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特許7050078少なくとも1つの脆弱な光エミッタを含むサンプルに適した光リソグラフィプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】少なくとも1つの脆弱な光エミッタを含むサンプルに適した光リソグラフィプロセス
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
G03F7/20 505
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019545284
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018053401
(87)【国際公開番号】W WO2018149779
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】17305170.7
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509025832
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】519297263
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ ディデロ-パリ セット
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS DIDEROT-PARIS 7
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】メートル,アニエス
(72)【発明者】
【氏名】ダワン,アミット ラージ
(72)【発明者】
【氏名】セネラール,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ベラセル,シェリフ
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0302442(US,A1)
【文献】特開昭51-147264(JP,A)
【文献】特開平02-052724(JP,A)
【文献】国際公開第2016/019212(WO,A1)
【文献】特開2000-114148(JP,A)
【文献】特開2010-251746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00-5/136
G03F 7/20-7/24
9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエミッタ(1)を含むサンプル(2)に対するリソグラフィプロセスであって、
前記サンプル(2)の上方に少なくとも1つのレジスト層(3、4)を置くステップと、
1つの選択エミッタ(1)を光(13)で前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)を通じて励起するステップと、
前記励起された選択エミッタ(1)によって放出される光(14)を検出し、前記選択エミッタ(1)の位置を決定するステップと、
前記選択エミッタ(1)の位置の上方に光ビーム(15)を置くことによって、前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)の一部を前記光ビーム(15)によって硬化させるステップであって、前記光ビーム(15)は、断面を有する成形光ビーム(15)であり、該断面は中央部分(16)、前記中央部分(16)を囲む中間部分(17)、および前記中間部分(17)を囲む境界部分(18)を有し、前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)に対する前記成形光ビーム(15)の強度は、前記中間部分(17)において最大値に達する、硬化させるステップと
を含む、リソグラフィプロセス。
【請求項2】
前記硬化ステップの間、前記サンプルの上から見て、前記中間部分は前記選択エミッタを囲んでおり、および/または、前記成形光ビーム(15)は前記選択エミッタ(1)の位置を中心とすることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記中央部分(16)は、
前記成形光ビーム(15)の強度の回転対称中心、および/または
前記成形光ビーム(15)の強度の鏡面対称の少なくとも2つの対称軸(38、39、40、41)の交点
であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記選択エミッタ(1)を励起するための前記光(13)が、前記成形光ビーム(15)と同じ光源(19)から入来することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記選択エミッタ(1)を励起するための前記光(13)及び前記成形光ビーム(15)が、同じレーザモード、同じ形状、同じサイズを有することを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記選択エミッタ(1)を励起するための前記光(13)は、前記選択エミッタの位置の上方に前記光ビーム(15)を置くことによって前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)の一部を硬化させるために使用される前記成形光ビーム(15)のパワーより低いパワーを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記選択エミッタ(1)を励起するための前記光(13)は、前記選択エミッタの位置の上方に前記光ビーム(15)を置くことによって前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)の一部を硬化させるために使用される前記成形光ビーム(15)のパワーより少なくとも1000倍低いパワーを有することを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記成形光ビーム(15)が空間的に成形されたレーザモードであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記成形光ビーム(15)は、
