特許第8,487,459号及び同第8,723,355号の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0004】
WECブイ(以下、「WEC」とよぶ)は、動作のためにかなりの量の電気的動力を必要とするペイロードを含む。ペイロードは、例えば、レーダーシステム及び/又はソナーシステム、種々の波センサー及び/又は気候センサー、通信システム及び/又はリレー、種々の制御システム及び関連する要素、並びに制動システム等の多数の電気機器/電子機器及び電気機械デバイスを含む、複数の異なる負荷から構成される。ペイロードに動力供給してペイロードを動作させるために、各WECブイは、ブイを含む水塊の波の動きに応じて(電気的)動力を生成する動力取出しシステム(PTO)を備え、生成された動力は、その後、ペイロードを動作させるために使用することができる。
【0005】
WECブイ及びその関連機器は、ペイロードにほぼ一定の電気的動力を提供しながら、気候条件にかかわらず長期間にわたって配備され動作し続けなければならない。これらの気候条件は、生成されるとしても僅かな動力が生成される穏やかな海(波の振幅が小さいことを特徴とする)から、ブイの破壊を防止する(ブイの残存性を確実にする)ために制動システムによってブイの「固定」が必要となり得る、波の振幅が極端な値に達することを特徴とする「大しけ」の条件まで、大幅に変化し得る。全ての動作条件下において、貯蔵エネルギーは使い果たされてはならず、貯蔵エネルギーが使い果たされれば、ペイロードの動作は停止する。
【0006】
本発明が用いられるWECブイは、(a)波に応じて互いに対して動く浮き具及びスパーと、(b)それらの相対的な動きを電気エネルギーに変換するように浮き具とスパーとの間に連結される動力取出しシステム(PTO)と、(c)浮き具とスパーとの間の相対的な動きを選択的に、例えば大しけ条件下で、制止する制動システムとを備えることができる。相対的な動きが制止されない場合、PTOは、大幅に変動する条件下で確実かつ効率的に電気エネルギーを生成可能でなければならない。
【0007】
過去において、WECブイに使用されるPTOは、ラックアンドピニオン機構を用いて浮き具の上下運動を回転運動に変換し、発電機を駆動していた。すなわち、ラックは、浮き具の運動を受けて、ピニオンを回転駆動するように連結され、ピニオンの回転運動は、次に、発電機のシャフトを駆動するように連結される。しかしながら、実質的な予測不能の横方向の動きを含む、極端に荒く予測不能の動きをラックが受けると、ラックとピニオンとの連続的で確実な噛み合いが困難となる。加えて、この機構が示す顕著な摩擦の結果、望ましくない摩耗が生じるだけでなく、エネルギー変換が非常に非効率なものとなる(通例、80%未満の効率)。摩擦に打ち勝つために使用されるエネルギーは、電気を生成するために利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
広く述べると、本発明の目的は、波エネルギーを電気に変換する効率が向上した、WECブイのPTOを提供することである。また、本発明の目的は、WECブイのPTOの耐久性、信頼性及び持続性を向上させ、PTOが無人で自律動作するWECブイにおいて使用するのに特に魅力的になるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様によれば、WECブイに使用されるPTOは、運動の変換のために、噛み合うナットとスクリューシャフトとのアセンブリを利用する。すなわち、浮き具の運動は、ナットを、ナットが装着されたスクリューシャフトに沿って駆動するように連結される。ナットがシャフトに沿って線形運動することで、シャフトが回転し、次に、この回転運動が発電機を回転させるように連結される。ナット及びスクリューシャフトは、ボールねじアセンブリを備えることが好ましく、ボールねじアセンブリにおいて、内側螺旋溝を有するナットは、対応する螺旋溝を有するシャフトに取り付けられており、溝内の循環玉軸受は、ナットとシャフトとの間の接触面を形成する。この構成のPTOは、95%を超える効率、高い信頼性を示すことができ、耐用寿命内で顕著な摩耗を生じることがない。
【0010】
本発明の別の態様によれば、WECブイに使用されるPTOは、運動の変換のために、噛み合うナットとスクリューシャフトとのアセンブリを利用し、スクリューシャフトと同心の駆動管は、ナットに固定される第1の端部と、浮き具の運動を受けるように連結されるように構築されている第2の端部とを有する。それにより、ナットに対する駆動力は、駆動力がボールねじに対して偏心している前述の実施形態とは対照的に、シャフトに対して同軸に与えられる。スクリューシャフトと駆動管と発電機とは、1つのユニットとして2軸ジンバルに取り付けられ、それにより、浮き具が駆動管に横方向の動きを加える場合であっても、ナットをスクリューシャフトに対して同軸に駆動することができることが好ましい。
