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特許7050086改善された吸収特性を有する基材を含むエアロゾル送達装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】改善された吸収特性を有する基材を含むエアロゾル送達装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20220331BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220331BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F47/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019553401
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2018052140
(87)【国際公開番号】W WO2018178900
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】15/472,966
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン,アンドリーズ・ドン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,パーシー・ディー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0238424(US,A1)
【文献】特表2017-502684(JP,A)
【文献】国際公開第2016/064684(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
ハウジングと、
再生セルロース繊維から少なくとも部分的に形成された基材と、
基材によって保持されるエアロゾル形成液体と、
エアロゾル形成液体の気化のために動作可能に配置されたヒータと、
を備え、
基材が複数の層を含み、
第1の層が、エアロゾル前駆体組成物を貯蔵するようにおよび放出するように構成され、且つ、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維および多葉断面を有する再生セルロース繊維のうちの1つ以上を含み、
第2の層が疎水性であり、且つ、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維を含む、
エアロゾル送達装置。
【請求項2】
再生セルロース繊維が多葉断面を有し、繊維の1つ以上の葉の表面に沿って長手方向に延びる条痕を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項3】
基材が不織布である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項4】
複数の層がニードルパンチされている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項5】
複数の層が一体に接着されている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項6】
基材がリザーバの少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項7】
リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素をさらに備える、請求項6に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項8】
基材が、リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項9】
基材がヒータと直接接触している、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項10】
基材が、基材の初期乾燥重量に対して少なくとも2000%のエアロゾル前駆体組成物の充填容量を有する、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項11】
基材が、約100gsm(g/m)から約250gsm(g/m)の坪量を有する、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項12】
エアロゾル送達装置が、電源およびコントローラをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項13】
エアロゾル送達装置を製造する方法であって、
ハウジングを提供することと、
基材をハウジング内に配置することであって、
基材が複数の層を含み、
第1の層が、エアロゾル形成液体を貯蔵するようにおよび放出するように構成され、且つ、再生セルロース繊維が、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維および多葉断面を有する再生セルロース繊維のうちの1つ以上を含み、
第2の層が疎水性であり、且つ、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維を含む、基材をハウジング内に配置することと、
ハウジング内のヒータと流体連通するように基材を構成することと、
を備え、
基材をハウジング内に配置する前または後に、エアロゾル形成液体が基材によって保持される、方法。
【請求項14】
マウスピースをハウジングと組み合わせることをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ハウジングを電池およびコントローラを含む第2のハウジングと組み合わせることをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙品などのエアロゾル送達装置に関し、より具体的には、エアロゾルの生成のために電気的に生成された熱を利用することができるエアロゾル送達装置(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙品)に関する。喫煙品は、エアロゾル前駆体を加熱するように構成されることができ、これは、タバコから作られるかもしくはタバコに由来する材料を組み込むかまたはタバコを組み込むことができ、前駆体は、人間が消費する吸入可能な物質を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙装置は、使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品の改良または代替として長年にわたって提案されている。これらの装置の多くは、タバコ、葉巻、またはパイプ喫煙に関連する感覚を提供するが、タバコの燃焼に起因するかなりの量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達しないように意図的に設計されていると言われている。この目的のために、電気エネルギを利用して揮発性物質を気化もしくは加熱するか、または著しくタバコを燃焼することなくタバコ、葉巻またはパイプ喫煙の感覚を提供しようとする多くの喫煙製品、香味発生器、および薬用吸入器が提案されている。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれるRobinsonらによる米国特許第7,726,320号明細書、Griffith Jr.らによる米国特許出願公開第2013/0255702号明細書、およびSearsらによる米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載された背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および熱源を参照されたい。例えば、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれるBlessらによる米国特許出願公開第2015/0216232号明細書において商品名および商業的供給源によって参照される様々な種類の喫煙品、エアロゾル送達装置および電動熱源もまた参照されたい。
【0003】
エアロゾル送達装置において使用するためのエアロゾル前駆体組成物用のリザーバを提供することが望ましく、リザーバは、エアロゾル送達装置の形成を改善するために提供される。そのようなリザーバを利用して製造されるエアロゾル送達装置を提供することも望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0216232号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、エアロゾル送達装置、そのような装置を形成する方法、およびそのような装置の要素に関する。エアロゾル送達装置は、エアロゾル前駆体組成物の貯蔵および/または輸送の改善を提供することができる。特に、本明細書に記載の基材は、基材がエアロゾル前駆体組成物の驚くほど増加した貯蔵能力を示すように繊維から形成されることができる。