TEM00もしくはLG00レーザモードとは異なり、および/または
ラゲールガウスモードもしくはベッセルビームであり、および/または
ドーナツラゲールガウスレーザモードであり、および/または
LGl=1,p=0もしくはLGl=2,p=0もしくはLGl=1,p=1もしくはLGl=4,p=0ラゲールガウスモードであることを特徴とする、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)に対する前記成形光ビーム(15)の強度が、前記中央部分(16)において最小値に達することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、前記硬化ステップの前に、前記選択エミッタ(1)によって放出される検出光(14)に基づいて前記選択エミッタ(1)を選択するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記選択エミッタ(1)を選択する前記ステップは、
前記選択エミッタ(1)によって放出される前記検出光(14)の波長および/もしくは
偏光および/もしくは
強度および/もしくは
集束もしくは非集束放出特性、ならびに/または
前記選択エミッタ(1)の推定寿命に基づくことを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記硬化ステップは前記選択エミッタ(1)の位置の上方に周囲焼け(20)を生成し、前記プロセスは、前記硬化ステップの後に、前記周囲焼け(20)の内側に位置する前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)の一部を除去することを含み、後に、前記周囲焼け(20)は前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)の内側かつ前記選択エミッタ(1)の位置の上方に位置する穴10になることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記選択エミッタ(1)の位置の上方で、前記穴(10)の内側に金属層(11)を堆積するステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)は2つの異なるレジストから成る2つの層を含み、前記2つの層は前記サンプル(2)と接触する第1の層(3)と、前記第1の層(3)と接触する第2の層(4)とを含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのエミッタ(1)が、エミッタ層(7a、7b)の内側の前記サンプル中に含まれることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエミッタ(1)は、エミッタ層を形成する同じ誘電体材料の2つの層(7a、7b)の間のサンプル中に含まれることを特徴とする、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記エミッタ層(7a、7b)の1つの第1の面は、前記少なくとも1つのレジスト層(3、4)と接触し、かつ
前記エミッタ層(7a、7b)の1つの第2の面は、金属層(6)またはブラッグミラーと接触することを特徴とする、請求項16または17に記載のプロセス。
【請求項19】
各エミッタ(1)が、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、または蛍光分子であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリソグラフィプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、および蛍光分子のような個別の(または集合体の)蛍光ナノエミッタがナノメートル精度で中に配置されているフォトニックおよびプラズモンナノ構造は、単一光子放出およびプラズモニクスのような多くの分野に応用され、これらの構造は、単一エミッタレベルで光-物質相互作用を調査するためのツールとしての役割を果たす。そのような構造の作製は、構造の内側にナノエミッタを配置することに対するナノメートルの横方向および垂直方向の制御を必要とする。この目的のために、リソグラフィは、ナノエミッタを破壊することなく、ナノエミッタの周囲で実行されなければならない。個別のエミッタはエミッタの集合体ほどロバストでなく、明るくないため、個別のナノエミッタを扱う場合、この作業は非常に困難になる。
【0003】
コロイドCdSe/CdS量子ドットのような敏感な個別のエミッタにリソグラフィを行うことは非常に困難である。なぜなら、リソグラフィはエミッタの真上で行われなければならないが、リソグラフィを行うのに必要なレーザ強度は、関連するエミッタを光退色させ、したがって破壊し、したがってプロセスを失敗させるためである。
【0004】
