(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】製紙機
(51)【国際特許分類】
B26D 7/18 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
B26D7/18 E
(21)【出願番号】P 2017189244
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 義晃
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121125(JP,A)
【文献】特開平08-252473(JP,A)
【文献】特開2009-291852(JP,A)
【文献】特開平10-086097(JP,A)
【文献】特開2007-137633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前工程で形成された成形紙に裁断によって仕上を行う仕上部と、仕上部で生じる裁断屑を搬送対象物として風送する搬送装置と、風送される搬送対象物を収容する収容部と、仕上部と搬送装置の動作を制御する制御装置を備え、
搬送装置は、少なくとも複数の搬送風供給部が個々に単独稼働可能に設けられ、
制御装置は送風制御装置を有し、送風制御装置は、搬送装置の各搬送風供給部の稼働を制御して収容部における搬送対象物の配送位置を
変更調整
し、
搬送装置は、複数の搬送風供給部から収容部に向けて延びるガイド板の搬送面上において搬送対象物が風送される搬送ガイド部を有し、各搬送風供給部が供給する搬送風によって搬送ガイド部のガイド板の搬送面上に気流を形成し、
制御装置の送風制御装置は、搬送装置の各搬送風供給部の稼働を制御してガイド板の搬送面上に気流の分布パターンを形成し、気流の分布パターンを経時的に変化させて搬送対象物の配送位置を変更調整することを特徴とする製紙機。
【請求項2】
制御装置の送風制御装置は、気流の分布パターンを所定のタイミングで変化させることを特徴とする請求項1に記載の製紙機。
【請求項3】
搬送装置は、ガイド板の搬送面に複数の凸状部と凸状部間の通気路とを有することを特徴とする請求項1に記載の製紙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙機に係り、耳紙等の裁断屑を排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製紙機としては、例えば特許文献1に記載する断裁装置を備えたものがある。この断裁装置は、古紙を離解させた古紙パルプ液から抄紙した帯状紙を、所定サイズの再生紙に断裁する仕上げ部をなすものである。断裁装置は、搬送部により帯状紙を紙匹の長手方向に沿って搬送し、帯状紙の幅方向に延在するカッターで帯状紙を搬送方向と交差する方向に断裁する。そして、制御装置は、検知手段により帯状紙の前端部がカッターまたはカッターより所定長さ上流側に搬送されてきたことを検知したときに、カッターにより帯状紙を断裁し、帯状紙の前端部から所定範囲内については再生紙のサイズより細寸に繰り返し切断する。
【0003】
そして、カッターにより帯状紙を長手方向において所定サイズの断裁紙片に断裁した後に、スリッターにより断裁紙片の側縁部を搬送方向に沿って断裁する。スリッターよる断裁で生じた端材、いわゆる耳紙はガイドにより断裁紙片の搬送面より下方に導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製紙機では、仕上げ部で生じた耳紙の裁断屑は収容箱に収容している。しかし、裁断屑は仕上げ部から常に同一方向に向けて排出されるので、収容箱の内部に積み上がる裁断屑は収容箱内に偏在する状態となり、収容箱の容量の全てを活用することができず、収容箱が裁断屑で満杯となる前に一部の断裁屑が収容箱から溢れ出る事態が発生する場合がある。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、製紙機の仕上げ部から排出する裁断屑を収容部内に偏りのない状態に積み上げることができる製紙機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る製紙機は、前工程で形成された成形紙に裁断によって仕上を行う仕上部と、仕上部で生じる裁断屑を搬送対象物として風送する搬送装置と、風送される搬送対象物を収容する収容部と、仕上部と搬送装置の動作を制御する制御装置を備え、搬送装置は、少なくとも複数の搬送風供給部が個々に単独稼働可能に設けられ、制御装置は送風制御装置を有し、送風制御装置は、搬送装置の各搬送風供給部の稼働を制御して収容部における搬送対象物の配送位置を変更調整し、搬送装置は、複数の搬送風供給部から収容部に向けて延びるガイド板の搬送面上において搬送対象物が風送される搬送ガイド部を有し、各搬送風供給部が供給する搬送風によって搬送ガイド部のガイド板の搬送面上に気流を形成し、制御装置の送風制御装置は、搬送装置の各搬送風供給部の稼働を制御してガイド板の搬送面上に気流の分布パターンを形成し、気流の分布パターンを経時的に変化させて搬送対象物の配送位置を変更調整することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る製紙機において、制御装置の送風制御部は、気流の分布パターンを所定のタイミングで変化させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る製紙機において、搬送装置は、ガイド板の搬送面に複数の凸状部と凸状部間の通気路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、仕上部で生じる裁断屑の搬送対象物を収容部に風送する際に、搬送装置の各搬送風供給部の稼働を制御して収容部における搬送対象物の配送位置を変更調整することで、収容部内において搬送対象物の裁断屑が積み上がる位置が変化し、収容部内で裁断屑の偏りが均される。