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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】取付治具及び温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20220401BHJP
【FI】
G01K1/14 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018075368
(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公開番号】P2019184420
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000227216
【氏名又は名称】NX商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川島 浩靖
(72)【発明者】
【氏名】水井 健介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸直
(72)【発明者】
【氏名】岩下 詳
(72)【発明者】
【氏名】室町 正博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正弘
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-329170(JP,A)
【文献】特開2005-62014(JP,A)
【文献】特開2005-3550(JP,A)
【文献】特開平10-142070(JP,A)
【文献】特開2006-176032(JP,A)
【文献】実開昭51-81740(JP,U)
【文献】特許第6905854(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
F16D 49/00-71/04
B60C 23/04,23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキシュー(52)に温度センサ(1)を取り付けるための取付治具(2,3)であって、
前記ブレーキシューにおけるブレーキライニング(53)が取り付けられる板状のリム部(521)を、弾性力により挟み込むように装着可能なセンサ固定具(21,24)を備え、
前記センサ固定具は、
前記リム部における前記ブレーキライニングが取り付けられる側の面である第1の面(521a)に接する第1の板部(211)と、
前記リム部における前記第1の面とは反対側の面である第2の面(521b)に接する第2の板部(212)と、
前記第1の板部及び前記第2の板部を連結する連結板部(213)と、を有し、
前記第2の板部は、前記温度センサにおける感温部を、前記第2の面との間で保持するカバー部(215)を有する、取付治具。
【請求項2】
請求項1に記載の取付治具であって、
前記第2の板部は、前記第2の面に接する側の面から突出し、その先端において前記第2の面と当接する凸部(216,217)を更に有する、取付治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の取付治具であって、
前記温度センサは、前記感温部が前記カバー部により保持された状態において前記第2の面に沿って延びる部分であって前記感温部を有する第1の棒状部(11)と、前記感温部が前記カバー部により保持された状態において前記ブレーキシューにおける前記第2の面側から垂直に突出した補強部の面に沿って延びる部分である第2の棒状部(12)と、を有し、前記第1の棒状部と前記第2の棒状部とによりL字状に形成されており、
前記取付治具は、前記第1の棒状部の軸を中心とする前記第2の棒状部の回転移動可能範囲を、前記第2の棒状部と当接することで制限する補助固定具(22,23,25)を更に備える、取付治具。
【請求項4】
請求項3に記載の取付治具であって、
前記センサ固定具と前記補助固定具とは一体的に構成される、取付治具。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の取付治具及び温度センサを備える温度検出装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラムブレーキの異常を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トラック、バス及びトレーラ等の車両で使用されるドラムブレーキのブレーキシューに取り付けられた温度センサを用いて、ドラムブレーキ機構や軸受け機構の調整不良によって高温が発生する異常状態を検出する異常検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4289561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドラムブレーキのブレーキシューに取り付けられるブレーキライニングは、ブレーキの使用によって摩耗するため、定期点検又は定期交換が行われる。そして、定期点検又は定期交換の際には、温度センサが容易に取り外し及び取り付けできることが求められる。
