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  • 特許-有機EL表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220331BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220331BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220331BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220331BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220331BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 E
G03F7/004 505
G03F7/031
G03F7/004 501
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021161634
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021072704
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】小暮 健人
(72)【発明者】
【氏名】日岐 憲司
(72)【発明者】
【氏名】西田 和史
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳
(72)【発明者】
【氏名】永留 大貴
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-044410(JP,A)
【文献】特開2010-189560(JP,A)
【文献】特開2008-268739(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158606(WO,A1)
【文献】特開2009-192664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0233606(US,A1)
【文献】特開2013-195986(JP,A)
【文献】特開平11-337715(JP,A)
【文献】特開2017-167399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/12
G03F 7/004
G03F 7/031
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動素子が形成されたシリコン基板上に、有機EL層と、カラーフィルタと、を有する、有機EL表示装置であって、
前記カラーフィルタが、赤色画素と、緑色画素と、青色画素とを含む画素を有し、
前記画素の膜厚が1.5μmのときの、
前記赤色画素の分光透過率が、波長450nm~560nmの範囲における光の最大透過率が0.5%以下、50%半値波長が593nm~603nm、かつ波長600nm~700nmの範囲の光の最大透過率が80%以上100%未満であり、
前記緑色画素の分光透過率が、波長400nm~470nmの範囲における光の最大透過率が2%以下、波長525~535nmの光の最大透過率が67%以上、短波長側50%半値波長が497~507nm、かつ長波長側50%半値波長が554~581nmであり、
前記青色画素の分光透過率が、波長500nm~560nmの範囲における光の最大透過率が20%未満であり、
前記画素が、着色剤(A)と、光重合性単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、樹脂(D)とを含有する感光性着色組成物の硬化物であり、
前記赤色画素は、着色剤(A)がピグメントレッド177およびその他着色剤を含み、
前記緑色画素は、着色剤(A)がピグメントイエロー185、ピグメントグリーン36を含み、その他着色剤を含んでいてもよく、かつ緑色画素の着色剤(A)中、ピグメントイエロー185の含有量が49重量%~59重量%であり、
前記青色画素が、ピグメントブルー15:6およびその他着色剤を含み、
赤色画素において、前記その他着色剤が、ピグメントレッド254、およびピグメントイエロー139からなる群より選択される1種以上を含み、
緑色画素において、前記その他着色剤が、ピグメントブルー15:3を含み、
青色画素において、前記その他着色剤が、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、およびキサンテン系染料からなる群より選択される1種以上を含み、
前記光重合性単量体(B)が下記一般式(1)で表される化合物を含み、
光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含む、有機EL表示装置。
一般式(1)
[CH=CHC(=O)-(OC2m-OCH-CR
(一般式(1)中、mは1~3の整数を表し、nは0~2の整数を表し、複数あるm及びnは同一であっても異なってもよい。
Rは-CHCH、-CHOH、-CHO(C=O)C=CHから選ばれる置換基を表す。)
【請求項2】
前記赤色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-1)ピグメントレッド177、着色剤(A-2)ピグメントレッド254、および着色剤(A-3)ピグメントイエロー139を含有し、
前記赤色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-1)の含有量が55重量%~65重量%、
着色剤(A-2)の含有量が15重量%~25重量%、
および着色剤(A-3)の含有量が15重量%~25重量%であり、
前記緑色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-4)ピグメントイエロー185、着色剤(A-5)ピグメントグリーン36、及び着色剤(A-7)ピグメントブルー15:3から下記(I)の組み合わせにより選ばれる着色剤を含み、
(I)着色剤(A-4)、着色剤(A-5)および着色剤(A-7
記緑色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-4)の含有量が49重量%~59重量%、
着色剤(A-5)の含有量が33重量%~43重量%、
および着色剤(A-7)の含有量が3重量%~13重量%であり、
前記青色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-8)ピグメントブルー15:6、着色剤(A-9)ピグメントバイオレット23、および着色剤(A-10)キサンテン系染料を含有し、
前記青色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-8)の含有量が58重量%~64重量%、
着色剤(A-9)の含有量が12重量%~20重量%、
および着色剤(A-10)の含有量が17重量%~25重量%である、
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、光重合性単量体(B)全量に対して50重量%以上である、請求項1または2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記オキシムエステル系光重合開始剤が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1~3いずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【化1】
(一般式(2)中、Zは直接結合、又は-C(=O)-基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R~R10はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ニトロ基、又はR11-C(=O)-基を表す。R11は置換基を有してもよいアリール基を表す。)
【請求項5】
前記オキシムエステル系光重合開始剤が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1~3いずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【化2】
(一般式(3)中、W及びWはそれぞれ独立にカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表し、W及びWの少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)である。
は、炭素数2~6のアルキル基であり、Rは、炭素数4~10のアルキル基であり、Rは、少なくとも炭化水素環又は複素環を含み、更に炭素数1~4のアルキレン鎖、チオエーテル結合(-S-)、エーテル結合(-O-)、及びカルボニル結合(-CO-)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいても良い基であり、RとRとは互いに異なる置換基である。R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基である。)
【請求項6】
前記樹脂(D)が、感光性樹脂を含む、請求項1~5いずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記感光性樹脂が、末端に芳香族カルボン酸を有するビニル重合体を含む、請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記感光性着色組成物が、更に溶剤を含有し、前記溶剤がエーテルエステル溶剤と、エーテルアルコール溶剤とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や携帯情報端末などの電子機器において、現在の主流である液晶表示装置では困難であった更なる薄型・軽量化や曲面表示の要求に対応するため、自発光素子である有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を用いた表示装置の開発・量産化が進んでいる。その中でも、薄型・軽量化の特徴を活かすため、ヘッドマウントディスプレイ、電子ビューファインダなどの高精細かつ0.5インチ程度の小型ディスプレイ(以下、マイクロディスプレイと称する)への応用が期待されている。
【0003】
有機ELディスプレイの表示方式には、白色発光層を製膜し、カラーフィルタを用いてRGB等の色表現をする方式と、RGB等それぞれの色を発光する発光層を蒸着させ色表現する方式の大きく2つの方式がある。マイクロディスプレイは、画素が微細であるため、RGBの発光層を選択的に製膜する方法は非常に困難な状況となっている。そのため、白色発光層にカラーフィルタを用いる方式がマイクロディスプレイには積極的に採用されている。
【0004】
マイクロディスプレイは前述のとおり、画素サイズが1μm~5μmと微細であるため、従来から採用されている有機EL素子とカラーフィルタを別々の基板に作製し貼り合せる方式では、精度が下がり、色ズレが生じてしまう。そのため、有機EL素子上にカラーフィルタを形成する方式が提案されている。
【0005】
カラーフィルタは、インクジェット方式やフォトリソグラフィー法等の製造方法があるが、微細な画素形成が可能なフォトリソグラフィー法の採用進んでいる。しかしながら、有機発光層は耐熱性が低いため、有機EL素子上にカラーフィルタを形成するには、低温で焼成する必要がある。具体的には、従来のフォトリソグラフィー法では230℃と非常に高温で焼成していたが、100℃程度での焼成が必要となる。しかしながら、着色画素の焼成温度を下げると、硬化が不十分となり、次工程の画素形成時に、塗工した着色組成物に含まれる溶剤による着色画素の剥がれや表面荒れといった問題が発生してしまう。一方で、露光量を上げた場合においては、着色画素に含まれる架橋性分の反応が進行し、硬化は進行するものの、任意のサイズの画素形成することは非常に困難であった。
【0006】
前記問題点を解決するため、例えば特許文献1ではエポキシ基を含有するアルカリ可溶性樹脂と硬化剤としてアミン化合物を含有する着色組成物を用いることにより低温での硬化性を上げる手法が提案されている。しかし、着色組成物中にアミン化合物を添加することにより、カラーフィルタとしての透過率を低下させる恐れがある。また、特許文献2では、オキセタン化合物と熱重合開始剤として過酸化物骨格を持つベンゾフェノン系化合物を用いることにより、低温で硬化させる手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-063745号公報
【文献】特開2003-255531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の特許文献1及び2において硬化温度は150℃であり、有機EL素子の耐熱性を考慮すると、更なる低温硬化性が求められている。また、高い色再現性を達成するためには着色剤の配合によってカラーフィルタの分光透過率を制御し、さらに薄膜化するためには着色剤濃度を高める必要がある。特許文献1及び2の手法では、着色剤濃度が高い場合、光硬化性が不足しパターニングするだけの充分な感度を出すことが非常に困難であり、微細画素を形成する際に画素の直線性が低下したり(画素直線性不良)、現像工程で画素が剥がれたりする(密着性不良)などの問題があった。また、使用できる着色剤が限られているなどの問題があった。
【0009】
本発明は上記課題を考慮し、高輝度かつ高色再現性を有し、着色剤濃度が高くても現像工程での画素密着性が良好で画素直線性の良好なカラーフィルタを有する有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る有機EL表示装置は、
駆動素子が形成されたシリコン基板上に、有機EL層と、カラーフィルタと、を有する、有機EL表示装置であって、
前記カラーフィルタが、赤色画素と、緑色画素と、青色画素とを含む画素を有し、
前記画素の膜厚が1.5μmのときの、
前記赤色画素の分光透過率が、波長450nm~560nmの範囲における光の最大透過率が0.5%以下、50%半値波長が593nm~603nm、かつ波長600nm~700nmの範囲の光の透過率が80%以上100%未満であり、
前記緑色画素の分光透過率が、波長400nm~470nmの範囲における光の最大透過率が2%以下、波長525~535nmの光の最大透過率が67%以上、短波長側50%半値波長が497~507nm、かつ長波長側50%半値波長が554~581nmであり、
前記青色画素の分光透過率が、波長500nm~560nmの範囲における光の最大透過率が20%未満であり、
前記画素が、着色剤(A)と、光重合性単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、樹脂(D)とを含有する感光性着色組成物の硬化物であり、
前記赤色画素は、着色剤(A)がピグメントレッド177およびその他着色剤を含み、
前記緑色画素は、着色剤(A)がピグメントイエロー185およびその他着色剤を含み、かつ緑色画素の着色剤(A)中、ピグメントイエロー185の含有量が49重量%~59重量%であり、
前記青色画素が、ピグメントブルー15:6およびその他着色剤を含み、
前記その他着色剤が、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー139、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン58、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、およびキサンテン系染料からなる群より選択される1種以上を含み、
前記光重合性単量体(B)が下記一般式(1)で表される化合物を含み、
光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含む。
一般式(1)
[CH=CHC(=O)-(OC2m-OCH-CR
(一般式(1)中、mは1~3の整数を表し、nは0~2の整数を表し、複数あるm及びnは同一であっても異なってもよい。
Rは-CHCH、-CHOH、-CHO(C=O)C=CHから選ばれる置換基を表す。)
【0011】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、
