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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20220401BHJP
   G01G 19/387 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
G01G11/00 M
G01G19/387 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018019296
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019138651
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】一宮 ▲頼▼人
(72)【発明者】
【氏名】國分 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】木田 等史
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-094639(JP,A)
【文献】特開2013-088219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00-11/20
G01G 19/00-19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームに固定され、載置される物品を計量する計量部と、
前記計量部から前記物品を第一方向に送り出す送出部と、
前記計量部から送り出される前記物品を受け取って前記第一方向と交差する第二方向に搬送する搬送部と、
第一位置と前記第一位置と比べ前記計量部から遠い第二位置との間で、前記搬送部を前記第一方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御し、前記搬送部を前記第一位置から前記第二位置に移動させながら前記搬送部において前記計量部から前記物品を受け取らせ前記搬送部を制御し、前記第二位置において前記物品を前記第二方向に搬送させる制御部と、を備える、計量装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送出部が前記物品を送り出す送出速度と、前記送出部から送り出される前記物品の受け取り時における前記搬送部の移動速度とが同一となるように、前記送出部及び前記移動機構を制御する、請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記送出部は、前記計量部に設けられた搬送ベルトと、前記搬送ベルトに形成された被係止部に接触可能な係止部と、前記係止部を前記第一方向に移動させる駆動部と、を有し、前記搬送ベルトは、前記駆動部によって移動する前記係止部を前記被係止部に接触させることで前記計量部に対して前記第一方向に移動可能に設けられており、
前記制御部は、前記計量部が前記物品を計量するときに、前記係止部と前記被係止部とが非接触となるように前記駆動部を制御する、請求項1又は2記載の計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二位置において前記係止部と前記被係止部とが非接触の状態で前記計量部が零点補正を実行するように、前記駆動部及び前記計量部を制御する、請求項3記載の計量装置。
【請求項5】
前記計量部は、前記第二方向に沿って複数配列され、
前記送出部は、複数の前記計量部のそれぞれに設けられ、
前記搬送部は、複数の前記計量部のそれぞれから送り出される前記物品を前記第一位置において受け取って前記第二方向に搬送し、
前記制御部は、複数の前記計量部において計量された計量値のうちの1つ又は複数の前記計量値を組合せた値が、目標値を基準とした許容範囲内となるように、前記物品の組合せを選択する組み合わせ演算を実行する、請求項1~4の何れか一項記載の計量装置。
【請求項6】
前記搬送部の下流側端部に配置され、前記搬送部から前記物品を受け取る受取部を更に備え、
前記制御部は、前記搬送部から前記受取部へ前記物品の受け渡しが行われるタイミングでかつ予め定められた距離だけ前記受取部を前記第二方向に移動させる、請求項5記載の計量装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記組み合わせ演算によって選択された物品を計量した前記計量部を特定することによって前記タイミングを決定する、請求項6記載の計量装置。
