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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】三元前駆体材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20220331BHJP
   H01M 4/505 20100101ALN20220331BHJP
   H01M 4/525 20100101ALN20220331BHJP
【FI】
C01G53/00 A
H01M4/505
H01M4/525
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019532969
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2017113324
(87)【国際公開番号】W WO2019104473
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2019-06-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517065404
【氏名又は名称】アモイタングステンニューエナジーマテリアル(アモイ)カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】馬 躍飛
(72)【発明者】
【氏名】鄭 雋
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105399154(CN,A)
【文献】特開2012-252964(JP,A)
【文献】特開平10-081521(JP,A)
【文献】特開2017-168198(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107069023(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104347866(CN,A)
【文献】特開2016-044120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 53/00
H01M 4/00 - 4/62
CAplus/REGISTRY/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三元前駆体材料の製造方法であって、
ニッケル源、コバルト源およびマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成し、且つ前記第一混合溶液中のニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル比が所定の比であるステップS1と、
第一混合溶液及び第一強アルカリ溶液を第一反応器中に加え、次いで、その中に第一錯化剤を加え、前記第一混合溶液が第一反応器中の水酸物イオンと反応して種結晶を形成するステップS2と、
ステップS2で反応して得られた前記種結晶を第二反応器内に加え、次いで、第二錯化剤と、ニッケル源、コバルト源、及びマンガン源が脱イオン水に溶解して形成された第二混合溶液と、第二強アルカリ溶液とを前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、沈殿を有するスラリーを生成し、前記スラリーの固形分を所定の範囲内に抑制するステップ3と、
ステップS3で十分に反応して得られた前記スラリーを熟成槽中に移動させて引き続き反応させた後、固液分離し、並びに、脱イオン水を用いて分離した沈殿を洗浄するステップS4と、
ステップS4で得られた沈殿物を酸素富化空気中で乾燥して三元前駆体材料を得るステップS5と、を含み、
ステップS2において、前記第一反応器は、第一混合溶液及び第一強アルカリ溶液を加える前にその内部に塔底液を有し、前記第一反応器内の塔底液の高さは、前記第一反応器の供給口の高さよりも高いことを特徴とする三元前駆体材料の製造方法。
【請求項2】
前記第一反応器及び前記第二反応器は大型フラックス反応釜であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項3】
ステップS2において、前記第一錯化剤を所定の速度で連続して第一反応器内に加え、連続して第一錯化剤を加える時間は1~24時間の間であることを特徴とする請求項2に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項4】
ステップS2において、前記第一反応器内のPH値は10.5~12.8の間であり、前記第一反応器内の反応温度は40~80℃の間であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項5】
ステップS2において、前記種結晶の粒径は1~9μmの間であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項6】
ステップS3において、前記スラリー中の固形分は700~1600g/Lの間であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項7】
ステップS3において、前記第二反応器内のPH値は10.5~12.8の間であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項8】
ステップS5において、前記乾燥温度は270~350℃の間であり、乾燥時間は1~4時間の間であることを特徴とする請求項1に記載の三元前駆体材料の製造方法。
【請求項9】
三元前駆体材料であって、前記三元前駆体材料の分子式はNixCoyMnz(OH)であり、その中で、x+y+z=1であり、x、y、zの値の範囲は0~1であり、x、y、zは何れも0と1に等しくなく、
前記三元前駆体材料はボール状構造であり、前記ボール状構造は、外殻、転移層、及び前記外殻と前記転移層により包囲された内核を備え、
前記外殻は緻密な構造であり、前記内核は緩い多孔構造であり、前記転移層は前記外殻及び前記内核の間に位置し、