前記赤色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-1)ピグメントレッド177、着色剤(A-2)ピグメントレッド254、および着色剤(A-3)ピグメントイエロー139を含有し、
前記赤色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-1)の含有量が55重量%~65重量%、
着色剤(A-2)の含有量が15重量%~25重量%、
および着色剤(A-3)の含有量が15重量%~25重量%であり、
前記緑色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-4)ピグメントイエロー185、着色剤(A-5)ピグメントグリーン36、着色剤(A-6)ピグメントグリーン58、及び着色剤(A-7)ピグメントブルー15:3から下記(I)~(III)の組み合わせにより選ばれる着色剤を含み、
(I)着色剤(A-4)、着色剤(A-5)および着色剤(A-7)
(II)着色剤(A-4)、着色剤(A-6)および着色剤(A-7)
(III)着色剤(A-4)、着色剤(A-5)、着色剤(A-6)および着色剤(A-7)
前記緑色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-4)の含有量が49重量%~59重量%、
着色剤(A-5)および着色剤(A-6)の合計含有量が33重量%~43重量%、
および着色剤(A-7)の含有量が3重量%~13重量%であり、
前記青色画素を構成する硬化物が、着色剤(A-8)ピグメントブルー15:6、着色剤(A-9)ピグメントバイオレット23、および着色剤(A-10)キサンテン系染料を含有し、
前記青色画素における着色剤(A)中、
着色剤(A-8)の含有量が58重量%~64重量%、
着色剤(A-9)の含有量が12重量%~20重量%、
および着色剤(A-10)の含有量が17重量%~25重量%である。
【0012】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、光重合性単量体(B)全量に対して50重量%以上である。
【0013】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記オキシムエステル系光重合開始剤が、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0014】
【化1】
(一般式(2)中、Zは直接結合、又は-C(=O)-基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R~R10はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ニトロ基、又はR11-C(=O)-基を表す。R11は置換基を有してもよいアリール基を表す。)
【0015】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記オキシムエステル系光重合開始剤が、下記一般式(3)で表される化合物である。
【0016】
【化2】
(一般式(3)中、W及びWはそれぞれ独立にカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表し、W及びWの少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)である。
は、炭素数2~6のアルキル基であり、Rは、炭素数4~10のアルキル基であり、Rは、少なくとも炭化水素環又は複素環を含み、更に炭素数1~4のアルキレン鎖、チオエーテル結合(-S-)、エーテル結合(-O-)、及びカルボニル結合(-CO-)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいても良い基であり、RとRとは互いに異なる置換基である。R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基である。)
【0017】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記樹脂(D)が、感光性樹脂を含む。
【0018】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記感光性樹脂が、末端に芳香族カルボン酸を有するビニル重合体を含む。
【0019】
上記有機EL表示装置の一実施形態は、前記感光性着色組成物が、更に溶剤を含有し、前記溶剤がエーテルエステル溶剤と、エーテルアルコール溶剤とを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高輝度かつ高色再現性を有し、着色剤濃度が高くても現像工程での画素密着性が良好で画素直線性の良好なカラーフィルタを有する有機EL表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本有機EL表示装置の、模式的な断面図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る有機EL表示装置について説明する。
なお本発明において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明において、「50%半値波長」とは、400nmから700nmの波長領域において分光透過率が50%となるときの波長(nm)を表す。「短波長側50%半値波長」は短波長(400nm)から測定を開始して長波長側にスキャンしたときに分光透過率がはじめて50%となるときの波長(nm)を表し、「長波長側50%半値波長」は長波長(700nm)から測定を開始して短波長側にスキャンしたときに分光透過率がはじめて50%となるときの波長(nm)を表す。
「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0023】
本発明に係る有機EL表示装置(以下、本有機EL表示装置ともいう)は、
駆動素子が形成されたシリコン基板上に、有機EL層と、カラーフィルタと、を有する、有機EL表示装置であって、
前記カラーフィルタが、赤色画素と、緑色画素と、青色画素とを含む画素を有し、
前記画素の膜厚が1.5μmのときの、
前記赤色画素の分光透過率が、波長450nm~560nmの範囲における光の最大透過率が0.5%以下、50%半値波長が593nm~603nm、かつ波長600nm~700nmの範囲の光の透過率が80%以上100%未満であり、
前記緑色画素の分光透過率が、波長400nm~470nmの範囲における光の最大透過率が2%以下、波長525~535nmの光の最大透過率が67%以上、短波長側50%半値波長が497~507nm、かつ長波長側50%半値波長が554~581nmであり、
前記青色画素の分光透過率が、波長500nm~560nmの範囲における光の最大透過率が20%未満であり、
前記画素が、着色剤(A)と、光重合性単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、樹脂(D)とを含有する感光性着色組成物の硬化物であり、
前記赤色画素は、着色剤(A)がピグメントレッド177およびその他着色剤を含み、
前記緑色画素は、着色剤(A)がピグメントイエロー185およびその他着色剤を含み、かつ緑色画素の着色剤(A)中、ピグメントイエロー185の含有量が49重量%~59重量%であり、
前記青色画素が、ピグメントブルー15:6およびその他着色剤を含み、
前記その他着色剤が、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー139、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン58、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:6、ピグメントバイオレット23、およびキサンテン系染料からなる群より選択される1種以上を含み、
前記光重合性単量体(B)が下記一般式(1)で表される化合物を含み、
光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含む。
一般式(1)
[CH=CHC(=O)-(OC2m-OCH-CR
(一般式(1)中、mは1~3の整数を表し、nは0~2の整数を表し、複数あるm及びnは同一であっても異なってもよい。
Rは-CHCH、-CHOH、-CHO(C=O)C=CHから選ばれる置換基を表す。)
【0024】
上記本有機EL表示装置は、カラーフィルタの画素が、上記特定の感光性着色組成物の硬化物であるため、有機EL層上にカラーフィルタを形成した場合であっても、有機EL層への熱の影響を抑制することができ、高輝度かつ高色再現性を有し、画素直線性に優れ、高品位な有機EL表示装置を得ることができる。
また、本有機EL表示装置は、カラーフィルタが上記特定の分光特性を有する画素を用いることで、xy色度図における、R(赤)、G(緑)、B(青)、を結んだ色三角形により規定される領域の面積が広がり、色再現域の広い(即ち高色再現性)の表示装置となる。
以下、本有機EL表示装置について、まず画素形成用の感光性着色組成物を説明し、次いで、有機EL表示装置の構成について説明する。
【0025】
[感光性着色組成物]
上記カラーフィルタの各画素は、着色剤(A)、光重合性単量体(B)、光重合開始剤(C)、及び樹脂(D)を含む感光性着色組成物の硬化物である。当該感光性着色組成物は、前記光重合性単量体(B)が少なくとも一般式(1)で表される化合物を含み、光重合開始剤(C)が少なくともオキシムエステル系光重合開始剤を含むことを特徴とする。これにより、高輝度かつ高色再現性を有し、着色剤濃度が高くても現像工程での画素密着性が良好で画素直線性の良好な画素が得られる。
感光性着色組成物は、少なくとも着色剤(A)、光重合性単量体(B)、光重合開始剤(C)、及び樹脂(D)を含有するものであり、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。以下各成分の詳細について説明する。
【0026】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、カラーフィルタの画素を後述する特定の分光特性が得られるように色調を調節するものであり、所定の画素の色味に応じて、公知の顔料及び染料の中から、適宜選択して用いることができる。
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも好適に用いることができる。また、本感光性着色組成物は、低温硬化性に優れているため、顔料と比較して耐熱性の低い染料であっても好適に用いることができる。
【0027】
無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いることが好ましい。
染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもよい。
【0028】
着色剤(A)は、発色性が高く、耐熱性に優れ、特に耐熱分解性に優れる点から、顔料を含むことが好ましく、有機顔料がより好ましい。
以下、色ごとにより具体的に着色剤(A)について説明する。
【0029】
(赤色画素用着色剤)
本有機EL表示装置は、赤色画素用着色剤として、C.I.ピグメントレッド177(着色剤(A-1)ともいう)とその他着色剤とを組み合わせて用いる。ピグメントレッド177と、その他着色剤とを組み合わせることで、画素の膜厚を1.5μmとしたときの赤色画素の分光透過率を、波長450nm~560nmの範囲における光の最大透過率が0.5%以下、50%半値波長が593nm~603nm、かつ波長600nm~700nmの範囲の光の透過率が80%以上100%未満に調整しやすくなる。
【0030】
赤色画素用着色剤におけるその他着色剤としては、赤色顔料、橙色顔料、又は、黄色顔料が好ましい。その他着色剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記赤色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などが挙げられる。
【0032】
上記橙色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61等が挙げられる。
【0033】
上記黄色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などが挙げられる。
【0034】
赤色画素用のその他着色剤としては、画素の分光透過率を所定の範囲とし、高輝度かつ高色再現性を有し、画素直線性に優れる点から、中でも、ピグメントレッド254(着色剤(A-2))、およびピグメントイエロー139(着色剤(A-3))が好ましい。
着色剤(A-1)、(A-2)、(A-3)を組み合わせて用いる場合、着色剤(A)中、着色剤(A-1)の含有量を55重量%~65重量%、着色剤(A-2)の含有量を15重量%~25重量%、着色剤(A-3)の含有量を15重量%~25重量%とすることが好ましい。
【0035】
(緑色画素用着色剤)
本有機EL表示装置において緑色画素用着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185(着色剤(A-4)ともいう)とその他着色剤とを組み合わせ、着色剤(A)中のピグメントイエロー185の含有量を49重量%~59重量%として用いる。ピグメントイエロー185と、その他着色剤とを上記比率で組み合わせることで、画素の膜厚を1.5μmとしたときの緑色画素の分光透過率を、波長400nm~470nmの範囲における光の最大透過率が2%以下、波長525~535nmの光の最大透過率が67%以上、短波長側50%半値波長が497~507nm、かつ長波長側50%半値波長が554~581nmに調整しやすくなる。
【0036】
緑色画素用着色剤におけるその他着色剤としては、緑色顔料、黄色顔料、又は青色顔料が好ましい。その他着色剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
上記緑色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63などが挙げられる。
【0038】
上記青色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などが挙げられる。
【0039】
また、黄色顔料の具体例は、上記赤色画素用着色剤において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0040】
緑色画素用のその他着色剤としては、画素の分光透過率を所定の範囲とし、高輝度かつ高色再現性を有し、画素直線性に優れる点から、中でも、ピグメントグリーン36(着色剤(A-5))、ピグメントグリーン58(着色剤(A-6))、ピグメントブルー15:3(着色剤(A-7))が好ましい。
【0041】
緑色画素用の着色剤(A)の組み合わせとしては、下記(I)~(III)の組み合わせが更に好ましい。
(I)着色剤(A-4)、着色剤(A-5)および着色剤(A-7)
(II)着色剤(A-4)、着色剤(A-6)および着色剤(A-7)
(III)着色剤(A-4)、着色剤(A-5)、着色剤(A-6)および着色剤(A-7)
【0042】
着色剤(A-4)、(A-5)、(A-6)、(A-7)を組み合わせて用いる場合、着色剤(A)中、着色剤(A-4)の含有量を49重量%~59重量%、着色剤(A-5)のおよび着色剤(A-6)の合計含有量を33重量%~43重量%、着色剤(A-7)の含有量を3重量%~13重量%とすることが好ましい。
【0043】
(青色画素用着色剤)
本有機EL表示装置は、青色画素用着色剤として、ピグメントブルー15:6(着色剤(A-8)ともいう)とその他着色剤とを組み合わせて用いる。ピグメントブルー15:6とその他着色剤とを組み合わせることで、画素の膜厚を1.5μmとしたときの青色画素の分光透過率を、波長500nm~560nmの範囲における光の最大透過率が20%未満に調整しやすくなる。
【0044】
青色画素用着色剤におけるその他着色剤としては、青色顔料、紫色顔料、又はキサンテン系染料が好ましい。その他着色剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
上記紫色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などが挙げられる。
【0046】