【請求項8】
前記搬送部によって前記第二方向に搬送される前記物品を検知するセンサを更に備え、
前記制御部は、前記センサの検出に基づいて前記タイミングを決定する、請求項6記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、進退移動可能な第一移動板と、第一移動板の上面と下面とに巻き回され、少なくとも一点で固定される第一移載ベルトと、第一移載ベルトに保持された状態の被計量物の重量を検出する重量検出器と、第一移動板の下方に配置されたベルトコンベアと、を備える、計量装置が開示されている。この計量装置では、第一移動板がベルトコンベア上方の受渡位置からベルトコンベア側方の待避位置に移動されると同時に、移載ベルトが第一移動板の上面から下面に向かって繰り出されるので、型崩れしやすい物品又は粘着性が高い物品に対しても、物品の形状を維持したまま受け渡すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-88219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の計量装置では、重量検出器が進退方向に移動可能な第1移動板に保持されている。このため、第1移動板の移動時における振動又は加速度等が重量検出器に作用して、重量検出器の検出精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、型崩れしやすい物品又は粘着性が高い物品であっても、計量後の受け渡し時に、物品の形状が崩れることを抑制できると共に、物品の計量精度を高めることができる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計量装置は、本体フレームに固定され、載置される物品を計量する計量部と、計量部から物品を第一方向に送り出す送出部と、計量部から送り出される物品を受け取って第一方向と交差する第二方向に搬送する搬送部と、第一位置と第一位置と比べ計量部から遠い第二位置との間で、搬送部を第一方向に移動させる移動機構と、第一位置において計量部から物品を受け取り、第二位置において物品を第二方向に搬送するように搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この構成の計量装置では、計量部から物品を送り出す方向と、物品が受け渡される搬送部の移動方向とが同じである。これにより、計量部と搬送部との相対的な速度差を小さくすることができるので、計量部から搬送部へ物品をスムーズに受け渡すことできる。この結果、型崩れしやすい物品又は粘着性が高い物品であっても、計量後の受け渡し時に物品の形状が崩れることを抑制できる。更に、計量部は本体フレームに固定されているので、物品の受け渡し時等に計量部が移動することがない。これにより、計量部が移動によって生じる振動又は加速度等の影響を受けることがなくなるので、物品の計量精度を高めることができる。
【0008】
本発明の計量装置では、制御部は、送出部が物品を送り出す送出速度と、送出部から送り出される物品の受け取り時における搬送部の移動速度とが同一となるように、送出部及び移動機構を制御してもよい。この構成では、計量部から物品が送り出される速度と、搬送部において物品が受け取られる速度とが同じであるので、よりスムーズに物品を受け渡すことが可能になる。なお、ここでいう同一の速度とは、略同一も含む概念である。
【0009】
本発明の計量装置では、送出部は、計量部に設けられた搬送ベルトと、搬送ベルトに形成された被係止部に接触可能な係止部と、係止部を第一方向に移動させる駆動部と、を有し、搬送ベルトは、駆動部によって移動する係止部を被係止部に接触させることで計量部に対して第一方向に移動可能に設けられており、制御部は、計量部が物品を計量するときに、係止部と被係止部とが非接触となるように駆動部を制御してもよい。この構成では、計量時に他の要素から伝達される振動等の影響を排除することができるので、より一層、計量精度を高めることができる。
【0010】
本発明の計量装置では、制御部は、第二位置において係止部と被係止部とが非接触の状態で計量部の零点補正を実行するように、駆動部及び計量部を制御してもよい。この構成では、他の要素から伝達される振動等の影響を排除した状態で、計量部における零点補正を実行できるので、零点補正の精度を高めることができる。
【0011】
