(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】液滴出力を生成するシステムおよび洗浄をモニタリングする方法
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
A61M11/00 A
(21)【出願番号】P 2020567516
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2019063707
(87)【国際公開番号】W WO2019233806
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フォン ホーレン,ディルク エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】プリチャード,ジョン ナイジェル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-140008(JP,A)
【文献】特表2013-516266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0189919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0074722(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285446(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0188634(US,A1)
【文献】国際公開第2015/010809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
洗浄のために前記本体から分離可能な液滴生成器と、
前記本体からの前記液滴生成器の分離を検出するためのセンサと、
タイマとを含む、
液滴出力を生成するシステムであって、
当該システムは、コントローラを含み、該コントローラは、
前記タイマを制御して、前記液滴生成器が前記本体から分離される分離持続時間を決定し、且つ、
前記液滴生成器の洗浄に関する当該システムのユーザへの出力のための助言情報を生成する、ように構成され、該助言情報は、前記決定される分離持続時間を考慮
し、
前記コントローラは、閾値時間期間を設定するように構成され、前記決定される分離持続時間が前記閾値時間期間よりも短いならば、正しい洗浄が行われなかったことを示す助言情報を生成するように構成されることを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記閾値時間期間は、
5分
~10分
の間である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記液滴生成器が、
当該システムの最後の使用以来、または
当該システムの設定された数の使用以来、
前記本体から分離されている、分離持続時間を決定するように構成される、
請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
用量の開始から前記液滴生成器の乾燥までの用量送達時間期間の時間を決めるための
タイミングシステムを更に含み、前記コントローラは、
前記正しい洗浄の結果としての前記用量送達時間期間
の変化を更に考慮して前記助言情報を生成するように構成される、請求項1乃至
3のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記タイミングシステムは、用量の終了を検出する乾燥検出システムと、
前記タイマとを含む、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記液滴生成器に駆動信号を提供するためのドライバを含み、前記乾燥検出システムは、前記駆動信号の特性または前記液滴生成器の電気特性をモニタリングするためのシステムを含む、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
当該システムは、振動メッシュネブライザを含み、前記液滴生成器は、
前記振動メッシュネブライザ
のメッシュを含む、請求項1乃至
6のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記
振動メッシュネブライザ
の前記メッシュは、マウスピースの一部であり、前記センサは、前記本体からの前記マウスピースの分離を検出するためのものである、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
当該システムのユーザへの出力のために前記助言情報を無線送信するための無線コンポーネントを更に含む、請求項1乃至
8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
ディスプレイを更に含み、前記助言情報は、前記ディスプレイを介して前記ユーザに出力される、請求項1乃至
