(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】超音波を用いて骨を特徴付ける方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2020502395
(86)(22)【出願日】2018-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2018069688
(87)【国際公開番号】W WO2019016339
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】510073202
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス)
(73)【特許権者】
【識別番号】515230051
【氏名又は名称】アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル(アンセルム)
(73)【特許権者】
【識別番号】517124642
【氏名又は名称】エコール シュペリュール ドゥ フィジーク エ ドゥ シミ アンドゥストゥリエール ドゥ ラ ヴィーユ ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ルノー,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】カスロー,ディディエ
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/038569(WO,A1)
【文献】特開2002-34986(JP,A)
【文献】特開2011-92686(JP,A)
【文献】特開2009-56140(JP,A)
【文献】米国特許第5197475(US,A)
【文献】特表2005-510283(JP,A)
【文献】米国特許第5038787(US,A)
【文献】特表2000-504946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0106392(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210943(US,A1)
【文献】特開2011-212253(JP,A)
【文献】米国特許第6221019(US,B1)
【文献】特表2019-521799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を特徴付ける方法であって、前記方法は、
前記骨と前記骨の周囲にある非骨生物組織とを含む身体へ第1超音波を送信するステップと、
放射された前記第1超音波の第1エコー信号を受信するステップと、
第1方向の前記非骨生物組織内の音速(V
tissue1)を決定するステップであって、
複数の所定の第1候補値について、前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue1)が前記第1候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号から、前記非骨生物組織と前記骨の骨膜とを示す第1画像を構成するステップと、
各第1画像について、前記第1画像の中の前記骨膜及び/又は前記骨の周囲にある前記非骨生物組織の合焦品質を示す少なくとも1つの第1メトリックを計算するステップと、
前記第1メトリックに基づき、前記第1候補値のうちの1つを、前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue1)として選択するステップと、を含むステップと、
前記第1画像のうちの1つの中の、前記非骨生物組織と前記骨との間の第1境界曲線を特定するステップと、
前記第1方向の骨内の音速(V
bone1)を決定するステップであって、
複数の所定の第2候補値について、前記第1方向の骨内の前記音速(V
bone1)が前記第2候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号、決定された前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue1)、及び前記第1境界曲線から、前記骨の皮質骨組織と前記骨の骨内膜とを示す第2画像を構成するステップと、
各第2画像について、前記第2画像の中の前記骨の前記皮質骨組織及び/又は前記骨内膜の合焦品質を示す少なくとも1つの第2メトリックを計算するステップと、
前記第2メトリックに基づき、前記第2候補値のうちの1つを、前記第1方向の骨内の前記音速(V
bone1)として選択するステップと、を含むステップと、
を含む方法。
【請求項2】
第1候補値を用いて第1画像を構成するステップは、前記非骨生物組織の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速が前記第1候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号から、送信機により放射され、次に前記非骨生物組織の前記点を通過し、次に受信機により受信される第1超音波の第1軌跡を推定するステップと、
前記推定した第1軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
前記伝搬時間、前記第1エコー信号、並びに前記送信機及び受信機の位置から、前記非骨生物組織の前記点における前記第1画像のピクセルの強度を計算するステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2候補値を用いて第2画像を構成するステップは、前記骨の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記第1方向の前記骨内の前記音速(V
bone1)が前記第2候補値に等しいという前提の下で、前記第1境界曲線の決定した前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue1)に基づき、送信機により放射され、次に前記骨の前記点を通過し、次に受信機により受信される前記第1超音波の第2軌跡を推定するステップと、
前記第2軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
前記伝搬時間、前記第1エコー信号、並びに前記送信機及び前記受信機の位置から、前記骨の前記点における前記第2画像のピクセルの強度を計算するステップと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1境界曲線は、前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue1)として選択された前記第1値を用いて構成された前記第1画像内で特定される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1超音波は送信機により送信された波であり、前記エコー信号は前記骨の長軸に垂直な軸に沿って揃えられた受信機により受信され、前記第1方向は前記骨の前記長軸に垂直な方向である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
選択した前記第1値を用いて構成された前記第1画像、及び/又は選択した前記第2値を用いて構成された前記第2画像を表示するステップ、をさらに含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記身体へ第2超音波を送信するステップと、
放射された前記第2超音波のエコー信号である、第2エコー信号を受信するステップと、
