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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】粘膜下組織治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A61B18/18
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020543349
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2018016355
(87)【国際公開番号】W WO2019160235
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0018217
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519069383
【氏名又は名称】ヴィオル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ジョンジュ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538176(JP,A)
【文献】特表2007-524426(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0072379(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2001-0067637(KR,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0272153(KR,Y1)
【文献】特表2009-517102(JP,A)
【文献】特表2021-503359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - 1/44
A61B 18/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療部位の粘膜に接近可能な探針部材;
前記探針部材に備えられ、前記粘膜の粘膜下組織の血管に電気信号を印加する電極;および
前記粘膜に対して位置が固定され、前記探針部材が移動可能に収容され、前記粘膜に対する前記電極の位置を案内するガイド部材;および
前記ガイド部材に対する前記探針部材の回転および直線移動をガイドする移動ガイド部;
を含み、
前記移動ガイド部は、
前記探針部材に形成されるガイド溝;および
前記ガイド部材に形成されて、前記ガイド溝に沿ってスライディングするガイド突起;
を含む、粘膜下組織治療装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、基準位置表示部を含み、前記基準位置表示部を基準にして前記粘膜に対する前記電極の回転位置を案内する、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、
前記探針部材が回転可能に収容される第1収容ホールが形成されたガイド本体部;および
前記第1収容ホールと連通され前記探針部材が回転可能に収容される第2収容ホールが形成され、前記ガイド本体部に一体に拡張形成される拡張ガイド部;
を含む、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項4】
前記ガイド溝は、
前記探針部材の外表面にて、前記探針部材の長さ方向に沿って延長される直線ガイド溝;および
前記直線ガイド溝と連通され、前記探針部材の長さ方向に沿って相互に離隔される複数個の回転ガイド溝;
を含み、
前記複数個の回転ガイド溝は、いずれも、前記探針部材の外表面にて、前記探針部材の周縁方向に沿って延長される、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項5】
前記複数個の回転ガイド溝は、連続して隣接する第1、2及び3回転ガイド溝を含み、
前記直線ガイド溝は、
前記第1及び2回転ガイド溝の間に形成される第1区間ガイド溝;および
前記第2及び3回転ガイド溝の間に形成され、前記探針部材の長さ方向に沿って、前記第1区間ガイド溝とは互いに異なる線の上に配置される第2区間ガイド溝;を含む、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項6】
前記複数個の回転ガイド溝は、前記探針部材の長さ方向に沿った電極の長さだけ、相互に離隔される、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項7】
前記ガイド溝に形成され前記ガイド突起が、位置固定されるように収容される、複数個の拘束凹部;を含む、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項8】
前記複数個の拘束凹部は
前記回転ガイド溝に形成され、前記探針部材の周縁方向に沿って離隔される、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項9】
前記複数個の拘束凹部は、前記探針部材の周縁方向に沿った電極の長さだけ、相互に離隔される、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項10】
前記ガイド部材の端部には、前記探針部材の長さ方向に形成され、前記探針部材の周縁方向に相互に離隔される一対の切開部;が形成され、
前記ガイド突起は、前記一対の切開部によって形成されるカンチレバー(cantilever)構造における自由端に配置される、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項11】
前記探針部材に形成され、前記ガイド部材に対する前記探針部材の位置を表示する位置表示部;を含む、請求項に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項12】
前記探針部材は、
ロッド部;および
前記ロッド部の端部に形成され前記ロッド部よりも拡張された大きさを有し、前記電極が装着されるヘッド部;を含む、請求項1に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項13】
前記電極は、前記ヘッド部より小さな大きさを有し、前記ヘッド部の外表面を部分的に覆うように装着され、
前記電極の外表面は曲面に形成され、前記電気信号が前記曲面を通じて放射状(radial shape)に放出される、請求項12に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項14】
前記ヘッド部は、内部に重量体を含む、請求項12に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項15】
前記電極は、
前記探針部材に取り付けられる電極パッド;および
前記電極パッドの外表面から突出する電極突起;を含む、請求項1に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項16】
前記電極の外表面に形成され、前記電極から前記粘膜に伝達される熱伝導を抑制するコーティング層;を含む、請求項1に記載の粘膜下組織治療装置。
【請求項17】
前記電気信号は、少なくとも1回の休止期を挟んで繰り返して伝導されるパルス信号である、請求項1に記載の粘膜下組織治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜下組織治療装置に関するものであって、より詳しくは、電気信号を用いて粘膜下組織に存在する血管の処置のために使用されるとともに、施術の安全性および利便性を向上させることができる粘膜下組織治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体の粘膜とは、呼吸器官、消化器官、泌尿生殖器管などのように外部と直接に相接している中腔器官の内壁を意味する。より具体的に、身体の粘膜は、位置によって、口腔粘膜、鼻粘膜、咽喉頭粘膜、気管支粘膜、膣粘膜、亀頭粘膜、尿道粘膜、肛門粘膜などに分類できる。
【0003】
図16を参照すれば、一般に粘膜の構造は、皮膚と類似の構造を有している。外部に露出される上皮(epithelium)と固有層(lamina propria)からなる粘膜(mucosa)は、皮膚の表皮層に該当するのであり、粘膜の下方に位置する粘膜下組織(submucosa)は、皮膚の真皮層に該当する。即ち、皮膚と類似して、粘膜下組織には数多くの血管が存在し、このような血管が、粘膜および粘膜下組織に存在する細胞および細胞外成分の成長と合成に関与することとなる。