8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
可聴出力を更に含み、前記助言情報は、前記可聴出力を介して前記ユーザに出力される、請求項1乃至
8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記決定される分離持続時間は、前記助言情報を生成するために使用される、請求項1乃至
11のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
液滴出力を生成するためのシステムの洗浄をモニタリングするための方法であって、
前記システムは、液滴生成器の洗浄のために分離可能な、前記液滴生成器と、本体とを含み、当該方法は、前記システムによって実装され、
当該方法は、
前記本体からの前記液滴生成器の分離を検出すること
と、
前記液滴生成器が前記本体から分離される分離持続時間を決定すること
と、
前記液滴生成器の洗浄に関する前記システムのユーザへの助言情報を生成し且つ出力すること
であって、前記助言情報は、前記決定される分離持続時間を考慮する、
生成し且つ出力することと、
閾値時間期間を設定することと、
前記決定される分離持続時間が前記閾値時間期間よりも短いならば、正しい洗浄が行われなかったことを示す助言情報を生成することと、を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項14】
前記液滴出力を生成するための動作時間を決定することを更に含み、前記助言情報を生成することは、
前記正しい洗浄の結果としての前記決定される動作時間
の変化を更に考慮する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記液滴生成器が乾燥するようになるときを決定し、それによって、前記動作時間が決定されることを可能にするために、用量送達の終了を知らせることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記システムは、振動メッシュネブライザを含み、前記液滴生成器は、
前記振動メッシュネブライザ
のメッシュを含む、請求項
13乃至
15のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記助言情報を前記システムのユーザに出力することは、前記助言情報を前記ユーザに無線送信することを含む、請求項
13乃至
16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記助言情報を前記システムのユーザに出力することは、前記助言情報を前記ユーザに表示することを含む、請求項
13乃至
16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記助言情報を前記システムのユーザに出力することは、前記助言情報に関連する音を生成することを含む、請求項
13乃至
16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記決定される分離持続時間は、前記助言情報を生成するために使用される、請求項
13乃至
19のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネブライザ(噴霧器)のような液滴出力(droplet outputs)を生成するシステムに関し、特に、適切な洗浄手順が利用されたことを検証する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー(水煙)またはミスト(噴霧)のような液滴の生成が必要とされる多くの用途がある。これらは、時間の経過と共に目詰まりするようになることがある液滴生成器を利用することがある。特に興味深い用途の1つは、エアロゾル形態における薬剤(medicament)の送達である。
【0003】
吸入中に患者の肺に薬剤をエアロゾル形態で直接送達するためのデバイスについて、3つの基本的なカテゴリー、すなわち、定量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)、およびネブライザがある。
【0004】
一般に、MDIにおける使用のために利用可能な薬剤は加圧処方で提供され、DPIにおける使用のために利用可能な薬剤は乾燥粉末処方で提供され、ネブライザにおける使用のために利用可能な薬剤は水溶液処方で提供される。
【0005】
本発明は、ネブライザにとって特に興味を有するが、液滴出力を生成するためのシステムにより広く関心を有する。それらの使用の容易さの故に、多くの患者は、エアロゾル化された薬剤を送達するためにネブライザを好む。ネブライザは、薬剤をエアロゾル化するために異なる機構を用いることがある。例えば、空圧(またはジェット)ネブライザは、液体をエアロゾル形態に分散させるために、圧縮空気または酸素を利用する。対照的に、超音波ネブライザは、高周波振動を生成する圧電素子を励起するために電源を利用する。これらの振動は、小さな液滴を薬剤の表面から分離させ、それによって、エアロゾルを形成する。振動メッシュ技術(VMT)ネブライザは、多数の微細な孔を有するメッシュを利用する。振動がメッシュ(またはネブライザ内の別のコンポーネント)内で誘発され、振動はメッシュ孔を通じて水性(aqueous-based)薬剤を押し出す。水性薬剤はエアロゾル形態でメッシュ孔から射出される。