【0006】
1つ以上の実施形態では、本明細書に開示されるエアロゾル送達装置は、ハウジングと、再生セルロース繊維から少なくとも部分的に形成された基材と、基材によって保持されるエアロゾル形成液体と、エアロゾル形成液体の気化のために動作可能に配置されたヒータとを備えることができる。好ましくは、再生セルロース繊維は、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維と、多葉断面を有する再生セルロース繊維と、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維とのうちの1つ以上を含む。さらなる実施形態では、エアロゾル送達装置は、任意の数および順序で組み合わせることができる以下の記述のうちの1つ以上に関してさらに定義することができる。
【0007】
再生セルロース繊維は、多葉断面を有することができ、繊維の1つ以上の葉の表面に沿って長手方向に延びる条痕を含むことができる。
【0008】
基材は、不織布とすることができる。
【0009】
基材は、複数の層を含むことができる。
【0010】
基材の単一層および/または基材を形成する組み合わせの複数の層は、ニードルパンチされることができる。
【0011】
基材を形成する組み合わせの複数の層は、一体に接着されることができる。
【0012】
基材は、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維および多葉断面を有する再生セルロース繊維の一方または両方を含む第1の層を含むことができ、基材は、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維を含む第2の層を含むことができる。
【0013】
基材の第1の層は、エアロゾル前駆体組成物を貯蔵するようにおよび放出するように構成されることができ、基材の第2の層は、疎水性とすることができる。
【0014】
基材は、リザーバの少なくとも一部を形成することができる。
【0015】
エアロゾル送達装置は、リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素をさらに備えることができる。
【0016】
基材は、リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素の少なくとも一部を形成することができる。
【0017】
基材は、ヒータと直接接触することができる。
【0018】
基材は、基材の初期乾燥重量に対して少なくとも2000%のエアロゾル前駆体組成物の充填容量を有することができる。
【0019】
基材は、約100gsmから約250gsmの坪量を有することができる。
【0020】
エアロゾル送達装置は、電源およびコントローラをさらに備えることができる。
【0021】
1つ以上の実施形態では、本開示は、エアロゾル送達装置を製造する方法をさらに提供することができる。例えば、そのような方法は、ハウジングを提供することと、中空で略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維、多葉断面を有する再生セルロース繊維、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維のうちの1つ以上を含む再生セルロース繊維から少なくとも部分的に形成された基材をハウジング内に配置することと、ハウジング内のヒータと流体連通するように基材を構成することとを備えることができ、基材をハウジング内に配置する前または後に、エアロゾル形成液体が基材によって保持される。さらなる実施形態では、本方法は、以下の記述の一方または両方によって定義されてもよい。
【0022】
本方法は、マウスピースをハウジングと組み合わせることをさらに備えることができる。
【0023】
本方法は、ハウジングを電池およびコントローラを含む第2のハウジングと組み合わせることをさらに備えることができる。
【0024】
本開示は、限定することなく、以下の実施形態を含む:
実施形態1:エアロゾル送達装置であって、ハウジングと、再生セルロース繊維から少なくとも部分的に形成された基材と、基材によって保持されるエアロゾル形成液体と、エアロゾル形成液体の気化のために動作可能に配置されたヒータとを備え、再生セルロース繊維が、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維、多葉断面を有する再生セルロース繊維、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維のうちの1つ以上を含む、エアロゾル送達装置。
【0025】
実施形態2:再生セルロース繊維が多葉断面を有し、繊維の1つ以上の葉の表面に沿って長手方向に延びる条痕を含む、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0026】
実施形態3:基材が不織布である、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0027】
実施形態4:基材が複数の層を含む、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0028】
実施形態5:複数の層がニードルパンチされている、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0029】
実施形態6:複数の層が一体に接着されている、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0030】
実施形態7:基材が、中空の略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維および多葉断面を有する再生セルロース繊維の一方または両方を含む第1の層を含み、基材が、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維を含む第2の層を含む、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0031】
実施形態8:第1の層がエアロゾル前駆体組成物を貯蔵するようにおよび放出するように構成され、第2の層が疎水性である、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0032】
実施形態9:基材がリザーバの少なくとも一部を形成する、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0033】
実施形態10:リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素をさらに備える、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0034】
実施形態11:基材が、リザーバと流体接続し且つヒータと流体接続する液体輸送要素の少なくとも一部を形成する、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0035】
実施形態12:基材がヒータと直接接触している、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0036】
実施形態13:基材が、基材の初期乾燥重量に対して少なくとも2000%のエアロゾル前駆体組成物の充填容量を有する、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0037】
実施形態14:基材が、約100gsm(g/m)から約250gsm(g/m)の坪量を有する、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0038】
実施形態15:エアロゾル送達装置が、電源およびコントローラをさらに備える、いずれかの先行する実施形態のエアロゾル送達装置。
【0039】
実施形態16:エアロゾル送達装置を製造する方法であって、ハウジングを提供することと、中空で略円筒形の断面を有する再生セルロース繊維、多葉断面を有する再生セルロース繊維、疎水性添加剤を含む再生セルロース繊維のうちの1つ以上を含む再生セルロース繊維から少なくとも部分的に形成された基材をハウジング内に配置することと、ハウジング内のヒータと流体連通するように基材を構成することとを備え、基材をハウジング内に配置する前または後に、エアロゾル形成液体が基材によって保持される、方法。
【0040】