【0004】
コラーゲンは、伸縮性の良い皮膚及び粘膜において最も豊富な蛋白質であり、その機能を維持するのに必要な機械的および構造的な完全性を提供する。多くの類型のコラーゲンが存在し、コラーゲンIが最もありふれている。これは、原線維形成と呼ばれる工程で、コラーゲン繊維を形成するか、関連した原線維の形態に構造化される。他の類型のコラーゲンは、III、IV、VIIおよびVIIIである。真皮にて二番目に最も重要な蛋白質はエラスチンである。エラスチンは、原線維構造でもって取り囲まれた中心の疎水性の核を有する、不溶性弾性繊維の形態に構成される。これは、コラーゲンよりはむしろ疎水の蛋白質であるが、弾性の維持および皮膚の耐性において重要である。
【0005】
粘膜下組織または真皮における、このような細胞外結合組織は、炎症反応の結果として損傷を受け得る。老化、乾燥した環境、反復的な摩擦による物理的損傷、化学物質への露出は、粘膜および粘膜下組織の炎症反応を増加させ、細胞外基質の蛋白質分解システムを活性化させる。血管を通じて組織内に放出される食細胞が炎症を招いてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を放出することとなる。このようなMMPは、炎症過程の後にコラーゲンおよびエラスチン分子を分解させる。MMP-1はコラーゲンIおよびコラーゲンIIIを分解させる一方、MMP-12はエラスチンに対して最も活性的に分解作用を起こす。過度なコラーゲンおよびエラスチンの分解は、粘膜組織の弛緩(flaccid)および伸張を招く。
【0006】
一方、粘膜には各種疾患または異常症状が発生しうるのであり、症状に応じて適切な治療が行われ得なければならない。
【0007】
身体の粘膜異常症状の一つとして、女性の膣粘膜が伸張される膣弛緩症がある。女性の膣粘膜は伸縮性の良い組織から構成されるが、性関係と出産などが反復的に行われれば、膣粘膜が次第に伸張されることによって弾力と摩擦力が減って、収縮性が低下する。
【0008】
このように、膣粘膜の収縮性が低下すれば、性関係中に圧力と摩擦が減少して性的快楽が減少するだけでなく、尿失禁や自信感の問題にまで拡大されて心理的萎縮を経験することとなりうるのであり、このような粘膜下組織の炎症を治療するか、弛緩症状を治療することは、重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、粘膜組織内のコラーゲンおよびエラスチンの分子の分解を誘発する炎症反応および膣粘膜伸張の原因または悪化の要因になる、粘膜下組織の血管に、適切な熱損傷を与えて、原因血管の非正常的な過増殖を正常化することによって、粘膜組織の収縮性を維持させ、弾力を改善させることができる、電気信号を伝導する電極を用いた粘膜下組織治療装置を提供しようとする。
【0010】
また、粘膜組織の処置の施術の安全性を保障し、施術の便宜性を向上させるために、粘膜に対する電極の位置を正確に制御し、電極の位置制御を容易に行うことができる粘膜下組織治療装置を提供しようとする。
【0011】
また、治療対象粘膜の周辺の神経や組織の損傷および副作用を最少化することができる粘膜下組織治療装置を提供しようとする。
【0012】
また、粘膜処置施術にかかる時間を短縮し、患者の不便さを最少化することができる粘膜下組織治療装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置は、治療部位の粘膜に接近可能な探針部材;前記探針部材に備えられ、前記粘膜の粘膜下組織の血管に電気信号を印加する電極;および、前記探針部材が移動可能に収容され、前記粘膜に対する前記電極の位置を案内するガイド部材;を含む。
【0014】
前記ガイド部材は前記粘膜に対して位置が固定され、前記探針部材は前記ガイド部材に回転可能に収容されうる。
【0015】
前記ガイド部材は、基準位置表示部を含み、前記基準位置表示部を基準にして、前記粘膜に対する前記電極の位置を案内することができる。
【0016】
前記ガイド部材は、前記探針部材が貫通し前記ヘッド部よりさらに小さな直径を有する第1収容ホールが形成されたガイド本体部;および、前記ガイド本体部から遠くなるほど拡張された断面積を有するように形成されるとともに、前記第1収容ホールと連通され、前記探針部材が貫通し、前記ヘッド部よりさらに広い直径を有する、第2収容ホールが形成される拡張ガイド部;を含むことができる。
【0017】
前記探針部材は、前記ガイド部材に直線移動可能に収容されうる。
【0018】
前記ガイド部材に対する前記探針部材の回転および直線移動をガイドする移動ガイド部;をさらに含み、前記移動ガイド部は、前記探針部材に形成されるガイド溝;および、前記ガイド部材に形成されて、前記ガイド溝に沿ってスライディングするガイド突起;を含むことができる。
【0019】
前記ガイド溝は、前記探針部材の外表面にて、前記探針部材の長さ方向に沿って延長される直線ガイド溝;および、前記直線ガイド溝と連通され、前記探針部材の長さ方向に沿って相互に離隔される複数個の回転ガイド溝;を含み、前記複数個の回転ガイド溝のそれぞれは、前記探針部材の外表面にて前記探針部材の周縁方向に沿って延長されうる。
【0020】
前記複数個の回転ガイド溝は連続して隣接する第1、2及び3回転ガイド溝を含み、前記直線ガイド溝は、前記第1及び2回転ガイド溝の間に形成される第1区間ガイド溝;および前記第2及び3回転ガイド溝の間に形成され、前記探針部材の長さ方向に沿って、前記第1区間ガイド溝とは互いに異なる線上に配置される第2区間ガイド溝;を含むことができる。
【0021】
前記複数個の回転ガイド溝は、前記探針部材の長さ方向に沿った電極の長さだけ、相互に離隔されうる。
【0022】
前記ガイド溝に形成され、前記ガイド突起が位置固定されるように収容される複数個の拘束凹部;を含むことができる。
【0023】
前記複数個の拘束凹部は、前記回転ガイド溝に形成され、前記探針部材の周縁方向に沿って離隔されうる。
【0024】
前記複数個の拘束凹部は、前記探針部材の周縁方向に沿った電極の長さだけ、相互に離隔されうる。
【0025】
前記ガイド本体部の端部には、前記探針部材の長さ方向に形成され、前記探針部材の周縁方向に相互に離隔される一対の切開部;が形成され、前記ガイド突起は、前記一対の切開部によって形成される、カンチレバー(cantilever)構造の自由端に配置されうる。
【0026】
前記探針部材に形成され、前記ガイド部材に対する前記探針部材の位置を表示する位置表示部;を含むことができる。
【0027】
前記探針部材は、ロッド部;および前記ロッド部の端部に形成され、前記ロッド部よりも拡張された大きさを有し、前記電極が装着されるヘッド部;を含むことができる。
【0028】
前記電極は、前記ヘッド部より小さな大きさを有し、前記ヘッド部の外表面を部分的に覆うように装着され、前記電極の外表面は曲面に形成され、前記電気信号が前記曲面を通じて放射状(radial shape)に放出されうる。
【0029】
前記ヘッド部は、内部に重量体を含むことができる。
【0030】
前記電極は、前記探針部材に取り付けられる電極パッド;および前記電極パッドの外表面から突出する電極突起;を含むことができる。
【0031】
前記電極の外表面に形成され、前記電極から前記粘膜に伝達される熱の伝達を抑制するコーティング層;をさらに含むことができる。
【0032】
前記電気信号は、少なくとも1回の休止期を挟んで繰り返して伝導されるパルス信号であってもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明による実施形態によれば、粘膜下組織の血管に適切な熱損傷を与えて、原因血管の非正常的な過増殖を正常化して、早期に粘膜組織の収縮性を維持させ弾力を改善させることができる。
【0034】
また、粘膜処置施術の安全性を保障し、施術の利便性を向上させることができる。
【0035】
また、粘膜に対する電極の位置を、施術者が肉眼で直接に確認することができ、粘膜に対する電極の位置を正確に制御することができる。
【0036】
また、電極の位置制御を容易に行うことができる。
【0037】
また、施術者の経験および力量に大きく制約を受けることなく、客観的で専門的な治療を可能にすることができる。
【0038】
また、治療対象粘膜の周辺の神経や組織の損傷および副作用を最少化することができる。
【0039】