この結果、収容部内に裁断屑を満杯に収容することができ、収容部内の容量の全てを活用できる。
【0015】
搬送装置は、搬送風の気流を形成し、気流に乗せて裁断屑を収容部に搬送する。気流の分布パターンを経時的に変化させることで、搬送対象物の配送位置が変更調整される。
【0016】
また、ガイド板の搬送面上に気流を形成することも可能である。
【0017】
気流の分布パターンの変化は経時的に連続して行ってもよく、所定のタイミングで変化させてもよい。
【0018】
また、ガイド板の搬送面に複数の凸状部と凸状部間の通気路とを有することで、搬送面上の裁断屑が凸状部に支持されるとともに、一部の搬送風が通気路を通じて裁断屑とガイド板の搬送面との間に流れる。このため、ガイド板の搬送面と裁断屑との間に働く抵抗が低減し、裁断屑を風送するための消費エネルギーを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態における製紙装置の仕上げ部の模式部
【
図2】同実施の形態における搬送装置の一つの気流の分布パターンを示す模式図
【
図3】同実施の形態における搬送装置の他の気流の分布パターンを示す模式図
【
図4】同実施の形態におけるガイド板の要部を示す断面図
【
図5】同実施の形態における製紙装置を示すブロック図
【
図6】同実施の形態における3つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図7】本発明の他の実施の形態における3つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図8】本発明の他の実施の形態における2つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図9】本発明の他の実施の形態における2つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図10】本発明の他の実施の形態における4つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図11】本発明の他の実施の形態における4つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図12】本発明の他の実施の形態における4つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図13】本発明の他の実施の形態における5つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【
図14】本発明の他の実施の形態における5つの搬送風供給部の運転パターンを示す図表
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図5は、製紙装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の製紙機1は、例えばオフィスなどに設置することが可能な小型の製紙装置である古紙再生処理装置として構成される。製紙機1は、製紙機本体10の内部に、パルプ液製造部2、脱墨部3、抄紙部4、乾燥部5、仕上げ部6を備え、各部を制御する制御装置13を有している。
【0022】
パルプ液製造部2は、パルプ原料を離解してパルプを含むパルプ懸濁液を製造する工程をなす。本実施の形態では、古紙11をパルプ原料として、パルプ懸濁液を製造する。
【0023】
脱墨部3は、パルプ液製造部2において製造されたパルプ懸濁液を脱墨する工程をなす。抄紙部4は、脱墨部3から供給される脱墨済みのパルプ懸濁液を抄紙して湿紙を生成する工程をなす。乾燥部5は、抄紙部4で形成された湿紙を乾燥させる工程をなす。仕上げ部6は、乾燥部5で乾燥された乾紙の成形紙に裁断等の仕上げ処理を行って用紙12を得る工程をなす。
【0024】
図1から
図4に示すように、仕上げ部6は、成形紙21の搬送経路に沿って複数の搬送ローラ対22が配置されており、搬送ローラ対22と搬送ローラ対22の間にカッター装置23、リジェクト装置24、カレンダー装置25、スリッター装置26が、成形紙21の搬送方向の上流側から下流側へ順次に配置されている。
【0025】
カッター装置23では、前工程の乾燥部5から送られて来る紙匹の成形紙21を搬送方向において所定の定形サイズに裁断して枚葉の成形紙21となす。リジェクト装置23は、不良品の成形紙21を系外に排出する。カッター装置23、リジェクト装置24の下方には排出紙を回収する回収部27が配置されている。
【0026】