実施形態17:マウスピースをハウジングと組み合わせることをさらに備える、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0041】
実施形態18:ハウジングを、電池およびコントローラを含む第2のハウジングと組み合わせることをさらに備える、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0042】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下に簡単に説明される添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むことから明らかになろう。本開示は、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の上述の実施形態の任意の組み合わせ、ならびにそのような特徴または要素が本明細書における特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられかにかかわらず、本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを含む。本開示は、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り組み合わせ可能であることが意図されるものとしてみなされるべきであるように、全体的に読まれるように意図される。
【0043】
上記の一般用語で本開示をそのように説明してきたが、ここで、必ずしも縮尺どおりに描かれていない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本開示の様々な実施形態による、カートリッジと、エアロゾル送達装置において利用されることができる様々な要素を含む制御本体とを備えるエアロゾル送達装置の部分断面図である。
図2】別個のリザーバおよびヒータと組み合わせた本開示の実施形態による基材の図であり、したがって、基材は液体輸送要素として機能する。
図3】別個のリザーバおよびヒータと組み合わせた本開示の実施形態による基材の部分断面図であり、したがって、基材は、液体輸送要素として機能する。
図4】リザーバと別個の芯とヒータとの組み合わせにより中間液体輸送要素として機能する本開示の実施形態による基材の図である。
図5A】本開示の実施形態による多葉繊維の断面図であり、繊維は、特に三葉である。
図5B】本開示の実施形態による4つの葉を有する多葉繊維の断面図である。
図5C】本開示の実施形態による7つの葉を有する多葉繊維の断面図である。
図5D】本開示の実施形態による三葉繊維の図であり、個々の葉は、その上に長手方向に構成された条痕を有する面(または表面)を含む。
図6】本開示の実施形態による中空繊維の図である。
図7】複数の層から形成され、実質的に基材の片面(または表面)のみから液体が移動するように構成された本開示による基材の図である。
図8】多層基材を含む本開示の実施形態によるカートリッジの部分断面図である。
図9】対照サンプルおよび2つの比較サンプルに関する本開示による様々な基材のパーセント充填容量を示すチャートである。
図10】対照サンプルと比較した本開示による基材の相対的充填量の増加を示すチャートである。
図11】本開示による基材から形成されたリザーバを有するエアロゾル送達装置におけるパフあたりの総粒子状物質を示すチャートである。
図12】本開示による基材から形成されたリザーバを有するエアロゾル送達装置におけるパフあたりの総粒子状物質を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示は、その例示的な実施形態を参照して、以下においてより完全に説明される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的で且つ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0046】
以下に記載されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、電気エネルギを使用して材料を加熱し(好ましくは材料を著しく燃焼させることなくおよび/または材料を著しく化学的に変化させることなく)、吸入可能物質を形成し、そのようなシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち装置とみなすのに十分にコンパクトである物品の形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、煙の生成-すなわち、タバコの燃焼または熱分解の副産物からの生成をもたらさないが、むしろ、それらの好ましいシステムの使用は、内部に組み込まれている特定の成分の揮発または気化から結果として生じる蒸気の生成をもたらす。好ましい実施形態では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けることができ、それらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコおよび/またはタバコに由来する成分を組み込み、したがって、エアロゾル形態のタバコ誘導成分を送達する。
【0047】
好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル生成部品は、そのいずれかの成分のかなりの程度の燃焼を何ら伴わずにタバコを点火して燃焼させることによって(したがって、タバコの煙を吸い込むことによって)使用されるタバコ、葉巻、またはパイプの多くの感覚(例えば、吸入および呼気形式、味または風味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用形式、視認可能なエアロゾルによって提供されるような視覚的刺激など)を提供することができる。例えば、本開示のエアロゾル生成部品のユーザは、喫煙者が伝統的な喫煙品を使用するように、その部品を保持して使用し、その部品によって生成されるエアロゾルを吸入するためにその一端を吸引し、選択された時間間隔で吸煙するまたはふかすことができる。
【0048】
本開示のエアロゾル送達装置はまた、蒸気生成物品または薬剤送達物品であるとして特徴付けることができる。したがって、そのような物品または装置は、吸入可能な形態または状態で1つ以上の物質(例えば、香味料および/または医薬品有効成分)を提供するように構成されることができる。例えば、吸入可能物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点より低い温度で気相にある物質)とすることができる。あるいは、吸入可能物質は、エアロゾル(すなわち、気体中の微細な固体粒子または液滴の浮遊物)の形態とすることができる。簡潔にするために、本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、可視であるかどうか、および煙のようにみなすことができる形態であるかどうかにかかわらず、人間の吸入に適した形態または種類の蒸気、ガス、およびエアロゾルを含むことを意味する。
【0049】
本開示のエアロゾル送達装置は、一般に、ハウジングと呼ばれることがある外側本体またはシェル内に設けられた多数の構成要素を含む。外側本体またはシェルの全体設計は、様々なものとすることができ、エアロゾル送達装置の全体サイズおよび形状を画定することができる外側本体の形式または構成は、様々なものとすることができる。通常、タバコまたは葉巻の形状に似た細長本体は、単一の単一性ハウジングから形成されることができ、または細長ハウジングは、2つ以上の分離可能本体から形成されることができる。例えば、エアロゾル送達装置は、略管状の形状とすることができ、そのため、従来のタバコまたは葉巻の形状に類似している細長シェルまたは本体を備えることができる。一実施形態では、エアロゾル送達装置の全ての構成要素は、1つのハウジング内に収容されている。あるいは、エアロゾル送達装置は、接合されて分離可能な2つ以上のハウジングを備えることができる。例えば、エアロゾル送達装置は、一端において1つ以上の構成要素(例えば、電池およびその物品の動作を制御するための様々な電子機器)を含むハウジングを備える制御本体と、他端においてエアロゾル形成成分(例えば、香味料およびエアロゾル形成剤などの1つ以上のエアロゾル前駆体成分、1つ以上の加熱器、および/または1つ以上の芯)を含んで取り外し可能に取り付けられた外側本体またはシェルとを有することができる。
【0050】
本開示のエアロゾル送達装置は、略管状の形状ではないが、実質的により大きい寸法に形成されることができる外側ハウジングまたはシェルから形成されることができる。ハウジングまたはシェルは、マウスピースを含むように構成されることができ、および/または液体エアロゾル形成剤などの消耗要素を含むことができ、気化器またはアトマイザを含むことができる別個のシェル(例えばカートリッジまたはタンク)を受け入れるように構成されることができる。