本発明の目的は、先行技術と比較してエミッタの光退色または破壊の危険性が制限された脆弱なエミッタ(特に個別のエミッタまたは単一のエミッタ)に対して実施することができるリソグラフィプロセスを提案することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、少なくとも1つのエミッタを含むサンプルに対するリソグラフィプロセスに関し、上記プロセスは、
サンプルの上方に少なくとも1つのレジスト層を置くステップと、
1つの選択エミッタを光で(少なくとも1つのレジスト層を通じて)励起するステップと、
励起された選択エミッタによって放出される光を検出し、選択エミッタの位置を決定するステップと、
選択エミッタの位置の上方に光ビームを置くことによって、少なくとも1つのレジスト層の一部を光ビームによって硬化させるステップであって、光ビームは、断面を有する成形光ビームであり、この断面は中央部分、中央部分を囲む中間部分、および中間部分を囲む境界部分を有し、少なくとも1つのレジスト層に対する成形光ビームの強度は、中間部分において最大値に達する、硬化させるステップと
を含む。
【0006】
硬化ステップの間、サンプルの上から見て、中間部分は選択エミッタを囲むことができ、および/または、成形光ビームは選択エミッタの位置を中心とすることができる。
【0007】
中央部分は、
成形光ビームの強度の回転対称中心、および/または
成形光ビームの強度の鏡面対称の少なくとも2つの対称軸の交点であり得る。
【0008】
選択エミッタを励起するための光は、成形光ビームと同じ光源から入来することができる。選択エミッタを励起するための光は成形光ビームとすることができるが、必ずしも同じ光パワーを有しなくてもよい。
【0009】
選択エミッタを励起するための光は、選択エミッタの位置の上方に光ビームを置くことによって少なくとも1つのレジスト層の一部を硬化させるために使用される成形光ビームのパワーより低いパワーを有することができる。選択エミッタを励起するための光は、選択エミッタの位置の上方に光ビームを置くことによって少なくとも1つのレジスト層の一部を硬化させるために使用される成形光ビームのパワーより1000倍低いパワーを有することができる。
【0010】
成形光ビームは空間的に成形されたレーザモードであり得る。成形光ビームは、
TEM00もしくはLG00レーザモードとは異なり得、および/または
ラゲールガウスモードもしくはベッセルビームであり得、および/または
ドーナツラゲールガウスレーザモードであり得、および/または
LGl=1,p=0もしくはLGl=2,p=0もしくはLGl=1,p=1もしくはLGl=4,p=0ラゲールガウスモードであり得る。
【0011】
少なくとも1つのレジスト層に対する成形光ビームの強度は、中央部分において最小値に達し得る。
【0012】
本発明によるプロセスは、硬化ステップの前に、選択エミッタによって放出される検出光に基づいて選択エミッタを選択するステップをさらに含むことができる。選択エミッタを選択するステップは、
選択エミッタによって放出される検出光の波長および/もしくは
偏光および/もしくは
強度および/もしくは
集束もしくは非集束放出特性、ならびに/または
選択エミッタの推定寿命に基づくことができる。
【0013】
硬化ステップは、選択エミッタの位置の上方に周囲焼けを生じさせる可能性がある。本発明によるプロセスは、硬化ステップの後に、周囲焼けの内側に位置する少なくとも1つのレジスト層の一部を除去することを含むことができ、その後、周囲焼けは少なくとも1つのレジスト層の内側かつ選択エミッタの位置の上方に位置する穴になる。本発明によるプロセスは、選択エミッタの位置の上方に(好ましくはサンプルと接触して)穴の内部に金属層を堆積するステップを含むことができる。
【0014】
少なくとも1つのレジスト層は2つの異なるレジストから成る2つの層を含むことができ、2つの層はサンプルと接触する第1の層と第1の層と接触する第2の層とを含む。
【0015】
少なくとも1つのエミッタは、エミッタ層の内側のサンプル中に含まれ得る。少なくとも1つのエミッタは、エミッタ層を形成する同じ誘電体材料の2つの層の間のサンプル中に含まれ得る。エミッタ層の1つの第1の面は、少なくとも1つのレジスト層と接触することができ、かつ/または
エミッタ層の1つの第2の面は、金属層またはブラッグミラーと接触することができる。
【0016】
各エミッタは、蛍光エミッタまたはフォトルミネセントエミッタであり得る。
【0017】
各エミッタは、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、蛍光分子、または(MoS、WSeのような)単層二次元材料中の欠陥であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の他の利点および特徴は、決して限定的ではない実施形態の詳細な説明、および添付の図面を検討すると明らかになるであろう。
図1】プラズモンパッチアンテナを製造する特定の事例において説明される、最良の実現形態である本発明によるプロセスの一実施形態の、異なるステップを示すサンプル2の側面図である。
図2a図1のプロセスの走査および硬化ステップを実装するためのデバイス8の部分21を示す図であって、この部分21は、サンプル2の上方のレジスト層3、4を硬化させるために、反射位相限定空間光変調器26を使用して成形光ビーム15(ドーナツラゲールガウスレーザモード)を生成するように構成されている、部分21の図である。
図2b図2aの構成で得られる成形光ビーム15を示す図である。
図3図1のプロセスの走査ステップおよび硬化ステップを実装するためのデバイス8を示す図である。