また、粘膜処置施術にかかる施術時間を短縮することができ、施術後副作用や患者の不便さを最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置を示した分離斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中の探針部材を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中の探針部材を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中のガイド部材を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中のガイド部材を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中のガイド部材に形成される切開部を説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中のガイド部材に形成される切開部を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置による粘膜処理過程を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置による粘膜処理過程を説明するための図である。
図11】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置による粘膜処理過程を説明するための図である。
図12】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置であって、電極の他の実施形態を説明するための図である。
図13】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置であって、電極の他の実施形態を説明するための図である。
図14】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置中のモータドライブモジュールを説明するための図である。
図15】本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置で、休止期を挟んで繰り返して伝導されるパルス信号を説明するための図である。
図16】一般的な粘膜の構造を例示的に説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0042】
図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けた。
【0043】
明細書全体で、ある部分が他の部分と“連結”されているという時、これは“直接的に連結”されている場合だけでなく、他の部材を挟んで“間接的に連結”されたことも含む。また、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0044】
明細書全体で、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“~の上に”または“~上に”あるという時、これは他の部分の“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。そして、“~の上に”または“~上に”というのは対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味しない。
【0045】
図1および図2を参照すれば、本発明の実施形態による粘膜下組織治療装置10は、治療部位の粘膜に接近可能な探針部材100と、探針部材100に備えられ粘膜下組織の血管に電気信号を印加する電極200とを含む。また、探針部材100が移動可能に収容され、粘膜に対する電極200の位置を案内するガイド部材300をさらに含むことができる。
【0046】
電極200の外表面は曲面に形成されてもよく、電気信号が曲面を通じて放射状(radial shape)に放出されうる。
【0047】
電極に印加される電気信号は、少なくとも1回の休止期を挟むようにして繰り返して伝導されるパルス信号であってもよい。追加的に、前記粘膜に対する電極200の位置を案内するガイド部材300をさらに含むことができる。
【0048】
参考として、本発明で粘膜とは、呼吸器官、消化器官、泌尿生殖器管などといった外部と直接に相接している、中腔器官の内壁を形成する、身体の多様な粘膜を含むものと定義され、粘膜の種類によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。
【0049】
より具体的に、粘膜は、鼻粘膜(nasal mucosa)、口腔粘膜(oral mucosa)、尿道粘膜(prolapsed urethral mucosa)、咽喉頭粘膜(Laryngopharyngealmucosa)、膣粘膜(vaginal mucosa)、亀頭粘膜(glandular urethra mucosa)、肛門粘膜(anal mucosa)のうちのいずれか一つであり得る。
【0050】
一例として、膣粘膜の場合、乾燥した環境、反復的な摩擦による物理的損傷、化学物質への露出は、粘膜の炎症過程を増加させ、増加された炎症過程の後に、コラーゲンおよびエラスチンの分子の分解が起こり、その結果、膣粘膜組織の弛緩および伸張がもたらされる。
【0051】
このように炎症過程の原因または悪化の要因になる血管の場合には、適切な熱損傷が加えられれば、原因血管の非正常的な過増殖が正常化できる。また、物理的損傷によって過度に生成された新生血管の数を減らすことによって膣粘膜の収縮性を維持させ弾力を改善させることができる。
【0052】
本発明の実施形態は、原因血管の非正常的な過増殖を正常化し、膣粘膜の収縮性を維持させ弾力を改善するために用意される。より具体的に、本発明の実施形態は、粘膜組織の層ごと及び組織ごとによる、組織のインピーダンス、伝導率及び誘電率の差を用い、電気的信号を、電極を通じて粘膜内に伝達させて、粘膜下組織に影響を与えることが可能な装置であり、特にインピーダンスの変化が急激に行われる血管壁と血管内部の特性を用いて血管の選択的治療が可能な装置である。
【0053】
また、本発明の実施形態は、血管に起こる熱反応の程度を調節するために、伝達する電気信号の強度を調節することができ、これによって血管組織の充血(congestion)、再生(regeneration)、リモデリング(remodeling)、増殖(growth)、再増殖(regrowth)、退化(degradation)、消滅(degeneration)などの効果のうちの所望の効果を選択的に発生させる治療装置である。
【0054】
また、本発明の実施形態は、原因または悪化要因になる粘膜下組織の血管に、適切な熱反応を起こして、非正常的な過増殖を正常化するか、原因血管の血管細胞の大食作用(phagocytosis)または細胞の自殺(apoptosis)を誘導して各治療目的での治療効果を高めるだけでなく、従来の治療法における、血管および組織に過度に熱損傷を加えて生じる副作用を減らし、除去された血管の過増殖(hyperplasia)の再形成による病変についての再発生率を低めることができる。
【0055】
具体的に、本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置10は、粘膜および粘膜下組織内に電場(Electric Field)を形成して、粘膜下組織に存在する血管を主に治療する装置である。
【0056】
即ち、粘膜および粘膜下組織内の一定の領域に均等に電場を形成し、これによって血管に熱作用が起こり、これによって各種病変を治療するものであって、これは従来の高周波治療技術が粘膜内コラーゲン生成を主目的にして粘膜組織自体を熱によって凝固させるのと異なり、組織内に特定条件の電場を形成すれば初期に血管以外の組織より血管に主に電気的信号が作用する現象を用いたものである。
【0057】
即ち、従来の高周波治療技術は粘膜内のコラーゲン生成が主目的であるので、相対的に長い伝導時間を要求するが、本発明はそれより短い伝導時間のみでも治療効果を有することができる。もちろん、伝導時間以外に、電圧、電力、粘膜内のインピーダンスなどの複合的な条件の調節が必要なことがある。また、本発明の実施形態で、血管での高い伝導度によって、粘膜内他の組織が熱凝固される前に、血管が先に熱凝固されることが可能であり、血管に選択的な凝固が起こる短い伝導時間は、主に50msec以内を意味し、さらに広くは100msec以内であり、さらに広くは300msec以内になり得る。
【0058】
一方、本発明の実施形態では、血管以外の粘膜組織に過度な熱反応が起こることを防止し、血管への熱反応を集中させるために、一定時間の休止期(delay time)を挟むようにして1回以上、反復的な伝導時間を有する電気信号である複数のパルス信号を生成することができる。
【0059】
