(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】グリコール酸および/またはグリコレートを生成する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C07C 51/235 20060101AFI20220331BHJP
C07C 59/06 20060101ALI20220331BHJP
C07C 51/43 20060101ALI20220331BHJP
B01J 23/42 20060101ALI20220331BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220331BHJP
【FI】
C07C51/235
C07C59/06
C07C51/43
B01J23/42 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019527870
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2017080065
(87)【国際公開番号】W WO2018095973
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-17
(32)【優先日】2016-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】オスモンスン・クレスチャン・モーロプ
(72)【発明者】
【氏名】ターニング・エスペン
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-098923(JP,A)
【文献】特開2008-031081(JP,A)
【文献】国際公開第2016/001169(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001136(WO,A1)
【文献】特開2005-330225(JP,A)
【文献】特開2013-001696(JP,A)
【文献】特開平08-092155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01J
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウ
ム、白金からなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、酸化剤を用いて、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100wt/wt%の間のグリコールアルデヒドを含む出発物質を酸化するステップを含
み、
出発物質が、0.1~80wt/wt%の量のピルブアルデヒド、0.1~80wt/wt%の量のアセトール、0.1~80wt/wt%の量のホルムアルデヒド、および/または0.1~80wt/wt%の量のグリオキサールの少なくとも1つを含む、
グリコール酸および/またはグリコレートを触媒生成する方法。
【請求項2】
少なくとも1つの炭水化物を熱的開裂(thermal fragmentation)に供して、0.1~10
0の間のグリコールアルデヒドを含むC
1~C
3酸化混合物を得るステップと、酸化ステップにおいて、出発物質としてグリコールアルデヒドを含むC
1~C
3酸化混合物を使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発物質が、0.1~95wt/wt
%のグリコールアルデヒドを含む、請求項1~
2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
出発物質が、水、メタノール、およびエタノール、またはそれらの混合物からなる群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1~
3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
金属系触媒が、1つまたは複数のさらなる触媒活性金属を含み、金属系触媒の触媒活性金属の少なくとも50wt/wt
%が、パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
金属系触媒が、触媒活性な金をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
金属系触媒が、触媒活性な金を含まない、請求項1~
5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
金属系触媒が、活性炭の支持体上で分散した白金を含む、請求項1~
7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
金属系触媒が、0.0001対1から0.1対1(触媒活性金属対グリコールアルデヒドの質量比(w/w))の間の量で存在する、請求項1~
8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記方法が連続法として行われ、出発物質が、0.4~400g(グリコールアルデヒド)/(g(触媒活性金属)hr)の速度で酸化に供給される、請求項1~
9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
酸化が、-10℃から100℃の
間の温度で実行される、請求項1~
10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
酸化剤が、酸素および過酸化水素、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
酸化剤の量が、1対1~10,000対1(酸化剤対基質、モル比)の間にある、請求項1~
