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  • 特許-カーテン制御装置 図1a
  • 特許-カーテン制御装置 図1b
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  • 特許-カーテン制御装置 図3a
  • 特許-カーテン制御装置 図3b
  • 特許-カーテン制御装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】カーテン制御装置
(51)【国際特許分類】
   A47H 5/032 20060101AFI20220331BHJP
   A47H 11/06 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A47H5/032
A47H11/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019536655
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017073140
(87)【国際公開番号】W WO2018065186
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】1042054
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519094019
【氏名又は名称】アイアイエム ホールディング ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】IIM HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】Korte leidsedwarsstraat 12, Amsterdam, 1017RC, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】ベーツトラ,カイ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特公昭31-001770(JP,B1)
【文献】実公昭18-012201(JP,Y1)
【文献】特開昭63-220813(JP,A)
【文献】米国特許第04957014(US,A)
【文献】特表2014-521855(JP,A)
【文献】特開2007-252201(JP,A)
【文献】特開2006-061524(JP,A)
【文献】米国特許第04995442(US,A)
【文献】米国特許第07337825(US,B1)
【文献】特開2000-130052(JP,A)
【文献】米国特許第05889377(US,A)
【文献】特開平08-154809(JP,A)
【文献】特開昭56-023916(JP,A)
【文献】実開昭62-129984(JP,U)
【文献】実開昭62-200982(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン開閉用のカーテン制御装置であって、
2つのケーブルスプールと、1つのプーリと、1つの駆動ケーブルとを含む開ループシステムを備え、前記ケーブルが前記これらのスプール上に巻き取られ、前記ケーブルの各端部は前記スプールのうちの1つに連結され、
前記ケーブルスプールは、適当なケーブル端部で前記ケーブルを巻き取りそして繰り出すように構成され、
前記プーリは、前記両方のスプールの間に延伸する前記ケーブルを遠隔位置でガイドする遠隔ケーブルプーリであって、前記ケーブルスプールは前記スプールの繰り出し方向と反対の方向にケーブル予張力を作用させるように構成され、
前記装置は電気的駆動手段をさらに備え、前記電気的駆動手段は電気モータと、前記一方または他方のケーブルスプールに前記モータを係合させるための、または前記一方および他方のケーブルスプールから前記モータの係合を解除するための電気作動式の係合手段とを含み、これによって、前記ケーブルに連結されたカーテンを移動させるために、前記ケーブルを前記一方のケーブルスプールから前記他方のケーブルスプールへまたはその逆に移動させたり、あるいは前記ケーブルに連結された前記カーテンを手動で移動させることを可能にするために、前記モータを前記両方のケーブルスプールから切り離したりすることができるように構成されることを特徴とする、カーテン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテン制御装置であって、前記ケーブルスプールを定トルクばねの一端に連結することによって、前記ケーブルスプールの前記繰り出し方向と反対の方向にケーブル予張力を作用させるように構成された、カーテン制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカーテン制御装置であって、前記ケーブルスプールが、円周方向に歯を設けられた歯付きディスクと係合する歯付きピニオンを介して、前記定トルクばねの一端に連結された、カーテン制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカーテン制御装置であって、前記係合手段が歯車を備えてなる、カーテン制