カレンダー装置25では、枚葉の成形紙21にカレンダー加工を施し、上下一対の平滑なロール25a、25aの間に成形紙21を通すことにより、平滑性を向上させ、厚みの平均化等の厚みの調整を行う。
【0027】
スリッター装置26は、枚葉の成形紙21の搬送方向に沿った両側縁を切り揃えて、搬送方向と直交する方向において成形紙21の幅を定形サイズに整える。
【0028】
スリッター装置26の下方には、裁断により生じる耳紙等の裁断屑を搬送対象物28として風送する搬送装置29が配置されている。スリッター装置26と搬送装置29の間には、裁断屑を搬送装置29に案内する案内部30が配置されている。
【0029】
案内部30は、スリッター装置26を介して搬送方向の前後に上流案内板31、下流案内板32を有し、上流案内板31と下流案内板32の間が裁断屑の投下流路30aをなす。
【0030】
製紙機1の機外には、製紙機本体10の側部に設けた排出口10aに対応する位置に、搬送装置29で風送する裁断屑を収容する収容部33を配置している。搬送装置29は、個々に単独稼働可能な複数の、ここでは3つの搬送風供給部34、35、36を有している。
【0031】
本実施の形態では、個々の搬送風供給部34、35、36はそれぞの送気口37、38、39毎にファン装置40、41、42を配置している。ファン装置40、41、42はそれぞれ運転および停止の制御や、風量の制御を他のファン装置40、41、42とは独立して制御可能である。それぞの送気口37、38、39毎にファン装置40、41、42を配置する構成に替えて、一つのファン装置をダクトおよびダンパを介して各送気口37、38、39に接続することも可能である。また、搬送風供給部34、35、36は3台に限らず、2台以上を設置することで本発明を達成できる。
【0032】
案内部30の上流案内板31は下端部31aが送気口37、38、39の上側部の前方にかぶさっており、下端部31aは送気口37、38、39から吹き出す搬送風が上方に拡散することを抑制している。また、下流案内板32の底板部32aが送気方向に延びており、底板部32aは排出口10から吹き出す搬送風が上方に拡散することを抑制している。
【0033】
搬送装置29は、複数の搬送風供給部34、35、36と排出口10aの間に搬送ガイド部43を配置している。搬送ガイド部43は搬送風供給部34、35、36から排出口10aを通して収容部33に向けて延びる底部ガイド板44および底部ガイド板44の両側に設けた側部ガイド板45を有している。底部ガイド板44が搬送対象物28を風送する搬送面46をなし、側部ガイド板45が搬送風および搬送対象物28が搬送面46から逸脱することを防止している。底部ガイド板44は、搬送対象物が風送される搬送面46にエンボス加工等により複数の凸状部47が形成されており、凸状部47の相互間が通気路48をなす。
【0034】
以下、上記構成の作用を説明する。前工程の乾燥部5から仕上げ部6に送られた成形紙21は、搬送経路上の複数の搬送ローラ対22によって順次に搬送される。そして、カッター装置23は、紙匹の成形紙21を搬送方向において所定の定形サイズに裁断して枚葉の成形紙21となす。不良品の成形紙21はリジェクト装置24により回収部27に排出される。カレンダー装置25でカレンダー加工された枚葉の成形紙21は、スリッター装置26において、搬送方向に沿った両側縁を裁断されて、成形紙21の幅が定形サイズに整えられる。
【0035】
スリッター装置26で裁断された耳紙等の裁断屑は搬送対象物28として案内部30の投下路30aを通り、上流案内板31、下流案内板32に案内されて搬送装置29の搬送ガイド部43に落下する。
【0036】
図2、
図3、
図6に示すように、制御装置13の機能回路として構成された送風制御部は、搬送装置29の各搬送風供給部34、35、36の稼働を制御して収容部33における搬送対象物28の配送位置を変更調整する。
【0037】
搬送装置29は、各搬送風供給部34、35、36が供給する搬送風によって搬送ガイド部43の底部ガイド板44の搬送面46の上に搬送風の気流を形成し、この気流に乗せて裁断屑を収容部33に搬送する。
【0038】
このとき、
図4に示すように、底部ガイド板44の搬送面46に複数の凸状部47と凸状部47の間の通気路48を有することで、搬送面46の上の裁断屑が凸状部47に支持されるとともに、一部の搬送風が通気路48を通じて裁断屑と底部ガイド板44の搬送面46との間に流れる。このため、底部ガイド板44の搬送面46と裁断屑との間に働く抵抗が低減し、裁断屑を風送するための消費エネルギーを抑制できる。
【0039】
制御装置13の送風制御部は、搬送装置13の各搬送風供給部34、35、36の稼働を制御して底部ガイド板44の搬送面46の上に気流の分布パターンを形成する。そして、気流の分布パターンを経時的に変化させて搬送対象物の配送位置を変更調整する。
【0040】
例えば、一つの気流の分布パターンAは、
図2に示すように、底部ガイド板44の搬送面46の中央部を搬送風の気流が流れ、搬送面46の両側に搬送風の気流がない。この気流の分布パターンAでは、底部ガイド板44の搬送面46に落下した搬送対象物28は搬送面46の両側に押し寄せられ、側部ガイド板45に沿って移動し、搬送ガイド部43から排出口10aを通って収容部33に排出される。そして、収容部33に落下する搬送対象物28の裁断屑は、収容部33の両側に積み上がる。
