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特許7050156ビードエイペックスとスペーサとを伴う複数の積層体を処理するためのビードエイペックス格納システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ビードエイペックスとスペーサとを伴う複数の積層体を処理するためのビードエイペックス格納システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20220331BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20220331BHJP
   B29D 30/48 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B29D30/06
B65G57/03 Z
B29D30/48
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2020538784
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 NL2020050224
(87)【国際公開番号】W WO2020242294
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】2023215
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100220696
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ケンペ トゥニス ベル
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス ウィリブロドゥス ジョセフ スタウト
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-199422(JP,A)
【文献】特開平03-111336(JP,A)
【文献】特開2003-191346(JP,A)
【文献】特表2012-500139(JP,A)
【文献】特開2016-108139(JP,A)
【文献】国際公開第2007/066394(WO,A1)
【文献】特開2005-238475(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008037611(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
B29D 30/48
B65G 57/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャリアを処理するためのビードエイペックス格納システムであって、
各キャリアは、積層方向で積み重ねられる複数のビードエイペックスと前記ビードエイペックスを前記積層方向で互いから分離する複数のスペーサとが交互に配置されて成る積層体を支持するようになっており、前記ビードエイペックス格納システムは、前記キャリアを格納するための複数の格納ステーションと、前記複数のビードエイペックスのうちの1つをタイヤビルディングマシンに移送するための移送ステーションとを備え、前記ビードエイペックス格納システムは、前記スペーサのうちの1つ以上をその上に支持された前記ビードエイペックスとともに前記複数の格納ステーションのうちの1つにおける前記キャリアのうちの1つから持ち上げるとともに1つ以上の持ち上げられた前記スペーサを前記移送ステーションに搬送するためのスペーサグリッパを更に備え、前記ビードエイペックス格納システムは、前記スペーサグリッパを支持するためのスペーサグリッパベースを備え、前記スペーサグリッパベースは、前記移送ステーションから前記複数の格納ステーションのいずれにも移動可能である、
ビードエイペックス格納システム。
【請求項2】
前記ビードエイペックス格納システムは、前記キャリアのうちの1つを前記ビードエイペックス格納システムに取り込むための取り込みステーションと、前記取り込みステーション内で1つの前記キャリアと係合して1つの係合された前記キャリアを前記複数の格納ステーションのいずれかに移動させるためのキャリアグリッパとを更に備える、
請求項1に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項3】
前記キャリアグリッパが前記スペーサグリッパベースによって支持され、前記スペーサグリッパベースは、前記取り込みステーション及び前記移送ステーションから前記格納ステーションのいずれにも移動可能である、
請求項2に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項4】
前記複数の格納ステーションが主方向で一列に位置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項5】
前記移送ステーション及び前記複数の格納ステーションが前記主方向で一列に位置される、
請求項4に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項6】
前記スペーサグリッパベースが前記主方向に移動可能である、
請求項4又は5に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項7】
前記ビードエイペックス格納システムが前記主方向に延びる1つ以上のガイドを備え、前記スペーサグリッパベースが前記1つ以上のガイドの少なくとも1つに沿って移動可能である、
請求項4から6のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項8】
前記ビードエイペックス格納システムが前記キャリアグリッパを支持するためのキャリアグリッパベースを備え、前記スペーサグリッパベース及び前記キャリアグリッパベースは、前記移送ステーションから前記格納ステーションのいずれにも及び前記取り込みステーションから前記格納ステーションのいずれにもそれぞれ独立に移動可能である、
請求項2に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項9】
前記複数の格納ステーションが主方向に一列に位置され、前記スペーサグリッパベースは、前記複数の格納ステーションの第1の側で前記移送ステーションから前記格納ステーションのいずれにも移動可能であり、前記キャリアグリッパベースは、前記第1の側と反対の前記複数の格納ステーションの第2の側で前記取り込みステーションから前記格納ステーションのいずれにも移動可能である、
請求項8に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項10】
前記キャリアグリッパベースが前記主方向に移動可能である、
請求項8又は9に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項11】
前記複数の格納ステーションが主方向に一列に位置され、前記キャリアグリッパは、前記キャリアのそれぞれの1つを前記複数の格納ステーションのそれぞれの1つに取り込むとともに前記複数の格納ステーションのそれぞれの1つから取り出すために、前記主方向を横断する又は前記主方向に対して垂直な格納方向に移動可能である、
請求項2に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項12】
各格納ステーションは、前記キャリアのそれぞれの1つのための支持体を備え、前記キャリアグリッパは、それぞれの前記支持体の上方の持ち上げレベルにおいて且つそれぞれの前記支持体の下方の解放レベルにおいて前記格納方向で各格納ステーション内へ移動可能及び各格納ステーションから待避可能であり、前記キャリアグリッパは、前記持ち上げレベルと前記解放レベルとの間でそれぞれの前記支持体を通過して前記主方向及び前記格納方向に対して垂直な高さ方向に更に移動可能である、
請求項11に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項13】
各キャリアがパレットを備え、前記キャリアグリッパが前記パレットのうちの1つと係合してこれを搬送するためのフォークを備える、
請求項9から12のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項14】
各スペーサが中央開口を有し、ビードエイペックスの前記積層体のうちのそれぞれの1つにおける前記スペーサの前記中央開口が中央空間を形成するように前記積層方向で位置合わせされ、前記スペーサグリッパは、グリッパヘッドと、それぞれの前記積層体の前記中央空間内へ達してそれぞれの前記積層体における前記スペーサのうちの1つと係合するために前記グリッパヘッドから突出する複数のスペーサ係合部材とを備える、
請求項1から13のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項15】
前記複数のスペーサ係合部材は、それぞれの前記積層体の上端からそれぞれの前記積層体の少なくとも第2のスペーサに至るまでそれぞれの前記積層体の前記中央空間内に達するようになっており、前記複数のスペーサ係合部材は、前記第2のスペーサをそれぞれの前記積層体の上端にあるスペーサとともにそれぞれの前記積層体から同時に持ち上げるために前記第2のスペーサと係合するための係合位置へ移動可能である、
請求項14に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項16】
各スペーサ係合部材は、それぞれの前記積層体の上端にある第1のスペーサと接触するために前記グリッパヘッドから第1の距離を隔てて位置する第1の要素と、それぞれの前記積層体の上端から前記第2のスペーサと係合するために前記第1の距離よりも大きい第2の距離を前記グリッパヘッドから隔てて位置する第2の要素とを備える、
請求項14又は15に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項17】
前記ビードエイペックス格納システムは、それぞれの前記積層体における前記スペーサに対する前記積層方向での前記複数のスペーサ係合部材の位置を検出するための検出器と、前記検出器及び前記スペーサグリッパに動作可能に接続されるとともに、前記複数のスペーサ係合部材がそれぞれの前記積層体の上端から前記積層方向で第2のスペーサに位置される際にそれぞれの前記積層体の上端から前記第2のスペーサと係合するように前記複数のスペーサ係合部材を制御するようにプログラムされる制御ユニットとを備える、