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカーテン制御装置であって、前記係合手段が歯車およびウォームホイールを備えてなる、カーテン制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載のカーテン制御装置であって、前記係合手段が摩擦ディスクを備えてなる、カーテン制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載のカーテン制御装置であって、前記ケーブルスプールが摩擦面を備えてなる、カーテン制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載のカーテン制御装置であって、前記モータを前記一方または他方のケーブルスプールに係合するように、または前記モータを前記一方および他方のケーブルスプールから切り離すように構成された前記係合手段は、好ましくはリニア式ステッピングモータからなる電動式リニアモータ、またはサーボモータを備えてなる、カーテン制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動式カーテンの動作に関し、特に家庭用または商業的用途のために既存のシステムに装着するための能力に注目したものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドレープロッドは、カーテン、ブラインド、およびその他の窓の処理方法に対し、閉位置または開位置に滑動させることが可能な取り付け手段を提供するものである。典型的な支持ロッドは、円形または長方形の管体、あるいはその他の断面形状を有し、そこでは(ドレープを保持する)リングまたはフックが管体の内側または外側を滑動可能になっている。このロッドは往々にして壁または天井に取り付けられる。
【0003】
住宅向けおよび商業施設向けのドレープシステムは、近年目覚ましい進歩を遂げている。今日においては、ドレープロッドは、ロッドの経路に沿って操作可能な(ロープまたはケーブルなどの)可撓性部材と共に、歯車およびプーリから成る内部システムを備え得る。フックまたは支持リングはこの可撓性部材に取り付けられることでロッドの長さに沿って同じ経路をたどることができる。可撓性部材の動作は、手動またはモータによって駆動することで所望の閉位置または開位置に設定することができる。
【0004】
一般的には、ドレープは自動的に動かすことが必要となる場合が多い。個人宅にとっては贅沢な選択肢であるに違いないが、これは特に自ら自由に動き回ることができない人々にとっては大きな利便性をもたらすものとなり得る。
【0005】
従来型のこれらのシステムは閉ループ内を移動する可撓性部材で構成される。そのようなシステムは、例えば米国特許第20160066734号(A1)に見出すことができる。可撓性部材は所定の長さを有し、循環式に旋回させることができるようになっている。ドレープの端部のフックまたはリングは、可撓性部材と同じ経路をたどることができるように、可撓性部材上の特定の箇所に取り付けられる。これらのシステムはドレープを一方の側から他方の側へ移動させるが、その場合一方の側でドレープを閉じて他方の側でドレープを開く、またはドレープの2つの部分をロッドの端から中央へ(またはその逆に)移動させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのシステムの最大の欠点は、上述したように、設置前にドレープシステムを所望の長さに合わせる必要があることである。その結果、電動式のドレープロッドは、異なる窓ごとにそれぞれ注文生産することが必要となる。これは原価を上昇させるだけでなく、組み立て時間も増加させ、幅広い使用を妨げる。さらに製造工程または正しい長さの測定に誤りがあった場合に、ロッドを単純に伸縮させることはできない。
【0007】
米国特許第20150075734号(A1)には、上述された問題に部分的に対応するドレープカーテンロッドが記載されている。それは斬新な機械的解決手段によって容易に伸縮させることができるドレープロッドである。しかしながら、たとえばロッドの長さは柔軟だが天井に取り付けるためにかなりの技術的熟練を必要とすること、一定のループに沿って使用するには駆動プーリが可撓性部材をしっかりと把持する必要があることなど、それにはまだ考慮すべきいくつかの欠点が残されている。したがって、この可撓性部材にかかる張力を高いままに保持することが必要となる。そのため、システムを延伸させることが困難になったり、あるいは時折駆動プーリによる可撓性部材の把持が緩んだりすることによって、結果的に磨耗および/またはカーテンの位置に関する情報の喪失が発生することになる。
【0008】
上述された把持に関する問題については、プーリに替えて閉ループ内でスプールまたはドラムを使用することによって対処することができる。そのようなシステムは、例えば米国特許第4957014号(A)または日本国特許第2007252201号(A)に見出すことができる。しかしながら、これらのシステムもまたそれぞれの欠点を有している。引張りコードを巻き取り続けると、最終的にはドラムの終端に達して、コードの繰り出し部の上に巻き上げることとなる。これにより大きな摩擦が発生し、最終的に摩耗の発生に至る。そのため、この問題を回避するにはドラムの幅を極端に大きくすること、および/または周長を大きくすることが必要となる。その結果、コードを引っ張ったり繰り出したりするといった極めて単純なことを実行するために、巨大な装置を必要とすることとなる。
