(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】不規則形状の気道向けの気道弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20220331BHJP
A61M 16/04 20060101ALI20220331BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61F2/04
A61M16/04
A61B17/24
(21)【出願番号】P 2020078841
(22)【出願日】2020-04-28
(62)【分割の表示】P 2018550820の分割
【原出願日】2017-01-31
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リルジェグレン エリック
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-532098(JP,A)
【文献】特表2005-520631(JP,A)
【文献】特表2009-534095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 - 2/97
A61B 17/00 - 17/94
A61M 16/00 - 16/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a
.i.複数のアンカーと
、ii.複数の支柱と、を有するフレームと、
b.前記複数の支柱に結合しており、かつ前記複数の支柱のそれぞれの間に広がる膜と、
を備える弁であって、
前記弁は、前記弁が外力を受けずに展開する自由状態と、前記複数の支柱のうちの1以上の支柱が前記外力を受けて外向きへの拡張が阻止される負荷状態と、に変化可能であり、
前記膜
は、前記複数の支柱のそれぞれに負荷を与え
、(1)
前記弁が前記自由状態
の際、前記膜にしわを寄せずに、前記複数の支柱のそれぞれの間に延在し、かつ、(2)
前記弁が前記負荷状態
の際、前記膜が実質的に通路を封止するように、前記膜が屈曲して前記通路と接触する、ように十分弾性であり、
前記膜が
1GPa以下かつ0.01GPa以上の弾性率を有し、
前記膜が、シリコーンポリウレタンであ
り、
前記通路が非円形であるために前記複数の支柱のうちの一部の支柱のみが前記自由状態と比べて外向きへの拡張が阻止されたとき、前記複数の支柱のうちの他の支柱は、前記膜からの負荷が軽減され、前記自由状態よりも外向きに拡張して通路と接触可能である、
弁。
【請求項2】
a
.i.複数のアンカーと
、ii.複数の支柱と、を有するフレームと、
b.前記複数の支柱に結合しており、かつ前記複数の支柱のそれぞれの間に広がる膜と、
を備える弁であって、
前記弁は、前記弁が外力を受けずに展開する自由状態と、前記複数の支柱のうちの1以上の支柱が前記外力を受けて外向きへの拡張が阻止される負荷状態と、に変化可能であり、
前記膜
は、前記複数の支柱のそれぞれに負荷を与え
、(1)
前記弁が前記自由状態
の際、前記膜にしわを寄せずに、前記複数の支柱のそれぞれの間に延在し、かつ、(2)
前記弁が前記負荷状態
の際、前記膜が実質的に通路を封止するように、前記膜が屈曲して前記通路と接触する、ように十分弾性であり、
前記膜が
1GPa以下かつ0.01GPa以上の弾性率を有し
、
前記膜が、フルオロエラストマー、アクリレートポリマー、またはポリアクリレートであ
り、
前記通路が非円形であるために前記複数の支柱のうちの一部の支柱のみが前記自由状態と比べて外向きへの拡張が阻止されたとき、前記複数の支柱のうちの他の支柱は、前記膜からの負荷が軽減され、前記自由状態よりも外向きに拡張して通路と接触可能である、
弁。
【請求項3】
a
.i.複数のアンカーと
、ii.複数の支柱と、を有するフレームと、
b.前記複数の支柱に結合しており、かつ前記複数の支柱のそれぞれの間に広がる膜と、
を備える弁であって、
前記弁は、前記弁が外力を受けずに展開する自由状態と、前記複数の支柱のうちの1以上の支柱が前記外力を受けて外向きへの拡張が阻止される負荷状態と、に変化可能であり、
前記膜
は、前記複数の支柱のそれぞれに負荷を与え
、(1)
前記弁が前記自由状態
の際、前記膜にしわを寄せずに、前記複数の支柱のそれぞれの間に延在し、かつ、(2)
前記弁が前記負荷状態
の際、前記膜が実質的に通路を封止するように、前記膜が屈曲して前記通路と接触する、ように十分弾性であり、
前記膜が
1GPa以下かつ0.01GPa以上の弾性率を有し、
前記膜が、脂肪族ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンまたはポリエチレンシロキサンであ
り、
前記通路が非円形であるために前記複数の支柱のうちの一部の支柱のみが前記自由状態と比べて外向きへの拡張が阻止されたとき、前記複数の支柱のうちの他の支柱は、前記膜からの負荷が軽減され、前記自由状態よりも外向きに拡張して通路と接触可能である、
弁。
【請求項4】
前記複数の支柱のそれぞれが、前記膜
から受ける負荷を克服するのに十分な力を
前記膜に加え
ることにより、前記弁が前記自由状態になる一方、前記膜にしわが寄らないように、前記膜が前記複数の支柱のそれぞれと共に拡張する、請求項1
から3のいずれか1項に記載の弁。
【請求項5】
前記複数の支柱の
うちの前記一部
の支柱が、
前記通路の断面短軸方向に拡張する
のと並行して、前記複数の支柱の
うちの前記他の支柱が、前記
通路の断面長軸方向に拡張するとき、前記膜が実質的に張り詰めたままである、請求項1
から3のいずれか1項に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概ね、弁が拡張し、不規則形状である気道を封止できるように、予圧縮状態を有する弁に関し、具体的には、膜は、弁が不規則形状の気道を封止するように、完全拡張状態又は部分拡張状態において張り詰めたままであり、しわは寄らない。