12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
酸化剤が酸素であり、酸化が0.1~40バールの
間のO
2分圧で実行される、請求項1~
13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
熱的開裂のために使用される炭水化物が、少なくとも20wt%の単糖および/または二糖(類)を含有する水溶液の形態で供給され、単糖および/または二糖(類)が、スクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、リボース、マンノース、タガトース、ガラクトース、グルコース、およびフルクトース、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2~
14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
酸化ステップの後に、グリコール酸の単離、および任意選択でさらなる精製が行われる、請求項1~
15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
単離が、グリコール酸を析出させることにより実行される、請求項1~
16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
グリコール酸が、塩の形態で析出される、請求項1~
17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
析出が、グリコール酸を塩基と反応させて、グリコレートを形成することにより実行される、請求項1~
18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか一つに記載の方法を連続的に実行するためのシステムであって、入口および出口、ならびに請求項1~20のいずれか一つに規定される触媒を有するトリクルベッド反応器などの酸化ユニットと、入口および出口を有する熱分解開裂ユニットとを備え、前記酸化ユニットの入口は、前記熱分解開裂ユニットの出口に流体接続されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グリコール酸および/またはグリコレートを生成する方法、およびその方法によって得ることができる生成物、ならびにそのためのシステムが、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
グリコール酸は、ホルムアルデヒド、一酸化炭素、および水を反応させることにより生成できる。このプロセスには、強酸触媒(HF、H2SO4またはHClなどの)、中間温度(50~100℃の間)、および超高圧(100~500atmの間)を使用することが要求される。
【0003】
グリコール酸を生成する他の公知のプロセスは、例えばAu触媒を使用してエチレングリコールを酸化する(例えばUS7,122,698(特許文献1)に記載されるように)か、またはヘテロポリ酸でセルロースを酸化する(例えばUS2013/0281733(特許文献2)に記載されるように)ことによる。しかしながら、これらの代替プロセスも、重大な問題を引き起こす。高収率を得るために、エチレングリコールの酸化は、メタノール中で実行されるが、それによって安全上の問題が生じる。セルロースの酸化では、有機酸の複合混合物が生成され、生成物の精製が極めて困難で、高価なものとなる。さらに、これらのプロセスは両方とも、高温(100~300℃)および高圧(>5atm)を要求し、圧力容器の使用が必要となる。
【0004】
酸化によってグリコールアルデヒドから直接グリコール酸を生成する従来の方法では、酸化反応の選択性を制御する段になると難題が生じる。具体的には、グリコールアルデヒドの、カルボニル基ではなくアルコール基を酸化する副反応が、グリオキサールを生成し、これは急速にさらに酸化されて、典型的にはCO2が産生され、それによって、価値のある生成物を失うことになる。同様に、初めにグリオキシル酸となるが、最終的にはCO2となるグリコール酸のさらなる酸化を避けることも重要である。
【0005】
グリコールアルデヒドを酸化する以前の研究では、Pt電極上におけるグリコールアルデヒドの電気化学的酸化からの主要生成物が、グリオキサール(約80%の電流効率)であり、グリコール酸の生成はほんの僅かであることを示している(例えば、「Selective oxidation of the aldehyde functional group in the glycolaldehyde molecule at Pt electrodes modfied by ad-atoms」、M. ShibataおよびN. Furuya、Electrochimica Acta、39(1994)(非特許文献1)を参照されたい)。Biの吸着原子層を堆積させることによる電極表面の電気化学的修飾は、その選択性をグリコール酸へと変えるために必要であったが、これは、触媒調製へ容易には変えられないプロセスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US7,122,698
【文献】US2013/0281733
【文献】US7,094,932
【文献】US5,397,582
【非特許文献】
【0007】
【文献】「Selective oxidation of the aldehyde functional group in the glycolaldehyde molecule at Pt electrodes modfied by ad-atoms」、M. ShibataおよびN. Furuya、Electrochimica Acta、39(1994)
