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特許7050240ピロー包装体及びピロー包装体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ピロー包装体及びピロー包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20220401BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20220401BHJP
   B31B 70/81 20170101ALI20220401BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K7/00 H
B31B70/81
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021058286
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-05-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391027424
【氏名又は名称】株式会社フクヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】山路 誠記
(72)【発明者】
【氏名】伊東 哲也
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-152179(JP,A)
【文献】実開平07-031674(JP,U)
【文献】特開2008-16299(JP,A)
【文献】特開2004-185038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
B31B 70/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート体が積層されてなるシート積層体を収納すると共に前記シート体を取り出すための取出し口が上面に形成された袋体と、
前記袋体の前記上面に貼り付けられて前記取出し口を覆う封止ラベルと、を備え、
前記袋体は、前記上面と、前記上面に対面する底面と、前記上面及び前記底面を接続すると共に一対のガゼット部を含む一対の第一側面と、前記上面及び前記底面を接続すると共に一対のエンドシール部を含む一対の第二側面と、前記上面と前記一対の第一側面との境界である一対の上面側稜部と、を有し、
前記上面には、前記取出し口の周囲の領域に上面支持体が固定されており、
前記第一側面には、第一側面支持体が固定されており、前記第一側面支持体は、前記ガゼット部の折込ラインよりも上側に固定された第一側面上支持体と、前記折込ラインよりも下側に固定された第一側面下支持体とからなり、
前記上面支持体、前記第一側面上支持体、及び前記第一側面下支持体はそれぞれ別体とされ、前記上面支持体及び前記第一側面上支持体の間の隙間に前記上面側稜部が位置し、前記第一側面上支持体及び前記第一側面下支持体の間の隙間に前記折込ラインが位置する、ピロー包装体。
【請求項2】
前記第二側面には、前記エンドシール部よりも上側の領域にのみ、第二側面上支持体が取り付けられている、請求項1に記載のピロー包装体。
【請求項3】
複数枚のシート体が積層されてなるシート積層体を収納すると共に前記シート体を取り出すための取出し口が上面に形成された袋体と、前記袋体の前記上面に貼り付けられて前記取出し口を覆う封止ラベルと、を備えたピロー包装体の製造方法であって、
前記袋体の材料である長尺なシート状のフィルム材を進行方向に送りながら(i)~(iii)の工程を行い、
(i)前記フィルム材上において、前記袋体の前記上面に対応する位置であって前記進行方向に直交するフィルム材幅方向における中央部に上面支持体を固定し、前記袋体の一対のガゼット部を含む一対の第一側面に対応する位置であって前記フィルム材幅方向における前記上面支持体の両外側に一対の第一側面上支持体を固定すると共に前記フィルム材幅方向における前記一対の第一側面上支持体の更に両外側に一対の第一側面下支持体を固定し、その際、前記上面支持体及び前記第一側面上支持体が前記フィルム材幅方向に第一隙間をもって並び、前記第一側面上支持体及び前記第一側面下支持体が前記フィルム材幅方向に第二隙間をもって並ぶようにする
(ii)前記取出し口を形成すると共に前記取出し口を覆うように前記封止ラベルを貼付する
(iii)前記フィルム材を前記進行方向に平行な軸線を中心に円筒状に丸めて前記一対の第一側面下支持体の間にセンターシール部を形成する
次いで(iv)及び(v)の工程を行い、