【0051】
本開示のエアロゾル送達装置は、最も好ましくは、電力源(すなわち、電源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、物品の他の構成要素への電流電源を制御することなどにより、発熱のための電力を作動、制御、調整および停止するための手段-例えば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ)、ヒータまたは発熱部材(例えば、電気抵抗加熱要素または他の構成要素、これらは、単独であるか、または「アトマイザ」と一般に呼ばれることがある1つ以上のさらなる要素に組み合わせられる)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、一般に、「スモークジュース(smoke juice)」、「e-リキッド(e-liquid)」および「e-ジュース(e-juice)」と一般に呼ばれる成分など、十分な熱を加えることでエアロゾルを生成することができる液体)、エアロゾル吸入のためのエアロゾル送達装置の吸引を可能にする、マウスピースまたは口領域(例えば、生成されたエアロゾルが吸引によりそこから引き出され得るように、物品を通る画定された空気流路)のいくつかの組み合わせを備える。
【0052】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のより具体的な形式、構成および配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになる。さらに、様々なエアロゾル送達システムの構成要素の選択および配置は、本開示の背景技術の項で参照される代表的な製品などの市販の電子エアロゾル送達装置を考慮すると理解することができる。
【0053】
本開示によるエアロゾル送達装置において利用されることができる構成要素を示すエアロゾル送達装置100の例示的な一実施形態が図1に提供される。図示された断面図に見られるように、エアロゾル送達装置100は、制御本体102と、機能的関係で永久的にまたは取り外し可能に整列させることができるカートリッジ104とを備えることができる。制御本体102とカートリッジ104との係合は、圧入(図示のように)、螺合、締まり嵌め、磁気などとすることができる。特に、本明細書でさらに説明するような接続構成要素を使用することができる。例えば、制御本体は、カートリッジ上のコネクタに係合するように適合されたカプラを含むことができる。
【0054】
特定の実施形態では、制御本体102およびカートリッジ104の一方または両方は、使い捨てであるかまたは再利用可能であると言及され得る。例えば、制御本体は、交換式電池または充電式電池を有することができ、したがって、典型的な電気コンセントへの接続、自動車充電器(すなわち、シガレットライターソケット)への接続、およびユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む任意の種類の再充電技術と組み合わせることができる。例えば、一端にUSBコネクタを、反対端に制御本体コネクタを含むアダプタが、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれるNovakらによる米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に開示されている。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるChangらによる米国特許第8,910,639号明細書に開示されているように、使い捨てカートリッジを備えてもよい。
【0055】
図1に示すように、制御本体102は、制御構成要素106(例えば、プリント回路基板(PCB)、集積回路、メモリ構成要素、マイクロコントローラなど)、流量センサ108、電池110、およびLED112を含むことができる制御本体シェル101から形成されることができ、そのような構成要素は、可変的に整列させることができる。LEDに加えてまたはLEDの代替として、さらなるインジケータ(例えば、触覚フィードバック構成要素、音声フィードバック構成要素など)を含めることができる。発光ダイオード(LED)構成要素などの視覚的な刺激またはインジケータを生成する追加の代表的なタイプの構成要素、およびその構成と使用は、参照により本明細書に組み込まれる、Sprinkelらによる米国特許第5,154,192号明細書;Newtonによる米国特許第8,499,766号明細書およびScatterdayによる米国特許第8,539,959号明細書;Gallowayらによる米国特許出願公開第2015/0020825号明細書;およびSearsらによる米国特許出願公開第2015/0216233号明細書に記載されている。
【0056】
カートリッジ104は、リザーバハウジングに貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物をヒータ134に吸い上げるか、さもなければ輸送するように適合された液体輸送要素136と流体連通しているリザーバ144を囲むカートリッジシェル103から形成されることができる。液体輸送要素は、毛細管現象などによって液体を輸送するように構成された1つ以上の材料から形成されることができる。液体輸送要素は、例えば、繊維状材料(例えば、有機綿、酢酸セルロース、再生セルロース織物、ガラス繊維)、多孔質セラミック、多孔質カーボン、グラファイト、多孔質ガラス、焼結ガラスビーズ、焼結セラミックビーズ、毛細管などから形成されることができる。したがって、液体輸送要素は、開気孔網状組織(すなわち、流体が要素を通って複数の方向に1つの孔から他の孔に流れることができるように相互接続された複数の孔)を含む任意の材料とすることができる。電流が流れると発熱するように構成された材料の様々な実施形態を使用して、抵抗加熱素子134を形成することができる。ワイヤコイルを形成することができる材料の例として、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二ケイ化モリブデン(MoSi)、ケイ化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二ケイ化モリブデン(Mo(Si,Al))、チタン、白金、銀、パラジウム、グラファイトおよびグラファイトベースの材料(例えば、炭素ベースのフォームや糸)およびセラミック(例えば、正または負の温度係数のセラミック)が挙げられる。
【0057】
形成されたエアロゾルがカートリッジ104から出ることを可能にするために、カートリッジシェル103に(例えば、口端に)開口128が存在してもよい。そのような構成要素は、カートリッジ内に存在することができる構成要素の代表であり、本開示に含まれるカートリッジ構成要素の範囲を限定することを意図するものではない。
【0058】
カートリッジ104はまた、集積回路、メモリ構成要素、センサなどを含むことができる1つ以上の電子構成要素150を含むことができる。電子構成要素150は、有線または無線手段によって制御構成要素106および/または外部装置と通信するように構成されることができる。電子構成要素150は、カートリッジ104またはそのベース140内のどこにでも配置することができる。
【0059】
制御構成要素106および流量センサ108は、別個に示されているが、制御構成要素および流量センサは、空気流量センサが直接取り付けられた電子回路基板として組み合わせることができることが理解される。さらに、電子回路基板は、電子回路基板が制御本体の中心軸に対して長さ方向に平行とすることができるという点で、図1の図に対して水平に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、空気流量センサは、それ自体の回路基板または取り付け可能な他のベース要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路基板が利用されてもよい。フレキシブル回路基板は、略管状の形状を含む様々な形状に構成されてもよい。
【0060】
制御本体102およびカートリッジ104は、それらの間の流体係合を促進するように適合された構成要素を含むことができる。図1に示すように、制御本体102は、内部に空洞125を有するカプラ124を含むことができる。カートリッジ104は、カプラ124と係合するように適合されたベース140を含むことができ、空洞125内に嵌合するように適合された突起141を含むことができる。そのような係合は、制御本体102とカートリッジ104との間の安定した接続を容易にするとともに、電池110と制御本体内の制御構成要素106とカートリッジ内のヒータ134との間の電気接続を確立することができる。さらに、制御本体シェル101は、吸気口118を含むことができ、吸気口は、シェルのノッチであることができ、シェル内では、カプラの周りの空気を通過させてシェルに入るのを可能にするカプラ124にノッチが連絡し、次にシェル内では、周囲空気が、カプラの空洞125を通過して突起141を介してカートリッジ内に入る。