本発明の計量装置では、計量部は、第二方向に沿って複数配列され、送出部は、複数の計量部のそれぞれに設けられ、搬送部は、複数の計量部のそれぞれから送り出される物品を第一位置において受け取り可能に配置されており、制御部は、複数の計量部において計量された計量値のうちの1つ又は複数の計量値を組合せた値が、目標値を基準とした許容範囲内となるように、物品の組合せを選択してもよい。この構成では、組み合わせ計量が可能になる。
【0012】
本発明の計量装置は、搬送部の下流側端部に配置され、搬送部から物品を受け取る受取部を更に備え、制御部は、搬送部から受取部へ物品の受け渡しが行われるタイミングかつ予め定められた距離だけ受取部を第二方向に移動させてもよい。この構成では、搬送部から搬送されてくる、組合せ演算によって選択された物品を等間隔に並べ変えることができる。
【0013】
本発明の計量装置では、制御部は、組み合わせ演算によって選択された物品を計量した計量部を特定することによってタイミングを決定してもよい。計量部を特定できると、受取部に搬送されてくるまでの時間を特定できる。この構成では、簡易な構成で、搬送部から受取部へ物品が受け渡されるタイミングを決定できる。
【0014】
本発明の計量装置は、搬送部によって前記第二方向に搬送される前記物品を検知するセンサを更に備え、制御部は、センサの検出に基づいて上記のタイミングを決定してもよい。この構成では、搬送部から受取部へ物品Aが受け渡されるタイミングを正確に把握することができるので、物品をより精度高く、所望の間隔で並べ変えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、型崩れしやすい物品又は粘着性が高い物品であっても、計量後の受け渡しのときに、物品の形状を維持することができると共に、物品の計量精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る計量装置の斜視図である。
図2図2は、図1の計量装置の平面図である。
図3図3は、図1の計量装置を、供給コンベヤを取り外した状態で左右方向右方からみた側面図である。
図4図4は、図1の計量装置に含まれる計量コンベヤを左右方向右方から見た側面図である。
図5図5は、図1の計量装置に含まれる供給コンベヤを前後方向前方から見た正面図である。
図6図6は、図1の計量装置の機能構成を示した機能ブロック図である。
図7図7(A)~(E)は、計量コンベヤから供給コンベヤへの物品Aの受け渡しを説明する図である。
図8図8(A)~(E)は、集合コンベヤから供給コンベヤへの物品Aの受け渡しを説明する図である。
図9図9は、変形例に係る取得部が取得する物品Aの載置状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明では、図1に示されるように、説明の便宜のために、互いに直交する前後方向、左右方向、及び上下方向を設定している。
【0018】
図1及び図2に示されるように、計量装置1は、本体フレーム3と、10台(複数)の計量コンベヤ10(10A~10J)と、集合コンベヤ40と、供給コンベヤ70と、制御部90と、を備える。計量装置1は、それぞれの計量コンベヤ10において計量された計量値のうちの1つ又は複数の計量値を組合せた値が、目標値を基準とした許容範囲内となるように、物品Aの組合せを選択すると共に、選択された物品Aを容器C(図5参照)に収容する装置である。
【0019】
本体フレーム3の後端側上面には、載置皿5が配置される。載置皿5は、計量装置1において計量される物品Aを載置しておくための皿である。作業者は、載置皿5に載置された物品Aを掴み、複数の計量部11のそれぞれに載置する。なお、ここでは、作業者によって物品Aが載置皿5から計量部11に移動される例を挙げて説明するが、ロボットハンド等によって物品Aが載置皿5から計量部11に移動されてもよい。
【0020】
物品Aの例は、生菓子、半生製品等の形状不安定な物品、海産物(ウニ、イクラ、たらこ等)、及びそれらを加工(漬け物や佃煮等)した粘着性物品等、商品が傷つくことで商品価値が下がる物品が含まれる。ただし、上述したような物品Aに限定されない。また、図1等では、物品Aは、楕円で図示しているが、一の物品Aに含まれる物品は一個の個体に限定されない。
【0021】
計量コンベヤ10は、載置される物品Aの重量を計量すると共に、計量した物品Aを集合コンベヤ40に送出する部分である。計量コンベヤ10は、本体フレーム3に固定され、載置される物品Aを計量する計量部11と、計量部11から物品Aを前後方向(第一方向)前方に送り出す送出部20と、を備える。図2図4に示されるように、計量部11は、支持ローラ13と、支持部14と、移載ベルト(搬送ベルト)15と、アングル17と、ロードセル18と、を有する。