(iv)前記上面と前記一対の第一側面との境界である一対の上面側稜部と、一対の折込ラインとを形成して前記一対のガゼット部を形成すると共に、前記フィルム材を裁断して内部に前記シート積層体を収納した前記袋体の中間体を形成する
(v)前記進行方向の端部においてエンドシール部を形成する
前記(iv)の工程では、前記第一隙間に前記上面側稜部を形成し、前記第二隙間に前記折込ラインを形成する、ピロー包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ又はフェイスマスク等のシート体が包装されてなるピロー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載されるように、内部にウェットティッシュを収納する包装体が知られている。包装体は、柔軟な合成樹脂材料からなる。包装体は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる。特許文献1に記載された包装体では、袋本体の上面に形成された取出口を覆うように、蓋材が貼着されている。取出口の近傍内面には、取出口よりも大きな開口を有する補強シートが固着されている。また特許文献2に記載された包装体では、取出口を覆う開閉蓋が開けられる際、摘み部の反対側の固定部と、両側端部が包装体の上面に残存する。これらの固定部と両側端部は、取出口の補強部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-150872号公報
【文献】特開2005-219777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の技術では、包装体の取出口を補強するため、包装体の上面に補強部材が設けられ得る。これにより、蓋材を開閉したり、ウェットティッシュ等のシート体を取り出したりした時でも、取出口又はその近傍が歪まず、上面の美観が保たれる。シート体の枚数が減少すると、包装体は柔軟な材料から形成されているため、全体の形状が崩れる傾向にあり、外観を損ない得る。形状を維持して外観性を保つために、例えば定形性を有する箱体等の容器を併用すること(例えば、容器に包装体を収容する、又は包装体内に容器を収容する等)も考えられるが、箱体のコストが必要となり、また製造工程も長くなり、様々な面で不利である。
【0005】
本発明は、袋体の形状を維持して良好な外観を保つことができるピロー包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のピロー包装体は、複数枚のシート体が積層されてなるシート積層体を収納すると共にシート体を取り出すための取出し口が上面に形成された袋体と、袋体の上面に貼り付けられて取出し口を覆う封止ラベルと、を備え、袋体は、上面と、上面に対面する底面と、上面及び底面を接続すると共に一対のガゼット部を含む一対の第一側面と、上面及び底面を接続すると共に一対のエンドシール部を含む一対の第二側面と、を有し、上面には、取出し口の周囲の領域に上面支持体が取り付けられ、第一側面には、第一側面支持体が取り付けられている。
【0007】
このピロー包装体によれば、シート体が取り出される際、上面に取り付けられた上面支持体が、取出し口及び取出し口の周囲の部分の形状を維持する。使用の過程においてシート体の枚数が減少すると、袋体は、シート積層体によって内部から支持されにくくなるが、第一側面に取り付けられた第一側面支持体が袋体の形状が崩れることを防止する。よって、このピロー包装体によれば、袋体の形状を維持して良好な外観を保つことができる。
【0008】
第一側面支持体は、ガゼット部の折込ラインよりも上側に設けられた第一側面上支持体と、折込ラインよりも下側に設けられた第一側面下支持体とからなってもよい。このように第一側面支持体が2部材に分割されていると、ガゼット部の変形(折込ラインにおける折れ曲がり)を妨げることなく、袋体の第一側面を支持することができる。
【0009】
袋体の底面には、底面支持体が取り付けられていてもよい。この構成によれば、袋体の全体にわたって、形状が崩れることをより確実に防止することができる。
【0010】
袋体の第二側面には、エンドシール部よりも上側の領域にのみ、第二側面上支持体が取り付けられていてもよい。第二側面の上側にも第二側面上支持体が取り付けられることで、袋体は、使用の過程においても略直方体形状を維持することができる。なお、エンドシール部よりも下側の領域には支持体は設けられず、袋体を形成するフィルム材のみである。袋体の下側にはシート積層体が残存する点、また第一側面に第一側面支持体が設けられる点を考慮すると、第二側面の下側の支持体は不要であると考えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピロー包装体によれば、袋体の形状を維持して良好な外観を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るピロー包装体を示す斜視図である。