即ち、本発明の実施形態では、休止期を置いて反復的な電気的信号を生成することによって、印加電圧を相対的に高めることができるようになることによって伝導時間を相対的に短く形成することができるようになることによって血管以外の周辺組織への影響を最少化することができるようになる。
【0060】
この際、繰り返される1回の伝導時間は、装置の様々な条件によって変わりうるのであり、毎回の伝導時間の長さが同一であってもよく、それぞれ異なってもよい。また、休止期の時間の長さも毎回異なってもよい。
【0061】
休止期が過度に短い場合(例えば、0.1msec未満の場合)には原因血管以外の組織にも熱損傷が発生しうるのであり、過度に長い場合には(例えば、500msec超過の場合)原因血管に印加される信号の連続性に影響を与えることによって原因血管での熱反応が十分に行われないことがありうる。
【0062】
これとは反対に、伝導時間(電気信号印加時間)が過度に長い場合(例えば、450msec超過の場合)には、血管以外の組織に過度な熱反応を起こしうるのであり、過度に短い場合(例えば、1msec未満の場合)は血管での熱反応が十分に行われないことがありうる。
【0063】
本発明の実施形態においては、電極に印加される電気信号が図15のようなパルス信号であって、交流パルス信号であることが直流パルス信号であることよりも熱反応を起こすのに、さらに好ましい。
【0064】
本発明の実施形態による治療装置を通じて、血管の血管細胞に適正な損傷を加える技術的原理は次の通りである。
【0065】
原因血管の内部の血液の大部分は水から構成されており、伝導率(conductivity)が高くて、電場内の電気的信号を他の粘膜内組織に比べて、最も先に強力に引き寄せるのであり、血管壁と血液との間のインピーダンスの差が激しく、血管壁の誘電率(permittivity)が高くなっており、血管壁に集中された電荷の振動による熱反応を引き起こす原理となっている。参考として、水分子とイオン物質は、電磁波の形態の電気的信号によって振動を引き起こし、振動による摩擦によって熱を発生させる。
【0066】
この際、血管の内側の境界と相接する部位の血液を通じて、電気的信号が抜け出るという現象によって、血管壁の内側は熱反応が少なく起こるようになり、流れる血液によって熱が分散して、血管壁の内層は熱反応が少なく、血管壁の外層に熱が集中されるようになる。
【0067】
このように、本発明の実施形態による治療装置は、原因血管の組織以外の周辺の粘膜組織には損傷を加えない状態で、血管壁に熱を引き起こすことが可能な治療装置である。以下の説明では、本発明の実施形態による治療装置の治療対象となる粘膜として、主に膣粘膜を例にして説明するが、これに限定されるのではない。
【0068】
図1および2に示されているように、本発明の一実施形態において、探針部材100は、施術者の操作によって粘膜に選択的に接近可能に設けられる。一例として、探針部材100は、施術者の操作によって身体内部に進入可能に設けられる。
【0069】
より具体的に、探針部材100は、ロッド部110と、ロッド部110より拡張された大きさを有するようにロッド部110の端部に形成されるヘッド部120とを含む。
【0070】
ロッド部110は、図2に示されているように、所定の長さを有する棒(rod)の形態に形成することができる。一例として、ロッド部110は、円形断面を有する直線形態の棒であってもよく、他の例としては、ロッド部が楕円形または多角形の断面形態を有するように形成することができる。また他の例としては、ロッド部を折り曲げられた形態に形成するか、2つ以上の部材を組み合わせてロッド部を構成することもできる。
【0071】
ロッド部110は、施術者が容易に把持および操作できる十分な長さおよび太さ(厚さ)を有するように形成することができるのであり、ロッド部110の長さおよび太さ(厚さ)によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。
【0072】
ヘッド部120は、ロッド部110よりも拡張された大きさを有するようにロッド部110の端部に形成され、粘膜が位置した身体内部、例えば膣内部に進入されて膣粘膜に接触されうる(図9参照)。
【0073】
ヘッド部120の形状および構造は、要求される条件および設計仕様によって多様に変更されうる。本発明の一実施形態によれば、ヘッド部120が身体内部に挿入される際の粘膜の傷を最少化することができるように、ヘッド部120の外表面は曲面の形態に形成できる。
【0074】
一例として、ヘッド部120は、楕円体の形態に形成されうる。このように、ヘッド部120を身体の入口と類似の楕円体の形態に形成することによって、身体内部に向かったヘッド部120の進入がより容易に行われ、ヘッド部120が身体内部に進入される際に患者に加えられる圧迫感を減らして、より安楽な環境にて粘膜治療を可能にするという有利な効果を得ることができる。場合によっては、ヘッド部を球の形態に形成したり、中央部が窪んだ竪杵(臼棒)の形態またはその他の幾何学的形態に形成したりすることも可能である。
【0075】
一例として、女性の平均的な膣の大きさ(直径)はおよそ35mm前後であり、他の組織に比べて相対的によく弛緩される組織であるので、ヘッド部120の幅(厚さ)は、膣の大きさを考慮して適切に選択されうるが、膣内壁に密着が容易なように30~60mmで形成されうる。ここで、膣の治療時、ヘッド部120の幅は、施術対象者の拒否感が少なく、施術者のハンドリングに最適化されるように、35~45mmで形成されるのが好ましいのでありうるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0076】
また、探針部材100には、施術者が探針部材100を容易に把持することができるようにグリップ部(図示せず)が形成されうる。ここで、グリップ部は探針部材100に一体に形成されるか選択的に分離可能に結合されうるのであり、グリップ部の装着位置は、要求される条件および設計仕様によって多様に変更されうる。
【0077】
同時に、探針部材100は、患者の衛生を考慮して、使い捨てのものとして製作されうる。また、探針部材100の反復的な使用を強制するための手段(例えば、開封防止タグ、ソフトウェア、RFID、センサーまたはステッカーなど)及び装置(例えば、視覚的警報装置または聴覚的警報装置)が、共に備えられることも可能である。場合によっては、殺菌または滅菌の処理工程を通じて探針部材を再使用することが可能でありうる。
【0078】
電極200は、粘膜(例えば、膣粘膜)に直接に接触されるのであって、電気信号を印加するようにヘッド部120に備えられる。
【0079】
ここで、電極200が粘膜に接触されて電気信号を印加するというのは、粘膜の疾患または異常症状を好転させるために、粘膜下組織の血管に電気信号を印加することと定義されるのであり、電気信号の種類および特性によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。
【0080】
一例として、電極200は、膣粘膜に無線周波数(RF)のエネルギーを印加するように構成されうる。場合によっては、電極が極超短波または超音波といった他の類型のエネルギーを印加するように構成されることも可能である。
【0081】
電極200としては、通常のモノポーラ電極200またはバイポーラ電極200が使用されうるのであり、電極200の種類によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。
【0082】
電極200は、電極を二つに分けてその中間に絶縁体を置くことによって一対の電極が形成されるか、二つ以上の複数個に分けてその間ごとに絶縁体を置くことによって、複数個の対の電極が形成されるようにして、一つの電極は(+)電極として動作し、隣接する電極は(-)電極として正極性を帯びるように構成することができる。
【0083】
また、電極200から印加される電気信号は、交流電気信号であってもよい。交流電気信号は、治療組織内の血管に熱凝固反応を効果的に誘発する特性を有する。
【0084】
他の例としては、電極から印加される電気信号が直流電気信号であってもよい。直流電気信号は、治療組織内に薬物などの物質を伝達することを助けるか、組織を破壊する特性を有する。
【0085】
電極200から印加される電気信号は、0.3~300Mhzの周波数を有することができる。一例として、電極200から印加される電気信号は0.5~10Mhzの周波数を有することができる。他の例として、電極200から印加される電気信号は0.5~3Mhzの周波数を有することができる。このように、電極200から印加される電気信号が0.3~300Mhzの周波数を有するようにすることによって、炎症過程の原因または悪化の要因になる粘膜下組織の血管に、適切な熱反応を引き起こすことができる。
【0086】