請求項14から16のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項18】
各スペーサ係合部材は、前記スペーサグリッパに対して前記スペーサ又は前記積層体のうちの1つ以上を全体として心出しするために前記積層体の前記中央空間内へ挿入可能な心出しローラを備える、
請求項14から17のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項19】
前記スペーサグリッパは、前記移送ステーション内で1つ以上の持ち上げられた前記スペーサを解放するようになっており、前記ビードエイペックス格納システムは、1つ以上のビードエイペックスを前記移送ステーション内の解放された1つ以上の前記スペーサから前記タイヤビルディングマシンへ移送するための移送ユニットを更に備える、
請求項1から18のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項20】
前記移送ユニットは、前記1つ以上のビードエイペックスと係合して該ビードエイペックスを前記移送ステーションから前記タイヤビルディングマシンへ搬送するためのマニピュレータと、前記マニピュレータを支持するためのマニピュレータベースとを備え、前記マニピュレータベースが前記移送ステーションに対して固定される、
請求項19に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項21】
前記マニピュレータは、ロボットアームと、前記ロボットアームによって支持されるビードエイペックスグリッパとを備える、
請求項20に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項22】
前記移送ステーションは、前記スペーサグリッパから1つ以上の解放された前記スペーサを受けるための第1のセクションと、前記移送ユニットが前記スペーサ上に支持されたそれぞれのビードエイペックスを前記タイヤビルディングマシンに移送してしまったときに空となる解放された前記スペーサのうちの1つ以上を受けるための第2のセクションとを有するプラットフォームを備える、
請求項19から21のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項23】
各キャリアは、キャリアベースと、前記キャリアベースと一体化される又は接続固定されるスペーサ部材とを備え、前記スペーサグリッパは、その前記スペーサ部材と係合してそれを搬送することによってそれぞれの前記キャリアと係合して該キャリアを搬送するようになっており、前記第1のセクションは、前記キャリアのそれぞれの1つを受けるようになっている、
請求項22に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項24】
各キャリアは、前記スペーサ部材から離れる方向を向く前記キャリアベースの側に、前記キャリアベースに接続される複数のホイールを備え、前記第1のセクションの前記プラットフォームは、支持面と、前記支持面の下方に前記複数のホイールを受け入れるための前記支持面の凹部とを備える、
請求項23に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項25】
前記ビードエイペックス格納システムは、キャリアを保持するための1つ以上のバッファステーションを更に備え、前記移送ユニットは、前記バッファステーションのそれぞれの1つと前記プラットフォームの前記第1のセクションとの間でキャリアを移送するようになっており、前記スペーサグリッパは、移送された前記キャリアと前記第1のセクションで係合するようになっている、
請求項23又は24に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項26】
前記スペーサグリッパは、前記スペーサグリッパベースに対して高さ方向で移動可能である、
請求項1から25のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項27】
前記移送ステーションは、前記スペーサグリッパから1つ以上の解放された前記スペーサを受けるためのプラットフォームを備え、前記プラットフォームが前記複数の格納ステーションに対して上昇され、前記スペーサグリッパは、前記プラットフォームの上方の移送レベルに至るまで高さ方向で移動可能である、
請求項26に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項28】
前記スペーサグリッパは、3自由度以下である、
請求項1から27のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項29】
前記複数の格納ステーションは、少なくとも4つの格納ステーションを備える、
請求項1から28のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項30】
前記ビードエイペックス格納システムは、空のスペーサの積層体を収集するための少なくとも1つのスペーサ収集ステーションを更に備える、
請求項1に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのスペーサ収集ステーションは、前記移送ステーションと、前記移送ステーションに最も近い前記複数の格納ステーションのうちの格納ステーションとの間に位置される、
請求項30に記載のビードエイペックス格納システム。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか一項に記載のビードエイペックス格納システムによって複数のキャリアを処理するための方法であって、
前記方法は、
-前記スペーサグリッパを使用して、前記複数の格納ステーションのうちのそれぞれの格納ステーション内で前記キャリアのうちの1つから前記スペーサのうちの1つ以上を持ち上げて、1つ以上の持ち上げられた前記スペーサを前記移送ステーションに搬送するステップを含む
方法。
【請求項33】
前記方法は、
-1つ以上の持ち上げられた前記スペーサを前記移送ステーション内で前記スペーサグリッパから解放するステップと、
-前記移送ステーション内の1つ以上の解放された前記スペーサから前記複数のビードエイペックスのうちの1つ以上を前記タイヤビルディングマシンに移送するステップと、を更に含む
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、
-前記スペーサグリッパを使用して、前記複数の格納ステーションのうちのそれぞれの格納ステーション内のキャリアのうちの1つからの前記スペーサの更なる1つ以上と係合するとともに、前記移送ステーション内の既に解放された1つ以上の前記スペーサから前記複数のビードエイペックスのうちの1つ以上を前記タイヤビルディングマシンに移送する前記ステップが行なわれている間に持ち上げられた前記更なる1つ以上の前記スペーサを前記移送ステーションに搬送するステップを更に含む
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記スペーサグリッパは、前記複数の格納ステーションのうちのそれぞれの格納ステーション内の前記キャリアのうちの1つから前記スペーサのうちの2つを同時に持ち上げ、前記方法は、
-2つの同時に持ち上げられた前記スペーサの第1のスペーサが上側位置にあるとともに2つの同時に持ち上げられた前記スペーサの第2のスペーサが下側位置にある状態で2つの同時に持ち上げられた前記スペーサを前記移送ステーション内で前記スペーサグリッパから解放するステップと、
-前記第1のスペーサから前記ビードエイペックスのそれぞれの1つを分離して、前記第1のスペーサを前記第2のスペーサの脇に配置するステップと、
-前記ビードエイペックスのそれぞれの1つを前記第2のスペーサから分離して、前記第2のスペーサを前記第1のスペーサ上に配置するステップと、を更に含む
請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ビードエイペックス格納システムは、空のスペーサの積層体を収集するための少なくとも1つのスペーサ収集ステーションを更に備え、前記方法は、
-前記スペーサグリッパを使用して、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサを前記移送ステーションから収集して、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサを前記スペーサ収集ステーションに移動させるステップを更に含む
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、
空のスペーサの前記積層体を支持するために、前記少なくとも1つのスペーサ収集ステーションに空のキャリアを配置するステップを含む
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ビードエイペックス格納システムが取り込みステーション及びキャリアグリッパを更に備え、前記方法は、
-前記取り込みステーションでキャリアを受けるステップと、
-前記キャリアグリッパを使用して、前記取り込みステーション内の前記キャリアと係合するとともに、係合された前記キャリアを前記複数の格納ステーションのいずれかに移動させるステップと、を更に含む
請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記方法は、
-前記キャリアグリッパを使用して、スペーサ収集ステーション内の空のスペーサの積層体と係合して、空のスペーサの係合された前記積層体を前記取り込みステーションに搬送するステップを更に含む
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記移送ステーションは、前記スペーサグリッパから1つ以上の解放された前記スペーサを受けるための第1のセクションと、前記スペーサ上に支持されたそれぞれのビードエイペックスが前記タイヤビルディングマシンに移送されるときに空となる解放された前記スペーサのうちの1つ以上を受けるための第2のセクションとを有するプラットフォームを備え、前記第1のセクションは更に前記キャリアのそれぞれの1つを受けるようになっており、前記ビードエイペックス格納システムは、キャリアを保持するための1つ以上のバッファステーションを更に備え、前記方法は、
-前記バッファステーションのそれぞれの1つと前記プラットフォームの前記第1のセクションとの間で前記キャリアのうちの1つを移送するステップと、
-前記スペーサグリッパを前記第1のセクションで移送された前記キャリアと係合するために使用するステップと、を更に含む