【0041】
これは、
図6に運転パターン1として示すように、制御装置13の送風制御部が各送風供給部34、35、36の運転と停止を制御し、ここでは中央の送風供給部35を運転して他の送風供給部34、36を停止する制御を行うことで実現する。
【0042】
他の気流の分布パターンBは、
図3に示すように、底部ガイド板44の搬送面46の中央部に搬送風の気流がなく、搬送面46の両側に搬送風の気流がある。この気流の分布パターンBでは、底部ガイド板44の搬送面46に落下した搬送対象物28は搬送面46の中央に押し寄せられて移動し、搬送ガイド部43から排出口10aを通って収容部33に排出される。そして、収容部33に落下する搬送対象物28の裁断屑は、収容部33の中央に積み上がる。
【0043】
これは、
図6に運転パターン2として示すように、制御装置13の送風制御部が各送風供給部34、35、36の運転と停止を制御し、ここでは中央の送風供給部35を停止して他の送風供給部34、36を運転する制御を行うことで実現する。
【0044】
そして、制御装置13の送風制御部が運転パターン1と2を繰り替えすことで、底部ガイド板44の搬送面46には気流の分布パターンAとBが交互に形成される。このため、収容部33における搬送対象物28の配送位置が交互に変更され、収容部33において搬送対象物28の裁断屑が積み上がる位置が変化し、収容部33の内部において裁断屑の偏りが均される。この結果、収容部33の内部に裁断屑を満杯に収容することができ、収容部33の容量の全てを活用できる。
【0045】
この搬送ガイド部43の搬送面46の上に形成する気流の分布パターンAまたはBを経時的に変化させる切り替えのタイミングは、所定の時間間隔をあけたタイミングであってもよく、時間間隔を固定して行ってもよく、時間間隔を変化させて行ってもよく、マニュアル操作で自由に設定できるようにしてもよい。
【0046】
また、切り替えのタイミングは、仕上げ処理された用紙12の枚数を指標として、設定した枚数毎に気流の分布パターンAまたはBを切り替えてもよい。また、仕上げ部6の動作時間を指標として、設定した時間毎に気流の分布パターンAまたはBを切り替えてもよい。また、収容部33に収容された裁断屑の量を指標として設定した量毎に気流の分布パターンAまたはBを切り替えてもよい。
【0047】
また、搬送風供給部34、35、36の送気口37、38、39に左右方向に揺動するブレードを設けて、いわゆる首振りを行ってもよく、底部ガイド板44の搬送面46の上に形成する気流の分布パターンを経時的に連続して変化させてもよい。
【0048】
さらに、
図7に示すように、3つの運転パターン1、2、3を設定する。すなわち、運転パターン1では、左側の送風供給部34を運転して他の送風供給部35、36を停止する。収容部33における搬送対象物28の配送位置、つまり裁断屑が積み上がる位置は中央から右側となる。
【0049】
運転パターン2では、右側の送風供給部36を運転して他の送風供給部34、35を停止する。収容部33における搬送対象物28の配送位置、つまり裁断屑が積み上がる位置は中央から左側となる。
【0050】
運転パターン3では、中央の送風供給部35を運転して他の送風供給部34、36を停止する。収容部33における搬送対象物28の配送位置、つまり裁断屑が積み上がる位置は右側と左側になる。
【0051】
そして、制御装置13の送風制御部が運転パターン1、2、3を繰り替えすことで、収容部33における搬送対象物28の配送位置が交互に変更され、収容部33において搬送対象物28の裁断屑が積み上がる位置が変化し、収容部33の内部において裁断屑の偏りが均される。
【0052】
また、運転パターン1、2、3を順次に所定の時間間隔をあけて切り替えてもよく、運転パターン1、2、3をランダムな順序で所定の時間間隔をあけて切り替えてもよい。
(2つの搬送風供給部)
図8は、2つの搬送風供給部(左側、右側)を設ける場合の運転パターンを示している。すなわち、運転パターン1では、左側の送風供給部を運転して右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から右側となる。
【0053】
運転パターン2では、右側の送風供給部を運転して左側の送風供給部34を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から左側となる。
【0054】
図9は、さらに運転パターン3を加える運転を示す。運転パターン3では、両方の送風供給部を運転する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央となる。そして、運転パータン1、2、3を順次に繰り返す。
(4つの搬送風供給部)
図10は、4つの搬送風供給部(左側、中央左、中央右、右側)を設ける場合の運転パターンを示している。すなわち、運転パターン1では、左側と中央右の送風供給部を運転して中央左と右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から右側となる。
【0055】
運転パターン2では、左側と中央右の送風供給部を停止して中央左と右側の送風供給部を運転する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から左側となる。制御装置13の送風制御部は運転パターン1、2を繰り替えす。