炎症過程の原因または悪化の要因になる血管は、大部分が新生血管(未成熟血管)であって、血管壁を構成する細胞間の結合が一般の正常血管に比べて緩い状態にあり、その太さが正常血管に比べて細くて、血管壁の細胞構造が軟弱で、正常血管とは異なり、相対的に、より弱い電気的磁極によっても、簡単に破壊される性向を有している。
【0087】
この際、電極200から印加される電気信号エネルギーの総量は、治療目的を達成することができるように、予め設定された値であり得る。より具体的に、治療組織(例えば、膣粘膜の上皮組織または粘膜下組織)の温度またはインピーダンス値のフィードバックを受ける制御装置を通じて、治療組織に伝導される電気信号の強度を調節することによって、予め設定された電気信号エネルギーの総量が治療組織に伝導されるようにすることができる。一例として、電気信号エネルギーの総量は、ジュール(joule)値として設定されるか、伝導時間として設定されうる。
【0088】
参考として、治療組織の温度またはインピーダンス値は、電極200に連結される温度センシングライン(またはインピーダンスセンシングライン)によって測定できる。一例として、電極200の温度センシングは、電極200の一地点で行われてもよい。場合によっては、電極の温度測定の正確度を高めることができるように、電極の互いに異なる地点にて、それぞれ電極の温度をセンシングすることも可能である。また、治療組織のインピーダンスセンシングは、電極200の温度センシング地点とは別途の地点に別途のラインを連結して行われるか、温度センシングラインまたは電気信号伝導ラインを共通に用いて行われてもよい。同様に、治療組織のインピーダンスセンシングは、電極200上にて、ただ一つの地点または複数個の地点で行われうる。
【0089】
例えば、インピーダンスセンシングで測定されたインピーダンス値は、装置の安定した作動のために特定範囲内に位置するように設定されうる。即ち、治療対象組織のインピーダンス値が過度に低い場合には、過度な電流が流れて危険であり得るのであり、反対に治療対象組織のインピーダンス値が過度に高い場合には、電気信号を印加するために非常に高い電圧が必要となるので、任意の組織に使用するに適当なインピーダンス値の設定が必要である。例えば、皮膚および皮膚と連結された粘膜組織の場合、10~300Ωに設定されたインピーダンス設定範囲で電気信号が印加されるように設定されうる。
【0090】
即ち、本発明の実施形態による粘膜下組織治療装置10は、治療組織の火傷などの副作用を防止するために、施術者が予め設定した限界組織温度を超えない条件で電気信号を制御するように構成されうる。
【0091】
また、患者が危険を感じれば装置の作動を中断させることができる応急スイッチ手段が備えられ得る。ここで、応急スイッチによって装置の作動が中断された後、温度フィードバック装置を通じて測定された、組織の温度が特定温度以下に下がった場合には、再び装置が作動するように構成されうる。
【0092】
そして、治療組織の目標温度は、42℃~45℃に設定されうる。ここで、電極200にて測定される温度と、治療組織にて測定される実際の温度とは異なりうるのであり、電極200の温度が治療組織の温度よりも3℃~5℃、より高いのでありうる。また、治療組織の表面(例えば、上皮)の温度は、深部(例えば、粘膜下組織)の温度と異なりうるので、治療組織の目標温度は深部の温度が42℃~45℃であるということをさらに含むことができる。一方、電極200の形状および大きさは、要求される条件および設計仕様によって多様に変更されうる。
【0093】
一例として、電極200は、ヘッド部120の外表面に突出した板の形態に形成されうる。ここで、電極200の外表面は曲面に形成されうるのであり、ここで、電極200の外表面は、ヘッド部120の外表面の曲面に対応する形態の曲面に形成されうる。一例として、球形の一部、即ち、球の外面の一部に対応する曲面に形成されうる。他の例として、楕円体の外面の一部に対応する曲面に形成されうる。
【0094】
図2図3および図9に示されているように、電極200の外表面は曲面に形成することによって、曲面の中央点を基準にして、放射状に均等に電気信号が放出されて、より広い部位に電場を形成させることができ、電極200と粘膜との接触による粘膜の傷を最少化し、電極200と粘膜の接触効率(隙間なく十分に接触される効率)をより高めるという有利な効果を得ることができる。
【0095】
一方、場合によっては、電極を、ヘッド部の外表面にぼこっと陥没した形態に形成することも可能である。電極が窪んだ形態に形成された構造では、電極の外表面に粘膜を吸着させるための真空圧が、電極の外表面と粘膜との間に印加されうる。
【0096】
本発明の一実施形態で、電極200は、ヘッド部120より小さな大きさで形成され、ヘッド部120の外表面を部分的に覆うように装着されうる。参考として、本発明の実施形態では、ヘッド部120にただ一つの電極200が設けられた例を挙げて説明しているが、これに限定されるのではなく、ヘッド部に複数個の電極が設けられてもよい。電極200は電気伝導性に優れ、熱伝導性に優れた材質から形成されうるのであり、電極200の材質は、要求される条件によって多様に変更されうる。一例として、電極200は、ステンレス、銅、アルミニウム、金、銀などから形成されうる。
【0097】
また、図12を参照すれば、電極200の外表面には、電極200から粘膜への熱伝導を抑制するコーティング層210が形成されうる。これは、電極200と粘膜との直接的な接触による粘膜表面の急激な温度上昇を防止し、粘膜表面の温度上昇による患者の痛みを低減させるためである。
【0098】
即ち、電極200が粘膜に直接に接触されれば、粘膜下組織の温度が目標温度まで到達しなかったにもかかわらず、患者は、粘膜表面の温度上昇による痛みを感じうるようになる。
【0099】
しかし、本発明の一実施形態によれば、電極200と粘膜表面との間にコーティング層210を設けることによって、粘膜表面での急激な温度上昇を防止しながら、粘膜下組織の温度を目標温度まで到達させることができるので、粘膜治療時に患者の痛みを最少化するという有利な効果を得ることができる。さらに、患者の痛みを最少化しながら治療時間をより増やすことができるので、治療効果をより高めるという有利な効果を得ることができる。
【0100】
コーティング層210としては、熱伝導率が低く、電気信号印加が可能な多様な材質から形成されうるのであり、コーティング層210の材質によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。一例として、コーティング層210は、シリコーン(Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane)、紙(paper)、ナイロン(Nylone)などの物質のうちの一つまたは複合で形成されうる。好ましくは、コーティング層210は、電極200から印加される電気信号が透過可能な、非常に薄い厚さ(例えば、0.1~5mm)に形成されうる。治療組織の深部に伝導される電気信号によって起こる、熱反応の最大深さは、通常、電極200の最大長さの1/2に該当するものとして知られている。したがって、電極200のある部分が治療部位に接触しても、均一な治療効果が得られるように、電極200は、横の長さと縦の長さが同一である四角形の形態に形成されうる。また、隅角部に熱反応が集中されるエッジ効果(edge effect)を防止することができるように、電極200の隅角部はラウンド(丸い形態)に形成されうる。
【0101】
電極200の大きさは、治療組織の形態と、目標にする治療深さに応じて、適切に選択されうるが、電極200の横と縦の長さを同一に形成することで、電極200と人体との接触面の面積を最大限に大きくすることができる。
【0102】
このように、電極200の横と縦の長さを同一に形成すれば、電極200の表面の抵抗値を最小に減らして、治療組織の表面の温度上昇を最少化することができるので、火傷などの副作用を最少化し、治療組織の血管にて熱反応を最大化することができる。
【0103】
一例として、本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置10が、膣粘膜下組織の血管治療のための用途に使用される場合、電極200の横の長さまたは縦の長さは、15~20mmに形成されうる。
【0104】
このように、電極200の横および縦の長さを15~20mmに形成すれば、膣粘膜表面から膣粘膜下組織の深部層までの厚さが7~10mmであるので、血管に作用する熱反応領域を、粘膜下組織の全体に均等に形成することができ、電極の大きさが、あまりにも過大とういのでなく、電極200に取り付けられる温度センシングライン(Thermo coupler)が、電極200の全体の温度を均等に反映することができる。さらに好ましくは、電極200の横の長さまたは縦の長さは16~18mmでありうる。