請求項32から39のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードエイペックスとスペーサとを伴う複数の積層体を処理するためのビードエイペックス格納システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-108139号公報は、輸送方向に沿って直列に配置される複数のキャリッジを伴う移送設備を開示する。キャリッジには、複数のビード部材と、付着を防止するためのビード部材間の複数のカートリッジとが交互に取り込まれる。キャリッジは、接続手段によって輸送方向で相互に接続される。したがって、相互接続されたキャリッジは、一連の最初の3つのキャリッジを取り出しセクション、カートリッジ回収セクション、及び、接続解放セクションを通じてそれぞれ順次に押し進めるために、トラックに沿って第1の輸送機構によりグループとして牽引され得る。取り出しセクションでは、ビード部材が支持された上端カートリッジが取り出しデバイスによって係合される。その後、係合されたカートリッジとビード部材とが分離され、カートリッジはカートリッジ回収セクション内のキャリッジ上に収集される。前記キャリッジは、移送設備の前の取り出しサイクル中に空のキャリッジになってしまっている。キャリッジが空のカートリッジで満たされた時点で、キャリッジが接続解放セクションに押し進められ、そこで、満たされたキャリッジと一連の相互接続されたキャリッジとの間の接続が終了される。その後、前記接続が切断されたキャリッジは、第2の輸送機構によって本線から外され、第3の輸送機構によって戻されて再利用される。
【0003】
欧州特許第2328745号明細書は、スペーサをビード間に配置しながら多数のビードを垂直に積み重ねるためのビード格納ユニットを開示する。ビード格納ユニットは、ビードの積層体を各コンベヤ上に供給するための3つのコンベヤベルトを備える。各コンベヤは、異なる直径を有するビードの積層体を供給するようになっている。デバイスは、固定ベース上に配置される可動ロボットアームを更に備え、可動ロボットアームは、前記コンベヤのいずれか1つの上に支持される特定の直径のビードをビードローダに移送するために固定ベースから3つのコンベヤのそれぞれに達することができる。積層体は、オペレータによって又は自動的に移動されるモバイルユニットによってコンベヤ上に取り込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-108139号公報
【文献】欧州特許第2328745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2016-108139号公報の既知の移送設備の順次的形態は、同じサイズのビードの一定の供給を可能にする。したがって、既知の移送設備は、一般に比較的長期間にわたって1つのタイヤサイズしか生産しない従来のタイヤビルディングマシンと組み合わせてうまく機能する。しかしながら、現代のタイヤビルディングでは、より高い柔軟性に対する要求が高まっている。特に、タイヤビルディングマシンは、タイヤ仕様間でより頻繁に切り換わる場合があり、したがって、連続的な取り出しプロセス中に異なるビードサイズに切り換える必要がある。既知の移送設備は、取り出しプロセス中に他のビードサイズに切り換える柔軟性に欠けている。
【0006】
欧州特許第2328745号明細書は、3つの異なるビード直径のための3つのコンベヤを設けることによってこの問題を解決する。そのような形態の欠点は、各ビード直径がそれ自体の供給ラインを必要とするという点である。したがって、柔軟性を3つ以上のビード直径、つまり、6つ以上の異なるビード直径に増やす必要がある場合には、ビード格納ユニットの設置面積、複雑さ、及び、コストが比例して増大する。更に、ロボットアームのその固定ベースに対する範囲は制限されており、ロボットアームは全ての供給ラインに到達できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、ビードエイペックス格納システムの柔軟性を高めることができる、ビードエイペックス及びスペーサを伴う複数の積層体を処理するためのビードエイペックス格納システム及び方法を提供することである。
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、複数のキャリアを処理するためのビードエイペックス格納システムであって、各キャリアが、積層方向で積み重ねられるビードエイペックスとビードエイペックスを前記積層方向で互いから分離するスペーサとが交互に配置されて成る積層体を支持するようになっており、ビードエイペックス格納システムが、キャリアを格納するための複数の格納ステーションと、複数のビードエイペックスのうちの1つをタイヤビルディングマシンに移送するための移送ステーションとを備え、ビードエイペックス格納システムが、スペーサのうちの1つ以上を複数の格納ステーションのうちの1つにおけるキャリアのうちの1つから持ち上げるとともに前記1つ以上の持ち上げられたスペーサを移送ステーションに搬送するためのスペーサグリッパを更に備え、ビードエイペックス格納システムが、スペーサグリッパを支持するためのスペーサグリッパベースを備え、スペーサグリッパベースが、移送ステーションから複数の格納ステーションのいずれか1つへ移動可能である、ビードエイペックス格納システムを提供する。
【0009】
スペーサグリッパベースは、可動式であり、したがって、ビードエイペックスの移送ステーションでのタイヤビルディングマシンへの移送とは無関係に、複数の格納ステーションのいずれか1つを訪れることができる。したがって、格納ステーションの数は、原則として無限であり、したがって、ビードエイペックス直径のより多くのバリエーションを保持して、ビードエイペックス格納システムの柔軟性を大幅に向上させることができる。スペーサグリッパは、タイヤビルディングマシンの要求に基づいて、いつでも選択的に前記格納ステーションのいずれかを訪問できる。更に、スペーサグリッパは、1つ以上の既に持ち上げられたスペーサからのビードエイペックスが移送ステーションでタイヤビルディングマシンに移送されている間に、ビードエイペックスが支持された1つ以上のスペーサを持ち上げて格納ステーションのそれぞれの1つから搬送することができる。したがって、ビードエイペックス格納システムのサイクル時間に対する、格納ステーションへ及び格納ステーションから移動するスペーサグリッパベースの影響を最小限に抑えることができる。更に、スペーサグリッパベースに対するスペーサグリッパの移動範囲を最小限に抑えることができる。したがって、スペーサグリッパは、あまり複雑ではなく及び/又はあまり高価でもない。
【0010】
好ましい実施形態において、ビードエイペックス格納システムは、キャリアのうちの1つをビードエイペックス格納システムに取り込むための取り込みステーションと、取り込みステーション内で前記1つのキャリアと係合して前記1つの係合されたキャリアを複数の格納ステーションのいずれか1つに移動させるためのキャリアグリッパとを更に備える。そのため、ビードエイペックス格納システム内へのキャリアの取り込みを少なくとも部分的に自動化することができる。したがって、キャリアをそれらのそれぞれの格納ステーションに移動させるためにオペレータがビードエイペックス格納システムに入る必要がない。オペレータのアクセスは、取り込みステーションに制限され得る。
【0011】
その更なる実施形態では、キャリアグリッパがスペーサグリッパベースによって支持され、前記スペーサグリッパベースは、取り込みステーション及び移送ステーションから格納ステーションのいずれか1つへ移動可能である。したがって、キャリアグリッパ及びスペーサグリッパは、格納ステーションのいずれか1つへ移動されるために別個のベースを必要とせず、それにより、ビードエイペックス格納システムの複雑さが更に軽減される。代わりに、キャリアグリッパ及びスペーサグリッパは、同じ共通のスペーサグリッパベースによって移動され得る。これは、ビードエイペックス格納システムのインフラストラクチャが共通のスペーサグリッパベースの単一の移動経路のみを考慮するだけで済むという更なる利点を有する。
【0012】
他の好ましい実施形態では、複数の格納ステーションが主方向に一列に位置される。より具体的には、移送ステーション及び複数の格納ステーションが主方向に一列に位置される。言い換えると、複数の格納ステーションが前記主方向で並んで配置され得る。したがって、各格納ステーションは、前記主方向を横断する又は前記主方向に対して垂直な方向で個別にアクセス可能となり得る。更に、スペーサグリッパベース及び/又はキャリアグリッパベースは、複数の格納ステーションの前方で及び/又は複数の格納ステーションに沿って都合良く移動して前記格納ステーションのいずれか1つを訪れることができる。
【0013】
好ましくは、スペーサグリッパベースが主方向に移動可能である。したがって、スペーサグリッパベースは、複数の格納ステーションと平行に、すなわち、複数の格納ステーションが一列に又は並んで配置される方向と平行に移動することができる。更に、主方向を横断する又は主方向に対して垂直な方向でのスペーサグリッパベースと複数の格納ステーションとの間の距離を一定に保つこともできる。
【0014】
好ましい実施形態では、ビードエイペックス格納システムが主方向に延びる1つ以上のガイドを備え、スペーサグリッパベースが1つ以上のガイドの少なくとも1つに沿って移動可能である。1つ以上のレールは、複数の格納ステーションに沿う及び/又は複数の格納ステーションに対するスペーサグリッパベースの正確な移動を確実に容易にし得る。
【0015】
別の実施形態では、ビードエイペックス格納システムがキャリアグリッパを支持するためのキャリアグリッパベースを備え、スペーサグリッパベース及びキャリアグリッパベースは、移送ステーションから格納ステーションのいずれか1つへ及び取り込みステーションから格納ステーションのいずれか1つへそれぞれ独立に移動可能である。キャリアグリッパは、複数の格納ステーションにキャリアを取り込む及び複数の格納ステーションからキャリアを取り出すことができ、一方、スペーサグリッパは、格納ステーションのそれぞれの1つにおける積層体から移送ステーションへ1つ以上のスペーサを独立して及び/又は同時に持ち上げて搬送することができる。したがって、ビードエイペックス格納システムの生産性を高めることができる。
【0016】
その好ましい実施形態では、複数の格納ステーションが主方向に一列に位置され、スペーサグリッパベースは、複数の格納ステーションの第1の側で移送ステーションから格納ステーションのいずれか1つへ移動可能であり、キャリアグリッパベースは、第1の側と反対の複数の格納ステーションの第2の側で取り込みステーションから格納ステーションのいずれか1つへ移動可能である。したがって、スペーサグリッパベース及びキャリアグリッパベースの移動間の干渉を防ぐことができる。