前記三元前駆体材料は水酸化ニッケル、水酸化コバルト及び水酸化マンガンにより形成された原子レベルで混合された混合物であり、前記外殻の結晶度は前記内核の結晶度より高く、前記転移層の結晶度は前記外殻及び前記内核の間であることを特徴とする三元前駆体材料。
【請求項10】
前記三元前駆体材料のD50は2~18μmの間であり、且つ(D5+D95):D50≦2.2であることを特徴とする請求項9に記載の三元前駆体材料。
【請求項11】
前記三元前駆体材料の内核の密度は内部から外部に向けて除々に大きくなっていることを特徴とする請求項9に記載の三元前駆体材料。
【請求項12】
前記三元前駆体材料のポロシティは20~70%の間で抑制されることを特徴とする請求項9に記載の三元前駆体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池用の三元前駆体材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三元材料は層状のニッケルコバルトマンガン複合正極材料であり、その主な金属元素はニッケル、マンガン、コバルト金属である。これらは、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムと比較して、コストが低い、放電容量が大きい、優れたサイクル特性及び熱の安定性に優れ、構造が安定している等の利点を有する。三元材料は、Ni-Co-MNのシナジー効果により、コバルト酸リチウムの優れたサイクル特性、ニッケル酸リチウムの高比容量、マンガン酸リチウムの高い安全性及び低コスト等の利点を有する。三元材料の総合的な性能は任意の単一な組み合わせ化合物よりも優れており、既に、最も発展が見込まれるリチウムイオン電池の正極材料となっている。
【0003】
三元前駆体材料は三元材料を調合する重要な原料である。三元前駆体材料の物理化学的性能は直接三元材料の電気化学的性能に影響し、直接高性能の三元材料の応用、例えば、三元前駆体の形状、粒度分布、結晶構造等を制約する。現在の三元前駆体材料の生産過程はその内部構造を制御するのが難しい。また、従来の常用の三元前駆体材料から製造される三元材料はカーバッテリーのインジケーターの要求を満たしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、カーバッテリーのインジケーターの要求を満たし、構造を制御できる三元前駆体材料、その製造方法及び三元材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の三元前駆体材料の製造方法は、ニッケル源、コバルト源およびマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成し、且つ前記第一混合溶液中のニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル比が所定の比であるステップS1と、第一混合溶液及び第一強アルカリ溶液を第一反応器中に加え、次いで、その中に第一錯化剤を加え、前記第一混合溶液が第一反応器中の水酸物イオンと反応して種結晶を形成するステップS2と、ステップS2で反応して得られた前記種結晶を第二反応器内に加え、次いで、第二錯化剤と、ニッケル源、コバルト源、及びマンガン源が脱イオン水に溶解して形成された第二混合溶液と、第二強アルカリ溶液とを前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、沈殿を有するスラリーを生成し、前記スラリーの固形分を所定の範囲内に抑制するステップ3と、ステップS3で十分に反応して得られた前記スラリーを熟成槽中に移動させて引き続き反応させた後、固液分離し、並びに、脱イオン水を用いて分離した沈殿を洗浄するステップS4と、ステップS4で得られた沈殿物を酸素富化空気中で乾燥して三元前駆体材料を得るステップS5と、を含み、ステップS2において、前記第一反応器は、第一混合溶液及び第一強アルカリ溶液を加える前にその内部に塔底液を有し、前記第一反応器内の塔底液の高さは、前記第一反応器の供給口の高さよりも高い
【0006】
さらに、前記第一反応器及び前記第二反応器は大型フラックス反応釜である。
【0007】
さらに、ステップS2において、前記第一錯化剤を所定の速度で連続して第一反応器内に加え、連続して第一錯化剤を加える時間は1~24時間の間である。
【0008】
さらに、ステップS2において、前記第一反応器内のPH値は10.5~12.8の間であり、前記第一反応器内の反応温度は40~80℃の間である。
【0009】
さらに、ステップS2において、前記種結晶の粒径は1~9μmの間である。
【0010】
さらに、ステップS3において、前記スラリー中の固形分は700~1600g/Lの間である。
【0011】
さらに、ステップS3において、前記第二反応器内のPH値は10.5~12.8の間である。
【0012】
さらに、ステップS5において、前記乾燥温度は270~350℃の間であり、乾燥時間は1~4時間の間である。
【0013】
前記三元前駆体材料の分子式はNixCoyMnz(OH)であり、その中で、x+y+z=1であり、x、y、zの値の範囲は0~1であり、x、y、zは何れも0と1に等しくなく、前記三元前駆体材料はボール状構造であり、前記ボール状構造は、外殻、内核及び転移層を備え、前記外殻は緻密な構造であり、前記内核は緩い多孔構造であり、前記転移層は前記外殻及び前記内核の間に位置し、前記三元前駆体材料は水酸化ニッケル、水酸化コバルト及び水酸化マンガンにより形成された原子レベルで混合された混合物であり、前記外殻の結晶度は前記内核の結晶度より高く、前記転移層の結晶度は前記外殻及び前記内核の間である。
【0014】
さらに、前記三元前駆体材料のD50は2~18μmの間であり、且つ(D5+D95):D50≦2.2である。
【0015】
さらに、前記外殻の厚さは0.5~10μmの間であり、前記転移層の厚さは0~2μmの間であり、前記内核の直径は10μmより大きくなく、且つ前記外殻のタップ密度は前記内核のタップ密度より大きく、前記外殻のタップ密度は2.5g/cmより小さくなく、前記内核のタップ密度は3.0g/cmより大きくない。
【0016】
さらに、前記三元前駆体外殻の直径と前記内核の直径の比は1:1~1:9の間である。
【0017】