【0061】
本開示による有用なカプラおよびベースは、Novakらによる米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、図1に見られるようなカプラは、ベース140の内周142と嵌合するように構成された外周126を画定してもよい。一実施形態では、ベースの内周は、カプラの外周の半径に略等しいか、それよりも僅かに大きい半径を画定してもよい。さらに、カプラ124は、ベースの内周に画定された1つ以上の凹部178と係合するように構成された外周126に1つ以上の突起129を画定することができる。しかしながら、構造、形状、および構成要素の他の様々な実施形態を使用して、ベースをカプラに結合することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ104のベース140と制御本体102のカプラ124との間の接続は、略永続的とすることができるが、他の実施形態では、それらの間の接続は、例えば、制御本体が使い捨ておよび/または詰め替え可能とすることができる1つ以上の追加カートリッジとともに再利用されることができるように解放可能であってもよい。
【0062】
エアロゾル送達装置100は、いくつかの実施形態では、略棒状もしくは略管状の形状または略円筒形状とすることができる。他の実施形態では、さらなる形状および寸法、例えば、長方形または三角形の断面、多面的な形状などが包含される。特に、制御本体102は、非棒状であってもよく、むしろ、略長方形、円形、または何らかのさらなる形状を有してもよい。同様に、制御本体102は、実質的に従来の紙巻きタバコのサイズであると予想される制御本体よりも実質的に大きくてもよい。
【0063】
図1に示されるリザーバ144は、容器(例えば、エアロゾル前駆体組成物に対して略不浸透性の壁から形成される)とすることができるか、または繊維性リザーバとすることができる。例えば、リザーバ144は、この実施形態では、カートリッジシェル103の内部を取り囲む管の形状に実質的に形成された1つ以上の不織布繊維の層を含むことができる。エアロゾル前駆体組成物は、リザーバ144に保持されることができる。例えば、液体成分は、リザーバ144によって収着的に保持されることができる。リザーバ144は、液体輸送要素136と流体接続することができる。液体輸送要素136は、この実施形態では、毛管作用を介してリザーバ144に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を、金属ワイヤコイルの形態である加熱要素134に輸送することができる。したがって、加熱要素134は、液体輸送要素136と加熱配置にある。
【0064】
ユーザが物品100を引くと、センサ108によって空気流が検出され、加熱要素134が作動し、エアロゾル前駆体組成物の成分が加熱要素134によって気化される。物品100の口端を吸うと、周囲空気が吸気口118に入り、カプラ124の空洞125およびベース140の突起141の中央開口を通過する。カートリッジ104では、引き込まれた空気は、形成された蒸気と混合してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、加熱要素134からさっと払われ、吸引され、または他の方法で引き離され、物品100の口端の口開口128から出される。
【0065】
エアロゾル送達装置には入力装置要素が含まれていてもよい。ユーザが装置の機能を制御することを可能にするため、および/またはユーザへの情報の出力のために、入力装置を含めることができる。装置の機能を制御するための入力装置として、任意の構成要素または構成要素の組み合わせを利用することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるWormらによる米国特許出願公開第2015/0245658号明細書に記載されているように、1つ以上の押しボタンを使用することができる。同様に、参照により本明細書に組み込まれるSearsらによる米国特許出願公開第2016/0262454号明細書に記載されているように、タッチスクリーンを使用してもよい。さらなる例として、エアロゾル送達装置の指定された動きに基づくジェスチャ認識に適合した構成要素を入力装置として使用してもよい。参照により本明細書に組み込まれるHenryらによる米国特許出願公開第2016/0158782号明細書を参照されたい。
【0066】
いくつかの実施形態では、入力装置は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピュータまたはコンピューティング装置を備えることができる。特に、エアロゾル送達装置は、USBコードまたは同様のプロトコルの使用などを介して、コンピュータまたは他の装置に配線されてもよい。エアロゾル送達装置はまた、無線通信を介して入力装置として機能するコンピュータまたは他の装置と通信してもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるAmpoliniらによる米国特許出願公開第2016/0007561号明細書に記載されている読み取り要求を介して装置を制御するためのシステムおよび方法を参照されたい。そのような実施形態では、APPまたは他のコンピュータプログラムをコンピュータまたは他のコンピューティング装置と関連して使用して、制御命令をエアロゾル送達装置に入力することができ、そのような制御命令は、例えば、含まれるニコチン含有量および/またはさらなる香味料の含有量を選択することにより特定の組成のエアロゾルを形成する能力を含む。
【0067】
本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当該技術分野で説明されて市販されている構成要素から選択することができる。本開示にしたがって使用することができる電池の例は、Peckerarらによる米国特許出願公開第2010/0028766号明細書に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
エアロゾル送達装置は、エアロゾル生成が望まれるとき(例えば、使用中の吸引時)に発熱要素への電力供給を制御するためのセンサまたは検出器を組み込むことができる。したがって、例えば、使用中にエアロゾル送達装置が吸われていない場合に発熱要素への電力供給をオフにし、吸引中に発熱要素による発熱を作動またはトリガするために電力供給をオンにするやり方または方法が提供される。さらなる代表的なタイプの検知または検出機構、その構造および構成、その構成要素、およびその動作の一般的な方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Sprinkel,Jr.による米国特許第5,261,424号明細書;McCaffertyらによる米国特許第5,372,148号明細書;およびFlickによる国際公開第2010/003480号パンフレットに記載されている。
【0069】
エアロゾル送達装置は、最も好ましくは、吸引中の発熱要素への電力量を制御するための制御機構を組み込む。代表的なタイプの電子構成要素、その構造および構成、その特徴、およびその一般的な動作方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Gerthらによる米国特許第4,735,217号明細書;Brooksらによる米国特許第4,947,874号明細書;McCaffertyらによる米国特許第5,372,148号明細書;Fleischhauerらによる米国特許第6,040,560号明細書;Nguyenらによる米国特許第7,040,314号明細書およびPanによる米国特許第8,205,622号明細書;Fernandoらによる米国特許出願公開第2009/0230117号明細書、Colletらによる米国特許出願公開第2014/0060554号明細書、およびAmpoliniらによる米国特許出願公開第2014/0270727号明細書;およびHenryらによる米国特許出願公開第2015/0257445号明細書に記載されている。
【0070】
エアロゾル前駆体を支持するための代表的なタイプの基材、リザーバ、または他の構成要素は、参照により本明細書に組み込まれる、Newtonによる米国特許第8,528,569号明細書;Chapmanらによる米国特許出願公開第2014/0261487号明細書およびDavisらによる米国特許出願公開第2014/0059780号明細書;およびBlessらによる米国特許出願公開第2015/0216232号明細書に記載されている。さらに、様々な吸引材料、および特定のタイプの電子タバコ内のこれらの吸引材料の構成および動作は、参照により本明細書に組み込まれるSearsらによる米国特許第8,910,640号明細書に記載されている。