【文献】「Laboratory scale conceptual process development for the isolation of renewable glycolaldehyde from pyrolysis oil to produce fermentation feedstock」、C. Vitasari、G. Meindersma、およびA. de Haan、Green Chemistry 14, 321 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、産業上利用可能であり、かつ高収率で、公知の方法よりも低いコストでグリコール酸および/またはグリコレートをもたらす、グリコール酸および/またはグリコレートを生成する方法の必要性が存在する。よりエネルギー効率が良く、好ましくは、低温低圧で、環境に配慮して行われる方法の必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、グリコールアルデヒドが穏やかな反応条件下でさえ、高収率および高選択性でグリコール酸へと酸化できることが、本発明者らによって見出された。
【0010】
本明細書に開示される第1の態様は、パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、酸化剤を用いて、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100wt/wt%(質量/質量%)の間のグリコールアルデヒドを含む出発物質を酸化するステップを含む、グリコール酸および/またはグリコレートを触媒生成する方法に関する。
【0011】
本明細書に開示される第2の態様は、本明細書に開示される方法を連続的に実行するためのシステムに関する。
【0012】
本明細書に開示される第3の態様は、本明細書に開示される方法によって得ることができる、または得られるグリコール酸および/またはグリコレートの生成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
グリコール酸は、酸化によってグリコールアルデヒドから直接生成し得る。しかしながら、酸化反応の選択性を制御することが、重大な難題である。具体的には、グリコールアルデヒドの、カルボニルではなくアルコール基を酸化すると、グリオキサールが生成し、これは急速にさらに酸化されて、典型的にはCO2が産生され、それによって、価値のある生成物を失うことになる。同様に、初めにグリオキシル酸となるが、最終的にはCO2となるグリコール酸のさらなる酸化を避けることも重要である。反応スキームを以下に示す:
【0014】
【0015】
パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、酸化剤を用いて、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100wt/wt%の間のグリコールアルデヒドを含む出発物質を酸化するステップを含む、グリコール酸および/またはグリコレートを触媒生成する方法が、本明細書に開示される。
【0016】
本文脈において、単数形(singularis)の「触媒活性金属」に言及する場合、それは、単一の触媒活性金属またはいくつかの触媒活性金属を含んでもよい。
【0017】
本発明者らは、高収率の所望のグリコール酸生成物をもたらす非常に穏やかな反応条件下で、触媒を使用して、グリコールアルデヒドを含む出発物質を酸化することによって、グリコール酸を調製できることを見出した(例えば、例1を参照されたい)。ホルムアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、およびシュウ酸などの副産物が、本明細書に開示される反応条件でCO2へと急速に酸化でき、したがって、副産物が最終生成物中にほとんど観測されないことが見出された。本明細書に開示された方法のグリコール酸への選択性は、経済的で有益な方法を提供する重要なパラメーターであり、その方法の環境影響も減少させる。
【0018】
用語「触媒」は、触媒活性材料を指すことを意味する。触媒活性材料は、典型的には、a)反応剤と化学的相互作用をする活性成分、この場合触媒活性金属、およびb)広い面積にわたり、典型的には多くの個別のクラスターとなって活性成分をその表面に示すという主要な機能を有する、多孔質支持体からなる。加えて、構造支持体の形態の別の成分c)が、触媒活性材料に機械的/物理的安定性を有する明確な構造を付与する主な機能をもって存在してもよい。さらに、活性成分の結晶構造および/または粒子の焼結または類似の不活性化を低減させる安定化剤などの追加の成分d)、ならびにe)さらなる活性成分が、触媒活性材料中に存在してもよい。
【0019】
本文脈において、金属などの材料が「触媒活性である」とみなされる場合、それは、触媒活性材料の非存在下であることを除いては、同じ反応条件下の同じ反応の反応速度と比較したとき、少なくとも1桁、好ましくは2桁、さらにより好ましくは5桁で指定される、反応の反応速度を増大させることができる。触媒活性材料のパラジウムおよび/または白金は、金属形態および/または金属酸化物の形態であってもよい。
【0020】
出発物質が、本発明の酸化ステップに供される場合、グリコール酸、およびことによると、上に言及されるグリコールアルデヒドの他の反応生成物を含む酸化反応生成物が得られる。
【0021】
別の実施形態では、本明細書に開示された方法は、以下のステップを含むことがある:
- 酸化ステップにおいて、酸化反応生成物を形成するために、パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100%の間のグリコールアルデヒドおよび酸化剤を含む出発物質を酸化に供するステップ;ならびに
- 酸化反応生成物を回収するステップ。
【0022】