さらに、前記三元前駆体の内核の密度は内部から外部に向けて除々に大きくなっている。
【0018】
さらに、前記三元前駆体材料の内核の孔径は0.l~2μmの間に抑制する。
【0019】
さらに、前記三元前駆体材料のポロシティは20~70%の間で抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明が提供する三元前駆体材料の製造方法のフローチャートである。
図2図2は本発明が提供する三元材料前駆体の実施形態の粒度分布図である。
図3図3は本発明が提供する三元材料前駆体の実地形態のマイクログラフである。
図4図4図3における三元前駆体材料の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の具体的な実施形態を図面と併せて、さらに本発明に対して説明する。
【0022】
以下、具体的な実施例を併せて、本発明に対して詳細に説明する。以下の実施例は当業者が本発明をさらに理解することを助ける。しかし、如何な形態も本発明を制限しない。当業者は、本発明の構想を逸脱しない前提下で、複数の変形及び変更を行うことができる。これらは何れも本発明の保護範囲に属する。
【0023】
図1を参照すると、図1は本発明が提供する三元前駆体材料の製造方法のフローチャートである。前記三元前駆体材料の製造方法は以下のステップを含む。
【0024】
ステップS1では,ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中のニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度は所定の比である。
【0025】
前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源は何れも水に溶けることができる塩である。具体的には、前記ニッケル源は、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル及び塩化ニッケルのうちの一種または多種の混合物である。前記コバルト源は硫酸コバルト、硝酸コバルト及び塩化コバルトのうちの一種または多種の混合物である。前記マンガン源は硫酸マンガン、硝酸マンガン及び塩化マンガンのうちの一種または多種の混合物である。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル比は実際の要求に基づいて対応する調整を行うことができるが、本願はこれに対して限定しない。
【0026】
ステップS2では,前記第一混合溶液及び第一強アルカリ溶液を第一反応器に加える。次いで、その中に第一錯化剤を加える。前記第一混合溶液は第一反応器中の水酸化物イオンと反応して種結晶を生成する。
【0027】
本実施形態において、前記第一反応器は反応釜である。具体的には、前記第一反応器は大型循環フラックス反応釜であり、この大型循環フラックス反応釜の循環フラックスは10~40m/hの間である。さらに、本実施形態において、前記反応釜は誘導式のドラフトチューブ構造である。前記種結晶反応器は、混合溶液を加える前に、その内部に適量の塔底液を有する。前記塔底液は、空の塔底液であり、例えば、前記塔底液は脱イオン水であってもよい。前記種結晶反応器内の塔底液の液面の高さは前記供給口の高さより10~100cm高い。言い換えると、前記種結晶反応器の供給口は前記種結晶反応器内の塔底液の液面以下に位置する。したがって、前記種結晶反応器内の加えられた溶液は素早く分散することができる。
【0028】
具体的には、前記第一混合溶液を前記第一反応器中に加える。次いで、所定の速度で前記第一反応器内に連続して第一錯化剤を加える。本実施形態において、前記第一錯化剤はアンモニア水である。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に45g/Lまで上昇する。連続して前記アンモニア水を加える時間は1~24時間の間に抑制することができる。その他の実施形態において、前記第一錯化剤はさらに硫酸アンモニウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、炭酸水素ナトリウム及びシュウ酸のうちの少なくとも一種であってもよい。
【0029】
前記第一混合溶液は前記第一強アルカリ溶液及び前記アンモニア水と反応して沈殿を生成し、第一反応器内の固液混合物のPH値を10.5~12.8の間に抑制する。同時に、前記第一反応器内の反応温度を40~80℃の間に抑制する。
【0030】
本実施形態において、前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中の金属カチオンのモル数の比は0.5~2.8の間である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム溶液の一種または二種である。
【0031】
混合溶液において、前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンは前記第一強アルカリ溶液と前記アンモニア水の水酸化物イオンと結合して、水酸化ニッケル、水酸化コバルト及び水酸化マンガンの混合物を生成する。前記種結晶は即ち前記混合物により形成された顆粒である。前記種結晶の粒径は1~9μの間である。
【0032】
ステップS3では,ステップS2において反応で得られた前記種結晶を前記第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成し、前記スラリーの固形分を所定の範囲内に抑制する。
【0033】
本実施形態において、前記第二反応器は、同様に、大型循環フラックス反応釜であり、且つ同様に誘導式のドラフトチューブである。具体的な反応過程において、前記第二反応器内に前記種結晶を加えた後、再度この中に第二錯化剤を加えて、前記第二反応器内の第二錯化剤の濃度を抑制する。次いで、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液の順に前記第二反応器内に加えて反応させる。この際、沈殿を有するスラリーを生成する。前記沈殿はステップS2で形成された種結晶が核であり、前記第二反応器内で引き続き成長して形成される。
【0034】