【0071】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達システムの場合、エアロゾル前駆体組成物は、最も好ましくは、タバコまたはタバコに由来する成分を組み込む。ある観点では、タバコは、細かく粉砕、粉砕または粉末化されたタバコ薄片などのタバコの一部または断片として提供されてもよい。他の観点では、タバコは、タバコの水溶性成分の多くを組み込んだ噴霧乾燥抽出物などの抽出物の形態で提供されてもよい。あるいは、タバコ抽出物は、タバコに由来する他の抽出成分も少量組み込むニコチン含有量が比較的高い抽出物の形態を有していてもよい。他の観点では、タバコに由来する成分は、タバコに由来する特定の香味料などの比較的純粋な形態で提供されてもよい。ある観点では、タバコに由来し、高度に精製されたまたは本質的に純粋な形態で使用されることができる成分は、ニコチン(例えば、医薬品グレードのニコチン)である。
【0072】
蒸気前駆体組成物とも呼ばれるエアロゾル前駆体組成物は、例として、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはそれらの混合物)、ニコチン、タバコ、タバコ抽出物、および/または香味料を含む様々な成分を含んでもよい。代表的なタイプのエアロゾル前駆体組成物および調合物もまた、これらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、Robinsonらによる米国特許第7,217,320号明細書およびZhengらによる米国特許出願公開第2013/0008457号明細書;Chongらによる米国特許出願公開第2013/0213417号明細書;Collettらによる米国特許出願公開第2014/0060554号明細書;Lipowiczらによる米国特許出願公開第2015/0020823号明細書;およびKollerによる米国特許出願公開第2015/0020830号明細書、ならびにBowenらによる国際公開第2014/182736号パンフレットに記載されて特徴付けられる。使用できる他のエアロゾル前駆体は、R.J.Reynolds Vapor CompanyによるVUSE(R)製品、Lorillard TechnologiesによるBLU(TM)製品、Mistic EcigsによるMISTIC MENTHOL製品、およびCN Creative LtdによるVYPE製品に組み込まれているエアロゾル前駆体を含む。また、Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。
【0073】
エアロゾル送達システム内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品が許容可能な感覚特性および望ましい性能特性を提供するようなものである。例えば、タバコの煙の外観に多くの点で似ている目に見える主流エアロゾルの生成を提供するために、十分な量のエアロゾル形成材料(例えば、グリセリンおよび/またはプロピレングリコール)を使用することが非常に好ましい。エアロゾル生成システム内のエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品ごとに望ましいパフの数などの要因に依存する場合がある。典型的には、エアロゾル送達システム内、特にエアロゾル生成部品内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、約2g未満、一般には約1.5g未満、大抵の場合には約1g未満、頻繁には約0.5g未満である。
【0074】
本開示のエアロゾル送達システムに組み込むことができるさらに他の特徴、制御装置または構成要素は、参照により本明細書に組み込まれる、Harrisらによる米国特許第5,967,148号明細書;Watkinsらによる米国特許第5,934,289明細書;Countsらによる米国特許第5,954,979号明細書;Fleischhauerらによる米国特許第6,040,560号明細書;Honによる米国特許第8,365,742号明細書;Fernandoらによる米国特許第8,402,976号明細書;Fernandoらによる米国特許出願公開第2010/0163063号明細書;Tuckerらによる米国特許出願公開第2013/0192623号明細書;Levenらによる米国特許出願公開第2013/0298905号明細書;Kimらによる米国特許出願公開第2013/0180553号明細書、Sebastianらによる米国特許出願公開第2014/0000638号明細書、Novakらによる米国特許出願公開第2014/0261495号明細書、およびDePianoらによる米国特許出願公開第2014/0261408号明細書に記載されている。
【0075】
物品の使用の前述の説明は、本明細書で提供されるさらなる開示に照らして当業者にとって明らかであり得る微細な変更を介して、本明細書に記載される様々な実施形態に適用されることができる。しかしながら、上記の使用説明は、物品の使用を限定することを意図するものではなく、本開示の開示の全ての必要な要件を満たすために提供されている。図1に示されたまたは上述した物品に示された要素のいずれも、本開示によるエアロゾル送達装置に含まれてもよい。
【0076】
1つ以上の実施形態では、本開示は、特に、エアロゾル送達装置において使用するために構成された繊維性基材に関連することができる。基材は、吸収性および吸引能力の一方または両方に関して望ましい特性を付与する特定のタイプの繊維または複数の繊維から形成されることができる。基材は、リザーバ内またはリザーバとして使用するように構成されることができる。例えば、本開示による基材は、エアロゾル送達装置のシェルの内部を取り囲む管の形状に実質的に形成されることができる実質的に不織布マットの形態とすることができる。さらなる例として、本明細書に記載される基材は、別個のリザーバ容器内に提供されることができる。適切なリザーバ容器は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるChangらによる米国特許出願公開第2015/0144145号明細書に記載されている。同様に、基材は、液体輸送要素として使用するために構成されることができる。例えば、本開示による基材は、少なくとも2つの別個の端部、部分、または表面を有することができ、その一方は、リザーバ内のエアロゾル前駆体組成物と流体連通し、その他方は、ヒータによる直接加熱配置にある(例えば、ワイヤ加熱コイルと直接接触している、または放射熱源と放射加熱関係にある)。
【0077】
非限定的な例として、以下の実施形態のそれぞれが本開示に含まれる。図2を参照すると、本明細書に記載の基材210は、(ボトルの形態の)リザーバ220内のエアロゾル前駆体組成物218と流体連通する第1の端部211およびヒータ230による加熱配置にある第2の端部212を有する細長芯の形態とすることができる。図3を参照すると、本明細書に記載の基材310は、第1の端部311、第2の端部312、および中間部313を有する細長芯の形態とすることができ、第1の端部および第2の端部の一方または両方は、(断面で示される、管形状の繊維状マットの形態で)リザーバ320内のエアロゾル前駆体組成物と流体連通しており、中間部313は、ヒータ330による加熱配置にある。図4を参照すると、本明細書に記載の基材410は、第1の表面411と、対向する第2の表面412とを有して実質的にマットであるように、繊維ディスクまたは他の断面形状の形態とすることができ、第1の表面は、リザーバ420内のエアロゾル前駆体組成物418と流体連通しており、対向する第2の表面は、ヒータ430による加熱配置にあるか、またはエアロゾル前駆体組成物を基材からヒータまで輸送するように構成された芯440と流体連通している。さらなる実施形態では、基材は、繊維状リザーバとして利用される。例えば、図8を参照されたい。
【0078】
1つ以上の実施形態では、本開示による基材は、様々な材料から構成された繊維から形成されることができる。例えば、適切な繊維は、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、綿、および不織布基材に形成可能な繊維の形成に使用するのに適した他の天然材料、製造された材料、または合成材料を含むことができる。好ましくは、本基材を形成する繊維の少なくとも一部は、再生セルロースから構成される。非限定的な例として、適切な再生セルロースは、木材(例えば、ユーカリの木)、草(例えば、竹)、綿、および他の植物ベースの材料など、あらゆる種類のセルロース含有材料から調製されたビスコース繊維とすることができる。
【0079】