【0006】
VMTネブライザは、患者の間で人気が高まっている。しかしながら、VMTネブライザは、幾つかの欠点を提示する。例えば、VMTネブライザによって送達される幾つかの薬剤は、ネブライザメッシュの表面に蓄積する傾向がある。この蓄積は、メッシュ内の微細な孔を閉塞し、それによって、ネブライザの有効性を低下させることがある。例えば、1つ以上の孔の完全な閉塞は、デバイスの効率を低下させることがあり、あるいは、最終的には、あらゆる薬剤が患者にディスペンス(計量分配)されるのを妨げることがある。加えて、1つ以上の孔の部分的な閉塞は、粒子サイズまたは送達時間に負の影響を及ぼすことがあり、よって、処方された療法の有益な効果を低減または排除する可能性がある。
【0007】
従って、VMTネブライザのメッシュを定期的に洗浄する必要がある。典型的なネブライザ洗浄プロトコルは、ネブライザを分解し(単独またはモジュールの一部として)メッシュを除去することを必要とする。基本的な洗浄プロトコルは、温かい石鹸水でメッシュを洗浄することを含む。然る後、メッシュを水道水で濯ぎ、空気乾燥させる。メッシュが乾燥した後に、メッシュをネブライザに再び挿入し、然る後、ネブライザを使用のために再び組み立てる。他の洗浄プロトコルも、洗浄剤を浸漬して乾燥させることによって、或いは、特定の時間に亘って水中で煮沸し、然る後、乾燥させることによって、メッシュを洗浄するために提案されている。他の洗浄プロトコルは、例えば、メッシュが高温食器洗浄機、オートクレーブ、および/または超音波洗浄機内に配置されることを必要とする。
【0008】
よって、これらの洗浄プロトコルは、典型的には、全て、少なくとも数分の持続時間を必要とする。特許文献1は、VMTネブライザのための様々な洗浄動作を開示している。
【0009】
典型的なメッシュネブライザシステムを用いた療法の投与は、迅速に行われることができるのに対し、後続の洗浄および乾燥操作は、上記で説明したように、時間がかかる。ユーザは、典型的には、定期的に(すなわち、使用後に濯いで空気乾燥風乾するために最低限として)洗浄するように或いは消毒のために上記で議論した一連の指示に従うように製造者から指示される。
【0010】
従って、ユーザが、時間または関心の欠如により、所要の分解、洗浄および再組立作業を行わないリスクがある。
【0011】
特許文献2は、使用後にデバイスが分離されないならば、洗浄を必要とすることの注意喚起を提供するネブライザを開示している。しかしながら、これは洗浄が実際に行われたかどうかを検出することを可能にしない。特許文献3は、解放可能に接続される上方部分および下方部分を有する別のネブライザを開示している。特許文献4は、特に、加熱によってエアロゾルを生成する喫煙物品(smoking article)についての、エアロゾル生成デバイスを開示している。喫煙物品がデバイスから取り出されるならば、加熱要素は洗浄体制(cleaning regime)に曝されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ネブライザの正しい動作が維持されるように、正しい洗浄が行われたかどうかを評価する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、請求項によって定義される。
【0014】
本発明の態様に従った例によれば、液滴出力を生成するシステムが提供され、システムは、本体と、洗浄のために本体から分離可能な液滴生成器と、本体からの液滴生成器の分離を検出するためのセンサと、タイマと、コントローラとを含み、コントローラは、タイマを制御して、液滴生成器が本体から分離される分離持続時間(分離時間持続)(separation time duration)を決定し、且つ、液滴生成器の洗浄に関する当該システムのユーザへの出力のための助言情報を生成する、ように構成され、助言情報は、決定される分離持続時間を考慮する。
【0015】
このシステムは、液滴発生器が洗浄のために分離されるときを検出し、その分離持続時間をモニタリングする。推奨される洗浄プロトコルが守られるためには、分離持続時間が特定の閾値よりも大きくなければならないので、正しい洗浄プロトコルが守られることができないことが決定されるときに、デバイスは警告を提供することができる。
【0016】
コントローラは、閾値時間期間を設定するように構成されてよく、決定される分離持続時間が閾値時間期間よりも短いならば、正しい洗浄が行われなかったことを示す助言情報を生成するように構成される
【0017】
閾値時間期間は、例えば、おざなりな濯ぎ洗いを行うために必要とされる時間よりも長いが、完全な推奨される洗浄プロトコルを実施するために必要とされる典型的な時間よりも短い。よって、それはおざなりな濯ぎ洗いとフルウォッシュとの間の区別を可能にする。