第1方向と異なる第2方向の前記非骨生物組織内の音速(V
bone2)を決定するステップであって、
複数の第3候補値について、前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速が前記第2候補値に等しいという前提の下で、前記第2エコー信号から、前記非骨生物組織と前記骨の骨膜とを示す第3画像を構成するステップと、
各第3画像について、前記第3画像の中の前記骨膜の及び/又は前記非骨生物組織の合焦品質を示す少なくとも1つの第3メトリックを計算するステップと、
前記第3メトリックに基づき、前記第3候補値のうちの1つを、前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue2)として選択するステップと、を含むステップと、
前記第3画像のうちの1つの中の前記非骨生物組織と前記骨膜との間の第2境界曲線を特定するステップと、
前記第2エコー信号を用いて、前記第2方向の前記骨内の音速(V
bone2)を決定するステップと、
任意の方向の前記骨内の音速を計算するために、前記第1方向の前記骨内の前記音速と前記第2方向の前記骨内の前記音速とを組み合わせて所定の関数(V)により使用可能な骨異方性パラメータ(β)を決定するステップであって、
複数の所定の第4候補値について、前記骨異方性パラメータ(β)が前記第4候補値に等しいという前提の下で、前記第2エコー信号、前記第1方向の前記骨内の前記音速(V
bone1)、前記第2方向の前記非骨生物組織内の音速(V
tissue2)、前記第2境界曲線、前記所定の関数(V)、及び任意で前記第2方向の前記骨内の前記音速(V
bone2)から、皮質骨組織と前記骨内膜とを示す第4画像を構成するステップと、
各第4画像について、前記第4画像の中の前記骨の前記骨内膜及び/又は前記皮質骨組織の合焦品質を示す第4メトリックを計算するステップと、
前記第4メトリックに基づき、前記第4候補値のうちの1つを、骨異方性パラメータ(β)として選択するステップと、を含むステップと、
を更に含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第4画像を構成するステップは、前記骨の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記骨異方性パラメータ(β)が前記第4候補値のに等しいという前提の下で、前記第2エコー信号、前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速(V
tissue2)、決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速(V
bone1)、前記第2境界曲線、前記所定の関数(V)、及び任意で決定した前記第2方向の前記骨内の前記音速(V
bone2)から、送信機により放射され、次に前記骨の前記点を通過し、次に受信機により受信される第2超音波の第3軌跡を推定するステップと、
推定した前記第3軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
伝搬時間及び第2エコー信号並びに送信機及び受信機の位置に基づき、前記骨の点における前記第4画像のピクセルの強度を計算するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2境界曲線は、前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速として選択した前記第3値を用いて構成された前記第3画像の中で特定される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
選択した第3値を用いて構成された前記第3画像、及び/又は選択した前記第4値及び前記第2方向の前記骨内の前記音速(V
bone2)を用いて構成された前記第4画像を表示するステップ、を更に含む請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2超音波は送信機により送信された波であり、前記第2エコー信号は前記骨の長軸を更に含む面内にある軸に沿って揃えられた受信機により受信され、前記第2方向は、望ましくは前記骨の前記長軸に平行な方向である、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
決定した前記骨内の音速(V
bone1、V
bone2)の各々は、圧縮波伝搬速度または横波伝搬速度である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
決定した前記骨内の音速(V
bone1、V
bone2)の各々は、圧縮波伝搬速度であり、前記所定の関数は、以下の形式の関数Vであり、
V(θ)=V
bone2-(V
bone2-V
bone1){βsin
2(θ)cos
2(θ)+cos
4(θ)]、
ここで、
V
bone1は決定した前記第1方向の前記骨内の前記圧縮波伝搬速度であり、
V
bone2は決定した前記第2方向の前記骨内の前記圧縮波伝搬速度であり、
βは前記骨異方性パラメータであり、
θは角度であり、
V(θ)は前記第1方向と角度θを形成する方向の前記骨内の圧縮波伝搬速度である、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速は、横波伝搬速度であり、前記所定の関数は以下の形式の関数Vであり、
V(θ)=V
bone1{1+βsin
2(θ)cos
2(θ)]、
ここで、
V
bone1は決定した前記第1方向の前記骨内の前記横波伝搬速度であり、
βは前記骨異方性パラメータであり、
θは角度であり、
V(θ)は前記第1方向と角度θを形成する方向の前記骨内の横波伝搬速度である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
任意の方向の前記骨内の音速を計算するために、前記第1方向の前記骨内の前記音速(V
bone1)と一緒に、決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速と組み合わせて所定の関数により使用可能な骨異方性パラメータ(β)を決定するステップを更に含み、前記決定するステップは、
所定の第2及び第4候補値の複数のペアについて、前記第1方向の前記骨内の前記音速が前記第2候補値に等しいという前提の下で、及び前記骨異方性パラメータ(β)が前記第4候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号、決定した前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速、及び前記第1境界曲線から、前記骨の皮質骨組織と前記骨内膜とを示す第2画像を構成するステップと、
各第2画像について、前記第2画像の中の前記骨の前記皮質骨組織及び/又は前記骨内膜の合焦品質を示す少なくとも1つの第2メトリックを計算するステップと、
第2候補値を前記第1方向の前記骨内の音速として、及び第4候補値を骨異方性パラメータ(β)として選択するステップであって、前記の選択は前記第2メトリックに基づき実施される、ステップと、
を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨を特徴付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体を特徴付けるための超音波の使用は広く知られている。
【0003】
X線断層撮影法は、例えば、画像化されるべき身体を通過するX線を用いる医療撮像技術である。しかしながら、この技術は、潜在的に危険な電離放射線に身体を晒すという欠点を有する。今日、私達は、絶対的必要のない限り、幼い子供の身体をこのようなX線に晒すことを回避する。