本実施形態において、前記第二混合溶液は、同様に、前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源により、所定の比率に基づいて水中に溶解して形成される。前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源の種類は前記第一混合溶液中の前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源の種類と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。本発明はこれに対して限定しない。また、前記第二混合溶液中のニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度は、前記第一混合溶液中のニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度と完全に同じであるが、当然ながら同じでなくてもよい。本発明はこれに対して限定しない。
【0035】
前記第二錯化剤はアンモニア、硫酸アンモニウム、EDTA、炭酸水素ナトリウム及びシュウ酸のうちの少なくとも一種である。前記第二錯化剤は、前記第一錯化剤と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。本願において、前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記アンモニア水の濃度は1.0~20.0%の間である。前記アンモニア水を定量ポンプにより所定の速度で連続して前記第二反応器内に加える。当然ながら、前記第二錯化剤はさらにその他の種類の錯化剤であってもよく、本発明はこれに対して限定しない。
【0036】
前記第二混合溶液中のカチオンのモル濃度は0.5~2.8mol/Lの間である。第二混合溶液中の金属カチオンのモル数と前記第一混合溶液中の金属カチオンのモル数の比は、0.4~1.5の間である。
【0037】
ステップS3において、反応環境のPH値を10.5~12.8の間に抑制する。前記第二混合溶液中の前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源は前記第一混合溶液中の前記ニッケル源、コバルト源及びマンガン源の種類と同じであってもよいが、当然ながら同じでなくてもよく、本願はこれに対して制限しない。前記第二混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル比は実際の要求に基づいて対応する調整をしてもよく、本発明はこれを限定しない。
【0038】
本実施形態において、フィルターバックの方法を用いて前記スラリー中の固形分を抑制する。具体的には、フィルターバックの方法により前記スラリー中の固形分を700~1600gの間で抑制する。また、フィルターバックの時間を1~12時間の間で抑制する。即ち、フィルターによりその中の沈殿をフィルターして、前記第二反応器内にバックする。次いで、フィルター後の液体を排出する。
【0039】
ステップS4では,ステップS3で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽中に移動させて引き続き反応させた後、固液分離する。並びに、脱イオン水を用いて分離した沈殿物を洗浄する。
【0040】
前のステップで得られた反応生成物を熟成槽に移動させ、第三アルカリ溶液を加えて前記熟成槽中のPH値を10~13の間に調節する。同時に、攪拌により溶液中の反応が終わっていないニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンを十分に反応環境中の水酸化物イオンと反応させて沈殿を生成する。前記熟成槽内の固体沈殿を分離する。即ち、固液分離する。また、前記熟成槽における継続的な反応は前記沈殿に対して表面改質を行うことができる。これにより、最終的に得られる製品の性能を向上させることができる。具体的には、本願において、熟成槽内の沈殿及び液体をプレート式フレームフィルタープレス内に移動させる方法を用いて、固液分離を行う。これにより、その中の固体沈殿を分離する。次いで、分離した沈殿を脱イオン水でPH値が8より小さくなるまで洗浄する。
【0041】
前記第三アルカリ溶液は同様に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム溶液のうちの一種または二種である。
【0042】
ステップS5では,ステップS4で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で乾燥して三元前駆体材料を得る。
【0043】
本願において、前記沈殿物は前記水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化マンガンにより形成された原子レベルで混合された混合物である。前記沈殿物を酸素富化雰囲気のロータリーキルンで乾燥させる。その乾燥温度は270~350℃の間であり、乾燥時間は1~4時間の間である。前記三元前駆体材料のポロシティは20~70%の間で抑制される。並びに前記三元前駆体材料のポロシティはケースと内核の厚さの比を調節することにより対応する調整を行うことができる。前記三元前駆体材料の内核の孔径は0.l~2μmの間に抑制することができる。
【0044】
図2図4を併せて参照すると、前記三元前駆体材料の分子式はNixCoyMnz(OH)であり、その中で、x+y+z=1である。x、y、zの値の範囲は0~1である。また、x、y、zは何れも0と1に等しくない。前記三元前駆体材料はボール状構造であり、ケース、転移層及び前記ケースにより包囲された内核を備える。前記ケースは緻密な構造であり、前記内核は緩い多孔構造である。前記転移層は前記ケース及び前記内核の間に位置する。前記ケース、前記転移層及び前記内核のタップ密度は異なり、前記ケースのタップ密度は前記内核のタップ密度より大きい。前記転移層のタップ密度は前記ケースのタップ密度より小さく、前記内核のタップ密度より大きい。これからわかるように、記転移層の前記ケースの結晶度は前結晶度より高く、且つ前記転移層の結晶度は前記内核の結晶度より大きい。前記ケースの厚さは0.5~10μmの間であり、前記ケースの密度は2.5g/cmより小さくない。当然、前記ケースの直径及びタップ密度は実際の要求に基づいて調整することができるが、本願はこれを限定しない。また、前記三元前駆体材料の内核の直径は10μmより大きくなく、且つ密度は3.0g/cmより大きくない。前記転移層の厚さは0~2μmの間である。