【0018】
閾値時間期間は、例えば、少なくとも5分、例えば、少なくとも10分である。
【0019】
コントローラは、好ましくは、液滴生成器が、当該システムの最後の使用以来、または当該システムの設定された数の使用以来、前記本体から分離されている、分離持続時間を決定するように構成される。
【0020】
よって、デバイスは、推奨される洗浄プロトコルに設定される。これは各使用後の濯ぎ洗い(リンス)であってもよいが、完全な洗浄は、一定の回数の使用後であり、或いは、それは各使用の完全な洗浄であってよい。よって、一般的に、デバイスは、使用情報および推奨される洗浄スケジュールに基づいて、推奨される洗浄プロトコルが必要とされるときをモニタリングすることが好ましい。
【0021】
デバイスは、最後に検出された完全な洗浄以来の時間をモニタリングすることもあるので、使用に拘わらず、一定の時間期間の後に、洗浄が推奨される。
【0022】
システムは、用量送達時間期間の時間を決めるためのタイマシステムを更に含んでよく、コントローラは、用量送達時間期間を更に考慮して助言情報を生成するように構成される。
【0023】
用量送達のための時間は、清浄度の状態に依存する。よって、洗浄動作の後に、用量送達時間期間に段階的変化(step change)があることが予想される。これは、デバイス分離を検出することに加えて、実際の洗浄が行われたことを決定する方法を提供する。
【0024】
タイミングシステムは、例えば、用量の終了を検出するための乾燥検出システム(dry detection system)と、タイマ(timer)とを含む。乾燥状態が検出されるまでのタイミングによって、用量送達時間が得られる。
【0025】
システムは、液滴生成器に駆動信号を提供するためのドライバ(driver)を含み、乾燥検出システムは、駆動信号の特性または液滴生成器の電気特性をモニタリングするためのシステムを含む。駆動信号は、駆動電流であってよい。これは、乾燥検出を実施するための1つの方法を提供する。
【0026】
液体試料が液滴に変換されるときを決定するために、液体レベルセンサが提供されてよい。よって、液滴送達期間の開始から、液体レベルが(全試料の送達であってもなくてもよい)固定点に達する時点まで、時間の測定(タイミング)(timing)が実施されてよい。液体レベル検出は、乾燥検出を実施するための別の方法を提供する。
【0027】
全ての場合において、液滴生成器が部分的に詰まるとき、(例えば、固定用量の薬剤の噴霧のための)液滴出力の生成は、より長い時間を要する。よって、動作時間の追加的なモニタリングは、液滴生成器の清浄度の状態の更なる指標を提供し、この追加的な情報は、洗浄助言をより正確にするために使用されることがある。
【0028】
システムは、振動メッシュネブライザを含んでよく、液滴生成器は、ネブライザメッシュを含む。その場合、液体試料は、ある用量の薬剤である。
【0029】
この場合、ネブライザメッシュは、マウスピースの一部であり、センサは、前記本体からの前記マウスピースの分離を検出するためのものである。マウスピースは、全体として洗浄プロトコルにさらされてよく、或いは、マウスピースは、更なる分解を必要とすることがある。
【0030】
ユーザに助言情報を出力することは、システム自体を介してユーザに情報を出力すること、またはシステムに対して外部のデバイスを介してユーザに情報を出力することを含んでよい。
【0031】
実施形態によれば、システムは、システムのユーザへの出力のために助言情報を無線送信するための無線コンポーネントを更に含む。例えば、無線コンポーネント、例えば、チップは、システム、例えば、スマートフォンまたはウェアラブルから外部のデバイスに助言情報を送信するように構成される。例えば、スマートフォンは、助言情報を受信し、それによって、スマートフォン上で動作するアプリが、スマートフォンのディスプレイを介して、適切な方法でユーザに助言情報を表示する。
【0032】
実施形態によれば、システムは、ディスプレイ、例えば、スクリーンを含む。その実施形態において、助言情報は、ディスプレイを介してユーザに出力される。
【0033】
実施形態によれば、システムは、可聴出力、例えば、ラウドスピーカを含む。その実施形態において、助言情報は、可聴出力を介してユーザに出力される。異なる助言情報について、異なる音が使用されてよい。このために、可聴出力は、異なる音を生成することができる。
【0034】
本発明は、液滴出力を生成するためのシステムの洗浄をモニタリングするための方法も提供し、システムは、液滴生成器の洗浄のために分離可能な、液滴生成器と、本体とを含み、当該方法は、システムによって実装され、
本体からの液滴生成器の分離を検出すること、
液滴生成器が本体から分離される分離持続時間を決定すること、および
液滴生成器の洗浄に関するシステムのユーザへの助言情報を生成し且つ出力することを含み、助言情報は、決定される分離持続時間を考慮する。
【0035】
方法は、例えば、閾値時間期間を設定すること、および、決定される分離持続時間が閾値時間期間よりも短いならば、正しい洗浄が行われなかったことを示す助言情報を生成することを含む。