【0017】
その更なる実施形態では、キャリアグリッパベースが主方向に移動可能である。したがって、キャリアグリッパベースは、複数の格納ステーションと平行に、すなわち、複数の格納ステーションが一列に又は並んで配置される方向と平行に移動することができる。更に、主方向を横断する又は主方向に対して垂直な方向でのキャリアグリッパベースと複数の格納ステーションとの間の距離を一定に保つこともできる。
【0018】
更なる実施形態では、複数の格納ステーションが主方向に一列に位置され、キャリアグリッパは、キャリアのそれぞれの1つを複数の格納ステーションのそれぞれの1つに取り込むとともに複数の格納ステーションのそれぞれの1つから取り出すために、主方向を横断する又は主方向に対して垂直な格納方向に移動可能である。したがって、キャリアグリッパは、複数の格納ステーションにおける他のキャリアと衝突することなく、複数の格納ステーションと並行な又は複数の格納ステーションの前方の位置でキャリアのうちの1つと係合して該キャリアを搬送し、前記1つのキャリアを複数の格納位置のいずれか1つに輸送することができる。キャリアグリッパが取り込まれるべき格納ステーションの前方に位置される際、1つのキャリアが支持されたキャリアグリッパは、前記主方向から分岐して格納方向に移動し、1つのキャリアを取り込まれるべき格納ステーション内に位置させることができる。
【0019】
先の実施形態に基づき、各格納ステーションは、キャリアのそれぞれの1つのための支持体を備え、キャリアグリッパは、支持体の上方の持ち上げレベルにおいて且つそれぞれの支持体の下方の解放レベルにおいて格納方向で各格納ステーション内へ移動可能及び各格納ステーションから待避可能であり、キャリアグリッパは、持ち上げレベルと解放レベルとの間でそれぞれの支持体を通過して主方向及び格納方向に対して垂直な高さ方向に更に移動可能であることが好ましい。キャリアを格納ステーションのそれぞれの1つに取り込む場合、キャリアグリッパを持ち上げレベルで格納ステーション内へと支持体の上方の位置に移動させることができる。その後、キャリアグリッパを持ち上げレベルから支持体の下方の解放レベルに向けて下降させ、プロセスにおいてキャリアを支持体上に配置できる。その後、キャリアグリッパがキャリアの下方から離れるように解放レベルまで降下してそれぞれの格納ステーションから外に移動する。それぞれの格納ステーションからキャリアを取り出す際には、上記のステップが逆の順序で実行される。
【0020】
更なる実施形態では、複数のキャリアがパレットであり、キャリアグリッパは、前記パレットのうちの1つと係合してこれを搬送するためのフォークを備える。フォークは、前記パレットのうちの1つと確実に係合してこれを搬送できる。更に、フォークは、取り込みステーションにおいて主方向で前記1つのパレットと係合することができ、一方、フォークは、格納ステーションのうちの1つにおいて持ち上げレベルから解放レベルに移動するときにパレットから離れるように下降することもできる。
【0021】
他の実施形態では、各スペーサが中央開口を有し、ビードエイペックスの積層体のうちのそれぞれの1つにおけるスペーサの中央開口が中央空間を形成するように積層方向で位置合わせされ、スペーサグリッパは、グリッパヘッドと、それぞれの積層体の中央空間内へ達して前記それぞれの積層体におけるスペーサのうちの1つと係合するために前記グリッパヘッドから突出する複数のスペーサ係合部材とを備える。したがって、スペーサは、前記中央空間の内側から係合され得る。
【0022】
その第1の実施形態において、複数のスペーサ係合部材は、それぞれの積層体の上端から前記それぞれの積層体の少なくとも第2のスペーサに至るまでそれぞれの積層体の中央空間内に達するようになっており、複数のスペーサ係合部材は、前記第2のスペーサをそれぞれの積層体の上端にあるスペーサとともにそれぞれの積層体から同時に持ち上げるために前記第2のスペーサと係合するための係合位置へ移動可能である。タイヤビルディングマシンは、一般に、同じサイズの2つのビードエイペックスを必要とする。従来技術の従来のロボットアームは、一度に1つのスペーサと係合するようになっていた。したがって、既知のロボットアームは、2つのビードエイペックスをタイヤビルディングマシンに供給するために格納ステーションまで2回移動しなければならない。本発明に係るスペーサグリッパは、どの格納ステーションが訪問されるようになっているかに応じて、格納ステーションと移送ステーションとの間の比較的長い距離を移動しなければならない。したがって、ビードエイペックスが支持された2つのスペーサを同時に持ち上げて移送ステーションに搬送し、それにより貴重な時間を節約することは理にかなっている。
【0023】
その第2の実施形態において、各スペーサ係合部材は、それぞれの積層体の上端にある第1のスペーサと接触するためにグリッパヘッドから第1の距離を隔てて位置する第1の要素と、それぞれの積層体の上端から第2のスペーサと係合するために第1の距離よりも大きい第2の距離をグリッパヘッドから隔てて位置する第2の要素とを備える。第1の要素は、第2の要素が積層体の上端から第2のスペーサと係合する間、第2のスペーサ及び/又は積層体の全体に対して積層体の上端にある第1のスペーサを位置合わせすることができる。
【0024】
その第3の実施形態において、ビードエイペックス格納システムは、それぞれの積層体におけるスペーサに対する積層方向での複数のスペーサ係合部材の位置を検出するための検出器と、検出器及びスペーサグリッパに動作可能に接続されるとともに、複数のスペーサ係合部材がそれぞれの積層体の上端から積層方向で第2のスペーサに位置される際にそれぞれの積層体の上端から前記第2のスペーサと係合するように複数のスペーサ係合部材を制御するようにプログラムされる制御ユニットとを備える。したがって、スペーサグリッパは、積層体の上端から第2のスペーサと係合するために検出器に基づいて正確に制御され得る。したがって、積層体の上端から2つのスペーサを同時に持ち上げることを自動化できる。
【0025】
その第4の実施形態において、各スペーサ係合部材は、スペーサグリッパに対してスペーサ及び/又は積層体のうちの1つ以上を全体として心出しするために積層体の中央空間内へ挿入可能な心出しローラを備える。したがって、積層体がスペーサグリッパに対して僅かにオフセットされる又は傾斜される場合、心出しローラは、スペーサグリッパに対して積層体を全体として心出しし、前記積層体からのスペーサの拾い上げ中の位置合わせを改善することができる。
【0026】
スペーサグリッパの前述の4つの実施形態がビードエイペックス格納システムから個別に適用できることに留意されたい。特に、スペーサグリッパがそれぞれの積層体の上端から第2のスペーサと係合して2つのスペーサを同時に持ち上げることができる機能、及び/又は、スペーサ又は積層体が全体として心出しローラによって心出しされる機能は、従来のビードエイペックス処理システムにも適用できる。したがって、明細書本文に記載されて図面に示されるその特徴を含むスペーサグリッパ自体は、分割特許出願の対象とすることができる。
【0027】
他の実施形態において、スペーサグリッパは、移送ステーション内で1つ以上の持ち上げられたスペーサを解放するようになっており、ビードエイペックス格納システムは、1つ以上のビードエイペックスを移送ステーション内の解放された1つ以上のスペーサからタイヤビルディングマシンへ移送するための移送ユニットを更に備える。その結果、スペーサグリッパは、1つ以上の持ち上げられたスペーサに支持されたビードエイペックスを直接にタイヤビルディングマシンに移送しない。代わりに、スペーサグリッパは、1つ以上の持ち上げられたスペーサを移送ステーションに供給し、そこから、移送ユニットが、前記1つ以上の持ち上げられたスペーサに支持された1つ以上のビードエイペックスをタイヤビルディングマシンに移送する。
【0028】
好ましくは、移送ユニットは、1つ以上のビードエイペックスと係合して該ビードエイペックスを移送ステーションからタイヤビルディングマシンへ搬送するためのマニピュレータと、前記マニピュレータを支持するためのマニピュレータベースとを備え、マニピュレータベースが移送ステーションに対して固定される。マニピュレータを正確に及び/又はマニピュレータベースに対して比較的小さな許容誤差を伴って移動させて、ビードエイペックスをタイヤビルディングマシンに正確に移送することができる。したがって、スペーサグリッパの精度はそれほど重要ではない。言い換えると、スペーサグリッパは比較的不正確であってもよい。
【0029】
より好ましくは、マニピュレータは、ロボットアームと、前記ロボットアームによって支持されるビードエイペックスグリッパとを備える。ロボットアームは、ビードエイペックスグリッパを移送ステーション内及び/又はタイヤビルディングマシン内の1つ以上の解放されたスペーサに対して正確に位置決めするために幾つかの自由度を有することができる。特に、ロボットアームは、3自由度以上、好ましくは6自由度を有する。
【0030】
更なる実施形態において、移送ステーションは、スペーサグリッパから1つ以上の解放されたスペーサを受けるための第1のセクションと、移送ユニットがスペーサ上に支持されたそれぞれのビードエイペックスをタイヤビルディングマシンに移送してしまったときに空となる解放されたスペーサのうちの1つ以上を受けるための第2のセクションとを有するプラットフォームを備える。2つのセクションを伴うプラットフォームを有することにより、空のスペーサを第1のセクションから第2のセクションに移動させて、第1のセクション内の空のスペーサの下方にある任意のスペーサを露出させることができる。これは、ビードエイペックスが支持された2つのスペーサをスペーサグリッパが同時に移送ステーションに供給する前述の実施形態において特に有利である。その場合、第1のスペーサを下方の第2のスペーサから持ち上げて、前記第2のスペーサ上のビードエイペックスにアクセスすることができる。
【0031】
好ましくは、各キャリアは、キャリアベースと、前記キャリアベースと一体化される又は接続固定されるスペーサ部材とを備え、スペーサグリッパは、そのスペーサ部材と係合してそれを搬送することによってそれぞれのキャリアと係合して該キャリアを搬送するようになっており、第1のセクションは、前記キャリアのそれぞれの1つを受けるようになっている。より好ましくは、各キャリアは、スペーサ部材から離れる方向を向くキャリアベースの側に、キャリアベースに接続される複数のホイールを備え、第1のセクションのプラットフォームは、支持面と、支持面の下方に前記複数のホイールを受け入れるための前記支持面の凹部とを備える。キャリアベース上にスペーサ部材を有することにより、キャリアベースは、ビードエイペックスが支持されたキャリアを第1のセクションに配置することによって取り出され得るビードエイペックスを搬送することもできる。空になったキャリアは、その後、空のスペーサを集めるために再利用され得る。