【背景技術】
【0002】
機械的な気道弁は、肺の選択した部分に空気が流入しないように、通路内に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不規則形状の通路を遮断できる弁を有することは魅力的であるだろう。長寸法及び短寸法方向に拡張して、通路の形状を正確に模倣できる弁が必要である。支柱が外向きに拡張しているものの、完全には拡張しないように制約されているときにしわの寄らない膜を有する弁を有することは魅了的であるだろう。不規則形状の通路に適合し、通路を封止する弁が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本教示は、(a)(i)複数のアンカーと、(ii)複数の支柱と、を有するフレームと、(b)複数の支柱に結合しており、複数の支柱のそれぞれの間に広がる膜と、を備える弁であって、複数の支柱のそれぞれは自由状態及び負荷状態を有し、負荷状態において、膜は、負荷状態の複数の支柱のうちの2つ又は3つ以上の間で実質的に張り詰めており、自由状態において、膜は、負荷状態の複数の支柱のうちの2つ又は3つ以上の間で実質的に張り詰めている、弁を提供することにより、これらの必要性の(すべてではないが)1つ又は2つ以上を満たす。
【0005】
本教示は、(a)(i)複数のアンカーと、(ii)複数の支柱と、を有するフレームと、(b)複数の支柱に結合しており、複数の支柱のそれぞれの間に広がる膜と、を備える弁であって、膜は、複数の支柱のそれぞれに負荷を与え、膜は、(1)自由状態において、膜にしわを寄せずに、複数の支柱のそれぞれの間に延在し、(2)複数の支柱のうちの1つ又は2つ以上の制約時に、膜が実質的に通路を封止するように、屈曲して通路と接触するのに十分弾性である弁を提供する。
【0006】
驚くべきことに、本教示は、不規則形状の通路を遮断できる弁を提供することにより、これらの問題の1つ又は2つ以上を解決する。本教示は、長寸法及び短寸法方向に拡張して、通路の形状を正確に模倣できる弁を提供する。本教示は、支柱が外向きに拡張しているものの、完全には拡張しないように制約されているときに、しわの寄らない膜を有する弁を提供する。本教示は、不規則形状の通路に適合し、通路を封止する弁を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】通路に挿入されている、予負荷された弁の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に提示する説明及び例示は、本発明、その原理、及びその実用的用途を当業者に知らせることを意図したものである。当業者であれば、実用的使用の要件に最も適し得るように、本教示をその多数の形態で適合させて適用することができる。したがって、記述されるような本教示の特定の実施形態は、本教示を網羅している又は限定しているものとして意図するものではない。したがって、本教示の範囲は、上述の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。特許出願及び特許出願公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれている。以下の特許請求の範囲から見つけられるような他の組み合わせも可能であり、それらもまた参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
本教示は、通路に配置するための、改良された弁を提供する。本教示は、改良された気道弁を提供する。弁は、気道内で少しずつ開き、その気道を通る空気流を遮断するように機能する。弁は、通路、好ましくは肺内の気道など、1つ又は2つ以上の構造体を封止してよい。好ましくは、弁は封止部を形成し、気管支、細気管支、気管支枝、細気管支枝、又はこれらの組み合わせの内部での空気流を妨げる。弁は、取り外し可能であるように機能してよい。弁は、生体適合性であるように機能してよい。弁は、軸に沿って延在してよい。弁は、湾曲してよい。弁は、線状であってよい。弁は、1つ又は2つ以上の位置、1つ又は2つ以上の方向、又はその両方で屈曲してよい。弁は、屈曲し、かつ回転可能であってよい。弁は、1つの部分を含んでよい。弁は、複数の部分を含んでよい。弁は、遠位端と、近位端と、を含む。弁は、遠位端から近位端まで延在する長手方向軸を含む。長手方向軸は、長手方向軸が線状である、弓状である、屈曲部を含む、又はこれらの組み合わせであるように、弁の形状に沿ってよい。好ましくは、長手方向軸は弁の最大寸法であり、弁の長さ(例えば、長さ)に沿って延在する。
【0010】
遠位端は、気道に差し込まれる先導端、及び/又は第1端であってよい。遠位端は、固定アンカーを含んでよい。遠位端は、終点を含んでよい、終端であってよい、又はその両方であってよい。遠位端は、展開中に、遠位端が気道の壁に接触し、気道は無傷のままで気道を移動させるように、1つ又は2つ以上の非鋭利機構を含んでよい。複数の弁部が存在する場合、各弁部は遠位端を含んでよい。遠位端は、近位端と反対側に位置してよい。弁部の1つ又は2つ以上の遠位端は、隣接する弁部の近位端と連通していてよい。
【0011】
近位端は、展開される最後の端部であってよい。近位端は、1つ又は2つ以上の後退機構を含んでよい。近位端は、1つ又は2つ以上の取り外し機構を含んでよい。近位端は、ロッドを含んでよい。
【0012】