【0036】
方法は、液滴出力を生成するための動作時間を決定することを含んでもよく、助言情報を生成することは、決定される動作時間を更に考慮する。
【0037】
動作時間は、液滴生成器が乾燥するようになるときを検出すること、それによって、用量送達の終了を知らせること、およびこの時点にタイミングを合わせることに基づいて得られてよい。
【0038】
実施形態によれば、システムのユーザに助言情報を出力することは、ユーザに助言情報を無線送信することを含む。例えば、情報は、ユーザに情報を出力するデバイスと通信する中間サーバに送信されてよい。代替的に、情報は、ユーザに情報を出力するデバイス、例えば、スマートフォンに直接送信されてよい
【0039】
実施形態によれば、システムのユーザに助言情報を出力することは、システムのディスプレイを介してユーザに助言情報を表示することを含む。
【0040】
実施形態によれば、システムのユーザに助言情報を出力することは、システムの可聴出力を使用して、助言情報に関連する音を生成することを含む。異なる助言情報について、異なる音が使用されてよい。
【0041】
システムは、好ましくは、振動メッシュネブライザと、ネブライザメッシュを含む液滴生成器とを含む。メッシュは、好ましくは、マウスピースの一部であり、本体からのメッシュの分離を検出することは、本体からのマウスピースの分離を検出することを含む。
【0042】
本発明は、少なくとも部分的にソフトウェアにおいて実装されてよく、よって、本発明は、コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムも提供し、コンピュータプログラムコードは、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、上記で定義する方法を実装するように構成される。
【0043】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下に記載する(複数の)実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。
【0044】
発明をより良く理解し、かつ、それがどのように実施されることがあるかをより明確に示すために、ほんの一例として、添付の図面を次に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】知られている振動メッシュネブライザを示している。
【
図2】分解図として
図1のネブライザを示している。
【
図3】本発明の例に従ったネブライザを概略形態で示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面を参照して本発明を記載する。
【0047】
詳細な記述および具体的な例は、装置、システムおよび方法の例示的な実施形態を示しているが、例示の目的のためにのみに意図されており、本発明の範囲を限定することは意図されていないことが理解されるべきである。本発明の装置、システムおよび方法のこれらおよび他の構成、態様、および利点は、以下の記述、付属の特許請求の範囲、および添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は概略的であるに過ぎず、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。同じまたは類似の部分を指し示すために、図面を通じて同じ参照番号が使用されていることも理解されるべきである。
【0048】
本発明は、液滴生成器がシステムの本体から分離される間の分離持続時間を決定する液滴生成システムを提供する。このタイミング情報は、液滴生成器の洗浄に関する助言情報を生成するために使用される。特に、洗浄プロトコルに従わなかったことが検出されたときに警告を提供することが可能である。
【0049】
本発明は、振動メッシュネブライザについて特に関心を有する。先ず、本発明に従った変形を説明する前に、振動メッシュネブライザの一般的な構成および動作を記載する。
【0050】
図1は、等角図であり、
図2は、VMTネブライザ10の分解図である。これらの画像は、特許文献1から取られている。
【0051】
ネブライザ10は、本体12の形態の下方部分と、マウスピース14の形態の上方部分とを含む。本体12は、再充電可能なバッテリパックのような電源(図示せず)と、オン/オフスイッチ16と、ディスプレイ18と、ホーンデバイス20(horn device)とを含む。本体12は、ネブライザ10の動作を制御するために使用される回路構成(図示せず)を収容する。例示的な実施形態において、回路構成は、例えば、ディスクおよび/またはメモリに格納される、命令および制御データにアクセスするように構成される、マイクロプロセッサを含む。命令は、投与量と、投与頻度と、送達されてよい投与数とを含んでよい。制御データは、薬剤(medicament)ロット番号と、使用期限とを含んでよい。マイクロプロセッサは、命令および制御データに応答してルーチンを実行するように構成される。他の回路構成と共に、ネブライザ10に、適切な投与量の薬剤を患者にディスペンス(計量分配)させる。