【0105】
電極200の厚さは、0.1~0.5mmに形成されうる。電極200の厚さが0.5mmより厚ければ、治療組織の温度と電極200の温度との間の差が大きくなるという問題点があり、温度センシングラインが電極200に取り付けられる部位と、温度センシングラインから遠く離れた部位との間の温度差が大きくなるという問題点がある。また、電極200の厚さが0.1mmより薄ければ、粘膜治療の施術時に、治療組織によって電極200に加えられる圧力によって、電極200が変形する可能性があり、治療の安全性が低下するという問題点がある。したがって、電極200の厚さは0.1~0.5mmが適当であり、好ましくは0.2~0.4mmでありうる。場合によっては、電極の横と縦の長さが互いに異なる細長い形態であってもよく、この場合にも電極は、横方向及び縦方向のいずれにも曲面の形態に形成されうる。
【0106】
一方、図13を参照すれば、本発明の他の実施形態として、電極200は、探針部材100に密着する電極パッド202と、電極パッド202の外表面に突出させて形成される電極突起204を含むことができる。
【0107】
このように、電極パッド202の外表面に電極突起204を突出させることによって、電極突起204に集中的に電気信号を印加させることができるので、治療組織について、フラクショナルに、局所部位のみ集中的に治療することで回復期間を短くし、火傷などの副作用を減らすという有利な効果を得ることができる。
【0108】
電極突起204は、要求される条件および設計仕様に応じて、半球の形態、または先がとがった柱の形態などに形成されうるが、電極突起204の形態によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。
【0109】
一方、探針部材100には、コネクタを通じて電気信号発生装置(図示せず)が連結され、電気信号発生装置が設けられた本体部(図示せず)には電源供給を安定化するパワーサプライ、および、温度、インピーダンス、電気信号強度を制御する中央制御装置(CPU)などが備えられうる。
【0110】
また、本体部には、温度センシング装置、インピーダンスセンシング装置、これら測定値を変換する演算装置またはソフトウェアプログラムが備えられうる。
【0111】
その他にも、本体部には、目標治療温度、目標治療時間、または目標電気信号エネルギーを施術者が予め設定するユーザーインターフェースが備えられうる。ユーザーインターフェースは、リアルタイムで、電極200の温度または治療組織の温度を表示するか、治療組織のインピーダンスを表示することができる。これは、施術者が、それぞれの治療組織のインピーダンス値によって、治療エネルギーを推し量ることができる診断機能を助ける。
【0112】
例えば、治療部位組織のインピーダンスが低い場合は、高い電気信号出力で短時間治療することが好ましく、治療組織のインピーダンスが高い場合は、低い電気信号出力で長時間治療することが、治療表面の火傷を予防しながら効果的な治療を行うのに有利である。
【0113】
ガイド部材300は、治療部位の粘膜に対する電極200の位置を案内するように備えられる。
【0114】
ここで、治療部位粘膜に対する電極200の位置を案内するというのは、粘膜に対して電極200がどの位置に位置しているかを、施術者に認知または特定させることであると定義される。
【0115】
これは、粘膜下組織の血管処置の施術の安全性を保障し、施術の便宜性を向上させるためである。
【0116】
即ち、治療部位粘膜に対する電極200の位置を案内する手段がない場合には、身体内部に挿入された電極200の位置を施術者が正確に認知しにくくて、粘膜の全部位を均一に治療しにくいという問題が発生し、施術特性上、施術者の経験および力量に大きく依存するため、客観的な治療が難しいという問題点が発生しうる。
【0117】
一例として、本発明の実施形態による粘膜下組織治療装置10が、膣の粘膜下組織の治療に使用される場合、膣内部に挿入された電極200の位置を正確に制御しなければ、膣粘膜に隣接した周辺の神経や組織にて、熱火傷または組織狭窄などの副作用が発生するという問題点が生じうる。
【0118】
特に、膣の円周方向に沿って、尿道が位置する12時方向を基準にして、11時方向と1時方向との間で膣粘膜に大きな深部熱が加えられれば、尿道狭窄のように取り返しのつかない副作用が発生することもありうる。
【0119】
しかし、本発明の実施形態は、ガイド部材300を媒介として粘膜に対する電極200の位置の案内を受けて、電極200の位置を制御することができ、治療対象粘膜の周辺の神経や組織の損傷および副作用を最少化しながら、治療効果を極大化するという有利な効果を得ることができる。
【0120】
また、電極200の位置を正確に認知しながら粘膜処理の施術が可能であるため、施術者の経験および力量に大きく制約を受けることなく、客観的で専門的な治療を可能にするという有利な効果を得ることができる。
【0121】
本発明の実施形態によれば、ガイド部材300は、粘膜に対して位置が固定され、探針部材100は、ガイド部材300に選択的に回転可能に収容されうる。図9には本発明の一実施形態として、膣に使用されるとともに固定装着されたガイド部材300が示されており、回転可能に設けられた探針部材100が示されている。
【0122】
このように、粘膜に対してガイド部材300の位置を固定させ、ガイド部材300に対して探針部材100が回転するようにすることによって、探針部材100に装着された電極200が膣の内部に挿入されて隠されても、施術者はガイド部材300を基準にして電極200の位置を認知することができる。
【0123】
図5に示されているように、本発明の一実施形態によれば、ガイド部材300には基準位置表示部302が形成され、基準位置表示部302を基準にして、粘膜に対する電極200の回転位置を制御することができる。
【0124】
基準位置表示部302は、ガイド部材300の外表面に、突起の形態、または陥没した凹部の形態に形成されうる。他の例として、基準位置表示部が、ラインの形態またはドットの形態などに、マーキングされるか塗色されてもよい。以下では、基準位置表示部302が、陥没した凹部の形態に、ただ一つだけ形成された例を挙げて説明する。但し、これに限定されるのではなく、ガイド部材に複数個の基準位置表示部が形成されてもよい。
【0125】
一例として、基準位置表示部302及び電極200がいずれも12時方向(12:00)に位置するように、ガイド部材300と探針部材100を配置し、膣の外部にガイド部材300を固定させた状態で、探針部材100に装着された電極200を膣の内部に挿入すれば、施術者は、基準位置表示部302を基準にして電極200が膣粘膜のどの位置に位置しているかを正確に認知することができる。
【0126】
一方、図6に示されているように、ガイド部材300は、探針部材100が回転可能に収容される第1収容ホール312が形成されたガイド本体部310と、第1収容ホール312と連通され探針部材100が回転可能に収容される第2収容ホール322が形成され、ガイド本体部310に一体に拡張形成される拡張ガイド部320とを含むことができる。
【0127】
例えば、拡張ガイド部320は、ガイド本体部310に隣接した根本端(proximal end)から先端(distal end)へと行くほど拡張された断面積を有するように形成されうる。
【0128】
言い換えれば、拡張ガイド部320は、ガイド本体部310から遠くなるほど第2収容ホール322の直径が増加する形状でありうる。たとえば、拡張ガイド部320は、ラッパの形態のように一端から他端に行くほど漸進的に拡張された断面積を有するように形成されうる。
【0129】
ここで、拡張ガイド部320の断面は円形であるか、多角形または楕円の形態に形成されうるのであり、拡張ガイド部320の形態および構造によって本発明が制限されたり限定されたりするのではない。例えば、拡張ガイド部320は、膣の入口の外側にて固定することが可能なサイズ(膣の入口の外側にて掛け止めされる大きさ)に形成されうる。
【0130】
このように、ガイド部材300は、粘膜に対する電極200の位置を施術者に認知させると共に、電極200が治療しようとする目標組織に正確に位置するようにし、治療中に電極200の位置が動くことを最少化することができるようにする。
【0131】
また、探針部材100は、ガイド部材300に挿入された状態で、ガイド部材300に対して回転するとともに、ガイド部材300の軸線方向(第1収容ホール312が形成された方向)に沿って直線移動するように構成されうる。したがって、膣の内部における円周方向に沿った電極200の移動(回転)と、膣の内部における長さ方向に沿った電極200の移動(直線移動)が可能になる。