【0005】
本開示の一局面は、ブレーキシューに対する温度センサの脱着をより容易にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両のブレーキシュー(52)に温度センサ(1)を取り付けるための取付治具である。取付治具は、ブレーキシューにおけるブレーキライニング(53)が取り付けられる板状のリム部(521)を、弾性力により挟み込むように装着可能なセンサ固定具(21,24)を備える。センサ固定具は、第1の板部(211)と、第2の板部(212)と、連結板部(213)と、を有する。第1の板部は、リム部におけるブレーキライニングが取り付けられる側の面である第1の面(521a)に接する。第2の板部は、リム部における第1の面とは反対側の面である第2の面(521b)に接する。連結板部は、第1の板部及び第2の板部を連結する。第2の板部は、温度センサにおける感温部を、第2の面との間で保持するカバー部(215)を有する。
【0007】
このような構成によれば、温度センサは、カバー部と第2の面との間でセンサ固定具により保持される。そして、センサ固定具は、リム部を弾性力により挟み込むように装着される構成であるため、リム部に対する脱着が容易である。したがって、ブレーキシューに対する温度センサの脱着をより容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ドラムブレーキに取付けられた状態の温度検出装置の外観図である。
図2】ドラムブレーキの構成を示す説明図である。
図3】ドラムブレーキに取付けられた状態の温度検出装置の側面図である。
図4】取付治具の上面図である。
図5】取付治具の側面図である。
図6】取付治具の背面図である。
図7】他の実施形態の取付治具の外観図である。
図8】他の実施形態の補助固定具とセンサ固定具とを示す外観図である。
図9】他の実施形態の取付治具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.概要]
図1に示す温度検出装置100は、トラック、バス及びトレーラ等の車両に搭載されるドラムブレーキ5のブレーキシュー52に設けられる。温度検出装置100は、ブレーキシュー52の温度を検出することによって、ブレーキライニング53の摩耗及びブレーキ過熱等のブレーキの異常を検出するために用いられる。
【0010】
[2.ドラムブレーキ]
ここで、温度検出装置100の構成を説明する前に、温度検出装置100の取り付け対象となるドラムブレーキ5の構成を説明する。
【0011】
図2に示すように、ドラムブレーキ5は、ブレーキドラム51と、ブレーキシュー52と、ブレーキライニング53と、Sカム54と、リターンスプリング55と、を備える。
ブレーキシュー52は、リム部521と、補強部522と、を有する。リム部521は、長尺な板状の部材であって、その長手方向に沿って円弧状に湾曲した部材である。補強部522は、リム部521の凹面側から垂直に突出し、リム部521の長手方向に直交する直交方向の中央においてリム部521の長手方向に沿って形成された板状の部材である。つまり、ブレーキシュー52は、リム部521の直交方向に沿って切断した断面形状がT字状となるように構成されている。
【0012】
ブレーキシュー52は、1つのドラムブレーキ5に2つ設けられる。一対のブレーキシュー52は、リム部521の凸面側が、ブレーキドラム51の内周壁と一定の隙間を空けて対向する位置に配置されるように、それぞれの一端が、アンカピンによって回動自在に軸支されている。以下では、ブレーキシュー52において、アンカピンによって軸支されている端部とは反対側の端部を開放端という。
【0013】
ブレーキライニング53は、ブレーキシュー52に取り付けられる。具体的には、リム部521の凸面側、すなわち、ブレーキドラム51の内周壁と対向する第1の面521aに取り付けられる。ブレーキライニング53は、ブレーキシュー52によって、ブレーキドラム51の内周壁に押さえつけられることによって制動力を発生させる。ブレーキライニング53は、各ブレーキシュー52に対して2つずつ取り付けられる。ここでは、同じブレーキシュー52に取り付けられる2つのブレーキライニング53は、両者の間にブレーキシュー52が露出する部位52Aが形成されるように、数mm~十数mm程度離して配置される。
【0014】
Sカム54は、一対のブレーキシュー52の開放端にそれぞれ接触する回動自在に取り付けられたS字状の部材である。そして、ブレーキペダルが踏み込まれると、アクチュエータ541が、一対のブレーキシュー52の開放端の間を広げる方向、すなわち、ブレーキライニング53をブレーキドラム51に押し付ける方向に、Sカム54を回動させる。これによりブレーキライニング53とブレーキドラム51との間で発生する摩擦力によって制動が行われる。
【0015】