【0009】
上述された解決手段はすべて完全なシステムであり、フックを備えた完全なロッドで構成されることを意味する。この場合の完全なシステムの最大の欠点は、通常、すでに設置されている既存のシステムを置き換える必要があるということである。したがって多くの時間と技術的熟練が必要となる。さらにこれらのシステムは高い材料費および輸送費のために高価なものとならざるを得ない。
【0010】
垂直ブラインドを自動化するための後付式の(「既存のものに適した」)解決手段については、数多くが存在し、それ故に完全なシステムは必要とされていない。一方、水平移動するドレープのための後付式の解決手段はほとんど存在していない。日本国特許2006061524(A)には1つの後付式の解決手段が提案されている。この発明はいくつかの問題に対応しているが、依然として生じるいくつかの重要な不具合が存在する。たとえば、システムはカーテンラックの両端に設けられた2つの主要ユニットで構成されるため、依然として設置する前に所定の長さを設定しなければならない、ということである。これはまた、両側に2つの電源が必要になることも示唆する。最後に、手動操作も備えられていない。システムを手動で操作できるようにするには、スプールを自由に巻ける(回転させる)ようにする必要がある。しかしながら、スプールを自由に巻ける(回転させる)ようにすると、コードがぶら下がり始めることとなる。人が取り付けられたフックを(たとえばカーテンを開くために)巻き取りホイールの方向に引っ張ると、コードが緩んでぶら下がり始め、カーテンの中間部にコードの緩んだ部分が生じる。
【0011】
当該技術の結果、電動式ドレープの製造、設置および使用は依然として高価なものとなり、その設置は一般に高級住宅およびホテルのみに留まっている。このように、「調整、取り付け、および自動化」が容易なドレープシステムに対する継続的でまだ満たされていないニーズが存在している。既存のドレープに簡単に取り付けて完全自動制御を引き継ぐことができるようにするためには、あらゆる寸法と吊り下げ機構に適合することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その択一的な形態としては、例えばカーテンなど、1つ以上の対象物を移動させるように構成されたシステムとして特定されよう。このシステムは、前記1つ以上の対象物に連結される駆動ケーブルと、駆動ケーブルの両端部のどちらかに連結され、適当なケーブル端部で駆動ケーブルを巻き取りおよび繰り出しするように配置された2つのケーブルスプールと、さらに、双方のケーブルスプールの間に張られた駆動ケーブルを遠隔位置(X)でガイドするために設けられた、遠隔ケーブルプーリとを備える。ケーブルスプールは、スプールの繰り出し方向と反対の方向にケーブル予張力が作用するように構成され、駆動ケーブルの垂れ下がりを防止するためのケーブル張力を連続的に発生させる。
【0013】
このシステムはさらに、一方または他方のケーブルスプールに係合されるように構成される電気的駆動手段を備え、それによって、駆動ケーブルに連結された前記1つ以上の対象物(例えばカーテンなど)を移動させるために、駆動ケーブルを一方から他方のケーブルスプールに、またはその逆に移動させる。このシステムはあるいは、両方のケーブルスプールから係合を解除されるように構成される電気的駆動手段を備え、それによって、電気的駆動手段から独立して、駆動ケーブルに連結された前記1つ以上の対象物を手動で操作することが可能となる。
【0014】
ケーブルスプールにスプールの繰り出し方向と反対の方向にケーブル予張力を作用させるように、ケーブルスプールを定トルクばねの一端に連結してもよい。
【0015】
一方または他方のケーブルスプールに係合されるか、または両方のケーブルスプールから係合を解除されるように構成される電気的駆動手段は、電気モータと、モータを一方または他方のケーブルスプールに係合するように構成、またはモータを一方および他方のケーブルスプールから切り離すように構成される電気作動式係合手段とを備えてもよい。
【0016】
係合手段として、歯車、または摩擦車もしくは摩擦ディスク(例えば円板など)を備えてもよい。
【0017】
「摩擦車」または「摩擦ディスク」、あるいは以降に使用される「摩擦面」といった用語は、もっぱら摩擦手段に限定されるものではない。当業者は、たとえば磁気的手段、歯付きの手段、歯車など、対応する要素を組み合わせてなる任意の係合機構が使用され得ることを理解するものと思われる。
【0018】
モータを一方または他方のケーブルスプールに係合するように、または一方および他方のケーブルスプールからモータを切り離すように構成された係合手段は、電動式リニアモータ、例えばリニア式ステッピングモータを備えてもよい。あるいは係合手段は1つ以上のソレノイドを用いて実装されてもよい。
【0019】
したがってここに、調節可能で、後付け式で、そして取り付けが容易なカーテン制御装置が開示される。
【0020】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】本発明の例示的実施形態の概要を概略的に示す図である。