図4図4(a)は、図1(c)のステップに対応する、レジスト2層3、4へのLGl=4,p=0モードによるリング焼け20の原子間力顕微鏡画像の図であり、対応する高さプロファイルが図4(c)に示されている。図4(b)は、図1(d)のステップに対応する穴10の原子間力顕微鏡画像の図であり、対応する高さプロファイルが、図4(d)に示されている。
図5図5(a)は、図1(f)のステップに対応するLGl=2,p=0リソグラフィを使用して作成されるアンテナの原子間力顕微鏡画像の図であり、対応する高さプロファイルが、図5(c)に示されている。図5(b)は、図5(a)の拡大図であり、対応する高さプロファイルが、図5(d)に示されている。
図6】本発明によるプロセスによって製造することができる他の構造である、プラズモンパッチアンテナの部分斜視図(左)および側面図(右)である。
図7】本発明によるプロセスによって製造することができる他の構造である、他のプラズモンパッチアンテナの部分斜視図(左)および側面図(右)である。
図8】本発明によるプロセスによって製造することができる他の構造である、金属誘電体アンテナの部分斜視図(左)および側面図(右)である。
図9】本発明によるプロセスによって製造することができる他の構造である、タム構造の部分斜視図(左)および側面図(右)である。
図10図2aの構成で得られる成形光ビーム15の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの実施形態は決して限定的なものではなく、他の説明または例示される特徴から分離された、以下に説明または例示される特徴の選択のみを含む本発明の変形を、この特徴の選択が、技術的利点を与えるのに、または現行技術水準に対して本発明を区別するのに十分である場合に、(この選択がこれらの他の特徴を含むセンテンスから行われたとしても)考慮することができる。この選択は、少なくとも1つの特徴、好ましくは構造的詳細のない、またはその部分が技術的利点を与えるのに、もしくは現行技術水準に対して本発明を区別するのに十分である場合に、構造的詳細の一部のみを有する機能的特徴を含む。
【0020】
ここで、本発明によるプロセスのこの実施形態および本発明によるプロセスの実施形態を実装するためのデバイスを、図1図5を参照して説明する。
【0021】
本発明によるこのリソグラフィプロセス実施形態は、少なくとも1つのエミッタ1を含むサンプル2に対して実装される。
【0022】
各エミッタ1は、個別のエミッタ1(すなわち、一度に単一の光子を放出することができるエミッタ)または(複数の個別のエミッタ1から成るアセンブリによって形成される)集合エミッタ1である。各エミッタ1は、好ましくは個別のエミッタ1である。
【0023】
各エミッタは、ナノエミッタ、すなわち、直径100nmの球の内側に完全に入ることができる体積を有するエミッタである。
【0024】
各エミッタ1は、光子を吸収した後に光を放出するものである。吸収された光子は、光、紫外線、赤外線、または一般的には電磁スペクトルの任意の部分からのものであり得る。
【0025】
各エミッタ1は、蛍光エミッタまたはフォトルミネセントエミッタであり得る。
【0026】
各エミッタ1は、典型的には、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、蛍光分子、または(MoS、WSeのような)単層二次元材料中の欠陥である。
【0027】
図4および図5の実施形態の特定の事例において、各エミッタ1はCdSe/CdS量子ドット、より正確にはCdSe/CdSコア/シェルコロイド量子ドットである。
【0028】
少なくとも1つのエミッタ1は、エミッタ層7a、7bの内側のサンプル2中に含まれる。
【0029】
図1(a)に示すように、少なくとも1つのエミッタ1は、2つの層7a、7bの間、好ましくは、エミッタ層を形成する同じ誘電体材料、典型的にはPMMA(ポリメチルメタクリレート)の2つの層7a、7bの間のサンプル中に含まれる。
【0030】
サンプル2は、基板5(典型的にはシリコンウェハ)とエミッタ層7a、7bとの間に含まれる中間層6を含む。中間層6は金属層6である。図4および図5の実施形態の特定の事例において、プラズモニック金属として金(Au)が選択された。
【0031】
サンプル2は以下のように調製される。
ウェハ5(例えば、シリコンウェハ)上に、プラズモニック金属(例えば、金または銀)の光学的に厚い層6(約200nm)がプラズマ蒸着によって堆積される。
次いで、誘電体材料層7aがその上に(例えばスピンコーティングによって)堆積される。層7aの典型的な厚さは0nmと200nmとの間に含まれる。
次に、誘電体層7aの上に、個別のまたは複数の蛍光エミッタ1(例えば、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心など)がスピンコートされる。
次いで、他の誘電体材料層7bが堆積される。層7bの典型的な厚さは0nmと200nmとの間に含まれる。最後に、誘電体材料層7a、7bに個別のエミッタ1または複数の蛍光エミッタ1を埋め込む。
【0032】
図1(a)に示すように、本発明によるプロセス実施形態は、サンプル2の上方に少なくとも1つのレジスト層3、4を置くステップを含む。
【0033】
少なくとも1つのレジスト層3、4は2つの異なるレジストから成る2つの層を含み、2つの層はサンプル2と接触する第1の層3(LOR)と、第1の層3の上方にある(好ましくは第1の層3と接触する)第2の層4(PMMA)とを含む。
【0034】
より正確には、誘電体層7a、7bの上方に、LOR(登録商標)5Aレジストから成る層3(厚さ約500nm)がスピンコートおよびベーキングされる。LOR(登録商標)5Aは、MicroChem Corp.によって製造されている市販のリソグラフィリフトオフレジストである。
【0035】