【0045】
また、前記三元前駆体材料のケースの直径と前記内核の直径の比は1:1~1:9の間である。前記三元前駆体材料の内核の密度は内部から外部に向けて除々に大きくなっている。具体的には、前記内核の密度は層状の段階的密度分布を呈している。前記内核の層状の段階的な密度分布は2.0~4.2g/cmの間である。
【0046】
前記三元前駆体材料の粒径は1~40μmの間である。さらに、前記三元前駆体材料のD50は2~18μmの間であり、且つ(D5+D95):D50≦2.2である。前記D50は、縦軸累計分布50%に対応する横軸の直径の値を指す。同様に、前記D5は縦軸類型分布5%に対応する横軸の直径の値を指し、前記D95は縦軸累計分布95%に対応する横軸の直径の値である。
【0047】
本願はさら三元材料を提供する。前記三元材料は前記三元前駆体材料及びリチウム源を混合し、並びに純酸素または空気雰囲気下で700~1200℃で焼結して製造される。前記リチウム源は水酸化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、炭酸リチウム及びシュウ酸リチウムのうちの一種または多種である。前記三元材料はAl、Ca、Na、Ti、Mg、Zr及びWのうちの少なくとも一種の金属カチオンをドープすることができる。或いはS、Cl及びFのうちの少なくとも一種のアニオンをドープすることができる。
【0048】
前記三元材料が電池に組み立てられた後、20C倍率下で充放電を2000周行った後の容量の保持率は88%より小さくなく、良好な倍率性能を有する。
【0049】
本願で開示する三元前駆体材料の製造方法は、前記製造された三元前駆体材料の形状及び粒径を抑制できる。当該方法は容易に抑制できるため、工業化生産に適している。また、本願の三元前駆体材料のケース及び内核の結晶の強さは異なり、前記三元前駆体材料を用いて製造された三元材料は良好な倍率性能及びサイクルの安定性能を有するため、カーバッテリーとして使用するのに適している。
【0050】
実施例一
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は5/2/3である。
【0051】
第一混合溶液を第一反応器に加える。前記第一反応器は反応釜であり、且つ循環フラックスは25m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に30g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は12時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は0.5である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0052】
第一反応器内の反応環境の反応温度を60℃に制御する。この際、前記第一混合溶液は反応環境中の水酸化物と反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は1~7μmの間である。
【0053】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は同様に大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは25m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は1である。
【0054】
前記第二混合溶液は同様に硝酸ニッケル、硝酸コバルト及び硝酸マンガンが脱イオン水中に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は5/2/3である。前記第二容器の反応過程におけるPH値は10.5~12.8の間であり、フィルターバックの方法により前記スラリー中の固形分を1000g/Lに抑制する。
【0055】
前で十分に反応して得られた反応生産物を熟成槽に移動して引き続き反応させて、熟成槽中のPH値を10に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離して、脱イオン水で前記沈殿物をPH値が8より小さくなるまで洗浄する。
【0056】
前で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で300℃で3時間乾燥して三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は16μmである。
【0057】
実施例二
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は3/3/3である。
【0058】
第一混合溶液を第一反応器に加える。前記第一反応器は反応釜であり、循環フラックスは15m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に15g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は24時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は1である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0059】
反応釜内の反応環境の反応温度を40℃に抑制する。この際、前記第一混合溶液は反応環境中の水酸化物と反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は3~9μmの間である。
【0060】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、アンモニア水、第二混合溶液及び水酸化ナトリウム溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は同様に大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは15m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は1.5である。