【0011】
本発明の上記の簡単な説明並びに更なる目的、特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、本発明に係る目下好ましいが例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の典型的な環境を示す概略図である。
図2】本発明を組み込んでいるPTOシステムの一実施形態100の斜視図である。
図3】ボールねじアセンブリの斜視図である。
図4】本発明を組み込んでいるPTOシステムの代替的な実施形態200を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の典型的な環境を示す概略図である。WECブイ10は、振幅及び周波数が変動する波の動きを受ける水塊W内に配置される。WECは、2つの主要な波応答要素、すなわち浮き具20及びスパー30を備える。浮き具20は、WEC10が配置されている波と概ね同相で動くように設計され、スパー30は、静止するように設計されるか、又は、波に対して概ね位相がずれた状態で若しくは浮き具に対して遅延して動くように設計される。こうして、水塊W内の波に応じて、浮き具20とスパー30とが相対的に動く。スパー30内において、動力取出しシステム(PTO)40は、浮き具20とスパー30との間に連結され、それらの相対的な動きを電気エネルギーに変換する。
【0014】
うねり板50は、任意の適した材料(例えば、鋼)から作製することができ、うねり板50は、スパー30の下部水没部分に取り付けられて示されている。うねり板50は、かなりの量の「付加的な」質量をスパー30に与え、スパー30が比較的固定されたままであること又は波と概ね位相がずれて動くことを可能にする。この「付加的な」質量のほんの一部が、うねり板50を構成する材料の質量によるものであり、この「付加的な」質量のほとんどが、うねり板によって上下に移動される又は押される同伴水によるものである。
【0015】
図1において、浮き具20は、ブリッジ構造体60に連結され、ブリッジ構造体60には、スラスト(プッシュ)ロッド65が固定取付けされ、スラスト(プッシュ)ロッド65は、スパー30内に配置される動力取出し(PTO)システム40に連結される。波がWEC10に衝突すると、浮き具は、上下に動き、その一方で、スパーは、比較的静止しているか又は浮き具に対して概ね位相がずれて若しくは遅延して動く。波の動きに対応し、波の動きと概ね同相の浮き具の動きは、スラストロッド65のほぼ線形の(上下)運動に変換され、この運動は、浮き具とスパーとの間に本質的に接続されるPTO40に伝達される。
【0016】
PTO40は、電気的動力を出力し、この電気的動力がバッテリー70を充電し、バッテリー70がペイロード80に動力を提供する。ここでは、PTO40がバッテリー70を充電するとともにペイロード80に動力供給するための動力を提供することができることを示すことが意図されている、非常に簡略化された図である。
【0017】
図2は、PTOシステム40の一実施形態100の斜視図である。PTOは、便宜上水平に示されているが、PTOは、使用時には直立することが理解される。PTOは、構成要素の全てが取り付けられる単一のシャーシ102を備える。ガイドレール104がシャーシ上に設けられ、キャリッジ106がガイドレール104に乗ることができる。キャリッジ106の頂部には、ボールナット108が固定され、ボールナット108は、スクリューシャフト110に取り付けられる。シャフト110の端部は、適切な軸受を介してシャーシ102に取り付けられる。入力シャフト112は、片方の端部においてキャリッジ106に接続され、その反対側の端部において、ブリッジ60(図1)に接続されるように構築されているアセンブリ114が設けられている。潤滑ユニット116は、ガイドレール104及びナット108を潤滑する。結合具118は、シャフト110の端部を発電機120のシャフトに接続する。
【0018】
動作時、入力シャフト112が前後運動することで、キャリッジ106がレール104に沿って摺動する。キャリッジ106は、ナット108を保持しており、ナット108がシャフト110に沿って移動することで、シャフト110が回転する。この回転が結合具118を介して発電機120に伝達されることで、発電機が電気的動力を生成する。