図2図1のピロー包装体を底面側から見て示す斜視図である。
図3図3(a)は製造工程における各支持体の取付工程を示す図であり、図3(b)は取出し口の形成工程を示す図である。
図4図4(a)は製造工程における封止ラベルの取付工程を示す図であり、図4(b)はセンターシール部の形成工程を示す図である。
図5図5(a)は製造工程におけるガゼット部の形成工程を示す図であり、図5(b)はエンドシール部の形成工程を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るピロー包装体を示す斜視図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8(a)は実施例に係るピロー包装体の外観写真であり、図8(b)は比較例に係るピロー包装体の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。本明細書において、袋体3に関して「上面」「底面」「側面」「水平」との語は、ピロー包装体1,1Aが使用可能となるように取出し口8が上方に向けられ、ピロー包装体1,1Aが水平な載置面上に載置された状態を基準として用いられる。
【0014】
図1に示されるように、一実施形態に係るピロー包装体1は、複数枚のウェットティッシュ(シート体)が折り畳まれた状態で積層されてなるシート積層体100(図7参照)を収納した容器である。ピロー包装体1は、シート積層体100と、シート積層体100を収納する袋体3とを備える。ウェットティッシュは、例えば不織布等からなる矩形のシートであり、水、又は所定の組成を有する液剤により湿潤されている。ウェットティッシュは、取出し口8から1枚ずつ取り出して使用され得るよう、折り畳まれた状態で、シート積層体100の厚み方向(袋体3の底面5から上面4に向かう方向)に積層されている。シート積層体100は公知の方法により製造され得る。
【0015】
袋体3は、例えばプラスチックフィルム製である。袋体3は、例えば薄いフィルムから形成されているため、柔らかい。袋体3は、安定した定形性を有しておらず、変形自在である。袋体3の厚みは、例えば、50μm~100μmである。袋体3は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はナイロン等からなる。袋体3は、例えば、PETと、PPまたはPEとからなる2層構造である。その場合に、表面側のフィルムがPETからなり、裏面側(内面側)のフィルムがPPまたはPEからなってもよい。なお、袋体3は、PP、PE、PET、ナイロン等からなる単層構造であってもよく、PET/PPまたはPEからなる3層構造であってもよい。袋体3は、例えば、ウェットティッシュに含浸された水分又は液剤の成分を袋体3の内部に保持できるよう、気密性及び液密性(封止性、又は密閉性)を有する。
【0016】
袋体3は、不透明であってもよく、透明であってもよい。図1に示される例では、袋体3が不透明であるため、内部のシート積層体100は見えない。袋体3が透明である場合には、内部のシート積層体100は外部から見える。なお、図7は、後述する他の実施形態に係るピロー包装体1Aを示す断面図であるが、稜部20に形成された4つのシール部30を除けば、ピロー包装体1もピロー包装体1Aと同様の断面(構造)を有する。
【0017】
本実施形態の袋体3は、それ自体で定形性を有していないものの、後述する各種支持体により、直方体形状を維持している。図1及び図2を参照して、袋体3の構造について詳述する。図1及び図2に示されるように、袋体3は、長方形状の上面4と、上面4と上下方向において対面する底面5と、上面4の長辺部に接続された一対の第一側面6,6と、上面4の短辺部に接続された一対の第二側面7,7とを有する。底面5は、上面4と略同じ形状及び大きさを有する。一対の第一側面6,6は、上面4の長辺部と底面5の長辺部とを接続する。一対の第二側面7,7は、上面4の短辺部と底面5の短辺部とを接続する。
【0018】
上面4、一対の第一側面6,6、一対の第二側面7,7、及び底面5は、1枚のフィルム材からなり、互いに連続する。一対の第一側面6,6は、一対のガゼット部12,12を含む。第一側面6のガゼット部12は、ピロー包装体1が未使用であるか、又は袋体3内のウェットティッシュの枚数が多い場合には、1つの平面に近い形状を呈する。一方、袋体3内のウェットティッシュの枚数が減少した場合には、ガゼット部12は、水平方向に延びる直線状の折込ライン12aに沿って凹んだ形状を呈する。図1及び図2には、折込ライン12aが仮想線で示されている。
【0019】