【0022】
支持ローラ13は、モータによって駆動されない従動ローラであって、支持部14に支持されている。支持ローラ13は、移載ベルト15を支持する。支持部14は、アングル17を介して本体フレーム3に固定されている。移載ベルト15は、計量される物品Aが載置される。移載ベルト15は、支持ローラ13を介して支持部14に巻回されている。すなわち、移載ベルト15は、支持部14に対し前後方向に移動可能に設けられている。アングル17は、本体フレーム3に対して支持部14を支持する。アングル17は、ロードセル18の自由端部に連結されている。ロードセル18は、支持ローラ13、支持部14、移載ベルト15、及びアングル17の重量及びこれらに作用する荷重を検出する。ロードセル18は、検出した荷重を制御部90に送出する。
【0023】
送出部20は、計量部11から物品Aを前後方向(第一方向)に送り出す部分である。送出部20は、移載ベルト15と、係止部21と、被係止部22と、駆動部23と、を有する。移載ベルト15は、送出部20としての機能も兼ねる。係止部21は、移載ベルト15に形成される突起部分であり、被係止部22によって係止される。被係止部22は、左右方向から見た断面がコの字状に形成されており、前側被係止部22aと後側被係止部22bとを有する。被係止部22は、駆動部23によって前後方向に移動可能に設けられている。被係止部22が前方へ移動することによって後側被係止部22bが係止部21に押し出され、移載ベルト15が前後方向前方に移動する。被係止部22が前後方向後方へ移動することによって前側被係止部22aが係止部21を引っ張り、移載ベルト15が前後方向後方に移動する。移載ベルト15上の物品Aは、移載ベルト15の前後方向に移動に伴って移動される。
【0024】
駆動部23は、ボールネジ23aと、モータ23bと、タイミングベルト23cと、を有する。ボールネジ23aは、前後方向に延在し、一端が被係止部22に接続されている。ボールネジ23aは、モータ23bから伝達される回転力を、前後方向の直線運動に変換する。すなわち、モータ23bの駆動力を、被係止部22の前後方向の直線運動に変換する。タイミングベルト23cは、モータ23bの駆動力をボールネジ23aに伝達する。モータ23bは、例えば、電動式のサーボモータである。モータ23bにおける駆動軸の回転方向及び回転量は、制御部90によって制御される。例えば、計量コンベヤ10は、移載ベルト15における物品Aの送出速度V1が、第一位置P1における搬送部41の移動速度V2と一致するように制御される。
【0025】
集合コンベヤ40は、計量コンベヤ10において計量された物品Aを受け取って、下流側の供給コンベヤ70にまで搬送する部分である。集合コンベヤ40は、搬送部41を支持する本体フレーム40Aと、本体フレーム40Aを支持する本体部40Bと、を有している。
【0026】
搬送部41は、計量部11から送出部20によって送り出される物品Aを受け取って前後方向と直交(交差)する左右方向(第二方向)右方に搬送する。搬送部41は、支持部42と、支持ローラ43と、移載ベルト44と、駆動部45と、を有する。駆動部45は、モータ45aと、タイミングベルト45bと、を有する。支持部42は、本体フレーム3に固定され、支持ローラ43を支持する。支持ローラ43は、支持部42に固定されており、移載ベルト44を支持する。支持ローラ43は、モータ45aによって駆動する駆動ローラ43aと、モータ45aから駆動力が伝達されない従動ローラ43bと、を有する。移載ベルト44は、駆動ローラ43a及び従動ローラ43bに架け渡されており、駆動ローラ43aが回転することによって、物品Aを左右方向右方に搬送する。モータ45aの駆動力は、タイミングベルト45bを介して駆動ローラ43aに伝達される。
【0027】
搬送部移動機構51は、搬送部41を、計量部11から物品Aを受け取る第一位置P1と第一位置P1と比べ計量部11から遠い第二位置P2との間で、前後方向に沿って移動させる。第一位置P1は、計量コンベヤ10の下方であって、前後方向における搬送部41の前端が移載ベルト15の前端と一致する位置である(図2に示される破線で示される搬送部41の位置)。第二位置P2は、前後方向において第一位置P1よりも前方であって、前後方向における搬送部41の後端が移載ベルト15の前端と略一致する位置である(図2に示される搬送部41の位置)。
【0028】