繊維を形成するために使用される材料の種類に加えて、本明細書に開示される基材は、少なくとも部分的には繊維の物理的構造のために望ましい特性を示すことができる。繊維(特に押出された繊維)が固体であり、実質的に丸い断面を有することは一般的である。そのような構造の繊維も本基材に(例えば、ブレンドとして)含めることができるが、多葉断面を有する繊維を基材に含めることが特に有用であり得る。例えば、本基材は、基材に存在する繊維の総重量に基づいて、約25重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約75重量%以上、約90重量%以上、または約99重量%の量の多葉繊維を含むことができる。前述の値は、100重量%の固有の最大値を有する、すなわち、基材の形成に使用される全ての繊維が多葉繊維であることが理解される。いくつかの実施形態では、多葉繊維は、基材に存在する繊維の総重量に基づいて、基材の約25重量%から約100重量%、約50重量%から約100重量%、または約90重量%から約100重量%を含むことができる。「多葉繊維」および「多葉断面を有する繊維」という用語は、交換可能であることを意味することが理解される。いくつかの実施形態では、多葉繊維は、断面で、そこから延びる少なくとも3つの葉またはスポークを有する共通のベースまたはハブ(通常、繊維の断面のほぼ中央部)を含む繊維とすることができる。多葉繊維は、少なくとも1つのセットの隣接する延長部が180度未満の角度を形成し、それにより繊維に沿って長手方向に延びる1つ以上のチャネルを画定するように、3つ以上の延長部を有する繊維としてさらに定義されることができる。多葉繊維の非限定的な例を図5Aから図5Dに示す。
【0080】
図5Aに見られるように、多葉繊維500は、中央ハブ510から延びる複数の葉505を含み、隣接葉は、隣接葉間にチャネル515を形成するように180度未満の角度αを有する。多葉繊維の葉は、様々な形状を有することができる。図5Bに見られるように、多葉繊維500は、隣接葉の間に複数のチャネル515をさらに形成しながら、実質的に丸みを帯びた複数の葉505を含む。さらに他の例として、図5Cに見られるように、多葉繊維500は、より多数の葉505、したがって隣接葉の間のより多くのチャネル515を可能にするように実質的に細長い断面を有することができる。葉の数は様々とすることができ、例えば3枚から30枚、3枚から20枚、または3枚から10枚とすることができる。同様に、同じ繊維内の葉の間隔と葉のサイズは様々とすることができる。多葉繊維は、好ましくは、その液体取り扱い特性をさらに改善することができる表面特徴を含むことができる。図5Dに見られるように、多葉繊維500は、隣接葉の間に形成されるチャネル515を有する複数の葉505を含み、葉は、さらに繊維の液体保持および/または液体輸送を行うことができるマイクロチャネルまたはナノチャネルを形成する複数の条痕525を有する外面520を含む。条痕も付けられ且つ特に有用であり得る本開示による多葉繊維の特定の例は、Kelheim Fibresから商標名GALAXY(R)で販売されている繊維である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、中空とすることができる。例示的な中空繊維600が図6に示されており、繊維は、繊維の全直径に対して好ましくは薄い外壁602を有し(例えば、壁厚は、繊維直径の約1%から約20%、約2%から約15%、または約3%から約10%である)且つ中空内部空洞604を有する。いくつかの実施形態では、中空繊維もまた、セグメント化されることができる。中空繊維は、個々の繊維が乾燥状態で略平坦とすることができ且つ中空繊維によって形成された基材によって液体が吸収されると膨張して液体を受け入れることができるという点で特に有益とすることができる。本開示による特に有用とすることができる中空のセグメント化された繊維の特定の例は、Kelheim Fibresから商標名BRAMANTEで販売されている繊維である。
【0082】
本開示による基材は、不織布繊維の単層から形成されることができる。繊維の層は、湿式法および乾式法などの任意の適切な方法によって形成されることができる。好ましくは、基材の形成に利用される繊維は、ステープル繊維である。必要に応じて、通常は酢酸セルロースとともに使用されることができるバインダなど、バインダを使用してもよい。バインダは、開示されたリザーバを形成する際に使用される繊維に凝集効果を与える材料であると理解される。例えば、バインダは、繊維が互いに結合するようにまたは不織布リザーバに含まれるさらなる繊維状材料に結合するように、繊維を部分的に可溶化する材料とすることができる。使用されることができる例示的なバインダは、ポリ酢酸ビニル(PVA)バインダ、デンプン、およびトリアセチンを含む。いくつかの実施形態では、凝集性は、ニードルパンチまたは繊維を絡み合わせるための他の機械的プロセス(例えば、水流交絡)などの代替手段によって提供されてもよい。したがって、基材は、ニードルパンチ工程を実施する前には存在しない方法で繊維が絡み合っている点で、ニードルパンチされた基材であるという実際の物理的構造によって定義されることができる。そのため、「ニードルパンチ」という用語は、プロセスではなく基材の物理的状態を指すと理解される。同様に、「水流交絡」という用語は、プロセスではなく基材の物理的状態を指すと理解される。換言すれば、水流交絡は、基材を改変することができるプロセスであるが、水流交絡基材は、水流交絡を実施する前には存在しない繊維の絡み合いによって少なくとも部分的に定義される材料である。
【0083】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載の基材は、複数の層を含むことができる。例えば、同じ組成を有する2つ以上の層を組み合わせることができる。あるいは、異なる組成の2つ以上の層を組み合わせてもよい。
【0084】
複数の層の組み合わせは、第1の方向(例えば、第1の基材層に面する側)の液体の動きを促進し、第2の方向(例えば、第2の基材層に面する側)の液体の動きを制限するように構成されることができる。これは、図7に示されており、基材700は、第1の層760および第2の層770から形成される。第1の基材層760は、高い吸収性を有する繊維から形成され、吸引作用により吸収された液体を放出するように構成される。第2の基材層770は、低吸収性を有する繊維から形成され、そこを通る液体の移動に抵抗する、低減する、または防止するように構成される。図7に見られるように、第1の基材層760に吸収されたエアロゾル前駆体組成物は、(太線矢印によって示されるように)第1の基材層から自由に移動し、エアロゾル前駆体組成物は、(太線矢印がないことによって示されるように)第2の基材層770を通過するのが実質的に防止される。そのため、第1の基材層760を含む基材700側のエアロゾル送達装置のさらなる要素は、液体が気化することができるように第1の基材層に吸収されたエアロゾル前駆体組成物を自由に受け入れることができ、第2の基材層770を含む基材側のエアロゾル送達装置のさらなる要素は、いかなるエアロゾル前駆体組成物とも実質的に接触しないままとすることができる。図示のように、第1の基材層760は、第2の基材層770よりも厚い。しかしながら、2つの基材層は、実質的に同じ厚さであってもよく、または第2の基材層は、第1の基材層よりも厚くすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、第1の基材層760と第2の基材層770との間に第3の基材層780を含めることが有用であり得る。第3の基材層は、任意であり、第1の基材層を第2の基材層に結合するのに有用な材料を含むことができる。あるいは、第3の基材層は、第1の基材層が第2の基材層と直接接触しないように機械的分離層であってもよく、第1および第2の基材層の間の液体の通過を、さらに低減または防止することができる。第1の基材層と第2の基材層との間の結合はまた、第3の基材層の使用に加えてまたはその代わりに、ニードルパンチ、水流交絡、または同様の方法によって達成されることもできる。さらに、低融点結合繊維を第1の基材層および第2の基材層の一方または両方に含めて、別個の基材層を構成する繊維を独立して結合してもよく、および/または第1の基材層を第2の基材層に結合してもよい。この目的には、あらゆるタイプの低融点バインダ繊維を使用することができる。
【0085】
第2の基材層は、疎水性の繊維から形成されることができる。いくつかの実施形態では、疎水性は、繊維形成前(すなわち、繊維形成材料と組み合わせた)または繊維形成後に繊維に添加されることができる添加剤を介して提供されることができる。例えば、形成後に繊維に添加されることができる、および/または繊維によって構成された基材に添加されることができる1つ以上の疎水性コーティング材料によって、繊維はコーティングされることができる。いくつかの実施形態では、疎水性繊維は、繊維の形成中に撥水材料を添加することにより形成されることができる。例えば、長鎖炭化水素は、繊維形成前に繊維を形成するために使用されるセルロース材料に共有結合されることができる。そのため、最終的に形成された繊維は、固有の疎水性を示すことができる。本開示による有用な疎水性繊維の例は、Kelheim Fibresによって名称OLEAで販売されている。