青色顔料の具体例は、上記緑色画素用着色剤において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0047】
キサンテン系染料は、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料のいずれかの形態であってもよく、更に、レーキ顔料として用いてもよい。
【0048】
キサンテン系塩基性染料は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化して用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
【0049】
キサンテン系酸性染料は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることができる。キサンテン系酸性染料の造塩化合物、及びキサンテン系酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、色相及び耐性に優れているために好ましく、さらに、キサンテン系酸性染料を四級アンモニウム塩で造塩化した化合物、及びキサンテン系酸性染料をスルホンアミド化したスルホン酸アミド化合物を用いることがより好ましい。
【0050】
また、キサンテン系色素の中でも、ローダミン系色素は発色性、耐性にも優れている点で好ましい。
【0051】
キサンテン系油溶性染料の具体例としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などが挙げられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
【0052】
キサンテン系塩基性染料の具体例としては、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)等が挙げられる。中でも発色性に優れる点から、C.I.ベーシックレッド1、C.I.ベーシックバイオレット10が好ましい。
【0053】
キサンテン系酸性染料の具体例としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9が挙げられる。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9がより好ましく、更に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点から、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが好ましい。
【0054】
キサンテン系酸性染料は、含窒素化合物との造塩化合物としてもよく、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化し、酸性染料の造塩化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。酸性染料は、スルホンアミド化によっても高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができる。
また、酸性染料と、オニウム塩基を有する化合物との造塩化合物であってもよく、なかでも、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂であることにより、明度及び耐性に優れた着色組成物とすることが出来る。
【0055】
一級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリドデシルアミン、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アリルアミン等の脂肪族不飽和1級アミン、アニリン、ベンジルアミン等が挙げられる。
【0056】
二級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等の脂肪族不飽和2級アミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジココアルキルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。
【0057】
三級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
【0058】
キサンテン系酸性染料の場合、当該酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(a)として用いてもよい。以下に、酸性染料のカウンタ成分としての四級アンモニウム塩化合物について説明する。四級アンモニウム塩化合物(a)は、アミノ基を有することで酸性染料のカウンタになるものである。
【0059】
造塩化合物のカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物の好ましい形態は、無色、又は白色を呈するものである。ここで無色、又は白色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400~700nmの全波長領域において、透過率が95%以上、好ましくは98%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち染料成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものであることが好ましい。
【0060】
四級アンモニウム塩化合物のカチオン成分であるカウンタ部分の分子量は190~900の範囲であることが好ましい。分子量が190よりも小さいと耐光性、耐熱性が低下してしまい、さらに溶剤への溶解性が低下してしまい得る。また分子量が900よりも大きくなると分子中の発色成分の割合が低下してしまい、発色性が低下し、明度も低下してしまい得る。より好ましくはカウンタ部分の分子量が240~850の範囲である。特に好ましいのは、カウンタ部分の分子量が350~800の範囲である。ここで分子量は構造式を基に計算を行ったものであり、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Nの原子量を14とした。
【0061】
四級アンモニウム塩化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0062】
【化3】
(一般式(5)中、R31~R34は、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基又はベンジル基を示し、R31~R34の少なくとも2つ以上が、炭素数が5~20個である。X1-は無機又は有機のアニオンを表す。)
【0063】
31~R34の少なくとも2つ以上の炭素数を5~20個とすることで、溶剤に対する溶解性が良好なものとなる。炭素数が5より小さいアルキル基が3つ以上になると溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗膜異物が発生しやすくなってしまう。また炭素数が20を超えてしまうアルキル基が存在すると造塩化合物(a)の発色性が損なわれてしまう。
【0064】
1-は、無機又は有機のアニオンであればよく、ハロゲンであることが好ましく、好ましくは塩化物イオン(アニオン)である。
【0065】
四級アンモニウム塩化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、ジアルキル(アルキルがC14~C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)等が挙げられる。
【0066】
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、例えば花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB-50等、ライオン社製のアーカード210-80E、2C-75、2HT-75、2HTフレーク、2O-75I、2HP-75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT-75(ジアルキル(アルキルがC14~C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
【0067】
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂)
キサンテン系酸性染料の場合、酸性染料と側鎖にカチオン性基を有する樹脂とからなる造塩化合物(a’)として用いてもよい。当該造塩化合物(a’)を得るための、側鎖にカチオン性基を有する樹脂について説明する。
造塩化合物を得るための側鎖にカチオン性基を有する樹脂としては、側鎖に少なくとも1つのオニウム塩基を有するものであれば、特に制限はないが、好適なオニウム塩構造としては、入手性等の観点からは、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、及びホスホニウム塩であることが好ましく、保存安定性(熱安定性)を考慮すると、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩であることがより好ましい。さらに好ましくはアンモニウム塩である。
【0068】
造塩化合物(a’)を含有する感光性着色組成物を調製し、カラーフィルタとしての特性を発現させる場合は、感光性着色組成物を構成するバインダー樹脂と同種の樹脂を使用することが好ましい。感光性着色組成物のバインダー樹脂としてアクリル系樹脂を用いる場合、造塩化合物(a’)を得るための側鎖にカチオン性基を有する樹脂はアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0069】
側鎖にカチオン性基を有する樹脂としては、下記一般式(6)で表わされる構造単位を含むアルカリ樹脂が好ましい。一般式(6)中のカチオン性基が、キサンテン系酸性染料のアニオン性基と塩形成することで、造塩化合物を得ることができる。
【0070】
【化4】
(一般式(6)中、R41は水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R42~R44は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を表し、R42~R44のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R45-、-COO-R45-を表し、R45はアルキレン基を表す。X2-は無機又は有機のアニオンを表す。)
【0071】
41におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基が特に好ましい。
【0072】
41で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
【0073】
上記の中でも、R41としては、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0074】
42~R44におけるアルキル基としては、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル及びn-オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル、2-エチルヘキシル及び1,1,3,3-テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1~8のアルキル基である。
【0075】
42~R44におけるアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び2-メチル-2-プロペニル等)、シクロアルケニル基(2-シクロヘキセニル及び3-シクロヘキセニル等)が挙げられる。該アルケニル基としては、炭素数2~18のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2~8のアルケニル基である。
【0076】
42~R44におけるアリール基としては、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9-オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9-オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
【0077】
42~R44で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。該置換基としては、中でも、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が特に好ましい。
【0078】
42~R44としては、安定性の観点から置換されていてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基が更に好ましい。
【0079】
また、R42~R44のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。
【0080】
一般式(6)中、ビニル部位とアンモニウム塩基を連結するQの成分はアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R45-、-COO-R45-を表し、R45はアルキレン基を表すが、中でも、重合性、入手性の理由から、-CONH-R45-、-COO-R45-であることが好ましい。また、R45がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
【0081】
当該樹脂の対アニオンを構成する一般式(6)中におけるX2-の成分は、無機又は有機のアニオンであればよい。対アニオンとしては、公知のものが制限なく採用でき、具体的には、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン、さらには、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオンのような錯体イオン等が挙げられる。合成適性や安定性の点からは、ハロゲンイオン及びカルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンが最も好ましい。対アニオンがカルボン酸イオン等の有機酸イオンである場合は、樹脂中に有機酸イオンが共有結合し、分子内塩を形成していてもよい。
【0082】
側鎖にカチオン性基を有する樹脂中に、オキセタン基を導入する1つの方法は、オキセタン構造を含有するエチレン性不飽和単量体を、一般式(6)で表されるカチオン性基に対応するエチレン性不飽和単量体と共重合する方法である。オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(3-メチル-3-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3-ブチル-3-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3-ヘキシルチル-3-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(宇部興産社製)、OXE-10、OXE-30(以上、大阪有機化学工業社製)などが挙げられる。
【0083】
(塩形成)
酸性染料と、含窒素化合物又は側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物は、従来知られている方法により製造することができる。特開平11-72969号公報などに具体的な手法が開示されている。キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、キサンテン系酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでキサンテン系酸性染料中のスルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH4)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶剤である。
【0084】