酸化ステップでは、出発物質および酸化剤の混合物が、反応混合物と呼ばれることがある。
【0023】
反応混合物および/または出発物質を、酸化ステップにおいて、機械的撹拌、または出発物質を通して酸化剤をバブリングすることによる撹拌に、連続的にまたは断続的に供することができ、そのように酸化反応が起こることを容易にする。
【0024】
酸化反応は、酸化ステップで起こるグリコールアルデヒドの酸化を指すことを意味する。
【0025】
酸化反応生成物は、酸化ステップで得られた粗生成物を指すことを意味する。
【0026】
用語「回収」は、酸化反応生成物を収集すること、または精製ユニットおよび/もしくは化学変換ユニットなどの後のステップに酸化反応生成物を導くことのいずれかを指すことを意味する。
【0027】
酸化ステップは、グリコールアルデヒドの実質的部分を、グリコール酸および/またはグリコレートへと変換するのに十分な期間にわたって実施される。この期間は、例えば「酸化期間」または「反応時間」と呼ばれてもよく、酸化期間は、例えば、0.5から48時間まで、例えば1から24時間までの範囲内にあってもよい。
【0028】
本発明の利点は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の収率が、30~90%、例えば50~90%の範囲に入り得ることである。酸化ステップは、例えば、連続反応器またはバッチ反応器で実施してもよい。
【0029】
別の実施形態では、本明細書に開示された方法は、少なくとも1つの炭水化物を熱的開裂(thermal fragmentation)に供して、0.1~80wt/wt%の間のグリコールアルデヒドを含むC1~C3酸化混合物を得るステップと、酸化ステップにおいて、出発物質としてグリコールアルデヒドを含むC1~C3酸化混合物を使用することを含む。
【0030】
グリコールアルデヒドは、例えば、US7,094,932(特許文献3)およびUS5,397,582(特許文献4)に記載されているC1~C3酸化物の混合物を生成するための、炭水化物の高温開裂によって生成できることが知られている。この方法では、ホルムアルデヒド、ギ酸、グリオキサール、ピルブアルデヒド、およびアセトールなどの、様々なC1~C3酸化物の複合混合物が生成される。その混合物からグリコールアルデヒドを単離することは極めて困難であり、複数の単位操作が要求され、かつ低い全収率しか得られない(「Laboratory scale conceptual process development for the isolation of renewable glycolaldehyde from pyrolysis oil to produce fermentation feedstock」、C. Vitasari、G. Meindersma、およびA. de Haan、Green Chemistry 14, 321 (2012)(非特許文献2))。
【0031】
本発明者らは、驚くべきことに、C1~C3酸化物の出発物質もまた、本明細書に開示された方法によって、高収率のグリコール酸を提供するために酸化させることができることを見出した(例えば、例2を参照)。加えて、ピルビン酸がC3種から選択的に形成されるが、C1種はガスへと完全に酸化される。したがって、C1~C3酸化物の出発物質を用いて、非常に純粋なグリコール酸生成物が得られる可能性もある。開裂および酸化の組み合わせは、非常に単純で拡張可能な方法によって、バイオマス由来のグリコール酸を生成することを可能とする。
【0032】
一実施形態では、熱的開裂によってC1~C3酸化混合物を得るために使用される炭水化物は、少なくとも20wt%の単糖および/または二糖を含有する水溶液の形態で供給してもよい。一実施形態では、単糖および/または二糖(類)は、スクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、リボース、マンノース、タガトース、ガラクトース、グルコース、およびフルクトース、またはそれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態では、単糖(類)は、グルコース、ガラクトース、タガトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボース、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
一実施形態では、酸化ステップのための出発物質は、熱的開裂によって調製されていてもよく、グリコールアルデヒドに加えて、0.1~80wt/wt%の量のピルブアルデヒド、0.1~80wt/wt%の量のアセトール、0.1~80wt/wt%の量のホルムアルデヒド、および/または0.1~80wt/wt%の量のグリオキサールの少なくとも1つを含む。
【0034】
さらなる実施形態では、出発物質は、0.1~60wt/wt%の量、例えば0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~30wt/wt%の量のピルブアルデヒドを含む。さらなる実施形態では、出発物質は、0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量、例えば0.1~10wt/wt%の量のアセトールを含む。さらなる実施形態では、出発物質は、0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量、例えば0.1~10wt/wt%の量のグリオキサールを含む。さらなる実施形態では、出発物質は、0.1~60wt/wt%の量、例えば0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量のホルムアルデヒドを含む。
【0035】