一対の第二側面7,7は、水平方向に延びる一対のエンドシール部13,13を含む。第二側面7は、上面4の短辺部に接続された長方形状の上側面部17と、底面5の短辺部に接続された長方形状の下側面部18と、一対の第一側面6,6の端部に接続された一対の折込面部19,19とを含む。上側面部17と下側面部18の端縁に、エンドシール部13が形成される。折込面部19は、第一側面6に連続しており、ガゼット部12(折込ライン12a)の形成によって、上側面部17と下側面部18の内面側に折り込まれている。ピロー包装体1では、折込面部19,19、下側面部18、及び上側面部17が折り畳まれ、エンドシール部13が、下側面部18に例えばホットメルト接着剤により接着される。これにより、上側面部17及びエンドシール部13が最も外側に位置する状態で、第二側面7が1つの平坦な側面を形成する。なお、図1では、折込面部19,19、下側面部18、及び上側面部17が折り畳まれておらず、エンドシール部13のみが形成され、広がった状態の第二側面7が示されている。さらに、図2に示されるように、底面5と、一対の第二側面7,7の下側である下側面部18,18とにわたって、センターシール部15が形成されている。
【0020】
図1に示されるように、上面4には、ウェットティッシュを取り出すための楕円形の取出し口8が形成されている。取出し口8は、ウェットティッシュの取出しのために十分な大きさを有する。取出し口8は、例えば、上面4の中央部に形成されている。取出し口8の形状は、矩形(長方形)でもよいし、他の任意の形状であってもよい。
【0021】
ピロー包装体1は、袋体3の上面4に貼り付けられて取出し口8を覆うプラスチックフィルム製の封止ラベル9を備える。封止ラベル9は、例えば、略矩形状を呈する。封止ラベル9は、取出し口8よりも大きい面積を有し、取出し口8の全体を覆う。封止ラベル9は、取出し口8を覆った上で、上面4の表面に貼り付けられている。封止ラベル9の裏面には粘着部が設けられており、これにより、袋体3の上面4に対して封止ラベル9が繰り返し剥離・接着可能となっている。すなわち、封止ラベル9は、取出し口8を覆うと共に繰り返し開閉可能に構成されている。封止ラベル9の一端部には、例えば半円状の摘み部9aが設けられており、この摘み部9aは、上面4には接着されず僅かに遊離している。ピロー包装体1の使用者は、摘み部9aを指でつまんで封止ラベル9を持ち上げ、上面4から封止ラベル9を剥離させ、取出し口8を露出させることができる。封止ラベル9の構成は、公知の構成を採り得る。封止ラベル9の構成は、公知の構成(例えば、PET、PP、PEからなる単層、PET/PPまたはPEからなる2層または3層)であってもよい。封止ラベル9の形状についても、密閉性を保てる形状であればどのような形状であってもよい。
【0022】
本実施形態のピロー包装体1は、直方体形状を維持し、良好な外観を保つための構造を備えている。図1に示されるように、上面4の裏面には、四角形枠状の上面支持体24が取り付けられている。上面支持体24は、上面4よりも一回り小さい程度の長方形状を呈している。上面支持体24の中央部には、長方形状の開口24aが形成されている。開口24aは、取出し口8よりも大きく、封止ラベル9よりも僅かに大きい。上面支持体24は、取出し口8の周囲の領域に取り付けられている。
【0023】
さらに、図1及び図2に示されるように、一対の第一側面6,6の裏面のそれぞれには、第一側面支持体26が取り付けられている。各第一側面支持体26は、ガゼット部12の折込ライン12aを境界として、2部材に分割されている。各第一側面支持体26は、折込ライン12aよりも上側に設けられた長方形状の第一側面上支持体26Aと、折込ライン12aよりも下側に設けられた長方形状の第一側面下支持体26Bとからなる。言い換えれば、第一側面上支持体26A及び第一側面下支持体26Bは、折込ライン12aの位置で分離しており別体とされている。第一側面上支持体26A及び第一側面下支持体26Bは、例えば、等しい形状及び大きさを有する。折込ライン12aに重なる範囲では支持体が設けられておらず、ガゼット部12の変形が支障なく可能となっている。
【0024】
上面支持体24、第一側面上支持体26A及び第一側面下支持体26Bのそれぞれは、例えば、50μm~200μm(典型的には例えば100μm程度)の厚みを有する。
【0025】
さらに、図2に示されるように、底面5には、長方形状の底面支持体25が取り付けられている。底面支持体25は、センターシール部15を境界として、2部材に分割されている。底面支持体25は、センターシール部15の両側に設けられた分割支持体28,29からなる。
【0026】