また、造塩化合物は、一般式(6)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、酸性染料とを溶解させた水溶液を攪拌又は振動させるか、あるいは一般式(6)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液と酸性染料の水溶液とを攪拌又は振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアンモニウム基と酸性染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、及び酸性染料は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
また、その他の酸性染料においても、キサンテン系染料と同様の手法で、含窒素化合物又は側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物を得ることができる。
【0085】
(スルホン酸アミド化合物)
酸性染料は、スルホン酸アミド化合物と、アニオン性染料とを反応させて得られたスルホン酸アミド化合物であってもよい。
酸性染料に好ましく用いることのできる酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、-SOH、-SONaを有する酸性染料を常法によりクロル化して、-SOHを-SOClとし、この化合物を、-NH基を有するアミンと反応して製造することができる。
また、スルホンアミド化において好ましく使用できるアミン化合物としては、具体的には、2-エチルへキシルアミン、ドデシルアミン、3-デシロキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、シクロへキシルアミン等を用いることが好ましい。
【0086】
キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、C.I.アシッドレッド289を3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合は、C.I.アシッドレッド289をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド289のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、C.I.アシッドレッド52を3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合も、C.I.アシッドレッド52をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド52のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
【0087】
青色画素用のその他着色剤としては、画素の分光透過率を所定の範囲とし、高輝度かつ高色再現性を有し、画素直線性に優れる点から、中でも、ピグメントバイオレット23(着色剤(A-9))、又はキサンテン系染料(着色剤(A-10))が好ましい。
【0088】
着色剤(A-8)、(A-9)、(A-10)を組み合わせて用いる場合、着色剤(A)中、着色剤(A-8)の含有量を58重量%~64重量%、着色剤(A-9)の含有量を12重量%~20重量%、着色剤(A-10)の含有量を17重量%~25重量%とすることが好ましい。
【0089】
上記各色の着色剤に共通して、顔料を用いる場合には、微細化することが好ましい。顔料の微細化方法は公知の方法の中かから適宜選択でき、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法などが挙げられ、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。
【0090】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0091】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1000質量部用いることが最も好ましい。
【0092】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0093】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部の範囲であることが好ましい。
【0094】
顔料の一次粒子径は、担体中での分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いカラーフィルタを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25~85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行う。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とする。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とする。
【0095】
<光重合性単量体(B)>
光重合性単量体(B)は、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を含み、必要に応じてさらに他の光重合性単量体を含んでいてもよいものである。
一般式(1)
[CH=CHC(=O)-(OC2m-OCH-CR
(一般式(1)中、mは1~3の整数を表し、nは0~2の整数を表し、複数あるm及びnは同一であっても異なってもよい。
Rは-CHCH、-CHOH、-CHO(C=O)C=CHから選ばれる置換基を表す。)
【0096】
一般式(1)で表される化合物を用いることにより、基材との密着性と、レジストパターンの解像性が両立できる。
【0097】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
また、他の光重合性単量体としては、公知の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
他の光重合性化合物は、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0099】
感光性着色組成物中の全固形分に対する光重合性単量体(B)の含有割合は、5~40質量%であることが好ましい。上記範囲とすることで、微細パターンを形成する場合の剥がれがなく、且つ、パターンのテーパー部が長く引き伸ばされることを抑制し、高精細な微細画素パターンを形成することが可能となる。さらに、光重合性単量体(B)に含まれる前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、光重合性単量体(B)全量に対して50~100質量%であることが好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、現像時の基板に対する塗膜密着性や薬品耐性に優れるものとなる。
【0100】
<光重合開始剤(C)>
本有機EL表示装置において、光重合開始剤(C)は、オキシムエステル系光重合開始剤を含み、必要に応じてさらに他の光重合開始剤を含んでいてもよいものである。オキシムエステル系光重合開始剤を含有する感光性着色組成物は、紫外線照射硬化性を有し、溶剤現像性又はアルカリ現像性を有する感光性着色組成物とすることができる。そのため、当該感光性着色組成物によれば、フォトリソグラフィー法により画素を形成することができる。また、前記オキシムエステル系光重合開始剤を用いることにより、色特性及び耐薬品性に優れ、パターニング性も良好な感光性着色組成物となる。
【0101】
オキシムエステル系光重合開始剤は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の開裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがある。本感光性着色組成物は、高い量子効率を持つオキシムエステル系光重合開始剤を含有するため、着色剤が高濃度の場合でも優れた硬化性を有する。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、中でも、下記一般式(2)~(4)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられ、下記一般式(2)又は(3)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤が好ましく、一般式(2)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤がより好ましい。
【0102】
(一般式(2)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤)
【0103】
【化5】
(一般式(2)中、Zは直接結合、又は-C(=O)-基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、R~R10はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ニトロ基、又はR11-C(=O)-基を表す。R11は置換基を有してもよいアリール基を表す。)
【0104】
~R10における炭素数1~20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など、直鎖アルキル基が挙げられる。
~R11におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。
なお、Zが直接結合とは、Zが原子を有さず、一般式(2)中でZと接続している2つの原子が直接結合していることを示す。
【0105】
前記アルキル基及びアリール基が有してもよい置換基とは、当該アルキル基又はアリール基が有する水素原子の代わりに置換基を有してもよいことを表す。当該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基;フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
また、これらの置換基は1個以上あるいは1種以上存在することができ、さらにこれらの置換基の水素原子がさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0106】
一般式(2)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤は、中でも、Zが直接結合、又は-C(=O)-基であり、Rが、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基であり、Rが、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R~R10はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有しても良いアリール基、ニトロ基、又はR11-CO-基であることが好ましい。中でも、R~R及びR~R10が水素原子であって、Rが水素原子、又はR11-CO-基であり、R11が、置換基を有しても良いアリール基であることがより好ましい。
【0107】
一般式(2)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、中でも、下記化学式(2-1)又は(2-2)で表わされる化合物が好ましい。
【0108】
【化6】
【0109】
【化7】
【0110】
(一般式(3)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤)
【0111】
【化8】
(一般式(3)中、W及びWはそれぞれ独立にカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表し、W及びWの少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)である。
は、炭素数2~6のアルキル基であり、Rは、炭素数4~10のアルキル基であり、Rは、少なくとも炭化水素環又は複素環を含み、更に炭素数1~4のアルキレン鎖、チオエーテル結合(-S-)、エーテル結合(-O-)、及びカルボニル結合(-CO-)から選択される少なくとも1種の2価の連結基を含んでいてもよい基であり、RとRとは互いに異なる置換基である。R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基である。)
【0112】
におけるアルキル基は、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、などの直鎖アルキル基が挙げられる。
におけるアルキル基としては、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの直鎖アルキル基が挙げられる。
における炭化水素環としては、シクロヘキシル基などの脂肪族炭化水素環、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などの芳香族炭化水素環などが挙げられる。また、Rにおける複素環としては、上記炭化水素環の炭素原子の1つ又は2つ以上が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子に置き換わった環が挙げられる。
また、R及びRにおけるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、等の直鎖アルキル基が挙げられる。
【0113】
一般式(3)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、中でも、下記化学式(3-1)で表わされる化合物が好ましい。
【0114】
【化9】
【0115】
(一般式(4)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤)
【0116】
【化10】
(一般式(4)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R25は、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はR26-CO-基であり、R26は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は複素環基である。)
【0117】
21~R26における炭素数1~20のアルキル基は、前記R~R10における炭素数1~20のアルキル基と同様のものとすることができる。
21~R26におけるアリール基は、前記R~R11におけるアリール基と同様のものとすることができる。
26の複素環基における複素環としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、キノリン、フタラジン、キノキサリン等が挙げられる。
また、アルキル基及びアリール基が有してもよい置換基は、前記一般式(2)における置換基と同様のものとすることができる。
【0118】
一般式(4)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤は、R21が置換基を有してもよいアリール基であり、R22が置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基であり、R23及びR24が水素原子であり、R25が水素原子、又はR26-CO-基であることが好ましい。
【0119】
一般式(4)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、中でも、下記化学式(4-1)で表わされる化合物が好ましい。
【0120】
【化11】
【0121】
(他の光重合性開始剤)
また、光重合性開始剤(C)は、更に他の光重合性開始剤を含有してもよい。他の光重合性開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