さらなる実施形態では、出発物質は、0.1~95wt/wt%、例えば、0.1~80wt/wt%、10~80wt/wt%、または20~60wt/wt%のグリコールアルデヒドを含む。
【0036】
一実施形態では、C1~C3酸化混合物は、
グリオキサール: 0.1~20wt/wt%
ピルブアルデヒド: 0.1~20wt/wt%
グリコールアルデヒド: 10~60wt/wt%
ホルムアルデヒド: 0.1~20wt/wt%
アセトール: 0.1~20wt/wt%
を含む。
【0037】
さらなる実施形態では、C1~C3酸化混合物は、
グリオキサール 1~2wt/wt%
ピルブアルデヒド: 4~12wt/wt%
グリコールアルデヒド: 20~38wt/wt%
ホルムアルデヒド: 3~10wt/wt%
アセトール: 1~3wt/wt%
を含む。
【0038】
さらなる実施形態では、C1~C3酸化混合物は、乾物基準で、
グリオキサール: 2~3wt/wt%
ピルブアルデヒド: 8~23wt/wt%
グリコールアルデヒド: 40~75wt/wt%
ホルムアルデヒド: 6~19wt/wt%
アセトール: 2~5wt/wt%
を含む。
【0039】
一般的に、より小さな酸化物、主にC1~C3への糖類の熱的開裂は、高温で実行できる。副反応を避けるために、非常に高い加熱速度が通常は必要とされ、したがって、反応を実行するための適切な手段は、流動層反応器である。このタイプの反応器では、流動媒体の急速な混合により、層上にほぼ等温な温度プロファイルが得られ、供給原料の急速な加熱が可能となる。供給原料が小滴の形態で、例えば、霧化ノズルを通って注入された水溶液としてさらに導入される場合、注入の際に供給原料の表面積が大きいので、さらに高い加熱速度が達成できる。これは、供給原料の高い分散度が反応器内で達成され、分子間反応を最小化するというさらなる利点を有し、そうでなければ所望のC1~C3酸化物への選択性が下がることとなる。したがって、熱的開裂反応を実行するのに適切な手段は、バブリング流動層反応器による手段であり、これは、窒素などの不活性ガスを使用して流動化される。流動媒体は、砂またはガラスビーズなどの不活性材料であり、所望の反応温度、例えば400~800℃で維持される。基質は、水溶液として反応器にポンプで送り込まれ、かつ供給原料の高い分散を達成するための適切なノズル、例えば、供給原料を50μm未満の液滴へと霧化可能な二流体ノズルを通って層に注入される。このように、供給原料の必要とされる非常に高い加熱速度を達成することができ、所望のC1~C3酸化物への高い選択性が可能となる。これらの反応条件では、所望の酸化物は気相にあり、それゆえ流動化ガスとともに反応器から外に運ばれることとなるが、しかしながら、それらはその反応条件では安定しておらず、したがって、反応器におけるそれらの滞留時間は短いことが好ましい。ガス状の生成物が反応器を出た後、水溶液としてC1~C3酸化物を収集する濃縮ステップなどの、下流工程ステップに送られることがある。熱分解開裂ユニットは流動層反応器であってもよい。流動媒体は、好ましくは、砂、シリカ、ガラス、アルミナ、鋼、および炭化ケイ素、またはそれらの混合物からなる群から選択される。熱分解開裂は、400から600℃の間、好ましくは450~600℃の温度で実行される。
【0040】
本発明の態様に従って、糖からグリコール酸を調製するためのプロセスが開示され、このプロセスは、
i. 糖を含む供給原料を用意するステップと;
ii. 供給原料を熱分解開裂にさらして、1つまたは複数のC1~C3酸化化合物を含む開裂生成組成物を生成するステップと;
iii. 任意選択で、開裂生成組成物を調節するステップと;次いで
iv. 酸化ステップにおいて、酸化反応生成物を形成するために、パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100%の間のグリコールアルデヒドおよび酸化剤を含む、ステップii)またはiii)の開裂生成組成物を酸化に供するステップと;
v. 酸化反応生成物を回収するステップとを含む。
【0041】
一実施形態では、酸化のための出発物質は、水、メタノール、およびエタノール、またはそれらの混合物からなる群から選択される溶媒をさらに含む。溶媒が業界内でしばしば使用される有機溶媒よりも安く、安全な溶媒である水であってもよいことは、利点である。これにより、環境に対する影響が最小化される。糖が水溶液で市販されていることはさらなる利点である。
【0042】
一実施形態では、酸化は、-10℃から100℃の間、例えば-5℃から80℃の間、例えば0℃から70℃の間、例えば5℃から70℃の間、例えば10℃から60℃の間、例えば15℃から50℃の間、例えば20℃から40℃の間の温度で実行される。
【0043】
一実施形態では、酸化剤は、酸素および過酸化水素、またはそれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態では、酸化剤は、大気の形態で供給される。一実施形態では、酸化剤は酸素であり、酸化は、0.1~40バールの間、例えば0.15~1バールの間のO2分圧で実行される。一実施形態では、酸化ステップで使用される酸化剤の量は、1対1から10,000対1(酸化剤対グリコールアルデヒドのモル比)の間にある。
【0044】
一実施形態では、金属系触媒は、1つまたは複数のさらなる触媒活性金属を含み、金属系触媒の触媒活性金属の少なくとも50wt/wt%、例えば少なくとも60wt/wt%、例えば少なくとも70wt/wt%、例えば少なくとも80wt/wt%、例えば少なくとも90wt/wt%、例えば少なくとも95wt/wt%が、白金およびパラジウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、金属系触媒中少なくとも50wt/wt%、例えば少なくとも60wt/wt%、例えば少なくとも70wt/wt%、例えば少なくとも80wt/wt%、例えば少なくとも90wt/wt%、例えば少なくとも95wt/wt%の触媒活性金属は、白金である。