【0004】
生体を特徴付ける他の知られている技術は、X線より危険の少ない超音波を使用する。
【0005】
超音波は、従来、トランシーバアレイにより放射され、放射と受信との間の特定の伝搬時間の後に、特徴付けられるべき身体上のそれらのエコーが、同じ又は別のアレイにより受信される。
【0006】
次に、超音波が伝搬した身体の断面を示す画像が、トランシーバアレイにより受信されたエコー信号に基づき構成され得る。
【0007】
このような画像を構成する間、身体は同質の媒体であること、したがって、音速が検査中の身体内で一様であることを前提とする。
【0008】
選択された音速は、通常、非骨生物組織(例えば、皮膚又は筋肉)内の平均音速であり、通常は5~10%の誤差を伴い1540メートル毎秒程度である。この前提の下で取得された画像は、したがって、非骨生物組織を示す関心領域において満足の行く品質を有する。
【0009】
しかしながら、骨内の音速(通常、皮質骨内の圧縮波では2800メートル毎秒~4200メートル毎秒の間)は、非骨生物組織内の音速より遙かに速い。非骨生物組織内の音速に対応する値の一様な速度の前提に基づき取得された画像は、骨を示す関心領域において粗悪な品質を示す。この粗悪な品質は、標準的に低い強度及びぼけた骨を生じる。この理由から、超音波は骨には「容易に貫通しない」というのは、医療界におけるありがちな誤解である。
【0010】
骨内の音速と骨の周囲にある非骨生物組織内の音速との間の差は、屈折効果を生じる。したがって、既に非骨生物組織内の音速により行われているので、骨内の所定値の音速に基づき良好な品質の画像を再構成することができない。
【0011】
骨内の音速は幾つかの要因に依存する。
【0012】
第1に、骨内の音速は、個人により変化する。これは、骨粗鬆症のような疾患の後の診断のための非常に有用な情報であるからである。
【0013】
第2に、骨内の音速は、全ての方向で同じではない。骨は、実際に異方性媒体である。これは、特に、所謂、皮質骨が血管を収容するために、長骨(例えば、脛骨)の長軸に平行に延びるチャネルを含むという事実に起因する。したがって、圧縮音波は、別の方向より速く、長骨の長軸に平行な方向に骨を通じて伝搬する。
【0014】
結局、正確な音速を決定することが、骨を特徴付ける際の主な課題である。
【0015】
これに関し、骨の長軸に平行な骨内の音速を決定する方法が、既に提案されている。この方法の間、超音波は、長骨の長軸に平行に揃えられた超音波トランシーバのアレイにより放射される。受信機により受信されたエコー信号に基づき、ヘッドウェーブ(head wave)として知られる、骨の外側表面に沿って伝搬する骨により誘導される波の速度が決定される。この速度は、受信機のうちの1つによる超音波の受信時点と、同じ波の受信機と送信機との間の距離と、の間の関係が、一次関数であると想定することにより、正しく容易に決定される。
【0016】
しかしながら、この方法は、長骨の長軸に平行な方向以外の任意の方向の骨内の音速を決定するために使用できない。したがって、骨を部分的に特徴付けることができるだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、骨をより完全に特徴付けるために使用可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、骨を特徴付ける方法であって、前記方法は、
前記骨と前記骨の周囲にある非骨生物組織とを含む身体へ第1超音波を放射するステップと、
放射された前記第1超音波の第1エコー信号を受信するステップと、
第1方向の前記非骨生物組織内の音速を決定するステップであって、
複数の所定の第1候補値について、前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速が前記第1候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号から、前記非骨生物組織と前記骨の骨膜とを示す第1画像を構成するステップと、
各第1画像について、前記第1画像内の前記骨膜及び/又は前記骨の周囲にある前記非骨生物組織の合焦品質を示す少なくとも1つの第1メトリックを計算するステップと、
前記第1メトリックに基づき、前記第1候補値のうちの1つを前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速として選択するステップと、を含むステップと、
前記第1画像のうちの1つの中の、前記非骨生物組織と前記骨との間の第1境界曲線を特定するステップと、
前記第1方向の骨内の音速を決定するステップであって、
複数の所定の第2候補値について、前記第1方向の骨内の前記音速が前記第2候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号、決定した前記第1方向前記非骨生物組織内の音速、及び前記第1境界曲線から、前記骨の皮質骨組織及び前記骨内膜を示す第2画像を構成するステップと、
各第2画像について、前記第2画像内の前記骨の前記皮質骨組織及び/又は前記骨内膜の合焦品質を示す少なくとも1つの第2メトリックを計算するステップと、
前記第2メトリックに基づき、前記第2候補値のうちの1つを前記第1方向の骨内の前記音速として選択するステップと、を含むステップと、
を含む方法を提案する。
【0019】
提案の方法は、技術的に実現可能な場合には、以下の任意の特徴又はステップを単独で又は組み合わせて取り入れてもよい。
【0020】
第1候補値を用いて第1画像を構成するステップは、前記非骨生物組織の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速が前記第1候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号から、送信機により放射され前記非骨生物組織の前記点を通過し受信機により受信される第1超音波の第1軌跡を推定するステップと、
推定した前記第1軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
前記伝搬時間、前記第1エコー信号、並びに前記送信機及び受信機の位置に基づき、前記非骨生物組織の前記点における前記第1画像のピクセルの強度を計算するステップと、を含んでよい。
【0021】
第2候補値を用いて第2画像を構成するステップは、前記骨の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記第1方向の前記骨内の前記音速が前記第2候補値に等しいという前提の下で、前記第1境界曲線の決定した前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速に基づき、エコー信号から、送信機により放射され前記骨の前記点を通過し受信機により受信される第1超音波の第2軌跡を推定するステップと、
推定した前記第2軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
前記伝搬時間、前記第1エコー信号、並びに前記送信機及び受信機の位置に基づき、前記骨の前記点における前記第2画像のピクセルの強度を計算するステップと、を含む。
【0022】
前記第1境界曲線を特定するステップは、選択した前記第1値を前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速として用いて構成された前記第1画像において実施できる。
【0023】
前記第1超音波は、送信機により放射される波であり、エコー信号は、前記骨の長軸に垂直な軸に沿って揃えられた受信機により受信され、前記第1方向は前記骨の前記長軸に垂直な方向である。
【0024】
