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  • 特許-焼成食品の製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】焼成食品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20220401BHJP
   B26D 3/28 20060101ALI20220401BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20220401BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A47J37/04 101A
B26D3/28 610Q
B26D7/18 D
B26D7/32 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018003683
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019122485
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀明
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221175(JP,A)
【文献】特開2003-274917(JP,A)
【文献】特開平09-187375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
B26D 3/28
B26D 7/18
B26D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理板上に横並びに載せられた複数個の1個分量の焼成食品材料が循環移送されることで焼成される焼成食品の製造装置であって、該製造装置の近くに備られたスライサーと製造装置との間に、スライサーから周期的に切り出される肉片を受けて焼成途中の複数の1個分量の焼成食品材料へ個別に供給する受け渡し手段を介在させ、この受け渡し手段を、スライサーから切り出される肉片を、その始端部で受けて終端部から焼成途中の横並び1列分の焼成食品材料順次供給する、焼成食品材料の循環移送方向に対して直交する方向に伸縮可能なシャトルコンベヤとしたことを特徴とする焼成食品の製造装置
【請求項2】
前記受け渡し手段の終端部が、前記調理板上に横並びに載せられた複数個の焼成食品材料のうちの左右両端の焼成食品材料の間に亘って、焼成食品材料の循環移送方向に対して直交する水平な方向に伸縮する構成とした請求項1に記載の焼成食品の製造装置
【請求項3】
肉片が焼成食品材料へ供給されるまでの移送経路に、横並びの焼成食品材料の横方向の間隔に相当する肉片の移送間隔保つ調整手段が設けられている請求項1または請求項2に記載の焼成食品の製造装置。
【請求項4】
前記受け渡し手段は、その始端部にスライサー側の取出しコンベヤら肉片を周期的に受け取っ間隔を保ちながら順次移送し、移送された先頭の肉片が、前記調理板の側端に位置する焼成食品材料の上方位置に到達したときに、前記受け渡し手段の終端部を縮めて、この受渡し手段上の肉片をその終端部から順次落下させ、下方の焼成食品材料に供給する構成とした請求項3に記載の焼成食品の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お好み焼きなどの焼成食品の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する先行技術には、例えば特許文献1があり、この特許文献1には、複数のトレー2を順次エンドレスに搬送しながら加熱してクレープの供給・成型から具材の供給味付け、豚肉の供給などの一連の工程を1回りして焼き上げるお好み焼き焼成調理装置が記載されている。
そして、この装置には、「所定の大きさ、厚みでカットされている豚肉を重ねた状態で低温を維持しながらストックしておき、豚肉の上端をセンサーで検知して一定の高さに保つようにする機構とそこから豚肉を一枚つ分離して取り出し、トレーに供給する機構10bが設けられている。(明細書段落0017)
又、特許文献2には、4列同時に製造するお好み焼きの自動製造装置が開示されていて、行程途中には肉類、魚類等の具を載せるトッピングスペース6が設けられている(明細書段落0017)が、供給手段については記載がない。
【0003】
特許文献1における上記の構成においては、詳細な構成は示されてないが、加工された豚肉の低温維持管理、重ねられてお互い付着し合っている豚肉片を正確に一枚ずつ分離しての取出し、軟弱で付着しやすい肉片の所定位置への供給など容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-66316号公報
【文献】特開平8-275756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような従来の焼成食品の製造過程における食肉の供給手段の係る問題点を解消するためになされたものであって、スライサーでスライスされたままの肉片を正確に焼成中の材料に供給できる焼成食品の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、調理板上に横並びに載せられた複数個の1個分量の焼成食品材料が循環移送されることで焼成される焼成食品の製造装置であって、該製造装置の近くに備られたスライサーと製造装置との間に、スライサーから周期的に切り出される肉片を受けて焼成途中の複数の1個分量の焼成食品材料へ個別に供給する受け渡し手段を介在させ、この受け渡し手段を、スライサーから切り出される肉片を、その始端部で受けて終端部から焼成途中の横並び1列分の焼成食品材料順次供給する、焼成食品材料の循環移送方向に対して直交する方向に伸縮可能なシャトルコンベヤとしたことを特徴とする焼成食品の製造装置る。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記受け渡し手段の終端部が、前記調理板上に横並びに載せられた複数個の焼成食品材料のうちの左右両端の焼成食品材料の間に亘って、焼成食品材料の循環移送方向に対して直交する水平な方向に伸縮する構成とした請求項1に記載の焼成食品の製造装置る。
【0008】