【0045】
さらなる実施形態では、金属系触媒は、1つまたは複数の他の触媒活性金属、例えば、ニッケルなどの1つまたは複数のさらなる第10族金属をさらに含む。一実施形態では、金属系触媒は、触媒活性な金をさらに含む。別の実施形態では、金属系触媒は、触媒活性な金を含まない。
【0046】
一実施形態では、金属系触媒は、その上で触媒活性金属が分散させられる支持体を含む。一実施形態では、支持体は、活性炭、アルファアルミナなどのアルミナ、炭化ケイ素、シリカ、チタニア、およびジルコニア、またはそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、金属系触媒は、活性炭の支持体上で分散した白金を含む。穏やかな反応条件のため、高価な触媒活性金属の溶出は小さい。
【0047】
一実施形態では、金属系触媒は、不均一触媒である。不均一触媒を使用する利点は、触媒が反応器内に留まるのがより容易であり、そして再活性化および再使用のために回収するのがより容易である点である。
【0048】
一実施形態では、金属系触媒は、酸化ステップにおいて、0.0001対1から0.1対1(触媒活性金属対グリコールアルデヒドの質量比(w/w))の間の量で存在する。一実施形態では、この方法は連続法として行われ、出発物質は、0.4~400g(グリコールアルデヒド)/(g(触媒活性金属)hr)の速度(毎時重量空間速度、WHSV)で、酸化反応に供給される。
【0049】
一実施形態では、酸化ステップの後に、酸化反応生成物からのグリコール酸/グリコレートの精製を行う。一実施形態では、精製は、酸選択膜を使用する電気透析によって行われる。この方法の利点は、グリコール酸/グリコレートが直接取り出され、過酸化のリスクが減少する点である。適切な精製法の他の例は、析出および/またはエステル化である。
【0050】
精製は、グリコール酸および/またはグリコレートの単離であってもよい。単離されたグリコール酸および/またはグリコレートは、さらなる精製に供してもよい。
【0051】
単離は、例えば、析出させて、その後ろ過することによって実行してもよい。析出は、例えば、グリコール酸を塩基と反応させることにより実行してもよい。
【0052】
一実施形態では、グリコレートを得るために、酸化ステップは塩基の存在下で実行してもよいし、または酸化ステップの後に塩基を添加してもよい。
【0053】
一実施形態では、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、およびCaCO3、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
一実施形態では、酸化反応生成物からのグリコール酸の単離は、例えば、金属塩の形態などの、塩の形態のグリコール酸を析出させることにより実行してもよい。
【0055】
別の実施形態では、グリコール酸の精製は、グリコール酸生成物を、所望の純度を得るために蒸留されるメチルグリコレートに変換することにより達成することができる。次いで、高純度のグリコール酸は、メチルグリコレートを加水分解することにより、メタノールおよびグリコール酸へと戻して得ることができる。
【0056】
グリコール酸は、金属塩の形態で析出することによって、酸化反応生成物から単離してもよい。例えば、カルシウムグリコレートは、グリコール酸の溶液にCa(OH)2を添加することによって析出させることができる。次いで、その塩を、ろ過により単離し、細かな不純物を取り除くために任意選択で洗浄できる。グリコール酸の酸形態は、水性酸中に塩を溶解させることにより再び得ることができる。酸化反応が完了した後にアルカリを添加する代わりに、アルカリは、グリコール酸が形成されると、断続的に析出するように前もって添加してもよい。
【0057】
一実施形態では、本明細書に開示された方法を連続的に実行するためのシステムであって、入口および出口、ならびに本明細書に規定される触媒を有するトリクルベッド反応器などの酸化ユニットと、入口および出口を有する熱分解開裂ユニットとを備え、前記酸化ユニットの入口は、前記熱分解開裂ユニットの出口に流体接続されている、システムが本明細書に開示される。一実施形態では、システムは、酸化ユニット中に追加のO2の入口を有していてもよい。O2は反応中に使用され得る、または生成物とともに反応器から出ることがあるので、特定のO2の出口は必要ない可能性があるか、または出口は望まれる、および/もしくは必要とされることがある。
【0058】
一実施形態では、本明細書に記載される方法により得ることができる、または得られるグリコール酸生成物が開示される。
【0059】
例
例1
グリコールアルデヒドの酸化を、大気圧で、酸化剤として空気を使用して白金触媒上で実行した。実験手順は以下の通りであった。グリコールアルデヒド二量体(100mg)を、水に溶解し(15.0g、出発物質)、触媒(50mg)、5wt/wt% Pt/C(Sigma-Aldrich)を添加した。そのスラリーを、磁気撹拌棒を使用して撹拌し、油浴中で所望の酸化反応温度まで加熱した。ガスラインをスラリーに沈めて、0.2~0.5Nl/分の速度で、空気をスラリーに通してバブリングした。反応フラスコに、還流凝縮器を取り付け、水の蒸発を最小化するために2℃まで冷やした。所望の反応時間後、固体を、ろ過によって酸化反応生成物から取り除き、その反応液をHPLCによって分析した。40℃の反応温度では、76mol%のグリコール酸の収率が、3.5時間後に得られた。30℃の反応温度では、反応を23.5時間進行させ、その時点で、99mol%超の収率が得られた。グリコールアルデヒド分子または副産物は、おそらく形成されたあらゆる副産物が完全に酸化したために、いずれの場合も観測されなかった。
【0060】
例2