また、図1に示されるように、各第二側面7には、エンドシール部13よりも上側の領域である上側面部17の裏面において、長方形状の第二側面上支持体27が取り付けられている。第二側面上支持体27は、上側面部17の裏面にのみ取り付けられており、下側面部18には、支持体は取り付けられていない。折込面部19,19、下側面部18、及び上側面部17が折り畳まれて、第二側面7が1つの平坦な側面を形成する状態で、第二側面上支持体27は、当該側面の上半分に配置される。
【0027】
底面5に設けられた分割支持体28,29(底面支持体25)、及び、第二側面上支持体27も、それぞれ、例えば、50μm~200μm(典型的には例えば100μm程度)の厚みを有する。
【0028】
第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、底面支持体25の分割支持体28,29、及び第二側面上支持体27の各部材も、上面支持体24と同様、各部材が取り付けられる各面よりも一回り小さい程度の長方形状を呈している。これにより、上面4、一対の第一側面6,6、一対の第二側面7,7、及び底面5が、形状を保持し得る。
【0029】
上面支持体24、第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、底面支持体25の分割支持体28,29、及び第二側面上支持体27は、それぞれ、例えば、定形性を有するプラスチック製のシート状部材(薄板部材)である。これらの各支持体は、例えば、PET、PP、PEからなる単層の部材、又は、PETとPPまたはPEとからなる複数層の部材であってもよい。各支持体は袋体3の裏面側に貼付・固定される。
【0030】
続いて、図3図5を参照して、本実施形態のピロー包装体1の製造方法について説明する。ピロー包装体1は、例えば、公知のピロー包装機を用いて製造され得る。図3(a)に示されるように、袋体3の原材料である長尺なシート状のフィルム材40を、ロール(図示せず)から繰り出して進行方向Dに送る。以下の図3及び図4に示される各工程は、フィルム材40を進行方向Dに送りながら行われる。
【0031】
まず、フィルム材40の裏面(下面側)に、上面支持体24、第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、底面支持体25の分割支持体28,29、及び第二側面上支持体27が貼付される。開口24aを有する枠状の上面支持体24が、フィルム材40の幅方向中央部に貼付される。上面支持体24の幅方向の一方側に、第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、及び分割支持体29が貼付され、上面支持体24の幅方向の他方側に、第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、及び分割支持体28が貼付される。上面支持体24の進行方向Dの一方側に、第二側面上支持体27が貼付される。なお、図3(a)に示される例では、一方の第二側面上支持体27のみが貼付されており、他方の第二側面上支持体27がまだ貼付されていない。進行方向Dにおいて各支持体が貼付される間隔(図3(b)参照)は、袋体3の大きさ(長辺方向の長さ)を基準として、可能な限り歩留まりを向上させるように設定される。
【0032】
次の工程では、図3(b)に示されるように、上面支持体24の開口24a内においてフィルム材40に対してハーフカット加工を行う。ハーフカット加工では、フィルム材40の厚みの一部を残して、取出し口8の形状に切込み8aが形成される。例えば楕円形の切込み8aが開口24a内に形成される。切込み8aの内部は、抜きフィルム片8bとなる。抜きフィルム片8bは、封止ラベル9の最初の開封時までは、袋体3内の気密性を保持する。封止ラベル9が最初に開封される際、封止ラベル9の裏面の粘着部に貼り付いた抜きフィルム片8bが引っ張り上げられ、上記切込み8aの部分が破断する。抜きフィルム片8bは封止ラベル9と一体になって、上面4から抜き取られる。なお、ハーフカット加工に替えて、取出し口8の形状にミシン目が形成されてもよい。
【0033】
さらに次の工程では、図4(a)に示されるように、取出し口8を覆うように、フィルム材40の表面に、順次、封止ラベル9が貼付される。次に、図4(b)に示されるように、フィルム材40が進行方向Dに平行な軸線を中心に円筒状に丸められ、熱融着によってセンターシール部15が形成される。センターシール部15は、円筒状に形成されたフィルム材40において互いに近接した分割支持体28及び29の間に形成される。
【0034】
続いて、図5(a)に示されるように、ガゼット部12が形成されると共に、フィルム材40が適宜の位置で裁断され、袋体3の中間体50が形成される。このとき、湿潤されたウェットティッシュ(シート体)からなるシート積層体が、中間体50の内部に挿入される。第一側面6においては、第一側面上支持体26Aと第一側面下支持体26Bの間の隙間に折込ライン12aが位置することになるため、ガゼット部12が支障なく形成される。そして、図5(b)に示されるように、エンドシール部13が順次形成され、図1に示したピロー包装体1が製造される。