【0032】
その更なる実施形態において、ビードエイペックス格納システムは、キャリアを保持するための1つ以上のバッファステーションを更に備え、移送ユニットは、バッファステーションのそれぞれの1つとプラットフォームの第1のセクションとの間でキャリアを移送するようになっており、スペーサグリッパは、移送されたキャリアと第1のセクションで係合するようになっている。すなわち、バッファステーションは、第1のセクションを介して前記空のキャリアのうちの1つを格納ステーション又は専用のスペーサ収集ステーションのいずれか1つに移送することによって、空のスペーサを収集するべく、ビードエイペックス格納システムに再導入され得る1つ以上の空のキャリアを保持できる。
【0033】
他の実施形態において、スペーサグリッパは、スペーサグリッパベースに対して高さ方向で移動可能である。このようにして、スペーサグリッパは、前記積層体の次の1つ以上のスペーサと係合するべく、積層体の高さに応じて、格納ステーションのそれぞれの1つにおける積層体の真上に位置決めされ得る。
【0034】
好ましくは、移送ステーションは、スペーサグリッパから1つ以上の解放されたスペーサを受けるためのプラットフォームを備え、前記プラットフォームが複数の格納ステーションに対して上昇され、スペーサグリッパは、プラットフォームの上方の移送レベルに至るまで高さ方向で移動可能である。プラットフォームは、移送ユニット及び/又はタイヤビルディングマシンが前記上昇したレベルでビードエイペックス格納システムと相互作用できるようにするべく上昇されてもよい。スペーサグリッパは、少なくとも前記上昇したレベルまで到達して、移送ステーションにおいて1つ以上の持ち上げられたスペーサを解放することができなければならない。
【0035】
他の実施形態では、スペーサグリッパが3自由度以下で移動可能である。したがって、スペーサグリッパは、従来のロボットアームよりもかなり複雑でなく及び/又はより安価となり得る。
【0036】
他の実施形態において、複数の格納ステーションは、少なくとも4つの格納ステーション、好ましくは少なくとも6つの格納ステーション、最も好ましくは少なくとも8つの格納ステーションを備える。格納ステーションの数が多いほど、ビードエイペックス格納システムの柔軟性が高くなる。
【0037】
他の実施形態において、ビードエイペックス格納システムは、空のスペーサの積層体を収集するための少なくとも1つのスペーサ収集ステーションを更に備える。好ましくは、前記少なくとも1つのスペーサ収集ステーションは、前記移送ステーションに最も近い複数の格納ステーションのうちの格納ステーションと移送ステーションとの間に位置される。スペーサ収集ステーションを使用して、移送ステーションで空になったスペーサを収集できる。スペーサ収集ステーションを移送ステーションのできるだけ近くに配置することにより、空のスペーサをスペーサ収集ステーションに比較的迅速に移送できる。これは、スペーサグリッパがこの目的で使用される場合に特に有利である。
【0038】
第2の態様によれば、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つに係るビードエイペックス格納システムにより複数のキャリアを処理するための方法を提供し、この方法は、
-スペーサグリッパを使用して、スペーサのうちの1つ以上を複数の格納ステーションのそれぞれの1つにおけるキャリアのうちの1つから持ち上げて前記1つ以上の持ち上げられたスペーサを移送ステーションに搬送するステップを含む。
【0039】
この方法は、複数のキャリアを処理するステップ中のビードエイペックス格納システムの実際の実施に関する。したがって、方法及びその実施形態は、本発明の第1の態様に係るビードエイペックス格納システムと実質的に同じ技術的利点を有する。
【0040】
好ましい実施形態において、方法は、
-1つ以上の持ち上げられたスペーサを移送ステーション内でスペーサグリッパから解放するステップと、
-移送ステーション内の1つ以上の解放されたスペーサから複数のビードエイペックスのうちの1つ以上をタイヤビルディングマシンに移送するステップと、
を更に含む。
【0041】
その更なる実施形態において、方法は、
-スペーサグリッパを使用して、複数の格納ステーションのうちのそれぞれの格納ステーション内のキャリアのうちの1つからのスペーサの更なる1つ以上と係合するとともに、移送ステーション内の既に解放された1つ以上のスペーサから複数のビードエイペックスのうちの1つ以上をタイヤビルディングマシンに移送する前記ステップが行なわれている間に1つ以上の持ち上げられたスペーサを移送ステーションに搬送するステップ、
を更に含む。
【0042】
方法の他の実施形態において、スペーサグリッパは、複数の格納ステーションのうちのそれぞれの格納ステーション内のキャリアのうちの1つからスペーサのうちの2つを同時に持ち上げ、方法は、
-2つの同時に持ち上げられたスペーサの第1のスペーサが上側位置にあるとともに2つの同時に持ち上げられたスペーサの第2のスペーサが下側位置にある状態で2つの同時に持ち上げられたスペーサを移送ステーション内でスペーサグリッパから解放するステップと、
-第1のスペーサからビードエイペックスのそれぞれの1つを分離して、第1のスペーサを第2のスペーサの脇に配置するステップと、
-ビードエイペックスのそれぞれの1つを第2のスペーサから分離して、第2のスペーサを第1のスペーサ上に配置するステップと、
を更に含む。
【0043】
その更なる実施形態において、ビードエイペックス格納システムは、空のスペーサの積層体を収集するための少なくとも1つのスペーサ収集ステーションを更に備え、方法は、
-スペーサグリッパを使用して、第1のスペーサ及び第2のスペーサを移送ステーションから収集して、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサをスペーサ収集ステーションに移動させるステップ、
を更に含む。
【0044】
好ましくは、この方法は、空のスペーサの積層体を支持するために、少なくとも1つのスペーサ収集ステーションに空のキャリアを配置するステップを含む。
【0045】
更なる実施形態では、ビードエイペックス格納システムが取り込みステーション及びキャリアグリッパを更に備え、方法は、
-取り込みステーションでキャリアを受けるステップと、
-キャリアグリッパを使用して、取り込みステーション内のキャリアと係合するとともに、係合されたキャリアを複数の格納ステーションのいずれか1つに移動させるステップと、
を更に含む。
【0046】
その更なる実施形態において、方法は、
-キャリアグリッパを使用して、スペーサ収集ステーション内の空のスペーサの積層体と係合して、空のスペーサの前記係合された積層体を取り込みステーションに搬送するステップ、
を更に含む。
【0047】
方法の更なる実施形態において、移送ステーションは、スペーサグリッパから1つ以上の解放されたスペーサを受けるための第1のセクションと、スペーサ上に支持されたそれぞれのビードエイペックスがタイヤビルディングマシンに移送されるときに空となる解放されたスペーサのうちの1つ以上を受けるための第2のセクションとを有するプラットフォームを備え、第1のセクションは更にキャリアのそれぞれの1つを受けるようになっており、ビードエイペックス格納システムは、キャリアを保持するための1つ以上のバッファステーションを更に備え、方法は、
-バッファステーションのそれぞれの1つとプラットフォームの第1のセクションとの間でキャリアのうちの1つを移送するステップと、
-スペーサグリッパを使用して、第1のセクションで移送されたキャリアと係合するステップと、
を更に含む。
【0048】
本明細書中に記載されて示される様々な態様及び特徴は、可能な限り、個別に適用され得る。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載される態様及び特徴は、分割特許出願の対象となり得る。
【0049】
本発明は、添付の概略図面に示される典型的な実施形態に基づいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の第1の実施形態に係るビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図2図1に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図3】複数のキャリアを処理するための方法のステップ中における図1に係るビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図4】複数のキャリアを処理するための方法のステップ中における図1に係るビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図5】複数のキャリアを処理するための方法のステップ中における図1に係るビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図6】複数のキャリアを処理するための方法のステップ中における図1に係るビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図7】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図8】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図9】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図10】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図11】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図12】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図13】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図14】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図15】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図16】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図17】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図18】複数のキャリアを処理するための方法の更なるステップ中における図2に係るビードエイペックス格納システムの側面図を示す。