搬送部移動機構51は、レール53と、コロ54と、エアシリンダ55と、を有する。レール53は、一端が本体フレーム3に固定され、他端が本体フレーム3に設けられたアングル3aに固定されている。コロ54は、本体部40Bに支持されており、コロ54は、レール53上を転動可能に設けられており、レール53に沿って本体部40Bを移動可能に支持する。すなわち、本体部40B及び本体部40Bに支持される本体フレーム40A(集合コンベヤ40)は、前後方向に移動可能に設けられている。
【0029】
エアシリンダ55は、ケーシング55aと、ピストンロッド55bと、を有している。ピストンロッド55bは、エアの作用によってケーシング55aに対して進退可能に設けられている。エアシリンダ55では、ケーシング55aが本体フレーム3に設けられ、ピストンロッド55bが本体部40Bに固定されている。これにり、集合コンベヤ40は、エアシリンダ55の作用によって前後方向に移動可能に設けられる。エアシリンダ55は、制御部90によって制御される。すなわち、エアシリンダ55は、第一位置P1における搬送部41の移動速度V2と、移載ベルト15が物品Aを送り出す送出速度V1とが一致するように、制御部90によってピストンロッド55bの進出速度が制御される。
【0030】
図5に示されるように、供給コンベヤ70は、集合コンベヤ40から供給される物品Aを受け取って、製品として出荷される容器C等に収容する部分である。供給コンベヤ70は、集合コンベヤ40における搬送部41の下流側端部に配置され、集合コンベヤ40から物品Aを受け取る受取部71と、受取部71を左右方向に移動させる本体部移動機構81と、を有する。
【0031】
受取部71は、本体部72と、支持部73と、支持ローラ74と、移載ベルト75と、アングル76と、係止部77と、被係止部78と、駆動部79と、容器載置部88と、を有する。本体部72は、架台4に載置されている。本体部72は、コロ84を有しており、架台4に対して左右方向に移動可能に設けられている。支持ローラ74は、モータによって駆動されない従動ローラであって、支持部73に支持されている。支持ローラ74は、移載ベルト75を支持する。支持部73は、アングル76を介して本体部72に固定されている。容器載置部88は、架台4上に設けられており、第二位置P2に位置する集合コンベヤ40の下流端に隣接して配置される。容器載置部88は、集合コンベヤ40から供給コンベヤ70に物品Aが受け渡される位置の下方に設けられる。
【0032】
移載ベルト75は、集合コンベヤ40から受け渡される物品Aが載置される。供給コンベヤ70の移載ベルト75と集合コンベヤ40の移載ベルト44とは、上下方向に段差Hが設けられている。段差Hの大きさは、物品Aに応じて適宜設定される。本体部72は、段差Hを容易に変更できるように設けられていてもよい。移載ベルト75は、支持ローラ74を介して支持部73に巻回されている。すなわち、移載ベルト75は、支持部73に対し左右方向に移動可能に設けられている。アングル76は、本体部72に対して支持部73を支持する。
【0033】
係止部77は、移載ベルト75に形成される突起部分であり、被係止部78によって接触して係止される。被係止部78は、前後方向から見た断面がコの字状に形成されており、右側被係止部78aと左側被係止部78bとを有する。被係止部78は、駆動部79によって左右方向に移動可能に設けられている。被係止部78が左方へ移動することによって右側被係止部78aが係止部77を押し出し、移載ベルト75が左右方向左方に移動する。被係止部78が左右方向右方へ移動することによって左側被係止部78bが係止部77を引っ張り、移載ベルト75が左右方向右方に移動する。
【0034】
駆動部79は、ボールネジ79aと、タイミングベルト79bと、モータ79cと、を有する。ボールネジ79aは、左右方向に延在し、一端が被係止部78に接続されている。ボールネジ79aは、モータ79cから伝達される回転力を、左右方向の直線運動に変換する。すなわち、モータ79cの駆動力を、被係止部78の左右方向の直線運動に変換する。タイミングベルト79bは、モータ79cの駆動力をボールネジ79aに伝達する。モータ79cは、例えば、電動式のサーボモータである。モータ79cにおける駆動軸の回転方向及び回転量は、制御部90によって制御される。例えば、供給コンベヤ70は、移載ベルト75における物品Aの受取速度V4が、搬送部41の搬送速度V3と一致するように制御される。
【0035】