前記方法は、選択された前記第1値を用いて構成された前記第1画像、及び/又は選択された前記第2値を用いて構成された前記第2画像を表示するステップ、を含んでよい。
【0025】
前記方法は、
前記身体へ第2超音波を送信するステップと、
放射された前記第2超音波のエコー信号である第2エコー信号を受信するステップと、
前記第1方向と異なる第2方向の前記非骨生物組織内の音速を決定するステップであって、
複数の第3候補値について、前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速は前記第2候補値に等しいという前提の下、前記第2エコー信号から、前記非骨生物組織と前記骨の前記骨膜とを示す第3画像を構成するステップと、
各第3画像について、前記第3画像内の前記骨膜の及び/又は前記非骨生物組織の合焦品質を示す少なくとも1つの第3メトリックを計算するステップと、
前記第3メトリックに基づき、前記第3候補値のうちの1つを前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速として選択するステップと、
前記第3画像のうちの1つの中の前記非骨生物組織と前記骨膜との間の第2境界曲線を特定するステップと、
前記第2エコー信号を用いて、前記第2方向の前記骨内の音速を決定するステップと、
任意の方向の前記骨内の音速を計算するために、前記第1方向の前記骨内の前記音速及び前記第2方向の前記骨内の前記音速を組み合わせて、所定の関数により使用可能な骨異方性パラメータを決定するステップであって、
複数の所定の第4候補値について、前記骨異方性パラメータは前記第4候補値に等しいという前提の下、前記第2エコー信号、前記第1方向の前記骨内の前記音速、前記第2境界曲線、前記第2方向の前記非骨生物組織内の音速、任意で前記第2方向の前記骨内の前記音速、前記所定の関数から、皮質骨組織と前記骨内膜とを示す第4画像を構成するステップと、
各第4画像について、前記第4画像の中の前記骨内膜及び/又は前記骨の前記皮質骨組織の合焦品質を示す第4メトリックを計算するステップと、
前記第4メトリックに基づき、前記第4候補値のうちの1つを骨異方性パラメータとして選択するステップと、を含むステップと、
を含んでよい。
【0026】
第4画像を構成するステップは、前記骨の少なくとも1つの点について実行される以下のステップ:
前記骨異方性パラメータが前記第4候補値に等しいという前提の下で、前記非骨生物組織内の前記音速の前記第2エコー信号、及び任意で決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速、決定した前記第2方向の前記骨内の前記音速、前記第2境界曲線、前記所定の関数から、送信機により放射され前記骨の前記点を通過し受信機により受信される第2超音波の第3軌跡を推定するステップと、
推定した前記第3軌跡により、超音波の伝搬時間を計算するステップと、
前記伝搬時間、前記第2エコー信号、並びに送信機及び受信機の位置に基づき、前記骨の点における前記第4画像のピクセルの強度を計算するステップと、
を含んでよい。
【0027】
前記第2境界曲線を特定するステップは、選択した前記第3値を前記第2方向の前記非骨生物組織内の前記音速として用いて構成された前記第3画像において実施できる。
【0028】
前記方法は、選択された前記第3値を用いて構成された前記第3画像、及び/又は選択された前記第4値を用いて構成された前記第4画像、及び前記第2方向の前記骨内の前記音速を表示するステップ、を含んでよい。
【0029】
前記第2超音波は、送信機により放射される波であってよく、前記第2エコー信号は、前記骨の長軸を含む面内にある軸に沿って揃えられた受信機により受信され、前記第2方向は、望ましくは、前記骨の前記長軸に平行な方向である。
【0030】
決定した前記骨内の前記音速は、圧縮波伝搬速度又は横波伝搬速度であってよい。決定した前記骨内の音速の各々は、圧縮波伝搬速度であり、前記所定の関数は、以下の形式の関数Vであり、
V(θ)=Vbone2-(Vbone2-Vbone1){βsin2(θ)cos2(θ)+cos4(θ)]、
ここで、
Vbone1は決定した前記第1方向の前記骨内の前記圧縮波伝搬速度であり、
Vbone2は決定した前記第2方向の前記骨内の前記圧縮波伝搬速度であり、
βは前記骨の前記異方性パラメータであり、
θは角度であり、
V(θ)は前記第1方向と角度θを形成する方向の前記骨内の圧縮波伝搬速度である。
【0031】
決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速は、横波伝搬速度であり、前記所定の関数は以下の形式の関数Vであり、
V(θ)=Vbone1{1+βsin2(θ)cos2(θ)]、
ここで、Vbone1は決定した前記第1方向の前記骨内の前記横波伝搬速度であり、
βは前記骨の前記異方性パラメータであり、
θは角度であり、
V(θ)は前記第1方向と角度θを形成する方向の前記骨内の横波伝搬速度である。
【0032】
任意の方向の前記骨内の音速を計算するために、前記第1方向の前記骨内の前記音速と一緒に、決定した前記第1方向の前記骨内の前記音速と組み合わせて所定の関数により使用可能な骨異方性パラメータを決定することが可能であり、前記の決定は、
所定の第2及び第4候補値の複数のペアについて、前記第1方向の前記骨内の前記音速が前記第2候補値に等しいという前提の下で、及び前記骨異方性パラメータ(β)が前記第4候補値に等しいという前提の下で、前記第1エコー信号、決定した前記第1方向の前記非骨生物組織内の前記音速、及び前記第1境界曲線から、前記骨の皮質骨組織と前記骨内膜とを示す第2画像を構成するステップと、
各第2画像について、前記第2画像の中の前記骨の前記皮質骨組織及び/又は前記骨内膜の合焦品質を示す少なくとも1つの第2メトリックを計算するステップと、
第2候補値を前記第1方向の前記骨内の音速として、及び第4候補値を骨異方性パラメータ(β)として選択するステップであって、前記の選択は前記第2メトリックに基づき実施される、ステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、純粋に説明のためであり非限定的である及び添付の図面と関連して読まれるべき以下の説明から明らかになる。
【
図2】本発明の実施形態による、骨を特徴付けるシステムの概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、骨を特徴付ける方法の特定のステップを示す。
【
図4】本発明の第1の実施形態による方法のステップのサブステップの詳細を示す。
【
図5A】本発明の第1の実施形態による方法の実施中に構成される画像の2つの例である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態による方法の実施中に構成される画像の2つの例である。
【
図6】本発明の第1の実施形態による方法のステップのサブステップの詳細を示す。
【
図7】骨を含む身体の長手方向の断面であり、該身体内の超音波の経路も示す。
【
図8】曲線のセットであり、各曲線は本発明の第1の実施形態による方法の実施中に計算されたメトリックの展開を、骨内の放射状圧縮波の伝搬速度の候補値の関数として示す。
【
図9】本発明の第1の実施形態による、骨を特徴付ける方法のさらなるステップを示す。
【
図10】
図9に示したステップの詳細なサブステップを示す。
【
図11】
図9に示したステップの詳細なサブステップを示す。
【
図12】曲線のセットであり、各曲線は本発明の第1の実施形態による方法の実施中に計算されたメトリックの展開を、骨の異方性パラメータの候補値の関数として示す。
【
図13】本発明の第2の実施形態による、骨を特徴付ける方法のステップのフローチャートである。
【