光重合性開始剤の市販品としては、アセトフェノン系化合物としては、全てBASFジャパン社製で「IRGACURE 907」(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、「IRGACURE 369」(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン)、「IRGACURE 379」2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ホスフィン系化合物としては、全てBASFジャパン社製で「IRGACURE 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)、「IRGACURE TPO」(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)などが挙げられる。
【0122】
光重合開始剤(C)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対し、0.5~50質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から1~30質量部であることがより好ましい。光重合開始剤(C)が1質量部以上であれば、基材との密着性に優れている。また、光重合開始剤(C)が30質量部以下であれば、解像性に優れている。
【0123】
[増感剤]
感光性着色組成物は、さらに、増感剤を含有してもよい。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトンなどの不飽和ケトン類;ベンジルやカンファーキノンなどの1,2-ジケトン誘導体;ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素;アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0124】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が挙げられる。
【0125】
また、増感剤の市販品としては、「KAYACURE DETX-S」(2,3-ジエチルチオキサントン 日本化薬社製)、「EAB-F」(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 保土ヶ谷化学工業社製)などが挙げられる。
その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0126】
増感剤を使用する際の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤(C)100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量部であることがより好ましい。
【0127】
<樹脂(D)>
本感光性着色組成物は、樹脂(D)を含有する。樹脂(D)は、厚さ2μmの被膜を形成したときに400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上となる透明樹脂が好ましく、前記透過率は95%以上が好ましい。樹脂(D)は、熱可塑性樹脂及び感光性樹脂から選択される1種以上が好ましい。また、樹脂(D)はアルカリ可溶性を有することが好ましい。これにより感光性着色組成物から形成する被膜をフォトリソグラフィー法でパターニングできる。アルカリ可溶性を有しない感光性樹脂、およびアルカリ可溶性樹脂は、熱硬化性基を有していてもよい。前記熱硬化性基は、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
【0128】
樹脂(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。樹脂(D)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。適量含有すると被膜を容易に形成できる上、良好な色特性が得やすい。
【0129】
アルカリ可溶性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0130】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂はアルカリ可溶性を有しないものを含んでいてもよい。アルカリ可溶性を有しない熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0131】
<アルカリ可溶性感光性樹脂>
アルカリ可溶性感光性樹脂は、重合性不飽和基を有するため感光性を有する。アルカリ可溶性感光性樹脂は、アルカリ可溶性があり、感光性を有すれば良く、公知の樹脂を使用できるところ、以下の方法(i)(ii)で合成した樹脂が好ましい。アルカリ可溶性感光性樹脂は、を使用すると光照射で3次元架橋して架橋密度が上がるため、被膜の薬品耐性が向上する。
【0132】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基含有単量体を付加し、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてアルカリ可溶性感光性樹脂を得る方法が挙げられる。なお、モノカルボキシル基含有単量体は、カルボキシル基を1有する単量体である。
【0133】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい
【0134】
モノカルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0135】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、酸無水物を形成しないカルボキシル基を有しても良い。
【0136】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0137】
また、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0138】
方法(ii)は、例えば、水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、およびそれ以外の単量体を合成し重合体を作製する。次いで、前記重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させてアルカリ可溶性感光性樹脂を合成する方法が挙げられる。
【0139】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0140】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0141】
上記単量体以外に使用できる単量体は、上記方法(i)で例示したその他単量体に加え、リン酸エステル基含有単量体等が挙げられる。
【0142】
リン酸エステル基含有単量体は、例えば、水酸基含有単量体の水酸基に、5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物である。
【0143】
樹脂(D)の上記原料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。また、樹脂(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0144】
樹脂(D)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。成膜性及び諸耐性が良好なことから、20質量部以上が好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、400質量部以下が好ましい。
【0145】
樹脂(D)の重量平均分子量(Mw)は、2,000~40,000が好ましく、3,000~30,000がより好ましく、4,000~20,000がさらに好ましい。Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。なお、Mnは、数平均分子量である。
【0146】
樹脂(D)の酸価は、50~200mgKOH/gが好ましく、70~180mgKOH/gがより好ましく、90~170mgKOH/gがさらに好ましい。適度な酸価によりアルカリ溶解性、密着性、残渣抑制を高度にバランス取りできる。
【0147】
<任意成分>
本感光性着色組成物は、着色剤(A)、光重合性単量体(B)、光重合開始剤(C)、及び樹脂(D)のほか、必要に応じて他の成分を含有してもよい。以下、感光性着色組成物に含まれ得る各成分について説明する。
【0148】
(熱硬化性化合物)
感光性着色組成物は、熱硬化性化合物を含有してもよい。これによりカラーフィルタを作製する際、被膜をフォトリソグラフによりパターンを形成した後の加熱工程で架橋密度が向上するため耐熱性が向上する。また、加熱工程で着色剤(A)が凝集し難くなるため、コントラスト比がより向上する。
【0149】
熱硬化性化合物は、低分子化合物やポリマー(熱硬化性樹脂)であり分子量で制限されない。本発明において熱硬化性樹脂は、熱硬化性化合物に含まれるものとする。
熱硬化性化合物は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。
【0150】
((エポキシ化合物))
エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0151】
エポキシ化合物の市販品は、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上、商品名;油化シェルエポキシ社製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学社製)、EPPN-501H、502H(商品名;日本化薬社製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、EPPN-201(商品名;日本化薬社製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020(以上は商品名;日本化薬社製)、セロキサイド2021、EHPE-3150(以上商品名;ダイセル化学工業社製)、デナコールEX-211、212、252、313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622、711、721、(以上は商品名;ナガセケムテックス社製)、TEPIC-L,TEPIC-H、TEPIC-S(日産化学工業社製)等が挙げられる。
【0152】
エポキシ化合物の含有量は、着色剤(A)100質量に対し、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。適量配合すると被膜の耐熱性、およびパターン形状がより向上する。
【0153】
((オキセタン化合物))
オキセタン化合物は、オキセタン基を有する化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0154】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
市販品は、大阪有機化学工業社製OXE-10、OXE-30、東亞合成社製OXT-101、OXT-212等が挙げられる。
【0155】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル-3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
市販品は、宇部興産社製OXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121、OXT-221等が挙げられる。
【0156】
オキセタン基が3官能以上であるものとしては、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0157】
オキセタン化合物の含有量は、0.5~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。適量を含有すると被膜の耐溶剤性がより向上する。
【0158】
((メラミン化合物))
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、低分子化合物や高分子量化合物が含まれる。本明細書でメラミン化合物は、メラミン環に、メチロール基またはエーテル基が結合した化合物が好ましい。メラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基の結合数は、平均5.0以上が好ましい。適度な結合数を有すると被膜の耐溶剤性がより向上し、コントラスト比が低下し難くなる。
【0159】
メラミン化合物の市販品は、例えば、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MS-001、MX-002、MX-730、MX-750、MX-708、MX-706、MX-042、MX-45、MX-500、MX-520、MX-43、MX-417、MX-410(三和ケミカル社製)、サイメル232、235、236、238、285、300、301、303、350、370(日本サイテックインダストリーズ社製)等が挙げられる。
【0160】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45(三和ケミカル社製)サイメル232、235、236、238、300、301、303、350(日本サイテックインダストリーズ社製)は、被膜の架橋密度がより向上する面で好ましい。
【0161】
熱硬化性化合物を用いる場合当該熱硬化性化合物の合計のの含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。成膜性及び諸耐性が良好なことから、20質量部以上が好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、400質量部以下が好ましい。
【0162】
(酸化防止剤)
本感光性着色組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤は、光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、画素の透過率を高くすることができる。
【0163】
「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、又は、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
【0164】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤が好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、又はリン系酸化防止剤がより好ましい。
【0165】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ビス[(ラウリルチオ)メチル]-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,2’チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0166】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′-4,7-テトラキス[4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用してもよい。
【0167】
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-フォスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用してもよい。
【0168】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ビス[(ラウリルチオ)メチル]-o-クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用してもよい。
【0169】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等が挙げられる。
【0170】
ベンゾフェノン系酸化防止剤として、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5スルフォベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用してもよい。
【0171】