図1b】本発明の例示的実施形態の概要を概略的に示す図である。
図2図2a~図2dは図1の実施形態をより詳細に示す図である。
図3図3aおよび図3bは駆動歯車の2つの代替実施形態を示す図である。
図4図4はスプールを詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図3の全ては、対象物(201、203)を動かすように、例えばカーテンを開閉するように構成されたシステム(100、113および115を含む)を示す。システムは、対象物に連結(301、303)される駆動ケーブルまたはロープ(以下、ケーブル(115)と呼ぶ)、ならびにケーブルのどちらか一方の端部に連結された(または連結される)2つのケーブルスプール(105、107)を備える。ケーブルスプールは、適当なケーブル端部(115a、115b)でケーブルを巻き取ったり繰り出したりできるように構成される。遠隔位置(X)において、両方のケーブルスプールの間に延伸するケーブルをガイドするために、遠隔ケーブルプーリ(113)が設けられる。ケーブルスプールは、スプールの繰り出し方向(U)と反対の方向(T)にケーブル予張力が作用するように配置される。さらに、システムは一方または他方のケーブルスプールに係合されるように構成される電気的駆動手段(108)を備え、それによって、ケーブルに連結された対象物を移動させるために、ケーブルを一方から他方のケーブルスプールに、またはその逆に移動させる。システムはあるいは、両方のケーブルスプールから係合を解除されるように構成される電気的駆動手段を備え、それによってケーブルに連結された対象物を手動で移動(滑動)操作することが可能となる。
【0023】
図1aおよび図1bは、完全なシステムの例示的な実施形態の概要を示し、図2a~図2dはいくつかのシステム構成要素をより詳細に示す。
【0024】
図2aは、周方向の歯部を備えたケーブルスプール(105、107)を収容する筐体(102)、ならびに歯車(101および103)および電気的駆動手段(108)を示す。図2bは図2aを「分解図」で示したものである。
【0025】
一方または他方のケーブルスプールに係合されるかまたは両方のケーブルスプールから係合を解除されるように構成された電気的駆動手段(108)は、たとえばリニア式ステッピングモータ、リニアアクチュエータ、サーボモータ、DCモータ、ソレノイドなど、電気モータ(109)および電気作動式の係合手段(111)を備え、歯車またはピニオン(103)を上方または下方に滑動させることによって、モータを(歯車(103)の上方位置で)一方のケーブルスプールに係合、または(歯車(103)の下方位置で)他方のケーブルスプールに係合、あるいは(歯車(103)の中央位置で)一方および他方のケーブルスプールからモータの係合を解除するように構成される。
【0026】
図2cおよび図2dは、ケーブルスプール(105および107)が、円周方向に歯を設けた歯付きディスク(121、123)と係合する歯付きピニオン(1055)を介して、巻き上げ式の定トルクばね(117、119)の一端に連結された状態を示す。これによりケーブルスプール(105および107)はスプールの繰り出し方向と反対の方向にケーブル予張力を作用させる。巻き上げ式の定トルクばね(117、119)の内側の端部は歯付きディスク(121、123)の中心に固定され、ばねの外側の端部は、筐体(102)に固定される。
【0027】
図3aは、歯車(101)をウォームホイール(210)に置き換えた実施形態を示す。ウォームホイールは電気モータ(109)によって駆動されてもよい。
【0028】
図3bは、2つのケーブルスプール(105、107)が電気モータ(109)によって回転可能に駆動されてもよく、また係合手段(111)によって上方または下方に動かされてもよい摩擦ディスク(220)を介して駆動され得る実施形態を概略的に示す。ここで、係合手段(111)は、たとえば(ステッピング)モータまたはサーボモータを備えたリニアアクチュエータであり、回転式の摩擦ディスク(220)を上方位置に位置決めして上部ケーブルスプール(105)の摩擦面(211)と係合させ、または回転式の摩擦ディスク(220)を下方位置に位置決めして下部ケーブルスプール(107)の摩擦面(212)と係合させ、あるいは回転式の摩擦ディスク(220)を両方のケーブルスプール(105、107)の間の中間位置に位置決めする。
【0029】
以下、図1および図2に例示される実施形態について、システムの設置および操作を含めて、より詳しく概説する。
【0030】
1.装置をドレープシステムへ取り付ける前の出発点
装置(100)は、2つの小型のスプール(105および107)と1つのプーリ(113)を有する開ループシステムから成る。これらのスプールは互いに接続されていないため、互いに独立して回転できる。これらのスプールには1本の細長いコードまたはケーブル(115)が巻き付けられる。装置が操作されない場合、すなわちどのモータも回転しないでスプールにトルクを伝達しない場合、スプールは自由に回転することができる。これによってコードを装置から容易に引き出すことができるため、ユーザは必要な長さを容易に設定することができ、したがって水平方向に移動するあらゆる種類のドレープへの取り付けが容易になる(この点については続いての段でさらに詳しく説明する)。コードはプーリ(113)に沿って移動し、プーリは設置手順において、ドレープの反対側に取り付けられる。プーリはコードがこの開ループシステムで滑らかに動くことを可能にする。