図14】本発明の第2の実施形態による方法のステップの詳細なサブステップを示す。
【0034】
同様の要素は、図を通じて同じ参照符号を有する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、骨Bと非骨生物組織Tとを含む身体部分Cの一例の概略図である。
【0036】
骨Bは長軸Xに沿って伸びている。骨Bは、特に、骨髄、骨髄の周りに伸びている骨内膜E(
図1の点線)、及び骨内膜Eを囲む骨膜PEを含む。骨膜PEは骨Bの外層である。骨Bは、骨内膜Eと骨膜PEとの間の皮質骨組織も含む。
【0037】
皮質骨組織Tは、骨の周囲に伸びており、より具体的には、皮質骨組織の接触している骨膜PEの周りにある。
【0038】
非骨生物組織Tは、肉、又は肉の周りの皮膚も含む。
【0039】
超音波はこのような身体C内を伝搬できることがよく知られている。
【0040】
これに関して、
図1は、以下のような、幾つかの波伝搬速度を示す。
・V
bone1:骨Bの長軸Xと垂直な方向の、骨B内の圧縮波(compressional wave)(これは、「径方向」及び「放射状」圧縮波と補ばれる)の伝搬速度。
・V
bone2:長軸Xと平行な方向の、骨B内の圧縮波(これは、「軸方向」及び「軸」圧縮波と補ばれる)の伝搬速度。
・V
tissue1:骨の長軸に垂直な方向の、非骨生物組織T内の圧縮波の伝搬速度。
・V
tissue2:骨の長軸Xに平行な方向の、非骨生物組織T内の圧縮波の伝搬速度。
【0041】
任意の方向の骨内の圧縮波の伝搬が、異方性パラメータβ、速度Vbone2及びVbone1を結合する所定の関数Vにより計算できる。
【0042】
所定の関数Vは、標準的に以下の形式である。
V(θ)=Vbone2-(Vbone2-Vbone1){βsin2(θ)cos2(θ)+cos4(θ)]
ここで、
θは角度であり、
βは骨の異方性パラメータであり、
V(θ)は第1方向と角度θを形成する方向の骨内の横波伝搬速度である。
【0043】
この関数Vは、骨Bが横方向等方性(transverse isotropic)、つまり骨Bの長軸Xに垂直な面内で等方性であるという比較的現実的な前提に基づく。
【0044】
図2を参照すると、特徴付けシステム1は、超音波プローブ2、プローブ2により取得されたエコー信号を処理する装置4、又はディスプレイ12も有する。
【0045】
超音波プローブ2は、それ自体知られており、軸Yに沿って揃えられたトランシーバ6の少なくとも1つのアレイを有する。
【0046】
通常、プローブ2は、トランシーバ6のアレイの前に配置されたシリコンレンズ(図示しない)を含む。
【0047】
各トランシーバ6は、超音波を送信するよう適応される。
【0048】
各トランシーバ6は、更に、任意の他のトランシーバ6により放射された超音波のエコー信号を取得するよう適応される。
【0049】
トランシーバ6の相対位置は予め定められる。標準的に、トランシーバ6は、プローブ2の軸に沿って一定のピッチで間隔を開けられる。
【0050】
さらに、エコー信号処理装置4は、通常、少なくともプロセッサ8及びメモリ10を有する。
【0051】
プロセッサ8は、計算、特に画像処理アルゴリズムを実行するよう構成される。この動作は、以下に詳細に記載する。
【0052】
メモリ10は、所定のデータを格納する。これらのデータは、個々の身体に固有ではなく、個体群の中の任意の個人に適用可能な一般的データである。
【0053】
所定のデータは、速度Vtissue1の所定の第1候補値のセットを含む。所定の第1候補値は、標準的に、1400~1700メートル毎秒の間である。
【0054】
所定のデータは、速度Vbone1の第2候補値のセットも含む。所定の第2候補値は、標準的に、2600~3600メートル毎秒の間である。
【0055】
所定のデータは、速度Vtissue2の第3候補値のセットを含む。所定の第3候補値は、標準的に、1400~1700メートル毎秒の間である。
【0056】
所定のデータは、骨Bの異方性パラメータβの第4候補値のセットも含む。第4値は、標準的に0.8~2の間である。
【0057】
以下で分かるように、プロセッサ8により実装されるアルゴリズムは、骨B内の伝搬速度が、特に異方性パラメータβに依存する上述の関数Vにより支配されることを前提とする。
【0058】
図3のフローチャートを参照すると、特徴付けシステム1を用いて
図1に示した骨Bを特徴付ける方法は、以下のステップを含む。
【0059】
プローブ2は、第1位置で身体Cの近くに位置づけられる。
【0060】
第1位置で、プローブ2のトランシーバ6は、骨Bの長軸に実質的に垂直に揃えられる。言い換えると、プローブ2の軸Yは、第1位置において骨Bの軸Xを垂直である。
【0061】
プローブ2は、第1方向に向けて、身体Cへ第1超音波を放射する(ステップ100)。
【0062】
第1波は、例えば、放射状圧縮波である。言い換えると、第1方向は、骨Bの長軸に垂直な方向である。
【0063】
第1超音波は、身体Cに浸透し、身体Cの異なる深さで身体Cにより反射される。
【0064】
これらの波からのエコー信号は、以後、第1エコー信号と呼ばれ、プローブ2のトランシーバにより取得される(ステップ102)。もちろん、インデックスiのトランシーバ6により放射された波は、完全に、インデックスjの別のトランシーバ6により受信されたエコー信号を生じることができる。
【0065】
第1エコー信号は、デジタル処理され、処理装置4へ送信され、従来知られた形式でメモリ10に格納される。
【0066】
プロセッサ8は、受信した第1エコー信号に基づき、及びメモリ10に格納された所定の第1値に基づき、速度Vtissue1を決定する(ステップ104)。
【0067】
図4を参照すると、速度V
tissue1の決定104は、以下のサブステップを含む。
【0068】
プロセッサ8は、速度Vtissue1が第1候補値に等しいという前提の下で、第1エコー信号から、画像(以後、第1画像と呼ぶ)を構成する(ステップ200)。
【0069】
第1画像は、ピクセルのグリッドで構成される。各ピクセルは、グリッド内の位置により及び強度Iにより定められる。この強度は、標準的にグレイレベルを表す。第1画像は、第1超音波が伝搬する面内の身体Cの断面図も表す(この断面は、プローブ2の軸に平行である)。この断面の各点は、第1画像のピクセルで示される。
【0070】
好適な実施形態では、第1画像の構成は、Kirchhoffマイグレーション法又は所謂「Total Focusing Method」により実行される。これらの方法は、それ自体知られており、有利なことに予め取得された第1超音波信号に適用される。
【0071】
これらの知られている方法のうちの1つを用いる第1画像の構成200は、以下のサブステップを含む。
【0072】
検査中の身体Cの所与の点Pについて、プロセッサ8は、速度Vtissue1が第1候補値のうちの1つに等しいという前提の下で、第1エコー信号から、送信機により送信され、次に点Pを通過し、次に受信機により受信された第1超音波の軌跡を推定する。
【0073】
点Pを通過する超音波は、それぞれ、プローブ2の軸Yに沿った知られている位置を有するインデックスiの送信機により送信され、プローブ2の軸Yに沿ったこれも知られている位置を有するインデックスjの受信機により受信される。したがって、最大で、プローブ2内の送信機/受信機インデックスのペア(i,j)と同数の、点Pを通過する第1波エコー信号が存在する(つまり、Mが使用される送信機の数であり、Nが使用される受信機の数であるならば、最大でM×N個の信号がある)。
【0074】
超音波の軌跡の推定は、フェルマの原理を利用して実施される。フェルマの原理によると、波は同質媒体内を直線的に伝搬すると仮定される。ここで、非骨生物組織及び骨Bを有する身体Cは、全体として同質媒体として考えられる。波の伝搬速度は、非骨生物組織T内の音伝搬速度の信頼できる値に対応する、検討される第1候補値に等しいと仮定する。