【0019】
ナット108及びシャフト110は、一緒にボールねじアセンブリを構成する。ボールねじアセンブリは、回転運動と線形運動とを変換するのに有用な機構である。ボールねじに基づくPTOは、線形運動-回転運動変換(ボールねじ)、発電機、制動システム、線形シール、及び自動調心取付けを含む、WEC PTOに必要な主要機能の全てを統合している。
【0020】
図3は、典型的なボールねじアセンブリの斜視図である。ナット108は、内側螺旋溝を有し、シャフト110は、その表面に、対応する対向螺旋溝を有する。玉軸受Bは、ナット108内で循環するとともに、ナット及びスクリューシャフトの螺旋溝に沿って移動し、ナットとスクリューシャフトとの間に略摩擦の生じない接触面を形成する。PTO100においてこの構成を用いることにより、全ての動作条件下で顕著な摩耗が発生しない、信頼性のある機械的動作がもたらされる。略摩擦が生じないので、95%を超える変換効率を得ることができる。
【0021】
図4は、PTOシステム40の代替的な実施形態200を示す概略的な断面図である。この実施形態もまた、ナット108及びシャフト110を備えるボールねじアセンブリを利用する。この実施形態では、締まり嵌め式の駆動管202が、シャフト110上に同心に取り付けられる。管202は、上端部において(水平に描かれているが、PTO200は使用時実際には直立する)、ブリッジ60(図1)への接続に適した継手204が設けられ、管202は、下端部において、フランジ206を介してナット108にしっかりと接続されている。管202は、両端部がシールされ、管とシャフト110との間の摩擦を最小限に抑えるように内側がコーティングされている。シャフト110の下端部は、軸受207を介して、PTOフレーム(図示せず)に支持される2軸ジンバル208に取り付けられる。ジンバルは、シャフト110に対して垂直な2つの直交軸の周りにシャフト110を旋回させて、その駆動が正確に軸方向でない場合に管202の自動調心を可能にするように構築されている。また、ジンバルは、ナット108のトルク反作用をもたらす。ジンバル208に取り付けられる結合具210は、シャフト110と発電機120のシャフトとの間の接続部を提供する。
【0022】
動作時、駆動管202がナット108をシャフト110に沿って推進することで、シャフト110が回転する。この回転は、次に、結合具210を介して発電機120のシャフトに伝達され、電気エネルギーを生成する。
【0023】
ジンバル208は、ナット108の駆動力が、シャフト110に対して本質的に軸方向であり、ナット108に旋回トルクを発生させないことを確実にする。対照的に、PTO100は、シャフト110に片側から力を与え、ナットに旋回トルクを加えていた。また、PTO100では、比較的大型のキャリッジ106及び入力シャフト112が、複雑かつ大型のフレームに必要とされていた。したがって、PTO200は、簡略化された構成を提供する。また、PTO200は、ブリッジ60によって駆動管202に通して駆動される質量がはるかに小さい。したがって、より高い割合の駆動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0024】
図4に示されている実施形態の重要な特徴として、(1)ロッドレスバックドライブPTOをWECにおいて使用することと、(2)コーティング及びシールされたスラスト管をPTOにおいて使用して、PTOを極端な海洋環境から内部機械環境への線形の機械的動力の伝達装置とすることと、(3)2軸ジンバルを使用して、ボールナットのトルク反作用をもたらすとともに、シャフトに沿ったナットのほぼ軸方向の駆動を達成するように、PTOの自動調心のための旋回軸を提供することとが挙げられる。
【0025】
ボールねじPTOの特徴として、(1)WEC用途の自動調心ボールねじPTOを使用することと、(2)モジュール性を提供しながら、制動システム及び線形シールとPTOとを完全に統合することとが挙げられる。
【0026】
1つのタイプの駆動装置が示されたが、本発明を具現するシステムにおいて、ナット又はスクリューシャフトのいずれかを線形駆動して他方を回転させることができ、この回転運動が発電機に連結されることが理解されるべきである。
【0027】
本発明の好ましい実施形態を例示のために開示したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、上記で具体的に論じたものを含む、多くの追加、変更、及び置換が可能であることを理解する。
図1
図2
図3
図4