LOR(登録商標)5A層3の上方に、厚さ50nmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)から成る層4がスピンコートおよびベーキングされる。
【0036】
エミッタ層7a、7bの1つの第1の面が、少なくとも1つのレジスト層3、4と接触している。
【0037】
エミッタ層7a、7bの1つの第2の面が金属層6と接触している。
【0038】
図3は、本発明によるプロセス実施形態のいくつかのステップを実装するためのデバイスまたは光学設定8を示す。
【0039】
円対称のビームプロファイル(または円柱対称のキャビティを有するレーザ)は、ラゲールガウスモード分解LGl,pを使用して最良に解決されることが多い。これらの関数は、ラゲール多項式を使用して円柱座標で書かれる。各横モードLGl,pは、ここでも2つの整数、この場合は半径方向指数p≧0、および正または負またはゼロであり得る方位角指数lを使用してラベル付けされる。
【0040】
図2aは、入射レーザビーム30の位相を変調し、LGおよびベッセルビームなどの他のモードを生成するために使用される光学設定8の部分21を示す。473nm連続波ダイオードレーザ19の入射レーザビーム30は、偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブ22を通じて送られ、このキューブはレーザのs偏光部分のみを選択する。ダイオードレーザは一般的に偏光されており、それをPBS22に通過させることによって、透過レーザ光の偏光純度が高められる。ビーム30は、ダイヤフラム23によって空間的にフィルタリングされ、半波長板24(またはリターダ)を透過する。この半波長板24および後続するPBS25により、空間光変調器(SLM)スクリーン26に入射するレーザビームのパワーを制御することが可能になる。別のダイヤフラム27を通過した後、ビーム30は、ビーム拡大器として作用する2つのレンズ28、29から成るアセンブリを通過する。それぞれ焦点距離f1およびf2のレンズ28、29を使用して、f2/f1のビーム拡大が達成される(5倍ビーム拡大器が使用される)。ビーム拡大の目的は、SLM26のスクリーン全体をカバーすることである。それによって位相マスク26と入射レーザビーム30の中心の位置整合が容易になり(これはより良好な変調をもたらす)、SLMスクリーン26上の入射レーザビーム強度が減少する(したがって液晶への損傷を防ぐ)。拡大レーザビーム30はPBS25を通過し、PBS25を通してs偏光のみが透過される。透過光ビーム30は、コンピュータに接続されている位相限定反射型SLMスクリーン26に入射し、その上にLGl,p明示位相マスク(含まれているバイナリブレーズド格子を有する)が表示される。SLMスクリーンの光軸の方向は、入射ビームの偏光とほぼ平行である。結果として得られるものは、位相変調された回折光(数次の回折を含む)およびゼロ次または非回折光から成る。ブレーズド格子は、回折LGモードの一次からゼロ次スポットを分離し、ダイヤフラム43は、一次回折のみを空間的にフィルタリングする。選択された一次回折次数13、15は、必要に応じて伝播され位置整合され得る。例えば、LGl=1,p=0、LGl=2,p=0、およびLGl=4,p=0がリソグラフィを実行するために使用されている。
【0041】
サンプル2は、顕微鏡35の対物レンズ34の前にあるモータ駆動(圧電)ステージ33上に置かれる。
【0042】
次いで、図1(b)に示すように、本発明によるプロセス実施形態は、1つの選択エミッタ1を含む複数のエミッタ1を、少なくとも1つのレジスト層3、4を通じて光13によって次々に励起することを含む励起ステップを含む。この励起光13は、前述の選択された一次回折次数である。
【0043】
光13は励起ビーム13とも呼ばれる。
【0044】
光13は空間的に成形されたレーザモードである。
【0045】
光13は、非基本ラゲールガウスモードまたはベッセルビーム(LGl=0,p=0レーザモードまたは基本横モードTEM00とは異なる)であり、典型的には、LGl=1,p=0またはLGl=2,p=0またはLGl=1,p=1またはLGl=4,p=0ラゲールガウスモードのようなドーナツラゲールガウスレーザモードである。
【0046】
図1(b)に示すように、本発明によるプロセス実施形態はまた、選択エミッタ1を含む各励起エミッタ1から放出された光14を次々に検出することと、選択エミッタ1を含む各励起エミッタ1の位置を決定することとを含む検出ステップをも含む。
【0047】
検出光14は蛍光である。
【0048】
検出光14は、Hanbury Brown and Twiss構成36によって収集、検出、および分析される。
【0049】
次いで、本発明によるプロセス実施形態は、(後続する硬化ステップの前に)すべての励起エミッタ1の中から選択エミッタ1を選択するステップを含み、この選択は選択エミッタ1によって放出される検出光14に基づく。
【0050】
選択エミッタ1を選択するステップは、
選択エミッタ1によって放出される検出光14の波長および/もしくは
偏光および/もしくは
強度および/もしくは
集束もしくは非集束放出特性、ならびに/または
選択エミッタ1の推定寿命に基づく。この寿命推定は時間分解蛍光測定に基づくことができる。
【0051】
励起ステップおよび検出ステップは、走査ステップの一部である。サンプル2が共焦点顕微鏡によって走査され、選択エミッタ1が前述のように選択される。選択エミッタ1は、前述のドーナツラゲールガウスモード(170nWおよび473nm連続波レーザ)を用いて走査される。図3は、LGl,pレーザモードを使用して作成された選択エミッタ1の光学設定8および共焦点走査画像31を示す。この画像31において、ドーナツ形状は、主にSLMスクリーンの大きい反射角に起因して完全に円形ではなく、このとき、LGモードを顕微鏡に導くために使用されるミラーは、入射光に対して正確に45°ではない。