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4-ビス(アリル)-6-(2-ヒドロキシフェニル)1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用してもよい。
【0172】
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用してもよい。
【0173】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0174】
また酸化防止剤の含有量は、明度及び感度の点から、感光性着色組成物の全固形分中、0.5~5.0質量%が好ましい。
【0175】
(密着向上剤)
感光性着色組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有してもよい。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
【0176】
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
【0177】
(レベリング剤)
感光性着色組成物には、当該組成物のレベリング性を向上するため、レベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。ポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有割合は、着色組成物の全固形分中、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0178】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0179】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0180】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0181】
(硬化剤、硬化促進剤)
また感光性着色組成物は、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤を含有してもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.01~15質量部が好ましい。
【0182】
(貯蔵安定剤)
本感光性着色組成物は、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有してもよい。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100質量部に対し、0.1~10質量部の量で用いることができる。
【0183】
(溶剤)
感光性着色組成物は、溶剤を含有してもよい。これにより感光性着色組成物の粘度調整が容易になるため、表面が平滑な被膜を形成し易い。溶剤は、使用目的に応じて適宜選択し、適量を含有すれば良い。
【0184】
溶剤は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0185】
前記エステル溶剤は、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0186】
エーテル溶剤としては、水酸基を有さないエーテル溶剤と、エーテルアルコール溶剤(分子内に-OHと-O-を含む溶剤)が挙げられる。エーテルアルコール溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル溶剤は、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
本感光性着色組成物は、これらの中でもエーテルアルコール溶剤を含むことが当該感光性着色組成物の相溶性と塗布性の観点から好ましい。
【0187】
エーテルエステル溶剤は、例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート等が挙げられる。
【0188】
ケトン溶剤は、例えば、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0189】
アルコール溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0190】
芳香族炭化水素溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
【0191】
アミド溶剤は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0192】
これらの中でも塗布性、乾燥性の面で1atmにおける沸点が120℃以上245℃以下の溶剤が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール等がさらに好ましい。
【0193】
またこれらの溶剤は、感光性着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の塗膜を形成できることから、感光性組成物の固形分100質量部に対して、200~900質量部の量で用いることが好ましく、300~570質量部の量で用いることがより好ましい。感光性着色組成物の粘度は2.4~7.2mPa・sが好ましく、3.4~6.4mPa・sがより好ましい。
【0194】
更に本有機EL表示装置の感光性着色組成物において、溶剤は、エーテルアルコール溶剤とエーテルエステル溶剤を併用することが好ましい。上記溶剤の併用により、感光性着色組成物から形成する画素の表面のひび割れを抑制し、平滑性が向上する。なお、これらの溶剤の沸点は、140℃以上245℃以下が好ましい。
中でも、エーテルアルコール溶剤は、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノールが好ましい。
また、中でも、エーテルエステル溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチルが好ましい。
【0195】
溶剤として、エーテルエステル溶剤と、エーテルアルコール溶剤を併用する場合、エーテルエステル溶剤の割合は、感光性着色組成物の固形分100質量部に対して、250~600質量部が好ましく、300~450質量部がより好ましい。また、エーテルアルコール溶剤の割合は、感光性着色組成物の固形分100質量部に対して、2.5~100質量部が好ましく、5~45質量部がより好ましい。上記範囲内とすることで、画素の平滑性が更に向上し、ひび割れをより抑制できる。
【0196】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度及び粘度安定性が良好になる。
【0197】
((色素誘導体))
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報、特開2001-335717号公報、特開2003-128669号公報、特開2004-091497号公報、特開2007-156395号公報、特開2008-094873号公報、特開2008-094986号公報、特開2008-095007号公報、特開2008-195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0198】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
【0199】
((樹脂型分散剤))
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0200】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、又はAnti-Terra-U、203、204、又はBYK-P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon-WS又はBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0201】
((界面活性剤))
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0202】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0203】
(チオール系連鎖移動剤)
また感光性着色組成物は連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、チオール系連鎖移動剤が好ましい。チオール系連鎖移動剤は、光重合開始剤と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性着色組成物の感度が向上する。
【0204】
チオール系連鎖移動剤は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましく、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると被膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0205】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種以上を併用して使用できる。
【0206】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、着色組成物の全固形分中0.5~10%が好ましく、1~8%がより好ましい。適量含有するとテーパー形状、シワ、膜縮率、光感度およびパターン形状がより向上する。
【0207】
[感光性着色組成物の製造方法]
感光性着色組成物の製造方法は、例えば、まず、着色剤分散体を調製し、次いで、光重合性単量体と、光重合開始剤と、必要に応じて用いられる他の成分とを添加する方法などが挙げられる。
着色剤分散体は、例えば、着色剤を、バインダー樹脂などの着色剤担体及び/又は有機溶剤中に、好ましくは分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散することで調製できる。着色剤(A)が2種以上の着色剤を含む場合、複数ある着色剤を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色剤分散液を調製した後に混合してもよい。また、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する有機溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0208】
<粗大粒子の除去>
本感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.3μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0209】
<<有機EL表示装置>>
次に有機EL表示装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、本有機EL表示装置の、模式的な断面図である。本有機EL表示装置10は、駆動素子が形成されたシリコン基板1上に、有機EL層2と、カラーフィルタとを有するものであり、必要に応じて、当該カラーフィルタ3上に、さらに封止層4やカバーガラス5を有してもよく、また、有機EL層2とカラーフィルタ3との間に平坦層(プレーナー)を有してもよい(図示せず)。
以下、有機EL表示装置の各構成の詳細について説明する。
【0210】
[カラーフィルタ]
カラーフィルタ3は、有機EL層上に形成され、少なくとも赤色画素と、緑色画素と、青色画素とを備えている(3a、3b、3c)。当該画素が前述の感光性着色組成物の硬化物である。カラーフィルタは、さらにマゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素、又はその他の画素を有するものであってもよい。
【0211】
<カラーフィルタの製造方法>
カラーフィルタは、有機EL層2上に、又は、必要に応じて設けられた平坦層上に形成される。平坦層を設けることにより有機EL層の微細な凹凸面を平坦化することができる。
平坦層は、公知の硬化性樹脂を用いることができ、紫外線硬化型樹脂が好ましく、必要に応じては熱硬化型樹脂を併用してもよい。前記紫外線硬化型樹脂としては特に限定するものではないが、i線(波長365nm)に感度を示すアクリル系樹脂が好ましい。
【0212】
カラーフィルタを構成する画素の形成方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法とすることができる。
まず、前述した感光性着色組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて有機EL層又は平坦層に塗布して、塗膜を形成する。
次いで、必要に応じて前記塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、光重合性単量体や感光性樹脂を光重合反応させて、硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整すればよい。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。前記感光性組成物は、低温硬化性を有するため、100℃以下の加熱処理であっても十分に硬化することができる。
【0213】
カラーフィルタを構成する画素の膜厚は、0.5μm~2.0μm、より好ましくは1.0~2.0μmである。
また、カラーフィルタを構成する赤色画素、緑色画素、青色画素は、膜厚が1.5μmのときに以下の分光特性を有することにより、上記膜厚の範囲内で高輝度かつ高色再現性を有し、高品位な有機EL表示装置とすることができる。
赤色画素:波長450nm~560nmの範囲における光の最大透過率が0.5%以下、50%半値波長が593nm~603nm、かつ波長600nm~700nmの範囲の光の透過率が80%以上100%未満。
緑色画素:波長400nm~470nmの範囲における光の最大透過率が2%以下、波長525~535nmの光の最大透過率が67%以上、短波長側50%半値波長が497~507nm、かつ長波長側50%半値波長が554~581nm。
青色画素:波長500nm~560nmの範囲における光の最大透過率が20%未満。
カラーフィルタは各画素が、上記の分光特性を有することで、色域の広いカラーフィルタとなる。
【0214】
[有機EL層]
前記有機EL層は、発光物質を含む有機発光単層、あるいは多層で形成することができる。多層で形成される場合は、たとえば一般的な正孔輸送層、電子輸送性有機発光層、電子輸送層が順次積層してなる3層構成、さらには正孔(電子)注入層、正孔(電子)輸送層と注入機能と輸送機能を分けた層を設けたり、あるいは正孔(電子)輸送をブロックする層を設けたりする多層構成でもよい。
【0215】
有機EL層の一例としては、シリコン基板側から順に、陽極、有機層及び陰極を積層してなり、封止層で気密に覆われた構成が挙げられる。
【0216】
陽極は、シリコン基板上に設けられ、仕事関数の大きな導電性材料で構成される。仕事関数の大きな導電性材料としては、たとえば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、あるいは酸化錫(SnO2)、酸化インジウム錫(ITO:Indium tin oxide)、酸化亜鉛、酸化チタン等がある。
【0217】
陰極は、仕事関数が小さな導電性材料を用いて構成されている。このような導電性材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。また、有機層との間に例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とフッ素、臭素等のハロゲンや酸素等との化合物層を薄く挿入した構造としてもよい。
【0218】
陽極及び陰極は、表示装置の駆動方式によって適する形状にパターニングされる。例えば、有機EL表示装置の駆動方式が単純マトリックス型である場合には、この陽極及び陰極は互いに交差するストライプ状に形成され、これらが交差した部分が有機EL素子となる。
【0219】