【0031】
2.設置手順
プーリとコードを含む装置全体は、ドレープシステム(201および203)の背面で、ドレープトラックと窓の間に係止する必要がある。装置(100)およびプーリ機構(113)はそれぞれドレープシステムの端部に取り付けられなければならない。取り付けには、ドレープ布への固定、ドレープトラックへの取り付け、または壁への取り付けという、3つの異なった方法がある。
【0032】
コードは、ドレープの内側の両端(301および303)(ドレープを開閉するときに引っ張られる部分)に取り付ける必要がある。コードはまた、布に固定したり、ドレープトラックのランナーに取り付けたりすることもできる。図1は、中央で閉じる2つの部分からなるドレープシステムの概略図を示す。片側だけを閉じる方式のドレープシステムも、(片側の「内側の端部」がないだけの違いで)同じように操作される。
【0033】
本発明の一代替実施形態では、システムを取り付けて動かすドレープに適合させた後、ユーザは両方のスプール(105、107)を互いに同期して回転するように接続することができる。したがって、ケーブルの一方の端は一方のスプールに時計回りに巻き取られ、ケーブルのもう一方の端はもう一方のスプールに反時計回りに巻き取られる(一方のスプールはケーブルを巻き取り、他方のスプールはケーブルを繰り出す)こととなる。この場合、定トルクばね(117、119)の使用は必要ないものと思われる。
【0034】
3.スプール
図4に示されるように、スプール(105および107)は3つの部分から成る:
a.コードを巻き取るためのスプール(1051)
b.DCモータ(109)からのトルクを受ける歯車(1053)
この歯車は装置が動いているときにのみ駆動される。これについては4項でさらに詳しく説明する。
【0035】
c.小さな一定のトルクを受けるための小型の歯車(1055)
この歯車は定トルクばねに常時接続されて常に巻き取ろうとすべく作用する。これについては6項でさらに詳しく説明する。
【0036】
4.動作
装置は2つのモータを備える。これらは、たとえばDCモータなどの1つの電気モータ(109)、および係合手段(111)として作用する1つのミニリニアアクチュエータである。DCモータ(109)は回転力を発生させる。回転力はベベル歯車(101)から小型の係合歯車(103)へ、そして2つのスプール(105および107)のうちの1つへと伝達され、そのスプールを回転させる。これによりコードが巻き取られ、ドレープが所望する側に引っ張られる。リニアアクチュエータ(111)は、小型の係合歯車(103)を上下に押して、所望するドレープの運動方向に応じて、頂部スプール(105)または底部スプール(107)のいずれかに係合させる。動作の例:頂部スプール(105)がDCモータ(109)によって駆動される場合には、底部スプール(107)は小型の係合歯車(103)に係合されず、したがって自由に動くことができる。このようにして、底部スプール(107)は、頂部スプール(105)が巻き取るのと同じ長さのコードを繰り出すことができる。頂部スプール(105)に巻き取られるコードは、ドレープ(301または303)の一方の「内側の端部」に取り付けられる。2項で説明された図の例では、これは左側のドレープ(301)に該当する。結果として、ドレープは右へ動くこととなる。
【0037】
装置が入力を待つ待機モードにあるときには、小型の係合歯車(103)は2つのスプール(105および107)のちょうど真ん中に位置し、どちらのスプールにも接触しない。したがって、2つのスプールは自由に走行できるため、ドレープを手動で動かすことが可能になる。これについては6項でさらに詳しく説明する。
【0038】
5.ドレープの位置の決定
装置にとっては、ドレープの正確な位置を知ることが必要となる。位置の情報により、装置はカーテンを開閉するためにどれだけのコードを巻き取らなければならないかを知ることになる。これを達成するために、両方のスプールは「速度センサ」に接続される。速度センサは回転を測定し、それによってスプールの正確な位置を割り出す。
【0039】
6.手動によるドレープの移動
装置が作動していない(待機モードの)場合、スプールは自由に走行することができる。これは、ドレープも自由に動くことができ、したがって手動で開閉できることを意味する。DCモータ(109)によってコード(115)に対してコード張力を加えることはないものの、スプールが常に巻き取りを行おうとするような小さな張力を保つことが必要である。そのため、スプールはそれぞれ定トルクばね(117および119)に連結される。スプール(1055)上の小型の歯車は、それぞれ大型の歯車(121および123)に接続され、減速を実現する。定トルクばね(117および119)は大型の歯車(121および123)と中心部で連結される。スプールに連結されたコードが引っ張られると、定トルクばね(117および119)はゆっくりと巻き上げられる。これによりスプールに持続的な張力を与え、スプール自体の巻き取りを促す。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4