図19】本発明の第2の実施形態に係る別のビードエイペックス格納システムの上面図を示す。
図20図1図19に係るビードエイペックス格納システムで使用されるスペーサグリッパの断面斜視図を示す。
図21】2つのスペーサを同時に持ち上げる2つのステップ中における図20に係るスペーサグリッパの平断面図を示す。
図22】2つのスペーサを同時に持ち上げる2つのステップ中における図20に係るスペーサグリッパの平断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1及び図2は、本発明の典型的な第1の実施形態に係る複数のキャリア9を処理するためのビードエイペックス格納システム1を示す。各キャリア9は、ビードエイペックスBの積層体を支持するようになっており、ビードエイペックスBは、積層方向Vに積み重ねられるとともに、ビードエイペックスBを前記積層方向Vで互いから分離するスペーサSと交互に配置される。この典型的な実施形態では、ビードエイペックスBが積層方向VでスペーサS上に支持される。前記積層方向Vは、好ましくは、垂直又は略垂直である。ビードエイペックス格納システム1は、タイヤを製造する生産ラインにおいてタイヤビルディングマシンTBMの上流側に位置される。TBMは、ビードエイペックスBの柔軟な供給、すなわち、仕様、材料、形状、サイズ、及び/又は、直径を容易に切り換えられ得るビードエイペックスBの供給を必要とする。
【0052】
この典型的な実施形態において、キャリア9はそれぞれ、以下で更に詳しく説明される態様でビードエイペックス格納システム1を通じて係合されて搬送され得るベース91、特にパレット90を備える。ベース91上で、キャリア9には、前記キャリアベース91と一体化される又は接続固定されるスペーサ部材92が設けられる。キャリア9は、例えばキャリア9をビードエイペックス格納システム1内へ手動で取り込むためにキャリアを工場の床上にわたって転がせることができるようにホイール93を備える又はホイール93上に配置される。好ましくは、ホイール93は、スペーサ部材92から離れる方向を向くキャリアベース91の側でキャリアベース91に接続される。
【0053】
図2において最も良く分かるように、各スペーサSは、中央開口71を有するスペーサ本体70を備える。スペーサ本体70は、前記中央開口71の周りで周方向に延びるビードエイペックスBのうちの1つのための円錐支持面を形成する。ビードエイペックスBの積層体のうちのそれぞれの積層体におけるスペーサSの中央開口71は、中央空間Eを形成するように積層方向Vで位置合わせされる。キャリア9のベース91におけるスペーサ部材92は、前記キャリア9上に積み重ねられるスペーサSとほぼ同じ形状を有する。そのため、キャリア9のベース91におけるスペーサ部材92は、ビードエイペックスBの第1のビードエイペックスBを支持するための第1のスペーサSとして効果的に機能し得る。スペーサSの残りの部分をスペーサ部材92上に積み重ねることができ、各スペーサSがそれ自体のビードエイペックスBを支持する。
【0054】
ビードエイペックス格納システム1は、キャリア9を格納するための複数の格納ステーションA1~A8を備える。この典型的な実施形態では、ビードエイペックス格納システム1が8つの格納ステーションA1~A8を有する。しかしながら、格納ステーションの数が異なってもよいことは明らかである。ビードエイペックス格納システム1は、キャリア9のうちの1つをビードエイペックス格納システム1、101内に取り込むための取り込みステーションLと、複数のビードエイペックスBのうちの1つをビードエイペックス格納システム1からタイヤビルディングマシンTBMへ移送するための移送ステーションTとを更に備える。複数の格納ステーションA1~A8が主方向Mに一列に又は直列に位置される。好ましくは、移送ステーションTも、前記主方向Mで複数の格納ステーションA1~A8と一列又は直列を成す位置にある。
【0055】
ビードエイペックス格納システム1は、キャリア9を処理するためのキャリアグリッパ2、個々のスペーサS又は2つのスペーサSのセットを処理するためのスペーサグリッパ3、及び、個々のビードエイペックスBを処理するための移送ユニット6を更に備える。ビードエイペックス格納システム1の前述の部分のそれぞれについては以下で更に詳しく説明する。
【0056】
キャリアグリッパ2は、図1及び図3に示されるように、取り込みステーションLで前記1つのキャリア9と係合するとともに、図4及び図5に示されるように、前記1つの係合されたキャリア9を複数の格納ステーションA1~A8のいずれか1つへ移動させるようになっている。キャリアグリッパ2は、複数の格納ステーションA1~A8に沿って主方向Mに移動できる。この典型的な実施形態において、キャリアグリッパ2は、キャリア9のうちの1つのベース91、特にパレット90と係合するためのフォーク21と、フォーク21を支持してキャリアグリッパ2のためのベース5に対して移動させるフォークマウント20とを備える。
【0057】
スペーサグリッパ3は、グリッパヘッド30と、前記グリッパヘッド30から突出する複数のスペーサ係合部材31とを備える。スペーサ係合部材31は、それぞれの積層体の中央空間E内へ到達して、スペーサSのうちの1つと係合し、該スペーサを前記それぞれの積層体から持ち上げる及び/又は搬送するようになっている。図7に示されるように、スペーサ係合部材31は、積層体の上端から第2のスペーサS2と係合し、それにより、前記第2のスペーサS2と積層体の上端にある第1のスペーサS1とを前記積層体から同時に持ち上げるようになっている。これは、タイヤビルディングマシンTBMが一般にそれぞれのタイヤビルディングサイクルごとに同じ仕様の2つのビードエイペックスBを必要とするため、都合が良い。キャリアグリッパ2と同様に、スペーサグリッパ3は、複数の格納ステーションA1~A8及び移送ステーションTに沿って主方向Mに移動できる。図8に示されるように、スペーサグリッパ3は、移送ユニット6によるタイヤビルディングマシンTBMへのその後の移送のために1つ以上の持ち上げられたスペーサS1、S2を移送ステーションTに配置する及び/又は解放するようになっている。スペーサグリッパ3は、スペーサSが積層体から持ち上げられている際の積層体高さの減少に追従するように主方向Mと垂直及び/又は積層方向Vと平行な高さ方向Hに更に移動できる。好ましくは、スペーサグリッパ3は、3自由度以下、この場合は2自由度のみで移動可能である。
【0058】
積層体が使い果たされてキャリア9だけが格納ステーションA1~A8のうちの1つに残った時点で、スペーサグリッパ3は、スペーサSのいずれかとほぼ同じ態様でキャリアのスペーサ部材92と係合することによって前記1つのキャリア9と係合し、該キャリア9を持ち上げ及び/又は搬送できる。これは、前記スペーサ部材92が移送ステーションTに移送されなければならないビードエイペックスBも支持する場合に、あるいは、空のキャリア9がビードエイペックス格納システム1から取り出されるようになっている又はビードエイペックス格納システム1のバッファ位置F1~F6に一時的に格納されるようになっている場合に特に都合が良い。
【0059】
図1及び図2に示されるように、ビードエイペックス格納システム1は、スペーサグリッパ3を支持する、すなわち、スペーサグリッパ3を工場の床に対して支持するためのスペーサグリッパベース5を更に備える。前記スペーサグリッパベース5は、移送ステーションTから複数の格納ステーションA1~A8のいずれか1つに及び取り込みステーションLから複数の格納ステーションA1~A8のいずれか1つに移動可能である。この典型的な実施形態では、キャリアグリッパ2が同じスペーサグリッパベース5によって支持される。つまり、スペーサグリッパベース5は、キャリアグリッパ2及びスペーサグリッパ3の両方のための共通のグリッパベースである。したがって、キャリアグリッパ2及びスペーサグリッパ3の両方を格納ステーションA1~A8のいずれか1つへ一緒に移動させることができる。スペーサグリッパ3は、スペーサグリッパベース5に対して高さ方向Hで移動可能である。好ましくは、スペーサグリッパ3は、主方向Dに対して垂直な格納方向Dで、スペーサグリッパベース5から、グリッパヘッド30がキャリア9の上方に配置される又はキャリア9と一列を成して配置される位置へと突出するしたがって、グリッパヘッド30は、積層体内の1つ以上のスペーサSと係合するために各格納ステーションA1~A8に出入りする必要がない。
【0060】
この特定の実施形態において、ビードエイペックス格納システム1は、主方向Mに延びる1つ以上のガイド10を備える。この例では、1つ以上のガイド10が1つ以上のレールである。1つ以上のガイド10は、工場の床上に、又は、高所位置に、すなわち、頭上に配置されてもよい。あるいは、1つ以上のガイド10は、グリッパ2、3により移動される経路の脇に配置されてもよい。スペーサグリッパベース5は、1つ以上のガイド10の少なくとも1つに沿って移動可能である。したがって、スペーサグリッパベース5は、複数の格納ステーションA1~A8が並んで配置される方向と平行に移動され得る。あるいは、スペーサグリッパベース5が主方向Mと平行な直線ガイド経路に沿って電子的に案内される自律型車両であってもよいことに留意されたい。その場合、物理的なガイドは必要とされない。
【0061】
図4及び図5に示されるように、キャリアグリッパ2は、スペーサグリッパベース5に対して格納方向Dで格納ステーションA1~A8のそれぞれ1つに出入りするように移動できる。図2及び図7に更に示されるように、キャリアグリッパ2は、持ち上げレベルH1と解放レベルH2との間で、主方向M及び格納方向Dに対して垂直な高さ方向Hに移動可能である。図2において最も良く分かるように、各格納ステーションA1~A8は、キャリア9のそれぞれの1つのための支持体12を備える。キャリアグリッパ2は、支持体12の上方の持ち上げレベルH1及びそれぞれの支持体12の下方の解放レベルH2において、格納方向Dで各格納ステーションA1~A8内へ移動可能であるとともに各格納ステーションA1~A8から待避可能である。キャリア9のうちの1つを格納ステーションA1~A8のうちの1つに取り込む際、キャリアグリッパ2は、キャリア9を前記1つの格納ステーションA1~A8の支持体12の上方に搬送するべく持ち上げレベルH1まで上昇される。その後、図7に示されるように、キャリアグリッパ2は、支持体12を通過して前記支持体12の下方のレベルまで降下するべく解放レベルまで下げられる。これにより、キャリア9がキャリアグリッパ2から解放され、キャリアグリッパ2が格納ステーションA1~A8から格納方向Dに移動できるようになる。格納ステーションA1~A8のうちの1つからキャリア9のうちの1つを取り出すために、上記のステップを逆の順序で実行できる。