有機層は、少なくとも白色の発光層を有するものであるが、通常、複数層の有機層から構成されるものであり、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層や、白色の発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、白色の発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を有するものとすることができる。
【0220】
発光層は、白色の発光が得られれば良く、公知のものを用いることができる。白色の発光特性は、少なくとも赤色領域(600nm~780nm)と緑色領域(475nm~600nm)及び青色領域(380nm~475nm)の3つの領域に発光があればよい。発光ピークは必ずしも3つあるいはそれ以上の数を必要とするのではなく、例えば2つの発光ピークでも上記の領域に発光があればよい。しかし、広い色再現性を得るためには3つ以上の発光ピークがある白色発光層を用いることが好ましく、上記3つの色領域のひとつ以上に発光ピークがあることが好ましい。
【0221】
このような白色の発光層を構成する材料としては、蛍光又は燐光を発するものであれば特に限定されるものではない。また、発光材料は、正孔輸送性や電子輸送性を有していていもよい。発光材料としては、色素系材料、金属錯体系材料、及び高分子系材料を挙げることができる。
【0222】
上記色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ-ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、及びピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
【0223】
上記金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、及びユーロピウム錯体、あるいは、中心金属に、Al、Zn、Be等又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、及びキノリン構造等を有する金属錯体などを挙げられる。
【0224】
上記高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、並びに上記の色素系材料及び金属錯体系材料を高分子化したもの等を挙げられる。
【0225】
上記白色の発光層の形成方法としては、例えば蒸着法、印刷法、インクジェット法、又はスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、及び自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等が挙げられる。特に、蒸着法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが好ましく、白色の発光層の膜厚は、通常5nm~5μm程度である。
【0226】
また有機EL層は、白色の発光層と陽極との間に正孔注入層が形成されていてもよい。正孔注入層を設けることにより、白色の発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。正孔注入層の形成材料としては、一般的に有機EL素子の正孔注入層に使用されている材料を用いることができる。また、正孔注入層の形成材料は、正孔の注入性若しくは電子の障壁性のいずれかを有するものであればよい。
【0227】
具体的に、正孔注入層の形成材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、及びチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。
【0228】
さらに、正孔注入層の形成材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物等が挙げられる。正孔注入層の膜厚は、通常5nm~1μm程度である。
【0229】
また有機EL層は、白色の発光層と陰極との間に電子注入層が形成されていてもよい。電子注入層を設けることにより、白色発光層への電子の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
【0230】
電子注入層の形成材料としては、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8-キノリノール)アルミニウム等の8-キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、並びにジスチリルピラジン誘導体等が挙げられる。
【実施例
【0231】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0232】
<着色剤の準備>
(微細化赤色顔料(PR177-1)
ジアントラキノン系顔料C.I.PigmentRed177(「CinilexRedSR3C」CINICChemicals社製)150部、塩化ナトリウム1500部、及びジエチレングリコール250部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃で10時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより、138部のアントラキノン系の微細顔料(PR177-1)を得た。
【0233】
(微細化赤色顔料(PR254-1))
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「Irgajin RedL 3630」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、ジケトピロロピロール系の微細化赤色顔料(PR254-1)を得た。
【0234】
(微細化黄色顔料(PY139-1))
黄色顔料C.I.ピグメントイエロー139(BASFジャパン社製「パリオトールエローD1819」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY139-1)を得た。
【0235】
(微細化黄色顔料(PY185-1))
黄色着色剤として、C.I.ピグメントイエロー185(BASF社「Paliotol Yellow L 1155」)200部、塩化ナトリウム1000部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY185-1)を得た。
【0236】
(微細化黄色顔料(PY185-2))
黄色着色剤として、C.I.ピグメントイエロー185(BASF社「Paliotol Yellow L 1155」)95部、ロジンマレイン酸樹脂(荒川化学工業社製「マルキード32」)10部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混連した。次に、この混練物を温水8000部に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色微細化顔料(PY185-2)105部を得た。
【0237】
(微細化緑色顔料(PG36-1))
フタロシアニン顔料C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、117部の微細化顔料(PG36-1)を得た。
【0238】
(微細化緑色顔料(PG58-1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC株式会社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、フタロシアニン系の微細化緑色顔料(PG58-1)を得た。
【0239】
(微細化青色顔料(PB15:6-1))
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m/g)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、フタロシアニン系の微細化青色顔料(PB15:6-1)を得た。
【0240】
(微細化青色顔料(PB15:3-1))
フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE FG-7351」)200部、塩化ナトリウム600部、およびジエチレングリコール600部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、フタロシアニン系の微細化青色顔料(PB15:3-1)を得た。
【0241】
(微細化紫色顔料(PV23-1))
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、ジオキサジン系の微細化紫色顔料(PV23-1)を得た。
【0242】
(造塩化合物(V)の製造)
下記の手順でC.I.アシッドレッド289と4級アンモニウム塩化合物であるトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドとからなる造塩化合物(V)を作製した。5%水溶液になるよう、C.I.アシッドレッド289の10部を200部の水に溶解させ、30~50℃に加熱した後、メタノール/水=20/80溶液に5%溶液になるよう5.5部のトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドを溶解し、少しずつ滴下した。トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド溶液を滴下した後、30~50℃で3時間攪拌した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、C.I.アシッドレッド289とトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物(V)8部を得た。
【0243】
<樹脂型分散剤溶液の製造>
(樹脂型分散剤溶液1):感光性樹脂
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール8部、ピロメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)80部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、メチルメタクリレート(MMA)15部、t-ブチルアクリレート(tBA)10部、エチルアクリレート(EA)10部、メタクリル酸(MAA)5部、ベンジルメタクリレート(BzMA)10部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)50部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、12時間反応した(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次いで、次にフラスコ内を空気置換し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)54.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、70℃で4時間反応を行った(第三工程)。IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで固形分調整することにより、固形分40%の感光性樹脂である樹脂型分散剤溶液1を得た。得られた樹脂型分散剤の酸価は36、重量平均分子量は12,000であった。
【0244】
(樹脂型分散剤溶液2):非感光性
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、エチルアクリレート30部、tert-ブチルアクリレート20部、2‐メチルメタクリレート40部、を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部に、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をシクロヘキサノン45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4000であった。次に、ピロメリット酸二無水物9.7部、PGMAc70部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分を40重量%に調製し、重量平均分子量8,100、酸価50mgKOH/g、ビニル重合部位のガラス転移温度22.5℃の樹脂型分散剤のPGMAc溶液(樹脂型分散剤溶液2)を得た。
【0245】
<バインダー樹脂の製造>
(アクリル樹脂溶液(D-1)):感光性樹脂
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12,000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。
更にテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液(D-1)を調製した。
【0246】
(アクリル樹脂溶液(D-2)):感光性樹脂
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製FA-513M)22.0g(0.10モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g及びハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して固形分酸価が79mgKOH/gのアクリル樹脂溶液(D-2)を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は13,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
【0247】
(アクリル樹脂溶液(D-3)):非感光性
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート20.0部、n-ブチルメタクリレート17.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥し
て不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、アクリル樹脂溶液(D-3)を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0248】
<顔料分散体の製造>
(顔料分散体(PR-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PR-1)を作製した。
微細化赤色顔料(PR177-1) :14.8部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :13.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :72.2部
【0249】
(顔料分散体(PR-2))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PR-2)を作製した。
微細化赤色顔料(PR254-1) :14.8部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :13.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :72.2部
【0250】
(顔料分散体(PY-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PY-1)を作製した。
微細化黄色顔料(PY139-1) :14.0部
樹脂型分散剤溶液2(非感光性) :15.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :71.0部
【0251】
(顔料分散体(PY-2))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PY-2)を作製した。
微細化黄色顔料(PY185-1) :12.0部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :68.0部
【0252】
(顔料分散体(PY-3))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PY-3)を作製した。
