(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】医療機器の距離調整型連結具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20220331BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20220331BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220331BHJP
A61B 50/20 20160101ALI20220331BHJP
【FI】
A61M5/14 532
F16B2/06 A
F16B7/04 301M
A61B50/20
(21)【出願番号】P 2020211951
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】水口 啓一
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0321599(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0167514(US,A1)
【文献】特開2001-289208(JP,A)
【文献】特許第5792353(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
F16B 2/06
F16B 7/04
A61B 50/20
A61J 1/16
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の接続管と、当該接続管を貫通させそれの軸回り及び軸線方向の固定位置を調整自在に装着される一対のパイプストッパと、当該パイプストッパに自在継手を介して接続されるクランプとを具備し、
前記パイプストッパは、内側に収容空間を有する箱型で前記接続管を貫通させるストッパ本体と、当該ストッパ本体の収容空間内において前記接続管を貫通させかつ当該接続管の軸線直交方向に固定位置と解放位置との間を移動自在に設けられる締め付けリング部材と、当該締め付けリング部材を固定位置と解放位置との間で移動させるノブ付きボルトとを具備し、
前記ストッパ本体は、前記収容空間の四囲を囲み互いに直交する4つの側壁のうち一組の相対向する側壁に前記接続管を貫通させる丸孔を有し、前記側壁に直交して前記収容空間の一側を閉じる天壁に前記丸孔に直交するガイド孔を有し、
前記締め付けリング部材は、解放位置において前記ストッパ本体の丸孔と同心に配置されて前記接続管を自由に貫通させる円孔を有するリング部と、当該リング部の外周から半径方向に延出し前記天壁のガイド孔内に軸方向移動自在に挿入されるガイド突起部とを具備し、
前記ガイド突起部は、前記ガイド孔の延長途上で先端が終結し、当該先端に開口する軸線方向のねじ穴を具備し、
前記ノブ付きボルトは、ノブの下面を前記天壁の外側面に当接させ前記ガイド孔を介して前記ガイド突起部のねじ穴に螺合され、締め又は緩めにより前記締め付けリング部材を固定位置又は解放位置へ移動させるように設けられ
前記締め付けリング部材は、固定位置において当該丸孔が前記ストッパ本体の丸孔と偏心することにより、当該ストッパ本体との間で前記接続管を剪断方向に締め付けて当該接続管上の所望の位置に前記パイプストッパを固定可能に構成されることを特徴とする医療機器の距離調整型連結具。
【請求項2】
前記リング部の円孔は、前記ストッパ本体の丸孔より大径であり、当該円孔の内周の一部には、断面円弧状のゴムパッドが、前記接続管との間に介在するよう接着され、それによって前記円孔が、前記丸孔と同心となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器の距離調整型連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結すべき医療機器間に距離がある場合に、その距離に応じて当該医療機器間を連結する距離調整型の連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、点滴スタンドを車椅子、ストレッチャやリハビリ歩行器などの移動用器具に連結する連結具として、特許文献1に記載された点滴スタンド用連結具が知られている。