本体部移動機構81は、コロ84と、エアシリンダ85と、を有する。コロ84は、本体部72に設けられている。コロ84は、架台4上を転動可能に設けられており、架台4に沿って本体部72を移動可能に支持する。すなわち、本体部72に支持される供給コンベヤ70は、左右方向に移動可能に設けられている。エアシリンダ85は、ケーシング85aと、ピストンロッド85bと、を有している。ピストンロッド85bは、エアの作用によってケーシング85aに対して進退可能に設けられている。エアシリンダ85では、ケーシング85aが架台4に設けられ、ピストンロッド85bが本体部72に固定されている。これにり、供給コンベヤ70は、エアシリンダ85の作用によって左右方向に移動可能に設けられる。エアシリンダ85は、制御部90によって制御される。すなわち、エアシリンダ85は、例えば、本体部72における左右方向右方への移動速度V5と、移載ベルト75の左右方向左方への送出速度V6とが同一となるように、制御部90によってピストンロッド85bの進出速度が制御される。
【0036】
図1に示されるように、制御部90は、本体フレーム3内に配置される。図6に示されるように、制御部90は、計量装置1における各種動作を制御する機器であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える信号処理装置である。制御部90は、計量コンベヤ10、集合コンベヤ40、及び供給コンベヤ70の動作を制御する。例えば、制御部90は、複数の計量部11において計量された計量値のうちの1つ又は複数の計量値を組合せた値が、目標値を基準とした許容範囲内となるように、物品Aの組合せを選択する組み合わせ演算を実行する。
【0037】
次に、計量装置1の動作について説明する。計量装置1の起動時、全ての計量コンベヤ10は、図1及び図2に示される、例えば、計量コンベヤ10Aのように、係止部21及び被係止部22が最後端(載置皿5に近い位置)に位置しており、物品Aの計量が可能な状態にある。この状態において、作業者は、載置皿5に載置された物品Aを、計量コンベヤ10A~10Jのそれぞれに載置させる。なお、図1及び図2は、三つの計量コンベヤ10D,10E,10Gが集合コンベヤ40に物品Aを受け渡した直後の状態を示している。
【0038】
作業者によって計量コンベヤ10A~10Jのそれぞれに物品Aが載置されると、計量コンベヤ10A~10Jのそれぞれに設けられたロードセル18は、計量値(信号)を制御部90に送出する。制御部90は、複数のロードセル18において計量された計量値のうちの1つ又は複数の計量値を組合せた値が、目標値を基準とした許容範囲内となるように、物品Aの組合せを選択する組み合わせ演算を実行する。制御部90は、計量部11が物品Aを計量するときに、係止部21と被係止部22とが非接触となるように駆動部23を制御する。すなわち、制御部90は、前側被係止部22a及び後側被係止部22bが、係止部21に接触しないように、被係止部22を位置させる。以後、当該組合せ演算において、三つの計量コンベヤ10D,10E,10Gが選択されたとして説明する。
【0039】
制御部90は、組合せ演算において三つの計量コンベヤ10D,10E,10Gを選択すると、三つの計量コンベヤ10D,10E,10Gに対応するそれぞれのモータ23bを制御して被係止部22を前進させ、図7(A)に示されるように、移載ベルト15を前進させる。このようにして、移載ベルト15上の物品Aを、集合コンベヤ40へ送り出す。制御部90は、被係止部22の前進に連動して集合コンベヤ40が前進するように、搬送部移動機構51のエアシリンダ55を制御する。図7(B)及び図7(C)に示されるように、制御部90は、送出部20が物品Aを送り出す送出速度V1と、第一位置P1における搬送部41の移動速度V2とが同一となるように、モータ23b及びエアシリンダ55を制御する。制御部90は、少なくとも物品Aが計量コンベヤ10から集合コンベヤ40に受け渡されるときに、搬送部41の移動速度V2が送出部20の送出速度V1と同じとなるように、モータ23b及びエアシリンダ55を制御する。
【0040】
図7(D)に示されるように、物品Aは、搬送部41の移動速度V2と送出部20の送出速度V1とが同じとなるように制御された状態で、移載ベルト15から移載ベルト44に受け渡される。図7(E)に示されるように、集合コンベヤ40は、計量コンベヤ10から受け渡された物品Aを載置した状態で、第二位置P2にまで前進する。制御部90は、物品Aを計量コンベヤ10から集合コンベヤ40へ受け渡した後、モータ23b及びエアシリンダ55を制御して、係止部21と被係止部22とを非接触の状態にして計量部11の零点補正を実行する。