ロッドは、支持体、フレーム用支持体、中心軸、又はこれらの組み合わせとして機能してよい。ロッドは、展開状態、後退状態、又は両状態において、弁の中心に位置してよい。弁が展開状態、後退状態、又は両状態であるとき、ロッドは、弁の中心を外れて位置してよい。例えば、通路の270度が実質的に円形であり、90度が楕円形である場合、ロッドは、ロッドが弁の中心に位置しないように、楕円部に向かって歪んでよい。1つ又は2つ以上のロッドは、弁の長手方向軸に沿って延在してよい、弁の長手方向軸であってよい、又はその両方であってよい。ロッドは、構造体から弁を取り外すために使用されてよい。ロッドは、通路の壁、及び/又は気道との結合を解除してよい。ロッドは、支柱が展開状態から、又は通路の壁との結合から緩和され、弁が移動可能である、及び/又は取り外し可能であるように、支柱を移動させてよい。遠位端、近位端、又は両端は、1つ若しくは2つ以上の結合機構、1つ若しくは2つ以上の取り外し機構、1つ若しくは2つ以上の着脱可能機構、又はこれらの組み合わせを含んでよい。近位端は、弁を取り外せるように、結合部の形成を支援する、球状部、フック、「J」形状、又はこれらの組み合わせを含んでよい。1つ又は2つ以上のロッドは、1つ又は2つ以上の湾曲部、1つ又は2つ以上の屈曲部、又はその両方を含んでよい。好ましくは、1つ又は2つ以上のロッドは、概ね直線状(すなわち、線状)であってよい。1つ又は2つ以上のロッドは、中空、中実、又はその両方であってよい。1つ又は2つ以上のロッドは可撓性であってよい。1つ又は2つ以上のロッドは、ニチノール、鋼鉄、外科用鋼、ステンレス鋼、プラスチック、ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性物質、又はこれらの組み合わせで作製されてよい。好ましくは、1つ又は2つ以上のロッド及び支柱は、同一材料で作製される。1つ又は2つ以上のロッドは、一方向に移動可能であって、通路、特に構造体内で弁を中心に配置することを支援してよい。1つ又は2つ以上のロッドは、貫通孔、ディンプル、へこみ、陥凹部、隆起部、非線状部、又はこれらの組み合わせを含んでよい。1つ又は2つ以上のロッドは、遠位端及び近位端をそれぞれ含んでよい。弁は、弁が非線状経路(例えば、蛇行経路)内を移動できるように、1つ又は2つ以上のヒンジ点によって結合される複数のロッドを含んでよい。
【0013】
近位端は、1つ又は2つ以上のヒンジ点、1つ又は2つ以上の相互連結部、又はこれら両方を含んでよい。弁が複数の弁部を含むとき、弁は複数の近位端を含んでよい。弁は、2つ又は3つ以上の部分、更には複数の部分を含んでよい。
【0014】
弁部は、膜によって被覆されるフレームを含んでよい。フレームは、膜を移動して通路と接触させるように機能してよい。フレームは、通路内に弁を固定するように機能してよい。フレームは、拡張し、収縮してよい。フレームは、弁の骨格であってよい。フレームは、膜に対する長手方向の支持、膜に対する半径方向の支持、弁に対する長手方向の支持、又はこれらの組み合わせを提供してよい。フレームは、ロッドに結合してよい。フレームは、ロッドに対して移動してよい(例えば、ロッドから軸方向に離れるように拡張する、又はロッドに対して長手方向に移動する)。フレームは、1つ又は2つ以上のベース部材、1つ又は2つ以上の支柱、1つ又は2つ以上のアンカー結合部、1つ又は2つ以上のアンカー、又はこれらの組み合わせを含んでよい。
【0015】
ベース部材は、支柱、アンカー、又はその両方をロッドに結合してよい。ベース部材及び支柱、アンカー、又はその両方は、1つの一体片であってよい。ベース部材のそれぞれは、ロッドに沿って軸方向に移動するように機能してよい。ベース部材は、支柱の一端を軸方向に制約するように機能してよい。支柱は、ベース部材と固定的に結合されてよい(例えば、溶接される、接着される、又はその両方)。ベース部材は、支柱によってアンカーと間接的に結合されてよい。支柱の各セットは、ベース部材を含んでよい。2つ又は3つ以上の支柱セットが、単一のベース部材に結合されてよい。ベース部材は、ロッドに係止されてよい。ベース部材は、ロッドに沿って移動してよい。ベース部材は、支柱が半径方向外向きに拡張できるように移動可能であってよい。一部のベース部材は、軸方向に移動可能、半径方向に移動可能、又はその両方であってよく、一部のベース部材は、静止していてよい、又は移動不能(immoveable)であってよい。ベース部材は、ロッドに溶接されてよい、穴及びピン構成を有してよい、ロッドに圧着されてよい、接着されてよい、半田付けされてよい、又はそれらの組み合わせでよい。ベース部材は、概ねトロイダル形状、ドーナッツ形状、又はその両方であってよい。ベース部材は、円筒形であってよい。ベース部材は、ロッドが通って延在する貫通孔を含んでよく、支柱セットは、ベース部材から半径方向外向きに延出してよい。
【0016】
各支柱セットは、連携して、気道の全体又は一部を封止してよい(本明細書に記載するとき、「封止」は、空気が弁を超えて通過することを阻止することを意味する)。各支柱セットは、3つ若しくは4つ以上の支柱、4つ若しくは5つ以上の支柱、5つ若しくは6つ以上の支柱、好ましくは6つ若しくは7つ以上の支柱、又は更には7つ若しくは8つ以上の支柱を含んでよい。支柱は、ロッドの周り、ベース部材の周り、又はその両方に均等に分布してよい。支柱は、ロッドの周り、ベース部材の周り、又はその両方に非対称に分布してよい。支柱セットは、好ましくは1つ又は2つ以上の支柱、より好ましくは複数の支柱であってよい。1つ又は2つ以上の支柱、好ましくは複数の支柱は、膜を拡張させるように機能してよい。例えば、支柱は、膜が通路の壁に向かって半径方向外向きに移動し、好ましくは通路の壁と接触するように、膜に力を付与してよい。1つ又は2つ以上の支柱は、膜を移動して構造体(すなわち、通路又は気道)と接触させるように機能してよい。好ましくは、1つ又は2つ以上の支柱は、膜を半径方向外向き(例えば、通路の壁に向かって)移動させるように機能してよい。支柱は、支柱の外向き拡張が場所によって異なって、通路の寸法に適合するように移動可能であってよい。各支柱セットは、通路又は気道に十分な力を加えて、通路又は気道と封止部を形成してよい。各支柱は、支柱が膜を拡張させる、膜を伸ばす、膜による力を克服する、又はこれらの組み合わせを行うように、半径方向外向きに十分な力を加えてよい。各支柱セットは、通路、及び/又は気道が支柱と連通する膜によって遮断されるように、十分な力を加えてよい。各支柱は、約0.1N以上、約0.4N以上、約0.6N以上、又は更には約0.8N以上(約0.01Kg以上、約0.04Kg以上、約0.06Kg以上、又は更には約0.08Kg以上)の外向きの力を加えてよい。各支柱は、約10N以下、約5N以下、約2.5N以下、又は更には約1N以下(約1Kg以下、約0.5Kg以下、約0.25以下、又は更には約0.1Kg以下)の力を加えてよい。支柱は、支柱及び膜が拡張して、気道、通路、又はその両方を封止するように機能してよい。支柱は、閉鎖位置(すなわち、後退状態)から開放位置(すなわち、展開状態)へと弾性変形するように機能してよい。