請求項3に記載の発明は、肉片が焼成食品材料へ供給されるまでの移送経路に、横並びの焼成食品材料の横方向の間隔に相当する肉片の移送間隔保つ調整手段が設けられている請求項1または請求項2に記載の焼成食品の製造装置とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記受け渡し手段は、その始端部にスライサー側の取出しコンベヤら肉片を周期的に受け取っ間隔を保ちながら順次移送し、移送された先頭の肉片が、前記調理板の側端に位置する焼成食品材料の上方位置に到達したときに、前記受け渡し手段の終端部を縮めて、この受渡し手段上の肉片をその終端部から順次落下させ、下方の焼成食品材料に供給する構成とした請求項3に記載の焼成食品の製造装置る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加工後保存された肉片を使用しないで、焼成食品の製造装置の近くに置かれたスライサーで一回にスライスされた分量毎に分離された肉片を、受け渡し手段で受けて焼成途中の焼成食品材料に正確に供給できるので、鮮度の高い肉片が使用されるため食味の良い焼成食品が安定して得られる。又、加工された肉片の管理を要しないので生産工程が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第一実施例の焼成食品の製造装置における肉片の供給手段を模式的に表示した平面図である。
図2図1の正面図である。
図3】第2実施例の平面図である。
図4】第2実施例における作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図12を参照しながら本発明に係る焼成食品の製造装置における主に肉片の供給手段について説明する。
【0013】
本発明に係る焼成食品の製造装置は、限定されるものではなく、特許文献1、2等に見られるように、供給された材料が加熱されながら一連の工程を循環して焼き上がる装置であって途中で肉片が供給される構成であればよい。
図1には製造装置の詳細は記載されていないが、無端帯などからなる循環移送手段1に複数個の焼成食品2が所定の間隔を空けて横並びに整列されて載せられ一方向に移送されており、循環移送手段1の近くには小空間を隔てた側方位置に食肉スライサー3が据え付けられる。
この食肉スライサー3も限定されるものでなく、詳細表示も省略するが、部分肉を保持して所定量ずつ送り出す肉箱と相対移動する回転刃物によって部分肉の先端を所定の厚みで周期的に切削して肉片mとして付属の取出しコンベヤ4上に切り出す構成である。
取出しコンベヤ4で取り出される肉片mは、一回に切り出される肉片を単位として所望する間隔を空けて取り出せるように図示しないが切り出し速度に対する取出しコンベヤ4の走行速度を可変とした駆動手段が設けられている。
【0014】
取出しコンベヤ4の終端部下方には、肉片mを始端部で受けて循環移送手段1で移送中の焼成食品2の上方位置まで移送可能な受け渡し手段として、図1に示されるように先頭の肉片mが循環移送手段1の側端部に位置する焼成食品2上まで達するように、ベルトコンベヤ5が循環移送手段1を横切って延設されている。
【0015】
ベルトコンベヤ5は、終端部が図2に仮想線で示されるように循環移送手段1の少なくとも横並びで移送中の複数の焼成食品を含む全横幅(左右両端の焼成食品における端部から端部までの距離)に相当する間に亘って適宜な伸縮機構で循環移送方向に直交して水平方向に伸縮可能なシャトルコンベヤとされる。
ベルトコンベヤ5の構成は、複数のローラー6に掛け回されいずれかの固定ローラーが図示しない可変モーターに連結されている。
又、ベルトコンベヤ5は、取出しコンベヤ4から肉片mを順次受け取るが、コンベヤ5上における先行する肉片mとの間隔pは循環移送手段1における焼成食品2の横方向の間隔pに合致させる必要があり、取出しコンベヤ4とベルトコンベヤ5との相対速度を調整することで行われる。
【0016】
受け渡し手段である前記ベルトコンベヤ5は、始端部で取出しコンベヤ4から肉片mを周期的に受け取って循環移送手段1に向けて間隔pを保って順次移送するが、先頭の肉片mが横並びの最側端に位置する焼成食品2に対向する上方位置に到達したときに、循環移送手段1で移送される複数の横並び焼成食品2が図1に示されるようにベルトコンベヤ5で移送されて肉片mのそれぞれと対向する位置と重なるようベルトコンベヤ5の走行速度が適宜な制御手段で調整される。
【0017】
このように、横並び焼成食品2と重なる上方位置に肉片mが移送されてきたとき(図1の状態)シャトルコンベヤを一気に縮めて(図2の状態)コンベヤ上の肉片mを順次下方の焼成食品上に落下させ供給する。
【0018】
次に第2実施例について図3、図4を用いて説明する。本例における受け渡し手段は、循環移送される複数の横並びの焼成食品2の全横幅に見合う幅寸法と、焼成食品2の移送方向に走行可能な肉片mを載せられる長さを有した移送帯7と、移送帯7を食肉スライサー3の取出しコンベヤ4から肉片mの受け取り位置(図4における実線表示位置)と横並び焼成食品2に対向する肉片mの供給位置(図3における仮想線位置)との間をスライド移動させる図示しない移動機構からなり、移送帯7は受取位置において横並び焼成食品2の間隔pと同じ間隔pを保持させるよう小刻みに移動して肉片mを受取り、横並び焼成食品2と同数となれば一気に供給位置までスライド移動させる。
この際に、横並び焼成食品2移送帯7から肉片mが供給される好適な位置に合致するよう循環移送手段1を制御する。
【0019】
このようにして、移送帯7上に横並び焼成食品2に見合う数の肉片mが揃った状態にある循環移送手段1の横並び焼成食品への供給位置において、移送帯7を走行させて肉片mを横並び1列分の焼成食品2すべてに対して同時に落下させて供給する。供給が終われば移送帯7は肉片受取位置に戻り前記の動作を繰り返す。
【0020】
この実施例2においては、食肉スライサー3から周期的に切り出される肉片mの取出しコンベヤ4から移送帯7で順次受けた肉片mを対向する横並び焼成食品2上に一斉に落下させて供給するので個々の焼成食品の焼成時間が変わることなく均一に焼成させることができる。
【0021】
前述したように本発明に係る肉片の焼成食品への供給は、図1、図2に示されるように焼成装置から小空間を隔てた側方位置に備えられた食肉スライサーから、受け渡し手段を介して行うようにしたのでスライサー本体の各部、原料肉への焼成装置の熱による悪影響が防止される。
又、具体的な説明は省略するが受け渡し手段による移送中の肉片mを目視や適宜な監視手段で検査することで欠落による供給漏れが防止できる。
【0022】
本発明における焼成食品としては代表的にお好み焼きであって、使用される食肉は豚肉とされるが、焼成食品が焼きそばであっても適用される。
【符号の説明】
【0023】
1 循環移送手段
2 焼成食品
3 食肉スライサー
5 ベルトコンベヤ
7 移送帯
図1
図2
図3
図4