微細化黄色顔料(PY185-2) :12.0部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :68.0部
【0253】
(顔料分散体(PY-4))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PY-4)を作製した。
微細化黄色顔料(PY185-1) :12.0部
樹脂型分散剤溶液2(非感光性) :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :68.0部
【0254】
(顔料分散体(PG-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PG-1)を作製した。
微細化緑色顔料(PG36-1) :15.0部
樹脂型分散剤溶液2(非感光性) :12.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :72.5部
【0255】
(顔料分散体(PG-2))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PG-2)を作製した。
微細化緑色顔料(PG58-1) :15.0部
樹脂型分散剤溶液2(非感光性) :12.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :72.5部
【0256】
(顔料分散体(PB-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20重量%の顔料分散体(PB-1)を作製した。
微細化青色顔料(PB15:3-1) :13.0部
樹脂型分散剤溶液2(非感光性) :17.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :69.5部
【0257】
(顔料分散体(PB-2))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が17重量%の顔料分散体(PB-2)を作製した。
微細化青色顔料(PB15:6-1) :11.9部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :12.8部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :75.4部
【0258】
(顔料分散体(PV-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が17重量%の顔料分散体(PV-1)を作製した。
微細化紫色顔料(PV23-1) :12.0部
樹脂型分散剤溶液1(感光性樹脂) :15.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :73.0部
【0259】
<造塩化合物含有樹脂溶液(SV)の製造方法>
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5.0μmのフィルタで濾過し造塩化合物含有樹脂溶液(SV)を作製した。
造塩化合物(V) :13.00部
シクロヘキサノン :87.00部
【0260】
<感光性着色組成物の製造>
[製造例1]
(感光性着色組成物(R-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、
感光性着色組成物(R-1)を得た。
顔料分散体(PR-1) :52.70部
顔料分散体(PR-2) :17.57部
顔料分散体(PY-1) :18.57部
光重合性単量体(B-1) :2.12部
光重合開始剤(C-1) :0.10部
レベリング剤(不揮発分1%) :1.00部
溶剤(S-1) :7.94部
【0261】
[製造例2~57]
(感光性着色組成物(R-2~57)の調製)
顔料分散体、光重合性単量体、光重合開始剤、及び樹脂溶液の種類と配合量を表1~6示す内容に変更した以外は感光性着色組成物(R-1)と同様にして感光性着色組成物(R-2~57)を得た。
【0262】
【表1】
【0263】
【表2】
【0264】
【表3】
【0265】
【表4】
【0266】
【表5】
【0267】
【表6】
【0268】
表1-6中の略称について以下に示す。
<光重合性単量体(B)>
光重合性単量体B-1:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM-350」)
光重合性単量体B-2:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM-309」)
光重合性単量体B-3:ペンタエリスリトールトリおよびテトラアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM-306」)
光重合性単量体B-4:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM-402」)
<光重合開始剤(C)>
【0269】
【化12】
光重合開始剤C-4:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASFジャパン社製「IRGACURE-907」)
<レベリング剤>
レベリング剤:東レ・ダウコーニング社製「FZ-2122」1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)99部に溶解させた溶液
<添加剤>
添加剤:トリメチロールプロパントリス(3―メルカプトブチレート)(昭和電工社製「TPMB」)
<溶剤(S)>
溶剤S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤S-2:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
溶剤S-3:3-メトキシー1-ブタノール
【0270】
[実施例]
<OLED素子の製造>
シリコン基板にスパッタ法やエッチング法等の公知の方法を用いてTFT層を形成した。更に、TFT層上に蒸着法等の公知の方法を用いて白色有機EL素子を形成後、CVD法により窒化珪素を被覆して有機EL素子基板を形成した。
【0271】
<カラーフィルタ・有機EL表示装置の製造>
前記OLED素子上に、緑色感光性着色組成物を硬化仕上がりの膜厚が1.5μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗及び乾燥工程を経てカラーフィルタの緑色層(G)を形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化して、カラーフィルタの緑色層(G)の形成を完了した。
【0272】
次に、上述のカラーフィルタの緑色層(G)の形成方法と同様にして、赤色感光性着色組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.5μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗及び乾燥工程を経てカラーフィルタの赤色層(R)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化して、カラーフィルタの赤色層(R)の形成を完了した。
【0273】
さらに、上述のカラーフィルタの緑色層(G)の形成方法と同様にして、青色感光性着色組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.5μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗及び乾燥工程を経てカラーフィルタの青色層(B)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化して、カラーフィルタの青色層(B)の形成を完了してカラーフィルタを作製した。
【0274】
緑色、赤色、青色の層を形成後、封止剤ストラクトボンドXMF-T107(三井化学社製)を用いてカバーガラスと貼り合せし、有機EL表示装置を作製した。
【0275】
カラーフィルタ及び有機EL表示装置の作製にあたり、使用した感光性着色組成物の組み合わせを表7~9に示す。また、実施例1~11、実施例13~28、参考例12及び比較例1~2の有機EL表示装置の画素などに関し、分光透過率の測定、および下記の測定を行った。結果を表7~9に示す。
【0276】
【表7】
【0277】
【表8】
【0278】
【表9】
【0279】
<画素形状(直線性)>
実施例に用いた各感光性着色組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが1.50μmとなるように塗布し、70℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で3000J/mの露光を行った。露光は、2.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。開口部により形成された画素の直線性を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:画素の直線性が全面で良好(実用上好ましいレベル)
△:画素の直線性が部分的に良好(実用可能なレベル)
×:画素の直線性が全面で不良(実用には適さないレベル)
【0280】
<現像性(残渣)>
各感光性着色組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが1.50μmとなるように塗布し、70℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で3000J/mの露光を行った。露光は、2.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。非露光部の現像残渣を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:非露光部に現像残渣がない(実用上好ましいレベル)
△:非露光部の一部に現像残渣が存在(実用可能なレベル)
×:非露光部の全面に現像残渣が存在(実用には適さないレベル)
【0281】
<耐性光性評価>
各感光性着色組成物を縦100mm×横100mm・0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が1.50μmとなるように回転塗工し、70℃で1分乾燥した。次に、得られた被膜に対して、400μm四方の正方パターンマスクパターンを配列したフォトマスクを介してi線の照度30mW/cmの超高圧水銀灯にて3000mJ/cmの露光を行った。
パターン露光された被膜に対して、TMAH2.38%を用いて、未露光部を現像した後、純水にて水洗を行なった。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、80℃で10分間、ホットプレートでポストベーク処理し、ガラス基板上に硬化膜のパターンを形成した。得られた塗膜のC光源での色度([L(1)、a(1)、b(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定した。続いて、その基板上に紫外線カットフィルター(ホヤ社製「COLORED OPTICAL GLASS L38」)を貼り、470W/mのキセノンランプを用いて紫外線を100時間照射した後、C光源での色度([L(2)、a(2)、b(2)])を測定し、上記計算式により、色差ΔEabを求め、下記の4段階で評価した。
ΔEab=((L(2)-L(1))+(a(2)-a(1))+(b(2)-b(1))1/2
○:ΔEabが3.0未満(実用上好ましいレベル)
△:ΔEabが3.0以上、6.0未満(実用可能なレベル)
×:ΔEabが6.0以上(実用には適さないレベル)
【0282】
<カラーフィルタ、有機EL表示装置の外観観察>
外観観察は、NIKON製光学顕微鏡「ECLIPSELV100」にて反射観察した。画素の染込み、表面あれがないものは〇、軽微な染込みがみられるものは△、表面あれ隣接画素からの色の染込みがみられるものは×として評価した。表面あれ、隣接画素からの色の染込みがみられるものは実用的ではないと判断した。
また、画素の重なりの評価として、赤色・緑色・青色の画素の重なり量が0.1μm未満の場合を○、画素の重なり量が0.1μm以上0.3μm未満の場合を△、0.3μm以上の場合を×として評価した。画素の重なり量が0.3μm以上の場合、表示エリアが小さくなる為、有機EL表示装置の輝度低下を招いてしまうため、実用的ではないと判断した。
【0283】
<有機EL表示装置の色度>
実施例1~11、実施例13~28、参考例12及び比較例1~2の有機EL表示装置における赤色表示時、緑色表示時、青色表示時の色度をオリンパス社製「分光放射輝度計CS-1000」を用いて測定した。得られた赤色・緑色・青色の色度からNTSC面積比率(NTSC規格で規定する色域に対する実施例又は比較例の有機EL表示装置の色域の割合)を算出した。
NTSC面積比率が90%以上のものは〇、85%以上90%未満のものは△、85%未満のものは×として評価した。NTSC面積比率が85%未満のものは、有機EL表示装置として画像表示した際に画像の鮮明さが不足して見えてしまうため、実用的ではないと判断した。
赤色、緑色、青色の3色の画素を全て点灯表示し、白色表示した際の輝度(W-L)が330cd/m以上のものは◎、300cd/m以上330cd/m未満のものは〇、280cd/m以上300cd/m未満のものは△、280cd/m未満のものは× として評価した。輝度が280cd/m未満の場合は、画像表示した際に暗く見えてしまうため有機EL表示装置として実用的ではないと判断した。
【0284】
<画素ヒビ割れ>
溶剤の異なる感光性着色組成物を用いた、実施例1、実施例25、および実施例26を代表して画素のひび割れ評価を行った。
各例の感光性着色組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが1.50μmとなるように塗布し、70℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で3000J/mの露光を行った。露光は、2.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。スピン乾燥後、ホットプレートで90℃5分間焼成し、単色のパターン基板を得た。2色目、3色目の入色も同様に行い、RGB3色入色されたパターン基板を得た。画素表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:画素上にヒビ割れがない(実用上好ましいレベル)
△:ヒビ割れがある画素が部分的に存在する(実用可能なレベル)
×:ヒビ割れがある画素が全体的に存在する(実用には適さないレベル)
【0285】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0286】
本発明は、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、電子ビューファインダなどの電子機器用の有機EL表示装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0287】
1 シリコンウエハ
2 有機EL層
3 カラーフィルタ
4 封止層
5 カバーガラス
10 有機EL表示装置
3a、3b、3c 画素
【要約】
【課題】高輝度かつ高色再現性を有し、着色剤濃度が高くても現像工程での画素密着性が良好で画素直線性の良好なカラーフィルタを有する有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】駆動素子が形成されたシリコン基板上に、有機EL層と、カラーフィルタとを有する、有機EL表示装置であって、前記カラーフィルタが、特定の赤色画素と、緑色画素と、青色画素とを含む画素を有し、前記各画素が、特定の着色剤(A)と、光重合性単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、樹脂(D)とを含有する感光性着色組成物の硬化物であり、前記光重合性単量体(B)が下記一般式(1)で表される化合物を含み、光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含む、有機EL表示装置。
一般式(1):[CH=CHC(=O)-(OC2m-OCH-CCHCH
(一般式(1)中の各符号は、明細書に記載のとおりである。)
【選択図】図1
図1