リターンスプリング55は、一対のブレーキシュー52の開放端の間に接続される。そして、ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、アクチュエータ541が、一対のブレーキシュー52の開放端の間を狭める方向に、Sカム54を回動させる、その結果、リターンスプリング55の付勢力により、ブレーキライニング53は、ブレーキドラム51とは隙間を空けた位置に保持されることで制動が解除される。ここでは、Sカム54を用いた例を示したが、Sカム54は、トレーラで採用されることが多く、トラックでは、Sカム54の代わりにウェッチが採用されることが多い。
【0016】
[3.温度検出装置の構成]
図1及び図3に示すように、温度検出装置100は、温度センサ1と、取付治具2と、を備える。
【0017】
温度センサ1は、取付治具2によりブレーキシュー52に取り付けられ、ブレーキシュー52の温度を検出する。温度センサ1は、L字状の外形形状であり、直線状に延びる第1の棒状部11と、第1の棒状部11と垂直な方向に直線状に延びる第2の棒状部12と、を有する。温度センサ1は、金属製の円筒状部材に覆われ、その断面の外形形状が円形状である。つまり、温度センサ1は、その断面の外形形状が円形状である。第1の棒状部11は、感温部を有する。感温部は、温度センサ1における温度を検出するための部位である。温度センサ1は、第2の棒状部12の端部において、芯線13に接続されている。芯線13は、耐熱樹脂等により被覆されている。
【0018】
図4図6に示すように、取付治具2は、単一の金属板をS字状に加工した板状部材である。以下の説明では、図5における縦方向を取付治具2の上下方向と表現し、図4及び図5における横方向を取付治具2の前後方向と表現し、図4における縦方向を取付治具2の左右方向と表現する。なお、本実施形態の取付治具2は、左右対称形状である。
【0019】
取付治具2は、リム部521を上下方向から挟み込むU字状の部分であるセンサ固定部21と、センサ固定部21の前端から上方へ延びるL字状の部分である補助固定部22と、を備える。
【0020】
センサ固定部21は、リム部521を挟み込むための互いに対向する内面同士の間隔が、後端から前方へ向かって狭くなる、いわゆるクリップのような形状である。具体的には、後端部付近の間隔がリム部521の板厚よりも広く、前端部付近の間隔がリム部521の板厚よりも狭くなるように設計されている。このため、センサ固定部21は、リム部521を弾性力により挟み込むように装着可能である。
【0021】
具体的には、センサ固定部21は、前後方向に延び、先端部が折れ曲がった第1の板部211と、前後方向に直線状に延びる第2の板部212と、第1の板部211と第2の板部212とを連結する連結板部213と、を有する。
【0022】
第1の板部211は、連結板部213の下端から前方へ延びている。具体的には、第1の板部211は、連結板部213の下端から第2の板部212へ近づくように延びている。第1の板部211の先端部は、第1の板部211から離れる方向へ折れ曲がっている。
【0023】
第2の板部212は、連結板部213の上端から、第1の板部211よりも長く前方に延びている。第2の板部212は、左右方向である幅方向の中央部に、第2の板部212の長手方向に延びる第1のスリット214を有する。第1のスリット214は、第2の板部212の後端に対して間隔を空けた位置から、第2の板部212の前端まで延びている。つまり、第2の板部212は、上方から見てU字状に形成される。また、第2の板部212は、第2の板部212における第1のスリット214を挟む両側を連結するカバー部215を有する。カバー部215は、上方に突出するように湾曲した板部であって、第1のスリット214を挟む両側のうち、連結板部213寄りの一部を連結する。
【0024】
また、第2の板部212は、第1の板部211と対向する側の面から突出した第1の凸部216及び第2の凸部217を有する。このため、取付治具2がリム部521に装着された状態において、第2の板部212は、リム部521のブレーキライニング53が取り付けられる第1の面521aとは反対側の面である第2の面521bに、第1の凸部216及び第2の凸部217の先端において当接する。つまり、第2の板部212は、第1の凸部216及び第2の凸部217を除く本体部が、第2の面521bと間隔を空けて配置される。具体的には、第1の凸部216及び第2の凸部217は、第1の棒状部11の外径の半分程度の高さに突出している。第1の凸部216は、球面形状であり、第2の板部212の右端部に第1のスリット214を挟んで1つずつ、つまり2つ設けられる。第2の凸部217は、第2の板部212の左端部、換言すれば、第2の板部212において2つの第1の凸部216が設けられる端部とは反対側の端部に設けられる。
【0025】
一方、補助固定部22は、第2の板部212の前端から第2の板部212に対して垂直に延びる垂直部221と、垂直部221の上端から第2の板部212と平行に延びる平行部222とを有する。垂直部221及び平行部222は、左右方向である幅方向の中央部に、補助固定部22の長手方向に延びる第2のスリット223を有する。第2のスリット223は、第1のスリット214と連続しており、平行部222の先端に対して間隔を空けた位置まで延びている。つまり、平行部222は、上方から見てU字状に形成される。
【0026】
次に、温度センサ1を取付治具2によってリム部521に取り付ける取付方法について説明する。