【0132】
一方、再び図1を参照すれば、本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置10は、ガイド部材300に対する探針部材100の回転および直線移動をガイドする移動ガイド部400を含むことができる。
【0133】
ここで、ガイド部材300に対する探針部材100の直線移動をガイドするというのは、ガイド部材300に対して探針部材100が直線移動経路に沿って移動中に、直線移動経路を外れる探針部材100の移動を抑制し、探針部材100が直線移動経路に沿ってのみ移動するようにガイドすることであると定義される。
【0134】
また、ガイド部材300に対する探針部材100の回転をガイドするというのは、ガイド部材300に対する探針部材100の回転中心が外れることを抑制し、探針部材100の回転中心を一定に維持させることであると定義される。
【0135】
移動ガイド部400は、要求される条件および設計仕様に応じて、多様な方式でガイド部材300に対する探針部材100の回転および直線移動をガイドするように構成されうる。
【0136】
一例として、図1を参照すれば、移動ガイド部400は、探針部材100に形成されるガイド溝130と、ガイド溝130に沿って移動可能にガイド部材300に形成されるガイド突起330を含むことができる。
【0137】
ガイド突起330がガイド溝130に収容された状態では、ガイド突起330が、ガイド溝130の外側に移動することが抑制されるので、ガイド部材300に対する探針部材100の回転および直線移動をガイドすることができる。
【0138】
また、図2に示されているように、探針部材100には、ガイド溝130と連通されるように進入溝136が形成されうるのであり、ガイド突起330は、進入溝136を経てガイド溝130に進入される。一例として、進入溝136は、探針部材100の長さ方向に沿って直線形態に形成されうる。場合によっては、進入溝を曲線の形態に形成するか、探針部材の長さ方向に対して傾斜した形態に形成することも可能である。
【0139】
図2および3を参照するならば、本発明の一実施形態において、ガイド溝130は、探針部材100の長さ方向に沿って探針部材100の外表面に形成される直線ガイド溝132と、直線ガイド溝132と連通され探針部材100の周縁方向に沿って探針部材100の外表面に形成される回転ガイド溝134を含むことができる。
【0140】
これにより、ガイド突起330が直線ガイド溝132に沿って移動中にはガイド部材300に対する探針部材100の直線移動がガイドされ、ガイド突起330が回転ガイド溝134に沿って移動中にはガイド部材300に対する探針部材100の回転がガイドされる。
【0141】
本発明の一実施形態によれば、回転ガイド溝134は、探針部材100の長さ方向に沿って離隔されるように複数個が備えられ、複数個の回転ガイド溝134のそれぞれは、直線ガイド溝132と連通されうる。ここで、複数個の回転ガイド溝134は、探針部材100の長さ方向に沿った電極200の長さ(図3のL1)だけ離隔されてもよい。即ち、複数個の回転ガイド溝134は、探針部材100の長さ方向に沿った電極200の長さ(図3のL1)を離隔ピッチ(図11のP2)にして離隔されるように形成されうる。
【0142】
このように、探針部材100の長さ方向に沿った電極200の長さ(図3のL1)を離隔ピッチ(図11のP2)にして、複数個の回転ガイド溝134を、離隔されるように形成し、ガイド突起330が各回転ガイド溝134を段階的に経るようにすることによって、図11のように、粘膜の長さ方向による治療(例えば、H1→H1’またはH2→H2’)を行う際、治療部位が重複されるか漏れることなく、均一に治療が行われる。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、各回転ガイド溝134を経るガイド突起330の直線移動経路(MZ、ML)は、ジグザグの形態に構成されうる(図3参照)。または、各回転ガイド溝134を経るガイド突起330の直線移動経路(MZ、ML)が、連続的な直線形態に構成されうる。
【0144】
一例として、図3を参照すれば、直線ガイド溝132は、複数個の回転ガイド溝134のうちの、互いに隣接した、ある一対の間に形成される第1区間ガイド溝132aと、複数個の回転ガイド溝134のうちの、互いに隣接した、他の一対の間に形成され、探針部材100の長さ方向に沿って、第1区間ガイド溝132aと互いに異なる線の上に配置される第2区間ガイド溝132bを含むことができる。
【0145】
例えば、複数個の回転ガイド溝132は、連続して隣接配置される第1、2及び3回転ガイド溝132を含むことができ、第1及び2回転ガイド溝132の間の第1区間には第1区間ガイド溝132aが形成され、第2及び3回転ガイド溝132の間であって前記第1区間に隣接する第2区間には、第2区間ガイド溝132bが形成されるのでありうる。ここで、第1区間ガイド溝132aと第2区間ガイド溝132bとは、互いに異なる線上に配置されうる。
【0146】
このように、直線ガイド溝132を構成する、第1区間ガイド溝132aと第2区間ガイド溝132bとが、互いに異なる線上に配置されるようにすることによって、ガイド突起330は、第1区間ガイド溝132aに沿って移動した後、直ちに第2区間ガイド溝132bに進入できず、回転ガイド溝134を経た後に、はじめて、第2区間ガイド溝132bに進入できる。即ち、ガイド突起330は、第1区間ガイド溝132a→回転ガイド溝134→第2区間ガイド溝132bを経る、ジグザグの移動経路に沿って移動することとなる。
【0147】
施術者の不注意または経験不足などによってガイド部材300に対する探針部材100の直線移動が過度に行われれば、電極200による治療効率が低下し、患者にダメージを与えるという問題点が発生しうる。しかし、本発明の一実施形態は、ガイド部材300に対する探針部材100の直線移動が、それぞれの回転ガイド溝134同士が離隔された間隔だけ(ごとに)、段階的に行われるようにすることによって、治療効率を高め、治療の安全性および便宜性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0148】
他の一例として、図7を参照すれば、直線ガイド溝132は、複数個の回転ガイド溝134のうちの、互いに隣接した、ある一対の間に形成される第1区間ガイド溝132a’と、複数個の回転ガイド溝134のうちの、互いに隣接した、他の一対の間に形成され、探針部材100の長さ方向に沿って第1区間ガイド溝132a’と同一の線上に配置される第2区間ガイド溝132b’とを含むことができる。
【0149】
このように、直線ガイド溝132を構成する、第1区間ガイド溝132a’と第2区間ガイド溝132b’とが、互いに同一線上に配置されるようにすることによって、ガイド突起330は、第1区間ガイド溝132a’に沿って移動した後、第2区間ガイド溝132b’に直ちに進入できる。即ち、ガイド突起330は、第1区間ガイド溝132a’→第2区間ガイド溝132b’を経る直線移動経路に沿って移動するようになる。
【0150】
患者の状態によって粘膜の特定部位(例えば、傷の部位)には電極200による治療が行われにくい場合がある。よって、本発明の一実施形態は、ガイド部材300に対する探針部材100の直線移動が第1区間ガイド溝132a’と第2区間ガイド溝132b’で連続的に行われるようにすることによって、治療が不必要な部位にて電極200をより速かに通過させることができるので、治療時間を短縮し、治療効率を高めるとうい有利な効果を得ることができる。
【0151】
また、図2を参照するならば、本発明の一実施形態において、ガイド溝130には、ガイド突起330が収容されて一時的に拘束される拘束凹部138が形成されうる。
【0152】
一例として、拘束凹部138は、図1に拡大して示されているように、ガイド突起330について選択的に収容または引出が可能な半球形の形態に形成されうる。
【0153】
これにより、ガイド突起330が拘束凹部138に収容された場合、探針部材100に外力(施術者の操作力)が加えられることなしには、ガイド突起330の配置状態が拘束されて位置が維持される。これに対し、ガイド突起330が拘束凹部138に収容された状態にて、探針部材100に外力、例えば施術者の操作力などが加えられれば、ガイド突起330が拘束凹部138から抜け出ることとなる。
【0154】
このように、ガイド溝に拘束凹部138を形成することによって、探針部材100の操作時に施術者に操作感を感じるようにすることができ、粘膜に対する電極200の位置を視覚的に認知(例えば、基準位置表示部302を基準にして電極200の位置を認知)すると共に触覚的(ガイド突起330が拘束凹部138に収容または引き出される時に感じられる音および衝撃)に認知することができるようにする。