【0052】
この走査(励起ステップおよび検出ステップを含む)の間に、光13が結像され、選択エミッタ1上に集束される。
【0053】
この走査(励起ステップおよび検出ステップを含む)の間に、サンプル2と光13との間の相対位置は移動する(ステージ33によって)。言い換えれば、光13の形状は蛍光選択エミッタ1によって走査される。言い換えれば、走査画像31の各画像化画素は、サンプル2と励起ビーム13との間の特定の相対位置に対応する。選択エミッタ1の位置は、サンプル2と、ビーム13、15のドーナツ形状または閉ループ形状の中心にある(画像31内の)ピクセルを画像化するために得られるビーム13、15との間の相対位置として決定される。
【0054】
LGl,pレーザモードを用いた共焦点走査画像31のこの構築の前に、通常、光子アンチバンチング測定を行い、次いで、選択エミッタ1が単一光子エミッタ1であるか否かを確認するために、顕微鏡35に入る前に約50nWで動作する405nmレーザ32の基本モードを用いて別の走査が行われる。
【0055】
次いで、図1(b)に示すように、本発明によるプロセス実施形態は、選択エミッタ1の位置の上方に光ビーム15を置くことによって、少なくとも1つのレジスト層3、4の一部を光ビーム15によって硬化することを含む。
【0056】
ビーム15は硬化ビーム15とも呼ばれる。
【0057】
この光ビーム15は、前述の選択された一次回折次数である。
【0058】
光ビーム15は、空間光変調器26によって成形される。
【0059】
図2bに示すように、光ビーム15は成形光ビーム15であり、エミッタ1上で画像化(および集束)される、この光ビーム15の断面(対物レンズ34の光軸に垂直な、またはこのビーム15が少なくとも1つの層3、4および/もしくは選択エミッタ1へと伝播する平均的な方向に垂直な平面内の)は、
この場合は
単一点
この断面における光ビーム15の強度の回転対称中心
この断面における光ビーム15の強度の鏡面対称の少なくとも2つの(好ましくは少なくとも4つの)対称軸38、39、40、41の交点
である、中央部分16、
中央部分16を囲む中間部分17であって、この中間部分17は閉曲線、好ましくは円であり、この中間部分17は、少なくとも1つのレジスト層3、4の側からのサンプル2の正面ビューから(対物レンズ34の光軸に平行な、またはこのビーム15が少なくとも1つの層3、4および/もしくは選択エミッタ1へと伝播する平均的な方向に平行な視野で)選択エミッタ1を囲む、中間部分17、および
中間部分17を囲む境界部分18を有する。
【0060】
少なくとも1つのレジスト層3、4に対する硬化成形光ビーム15の強度は、中間部分17で(中央部分16および境界部分18と比較して)最大値に達し、さらに中間部分17の全体にわたって(中央部分16および境界部分18と比較して)最大でもある。
【0061】
硬化ステップの間、少なくとも1つのレジスト層3、4の側からのサンプル2の上から見て、中間部分17は選択エミッタ1を囲んでいる。硬化成形光ビーム15は、選択エミッタ1の位置を中心とするか、または実質的に中心とする(すなわち、中央部分16は選択エミッタ1の真上にある)。
【0062】
硬化成形光ビーム15は空間的に成形されたレーザモードである。
【0063】
硬化成形光ビーム15は、非基本ラゲールガウスモードまたはベッセルビーム(TEM00またはLGl=0,p=0レーザモードとは異なる)であり、典型的には、LGl=1,p=0またはLGl=2,p=0またはLGl=1,p=1またはLGl=4,p=0ラゲールガウスモードのようなドーナツラゲールガウスレーザモードである。
【0064】
少なくとも1つのレジスト層3、4に対する硬化成形光ビーム15の強度は、中央部分16で(中間部分17および境界部分18と比較して)最小値に達し、この最小強度は、中間部分17の最大強度の値の100分の1の値を有する。この最小値は、ゼロ強度または実質的にゼロ強度であることが好ましい。
【0065】
選択エミッタ1を励起するための光13は、硬化成形光ビーム15と同じ光源19から入来する。
【0066】
好ましくは、励起ビーム13と硬化光ビーム15とは同じ光パワーを有しない点を除いて、選択エミッタ1を励起するための励起ビーム13は、硬化成形光ビーム15と同じビームである(すなわち、ビーム13および15は、同じレーザモード(複数可)、同じ形状、同じサイズ(複数可)を有する)。
【0067】
選択エミッタ1を励起するための光13は、選択エミッタ1の位置の上方に光ビーム15を置くことによって少なくとも1つのレジスト層3、4の一部を硬化させるために使用される成形光ビーム15のパワーより低いパワーを有することができる。選択エミッタ1を励起するための光13は、選択エミッタ1の位置の上方に光ビーム15を置くことによって少なくとも1つのレジスト層3、4の一部を硬化させるために使用される成形光ビーム15のパワーより少なくとも1000倍(好ましくは少なくとも10000倍)低いパワーを有することができる。したがって、選択エミッタ1は低出力レーザ13を用いて配置され、その上のレジスト3、4は高出力レーザ15を用いて焼きつけられる。
【0068】
選択エミッタ1が集束ドーナツラゲールガウスレーザモードの中心に位置決めされた後、473nmレーザは顕微鏡35に入るのを阻止される。ドーナツラゲールガウスモードの一次のパワーを7mWに設定した後、それは90秒の持続時間にわたって顕微鏡35に入れられる。このとき、選択エミッタ1の上方のレジスト2層3、4が焼きつけられる。
【0069】