取付治具2は、第1の棒状部11が第2の面521bに当接した状態となるように、リム部521に装着される。
【0027】
この状態において、第1の板部211は、第1の面521aに沿って配置され、先端部における折れ曲がった部分において第1の面521aに当接する。また、第2の板部212は、第2の面521bに沿って配置され、第1の凸部216及び第2の凸部217の先端において第2の面521bに当接する。垂直部221は、第1の面521aに対して垂直に、補強部522における温度センサ1が取り付けられる側の面である第3の面522aに対して平行に配置される。平行部222は、第1の面521aに対して平行に、第3の面522aに対して垂直に配置される。
【0028】
第1の棒状部11は、第1のスリット214に収容され、第2の面521bに沿って延びるように配置される。また、感温部が、カバー部215の内面と第2の面521bとの間で保持される。具体的には、カバー部215は、第1の棒状部11の断面の外形形状である円形状に沿って上方へ突出する形状であり、第1の棒状部11における感温部の設けられた部分がカバー部215により覆われる。第2の棒状部12は、第3の面522aに対して離間した位置から、第3の面522aに沿って延びるように配置される。具体的には、第2の棒状部12は、平行部222における第2のスリット223を挿通するように配置される。このため、第1の棒状部11の軸を中心とする第2の棒状部12の回転移動可能範囲が平行部222により制限される。つまり、補助固定部22は、第1の棒状部11の軸を中心とする第2の棒状部12の回転移動可能範囲を、第2の棒状部12と当接することで制限する機能を有する。芯線13は、第2の棒状部12の端部から延びるように配置される。
【0029】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)本実施形態では、温度センサ1は、取付治具2により、カバー部215と第2の面521bとの間で保持される。そして、取付治具2は、リム部521を弾性力により挟み込むように装着される構成であるため、リム部521に対する脱着が容易である。したがって、ブレーキシュー52に対する温度センサ1の脱着を容易にすることができる。
【0030】
(4b)本実施形態では、取付治具2は、第1の凸部216及び第2の凸部217を有するため、円弧状に湾曲するリム部521に対する装着状態を安定させることができる。すなわち、仮に、第1の凸部216及び第2の凸部217を有しない構成とした場合、円弧状に湾曲するリム部521の第2の面521bに対し、概略平板状の第2の板部212が左右の縁で当接することとなり、当接位置が部品の歪み等の影響を受けやすく、装着状態が不安定となる。この点、本実施形態によれば、第2の板部212が第2の面521bに対して3点で当接するため、リム部521に対する取付治具2の装着状態を安定させることができる。したがって、温度センサ1を安定して保持することができ、その結果、ブレーキシュー52の温度を精度良く検出することができる。
【0031】
(4c)本実施形態では、第2の板部212は、幅方向の中央部に、第2の板部212の長手方向に延びる第1のスリット214を有する。そして、第1の棒状部11は、第1のスリット214に収容される。これにより、温度センサ1は、取付治具2によりリム部521に取り付けられた状態において、第1の棒状部11、具体的には感温部が、第2の面521bに当接した状態となる。したがって、感温部が第2の面521bに直接当接しない構成と比較して、ブレーキシュー52の温度を精度良く検出することができる。
【0032】
また、本実施形態では、第2の板部212は、第1の凸部216及び第2の凸部217を除く本体部が、第2の面521bと間隔を空けて配置される。したがって、第1の棒状部11の可動範囲を左右方向において規制することができる。
【0033】
(4d)本実施形態では、感温部が、カバー部215の内面と第2の面521bとの間で保持される。これにより、第1の棒状部11の可動範囲を上下方向において規制することができる。また、ブレーキシュー52の温度を検出する際に、感温部に伝わった熱が逃げにくくなる。したがって、カバー部215を有しない構成と比較して、ブレーキシュー52の温度を精度良く検出することができる。
【0034】
(4e)本実施形態では、温度センサ1が第3の面522aと干渉することを防ぎつつ、感温部から温度センサ1と芯線13との接続部までの距離を長くすることができる。すなわち、芯線13の耐熱上限温度を考慮すると、感温部から温度センサ1と芯線13との接続部までの距離を長くする必要がある。しかし、温度センサ1を直線状に伸ばすと第3の面522aと干渉してしまう。この点、本実施形態によれば、温度センサ1がL字状の外形形状であるため、温度センサ1が第3の面522aと干渉することを防ぎつつ、感温部から温度センサ1と芯線13との接続部までの距離を長くすることができる。
【0035】