この点滴スタンド用連結具は、点滴スタンド側に取り付けられる第1クランプと、移動用器具側に取り付けられる第2クランプと、第1、第2クランプが保持される連結棒とを備える。第1クランプと第2クランプは、互いに平行な軸で回転して固定することが可能であり、かつ、第1クランプと第2クランプの少なくとも一方は平行な軸以外の軸方向にも回転して固定することができる。第1クランプと第2クランプ間の距離は連結棒に沿って変更可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の連結具は、車椅子などの移動用器具と点滴スタンドとの連結に用途を特化した構成であって、汎用性に欠け、構成上、比較的大型で、高価なものとなる。医療現場では、多数の機器が林立し、それらをそれぞれ所望の向きに支持するための多くの小型で操作容易な連結具が求められる。
したがって、本発明は、医療現場で用いられる種々の機器間の連結に汎用的に用いることができ、小型で操作が容易であり、かつ安価に得られる医療機器間の距離調整型の連結具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の間連結具1は、円柱状の接続管2と、これを貫通させ、軸回り及び軸線方向の固定位置調整自在に装着される一対のパイプストッパ3と、これに自在継手4を介して接続されるクランプ5とを具備する。
各クランプ5は、それぞれ医療機器の支持ポールを把持する。パイプストッパ3は、ストッパ本体31と、締め付けリング部材32と、ノブ付きボルト33とを具備する。ストッパ本体31は、内側に収容空間311を有する箱型で、接続管2を貫通させる。締め付けリング部材32は、ストッパ本体31の収容空間311内において接続管2を貫通させ、これを締め付ける固定位置と解放する解放位置との間を移動自在に設けられる。ノブ付きボルト33は、締め付けリング部材32を固定位置と解放位置との間で移動させる。ストッパ本体31は、収容空間311の四囲を囲み互いに直交する4つの側壁312a,312b,312c,312dのうち一組の相対向する側壁312a,312bに、接続管1を貫通させる丸孔313を有し、側壁312に直交して収容空間311の一側を閉じる天壁314に丸孔313に直交するガイド孔316を有する。締め付けリング部材32は、リング部321と、それの外周から半径方向に延出するガイド突起部322とを具備する。リング部321は、解放位置においてストッパ本体31の丸孔313と同心に配置されて接続管2を自由に貫通させる円孔323を有する。ガイド突起部322は、ストッパ本体のガイド孔316内に軸方向移動自在に挿入され、ガイド孔316の途上で先端が終結し、その先端に開口する軸線方向のねじ穴324を具備する。ノブ付きボルト33は、ノブ331の下面を天壁314の外側面に当接させ、ガイド孔316を介してガイド突起部322のねじ穴324に螺合され、締め又は緩めにより締め付けリング部材32を固定位置又は解放位置へ移動させる。締め付けリング部材32は、固定位置においてそれの円孔323がストッパ本体31の丸孔313と偏心することにより、ストッパ本体31との間で接続管2を剪断方向に締め付け、接続管2上の所望の位置にパイプストッパ3を固定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、医療現場で用いられる種々の機器間の連結に汎用的に用いることができ、機器間の所要間隔に応じ、容易にクランプ間の距離と向きを調整して機器間を連結することができ、小型で操作容易、かつ安価に得られる医療機器間の距離調整型の連結具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の連結具の一部を切欠した平面図である。
【
図2】
図1の連結具におけるパイプストッパの正面図である。
【
図3】
図1の連結具におけるパイプストッパの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1において、P1は、一方の医療機器を支持するポール、P2は、他方の医療機器を支持するポールである。
【0009】
連結具1は、円柱状の接続管2と、この接続管2を貫通させそれの軸回り及び軸線方向の固定位置を調整自在に装着される一対のパイプストッパ31と、このパイプストッパ31に自在継手4を介して接続されるクランプ5とを具備する。
【0010】
一対のクランプ5が、それぞれ図示しない医療機器を支持するポールP1,P2を把持し、両医療機器間を連結する。図示の実施形態において、一対のクランプ5は、同一構造のもので、一対の挟持部材51,52間にポールP1,P2を挟んで、ばね53の力でポールP1,P2を把持するクリップ式クランプであるが、一対の挟持部材間にポールを挟んでボルトにてポールを把持するボルト締め式クランプ、その他の形式のものであってよい。