【0035】
本実施形態のピロー包装体1によれば、ウェットティッシュが取り出される際、上面4に取り付けられた上面支持体24が、取出し口8及び取出し口8の周囲の部分の形状を維持する。使用の過程においてウェットティッシュの枚数が減少すると、袋体3は、シート積層体100によって内部から支持されにくくなる。しかし、第一側面6に取り付けられた第一側面支持体26が袋体3の形状が崩れることを防止する。よって、このピロー包装体1によれば、袋体3の形状を維持して良好な外観を保つことができる。封止ラベル9の開閉を繰り返した場合でも、上面支持体24及び第一側面支持体26が、袋体3の形状を維持する。このことは、再び取出し口8を閉じる際に封止ラベル9を美しく貼り易いという利点を生じさせる。またピロー包装体1は、箱体のような別途の補強用の容器を要しない。よって、シンプルな構成で、コストを抑えつつ、外観性の向上を実現する。なお、袋体3の表面に、商品に関する印刷が施されてもよい。
【0036】
第一側面支持体26は、ガゼット部12の折込ライン12aよりも上側に設けられた第一側面上支持体26Aと、折込ライン12aよりも下側に設けられた第一側面下支持体26Bとからなる。このように第一側面支持体26が2部材に分割されていると、ガゼット部12の変形(折込ライン12aにおける折れ曲がり)を妨げることなく、袋体3の第一側面6を支持することができる。
【0037】
袋体3の底面5には、底面支持体25が取り付けられている。これにより、袋体3の全体にわたって、形状が崩れることをより確実に防止することができる。
【0038】
袋体3の第二側面7には、上側面部17にのみ、第二側面上支持体27が取り付けられている。第二側面7の上側にも第二側面上支持体27が取り付けられることで、袋体3は、使用の過程においても略直方体形状を維持することができる。特に上側面部17では、使用の過程においてウェットティッシュの枚数が減少すると、凹みが生じ易い。第二側面上支持体27は、そのような凹みを防止し得る。また、エンドシール部13よりも下側の領域には支持体は設けられず、袋体3を形成するフィルム材のみである。このような構成により、従来の製造工程に対して大きな変更を加えることなく、外観性に優れたピロー包装体1を製造することができる。
【0039】
続いて、図6及び図7を参照して、他の実施形態に係るピロー包装体1Aについて説明する。図6に示されるピロー包装体1Aが先の実施形態のピロー包装体1と違う点は、上面4及び底面5と、一対の第一側面6,6との間のそれぞれの境界線上、すなわち4つの稜部20に、シール部30が形成された点である。図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。図7に示されるように、袋体3は、例えば、PETからなる表面側の第一層31と、PPまたはPEからなる裏面側の第二層32とを含む2層のラミネート構造である。各稜部20の全長にわたって、第二層32が所定幅をもって熱融着により貼り合わされされている。シール部30は、袋体3をなすフィルム材2枚分に相当する厚みを有する。つば状の構造を有して直線状に延びるシール部30が、ピロー包装体1を補強する。
【0040】
シール部30は、例えば、先の実施形態の説明におけるガゼット部12の形成工程において(図5(a)参照)、ガゼット部12の形成と同時に、又はガゼット部12を形成した直後に形成されてもよい。これにより、例えばエンドシール部13を形成した後に、シール部30を形成するための工程(二次工程)を追加する必要がない。
【0041】
本実施形態のピロー包装体1Aによれば、ピロー包装体1と同様の作用・効果が奏される。加えて、4つの稜部20に形成された4つのシール部30が、袋体3の形状維持機能を向上させる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、第一側面支持体26が、折込ライン12aの位置で折り曲げ可能な一枚の支持体からなってもよい。底面支持体25が省略されてもよい。
【0043】
シート体は、ウェットティッシュに限られない。シート体は、フェイスマスク、乳児用のお尻拭きを含む衛生用品、又は他のあらゆる種類の湿潤シート体であってもよい。シート体は、乾いたティッシュ等の枚葉体であってもよい。
【0044】
袋体3及び封止ラベル9は、アルミニウムフィルム製等の軽量な金属フィルム製であってもよい。各支持体に関しても、アルミニウムフィルム製等の軽量な金属フィルム製であってもよい。
【0045】