【0052】
マウスピース14は、本体12に取り外し可能に接続され、薬剤チャンバ22と、ガイド24と、可撓性ハウジング29と、チャンバ蓋26と、マウスピースハウジング30と含む。ホーンデバイス20は、チャンバ22の開口34に嵌合するボス32から延びる。チャンバ22は、その中に水性(aqueous-based)薬剤を保持するように構成される。チャンバ22は、ガイド24と共に、薬剤をホーンデバイス20に向ける。可撓性ハウジング29は、上面と下面とを有するメッシュ28を保持する。
【0053】
ホーンデバイス20は、本体12内に収容される回路構成(図示せず)と電気的に連通している圧電素子(図示せず)を含む。本体12のホーン20および圧電素子は、メッシュ28を振動させて、噴霧機構を形成する。より具体的には、メッシュ28の下面は、ホーン20の上面と接触する。圧電素子は、本体12内に収容される回路構成によって駆動されるときに振動するように構成される。圧電素子の往復動によって引き起こされる振動運動は、ホーン20およびメッシュ28に伝達される。振動運動は、チャンバ22内の水性薬剤がメッシュ28の多数の孔を通過するようにさせる。メッシュ28の上面にある孔から出る薬剤はエアロゾル化される。
【0054】
メッシュの孔から出た後に、エアロゾル化された薬剤は、メッシュ28の上面から開口27を通じてマウスピース14の出口に向かって進む。次に、エアロゾル化された薬剤は、患者によって吸入されることができる。
【0055】
ネブライザ10のマウスピース14は、例えば、洗浄中に、そのコンポーネントに分解されることができる。具体的には、チャンバ蓋26およびメッシュ28は、ネブライザ10の他のコンポーネントから分離されてよい。メッシュ28は、洗浄中にチャンバ蓋26内に収容されたままであってよく、且つ/或いは、メッシュ28は、チャンバ蓋26から取り外され、別々に洗浄されてよい。
【0056】
これは可能なネブライザアーキテクチャの一例に過ぎず、他のアーキテクチャが可能である。
【0057】
図3は、
図1および
図2の知られているシステムに対する追加の構成を例示するために、振動メッシュネブライザを概略的な形態で示している。
【0058】
ネブライザ10は、やはり、本体12と、ネブライザメッシュ28を含むマウスピース14とを含む。ネブライザメッシュ28は、洗浄のために本体12から分離可能である。
【0059】
具体的には、本体12からのマウスピース14の分離を検出することによって、本体12からのネブライザメッシュの分離を検出するためのセンサ40が提供される。
【0060】
センサは、マウスピースと本体とが接続されるときに電気接触が行われるように、接触センサを含んでよい。光学センサ(例えば、マウスピースが接続されるときにマウスピースからの反射を検出するためのLEDおよびフォトダイオード)または任意の他の接触センサまたは近接センサのような、他のセンサが使用されてよい。
【0061】
本体は、センサ40から情報を受信するコントローラ42を有する。コントローラは、メッシュ48のための駆動信号を生成する駆動信号生成器も含む。この駆動信号は、例えば、メッシュの共振周波数を整合するように選択される周波数を有し、この周波数は、典型的には、128kHzのような、100kHzのオーダの大きさである。駆動電流がメッシュ28に提供されて、メッシュを共振に設定する。
【0062】
コントローラ42の制御の下で時間期間を決定するために、タイマ44が使用される。タイマ44は、ネブライザメッシュ、すなわち、マウスピースが本体から分離される間の分離持続時間を測定するように作動される。実施形態によれば、次に、ディスプレイ18(および/または可聴出力、例えば、ラウドスピーカ)を使用してネブライザのユーザに出力するために、コントローラによって助言情報(advisory information)が生成される。実施形態によれば、助言情報は、ネブライザのユーザに出力するためにコントローラによって生成され、それによって、助言情報は、ユーザへの出力のために無線転送される。この出力は、ネブライザメッシュの洗浄に関する情報を提供する。特に、それは正しい洗浄が期限切れ(overdue)であることの警告(warning)および/または所要の洗浄タスクを実行するための命令(instructions)を提供する。この警告または命令は、決定される分離時間を考慮に入れる。
【0063】
実施形態によれば、システムは、助言情報を無線送信するための無線コンポーネントを含む。例えば、システムは、他のデバイス、例えば、ウェアラブルデバイスまたはスマートフォンに助言情報を送信することができる、無線チップ(wireless chip)を含む。無線コンポーネントは、1)助言情報をユーザに出力することができるデバイスに助言データを直接送信することができる、或いは、2)助言情報をユーザに出力することができるデバイスと通信する中間デバイス、例えば、サーバに助言データを送信することができる、ジグビー(登録商標)/ブルートゥース(登録商標)/wifi(または任意の他の無線プロトコル)チップであってよい。