【0075】
別の実施形態では、第1画像の構成ステップ200は、所謂、Reverse Time Migration (RTM)法を用いて実施される。この方法は、画像上の任意の点における領域の反射率を表す画像を生じる代替的な撮像方法である。これは、検査中の媒体の形状及び各点における波伝搬の速度の知識を前提とする。反射率画像は、画像内の任意の点において、送信機により生成された入射領域と受信機により記録された逆方向伝搬領域との間の時間的創刊を計算することにより取得される。これらの領域は、それぞれ送信機により生成された波形及び受信機により記録されたエコー信号(時間において反転される)を境界条件として用いて、音響(又は弾性)波方程式を数値的に解くことにより取得される。これらの演算は、放射毎に繰り返されなければならない。最終的な画像は、各プログラムで取得された画像を加算することにより取得される。しかしながら、この方法は、上述の好適な実施形態よりも計算時間の観点で遙かに多くの時間を消費する。
【0076】
プロセッサ8は、次に、推定した経路により、点Pを通過する波の伝搬時間を計算する。
【0077】
伝搬時間は、インデックスiの送信機から点Pへの伝搬時間tT(i,P)の、及び点Pからインデックスjの受信機への伝搬時間tR(j,P)の、和である。
【0078】
プロセッサ8は、次に、推定した伝搬時間、第1エコー信号、並びに送信機及び受信機の位置から、点Pにおける第1画像のピクセルの強度を計算する。
【0079】
点Pの強度Iは、標準的に以下の式を用いて計算される。
【数1】
ここで、D(t=t
T(i,P)+t
R(j,P),i,j)は、インデックスjの受信機により時間tにおいて受信されたエコー信号を表すデータであり、エコー信号は、最初にインデックスiの送信機により送信された波からのものであり、
W(P,i,j)は、所定の重み付け関数Wを適用することにより取得された重みである。
【0080】
標準的に、重み付け関数Wは、観察窓関数(文献では重み付け又はアポジゼーションウインドウとも呼ばれる)である。したがって、点Pからインデックスjの受信機への波の帰路セグメントの、プローブ2の送信/受信面に垂直な方向に対する角度が、所定の角度閾より小さい場合、W(P,i,j)=1であり、その他の場合にW(P,i,j)=0である。この角度閾は、例えば、50度に固定される(この角度は、受信機の50%程度の感度の損失に対応する)。
【0081】
幾つかの点Pで上述のサブステップを繰り返すことにより、第1画像が再構成できる。第1画像の構成ステップ200が次に完了する。
【0082】
第1画像の構成ステップ200は、メモリ10に格納された各第1値について繰り返される。
【0083】
図5Aは、構成ステップ200の実施を通じて取得できる第1画像の例を示す。分かるように、この第1画像は、骨の周囲にある非骨生物組織Tのレベルで、比較的情報が豊富である。他方で、この第1画像は、骨の内部の情報が乏しい。第1画像は、特に骨Bにおいてほけた領域を示す。これは、本開示の導入部で議論したように、プロセッサ8が基準伝搬速度として、非骨生物組織T内の音伝搬速度の信頼できる値に対応するが、骨内の音伝搬速度の信頼できる値に対応しない、第1候補値を取り入れていることに起因する。
【0084】
図4に戻ると、ステップ200で構成された第1画像について、プロセッサ8は、第1画像内の関心領域における合焦品質(focus quality)を表す第1メトリックを計算する(ステップ202)。選択される関心領域は、標準的に、骨膜PE及び/又は骨の周囲にある非骨生物組織Tを示す領域である。
【0085】
第1メトリックは、望ましくは、第1画像内で検討される関心領域の中の平均強度及び/又は平均コントラストの関数である。
【0086】
第1メトリックは、標準的に、従来知られた以下のメトリックのうちの1つ又は組み合わせである。
【0087】
・横方向スペクトルエネルギメトリック、「Sound Velocity Correction in Ultrasound Imaging」、D. Napolitano, C. Chou, G. McLaughlin et al.、2006年発行に記載されている。
・「Brenner sharpness criteria metric」又は「Tenenbaum sharpness criteria metric」又は「variance-based sharpness criteria metric」、これらはすべて「Automatic sound velocity selection in photoacoustic image reconstruction using an autofocus approach」、B. Treeby, T. Varslot, E. Zhang et al.、2011年発行に記載されている。
【0088】
プロセッサ8は、ステップ200で構成された第1画像毎に、ステップ202を繰り返す。プロセッサ8は、したがって、第1画像と同じ数の、及び所定の第1候補値と同じ数の、第1メトリックを生成する。
【0089】
プロセッサ8は、次に、第1画像を生成するために使用される第1候補値の中の最適値を、速度Vtissue1の最終値として選択する(ステップ204)。プロセッサ8は、これを行うために第1メトリックを使用する。
【0090】
ステップ204で速度Vtissue1として選択された第1候補値は、関連付けられたメトリックが、すべての計算した第1メトリックの中で最高の、関心領域における合焦品質を示す第1画像を生成するために入力として使用される値である。標準的に、上述の列挙された方法のうちの1つが第1メトリックを計算するために使用されるとき、最大値の第1メトリックは、計算された第1メトリックの中で検索される。
【0091】
したがって、検査中の身体Cの非骨生物組織内の現実の速度Vtissue1が決定される。次に、ステップ104が完了する。
【0092】
図3に戻ると、プロセッサ8は、構成した第1画像のうちの1つの中の、非骨生物組織と骨Bとの間の第1境界曲線を更に特定する(ステップ106)。実際には、この境界曲線は、骨膜PEに対応する、高い強度の画像のゾーンのレベルにおいて特定される。
【0093】
非常に好ましいことに、特定するステップ106は、速度Vtissue1として選択した第1候補値を使用して構成された第1画像において実施される。特定するステップは、したがって、プロセッサ8により構成されたすべての第1画像の中で、この第1画像の高い合焦品質のお陰で、遙かに正確になる。
【0094】
特定するステップ106は、通常、以下のステップで構成される。非骨生物組織と骨Bとの間の境界を示す第1画像のピクセル群を識別するために、第1画像がセグメント化される(このセグメント化は、例えば従来知られているDjikstraアルゴリズムの実施を含む)。このピクセル群は、多項式、例えば放物線により定められる境界曲線に近似される。
【0095】
プロセッサ8は、次に、ステップ106で特定された第1境界曲線及び他の場合にはステップ104で決定された速度Vtissue1を有利に発展させることにより、速度Vbone1を決定する(ステップ108)。
【0096】
図6を参照すると、速度V
bone1の決定108は、以下のステップを含む。
【0097】
メモリ10に格納された第2候補値の各々について、プロセッサ8は、速度Vbone1が第2候補値に等しいという前提の下で、第1エコー信号、速度Vtissue1、及び第1境界曲線から、骨Bの皮質骨組織と骨内膜Eとを示す第2画像を構成する(ステップ300)。
【0098】