出発物質としてのC1~C3酸化混合物の酸化も調査した。その混合物を、以下の手順により調製した。41mmの内径の流動層に、50mlの150~250μmガラスビーズを装填した。その層を窒素で流動化し、510℃まで加熱した。グルコースの20wt/wt%水溶液の供給原料を、2g/分の速度で流動層に注入した。供給原料は、霧状ミストとして、層へと供給原料を送るために、二流体ノズルを使用して注入した。反応条件での反応器中のガス空塔速度は、およそ40cm/sであった。その反応器から出るガスストリームを、表面凝縮器を使用して1℃まで直ちに冷却して、永久ガスから液体生成物を分離し、その液体のC1~C3酸化混合生成物を収集した。
【0061】
酸化反応ステップを実行する前に、C1~C3酸化混合物を、ロータリーエバポレータで水混合溶媒の一部を取り除くことにより濃縮し、かつ不揮発性成分を取り除くために薄膜蒸発により精製した。C1~C3酸化混合物(出発物質)の濃度を、水を添加することにより、3.5wt/wt%のグリコールアルデヒドになるまで調整した。200mgの触媒を、10gの酸化溶液に添加した。そうでなければ、酸化を30℃の温度で実施した以外は、グリコールアルデヒドのために上記されるものと同じ手順を使用して、反応を実行した。グリコール酸の79mol%の収率(グリコールアルデヒドから)および73mol%ピルビン酸の収率(ピルブアルデヒドおよびアセトールから)を得た。酸化反応生成物中で観測された唯一の他の生成物は、微量なシュウ酸であった。
【0062】
開裂によってグルコースから最大66mol%の収率のグリコールアルデヒドが生じることが実証されているように、これは、グルコースからの52mol%グリコール酸の全収率(炭素基準で)に相当する。
【0063】
実施形態
本発明は、以下の実施形態によってさらに規定される。
【0064】
実施形態1. パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される触媒活性金属を含む金属系触媒の存在下で、酸化剤を用いて、-10℃から100℃の間の温度で、0.1~100wt/wt%の間のグリコールアルデヒドを含む出発物質を酸化するステップを含む、グリコール酸および/またはグリコレートを触媒生成する方法。
【0065】
実施形態2. 少なくとも1つの炭水化物を熱的開裂に供して、0.1~100、例えば0.1~80wt/wt%の間のグリコールアルデヒドを含むC1~C3酸化混合物を得るステップと、酸化ステップにおいて、出発物質としてグリコールアルデヒドを含むC1~C3酸化混合物を使用することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0066】
実施形態3. 出発物質が、0.1~80wt/wt%の量のピルブアルデヒド、0.1~80wt/wt%の量のアセトール、0.1~80wt/wt%の量のホルムアルデヒド、および/または0.1~80wt/wt%の量のグリオキサールの少なくとも1つを含む、実施形態1~2のいずれか一つに記載の方法。
【0067】
実施形態4. 出発物質が、0.1~60wt/wt%の量、例えば0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~30wt/wt%の量のピルブアルデヒドを含む、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
実施形態5. 出発物質が、0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量、例えば0.1~10wt/wt%の量のアセトールを含む、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0069】
実施形態6. 出発物質が、0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量、例えば0.1~10wt/wt%の量のグリオキサールを含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0070】
実施形態7. 出発物質が、0.1~60wt/wt%の量、例えば0.1~40wt/wt%の量、例えば0.1~20wt/wt%の量のホルムアルデヒドを含む、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0071】
実施形態8. 出発物質が、0.1~95wt/wt%、例えば、0.1~80wt/wt%、10~80wt/wt%、または20~60wt/wt%のグリコールアルデヒドを含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0072】
実施形態9. 出発物質が、水、メタノール、およびエタノール、またはそれらの混合物からなる群から選択される溶媒をさらに含む、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0073】
実施形態10. 溶媒が水である、実施形態9に記載の方法。
【0074】
実施形態11. 金属系触媒が、1つまたは複数のさらなる触媒活性金属を含み、金属系触媒の触媒活性金属の少なくとも50wt/wt%、例えば少なくとも60wt/wt%、例えば少なくとも70wt/wt%、例えば少なくとも80wt/wt%、例えば少なくとも90wt/wt%、例えば少なくとも95wt/wt%が、パラジウムおよび白金、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0075】
実施形態12. 金属系触媒が、触媒活性な金をさらに含む、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
【0076】
実施形態13. 金属系触媒が、触媒活性な金を含まない、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