【0064】
推奨される洗浄プロトコルが守られるために、分離時間は特定の閾値よりも大きい必要があるので、デバイスは、正しい洗浄プロトコルが守られることができないと決定されるときに、警告を提供することができる。
【0065】
閾値は、おざなりな濯ぎ洗いを行うのに必要とされる時間よりも長いが、完全に推奨される洗浄プロトコルを行うのに必要とされる典型的な時間よりも短い。よって、それはおざなりな濯ぎ洗いと完全洗浄との間の識別を可能にする。閾値時間期間は、例えば、少なくとも5分、例えば、少なくとも10分である。それは推奨される洗浄手順に依存する値に設定される。何故ならば、その手順を正しく完了するためには最小の時間期間を必要とするからである。
【0066】
モニタリングされる洗浄プロトコルは、ネブライザの使用の度に必要とされることがあるので、モニタリングは、各使用後に行われる。しかしながら、洗浄プロトコルは、代わりに、各使用後の濯ぎ洗いと、設定された数の使用後または週に一度のような設定された時間後の完全な洗浄とを必要することがある。よって、閾値は、メッシュが本体から分離される度に適用されてよく、或いはネブライザの設定された使用回数または設定された時間期間後にのみ適用されてよい。
【0067】
複数の閾値があってよい。例えば、少なくとも濯ぎ洗いが行われたことを確実にするために、各使用後に分離があることが必要とされてよい。これは短い時間閾値、例えば、1分を暗示する。次に、十分な洗浄が必要とされるときに、より長い時間閾値、例えば、10分が適用されてよい。
【0068】
例えば、管理/処置される状態に依存して、異なる洗浄プロトコルが可能である。よって、洗浄のモニタリングは、指定される洗浄プロトコルを考慮する。
【0069】
上記の範囲において、システムは、所要の洗浄手順を行われなかったことを検出することができる。所要の洗浄が実施されたことのより高い信頼性を提供するために、追加の感知が使用されてよい。
【0070】
洗浄の第1の効果は、用量送達時間(dose delivery time)が変化することである。よって、
図3は、用量送達時間を測定するためのタイミングシステム44、46を示しており、次に、コントローラ42は、実際に洗浄が行われたことを示す積極的な表示を提供する、用量送達時間を更に考慮する助言情報を生成するように構成される。
【0071】
タイミングシステム44、46は、例えば、用量(dose)が開始するときからメッシュが乾燥するときまでの時間を測定し、よって、用量の終了を検出する乾燥検出システム46を含む。上述のタイマ44は、タイミングシステム44、46の一部を形成してよい。一例において、乾燥検出システム46は、メッシュ28への駆動電流をモニタリングすることによって実現されることができる。メッシュ駆動信号は、メッシュを共振に導き、メッシュによって提示される負荷は、所要の駆動電流に影響を与える。この負荷は、メッシュの湿潤状態または乾燥状態に依存するので、用量送達の終わりにメッシュが乾いているときに、電流の変化(降下)が観察される。
【0072】
このようにして、デバイスが再接続された後に薬剤の用量を噴霧するための動作時間の変化は、メッシュが実際に洗浄されたことを反映する。動作時間はメッシュの清浄度の状態に依存することが知られており、実際には、ネブライザが正しく機能していることを検証するために、ユーザがこの時間を測定する必要があることが知られている。
【0073】
湿潤状態と乾燥状態とを区別するための駆動電流をモニタリングすることが特許文献5でより詳細に論じられている。
【0074】
完全な洗浄事象後の用量送達時間は、基礎値(ベースライン値)に戻らなければならない。よって、用量送達時間は、洗浄が行われたことを確認するためだけでなく、洗浄の有効性の指標を提供するためにも使用されてよい。
【0075】
よって、(分離時間に基づいて)洗浄が行われたように思われるとしても、(用量時間が予期される基礎値に戻らないことに基づいて或いは閾値差を用いて)洗浄が有効ではなかったことを示すために、追加の警報が提供されてよい。これはメッシュの寿命を示してよく、或いはそれは正しい洗浄プロトコルが守られなかったことを示してよい。
【0076】
現在のモニタリングは、送達された用量の終わりに乾燥メッシュを検出し、それによって、用量送達時間の測定を可能にする、1つの方法を提供する。代替的なアプローチは、液体の量をモニタリングすることであり、ユーザに送達されるべき薬物(drug)の用量または用量の一定部分が霧化されたときを決定するために、液体レベルセンサ48を提供されてよい。よって、タイミングは、用量送達の開始から、液体レベルが(全用量の送達であってもなくてもよい)固定点に達した時点まで実施されてよく、或いは、タイミングは、用量送達の開始から、メッシュへの駆動電流のモニタリング(またはインピーダンスの測のような他の電気特性のモニタリング)に基づく乾燥状態の検出まで、実施されてよい。
【0077】