封止ラベル9が、使用開始時に完全に取り外されてもよい。この場合、上面4に、取出し口8を開閉するキャップが設けられてもよい。キャップが袋体3内の気密性を保持するように構成され、使用開始時に、封止ラベル9が完全に剥がされて取り去られてもよい。
【0046】
各支持体は、袋体3の裏面ではなく、袋体3の表面に取り付けられてもよい。上記した実施形態に記載の支持体のうち、一部が袋体3の裏面に取り付けられ、他の一部が袋体3の表面に取り付けられてもよい。袋体3の表面に取り付けられた支持体に、商品に関する印刷が施されてもよい。
【0047】
各支持体の材質は特に限定されない。例えば、支持体が袋体3の外部に接着される場合であれば、紙製であってもよい。
【0048】
図3図5を参照してピロー包装体1の製造方法について説明したが、ピロー包装体1の製造方法は上記実施形態に限られない。図3(a)に示される各支持体の取付工程において、上面支持体24に開口24aが形成されていなくてもよい。その場合、開口24aを有しない上面支持体24が、支持体の取付工程で取り付けられ、その後の取出し口8の形成工程(図3(b)参照)において、フィルム材40に対してハーフカット加工(裏面側からのハーフカット加工)をする際、開口が打ち抜かれてもよい。上面支持体24の開口と切込み8aが同時に形成されるので、当然ながら、上面支持体24の開口は、切込み8a(抜きフィルム片8b)と同じ形状及び大きさを有する。
【0049】
また、図3(b)に示される取出し口8の形成工程において、フィルム材40に対してハーフカット加工ではなくフルカット加工を行うことで、抜きフィルム片8bと上面支持体24の開口が同時に打ち抜かれてもよい。上面支持体24の略全面がフィルム材40に貼り付けられていれば、抜きフィルム片8bと上面支持体24の抜き片は互いに密着して一体化される。抜きフィルム片8bと上面支持体24の抜き片は、封止ラベル9が最初に開封される際、封止ラベル9の裏面の粘着部に貼り付いて上面4及び上面支持体24から抜き取られる。
【0050】
図3図5に示された工程を一度に行うのではなく、円筒状に丸められたフィルム材40にセンターシール部15が形成されたものを一度ロール状に巻き取り、その後、ガゼット部12の形成工程(ガゼット加工)とエンドシール部13の形成工程とを、別の工程として行ってもよい。
【0051】
図8を参照して、試作品のテスト結果について説明する。図8(a)は、実施例に係るピロー包装体の外観写真であり、図8(b)は、比較例に係るピロー包装体の外観写真である。実施例及び比較例では、袋体として、PET(表面側)とPE(裏面側)からなる2層構造のフィルム材を用いた。実施例及び比較例において、フィルム材の厚みはそれぞれ84μmとした。実施例では、上面支持体24、第一側面上支持体26A、第一側面下支持体26B、及び分割支持体28,29を各面に貼付した(なお第二側面上支持体27は取り付けられていない)。これらの支持体はいずれもPETからなる。実施例における各支持体の厚みは84μmとした。
【0052】
図8(a)に示されるように、実施例に係るピロー包装体では、内容物(シート積層体100に相当する)が半分以下の状態でも、直方体形状が維持され、美しい外観が保たれた。図8(b)に示されるように、比較例に係るピロー包装体では、上面4、第一側面6、第二側面7、及び底面5の各面において歪み又は凹み等といった変形が見られ、ピロー包装体全体としての外観が損なわれる結果となった。
【符号の説明】
【0053】
1,1A…ピロー包装体、3…袋体、4…上面、5…底面、6…第一側面、7…第二側面、8…取出し口、9…封止ラベル、12…ガゼット部、12a…折込ライン、13…エンドシール部、15…センターシール部、17…上側面部、18…下側面部、19…折込面部、20…稜部、24…上面支持体、25…底面支持体、26…第一側面支持体、26A…第一側面上支持体、26B…第一側面下支持体、27…第二側面上支持体、28,29…分割支持体、30…シール部、31…第一層、32…第二層、40…フィルム材、50…中間体、100…シート積層体。
【要約】
【課題】袋体の形状を維持して良好な外観を保つことができるピロー包装体を提供する。
【解決手段】ピロー包装体1は、複数枚のシート体が積層されてなるシート積層体100を収納すると共に取出し口8が上面4に形成された袋体3と、上面4に貼り付けられて取出し口8を覆う封止ラベル9と、を備える。袋体3は、上面4と、底面5と、一対の第一側面6,6と、一対の第二側面7,7と、を有する。上面4には、取出し口8の周囲の領域に上面支持体24が取り付けられ、第一側面6,6には、第一側面支持体26,26が取り付けられている。
【選択図】図1
図1
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図8