【0077】
実施形態14. 金属系触媒が、1つまたは複数の他の触媒活性金属をさらに含む、実施形態1~13のいずれか一つに記載の方法。
【0078】
実施形態15. 金属系触媒が、その上で触媒活性金属が分散させられる支持体を含む、実施形態1~14のいずれか一つに記載の方法。
【0079】
実施形態16. 金属系触媒が、不均一触媒である、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
【0080】
実施形態17. 支持体が、活性炭、アルファアルミナなどのアルミナ、炭化ケイ素、シリカ、チタニア、およびジルコニア、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0081】
実施形態18. 金属系触媒が、活性炭の支持体上で分散した白金を含む、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
【0082】
実施形態19. 金属系触媒が、0.0001対1から0.1対1(触媒活性金属対グリコールアルデヒドの質量比(w/w))の間の量で存在する、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
実施形態20. その方法が、連続法として行われ、出発物質が、0.4~400g(グリコールアルデヒド)/(g(触媒活性金属)hr)の速度で酸化に供給される、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
実施形態21. 酸化が、-10℃から100℃の間、例えば-5℃から80℃の間、例えば0℃から70℃の間、例えば5℃から70℃の間、例えば10℃から60℃の間、例えば15℃から50℃の間、例えば20℃から40℃の間の温度で実行される、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
【0085】
実施形態22. 酸化剤が、酸素および過酸化水素、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
【0086】
実施形態23. 酸化剤が、大気の形態で供給される、実施形態1~22のいずれか一つに記載の方法。
【0087】
実施形態24. 酸化剤の量が、1対1から10,000対1(酸化剤対基質、モル比)の間にある、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
【0088】
実施形態25. 酸化剤が酸素であり、酸化が0.1~40バールの間、例えば0.15~1バールの間のO2分圧で実行される、実施形態1~24のいずれか一つに記載の方法。
【0089】
実施形態26. 炭水化物が、少なくとも20wt%の単糖および/または二糖を含有する水溶液の形態で供給される、実施形態2~25のいずれか一つに記載の方法。
【0090】
実施形態27. 単糖および/または二糖(類)が、スクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、リボース、マンノース、タガトース、ガラクトース、グルコース、およびフルクトース、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態2~26のいずれか一つに記載の方法。
【0091】
実施形態28. 単糖(類)が、グルコース、ガラクトース、タガトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボース、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態27に記載の方法。
【0092】
実施形態29. 酸化ステップの後に、グリコール酸の単離、および任意選択でさらなる精製が行われる、実施形態1~28のいずれか一つに記載の方法。
【0093】
実施形態30. 単離が、グリコール酸を析出させることにより実行される、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
実施形態31. グリコール酸が、塩の形態で析出される、実施形態1~30のいずれか一つに記載の方法。
【0095】
実施形態32. 析出が、グリコール酸を塩基と反応させて、グリコレートを形成することにより実行される、実施形態1~31のいずれか一つに記載の方法。
【0096】
実施形態33. 酸化ステップが、塩基の存在下で実行される、実施形態1~32のいずれか一つに記載の方法。
【0097】
実施形態34. 酸化ステップの後に、塩基を添加する。実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0098】
実施形態35. 塩基が、LiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、およびCaCO3、またはそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態32~34のいずれか一つに記載の方法。
【0099】
実施形態36. 実施形態1~35のいずれか一つに記載の方法を連続的に実行するためのシステムであって、入口および出口、ならびに上記実施形態のいずれか一つに規定される触媒を有するトリクルベッド反応器などの酸化ユニットと、入口および出口を有する熱分解開裂ユニットとを備え、前記酸化ユニットの入口は、前記熱分解開裂ユニットの出口に流体接続されている、システム。
【0100】
実施形態37. 酸化ユニット中に追加のO2の入口をさらに有する、実施形態36に記載のシステム。
【0101】
実施形態38. 実施形態1~35のいずれか一つに記載の方法によって得ることができる、または得られるグリコール酸および/またはグリコレート。