【0061】
前記第二混合溶液は同様に硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンが脱イオン水に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は3/3/3である。前記第二容器の反応過程中のPH値は11~12の間である。フィルターバックの方法を用いて前記スラリー中の固形分を700g/Lに抑制する。
【0062】
前で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽に移動して引き続き反応させて、熟成槽中のPH値を11に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離して、脱イオン水で前記沈殿物をPH値が8より小さくなるまで洗浄する。
【0063】
前で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で330℃で3時間乾燥した後、三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は2μmである。
【0064】
実施例三
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液において、前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は8/1/1である。
【0065】
第一混合溶液を第一反応液に加える。前記第一反応液は反応釜であり、循環フラックスは40m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に45g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は1時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は1.5である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0066】
第一反応器内の反応環境の反応温度を80℃に制御する。この際、前記第一混合溶液は反応環境中の水酸化物と反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は1~9μmの間である。
【0067】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は同様に大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは40m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は1である。
【0068】
前記第二混合溶液は同様に塩化ニッケル、塩化コバルト及び塩化マンガンが脱イオン水に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は8/1/1である。前記第二容器の反応過程におけるPH値は10.5~11.5の間であり、フィルターバックの方法により前記スラリーの固形分を1600g/Lに抑制する。
【0069】
前で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽に移動して引き続き反応させて熟成槽中のPH値を13に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離する。並びに脱イオン水で前記沈殿物をPH値が8より小さくなるまで洗浄する。
【0070】
前で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で、350℃で3時間乾燥して三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は18μmである。
【0071】
実施例四
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は8/1/1である。
【0072】
第一混合溶液を第一反応器に加える。前記反応器は反応釜であり、且つ循環フラックスは30m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に40g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は5時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は0.5である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0073】
前記第一反応器内の反応環境のPH値を12に抑制する。同時に、前記第一反応器内の反応環境の反応温度を70℃に抑制する。この際、前記第一混合溶液と反応環境中の水酸化物イオンは反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は5~9μmの間である。
【0074】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は同様に大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは30m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は0.8である。
【0075】
前記第二混合溶液は同様に硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンが脱イオン水中に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は8/1/1である。前記第二容器の反応過程におけるPH値は11.5~12.8の間であり、フィルターバックの方法により前記スラリーの固形分を1200g/Lに抑制する。