【0041】
図8(A)に示されるように、搬送部41は、第二位置P2において物品Aを左右方向右方に搬送する。すなわち、制御部90は、モータ45aを制御して、第二位置P2において物品Aを左右方向右方に搬送させる。図8(B)に示されるように、供給コンベヤ70の移載ベルト75は、供給コンベヤ70から物品Aを受け渡されるときにのみ、左右方向右方に移動する。すなわち、制御部90は、供給コンベヤ70から物品Aが受け渡されるタイミングでモータ79cを制御して、被係止部78を左右方向右方に移動させる。これにより、移載ベルト75は、供給コンベヤ70から物品Aが受け渡されるタイミングで左右方向右方に移動される。制御部90は、組み合わせ演算によって選択された物品Aを計量した計量コンベヤ10A~10Jを特定することによって上記タイミングを取得することができる。
【0042】
移載ベルト75を左右方向右方へ移動させるタイミング(物品Aが搬送部41の左右方向右端に搬送されてくるタイミング)は、集合コンベヤ40による左右方向右方への搬送速度が一定である場合には、どの計量コンベヤ10A~10Jが集合コンベヤ40に物品Aを受け渡したかを特定することによって取得できる。すなわち、計量コンベヤ10が集合コンベヤ40に物品Aが受け渡してから搬送部41の左右方向右端に到達するまでの時間を、計量コンベヤ10A~10Jごとに予め取得しておけばよい。制御部90は、搬送部41が物品Aを送り出す搬送速度V3と、移載ベルト75の受取速度V4とが同一となるように、モータ45a及びモータ79cを制御する。受取部71は、上述したようなタイミングで駆動されるので、物品Aの受け渡しのタイミングに連動して間欠駆動される。これにより、図8(C)に示されるように、ばらばらの間隔で搬送されてくる物品Aを、移載ベルト75上に隙間無く並べ変える(配列する)ことができる。
【0043】
なお、図8(C)の例では、物品Aを隙間無く配列する例を挙げて説明したが、所望の間隔をあけて物品Aを配置してもよい。物品A同士の間隔は、間欠駆動における駆動時間を調整することによって容易に調整することができる。移載ベルト75上に、組合せ演算によって選択された三つの計量コンベヤ10D,10E,10Gに対応する物品Aが移載ベルト75上に配列されると、図8(D)に示されるように、本体部72は、左右方向右方に移動する。すなわち、制御部90は、このタイミングでエアシリンダ85を駆動して本体部72を左右方向右方に移動させる。同時に、移載ベルト75を左右方向左方に移動させて、移載ベルト75から容器Cに物品Aを送り出す。すなわち、制御部90は、移載ベルト75を左右方向左方に移動するようにモータ79cを移動させる。制御部90は、本体部72の移動速度V5が移載ベルト75の送出速度V6と同じとなるように、エアシリンダ85及びモータ79cを制御する。これにより、図8(E)に示されるように、容器載置部88に載置された容器Cに物品Aを送り出すことができる。
【0044】
本実施形態の計量装置1では、計量部11から物品を送り出す方向と、物品Aが受け渡される搬送部41の移動方向とが同じ方向である。これにより、これにより、計量部11と搬送部41との相対的な速度差を小さくすることができるので、計量部11から搬送部41へ物品Aをスムーズに受け渡すことできる。この結果、型崩れしやすい物品A又は粘着性が高い物品Aであっても、計量後の受け渡し時に物品Aの形状が崩れることを抑制できる。更に、計量部11は、本体フレーム3に固定されており、搬送部41への物品Aの受け渡し時等に移動しない。これにより、計量部11が、移動によって生じる振動又は加速度等の影響を受けることがなくなるので、物品Aの計量精度を高めることができる。
【0045】
計量装置1では、制御部90は、送出部20が物品Aを送り出す送出速度V1と、送出部20から送り出される物品Aの受け取り時における搬送部41の移動速度V2とが同一となるように制御するので、計量コンベヤ10から集合コンベヤ40へ物品Aをよりスムーズに受け渡すことが可能になる。
【0046】
計量装置1では、制御部90は、計量部11が物品Aを計量するときに、係止部21と被係止部22とが非接触となるようにモータ23bを制御するので、計量時に他の要素から伝達される振動等の影響を排除することができる。この結果、より一層、計量精度を高めることができる。
【0047】