【0017】
負荷状態は、1つ又は2つ以上の支柱が制約を受けるように、外力が、支柱のうちの1つ又は2つ以上に作用する(すなわち、支柱が外向きに半径方向力を付与しているものの、通路の壁など外力によって、外向きへの拡張が阻止される又は制約される)状態であってよい。支柱のうちの1つは、圧縮状態であってよい。すべての支柱は、圧縮状態であってよい。支柱のうちの一部は、圧縮状態であってよい。膜は、初期負荷状態を有してよい。初期負荷状態は、対象位置に送達するために、弁が、送達装置、カートリッジ、又はその両方に積み込まれる形状に支柱が圧縮される状態であってよい。初期負荷状態は、支柱が圧縮状態であるときに、膜が支柱に負荷を加える、膜にしわが寄らない、膜が張り詰めている、又はこれらの組み合わせであるように膜が支柱に結合されている、予負荷状態であってよい。初期負荷状態は、支柱と膜との間に結合が形成され、支柱が解放されて半径方向外向きに拡張すると、ただちに多少の負荷が支柱に作用する状態であってよい。負荷状態(loaded sate)は、予負荷が、膜をしわの寄らない状態、張り詰めた状態、又はその両方に維持するように、支柱が完全に開く、通路と接触する、又はその両方の前に、力が支柱に作用する予負荷状態であってよい。予負荷は、円周方向(すなわち、膜と一致する方向で)、半径方向(すなわち、支柱の半径方向拡張に対抗する力を付与する方向で)、又はその両方向の張力を支柱に生じさせる膜であってよい。予負荷は、支柱のうちの1つ又は2つ以上が、展開状態で、構造体の壁に接触して、完全に拡張する前の負荷状態であってよい。予負荷は、支柱の拡張中ずっと膜が支柱に負荷を付与して、完全に拡張状態にするように、支柱の外向き拡張時に、膜が支柱と共に弾性的に伸びることであってよい。好ましくは、圧縮状態は、支柱のうちの1つ又は2つ以上が拡張して自由状態になることを阻止するように、通路、カートリッジ、弁送達カテーテル、内視鏡の通路、気管支鏡、弁の外部にある一部の装置、又はこれらの組み合わせが弁に作用して、弁の1つ又は2つ以上の支柱を圧縮する状態であってよい。より好ましくは、膜は、圧縮状態及び負荷状態の両方に対して同様に反応し、収縮して、実質的に張り詰めたままである、しわが寄らない、又はその両方である。膜は、支柱のうちの1つ又は2つ以上が半径方向外向きに拡張して、自由状態になることができないように、支柱に多少の負荷を与えてよい。例えば、弁に6本の支柱が存在する場合、膜は、6本の支柱すべてが拡張して自由状態にならないように制約する(すなわち、膜は、全支柱に対する負荷を維持する)。1つ又は2つ以上の支柱が圧縮状態のとき、1つ又は2つ以上の隣接する支柱は展開状態であってよい。負荷状態のとき、1つ又は2つ以上の隣接する支柱は、弁が通路の形状を正確に模倣するように、自由状態を超えて延出してよい。好ましくは、通路が非円形である(例えば、楕円形である、平坦な壁を有する、非対称である)ために負荷状態のとき、1つ又は2つ以上の他の支柱は、膜からの負荷を軽減され、もう1つの支柱が自由状態を超えるように、外向きに拡張して通路と接触してよい。負荷状態、圧縮状態、又は両状態は、支柱が、自由状態よりも短い距離を拡張する任意の状態であってよい。
【0018】
自由状態は、外力が支柱のそれぞれ、膜(すなわち、支柱は、膜を半径方向外向きに引かない)の両方に作用しない状態であるように機能してよい。自由状態は、全支柱が等しく外向きに拡張したときの支柱の最大拡張であってよい。自由状態は、支柱が主距離(すなわち、ロッドからの断面長さ)を完全に拡張する状態であってよい。自由状態は、支柱の一部が主距離まで拡張する状態であってよい。例えば、全支柱が(例えば、円形拡張で)等しく外向きに拡張する場合、支柱は、ロッドからの距離Xを拡張してよい。しかしながら、支柱の一部が、通路によって制約される場合、支柱の一部は、円形拡張距離よりも大きい距離(例えば、距離X+1)を拡張してよい。自由状態では、膜は張り詰めている、しわが寄らない、又はその両方であってよい。
【0019】
支柱は、長手方向軸に沿って位置する状態から半径方向外向きに延出する状態まで延出してよい。1つ又は2つ以上の支柱は開放位置に形成され、次いで、展開されて支柱が開放位置へと弾性変形するまで閉鎖してよい。複数の支柱のそれぞれは、個々に移動可能であってよい。複数の支柱のそれぞれは、他の支柱と無関係に移動してよい。例えば、ある支柱は制約されてよく、第2支柱は、両側の支柱に影響を及ぼさずに、又はそれらの影響を受けずに、自由状態に移行してよい。各支柱は、支柱のそれぞれの間に延在する膜が支柱間の壁と封止部を形成できるように、個々に移動して壁と接触してよい。開放位置は、自由状態、圧縮状態、負荷状態、又はこれらの組み合わせであってよい。開放位置は、支柱がロッドからある距離離れて存在する位置であってよい。各支柱は、ベース部材、ロッド、又はその両方から概ね半径方向外向きに延出してよい。支柱は、ロッドから半径方向外向きに約1mm以上、約2mm以上、又は約3mm以上の距離(例えば、断面距離の半分(例えば、半径))を延出してよい。支柱は、ロッドから半径方向外向きに約8mm以下、約6mm以下、又は約4mm以下の距離を延出してよい。各支柱は、「J」形状を形成してよい。各支柱は、1つ又は2つ以上の屈曲部、2つ又は3つ以上の屈曲部、又は更には3つ又は4つ以上の屈曲部を含んでよい。