【0086】
所望に応じて、第2の基材層は、実質的に非繊維状とすることができる。例えば、水性液体に対して略不浸透性のポリマーフィルムを利用することができる。
【0087】
エアロゾル送達装置804用の例示的なカートリッジ804が図8に示されており、図1に示されるような制御本体102などの電力および制御機能を提供するように構成されるさらなる本体に取り付けるように、カートリッジは構成されることができることが理解される。カートリッジ804は、ハウジング803(またはシェル)と、ハウジング内に配置された本明細書に記載の基材材料から形成されたリザーバ810とを含む。リザーバ810は、第1の基材層810aおよび第2の基材層810bから形成される。第1の基材層810aは、周囲にコイル状に巻かれたヒータ840を有する液体輸送要素840などの芯材料に高い吸収性およびその中に吸収された液体の自由放出をもたらすように構成される繊維から形成される。第2の基材層810bは、略疎水性であるように構成された繊維から形成され、したがって、第1の基材層810a内の液体の移動が非常に少ないかまたは全くない。リザーバ810とハウジング803との間には環状ギャップ881が存在するが、リザーバは、ハウジングの内面と直接接触してもよいことが理解される。したがって、二重層基材は、第1の基材層810aに貯蔵されたエアロゾル前駆体液体が液体輸送要素830を介してヒータ840に容易に吸い上げられるという点で有益である。しかしながら、エアロゾル前駆体液体がカートリッジ全体を移動してカートリッジハウジング803から漏れる可能性がある、及び/又は、エアロゾル前駆体液体が電池及び/又はコントローラを汚染する可能性のある制御本体にエアロゾル前駆体液体が侵入する可能性のある、エアロゾル前駆体液体の環状ギャップ881への通過が、実質的に防止される。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、その坪量に関して定義されることができる。好ましくは、本明細書に記載される基材は、同じ坪量を有する他の繊維状材料の充填容量よりも大きい充填容量を示すことができる。例えば、本開示による基材は、約100グラム毎平方メートル(GSM)から約250gsm、約110gsmから約230gsm、または約120gsmから約220gsmの坪量を有することができる。
【0089】
パーセント充填容量は、基材サンプルの初期乾燥重量と試験液によって飽和したときの基材サンプルの重量とに基づいて計算されることができる。したがって、パーセント充填容量は、以下の式にしたがって計算されることができる。
【0090】
【数1】
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示による基材は、上記の式にしたがって計算されるように、約1500%以上、約2000%以上、または約2500%以上の充填容量を有することができる。特に、本明細書に記載の基材は、上記の式にしたがって計算されるように、約1500%から約5000%、約1700%から約4700%、約2000%から約4500%、または約2500%から約4000%の充填容量を有することができる。
【0092】
例1-吸収性
基材の吸収性を評価するために、複数の基材を単層基材または多層基材として作成した。サンプルの形成には、以下の3種類の異なる繊維が使用された:略円形または楕円形の断面を有するBRAMANTE中空セグメント化繊維(3.3dtex×40mm)(以下「B」と表記);条痕を有するGALAXY(R)三葉繊維(3.3dtex×30mm)(以下「G」と表記);および繊維形成材料に共有結合的に架橋された長鎖炭化水素を有するOLEA疎水性繊維(1.7dtex×30mm)(以下「O」と表記)。3種類の繊維は全て、再生セルロースから形成される。単層基材は、3種類の繊維のステープル繊維から形成され、各基材は、単一種類の繊維、すなわち、100重量%B繊維、100重量%G繊維、または100重量%O繊維のみから形成された。対照および比較サンプルを、プレーン酢酸セルロースを使用して作成した。全ての基材は、乾式プロセスを使用して形成された。全ての単層サンプルについて、各サンプルあたり80グラムの繊維を秤量した。繊維をカードに3回通して、完成したウェブの許容可能な開口および均一性を確保した。2層のサンプルでは、40グラムの繊維を使用して各層のウェブを作製した。繊維は、均一性および分散のために、カードに再度3回通された。そして、これらの層は、ニードリングのために互いに積み重ねられ、または接着剤による接着のために接着ウェブによって層状にされた。3層のサンプルでは、26.5グラムの各繊維が重量測定され、1層および2層のサンプルと同じ手順にしたがった。ニードルリングは、フェルト織機実験室ニードラーで行った。各サンプルをニードラーに4回通した(各側で2回)。ニードル織機の速度とインチあたりのパンチ(ppi)は、両方とも50%に設定された。使用したニードルは、ニードルごとに6本のバーブであった。「接着された」サンプルは、軽量ポリエチレン接着ウェブ(例えば、Bostik PO104ホットメルトウェブ接着剤)によって接着された。サンプルを接着ウェブと層状にし、240°Fで30秒間ホットプレスにかけた。基材サンプルは、プレーン酢酸セルロース基材、ニードル処理されたプレーン酢酸セルロース基材、および有機綿基材に対して試験された。本開示による基材の15個の発明サンプルが評価され、各基材の組成は、対照および比較サンプルの組成とともに以下の表1に示される。
【0093】
【表1】
【0094】
e-リキッド組成物を各試験サンプルに適用した。e-リキッドは、グリセリン、プロピレングリコール、水、および香味料から形成された。e-リキッドは、飽和点に到達するまでゆっくりと試験サンプルに添加され、サンプルは、さらなる液体を保持しなかった。サンプルに添加された液体の質量を使用してパーセント充填容量を計算し、各サンプルの結果のパーセント充填容量を図9に示す。そこに見られるように、本発明のサンプル基材の全ては、対照酢酸セルロース(CON1)、ニードルパンチされた酢酸セルロース(COMP1)、および有機綿(COMP2)よりも高いパーセント充填容量を示した。
【0095】
酢酸セルロースの対照サンプルと比較して、充填容量の相対的増加も計算された。結果を図10に示す。そこに見られるように、本発明のサンプル基材は、酢酸セルロース対照と比較して2.15倍もの充填容量の相対的増加を示した。酢酸セルロース(CA)対照に対する相対充填容量は、以下の式にしたがって計算された。
【0096】
【数2】
【0097】
例2-エアロゾルの形成
エアロゾル形成のためにエアロゾル前駆体組成物を放出する基材の能力が、試験装置において例1からのサンプルのそれぞれを使用することにより評価された。試験は、図1に示すカートリッジ104と同様の構造のカートリッジを使用して実施された。各試験サンプルは、均一な寸法で提供され、図1に示されるリザーバ144として使用された。パフシミュレーションは、市販のパフシミュレーション装置、すなわち、タバコ喫煙機を利用して実施された。パフシミュレーションは、パフ間の時間間隔を30秒として3秒間のパフ(55cmの容積)で実施された。パフグループの中間点が平均として使用された。パフ0で質量測定を行った後、各リザーバ基材材料について20回の単独のパフを収集し、パフは、タバコ煙に含まれる総粒子状物質(TPM)の収集に一般的に使用されるケンブリッジフィルタパッドで収集された。生成された総質量を20で除算して、パフあたりの質量を求めた。プロットの目的で、パフグループの中間点におけるパフあたりの平均質量(すなわち、パフ10における質量)を使用した。
【0098】
試験の結果は、図11および図12に示されており、各基材を含む試験装置上のパフあたりのTPMに基づいて各サンプルについてエアロゾル生成が示されている。多層基材が基材の他方の面に対する一方の面の液体飽和を促進しているかどうかを確認するために、多層基材サンプルを試験のために双方向に向けた。図11および図12の凡例において、「in」という語が続く繊維の指定は、どの基材層が芯およびヒータに向かって内側に配向されたかを示す。凡例における各基材の数は、同様に基材の坪量に関連している。多層基材の場合、凡例における「接着剤」という語の存在は、層が一体に接着されていることを示している。他の全てのサンプルでは、ニードルパンチングが使用された。
【0099】
本開示の多くの変更および他の実施形態が、前述の説明および関連する図面に示された教示の利益を有することを本開示が関わる当業者が思い付くであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは、一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定のためではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12