液体レベルセンサは、例えば、静電容量または抵抗の変化に基づいて液体の有無を検出する用量チャンバ内の特定の場所にある液体感知電極として実装されてよい。任意の適切な液体感知またはレベル感知アプローチが使用されてよい。
【0078】
図5は、液滴出力を生成するシステムの洗浄をモニタリングする方法を示している。本方法は、
ステップ50において、本体からの液滴生成器の分離を検出すること、
ステップ52において、液滴生成器が本体から分離される間の分離時間(t
sep)を決定すること、および
ステップ54において、液滴生成器の洗浄に関連するシステムのユーザへの助言情報を生成し且つ出力することを含み、その情報は決定される分離時間を考慮に入れる。
【0079】
本方法は、例えば、ステップ56において、閾値時間(tthreshold)期間を設定すること、および、ステップ58において、液滴生成器が用量送達の終わりに乾燥したときを検出することを含む。
【0080】
本方法は、ステップ60において、液滴出力を生成する動作時間(top)を決定することも含んでよく、助言情報を生成することは、決定される動作時間を更に考慮する。
【0081】
上記の記述から明らかであるように、本方法は、好ましくは、振動メッシュネブライザによって実装され、動作時間は、固定用量(またはその比率)の液体薬剤を噴霧する時間である。
【0082】
本発明は、液滴生成器のための洗浄プロトコルを有する他の液滴生成システムに適用されてよい。例は、殺虫剤、消毒、塗装、香料供給またはスプレー冷却システムのための送達システムである。
【0083】
上記で論じたように、実施形態は、コントローラを利用する。コントローラは、所要の様々な機能を実行するために、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを用いて、様々な方法で実装されることができる。プロセッサは、所要の機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされてよい1つ以上のマイクロプロセッサを利用する、コントローラの一例である。しかしながら、コントローラは、プロセッサを利用して或いは思料しないで実装されてよく、或いは、幾つかの機能を実行するための専用ハードウェアと他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサおよび関連する回路構成)との組み合わせとして実装されてもよい。
【0084】
本開示の様々な実施形態において利用されてよいコントローラコンポーネントの例は、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0085】
様々な実装では、プロセッサまたはコントローラが、RAM、PROM、EPROM、およびEEPROMのような、揮発性および不揮発性コンピュータメモリのような、1つ以上の記憶媒体と関連付けられてよい。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサおよび/またはコントローラで実行されるときに所要の機能を実行する1つ以上のプログラムで符号化されてよい。様々な記憶媒体は、その上に格納される1つ以上のプログラムがプロセッサまたはコントローラ内にロードされることができるように、プロセッサまたはコントローラ内に固定されてよく或いは移送可能であってよい。
【0086】
当業者は、特許請求する発明を実施する際に、図面、本開示および添付の請求の範囲の研究から、本開示の実施形態に対する変更を理解し、実施することができる。特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素またはステップを除外せず、単数形の表現は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、請求項に列挙される幾つかの項目の機能を充足することがある。特定の手段が相互に異なる従属項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用し得ないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にまたはその一部として供給される光記憶媒体またはすリッドステート媒体のような適切な媒体に格納/分配されてよいが、他の形態で、例えば、インターネットまたは他の有線若しくは無線通信システムを介して分配されてもよい。請求項中の如何なる引用符号も、その範囲を限定するものと解釈されてならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【文献】米国特許出願公開第2007/0189919号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0074722号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0285446号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0188634号明細書
【文献】国際公開第2015/010809号