ドーナツレーザモードのような空間的に成形されたレーザモードを生成および利用することにより、本発明はエミッタの退色の問題を回避し、エミッタ1に一切害を与えることなく単一または集合体の蛍光エミッタ1を中心に光リソグラフィを実行する。これは、ドーナツレーザモードの中心における光強度が理想的にはゼロであり、本発明によるリソグラフィプロセス実施形態の間、エミッタ1がドーナツレーザモードの中心に置かれるためである。光リソグラフィは、エミッタ1の上方のレジスト3、4に対して行われる。ナノ構造内部のエミッタ1の位置決めの横方向の精度は画像化光学系によって決定され(<50nmは容易に可能)、垂直方向の精度は堆積方法に依存する(スピンコーティングまたは物理気相成長技法が使用される場合は<3nmを達成することができる)。
【0070】
非常に特殊な機器および特別な条件(例えばサンプル2を真空中に配置しなければならない)を必要とする電子ビームリソグラフィと比較して、本発明による光リソグラフィプロセスは、広く利用可能な光学顕微鏡、レーザ、および空間光変調器を用いて光学テーブル上で実行することができる。
【0071】
図1(c)に示すように、硬化ステップは、選択エミッタ1の位置の上方に周囲焼け20を生じさせる。周囲焼け20は、少なくとも1つのレジスト層3、4の側からのサンプル2の正面ビューから、選択エミッタ1を囲む。
【0072】
周囲焼けは、選択エミッタを囲むリング、円、楕円、または任意の閉曲線の形状を有し得る。
【0073】
図4(a)は、図1(c)のステップに対応する、レジスト2層3、4へのLGl=4,p=0モードによるリング焼け20の原子間力顕微鏡画像であり、対応する高さプロファイルが図4(c)に示されている。
【0074】
図1(d)に示すように、本発明によるプロセス実施形態は、硬化ステップの後に、周囲焼け20の内側に位置する少なくとも1つのレジスト層3、4の一部を除去することを含み、その後、周囲焼け20は少なくとも1つのレジスト層3、4の内側かつ選択エミッタ1の位置の上方に位置する穴10になる。サンプル2が、Micorposit(登録商標)MF(登録商標)-319溶剤(これは、Shipley Co.製の市販の現像剤である)の溶液槽に3~5秒間浸漬される。MF-319溶剤は、PMMAを攻撃することなく、LORを現像する。その溶剤はLOR(登録商標)5Aを現像し、その上方のPMMA層4内にアンダーカット12を生成する。
【0075】
図4(b)は、図1(d)のステップに対応する穴10の原子間力顕微鏡画像であり、対応する高さプロファイルが図4(d)に示されている。
【0076】
次いで、図1(e)に示すように、本発明によるプロセス実施形態は、好ましくはサンプル2と接触して、かつ、選択エミッタ1の位置の上方で、穴10の内部に金属層11(または「パッチ」11)を堆積するステップを含む。パッチ11および膜111のプラズモニック金属(金)は物理気相成長法によって堆積される。パッチ11の典型的な厚さは5nmと50nmとの間に含まれる。
【0077】
次いで、図1(f)に示すように、サンプル2は、MF(登録商標)319の溶液槽に逆さに浸漬されて、約50秒間振とうされてリフトオフが実施される。この手順により、プラズモニック金属パッチ11の近傍からLOR(登録商標)5A層3、PMMA層4およびプラズモニック金属膜111が除去され、したがって、プラズモニック金属パッチアンテナが得られる。したがって、図1(f)によって示すように、レジスト層3(LOR)はMF-319によって部分的に除去される。これは、層4(PMMA)の対応する部分およびその上方のプラズモニック金属膜111も除去されることに起因する。プラズモニック単一エミッタナノアンテナの準備が整う。
【0078】
図5(a)は、図1(f)のステップに対応するLGl=2,p=0リソグラフィを使用して作成されるアンテナの原子間力顕微鏡画像であり、対応する高さプロファイルが図5(c)に示されている。
【0079】
図5(b)は図5(a)の拡大図であり、対応する高さプロファイルが図5(d)に示されている。
【0080】
本発明は、ランダムに分布したエミッタ1から任意のエミッタ1(脆弱またはロバスト、単一または集合体)を選択し、それらの上方でリソグラフィを実行することを可能にする。図1(a)~図1(f)では、エミッタ1は位置整合しているように見えるが、これらのエミッタはランダムに配向することもできる。
【0081】
本発明は室温で機能する。
【0082】
本発明は低温でも機能する。
【0083】
無論、本発明は、ちょうど説明された例には限定されず、本発明の範囲を超えることなくこれらの例に多数の補正を行うことができる。
【0084】
本発明は図1(f)のアンテナの作製に限定されない。
【0085】
本発明は、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心などのような単一または複数の蛍光エミッタ1を使用する様々なフォトニック構造を作製するために使用することができる。そのようなフォトニック構造の例は、単一エミッタプラズモニックパッチアンテナ、金属誘電体アンテナ、タム構造などである。この技法の精度は、主に、より良質のラゲールガウスモードの生成(SLM26のより良好な較正による)およびより最適化された光学系の使用(より高い開口数の顕微鏡対物レンズ34およびより良好なサンプル移動ステージ33)によって改善され得る。
【0086】
以下の分野/デバイスが、本発明から利益を得るであろう。
1)デバイス内部のエミッタの制御された最適な位置決めを必要とする任意の単一エミッタデバイス。
2)量子情報のための有望な単一光子源およびもつれ光子源を含む単一エミッタ発光デバイス。
3)単一光子検出器、および光子状態の検出器。
4)キャビティに最適に結合されたエミッタのセットを有するマイクロレーザ。