【0011】
図2~
図5によく示すように、パイプストッパ3は、接続管2を貫通させる箱型のストッパ本体31と、これに収容される締め付けリング部材32と、これをストッパ本体31内で移動させるノブ付きボルト33とを具備する。
【0012】
ストッパ本体31は、内側に収容空間311を有し、この収容空間311内に、締め付けリング部材32が収容される。締め付けリング部材32は、収容空間311内において接続管2を貫通させ、これをストッパ本体31との間で締め付ける固定位置と解放する解放位置との間を移動自在である。ノブ付きボルト33は、締め付けリング部材32を固定位置と解放位置との間で移動させる。
【0013】
ストッパ本体31は、収容空間311の四囲を囲み、互いに直交する4つの側壁312a,312b,312c,312dと、これらと直交して収容空間311の一側を閉じる天壁314、他側を閉じる底壁315を有する。一組の相対向する側壁312a,312bに、接続管1を貫通させる丸孔313が形成される。丸孔313の内径は、接続管1の外径よりわずかに大きい。天壁314には、丸孔313に直交するガイド孔316が形成される。
【0014】
締め付けリング部材32は、リング部321と、それの外周から半径方向に延出する円柱状のガイド突起部322とを具備する。
【0015】
リング部321は、解放位置においてストッパ本体31の丸孔313と同心に配置されて接続管2を自由に貫通させる円孔323を有する。円孔323は、丸孔313より大径であり、それの内周の、底壁315側の一部に、断面円弧状のゴムパッド34が、接続管2との間に介在するように接着される。このゴムパッド34により、円孔323が、丸孔313と同心となるようにリング部321が配置される。
図4によく示すように、リング部321の外径は、ストッパ本体31の対向側壁313c,313d間の内寸にほぼ等しく、したがって、締め付けリング部材32は対向側壁313c,313dに沿って解放位置と固定位置との間を移動する。
【0016】
ガイド突起部322は、ストッパ本体31のガイド孔316内に軸方向移動自在に挿入され、その先端はガイド孔316の途上で終結する。ガイド突起部322は、その先端に開口する軸線方向のねじ穴324を具備する。
【0017】
ノブ付きボルト33は、ノブ331の下面を天壁314のボス部314aの外側面に当接させ、ガイド孔316を介してガイド突起部322のねじ穴324に螺合される。ノブ付きボルト33の締め又は緩めにより、締め付けリング部材32を固定位置又は解放位置へ移動させる。
【0018】
締め付けリング部材32は、解放位置において、それの円孔323をストッパ本体31の丸孔313と同心位置に置いて、パイプストッパ3を接続管2に対して移動自在とするが、ノブ付きボルト33がねじ穴324に締め込まれると、ゴムパッド34を圧縮しながら固定位置に移動して円孔323を偏心させ、ストッパ本体31との間で接続管2を剪断方向に締め付け、パイプストッパ3を接続管2に対して所望の位置に固定する。
【符号の説明】
【0019】
1 連結具
2 接続管
3 パイプストッパ
31 ストッパ本体
311 収容空間
312a~d 側壁
313 丸孔
314 天壁
315 底壁
316 ガイド孔
32 締め付けリング部材
321 リング部
322 ガイド突起部
323 円孔
324 ねじ穴
33 ノブ付きボルト
34 ゴムパッド
4 自在継手
5 クランプ
51 挟持部材
52 挟持部材
P1 ポール
P2 ポール
【要約】
【課題】医療現場で用いられる種々の機器間の距離に対応して容易にそれらの間を連結する医療機器間の距離調整型の連結具を提供する。
【解決手段】連結具1は、円柱状の接続管2と、これを貫通させ固定位置調整自在に装着される一対のパイプストッパ3と、これに自在継手4を介して接続されるクランプ5とを具備する。パイプストッパ3は、箱型で、接続管2を貫通させる丸孔313を有するストッパ本体31と、それの収容空間311内において接続管2を貫通させる締め付けリング部材32を具備する。ノブ付きボルト33は、ガイド孔316を介してねじ穴324に螺合し、それを締め込むと、締め付けリング部材32が、固定位置に移動し、円孔323が丸孔313に対して偏心する。これにより、締め付けリング部材32が、ストッパ本体31との間で接続管2を剪断方向に締め付け、接続管2上の所望の位置にパイプストッパ3を固定する。
【選択図】
図5