【0155】
一例として、拘束凹部138は図2のように複数個が備えられ、探針部材100の円周方向に沿って離隔されるようにして、回転ガイド溝134に形成されうる。ここで、拘束凹部138は、探針部材100の円周方向に沿って等間隔に離隔されるように形成されうる。また、拘束凹部138は、探針部材100の円周方向に沿った、電極200の長さ(図3のL2)だけ離隔されてもよい。即ち、拘束凹部138は、探針部材100の円周方向に沿った電極200の長さ(図3のL2)を離隔ピッチ(図11のP1)として離隔されるように形成されうる。
【0156】
このように、探針部材100の円周方向に沿った電極200の長さ(L2)を離隔ピッチ(P1)として、回転ガイド溝134に複数個の拘束凹部138を形成し、ガイド突起330がそれぞれの拘束凹部138を段階的に経るようにすることによって、図11のように、膣粘膜の円周方向に沿った治療(例えば、H1→H2→H3→H4)を行う際、治療部位が重複されたり漏れたりすることなく、均一に治療が行われる。また、拘束凹部138を通じて感知される操作感を用いて、特定部位の治療を、意図的に重複させたり漏れさせたりすることも可能である。
【0157】
より詳しくは、回転ガイド溝134の円周方向に沿って等間隔で離隔されるように複数個の拘束凹部138を形成して、探針部材100について回転操作を行うならば、施術者は、ガイド突起330が拘束凹部138を通り過ぎる時ごとに発生される操作感によって、電極200が膣粘膜の内部にてどれだけ回転したのかを知ることができる。
【0158】
たとえば、複数個の拘束凹部138は、回転ガイド溝134の円周方向に沿って60°の間隔で形成されうるのであり、探針部材100についての回転操作によって、ガイド突起330が拘束凹部138を1度通り過ぎる時ごとに発生される操作感によって、電極200が膣粘膜の内部にて60°だけ回転したのかを知ることができる。
【0159】
一方、図7および図8を参照すれば、ガイド部材300には、ガイド突起330の周辺に切開部340が形成されており、切開部340によって、一端に固定端を有し他端に自由端を有するカンチレバー(cantilever)構造が形成されることによって、ガイド突起330は、カンチレバー構造に形成されうる。
【0160】
即ち、ガイド突起330は、ガイド部材300における一対の切開部340の間に形成される、カンチレバー(cantilever)構造の自由端に配置されうる。
【0161】
一例として、ガイド本体部310の端部には、探針部材100の長さ方向に形成され、探針部材100の周縁方向に相互に離隔される、一対の切開部340が形成されうる。場合によっては、切開部340をこれとは異なる他の方向に形成することも可能である。ここで、ガイド突起330は、一対の切開部340によって形成されるカンチレバー(cantilever)構造の自由端に配置されうる。
【0162】
このように、ガイド突起330がカンチレバー構造を通じて弾性的に遊動しうるようにすることによって、ガイド溝130におけるガイド突起330の円滑な移動を保障し、拘束凹部138に対するガイド突起330の拘束および解除が、より自然に行われうる。
【0163】
また、図3を参照すれば、探針部材100には、ガイド部材300に対する探針部材100の位置を表示する、位置表示部140が形成されうる。
【0164】
ここで、ガイド部材300に対する探針部材100の位置とは、ガイド部材300に対する、探針部材100の回転位置と直線移動位置を全て含むものとして定義される。
【0165】
一例として、位置表示部140は、探針部材100の長さ方向に沿って探針部材100の外表面に形成されうるのであり、位置表示部140の位置を基準にして、粘膜に対する電極200の回転位置および直線移動位置を制御することができる。たとえば、ガイド部材300に形成された基準位置表示部302と、位置表示部140とを比較することで、電極200の回転位置を知ることができる。
【0166】
位置表示部140は、探針部材100の外表面に、ドットの形態またはラインの形態などにマーキングされるか塗色されうる。他の形態としては、位置表示部が、探針部材の外表面に、突起の形態、または陥没した凹部の形態に形成されうる。
【0167】
また、図4を参照すれば、ヘッド部120の内部には、重量体150が備えられうる。
【0168】
ここで、重量体150は、探針部材100におけるヘッド部120の重量を増加させるために、ヘッド部120に内蔵される錘(おもり)を含むことができる。
【0169】
このように、重量体150を通じて、探針部材100にてヘッド部120の重量を最も大きくすることによって、ヘッド部120を身体の内部に挿入した状態で、探針部材100の配置安全性を高め、探針部材100の操作をより容易に行うことができる。もし、探針部材100にてヘッド部120の重量が最も小さければ、ヘッド部120が身体内部に挿入された状態で、簡単に身体の外部に離脱しうるのであり、操作性が低下するという問題点が発生しうる。
【0170】
本発明の一実施形態による粘膜下組織治療装置10は、電極200が、予め決定された、粘膜の非ターゲット部位に位置すれば、電極200への電源供給を制御する制御部230を含むことができる。
【0171】
ここで、電極200への電源供給を制御するというのは、電極200への電源供給を遮断するか、減少させることを全て含むこととして定義される。
【0172】
一例として、治療部位が膣粘膜である場合、非ターゲット部位が尿道(urethra)であり得るのであり、制御部230は、電極200が非ターゲット部位に位置すれば、電極200への電源供給を中断するか減少させることができる。
【0173】
このように、電極200が尿道部位に位置すれば、電極200への電源供給を中断するか減少させることによって、尿道部位における熱火傷または組織狭窄を防止するという有利な効果を得ることができる。
【0174】
一例として、制御部230は、膣の円周方向に沿って尿道が位置する12時方向(12:00)を基準にして、11時方向(11:00)と1時方向(13:00)との間に電極200が位置することと感知すれば、電極200への電源供給を遮断することができる。
【0175】
このように、本発明の一実施形態は、12時方向(12:00)に位置している尿道の近接部位を除いて、膣粘膜下組織の血管に、電気信号によって深部熱を加えることで、血管の非正常的な過増殖を正常化することによって、膣組織の収縮性を維持させ、弾力を改善するという効果を得ることができるようにする。
【0176】
図14を参照すれば、本発明の一実施形態においては、電極を含む探針部材の回転及び前後移動について、ユーザーが予め設定した通りに自動的に作動するようにする、モータドライブモジュール500をさらに含むことができる。
【0177】
図面に図示してはいないが、本発明の他の実施形態では、電極200が複数の電極モジュールから構成されるのであり、探針部材100におけるヘッド部120全体の表面に、複数個の電極モジュールが配置されうる。このことを通じて、電気信号の伝導を、それぞれの電極モジュールに順次に行わせることによって、探針部材100の直接的な移動なしに、治療対象部位の全体を均等に治療するように構成されうる。
【0178】
参考として、前述の本発明の一実施形態では、粘膜下組織治療装置10が尿道の部位を除いた治療を目的にして使用された例を説明しているが、これに限定されるのではなく、尿道部位の任意の治療(例えば、尿失禁治療)を目的にして、尿道の近接部位である11時~1時方向を集中的に治療することも可能である。ここで、尿道部位の治療時には、電極による電気信号が、適した強度に調整されて印加されるように制御されうる。
【0179】
前述のように、本発明の多様な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0180】
10:粘膜下組織治療装置
100:探針部材
110:ロッド部
120:ヘッド部
130:ガイド溝
132:直線ガイド溝
132a、132a’:第1区間ガイド溝
132b、132b’:第2区間ガイド溝
134:回転ガイド溝
136:進入溝
138:拘束凹部
140:位置表示部
150:重量体
200:電極
202:電極パッド
204:電極突起
210:コーティング層
230:制御部
300:ガイド部材
302:基準位置表示部
310:ガイド本体部
312:第1収容ホール
320:拡張ガイド部
322:第2収容ホール
330:ガイド突起
340:切開部
400:移動ガイド部
500:モータドライブモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16