各支柱は、支柱がベース部材から半径方向外向きに延出するように、湾曲してよい。ベース部材から外向きに延出する支柱は、ベース部材に対する角度が、ロッド、ベース部材、又はその両方から離れるように延在し、ロッドと平行になるように、湾曲してよい。完全弛緩状態の各支柱は、少なくとも、ベース部材、ロッド、又はその両方と平行である部分を有してよい。支柱は、長さを有する。支柱のそれぞれは、同一の長さを有してよい。各支柱は、約3mm以上、約4mm以上、又は更には約5mm以上の長さを有してよい。各支柱は、約10mm以下、約9mm以下、又は約8mm以下の全長を有してよい。各支柱は、組織、通路の壁、気道の壁、又はこれらの組み合わせを把持するための1つ又は2つ以上の機構を含んでよい。各支柱は、内向きに湾曲する、ロッドに向かって延在する、又はその両方である先端部を有してよい。好ましくは、支柱は、通路の壁(例えば、組織)を貫通する機構を含まない。通路を把持する機構は、半径方向外向きの力を加えることによってのみ把持してよい。支柱は、任意の弾性変形可能な材料で作製されてよい。支柱は、生体適合性材料で作製されてよい。支柱は、金属、プラスチック、ポリマー材料、合金、又はこれらの組み合わせで作製されてよい。好ましくは、支柱は、ニチノール(すなわち、ニッケル-チタン合金)で作製されてよい。一部の支柱は、ロッドに直接結合されてよく、一部の支柱は、ベース部材に結合されてよく、この支柱は、先端部からロッドまで支柱に沿って支柱間を延在する膜に結合されてよい。複数の支柱は、ロッド、ベース部材、アンカー、又はこれらの組み合わせに結合されてよい。
【0020】
1つ又は2つ以上のアンカーは、弁が展開状態のときに弁の移動を阻止するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアンカーは、1つ又は2つ以上の弁部、1つ又は2つ以上のロッド、弁全体、又はこれらの組み合わせの移動を阻止するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアンカーは、弁が所望の位置に留まるように、通路内、気道内、又はその両方で弁の移動を阻止するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアンカーは、ロッドに対する弁部の軸方向移動を阻止してよい。1つ又は2つ以上のアンカーは、弁の遠位端、近位端、又は両端に位置してよい。好ましくは、アンカーは、弁の中央領域(すなわち、遠位端と近位端との間の位置)から延出してよい。より好ましくは、アンカーは、実質的に弁の中央(すなわち、中心の約20%以下以内、約15%以下、又は約10%以下以内)から延出する。1つ又は2つ以上のアンカーは、弁を構造体に取り付ける、弁の移動を阻止する、又はその両方を行う、1つ又は2つ以上のアームを含んでよい。
【0021】
1つ又は2つ以上のアームは、弁を構造体に結合するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアームは、弁の展開時に弁の移動を阻止するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアームは、ロッドから半径方向外向きに延出してよい。1つ又は2つ以上のアームは、ニチノール、鋼鉄、外科用鋼、ステンレス鋼、プラスチック、ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性物質、又はこれらの組み合わせで作製されてよい。1つ又は2つ以上のアームは、第1弓状領域、第2弓状領域、第3弓状領域、及びアンカー先端部を含んでよい。弓状領域のそれぞれは、ロッドから延出し、アンカー先端部が弁を通路、構造体、組織、又はこれらの組み合わせに結合するように、アンカー先端部を曲げるように構成されてよい。
【0022】
1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、構造体を把持する、構造体を貫通する、又はその両方を行うように機能してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、構造体(例えば、構造体の組織)を貫通して、弁を固定してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、アンカーのアームが構造体に対して移動することを阻止するように機能してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、延出して、構造体、通路、組織、若しくはこれらの組み合わせと接触する、及び/又はこれらを把持してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、鋭利な、非鋭利な、丸みを帯びた、平坦な、アームに対してある角度をなす、又はこれらの組み合わせである先端部を有してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、アームの主部を越えて外向きに延出してよい。1つ又は2つ以上のアンカー先端部は、遠位端、近位端、又は両端に向かって角度をなしてよい。アンカー先端部は、アンカーのアームの主部、アンカー先端部が結合されるアーム、又はその両方から約45度以上、約60度以上、75度以上、又は約90度以上の角度をなして延出してよい。アンカー先端部が、アンカーのアームの主部と約90度の角度をなして延出するとき、アンカー先端部はアンカーパッドであってよい。アンカーパッドは、通路、組織、又はその両方に向かってのアンカー先端部の移動を制約してよい。アンカーパッドは、アンカー先端部に近接した組織と接触してよい。アンカーパッドは、組織又は通路を把持しないアンカー先端部であってよい。アンカー先端部は、アンカーのアームの主部、アンカー先端部が結合されるアーム、又はその両方に対して、約150度以下、約135度以下、約115度以下、又は約105度以下の角度をなして延出してよい。一部のアンカー先端部は、アームに対して角度をなして延出してよく、一部のアンカー先端部は、アームと同一平面上で延出してよい。アンカー先端部は、約1mm以上、約2mm以上、又は約3mm以上の長さを有してよい。アンカー先端部は、約10mm以下、約8mm以下、又は約5mm以下の長さを有してよい。アンカー先端部は、膜が通路を封止するように、弁を所定の位置に保持してよい。