【0056】
また、
図11に示す運転パターンも可能である。すなわち、運転パターン1では、中央左と中央右の送風供給部を運転して左側と右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は左側と右側となる。
【0057】
運転パターン2では、中央左と中央右の送風供給部を停止して左側と右側の送風供給部を運転する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央となる。制御装置13の送風制御部は運転パターン1、2を繰り替えす。
【0058】
図12は、運転パターン1では、左側の送風供給部を運転して他の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から右側となる。
【0059】
運転パターン2では、右側の送風供給部を運転して他の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央から左側となる。
【0060】
運転パターン3では、中央左と、中央右の送風供給部を運転する。左側と右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は左側と右側となる。制御装置13の送風制御部は運転パターン1、2、3を順次に繰り替えす。
(5つの搬送風供給部)
図13は、5つの搬送風供給部(左側、中央左、中央、中央右、右側)を設ける場合の運転パターンを示している。すなわち、運転パターン1では、左側と右側の送風供給部を運転して中央左、中央、中央右の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央となる。
【0061】
運転パターン2では、右側と左側の送風供給部を停止して中央左、中央、中央右の送風供給部を運転する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は左側と右側となる。制御装置13の送風制御部は運転パターン1、2を繰り替えす。
【0062】
また、
図14に示す運転パターンも可能である。すなわち、運転パターン1では、左側と中央の送風供給部を運転して中央左、中央右、右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央と右側となる。
【0063】
運転パターン2では、中央と右側の送風供給部を運転して左側、中央左、中央右の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は左側と中央となる。
【0064】
運転パターン3では、中央左と中央右の送風供給部を運転して左側、中央、右側の送風供給部を停止する。収容部33において裁断屑が積み上がる位置は中央となる。制御装置13の送風制御部は運転パターン1、2、3を繰り替えす。
【0065】
本実施の形態では、パルプ懸濁液から抄紙する湿式の古紙再生処理装置を例示して本発明を説明したが、本発明は古紙再生処理装置のみならず、乾式の製紙機にも適用可能である。乾式の製紙機では、例えば、繊維化工程において、古紙等の原材料を摩砕等の機械的手段により繊維状に解して繊維物を生成する。次に、成形工程において、繊維物に結合剤として樹脂材料を混合して混合繊維物を生成し、さらに混合繊維物を所定幅に、かつ所定厚みに堆積させて帯状堆積物を生成する。そして帯状堆積物を加熱し、繊維物を結合剤で結合させて成形紙を生成する。次に、仕上げ部において成形紙を所定サイズに裁断して用紙に仕上げる。本発明は、この仕上げ部に適用可能である。
【0066】
本実施の形態の搬送ガイド部43は必ずしも必要ではない。自由落下する裁断屑などの搬送対象物28は、搬送風供給部からの搬送風により、搬送ガイド部43に支持されることなく、風送することも可能である。また、収容部33は製紙機本体10の内部に設けることも可能である。
【0067】
また、本実施の形態の回収部27は必ずしも必要ではない。成形紙21の搬送方向前端または後端の不要部を、カッター装置23で裁断した際に生じる前後裁断屑や、リジェクト装置24で排出される不良品の成形紙21を収容部33に収容することも可能である。この場合、前後裁断屑や成形紙21は、搬送風供給部もしくは別途に設ける搬送風供給手段からの搬送風により、スリッタ装置26で生成される裁断屑と同様に、収容部33に向けて風送される。
【符号の説明】
【0068】
1 製紙機
2 パルプ液製造部
3 脱墨部
4 抄紙部
5 乾燥部
6 仕上げ部
10 製紙機本体
10a 排出口
11 古紙
12 用紙
13 制御装置
21 成形紙
22 搬送ローラ対
23 カッター装置
24 リジェクト装置
25 カレンダー装置
25a、25a 平滑なロール
26 スリッター装置
27 回収部
28 搬送対象物
29 搬送装置
30 案内部
30a 投下路
31 上流案内板
31a 下端部
32 下流案内板
32a 底板部
33 収容部
34、35、36 搬送風供給部
37、38、39 送気口
40、41、42 ファン装置
43 搬送ガイド部
44 底部ガイド板
45 側部ガイド板
46 搬送面
47 凸状部
48 通気路