5)高感度および低ルミネセンスのエミッタ(例えば、コロイド量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、蛍光分子、MoS、WSeのような単層二次元材料中の欠陥など)の正確なナノメートル位置決めを必要とする様々なナノ構造デバイス。
【0087】
組み合わせることができる種々の変形形態において、
図6に示すように、本発明によるプロセスは同じサンプル2上に複数のアンテナを作製することができ、および/または
図7に示すように、(MF(登録商標)319の溶液槽内でLOR(登録商標)5A層3を除去する前に)図1(c)のステップと図1(d)のステップとの間に、層11をリング20内に配置することができ、これによって、選択エミッタ1を(上面ビューから)囲む金属リングを生成することが可能になり、および/または
図8に示すように、本発明によるプロセスは、少なくとも1つの金属誘電体アンテナを得るために、各アンテナの金属層11、好ましくは封入層11の上方にかつ接触して誘電体層37を堆積するステップを含むことができ、各パッチ11上に誘電体キャップ37を配置するために、リソグラフィは、最初にパッチ11を配置するために、次にパッチ11上に誘電体キャップ37を配置するために、2回実行され、および/または
図9に示されるように、サンプル2の層6は、必ずしも金属である必要はなく、存在しなくてもよく、または例えば少なくとも1つのタム構造を得るためにブラッグミラー9によって置き換えられてもよく、および/または
エミッタ1の走査(観測)に使用される光13およびレジスト3、4の硬化に使用される光15が同じ光源19から入来することは必須ではない。2つの位置整合されたレーザビームを使用することが可能であり、例えば、まず、エミッタ1を走査するためにある波長(エミッタはこの波長を吸収するので、エミッタ1を励起する)での通常のLG00またはTEM00レーザモード13を使用し、次に、エミッタ1(レーザの放出波長はレジスト3、4の吸収によって決定される)の上方に光ビーム15を置くことによってレジスト3、4を硬化させるために、別のレーザビーム15(好ましくはLGl=1,p=0またはLGl=2,p=0またはLGl=1,p=1またはLGl=4,p=0のようなドーナツ非基本ラゲールガウスなど、特別な形状を有する)が使用され、この場合、ビーム13とビーム15との間の相対レーザ強度設定に関する制限は不要であり、エミッタ1は1064nmにおいて吸収するが、レジスト3、4はこの波長を吸収しないと仮定すると(ちなみに、レジスト3、4は300nm以下で吸収する)、このとき、エミッタ1を励起するために1064nmのレーザ13が使用され、このレーザ13のパワーは、300nmのレーザ15のパワーより高くなり得る。これは、1064nmにおいて、エミッタ1は励起されるがレジスト3、4は硬化されないためである。一方、300nmでのより低いパワーでは、レジスト3、4は硬化され、および/または
作製された構造において、レジスト3、4、基板5、金属膜6、誘電体層7a、7b、およびパッチ11の厚さは、必要に応じて修正することができる。同じことが材料および形状にも当てはまり、ならびに/または
エミッタ1の上方のパッチ11は、Au、Ag、Al、Ptなどのような任意のプラズモニック金属、もしくは他の何らかの新規の材料であり得、ならびに/または
特に選択エミッタ1を中心としないパッチ11を有する構造を作製するために、硬化ビーム15は選択エミッタ1を中心とする必要はなく、ならびに/または
層11は、非金属および/もしくは半導体および/もしくは誘電体層11であり得、ならびに/または
光13によって励起された選択エミッタ1は、近接している2つ以上のエミッタを同時に励起することができ、ならびに/または
層5または6の真上に配置されるエミッタ1の場合、層7aもしくは層7bもしくは両方の層7a、7bがともに存在しなくてもよく、ならびに/または
可能なエミッタ1のセットは、量子ドット、ナノダイヤモンド窒素空孔中心、または蛍光分子以外のはるかに多くの可能性を含み、ならびに/または
選択エミッタ1の位置の上方の下側レジスト層3の残りの厚さをすべて除去する必要はない。例えば、選択エミッタ1の上方の金属パッチ11の垂直距離を増加させるために、エミッタ1の上方に層3の一部を残すことができ、および/または
層5および/または6なしで、(例えばSiO2の)層7aと(例えばPMMAの)層7bとの間にエミッタ1を挟むことが可能であり、および/または
ドーナツレーザモードの変形形態では、変調器26による空間光変調を使用して、他のいくつかの特殊なレーザモード(例えば、正方形、格子、複数のリングなど)を生成することができる。次に、これらのモードを顕微鏡対物レンズ34を通して集束させて光リソグラフィを行い、特殊なナノ構造を作製することができる。光13および/またはビーム15の形状はより複雑になり得る。図10は、成形ビーム13、15の変形形態を示す。この変形形態では、図2bのビーム13、15との違いについてのみ説明する。
回転対称性がなく、中央部分16はビーム13、15の強度の回転対称中心ではない、
少なくとも1つのレジスト層3、4上の成形光ビーム13、15の強度は、(中央部分16および境界部分18と比較して)すべての中間部分17にわたって最大ではなく、中間部分17の4つの点42においてのみ、(中央部分16および境界部分18と比較して)最大値に達する。
【0088】
当然ながら、本発明の種々の特徴、形態、変形、および実施形態は、それらが不適合ではない、または相互に排他的ではないという範囲で、様々な組み合わせで互いに組み合わせることができる。特に、上記のすべての変形形態および実施形態は互いに組み合わせることができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10