【0023】
膜は、流体(例えば、空気)の通過を阻止するように機能してよい。膜は、構造体、通路、好ましくは気道を通る気流を制約するように機能してよい。膜は、流体不透過性であってよい。膜は、剛性であってよい。膜は、可撓性であってよい。膜は、塑性変形可能であってよい。好ましくは、膜は弾性変形可能である。膜は、各支柱の長さに沿って取り付けられてよい。膜は、弁の周囲(すなわち、弁の周囲の支柱から支柱まで)に延在してよい。好ましくは、膜は、各支柱の長さに沿って、各支柱間に延在する。膜は、各支柱上の1つ又は2つ以上の位置にて取り付けられてよい。膜は、実質的に各支柱の全長に沿って(例えば、支柱の長さの70%以上、80%以上、又は更には90%以上)支柱に取り付けられてよい。膜は、実質的に支柱の全体又は一部(すなわち、ロッドから各支柱の先端部まで)を取り囲んでよい。膜は、1つの支柱セットと連通してよい。膜は、複数の支柱のそれぞれに結合され、これの間に延在してよい。膜は、支柱のうちの1つ又は2つ以上が初期負荷状態、圧縮状態、自由状態、又はこれらの組み合わせであるとき、支柱に結合されていてよい。膜の材料は十分に弾性であってよく、支柱が自由状態であり、膜が支柱に結合されているとき、膜が負荷を受け得る、又は圧縮され得、材料は、膜に実質的にしわが寄らない、弾性的に収縮し、複数の支柱のそれぞれの間で張り詰める。
【0024】
膜は、支柱が外向きに拡張するときに膜が張り詰めたままでいるように、弾性を有する材料で作製されてよい。例えば、展開され、支柱が圧縮状態から自由状態に向けて移動すると、支柱、膜、又はその両方が移動して通路の壁と接触するとき、流体の通過が実質的に阻止されるように、支柱、膜、又はその両方との間に封止部が形成されるように、膜は、張り詰めており(taught)、しわが寄らなくてよい。膜は、圧縮状態、負荷状態、自由状態、又はこれらの組み合わせであるとき、実質的に張り詰めたままであってよい。膜が張り詰めているとき、膜には、実質的にしわが寄らない(例えば、弛み部、支柱に全く力を付与しない部分、折り畳み部、非線形部分、重複部、又はこれらの組み合わせ)。膜にしわが寄らないとき、膜は、非線形部分、重複部、折り畳み部、弛み部、又はこれらの組み合わせのない、概ね線状である。張り詰めている膜は、2つの支柱間で多少の負荷を付与していてよい。張り詰めている膜は、2つの支柱間で緊張状態にあってよい。張り詰めている膜は、膜と通路の壁との間に実質的に間隙が形成されないように、実質的に通路の形状を正確に模倣してよい。言い換えると、支柱は、弁が膜と通路の壁との間に実質的に間隙を有さず、膜が、膜と通路の壁との間での流体の通路を実質的に阻止するように、膜を移動させて、通路の壁と接触させる。膜は支柱間に延在し、膜と通路との間に間隙、空間、又はその両方が形成されないように、通路の形状を正確に模倣してよい。間隙、空間、又はその両方は、膜が通路の壁と封止部を形成せず、膜と通路との間を多少の流体が通過することが許可される領域である。膜は、膜が通路の形状に適合し、存在するすべての間隙の寸法を減少させる、間隙を排除する、又はその両方を行うことができるように、柔軟であってよい。通路と膜との間の表面張力によって、膜を引き寄せて通路と接触させてよい、通路との接触を保持してよい、又はその両方を行ってよい。膜は、粘液又は他の物質が膜を通過し、次いで間隙が排除されるように、膜が、後退して通路と接触するように、移動してよい。弁は、約6個以下の間隙、約5個以下の間隙、約4個以下の間隙、好ましくは約3個以下の間隙、より好ましくは約2個以下の間隙、更により好ましくは約1個以下の間隙、及び最も好ましくはほぼ0個の間隙を有してよい。好ましくは、約1個以下の間隙は、各支柱対間の領域の膜と壁との間に存在する。より好ましくは、0個の間隙は、各支柱対間の領域の膜と壁との間に存在する。膜は、膜が伸びるとき、間隙、空間、又はその両方が、膜と通路の壁との間で阻止される、及び/又は排除されるように、支柱と共に伸びる材料で作製されてよい。
【0025】
膜は、流体の通過を阻止するように機能してよい。膜は、構造体、通路、好ましくは気道を通る気流を制約するように機能してよい。膜は、流体不透過性であってよい。膜は、剛性であってよい。膜は、可撓性であってよい。膜は、塑性変形可能であってよい。好ましくは、膜は弾性変形可能である。膜は、各支柱の長さに沿って取り付けられてよい。膜は、各支柱上の1つ又は2つ以上の位置にて取り付けられてよい。膜は、実質的に支柱の全体又は一部(すなわち、ロッドから各支柱の先端部まで)を取り囲んでよい。膜は、1つの支柱セットと連通してよい。膜は、初期負荷状態から、負荷状態、圧縮状態を経て、しわが寄らない自由状態へと伸ばすことができる材料で作製されてよい。材料は、弁が、実質的に初期負荷状態と同一寸法の直径を有する通路に適合するよう構成されるように、膜にしわを形成せずに自由状態へと伸ばすことができてよい。支柱が完全には展開されないように(すなわち、完全展開の約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下まで展開される)膜が制約される場合、膜はある支柱セット上に位置し、第2支柱セットによる接触を受けてよい。膜は、ある支柱セット上に完全に支持され、次いで移動して構造体と接触し、膜を移動して構造体と接触させる第2支柱セットによって完全封止部を形成してよい。各支柱セットは、膜を含んでよい。各支柱セットは、各支柱セット及び対応の膜が表面と封止部を形成するように、個々に膜を移動して、表面と接触させてよい。