計量装置1では、制御部90は、第二位置P2において係止部21と被係止部22とが非接触の状態で計量部11の零点補正を実行するように、モータ23bを制御するので、零点補正時に他の要素から伝達される振動等の影響を排除することができる。この結果、零点補正の精度を高めることができる。
【0048】
計量装置1では、制御部90は、搬送部41から受取部71へ物品Aの受け渡しが行われるタイミングかつ予め定められた距離だけ受取部71を左右方向右方に移動させるので、搬送部41によって搬送されてくる、組合せ演算によって選択された物品Aを所望の間隔(例えば、等間隔)に並べ変えることができる。
【0049】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
上記実施形態では、集合コンベヤ40の下流側に供給コンベヤ70が配置された例を挙げて説明したが、供給コンベヤ70は設けられて無くてもよい。すなわち、所定の容器Cに物品Aを収容する機能を有していなくてもよい。
【0051】
上記実施形態では、集合コンベヤ40における第一位置P1が計量コンベヤ10の下方に設定され、上方から見た平面視において計量コンベヤ10と完全に重なっている例を挙げて説明したが、計量コンベヤ10と一部が重なる構成であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、被係止部22を前後方向に移動させることで移載ベルト15を前後方向に移動させる例を挙げて説明したが、例えば、駆動ローラを設けることで移載ベルト15を前後方向に移動させてもよい。移載ベルト75についても同様に、被係止部78を左右方向に移動させる構成に代えて、駆動ローラを設けてもよい。ただし、移載ベルト15については、計量時に他の要素との物理的な接続の遮断が容易な上記実施形態は、計量精度を高めることができる点で優れている。
【0053】
上記実施形態では、制御部90は、組み合わせ演算によって選択された物品Aを計量した計量コンベヤ10A~10Jを特定することによって、移載ベルト75の左右方向右方への駆動タイミングを制御する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2に示されるように、搬送部41の左右方向右端近傍にセンサ等の取得部49を配置し、当該取得部49の検知に基づいて上記タイミングを制御してもよい。この構成によれば、集合コンベヤ40から供給コンベヤ70へ物品Aを受け渡すタイミングをより正確に把握することができるので、物品Aをより精度高く所望の間隔(例えば等間隔)で並べ変えることができる。
【0054】
また、各計量コンベヤ10への物品Aの載置状態(図9参照)を取得できるように、センサ又はカメラ等の取得部149(図6参照)を配置してもよい。この構成とすれば、移載ベルト15に対する前後方向における物品Aの前端位置LA,LB,LC,・・・,LJを取得することができるので、例えば、移載ベルト15の前後方向の移動量を制御することによって、物品Aの前端位置を揃えた状態で、計量コンベヤ10から集合コンベヤ40へ物品Aを受け渡すことができる。
【0055】
更に、この変形例に係る構成によれば、移載ベルト15に対する左右方向における物品Aの右端位置GA,GB,GC,・・・,GJ及び物品Aの左右方向におけるサイズWA,WB,WC,・・・,WJを取得することができる。これにより、上記実施形態における移載ベルト75の左右方向右方への駆動タイミングを制御するときに、右端位置GA,GB,GC,・・・,GJ及び物品Aの左右方向におけるサイズWA,WB,WC,・・・,WJを考慮すれば、物品Aに応じた並び替え(配列)が可能になる。
【0056】
上記実施形態又は変形例では、制御部90は、本体フレーム3の内部に設けられる例を挙げて説明したが、図示しないネットワークを介して、計量コンベヤ10、集合コンベヤ40、及び供給コンベヤ70を制御可能に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…計量装置、3…本体フレーム、10(10A~10J)…計量コンベヤ、11…計量部、15…移載ベルト(搬送ベルト)、20…送出部、21…係止部、22…被係止部、22a…前側被係止部、22b…後側被係止部、23…駆動部、40…集合コンベヤ、41…搬送部、45…駆動部、49,149…取得部、51…搬送部移動機構、70…供給コンベヤ、71…受取部、79…駆動部、81…本体部移動機構、90…制御部、A…物品、C…容器、P1…第一位置、P2…第二位置、V1…送出速度、V2…移動速度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9