第2候補値から第2画像を構成するステップ300は、第1画像を構成するステップ200と同様のサブステップの実施を含むが、幾つかの相違点がある。
【0099】
ステップ200と同様に、ステップ300は、Kirchhoffマイグレーション法又はTotal Focusing Methodを使用できる。
【0100】
この場合、ここでもフェルマの原理を使用して、点Pを通過する波の軌跡の推定がここでも実施される。フェルマの原理によると、波は同質媒体内を直線的に伝搬すると仮定される。しかしながら、今回は、身体Cは、この軌跡推定の実施中、異質媒体として考えられる。つまり、非骨生物組織は第1同質媒体として考えられ、この中では、第1超音波が、予め決定された速度Vradial_tissueで伝搬する。他方で、骨Bは、第2媒体と考えられ、この中では、これらの第1波は第2候補値のうちの1つで伝搬する。境界曲線は、したがって、波が屈折する、2つの媒体の間の境界線である。
【0101】
これらの前提を予め特定された境界曲線と組み合わせることにより、第2画像を構成するステップ300の間に、第1超音波の軌跡が、非骨生物組織内に位置する点Pを通過するだけでなく、第1波の軌跡が骨B内に位置する点Pを通過していることも、推定することが可能である。
【0102】
代替として、第2画像を構成するステップ300は、RTMを用いて実施される。
【0103】
図7は、インデックスiの送信機6からインデックスjの受信機6への、骨(より正確には、骨の皮質組織における)の点Pを通過する圧縮超音波の軌跡の一例を示す。これはステップ300で推定されたものである。この推定された軌跡は、細かく連続しており、以下の4つの連続するセグメントを含む。
・非骨生物組織T内で第2境界曲線の第1点までの第1セグメント。
・第2境界曲線から点Pまでの、第1セグメントを延長した第2セグメント。第2セグメントは、第2境界曲線の第1点で媒体が変化するときの波の屈折により、第1セグメントと平行ではない。
・点Pから第2境界曲線上の別の点までの第3セグメント。
・第2境界曲線の第2点から開始し、インデックスjの受信機へ向かって行く第4セグメント。第4セグメントは、第2境界曲線の第2点で媒体が再び変化するときの波の屈折により、第3セグメントと平行ではない。
【0104】
第2画像を構成するステップ300で、プロセッサ8は、次に、第1画像のうちの1つを構成するステップにおいて記載したのと同じ方法で、推定した経路により超音波の伝搬時間を、伝搬時間、第1エコー信号、並びに送信機及び受信機の位置からピクセル強度を、計算する。
【0105】
ここで、インデックスiの送信機から点Pまでの伝搬時間tT(i,P)は、第1及び第2セグメントをカバーし、点Pからインデックスjの受信機までの伝搬時間tR(j;P)は、第3及び第4セグメントをカバーする。
【0106】
最終的に、第2画像を構成するステップ300は、基本的に、第1画像を構成するステップ200と同じ原理を使用するが、より多くの入力データ、特に境界曲線を使用して、第2画像が骨Bにおける使用に適した情報を示すことを可能にする。
【0107】
図5Bは、構成ステップ300の実施を通じて取得できる第2画像の例を示す。図示のように、この第2画像は、骨Bの周囲にある非骨生物組織のレベルだけでなく、骨Bの内部で、骨膜PEで、及び骨内膜Eでも、比較的情報が豊富である。
【0108】
プロセッサ8は、次に、各第2画像について、第2画像内の骨Bの皮質骨組織の及び/又は骨Bの骨内膜Eの合焦品質を示す少なくとも1つの第2メトリックを計算する。第3メトリックは、例えば、第1メトリックと同じ種類である。
【0109】
プロセッサ8は、次に、第2画像を生成するために使用される第2候補値の中の最適値を、速度Vbone1の最終値として選択する(ステップ304)。プロセッサ8は、ステップ204と同じ方法で、このために第2メトリックを使用する。
【0110】
図8は、使用される第2候補値に従う異なる第2メトリック曲線を示す。どんな方法が第2メトリックを計算するために使用されるかに関わらず、速度V
bone1として選択された第2値は、ほぼ同じであることが分かる(実際にこれらの曲線の最大値は互いに非常に近い)。
【0111】
したがって、検査中の身体Cの骨B内の現実の速度Vbone1が決定される。次に、ステップ108が完了する。
【0112】
この速度Vbone1は、検査中の身体Cの骨Bの潜在的な骨粗鬆症を診断するための入力として使用できるので、それ自体が興味深いデータである。
【0113】
しかしながら、検査中の骨Bをより完全に特徴付けるために、この情報を他の速度で補強することは有利である。この目的のために、
図9を参照すると、骨Bを特徴付けるシステム1により実施される方法は、以下の追加ステップを含む。
【0114】
プローブ2は、第1位置と異なる第2位置で身体Cの近くに位置づけられる。第2位置で、プローブ2のトランシーバ6は、第1方向と異なる第2方向に揃えられる。
【0115】
プローブ2は、第2方向に向けて、身体Cへ第2超音波を放射する(ステップ400)。
【0116】
第2波は、望ましくは、軸方向の圧縮波である。言い換えると、第2方向は、例えば、骨Bの長軸を含む平面内にある。この第2方向は、望ましくは、骨の長軸と実質的に平行であり、つまり、骨Bの長軸と、20度未満の角度αを形成する。
【0117】
第2超音波は、身体Cに浸透し、身体Cの異なる深さで身体Cにより反射される。
【0118】
これらの第2波からの新しいエコー信号、所謂、第2エコー信は、プローブ2のトランシーバ6により取得される(ステップ402)。
【0119】
エコー信号は、デジタル処理され、処理装置4へ送信され、メモリ10に格納される。
【0120】
必要な場合には、プロセッサ8は、次に、第2エコー信号に基づき、速度Vbone2を決定する(ステップ410)。
【0121】
速度Vbone2を決定するステップ410は、骨Bの外層に沿って伝jパンするヘッドウェーブの識別に基づき、従来知られている方法を用いて実施できる。
【0122】
この知られている方法は、プローブ2の2つのエンド送信機6(標準的に0インデックスの送信機と最大インデックスの送信機)からの波の放射に応答して取得された2つの特定の第2エコー信号を使用する。すべてのトランシーバ6は、プローブ2のエンド送信機6のうちの1つにより選択的に放射された波を受信する。2つのエンド送信機6の間の距離は知られており、標準的に10~40mmの間である。この規模では、骨Bの外側表面は平坦であると仮定できる。したがって、使用される2つのトランシーバ6のうちの一方による波のヘッドウェーブの到着時間と、2つのエンド送信機6のうちの一方及び受信機6の間の距離との関係が一次関数であるので、この表面に沿ったヘッドウェーブの伝搬速度は、容易に決定できる。ここの線形性を前提とすると、以下を決定することが非常に容易である:
インデックス0のトランシーバ6が送信機として使用され、すべてのトランシーバ6が受信機として使用されたとき、骨Bに沿って伝搬するヘッドウェーブの速度V1;及び、
最高インデックスのトランシーバ6が送信機として使用され、すべてのトランシーバ6が受信機として使用されたとき、骨Bに沿って伝搬するヘッドウェーブの速度V2。
【0123】
速度V
bone2は、次に、次式を用いてプロセッサ8により計算される。
【数2】
【0124】
さらに、プロセッサ8波、第2エコー信号に基づき速度Vtissue2を決定する(ステップ404)。このステップは、速度Vtissue1を決定したステップ104と同じ基本原理を用いる。相違点は、ステップ404が、プローブ2が第1位置ではなく第2位置にあった間に放射された第2波を使用することである。
【0125】
図10を参照すると、速度V
tissue2を決定するステップ404は、より具体的には、以下のステップを含む。幾つかの第3候補値について、速度V