膜は、ポリウレタン、脂肪族ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンシロキサン、シリコーン、シリコーンポリウレタン、フルオロエラストマー、アクリレートポリマー、ポリアクリレートを含む材料、又はこれらの組み合わせで作製されてよい。膜は、約10GPa以下、約5GPa以下、約2GPa以下、又は更には約1GPa以下の弾性率を有する材料で作製されてよい。材料は、約.001GPa以上、約0.003GPa以上、約0.005GPa以上、約0.01GPa以上、約0.03GPa以上、約0.05GPa以上、又は更に約0.06GPa以上の弾性率を有してよい。膜の材料は、約0.00100GPA~約0.065GPaの弾性率を有してよい。約3MPa以上、約5MPa以上、又はより好ましくは約8MPa以上、約12MPa以上、約15MPa以上、又は更に約20MPa以上の100%歪み時引張り応力を有する材料。材料は、約100MPa以下、約50MPa以下、又は約30MPa以下の100%歪み時引張り応力を有してよい。約4MPa以上、約7MPa以上、約10MPa以上、約15MPa以上、又は約20MPa以上の200%歪み時引張り応力を有する材料。材料は、約100MPa以下、約50MPa以下、又は約30MPa以下の200%歪み時引張り応力を有してよい。約6MPa以上、約9MPa以上、約13MPa以上、約18MPa以上、又は約20MPa以上の300%歪み時引張り応力を有する材料。材料は、約100MPa以下、約50MPa以下、又は約30MPa以下の300%歪み時引張り応力を有してよい。約15MPa以上、約20MPa以上、又は約25MPa以上(すなわち、約15MPa~約30MPa)の破断点引張り強さを有する材料。材料は、約40kN/m以上、約60kN/m以上、約75kN/m以上、約100kN/m以上の引き裂き強さを有してよい。材料は、約200kN/m以下、約150kN/m以下、又は約125kN/m以下の引き裂き強さを有してよい。複数の膜が使用されるとき、ある膜は弾性であってよく、ある膜は非可撓性であってよい。例えば、ある膜は熱可塑性ポリウレタンで作製されてよく、ある膜はシリコーンポリウレタンで作製されてよい。膜は、しわを寄せずに伸びてよい。膜は、後退状態から展開状態へと拡張する支柱の力によって伸ばされてよい。膜は、支柱セット、ベース部材、又はその両方に結合されてよい。2つ又は3つ以上の支柱、好ましくは複数の支柱は、ベース部材に結合されてよい。
【0026】
展開状態は、通路、気道、又はその両方を封止するように機能してよい。展開状態は、支柱を半径方向外向きに延出させて、実質的に通路及び/又は気道の中心に弁を支持するように機能してよい。展開状態は、完全展開した支柱と、弁の更なる移動が生じない定常状態(すなわち、完全展開位置)に移動した可動アンカーと、を有してよい。展開状態は、半径方向外向きに延出する支柱を有してよい。展開状態は、圧縮状態、負荷状態、自由状態、又はこれらの組み合わせであってよい。完全展開状態は、ロッドから外向きに延出し、通路など構造体と接触する支柱を有してよい。完全展開状態の支柱は、圧縮状態、負荷状態、又はその両方の1つ又は2つ以上の支柱を有してよい。支柱は、構造体のために完全に開かないように制約されてよく、定常状態又は自由状態は達成されない。支柱は、後退状態から完全展開状態へとゆっくり延出してよく、90度未満の角度をなして延出してよい。弁は、支柱が弾性変形して完全展開状態に戻る、支柱が膜を伸ばす、又はその両方を行うときに、時間をかけて後退状態から完全展開状態へと徐々に移行してよい。支柱、アンカー、又はその両方は、通路、気道、又はその両方が、支柱が完全に開くにつれて次第に封止されるように、一定期間にわたって(例えば、6時間以上、12時間以上、24時間以上、1日以上、3日以上、又は更には1週間以上)後退状態から展開状態へと次第に開いてよい。支柱、アンカー、又はその両方は、急速に開いて、通路など構造体と接触してよい(例えば、5分以下、3分以下、1分以下、又は更には30秒以下)。
【0027】
後退状態は、カプセル、カートリッジ、弁送達カテーテル、気管支鏡、又はこれらの組み合わせの内部に位置する弁を有してよい。後退状態は、実質的に長手方向軸と平行に延在する、支柱、アンカー、又はその両方を有してよい。後退状態は、遠位端から離れる方向を向く、近位端の方向を向く、又は両方向を向く、支柱、アンカー、又はその両方を有してよい。後退状態は、支柱の配置中に、いずれかの通路、壁、組織、又はこれらの組み合わせと不注意に結合しない方向を向く、支柱、アンカー、又はその両方を有してよい。後退状態は、弁が、1つ若しくは2つ以上の通路、1つ若しくは2つ以上の気道、弁送達カテーテル、気管支鏡、又はこれらの組み合わせを通って移動できるように圧縮された弁を有してよい。後退状態により、弁は、壁、組織、又はその両方に結合することなく、蛇行する通路、気道、又はその両方を通って移動できてよい。後退状態により、気道ツリーの第2枝、第3枝、又は更には第4枝に弁を配置することができてよい。後退状態は、カプセル、カートリッジ、弁送達カテーテル、気管支鏡、又はこれらの組み合わせから弁が取り出される、放出される、取り外される、又はこれらの組み合わせが行われると、終了してよい。
【0028】
弁は、支柱が折り畳み構成、長手方向軸に対する平行関係、又はその両方で維持されるように、カートリッジに装着されてよい。弁は、カートリッジによる支柱に対するすべての圧力が解放されるように、カートリッジから取り出されてよい。カートリッジは、弁送達カテーテル、気管支鏡など展開装置に弁を装着するために使用されてよい。送達カテーテルは、弁が通路内、気道内、又はその両方に配置されるように、カートリッジ、弁、又はその両方が解放されるときに後方に引っ張られてよい。送達カテーテルは、弁が所望の位置、所定の位置、崩壊位置、又はこれらの組み合わせに維持されるように、引き戻されてよい。弁が展開されると、支柱は、弾性変形を開始するように機能してよい。支柱は、支柱が弾性変形するにつれて、支柱が通路、気道、又はその両方を封止するように構成されてよい。支柱はアンカーに結合されてよく、支柱の軸移動が実質的に阻止されるように、通路、組織、気道、壁、又はこれらの組み合わせとの結合部を形成してよい。