(4f)本実施形態では、垂直部221及び平行部222は、幅方向の中央部に、補助固定部22の長手方向に延びる第2のスリット223を有する。これにより、第2の棒状部12は、平行部222における第2のスリット223を挿通するように配置される。したがって、第1の棒状部11の軸を中心とする第2の棒状部12の回転移動可能範囲を、第2の棒状部12と当接することで制限することができる。その結果、ブレーキシュー52の温度の検出が不安定になることを抑制することができる。
【0036】
(4g)本実施形態では、取付治具2は、単一の金属板をS字状に加工した板状部材であり、センサ固定部21と補助固定部22とは一体的に構成される。したがって、センサ固定部21と補助固定部22とが別体の構成と比較して、コストを削減することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、センサ固定部21がセンサ固定具に相当し、補助固定部22が補助固定具に相当し、第1の凸部216及び第2の凸部217が凸部に相当する。
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0038】
(5a)上記実施形態では、断面の外形形状が円形状である温度センサ1及び当該円形状に沿って上方に突出するカバー部215を例示したが、温度センサの断面の外形形状及びカバー部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、少なくとも第1の棒状部の断面の外形形状が楕円形状で、かつ、カバー部が当該楕円形状に沿って上方に突出する形状であってもよい。また、例えば、少なくとも第1の棒状部の断面の外形形状が四角形状で、かつ、カバー部が当該四角形状に沿って上方に突出する形状であってもよい。これにより、温度センサの断面の外形形状が円形状の構成と比較して、第1の棒状部の軸を中心とする第2の棒状部の回転を生じにくくすることができる。その結果、ブレーキシュー52の温度の検出が不安定になることを抑制することができる。
【0039】
(5b)上記実施形態では、センサ固定部21の前端から上方へ延びるL字状の補助固定部22を例示したが、補助固定部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、センサ固定部21の前端部の左右両側から、それぞれ1つずつ互いに対向して上方に延びる構成の補助固定部23であってもよい。つまり、取付治具3は、温度センサ1が取付治具3によりリム部521に取り付けられた状態において、第2の棒状部12の左右両側に、板状の2つの補助固定部23を備える構成であってもよい。なお、2つの補助固定部23は、補助固定具に相当する。
【0040】
(5c)カバー部における第1の棒状部11と接触する面の形状は、摩擦力の高い形状、例えば、多数の凹凸を有する形状であってもよい。これにより、第1の棒状部11との間の摩擦力が高くなるため、第1の棒状部11の軸を中心とする第2の棒状部12の回転を生じにくくすることができる。その結果、ブレーキシュー52の温度の検出が不安定になることを抑制することができる。
【0041】
(5d)上記実施形態では、温度センサ1をリム部521に取り付けるための治具としてセンサ固定部21と補助固定部22とが一体的に構成される取付治具2を例示したが、取付治具の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、リム部521に装着され、第1の棒状部11を保持するセンサ固定具24と、第1の棒状部11の軸を中心とする第2の棒状部12の回転移動可能範囲を制限する補助固定具25と、が別体の取付治具であってもよい。センサ固定具24は、本実施形態のセンサ固定部21と同様の構成である。補助固定具25は、先端がL字状に折り曲げられたU字状の板状部材である。補助固定具25は、温度センサ1がセンサ固定具24によりリム部521に取り付けられた状態において、第2の棒状部12が挿通するように配置される。その状態において、補助固定具25は、第3の面522aに、例えば、溶接により又はボルト等を用いて取り付けられる。
【0042】
(5e)上記実施形態では、第1の棒状部11における感温部の設けられた部分を覆うように構成されたカバー部215を例示したが、カバー部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、カバー部218が温度センサ1の第1の棒状部11側の先端を全て覆う構成であってもよい。
【0043】
(5f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0044】
1…温度センサ、2,3…取付治具、5…ドラムブレーキ、11…第1の棒状部、12…第2の棒状部、13…芯線、21…センサ固定部、22,23…補助固定部、24…センサ固定具、25…補助固定具、51…ブレーキドラム、52…ブレーキシュー、53…ブレーキライニング、100…温度検出装置、211…第1の板部、212…第2の板部、213…連結板部、214…第1のスリット、215,218…カバー部、216…第1の凸部、217…第2の凸部、221…垂直部、222…平行部、223…第2のスリット、521…リム部、521a…第1の面、521b…第2の面、522…補強部、522a…第3の面。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9