【0076】
前で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽に移動して引き続き反応させて熟成槽中のPH値を12に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離する。並びに脱イオン水で前記沈殿物をPH値が8より小さくなるまで洗浄する。
【0077】
前で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で300℃で3時間乾燥した後、三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は15μmである。
【0078】
実施例五
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は6/2/2である。
【0079】
第一混合溶液を前記反応釜に加える。前記第一反応器は反応釜であり、且つ循環フラックスは25m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に20g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は20時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は0.5である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0080】
前記第一反応器内の反応環境の反応温度を70℃に抑制する。この際、前記第一混合溶液と反応環境中の水酸化物は反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は1~9μmの間である。
【0081】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は同様に大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは30m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は1.5である。
【0082】
前記第二混合溶液は同様に硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンが脱イオン水中に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は6/2/2である。前記第二容器の反応過程におけるPH値は12~12.8の間であり、フィルターバックの方法により前記スラリーの固形分を900g/Lに抑制する。
【0083】
前で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽に移動して引き続き反応させて熟成槽中のPH値を12.5に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離する。並びに脱イオン水で前記沈殿物を8より小さいPH値まで洗浄する。
【0084】
前のステップで得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で270℃で3時間乾燥した後、三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は8μmである。
【0085】
実施例六
ニッケル源、コバルト源及びマンガン源を所定の比率に基づいて脱イオン水に溶解して第一混合溶液を形成する。前記第一混合溶液中の前記ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンのモル濃度の比は4/4/2である。
【0086】
第一混合溶液を前記反応釜に加える。前記第一反応器は反応釜であり、且つ循環フラックスは25m/hである。次いで、その中に一定の速度でアンモニア水及び第一強アルカリ溶液を加える。前記アンモニア水の濃度は0g/Lから除々に20g/Lまで上昇する。前記アンモニア水を加える持続時間は20時間である。前記第一強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数と前記第一混合溶液中のカチオンのモル数の比は0.5である。前記第一強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液である。
【0087】
第一反応器内の反応環境の反応温度は70℃に抑制する。この際、前記第一混合溶液と反応環境中の水酸化物イオンは反応して沈殿を生成する。前記沈殿は種結晶である。前記種結晶の粒径は1~9μmの間である。
【0088】
前の反応で得られた前記種結晶を第二反応器内に加える。次いで、第二錯化剤、第二混合溶液及び第二強アルカリ溶液を前記第二反応器内に加えて十分に反応させて、固体沈殿を有するスラリーを生成する。前記第二反応器は、同様に、大型循環フラックス反応釜であり、循環フラックスは30m/hである。前記第二錯化剤はアンモニア水である。前記第二強アルカリ溶液は水酸化ナトリウム溶液であり、前記第二混合溶液中のカチオンのモル数と前記第二強アルカリ溶液中の水酸化物イオンのモル数の比は1.5である。
【0089】
前記第二混合溶液は同様に硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンが脱イオン水中に溶解して得られる。前記ニッケルイオン、前記コバルトイオン及び前記マンガンイオンのモル濃度の比は6/2/2である。前記第二容器の反応過程におけるPH値は12~12.8の間であり、フィルターバックの方法により前記スラリーの固形分を900g/Lに抑制する。
【0090】
前で十分に反応して得られた反応生成物を熟成槽に移動して引き続き反応させて熟成槽中のPH値を12.5に抑制する。次いで、熟成槽内の沈殿及び液体を前記フィルタープレス内に移動して個液分離する。並びに脱イオン水で前記沈殿物を8より小さいPH値まで洗浄する。
【0091】
前で得られた沈殿物を酸素富化雰囲気の中で270℃で3時間乾燥した後、三元前駆体材料を得る。得られた三元材料の前駆体のD50は8μmである。
図1
図2
図3
図4