【0029】
図1は、弁2を示す。弁2は、近位端6と遠位端8との間に延在するフレーム10を有する。フレーム10は、近位端6に位置する複数の支柱12を有し、複数の支柱12は、支柱12のそれぞれの間に延在する膜50によって共に結合される。支柱12は、ベース部材18によってアンカー30に結合される。複数のアンカー30は、遠位端8に位置する。複数のアンカー30のそれぞれは、アンカー先端部32を含む。
【0030】
図2は、弁2の上面図を示す。弁2は、実質的に複数の支柱12の中心に位置するロッド4を含む。図に示す複数の支柱12は自由状態16であり、支柱は、弁が最大断面長さ(C
L)に拡張し、膜50が支柱12のそれぞれの間で実質的に張り詰めているように拡張している。アンカー先端部32を有するアンカー30は、弁2が展開されたときに、アンカー30が弁2を所定の位置に固定するように、膜50を超えて外向きに拡張する。
【0031】
図3は、通路200への展開の初期段階中の弁2の上面図を示す。膜50は複数の支柱12のそれぞれの間に延在し、膜50は、外向きに拡張する支柱によって緊張状態にあり、支柱12は、内向きに引っ張る膜50による張力を受け、弁に予負荷20を有させる。支柱12のそれぞれは圧縮状態14で示され、支柱12は外向き拡張を開始しているが、膜50は、支柱の外向き移動を制約している。
【0032】
図4は、完全展開状態の弁2を示しており、膜50及び支柱12は移動して、通路200と接触している。図に示す通路200は、
通路200の断面長軸方向長さ(D
MAJ)と、
通路200の断面短軸方向長さ(D
MIN)と、を有する。
断面長軸方向の支柱12
は、断面長さを超えて拡張する。
断面短軸方向の支柱12は、圧縮状態14である。圧縮状態14の支柱12により、
他の支柱12は自由状態16に移行して、不規則形状の通路200を封止することができる。
【0033】
本明細書に列挙するあらゆる数値は、少なくとも2つの単位の分離が任意のより低い値と任意のより高い値との間にあることを条件として、1つの単位の増分で低い値から高い値までのすべての値を含む。一例として、構成要素の量、又は例えば温度、圧力、時間などのプロセス変数の値が、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると明記されている場合、15~85、22~68、43~51、30~32などの値が本明細書中に明示的に列挙されていることが意図されている。1未満の値については、1つの単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01、又は0.1とみなされる。これらは具体的に意図されるものの単なる例に過ぎず、列挙されている最低値と最高値との間の数値のすべての可能な組み合わせが、同様に本明細書において明示的に記載されているものとみなされるべきである。
【0034】
特に明記されていない限り、すべての範囲は、両方の終点、及び両終点間のすべての数を含む。範囲に関連した「約」又は「およそ」の使用は、範囲の両端に適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定の終点を含めて、「約20~約30」を包含することが意図されている。
【0035】
特許出願及び特許出願公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれている。組み合わせを説明する「~から本質的になる」という用語は、特定された要素、成分、構成要素、又は工程と、組み合わせの基本的及び新規な特性に実質的に影響を与えないような他の要素、成分、構成要素、又は工程とを含むものとする。本明細書における要素、成分、構成要素、又は工程の組み合わせを説明する「~を備える」又は「~を含む」という用語の使用は、要素、成分、構成要素、又は工程から本質的になる実施形態も企図している。本明細書において「~してもよい」という用語を使用することによって、含まれ「てもよい」あらゆる記載される属性は任意選択であるものとする。
【0036】
複数の要素、成分、構成要素又は工程は、単一の統合された要素、成分、構成要素又は工程によって実現され得る。或いは、単一の統合された要素、成分、構成要素、又は工程は、別個の複数の要素、成分、構成要素、又は工程に分割されることがある。要素、成分、構成要素、又は工程を説明する「1つの(a)」又は、「1つの(one)」という開示は、追加の要素、成分、構成要素、又は工程を除外することを意図しない。
【0037】
上述の説明は例示であり、限定するものではないことが理解される。提供した実施例以外の多くの実施形態並びに多くの適用例が、上述の説明を読むことによって当業者には明白となるであろう。したがって、本教示の範囲は、上述の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。特許出願及び特許出願公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれている。以下の特許請求の範囲における、本明細書に開示されている主題のいかなる態様の省略も、このような主題を放棄するものではなく、本発明者らがこのような主題を、開示されている発明の主題の一部であるとみなさなかったものと考えられるべきものでもない。
【符号の説明】
【0038】
2 弁、4 ロッド、6 近位端、8 遠位端、10 フレーム、12 支柱、14 圧縮状態、16 自由状態、18 ベース部材、20 予負荷、30 アンカー、32 アンカー先端部、50 膜、200 通路、CL 断面長さ、DMAJ 長直径、DMIN 短直径。