【0062】
ビードエイペックス格納システム1から空のキャリア9を取り出すために取り込みステーションLが使用されてもよいことに留意されたい。あるいは、取り出しが取り込みステーションL内での新たなキャリア9の配置を妨げないように、別個の取り出しステーションが設けられてもよく、すなわち、取り込みステーションLと第1の格納ステーションA1との間の位置に別個の取り出しステーションが設けられてもよい。
【0063】
図1及び図2に示されるように、移送ステーションTは、第1のセクション16及び第2のセクション17を伴うプラットフォーム15を備える。第1のセクション16及び第2のセクション17はそれぞれ、1つ以上のスペーサSを支持するための支持面18を形成する。特に、第1のセクション16は、1つ以上の解放されたスペーサS1、S2をスペーサグリッパ3から受けるようになっている。また、第1のセクションは、例えば積層体が使い果たされる際にキャリア9を受けてもよく、また、キャリア9は、スペーサ部材92及びその上に支持されるビードエイペックスBとともに、スペーサグリッパ3によって持ち上げられて移送ステーションTに搬送される。図1において最も良く分かるように、第1のセクション16には、前記複数のホイール93を支持面18の下方に受け入れるための凹部19が支持面18に設けられる。プラットフォーム15は、上昇され、すなわち、複数の格納ステーションA1~A8に対してテーブルのように上昇される。つまり、プラットフォーム15は、格納ステーションA1~A8の支持体12に対して高さ方向Hでオフセットされる高さに位置される。したがって、プラットフォーム15は、前記プラットフォーム15の上方又は頭上に配置される移送ユニット6によって容易に到達され得る。その結果、スペーサグリッパは、前記プラットフォーム15上にスペーサSを堆積させるためにプラットフォーム15の上方の移送レベルH3に至るまで高さ方向Hで移動可能である。
【0064】
移送ユニット6は、図9図11に示されるように、第1のセクション17内の1つ以上のスペーサS1、S2のうちの1つに支持されるビードエイペックスBのうちの1つと係合し、前記係合されたビードエイペックスBをタイヤビルディングマシンTBMに移送するようになっている。結果として、1つのスペーサS1、S2が空である。また、移送ユニット6は、図9及び図10に示されるように、プラットフォームの第2のセクション17に前記空のスペーサS1、S2を配置するようになっている。各ビードエイペックスBは、移送ユニット6の構成に応じて、第1のセクション16から第2のセクション17へのそれぞれのスペーサSの移送の前、最中又は、後に、それが支持されるスペーサSから分離され得る。
【0065】
図2において最も良く分かるように、移送ユニット6は、1つ以上のビードエイペックスBと係合してこれを移送ステーションTからタイヤビルディングマシンTBMへ搬送するためのマニピュレータ61と、前記マニピュレータ61を支持するためのマニピュレータベース60とを備える。マニピュレータベース60は移送ステーションTに対して固定される。したがって、マニピュレータ60に対するマニピュレータ61の移動範囲は制限される。この典型的な実施形態において、マニピュレータ61は、ロボットアーム62と、前記ロボットアーム62によって支持されるビードエイペックスグリッパ63とを備える。前記ロボットアーム62は一般に6自由度を有する。前記ビードエイペックスグリッパ63は、欧州特許第2328745号明細書に開示されるビードエイペックスグリッパと同様の従来の形態を有してもよい。特に、前記ビードエイペックスグリッパ63は、欧州特許第2328745号明細書からそれ自体知られる態様でスペーサSのうちの1つを拾い上げるとともにビードエイペックスBを拾い上げて前記1つのスペーサSから分離することをそれぞれ行なうために独立して動作可能なスペーサ係合ジョー64及びビード係合ジョー65を有する。
【0066】
図18において最も良く分かるように、ビードエイペックス格納システム1は、空のキャリア9を保持するための1つ以上のバッファステーションF1~F6、この例では6つのバッファステーションF1~F6を更に備える。図2に示されるように、1つ以上のバッファステーションF1~F6は、スペーサグリッパ3の到達範囲外であるが、移送ユニット6の範囲内にある。移送ユニット6は、空のキャリア9をプラットフォーム15の第1のセクション16からバッファステーションF1~F6のいずれか1つに移送してもよい。同じ移送ユニット6は、バッファステーションF1~F6のそれぞれの1つからプラットフォーム15の第1のセクション16にキャリア9を移送するようになっている。続いて、スペーサグリッパ3は、第1のセクション16で移送されたキャリア9と係合するようになっている。その後、係合されて移送されたキャリア9は、空の複数の格納ステーションA1~A8のいずれか1つに移動されてもよい。
【0067】
図1及び図2に示されるように、ビードエイペックス格納システム1は、空のスペーサSの積層体を収集するための少なくとも1つのスペーサ収集ステーションCを更に備えてもよい。前記スペーサ収集ステーションCが複数の格納ステーションA1~A8とは別個のステーションであってもよく、あるいは、格納ステーションA1~A8のうちの1つがプロセス中の任意の時点でスペーサ収集ステーションCとして定められてもよい。この典型的な実施形態において、スペーサ収集ステーションCは、格納ステーションA1~A8とは異ならず、及び/又は、格納ステーションA1~A8のうちの1つ、特に移送ステーションTの前の最後の格納ステーションA8である。そのため、スペーサ収集ステーションCは、移送ステーションTと、前記移送ステーションTに最も近い複数の格納ステーションのうちの格納ステーションA7との間に位置される。スペーサ収集ステーションCは、タイヤビルディングマシンTBMへのビードエイペックスBの移送中に空にされた空のスペーサSを収集するようになっている。この目的のため、図15及び図16に示されるように、空のスペーサSを空のキャリア上で受ける及び/又は空のキャリア上に積み重ねるべく、空のキャリア9がスペーサ収集ステーションCに設けられてもよい。空のスペーサSを伴うキャリア9は、その後、ビードエイペックス格納システム1から取り出すために取り込みステーションLに移動されるべくキャリアグリッパ2によって係合されてもよい。
【0068】
以下、図1~18を参照して、前述のビードエイペックス格納システム1を用いて複数のキャリア9を処理するための方法について簡単に説明する。
【0069】
図1及び図2は、満杯のキャリア9、すなわち、ビードエイペックスBとスペーサSとが交互に配置された積層体を伴うキャリア9がビードエイペックス格納システム1に取り込まれる状況を示す。前記満杯のキャリア9のうちの1つが取り込みステーションL内に配置される。なお、取り込みステーションLを介して満杯のキャリア9をビードエイペックス格納システム1に取り込む代わりに、満杯のキャリア9が直接に格納ステーションA1~A8に、すなわち、前記格納ステーションA1~A8の背面を介して格納ステーションA1~A8に取り込まれてもよい。
【0070】
図3は、満杯のキャリア9と係合するためにキャリアグリッパ2が主方向Mで取り込みステーションL内へ移動されてしまった状況を示す。図4は、満杯のキャリア9が取り込まれるべき格納ステーションA4と格納方向Dで位置合わせされる位置へとキャリアグリッパ2が主方向Mで移動されてしまった状況を示す。既にそのように行なわれていない場合には、例えば図2に示されるように、満杯のキャリア9をそれぞれの格納ステーションA4の支持体12の上方のレベルまで持ち上げるべくキャリアグリッパ2が持ち上げレベルに至るまで上昇される。図5は、キャリアグリッパ上に支持された満杯のキャリア9をそれぞれの格納ステーションA4に取り込むためにキャリアグリッパ2が格納方向Dでそれぞれの格納ステーションA4内へ移動される状況を示す。前述のように、キャリアグリッパ2は、その後、満杯のキャリア9を解放するべく、例えば図7に示されるように、解放レベルHまで下げられる。
【0071】
図6は、異なる仕様、すなわち、異なる直径のビードエイペックスBの積層体を伴う幾つかのキャリア9が図1図5のステップを繰り返すことによってビードエイペックス格納システム1に取り込まれる状況を示す。この時点で、スペーサグリッパ3は、そのグリッパヘッド30が高さ方向H及び/又は積層方向Vでキャリア9のうちの1つの積層体と位置合わせされる位置へと主方向Mで移動される。図7は、前記積層体からスペーサS1、S2のうちの1つ以上を拾い上げる及び/又は持ち上げるべくスペーサグリッパ3が高さ方向H及び/又は積層方向Vで積層体に向けて移動されてしまった状況を示す。この典型的な実施形態では、スペーサグリッパ3が2つのスペーサS1、S2を積層体から同時に持ち上げる。
【0072】
図8は、1つ以上の持ち上げられたスペーサS1、S2をプラットフォーム15上、特に第1のセクション16に解放する及び/又は堆積させるべくスペーサグリッパ3が主方向Mで移送ステーションTに移動される状況を示す。図9は、スペーサグリッパ3が移送ステーションTから主方向Mで移動されてしまった又は取り除かれてしまった状況を示す。同時に又はその後直ぐに、移送ユニット6は、1つ以上のスペーサS1、S2のうちの1つ、この場合には上側位置にある第1のスペーサS1と係合するように移動されてしまっている。図10は、移送ユニット6が前記係合された第1のスペーサS1をプラットフォーム15の第2のセクション17に移動させて配置してしまった状況を示す。前記第1のスペーサS1上に支持されるビードエイペックスB1は、第1のセクション16から第2のセクション17への前記第1のスペーサS1の移動中に又は前記第1のスペーサS1を第2のセクション17に配置した後に第1のスペーサS1から分離される。その後、分離されたビードエイペックスB1は、タイヤビルディングマシンTBMに、すなわち、前記タイヤビルディングマシンTBMのそれ自体知られるビードローダに移送され、一方、空の第1のスペーサS1は第2のセクション17に残る。
【0073】
図12図13、及び、図14は、図9図10、及び、図11の前述のステップが下側位置にある第2のスペーサS2及び該スペーサ上に支持される第2のビードエイペックスB2に関してどのように繰り返されるかを示す。第2のスペーサS2は、第2のセクション17内の第1のスペーサS1の上に配置される。
【0074】