tissue2が第2候補値に等しいという前提の下で、第2エコー信号に基づき、生物組織及び骨の骨膜PEを示す第3画像を構成するステップ(ステップ500)、各第3画像について、第3画像の中の骨膜PEの合焦品質を示す第3メトリックを計算するステップ(ステップ502)、第3メトリックに基づき、第3候補値のうちの1つを、速度V
tissue2として選択するステップ(ステップ504)。
【0126】
第3画像は、骨Bの軸Xに平行な長軸方向の部分の中の身体Cのビューである。
【0127】
第3メトリックは、例えば、第1メトリック及び/又は第2メトリックと同じ種類である。
【0128】
図9に戻ると、プロセッサ8は、構成した第3画像のうちの1つの中の、非骨生物組織と骨Bとの間の第2境界曲線を特定する(ステップ408)。
【0129】
非常に好ましいことに、第2曲線を特定するステップ408は、速度Vtissue2として選択した第3候補値を使用して構成された第3画像において実施される。特定するステップは、したがって、ステップ500の間にプロセッサ8により構成されたすべての第3画像の中で、この第3画像の高い合焦品質のお陰で、遙かに正確になる。
【0130】
プロセッサ8は、検査中の骨Bの異方性のパラメータβも決定する(ステップ412)。
【0131】
前述のように、このパラメータβは、軸Xと角度θを形成する任意の方向の骨B内の圧縮波の伝搬速度V(θ)を計算するために、速度Vbone1と及び速度Vbone2と組み合わせて、所定の関数Vにより使用できる。
【0132】
図11を参照すると、骨Bの異方性のパラメータβは、以下のサブステップを用いてステップ412において決定される。
【0133】
メモリ10に格納された第4候補値の各々について、プロセッサ8は、骨Bの異方性パラメータβが第4候補値に等しいという前提の下で、第2エコー信号、所定の関数Vの速度Vbone1、速度Vbone2から、骨Bの皮質骨組織と骨内膜Eとを示す第4画像を構成する(ステップ600)。
【0134】
このステップ600は、マイグレーション法又はTotal Focusing Methodのうちの一方を使用できる点で、ステップ200、300、及び500と同様である。この場合、ステップ600で推定した波の軌跡は、任意の方向で観察される骨B内の波の伝搬速度が関数Vにより定められるモデルを尊重するという前提に基づくことに容易に気づく。代替として、第2画像を構成するステップ300は、RTMを用いて実施される。
【0135】
したがって、ステップ600の後に、メモリ10に最初に格納された各第4候補値について1つの、複数の第4画像が取得される。
【0136】
各第4画像について、プロセッサ8は、第4画像内の骨内膜Eの及び/又は骨Bの周囲にある非骨生物組織Tの合焦品質を示す少なくとも1つの第4メトリックを計算する(ステップ602)。第4メトリックは、例えば、第1メトリックと同じ種類である。
【0137】
プロセッサ8は、次に、第4メトリックに基づき、骨Bの異方性パラメータβとして、第4候補値のうちの1つを選択する(ステップ604)。
【0138】
図12は、使用される第4候補値に従う異なる第4メトリック曲線を示す。第4メトリックを計算するために使用される方法に関わらず、パラメータβとして選択された第4値は、速度V
bone1の場合もそうであったように、事実上同じである(これらの曲線の最大値は、実際に互いに非常に近い)。
【0139】
ここで、プロセッサ8が、処理中に決定されたデータVbone1、Vbone2、及びβをパラメータとする関数Vを用いて、骨B内の圧縮波の任意の伝搬速度を計算することが可能である。
【0140】
記載した方法の実施形態では、骨Bの様々な特性データ、つまりVbone1、Vbone2、及びβは、別個のステップで、一緒にではなく、決定された。特に、決定ステップ104、108、及び412は、それぞれ、候補値の1つのセットだけを使用した(ステップ104では第2候補値、ステップ108では第3候補値、ステップ412では第4候補値)。これは、最終的に、構成される第2、第3、及び第4画像の数を制限する。言い換えると、これらのステップを実施するために必要な物理的資源(計算負荷、メモリ10)は、比較的安価である。
【0141】
有利なことに、プロセッサ8は、以下の画像のうちの少なくとも1つで、ディスプレイスクリーン12を制御する。
【0142】
ステップ204で選択した第1値を用いて構成された第1画像、
ステップ304で選択した第2値を用いて構成された第2画像、
ステップ504で選択した第1値を用いて構成された第3画像、
ステップ604で選択した第2値を用いて構成された第2画像。
【0143】
これらの画像は、高い合焦品質を有し、したがって、医師にとって重要である。
【0144】
本発明は、図と関連して記載された実施形態にのみ限定されない。
【0145】
本発明は、特に、横波の検査に適用可能である。
【0146】
この場合、以下の形式の所定の関数Vを用いて骨B内の横波の伝搬速度をモデル化することが可能である。
V(θ)=Vbone1[1+βsin2(θ)cos2(θ)]
ここで、
Vbone1は、長軸Xに平行な第1方向の骨B内の横波の伝搬速度であり、
θは、角度であり、
V(θ)は、第1方向と角度θを形成する方向の骨B内の横波伝搬速度である。
【0147】
例えば、
図13は、第2の実施形態による骨を特徴付ける方法におけるステップのフローチャートを示す。
【0148】
プローブ2は、上述の第2一に位置づけられ、超音波圧縮波は、この第2位置においてプローブ2により放射される(ステップ600)。
【0149】
それ自体知られている方法では、放射された圧縮波は、骨B内に現れる横波を生じる。これらの横波は、圧縮波が骨膜PEと骨内膜Eとの間に位置する骨Bの皮質骨組織に浸透すると、生成される。
【0150】
これらの横波からのエコー信号は、次に、プローブ2により受信される(ステップ602)。
【0151】
プロセッサ8は、次に、非骨生物組織T内の圧縮波の軸方向の伝搬の速度Vtissue2を決定する(ステップ704)。このステップ704は、ステップ504と同様である。
【0152】
プロセッサ8は、組織Tと骨Bとの間の境界曲線を特定する(ステップ706)。このステップは、ステップ408と同じである。
【0153】
プロセッサ8は、次に、骨B内の速度V
bone1(ステップ708)を決定し、併せてパラメータβを決定する。
図14を参照すると、この同時決定は、以下のサブステップを含む。
【0154】
第2候補値のセットは、速度Vbone1について、メモリに予め格納されていると仮定する。これらの第2値は、骨内の横波では、1300~2000メートル毎秒の間である。
【0155】
さらに、第4候補値は、本実施形態では、骨内の横波の異方性パラメータβでは、-0.3~0.3の間である。
【0156】
第4候補値(例えばβ)及び第2候補値で構成されるペアについて、プロセッサは、速度Vbone1が外ペアのうりの第2候補値に等しく、異方性パラメータβが外ペアのうちの第4値に等しいという2つの前提の下で、エコー信号から画像を構成する(ステップ800)。
【0157】
プロセッサ8は、利用可能なペアの各々について、このステップ800を繰り返す。
【0158】
ここで、1次元ではなく2次元で動作するので、構成された画像の数は、第1の実施形態による方法の1つのステップにおいて生成された画像の数より遙かに多いことが分かる。
【0159】
構成された画像の各々について、プロセッサは、合焦品質メトリックを計算する(ステップ802)。このステップは、ステップ502、602と同じである。
【0160】
プロセッサ8は、次に、計算したメトリックに基づき、ステップ800(ステップ804)で画像を構成するために使用されたペアのうちの1つを選択する。このステップは、ステップ504、604と同じである。