図9図14の移送ステップ中、次の移送サイクルのために更なる1つ以上のスペーサS3、S4を拾い上げるべくスペーサグリッパ3が格納ステーションA1~A8のいずれか1つに移動されてもよいことに留意されたい。特に、図14では、更なる1つ以上のスペーサS3、S4がスペーサグリッパ3によってプラットフォーム15の第1のセクション16に既に配置され、一方、前の移送サイクルからの空のスペーサS1、S2は、図15及び図16に示されるように、移送ステーションTからスペーサ収集ステーションCへいつでも移動され得る状態にある。図17は、幾つかの積層体の高さが低くなっていることを反映した幾つかの移送サイクルが行なわれてしまった状況を示す。スペーサ収集ステーションCのキャリア9は空のスペーサSで満たされてしまっており、これは、この時点で、空のスペーサSの積層体とともに取り込みステーションLに移動されてしまったキャリアグリッパ3によって実行されている。
【0075】
図19は、本発明の典型的な第2の実施形態に係る別のビードエイペックス格納システム101を示し、このシステムは、それがスペーサグリッパ103及びキャリアグリッパ102をそれぞれ別々に及び/又は独立して支持するためのスペーサグリッパベース105及びキャリアグリッパベース106を備えるという点においてのみ、前述のビードエイペックス格納システム1とは異なる。したがって、この別の実施形態のスペーサグリッパベース105及びキャリアグリッパベース106は、移送ステーションTから格納ステーションA1~A8のいずれか1つへと及び取り込みステーションLから格納ステーションA1~A8のいずれか1つへと独立して移動可能である。より具体的には、グリッパ105、106間の干渉を防止するために、スペーサグリッパベース105は、複数の格納ステーションA1~A8の第1の側で移送ステーションTから格納ステーションA1~A8のいずれか1つへ移動可能であり、また、キャリアグリッパベース106は、第1の側と反対の複数の格納ステーションA1~A8の第2の側で取り込みステーションLから格納ステーションA1~A8のいずれか1つへ移動可能である。
【0076】
この典型的な実施形態において、1つ以上のガイド110、111は、複数の格納ステーションA1~A8の第1の側に第1のガイド又はレール110を備え、複数の格納ステーションA1~A8の第2の側に第2のガイド又はレール111を備える。第1のガイド110は、移送ステーションTから格納ステーションA1~A8のいずれかに至るまで延びるだけで済む。第2のガイド111は、取り込みステーションLから格納ステーションA1~A8のいずれかに至るまで延びるだけで済む。
【0077】
図20図21、及び、図22は、前記スペーサグリッパ3が2つのスペーサS1、S2を同時に拾い上げる、2つのスペーサS1、S2と同時に係合する、及び/又は、2つのスペーサS1、S2を同時に持ち上げることができるようにするスペーサグリッパ3の想定し得る形態を示す。
【0078】
一般に、複数のスペーサ係合部材31は、それぞれの積層体の上端からそれぞれの積層体の第2のスペーサS2に至るまで又は少なくとも第2のスペーサS2に至るまでそれぞれの積層体の中央空間E内へ達するようになっている。複数のスペーサ係合部材31は、その後、図22に示されるように、それぞれの積層体の上端にあるスペーサS1とともに前記第2のスペーサS2をそれぞれの積層体から同時に持ち上げるべく前記第2のスペーサS2と係合するための係合位置へと移動可能である。それぞれの積層体の上端にあるスペーサS1は、それ自体係合される必要はない。スペーサS1は、それが前記第2のスペーサS2上に支持されているため、第2のスペーサS2と一緒に持ち上げられるだけである。
【0079】
随意的に、各スペーサ係合部材31は、それぞれの積層体の上端にある第1のスペーサS1と接触するためにグリッパヘッド30から第1の距離X1を隔てて位置する第1の要素32と、それぞれの積層体の上端から第2のスペーサS2と係合するために第1の距離X1よりも大きい第2の距離X2をグリッパヘッド30から隔てて位置する第2の要素33とを備えてもよい。第1の要素32は、積層体の中央空間E内へのスペーサグリッパ3の挿入中に積層体の残りの部分に対して第1のスペーサS1を位置合わせするために又は第2のスペーサS2に対して第1のスペーサS1を位置合わせするために使用されてもよい。
【0080】
スペーサグリッパ3の少なくとも部分的に自動化された実施形態において、ビードエイペックス格納システム1は、それぞれの積層体内のスペーサSに対する複数のスペーサ係合部材31の積層方向V及び/又は高さ方向Hにおける位置を検出するための検出器81を備える。ビードエイペックス格納システム1は、検出器81及びスペーサグリッパ3に動作可能に接続される制御ユニット82を更に備える。前記制御ユニット82は、複数のスペーサ係合部材31がそれぞれの積層体の上端から前記第2のスペーサS2に積層方向V及び/又は高さ方向Hで位置される際にそれぞれの積層体の上端から第2のスペーサS2と係合するように複数のスペーサ係合部材31を制御するようになっており、制御するように構成され、制御するように適合され、及び/又は、制御するようにプログラムされる。
【0081】
同じ原理を使用して積層体から3つ以上のスペーサを同時に持ち上げてもよいことに留意されたい。しかしながら、スペーサグリッパ3は、スペーサの積層体全体をキャリア9のうちの1つから持ち上げて移送ステーションTに搬送するようになっていない。現実的には、スペーサグリッパ3は同時に最大で4つのスペーサを持ち上げる。しかしながら、望ましい場合には、同じスペーサグリッパ3を使用して1つのスペーサのみを積層体から持ち上げてもよい。
【0082】
図20図21、及び、図22に示されるようなスペーサS1、S2の特定の形態に関しては、形態の特定の特徴を考慮に入れるべくスペーサグリッパ3の特別の形態が提案される。特に、各スペーサS1、S2が内側縁部73で終わる周壁72を画定するスペーサ本体70を備えることに留意されたい。内側縁部73は、前記スペーサS1、S2の中央開口71の内径R1を規定する。スペーサ本体70は、スペーサ係合部材31のうちの1つを受けるために内側縁部73の上方において積層方向Vで前記周壁72に係合凹部74を更に備える。前記係合凹部74は、内径R1よりも大きい係合半径R2に位置される。したがって、第2のスペーサS2の係合凹部74は、第1のスペーサS1の内側縁部73の後方に位置される。その結果、内径R1内で中央開口71を通過した後に第1のスペーサS1の内側縁部73の下方で移動及び/又は掛止して第2のスペーサS2の係合凹部74と係合できるスペーサ係合部材31が必要とされる。
【0083】
この目的のため、各スペーサ係合部材31は、図22に示されるように係合位置で積層体の上端にあるスペーサS1の内側縁部73の周囲に掛止するようになっている第1のフック部分34と、係合位置で積層体の上端から第2のスペーサS2の係合凹部74と係合するようになっている第2のフック部分35とを有するフックを備える。
【0084】
フック部分35は、図22に示されるように、スペーサ係合部材31が係合位置に到達する前に接触することなく第1のスペーサS1の内側縁部73の周囲で延びるようになっている内側輪郭36を特徴とし得る。
【0085】
図20図22に更に示されるように、この特定の例において、各スペーサS1、S2は、周壁72に剛性を与えるための複数のリブ75を備える。スペーサグリッパ部材31の第1の要素32には、前記リブ75上にわたって転動するための心出しローラ37が設けられてもよく、それにより、プロセスにおいて積層体の上端に第1のスペーサS1が位置合わせされる。このようにすると、積層体全体を心出しできる。
【0086】
各スペーサ係合部材31は、第2のスペーサS2を下方の任意の更なるスペーサSから分離するためのセパレータ部分38を更に備えてもよい。特に、セパレータ部分38は、図22に矢印で概略的に示されるように、上端の2つのスペーサS1、S2が積層体から持ち上げられている間、それが更なるスペーサSを積層方向Vで押し下げる位置へと傾けられてもよい。この典型的な実施形態において、セパレータ部分38には、セパレータ部分38が所定の位置に傾けられる際に更なるスペーサS上にわたって転動するためのセパレータローラ39が設けられる。
【0087】
図22に示されるような状況では、スペーサグリッパ3が既に積層体の下端に達してしまっている。第2のスペーサS2は、実際には、キャリアベース90、すなわち、パレット91上のスペーサ部材92である。なお、キャリアベース90には、セパレータ部分38を係合位置で受け入れるための凹部93が設けられてもよい。
【0088】
前述の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれており、本発明の範囲を限定しようとするものではないことが理解されるべきである。前述の議論から、本発明の範囲に更に包含されるであろう多くの変形が当業者に明らかとなる。
【符号の説明】
【0089】
1 ビードエイペックス格納システム
10 ガイド
12 支持体
15 プラットフォーム
16 第1のセクション
17 第2のセクション
18 支持面
19 凹部
2 キャリアグリッパ
20 フォークマウント
21 フォーク
3 スペーサグリッパ
30 グリッパヘッド
31 スペーサ係合部材
32 第1の要素
33 第2の要素
34 第1のフック部分
35 第2のフック部分
36 内側輪郭
37 心出しローラ
38 セパレータ部分
39 セパレータローラ
5 共通グリッパベース、スペーサ/キャリアグリッパベース
6 移送ユニット
60 マニピュレータベース
61 マニピュレータ
62 ロボットアーム
63 ビードエイペックスグリッパ
64 スペーサ係合ジョー
65 ビード係合ジョー
70 スペーサ本体
71 中央開口
72 周壁
73 内側縁部
74 係合凹部
75 リブ
81 検出器
82 制御ユニット
9 キャリア
90 パレット
91 ベース
92 スペーサ部材
93 ホイール
94 凹部
101 別のビードエイペックス格納システム
102 キャリアグリッパ
103 スペーサグリッパ
105 スペーサグリッパベース
106 キャリアグリッパベース
110 第1のガイド
111 第2のガイド
A1-A8 格納ステーション
B ビードエイペックス
B1 第1のビードエイペックス
B2 第2のビードエイペックス
C スペーサ収集ステーション
D 格納方向
E 中央空間
F1-F6 バッファステーション
H 高さ方向
H1 持ち上げレベル
H2 解放レベル
H3 移送レベル
L 取り込みステーション
M 主方向
R1 内径
R2 係合半径
S スペーサ
S1 第1のスペーサ
S2 第2のスペーサ
S3 第3のスペーサ
S4 第4のスペーサ
T 移送ステーション
TBM タイヤビルディングマシン
X1 第1の距離
X2 第2の距離
V 積層方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図19
図20
図21
図22